全国書店新聞
             

令和4年5月15日号

新会長に塩谷立・元文科相/書店存続へ新体制スタート/書店議連総会

自民党の衆参両院議員による「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)は4月14日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で総会を開き、新会長に塩谷立衆議院議員(元文部科学大臣、元自民党総務会長)を選出した。また、書店事務局はリラィアブルから日書連と出版文化産業振興財団(JPIC)に交代し、新体制がスタートした。総会で日書連の矢幡秀治会長は、書店を文化的コンテンツとして残すことの重要性を訴えた。JPICの近藤敏貴理事長(トーハン)は、書店を永続的に発展させるため議員立法を目指す考えを示した。
書店議連は2016年9月に第1回会合を開いて以来、これまで9回にわたり書店経営者が抱える諸問題について意見交換を行ってきた。メンバーは4月6日時点で衆議院34名、参議院8名の計42名。書店事務局は、設立時から北海道を中心に複合書店コーチャンフォーを運営するリラィアブルが務めてきたが、このほど日書連とJPICが共同で担当することとなった。
総会は事務局長の伊東良孝衆議院議員の司会で進行。議連の設立当初から会長を務めてきた河村建夫氏が、自身の政界引退に伴い会長を退任すると表明し、「私は一線を退くが、引き続きこの問題に関心を持ち、応援団の一人として支えたい。新会長の塩谷先生はこの方面でも第一人者。安心している」と議連の今後に期待を寄せた。
新会長に就任した塩谷衆議院議員は「議員宿舎からほど近くよく利用している文教堂赤坂店が6月に閉店すると聞き驚いた。書店の閉店が頻繁に起こることは我が国の文字活字文化の衰退につながると危機感を持っている。再販、デジタル化、著作権、キャッシュレス決済、万引などの問題について、皆さんの意見を聞きながら解決策を探っていきたい」と抱負を述べた。
業界を代表してあいさつした日書連の矢幡会長は「大中小の規模を問わず書店経営は厳しくなっている。だからといって書店はなくなるものではないし、なくしてはいけない。本は子どもにとって教育、大人にとって心の指針として大切なもの。書店を文化的コンテンツとして残してほしい。課題はたくさんあるが、業界が団結して提案し解決していきたい。書店が残れば子どもたちに良い本を届けることができ、日本の将来も明るくなる」と述べ、理解と協力を求めた。
JPICの近藤理事長は「日本は世界有数の出版大国だが遅れている部分もある。ドイツは社会の中で書店のプレゼンスが高い。フランスは独立系書店を支援する公的制度が整備され、韓国は出版文化産業振興法がある。日本も見習って変わっていきたい。出版界の基盤である書店業を永続的に発展させていくために支えとなる議員立法の成立を目指していただきたい」と述べた。
JPICの松木修一専務理事が出版業界の現状を説明した後、議員と書店関係者の意見交換では、日書連の春井宏之副会長が官公庁や自治体の入札について問題点を指摘。さらに公共図書館によるベストセラーの複本購入問題、万引問題などについて協議した。
閉会あいさつで幹事長の齋藤健衆議院議員は「図書館の活性化やデジタルの推進は正しいが、だからといって街の書店がなくなることは正当化できない。その一点で戦うことが大事だ」と語った。
〔書店議連役員体制〕
▽会長=塩谷立(衆議院議員、比例東海)
▽会長代行=遠藤利明(衆議院議員、山形1区)
▽副会長=坂本哲志(衆議院議員、熊本3区)、山谷えり子(参議院議員、比例)
▽幹事長=齋藤健(衆議院議員、千葉7区)
▽副幹事長=城内実(衆議院議員、静岡7区)、古川康(衆議院議員、佐賀2区)
▽事務局長=伊東良孝(衆議院議員、北海道7区)
▽事務局次長=小寺裕雄(衆議院議員、滋賀4区)
▽幹事=赤澤亮正(衆議院議員、鳥取2区)、橘慶一郎(衆議院議員、富山3区)、武部新(衆議院議員、北海道12区)、簗和生(衆議院議員、栃木3区)、長谷川岳(参議院議員、北海道)

読書活動優秀実践校など表彰/子どもの読書活動推進フォーラム/文科省

文部科学省と国立青少年教育振興機構は4月23日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「子どもの読書活動推進フォーラム」を開催し、優秀な実践を行っている学校などを表彰した。
このフォーラムは、「子ども読書の日」を記念し、国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深め、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めることを目的に毎年実施しているもの。子どもの読書活動優秀実践校128校、同・優秀実践図書館46館、同・優秀実践団体(個人)46団体(名)を表彰し、表彰者を代表して郡山市立湖南小中学校(福島)の古川里美氏、西ノ島町コミュニティ図書館(島根)の真野理佳氏、太洋中学校区子ども読書活動推進協議会(神奈川)の久保田幸子氏が取組事例を発表した。
お笑い芸人で小説家の又吉直樹氏と友愛福祉会理事長の馬場耕一郎氏をパネリスト、日本テレビアナウンサーの杉上佐智枝氏をコーディネーターに迎えたシンポジウム「子ども時代の読書活動の重要性」では、又吉氏と馬場氏が子ども時代の思い出や読書体験などについて語った。
主催者を代表して文部科学大臣政務官の鰐淵洋子氏、来賓を代表して子どもの未来を考える議員連盟副会長の中曽根弘文参議院議員と文字・活字文化推進機構顧問の河村建夫氏があいさつ。鰐淵氏は「第6次学校図書館図書整備等5か年計画で学校図書館の充実はもとより子どもの読書活動を一層推進したい」、中曽根氏は「議連として子どもたちの未来のため引き続き支援していく」、河村氏は「子どもたちが本を手に取って読む機会を作ることは大人の責任」と述べた。

来場出席、web出席と書面議決書を併用/日書連5月定例理事会

5月26日(木)午後1時開催の日書連5月定例理事会は、新型コロナウイルスの感染状況などを考慮し、来場出席、web出席、書面議決書を併用する形で行う。来場出席の会場は東京都千代田区の書店会館3階会議室。
なお、同日午前10時半より出版物小売業公正取引協議会通常総会を開催する。前日25日(水)は各種委員会の一斉開催は行わない。

ゴールデンウィークの書店売上動向/トーハン1・5%減、日販13・9%減/「おうち時間」減少で苦戦

トーハン、日本出版販売(日販)はゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)の書店売上動向を発表した。3年ぶりに行動制限のない大型連休となり、帰省や旅行、ショッピングなど外出を楽しむ人が増えたことから「おうち時間」が減少。トーハンは前年比1・5%減、日販は同13・9%減と、両社ともに前年を下回った。
調査対象店は、トーハンが1533店(2021年GW期間の臨時休業店も含めて集計)、日販が1588店(当年・前年ともに売上データが取得できている店舗〈日販取引書店におけるPOS調査店〉)。
【トーハン】
商品種別では、書籍は前年比0・3%減、雑誌は同2・4%増、コミックは同8・2%減、マルチメディアは同2・9%減。購入客数は同6・1%増、客単価は同1・5%減だった。
立地別でみると、駅前駅内が同9・8%増、SC内が同14・9%増と伸長率が大きく、次いで繁華街が同2・1%減と前年に近い数字となった。旅行やショッピングなどの人出が活発化し、当該立地の書店売上にも寄与したと考えられる。一方、商店街は同16・2%減、住宅街は同16・1%減、郊外は同17・5%減と前年割れとなった。
【日販】
雑誌は前年比7・0%減。月刊誌が同9・7%減、ムックが同5・7%減と前年割れとなる中、週刊誌は分冊百科が好調で同1・4%増となった。
書籍は同14・3%減。全ジャンルで2桁減の前年割れとなった。総記は前年、2020年の学校休校の影響で辞典売上のピークが後ろ倒しになったため好調だったが、今年は反動で同19・8%減と落ち込んだ。
コミックは同17・3%減。昨年は緊急時代宣言下で好調だったコミックだが、今年は「僕のヒーローアカデミア」(集英社)など売上ランキングトップ10の商品は前年を上回ったものの、トップ10以外の売上上位から中位のタイトルの落ち込みが大きかった。
開発品は同18・7%減。

超ダ・ヴィンチストア/DX化された「未来の書店」/KADOKAWAが提案、「ニコニコ超会議」にブース出展

4月29日~30日の2日間、3年ぶりに千葉の幕張メッセでリアル開催された「ニコニコ超会議2022」で、KADOKAWAはDX化された〝未来の書店〟をコンセプトとする「超ダ・ヴィンチストア」ブースを出展した。ブース内では、VR、メタバース、AIなど様々な手法で新しい購入体験ができるデモを実施。ブースの外でも、DXを活用した集客のための店舗装飾を提案した。
「超ダ・ヴィンチストア」の名称は、埼玉県所沢市・ところざわサクラタウンにあるリアル書店「ダ・ヴィンチストア」からとったもの。ブース内では、質問に答えると最後におススメの一冊を教えてくれるAI「ナツネイター」が、50型タッチディスプレイで展示された。また、ところざわサクラタウンにある書店「ダ・ヴィンチストア」と「本棚劇場」を仮想空間に再現し、約5000冊の在庫から本を探せる「メタバース書店」と「VR本棚劇場」といった、VR系のサービスも注目を集めた。選んだ本は、紙の本と電子書籍どちらでも購入可能。
KADOKAWAは「書店の規模に依拠しない自由な売場作りや、欲しい本を欲しい場所ですぐに手に入れられる仕組みなどをDXで推進し、出版業界の抱えている『大量生産・大量消費』という問題を解決。利用者の利便性も向上させながら、持続可能な出版ビジネスを目指す。地球環境にもやさしい、未来の書店の一つのあり方を提案した」としている。

4氏に黄綬褒章/春の叙勲

春の褒章で、全国教科書供給協会から次の4氏が黄綬褒章を受章した。
▽髙橋恒雄(秋田県湯沢市・髙政書店代表者)
▽安部悟(福井県福井市・安部書店代表取締役社長)
▽井上一哲(京都府京都市下京区・井上文鴻堂代表取締役社長)
▽竹中実(広島県広島市安佐南区・誠文堂代表者)

「春夏秋冬本屋です」/「絵本のコト」/福岡・麒麟書店常務・森松恵美

52歳の若さで亡くなった母が、私に遺してくれた数冊の絵本がある。大人になって読み返すうちに、改めて絵本の魅力に気付き、こうして私が絵本の仕事に携わるきっかけを作ってくれた。優しい言葉や相手を思いやる心、挑戦する気持ちは、絵本が教えてくれる。そして何よりも、親子が心穏やかに過ごせる時間は、素敵な思い出となる。だからこそ子どもが幼少期に出逢う絵本は大切で、その後の人生で大いに役に立つ。
創業90年を迎える家業に17年勤め、「絵本選びのお手伝い」を通して子どもたちの成長の応援をしている。店内を魅力的な絵本の空間へと作り変え10年目を迎えた。更に、絵本の魅力を広めるため「絵本出張販売」「絵本のおはなし会」「絵本と親子ヨガ」などの活動を続けている。また、SNSやお母さん向けの新聞で絵本のコラムも発信中だ。お客さまとは子育ての悩みや日々のアレコレを語りながら、とっておきの一冊をおすすめしている。
現在は一児の母。将来、私が息子に残すとしたら、間違いなく絵本を選ぶ。絵本の中の世界は広く自由に旅をすることができる。いろいろな人たちとの出会い、たくさんの言葉や多くの問いかけや気付きが待っている。それはこれからの人生にも似ている。もし息子が何かに迷った時には、きっと勇気をくれる一冊になることだろう。

大阪組合、楽天BNと意見交換/日販との協業拡大で/帳合書店アンケート結果伝える

大阪府書店商業組合は4月16日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
重要議題の審議・報告で深田健治理事長(ブックスふかだ)は、楽天ブックスネットワーク(楽天BN)帳合書店を対象に実施したアンケート「日本出版販売との協業について」の結果をもって、1月27日に楽天BN・森岡忠弘営業本部長と意見交換会を行ったことを報告した。また、近畿ブロック会主催「BooksPRO/JPRO合同研修会」を7月6日、大阪市北区中之島の大阪市中央公会堂で開催することを決めた。
委員会報告では、読書推進委員会から2022第18回大阪子ども「本の帯創作コンクール」を11月12日に大阪市中央区のエル・おおさか(大阪府立労働センター)で開催すると報告があった。
(石尾義彦事務局長)

「街の書店、何としても守る」/奈良組合理事会で林田理事長

奈良県書店商業組合は4月11日、大和郡山市のディーズブックで第5回理事会を開いた。
林田芳幸理事長(啓林堂書店)は「コロナを契機にすっかり変わった。ますます本が売れなくなってきて大変だが、何としても紙の本と街の書店は守らなければならない」とあいさつした。
続いて、障碍者作業所に図書館納品の図書装備を依頼する案件や、実施中の「サン・ジョルディイベント企画」の状況報告があった。また、令和4年度総会は8月上旬に開くことを決めた。
次回理事会は5月30日に開く。(靏井忠義広報委員)

北海道書店商業組合4月定例理事会

4月19日、札幌市中央区の北海道建設会館で開催した。志賀健一理事長(ジュンク堂書店旭川店)が日書連の活動報告を行い、続いて6月に開催する道組合第46回通常総会の事業報告、事業計画案、収支決算報告、収支予算案について事務局から説明し、審議した。
(事務局・髙橋牧子)

21年文庫本市場/4・2%減の831億円/既刊本は健闘するも9年連続減少

出版科学研究所発行の『出版月報』3月号は「文庫本市場レポート2021」を特集。これによると、昨年の文庫本(コミック文庫を除く)の推定販売金額は前年比4・2%減の831億円。既刊の売行きは堅調だったが、9年連続のマイナスとなった。同特集から文庫本市場の動向を紹介する。
2021年の文庫本市場の推定販売金額は831億円、前年比4・2%減だった。20年はコロナ禍の巣ごもり需要で、カミュ『ペスト』(新潮文庫)をはじめ既刊の売行きが健闘し、同3・8%減と14年以降では最も減少幅が小さかった。21年も既刊の販売は引き続き堅調だったが、ライトノベル文庫が同13・4%減と大きく落ち込んだこと、ベストセラー作品の部数規模の縮小、新刊点数減少に伴う送品の純減などでマイナスになった。推定販売部数は同5・2%減の1億1885万冊で、市場は10年前のおよそ半分に縮小した。
新刊点数(コミック文庫除く)は同3・9%(268点)減の6639点で、7年連続の減少。前年のようにコロナ禍で新刊刊行を延期・中止するケースはほぼなくなったが、各社が軒並み点数を減らした。
出版社別に点数を見ると、KADOKAWA(96点減)、双葉社(52点減)、光文社(26点減)、スターツ出版(25点減)、祥伝社(21点減)、文藝春秋(18点減)、中央公論新社(12点減)と点数を減らした社が多かった。一方、文芸社(48点増)、ハーパーコリンズ・ジャパン(40点増)、東京創元社(25点増)、集英社(19点増)、オーバーラップ(14点増)などは増加した。21年に創刊された文庫は6シリーズだった。
返品率は同1・0ポイント減の34・3%で3年連続の改善。取次各社が返品改善策を年々強化するとともに、出版社も実績に見合わない部数を極力刷らないという取り組みが成果をあげている。初版・重版部数の抑制に加え、書店の規模別でのランク配本見直し、書店フェアの際のセット出荷を中止といった動きも返品減につながっている。
出回り平均価格は、同8円(1・2%)増の699円。新刊平均価格は同9円(1・3%)増の732円といずれも上昇した。既刊の価格改定や、レーベルごとの価格見直しなどを各社が実施したことと、印刷用紙の高騰もあり、価格の上昇傾向が続いている。このトレンドは、学術文庫だけでなくエンタメ小説やページ数が多い海外文芸などでも見られ、千円超のタイトルが増えつつある。また、ライトノベルでは、高価な限定特典を付けて定価が2千円から1万円以上もする特装版の刊行が増えていることも影響している。
POSデータで新刊と既刊の販売比率を調べると、21年は新刊45・3に対し既刊54・7となった。20年は新刊45・5で既刊54・5、19年は新刊48・2で既刊51・8となっており、ここ3年間は既刊の比率がじわじわと上昇している。21年に売れた既刊をみると、SNSでの紹介を機にブレイクしたケースが目立った。筒井康隆『残像に口紅を』(中央公論新社)は7月にインフルエンサーが紹介した動画が大反響を呼び、中公文庫版は8月以降、計14万3千部の増刷がかけられ累計34万7千部となった。名作文庫の売行きも伸び、サン=テグジュペリ『星の王子さま』、太宰治『人間失格』『斜陽』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、夏目漱石『こころ』などが20年に続いて堅調だった。
21年のベストセラーを見ると、9月末に緊急事態宣言が解除され映画の公開作品が一気に増えたため、映像化作品のヒットが前年よりも上位を占めた。最も売れた文庫は、瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(文春文庫、20年刊)で、10月公開の映画もヒットし82万5千部に伸ばした。このほか、東野圭吾『マスカレード・ナイト』(集英社文庫、20年刊、73万部)、中山七里『護られなかった者たちへ』(宝島社文庫、40万部)など、秋以降に映画公開の作品が大きく伸びた。また、辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ文庫、上下巻計60万部)、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮文庫、31万部)など、文庫化されたベストセラーが好調だった。時代小説は、佐伯泰英が引き続き高い人気を得ている。髙田郁、上田秀人など定番の人気作家に加え、井原忠政「三河雑兵心得」シリーズ(双葉文庫、20年~)が多くの読者をつかんだ。
21年のライトノベル(文庫本)の推定販売金額は同13・4%減の123億円。18~19年は2桁減となっており、20年は同0・7%減と健闘したが、21年は再び大きく落ち込んだ。ライトノベル単行本の販売金額はほぼ前年並みとみられ、電子を含めると市場はさらに拡大するため、文庫のみの市場では全体像を読み取れない状況にある。ライトノベル文庫の新刊点数は同5・6%(91点)減の1538点。新刊の平均価格は同9円(1・4%)増の674円。グッズ付き特装版の増加やレーベルごとの値上げが進み、上昇が続いている。

書店組合総会スケジュール

◆埼玉県書店商業組合「第38回通常総会」
5月19日(木)午後2時、さいたま市・埼玉書籍で開催。
◆石川県書店商業組合「第34期通常総会」
5月20日(金)午後2時、金沢市・金沢勤労者プラザで開催。

学校図書整備費予算化に役立つリーフレット作成/文字活字機構、学校図書館協議会など

文字・活字文化推進機構、全国学校図書館協議会、日本新聞協会、学校図書館整備推進会議は、2022年度からスタートした「第6次学校図書館図書整備等5か年計画」の周知を図り、各自治体で確実に予算化されるよう呼び掛けるため、リーフレット「心と考える力を育むために学校図書館の出番です」(A4判・16ページ)を4月に作成した。
リーフレットには、子どもの読書や学校図書館の現状、読書と学力の関係、必要な蔵書量などがまとめられている。各自治体へ向けて予算化請求するために必要な手立てなども記載している。
また、文字・活字文化推進機構、全国学校図書館協議会、学校図書館整備推進会議は、「学校図書館基本図書更新参考リスト」(A4判・20ページ)も作成した。学校図書館の基本となる図書の候補が日本十進分類法順にまとまっており、蔵書構成見直しの参考になる。
リーフレットと図書リストは、学校図書館整備推進会議のサイトからダウンロードできる(http://www.gakuto-seibi.jp/publish/index.html)。

雑協「雑誌作成上の留意事項」/「付録の形式・材質」で一部改訂

日本雑誌協会(雑協)は「雑誌協会報」4月号で、雑誌基準運営委員会が「雑誌作成上の留意事項2021年改訂版」を一部改訂したと発表した。同留意事項は、雑協のホームページ(https://www.j-magazine.or.jp/)で公開している。
「雑誌作成上の留意事項」は昨年大幅改訂し、「付録のかさ高の合計は3㎝以内とする」という規定を撤廃した。東京都書店商業組合の要請で同留意事項について意見交換会を行った際、「付録のかさ高制限」が撤廃されたことで、配達時にポストに入らない厚みの付録が出て業務に弊害が発生しているとの意見が出た。このため、同留意事項の10ページに記載する「付録の形式・材質項目6」において、「店頭の陳列も阻害しないよう考慮すること」としていた文言を、「小売店において、陳列時そして雑誌(本誌)自体に支障が起きぬ様、事前確認等を適宜実施し、付録梱包形状を考慮すること」へと変更した。

一時閉店を前に「巨大しおり」掲出/三省堂書店神保町本店

三省堂書店は、本社・本店ビル(東京都千代田区)の建て替えのため、神保町本店を5月8日をもって一時閉店したが、今回の一時閉店を100年先、200年先に書店という文化を残していくための挑戦と位置づけ、神保町本店の〝第2章〟が始まる前の区切りの象徴として、4月25日より同店の靖国通り側壁面に「巨大しおり」を掲出した。
巨大しおりには「いったん、しおりを挟みます。」と書かれ、同デザインのしおりの配布も行った。本店閉店後は、6月1日より千代田区神田小川町2-5(元・ヴィクトリアゴルフ御茶ノ水店ビル)の仮店舗で営業を開始、新店舗は2025年に再び神田神保町1-1で営業する予定。

受賞

◆第26回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)
マンガ大賞は、魚豊(うおと)氏『チ。―地球の運動について―』(小学館)が受賞した。新生賞は『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)と『今夜すきやきだよ』(新潮社)の谷口菜津子氏、短編賞はオカヤイヅミ氏『いいとしを』(KADOKAWA)と『白木蓮はきれいに散らない』(小学館)が選ばれた。特別賞は該当なしとなった。
◆2022年度第53回講談社絵本賞(講談社主催)
堀川理万子氏の『海のアトリエ』(偕成社)に決定した。
◆第75回日本推理作家協会賞(日本推理作家協会主催)
長編および連作短編集部門が芦辺拓氏『大鞠家殺人事件』(東京創元社)、短編部門が逸木裕氏『スケーターズ・ワルツ』(小説野性時代2021年2月号)、大山誠一郎氏『時計屋探偵と二律背反のアリバイ』(Webジェイ・ノベル2021年10月12日配信)、評論・研究部門が小森収氏『短編ミステリの二百年一~六』(東京創元社)に決定した。

相賀信宏専務が新社長に内定/相賀昌宏社長は取締役会長に/小学館

小学館は5月9日、相賀昌宏代表取締役社長が取締役会長に、相賀信宏専務取締役が代表取締役社長に就任する人事を同日開催の取締役会で内定したと発表した。
5月26日開催の定時株主総会及び臨時取締役会で正式決定する予定。

全国306自治体で電子図書館実施/電流協

電子出版制作・流通協議会(電流協)は4月25日、公共図書館で電子図書館(電子書籍サービス)を実施している図書館の資料を4月1日現在の情報に修正・更新し、ホームページ(https://aebs.or.jp/)で公表した。
全国で電子図書館サービスを実施している自治体数は計306自治体で、前回(22年1月)から34自治体増えた。また、電子図書館数は299館で34館増えた。普及率上位の自治体は、①大阪(40・9%)②山口(40・0%)③埼玉(39・1%)④東京(38・1%)⑤兵庫(35・7%)の順。全国平均の普及率は17・1%となっている。

学校図書館関係者が選んだ図書ランキング/日販図書館選書センター

日本出版販売(日販)は、図書館選書センターに2021年4月~22年3月に来場した学校図書館関係者が選書した図書のランキングを発表した。
セット部門(小・中学校)で1位となったのは、『SDGsのきほん未来のための17の目標(全18巻)』(ポプラ社)。上位20位のうち約半数がSDGs(持続可能な開発目標)関連図書となっており、昨年に続きSDGsへの関心の高さがうかがえる。
小学校の単品部門1位は『おすしやさんにいらっしゃい!生きものが食べものになるまで』(岩崎書店)、中学校の単品部門1位は『その話、諸説あります。』(日経ナショナルジオグラフィック社)だった。

「本屋のあとがき」/「現代の『市聖』は?」/ときわ書房本店文芸書・文庫担当宇田川拓也

東京国立博物館の特別展「空也上人と六波羅蜜寺」が5月8日までと知り、平日の休みを使って慌てて足を運ぶ。
関連のテレビ番組が放送された直後だったこともあり、会場は大盛況。なかでも展示の目玉である空也上人立像は、ひと際大勢のひとに囲まれていていささか怯んだものの、じりじりと歩を進め、ようやく間近でそのご尊体を拝むことができた。
開いた口の先に「南無阿弥陀仏」を表した六体の仏様が連なる極めてユニークな造形ゆえ、ご存知の方も多いに違いないこの立像。以前に京都でも目にしてはいたが、やはり見れば見るほど強く惹かれるものがある。
日本各地を巡り歩いていた空也上人が都に現れたのは、天慶元年(938)。地震や川の氾濫といった天災が続いたこの年以降、社会の混乱や疫病の蔓延など、とかく不安の絶えなかった民衆に終生寄り添い、「市聖」として大いに慕われた。
その事実をこの立像は、没後1050年を経てもなお揺るぎない説得力で、ひとびとに発信し続けている。
帰り道、現代に「市聖」と呼べる存在とは?と、つい考えてしまう。平安時代中期も、令和の世も、不安を抱え、救済を求める民衆がいることに変わりはない。個人的には、その役割を本が担ってくれているものと信じたい。
きっと本稿読者のみなさんが様々な形で関わった本が、今日もどこかで誰かに寄り添い、長い一日を乗り越え、明日につながる支えとなっているはずである。”