全国書店新聞
             

令和4年8月15日号

大阪でJPRO、BooksPRO説明会/書店現場で積極的な活用を

日本出版インフラセンター(JPO)、日本書籍出版協会大阪支部、京都支部は、JPOが運営する出版情報登録センター(JPRO)、書店向けポータルサイト「BooksPRO」の説明会を7月6日に大阪市北区の大阪市中央公会堂で開催した。JPROの書誌情報登録数は280万点を突破し、委託扱い新刊書籍の95%が発売前に情報登録されている。またBooksPROは近刊情報だけでなく販売促進情報の提供や注文サイトとの連携など、書店の販売に役立つ機能の拡充が進められている。説明会は出版社、書店、図書館関係者約200名が出席し、JPROの活用事例やBooksPROの活用法の紹介などが行われた。
説明会の冒頭で開会あいさつを行ったJPOの相賀昌宏代表理事(小学館)は「JPROは、出版社に書誌情報を登録してもらう形で進めており、データの早さや正確性、充実度を高めてきた。データを載せることによって自社の商品を正確に把握することができる。さまざまな活用法が生まれ、必要性を感じる方が増えて、日本の出版社は約3000社と言われる中、現在2400社以上がJPROに参加している。書店や出版社の皆さんには、本日の説明会で話を聞いて使ってみて、自分ならこうしたいという意見を伝えていただければありがたい。それによって新しく付け加える機能が出てくると思う」と活用を呼びかけた。
また、JPOが取り組む事業について「いろいろご意見をいただきながら対応していきたい。振り返ってみて、一見無駄に思えたことでも後で役立つことがあると実感している。そうしたことを大切にしつつ、これはそろそろどうだろうかというものは削ぎ落とす仕事をしていこうと考えている。ぜひ忌憚のないご意見、ご批判をお寄せいただきたい」と述べた。
日書連近畿ブロック会の深田健治会長(大阪府書店商業組合理事長、ブックスふかだ)は、読者から書店が受ける問い合わせについて言及し、「我々の知らない情報をお客様が知っていて、逆にこちらが教えていただくことがある。その本がいつ発売され、どれだけ配本されるかその段階では分からず返事ができないことが多い。お客様から得た情報を書店が分からないのは困った話で、店頭を通じてお客様へいろいろな情報を発信するのが本来の書店の役割だ」と指摘。
そして、「出版社も良い本を出す努力をしているが、我々書店にその情報がなかなか届かなかったり、書店が活かしきれていないことが結構あるのではないか。出版社からの情報を書店がうまく利用できるように、BooksPROを活用していきたい。情報とノウハウを共有しながら売上げを伸ばしていきたい」と意欲を語った。
【近刊情報、販促情報が充実】
JPOの田中敏隆JPRO管理委員長(小学館)は、JPRO発足から、書誌情報の内容を充実させて利活用を促進する「第2フェーズ」への進化、BooksPROのオープンなど、これまでの歩みを説明。JPROは出版業界の中核を担うインフラとして順調に成長しており、書店や取次に活用してもらうため、まず出版社自身が活用し、使い倒すことが一番重要だと指摘。出版社と取次と書店を結ぶ「マーケットイン」の入口となるのがBooksPROであり、情報の充実を図るため出版社は協力してほしいと求めた。
勝野聡JPROセンター長は、BooksPROの活用法について説明した。始めに、大阪府書店商業組合が組合員に「新刊書籍や販促の情報を得るときに困っている点」をアンケートした結果を紹介。「情報が伝わるのが遅く、お客様の問い合わせに答えられない」、「正確な発売日が不明」、「お店の規模やエリアによる情報格差が大きい」が上位にあがったとして、「BooksPROは、全国どこでも同じタイミングで同じ情報を誰もがいつでも見られて、情報格差の問題がないことが大きな利点。書店が情報に簡単にアクセスでき、分かりやすく見ていただけるように作った」とメリットを強調し、どのような情報が見られるのか画面を示しながら解説した。
BooksPROのトップページには発売予定日カレンダーが置かれ、その日の新刊の販売点数を表示。近刊情報は2ヵ月前から登録される。近刊も既刊も任意のキーワードでシームレスに検索できる。商品詳細ページでは、タイトル、ISBNコード、出版社、発売日、判型、定価などの基本情報のほか、表紙画像や内容紹介、著者略歴など具体的な内容が分かる。画像は6点まで登録できるため、中身を具体的に確認することもできる。また「ためし読み」の登録も可能。「s―book」「Webまるこ」「WebHotLine」「Bookインタラクティブ」「一冊!取引所」と連携し、これらの注文サイトで取り扱いのある商品はリンクバナーが表示され、当該サイトを通じて注文することができる。
昨年11月からは、定期誌と増刊の情報も出版社が直接登録できるようになり、雑誌の情報も詳しく見られるようになった。お客様からの問い合わせが多い付録についても、画像を確認することができる。
販促情報も充実しており、メディア化情報や、メディアでの紹介、新聞広告、受賞情報などを出版社から配信。販促情報は日々配信されており、現在は到着順に情報が並んでいるが、12月には販促情報の絞り込み検索を可能にする予定で、お目当ての情報が探しやすくなるとした。
続いて、書店業務支援システムの開発・販売を行う「本屋の村」のメンバーである奈良県書店商業組合の庫本善夫理事(庫書房)が、書誌情報に関するこれまでの苦労や情報整備に寄せる期待を語った。庫本氏は、「1980年代にISBNコードが付いて本を特定できるようになり、コードが分かれば間違えずに取り寄せてお客様に渡せるようになった。しかしISBNがあっても付随する書誌情報が整っていなくて困った。お客様が問い合わせてきた時に、書店が頭をひねって何とかしてISBNコードを探す時代が長かった」と振り返った。
そして、「BooksPROができて、書籍でも雑誌でもすぐに調べられるようになったが、まだデータが整っていないところがある。書店はBooksPROを使い倒し、『この情報が載ってないじゃないか』と声を出していくこと。出版社は、絶版本でも品切れ本でも、自社が出した本は全て登録してほしい。そして、『俺のところはこれ以上販促資料を出せない』というくらいきちっと情報を出してほしい」と訴えた。
400年以上の歴史を持つ法藏館の編集部・池澤智之氏は、JPROの利用事例を説明した。同社では社史『仏教書出版380年史』刊行を契機に、2016年に社内データベースの整理とJPRO導入に着手。4つのデータベースを統合し、JPROの仕様に合わせて情報の修正・補完を行い、書誌データベースを作り上げたという。JPRO導入のメリットについては、既刊の書誌情報を随時オンラインでメンテナンスできること、ホームページのリニューアルと同時にためし読みを実装したことなどを挙げた。また実践している既刊登録の方法について、新刊登録のついでに関連書をチェックし、未登録を見つけたら1冊でもいいので登録しているとし、「コツコツやっていけば確実に前進する」と話した。
【JPRO、BooksPROへの期待/注文に役立つ登録や検索項目の充実を要望】
このあと、兵庫県書店商業組合・森忠延理事長(井戸書店)、萌書房・白石徳浩社長、JPO・田中管理委員長、同・勝野センター長、日本書籍出版協会大阪支部・岡本功支部長(ひかりのくに)が登壇。JPROやBooksPROについて書店と出版社から質問や要望を発表、それに対する回答や解説が行われた。
森氏は書店の質問として始めに「出版社のホームページに書かれている内容紹介がBooksPROに記載されていないことがあった」と提起。
勝野氏は、「新刊を出したらルールとして書誌情報を入れなければいけないから登録しておくという意識の出版社もまだある」との認識を示し、「書誌情報を単にJPROに登録するのではなく、本の販売に結びつく販促情報も含めた情報をJPROに登録し、それらがBooksPROで見られるのだという意識が出版社にもっと浸透すれば内容もしっかり登録してもらえるようになる。啓蒙活動を一生懸命やっていきたい」と述べた。
森氏は続けて、「書誌情報は、書店が注文の判断に使えるような登録をしてほしい。既刊本は、何回刷ってどれくらい市場に出ているのか分かると注文しやすい。絵本などでミリオンになっているものは百何万部と出たりしているので入れてもらえたら使い勝手がいい」と要望した。
田中氏は「BooksPROの販促情報は基本的に30日で掲載が終了するので、『何刷まで来た』といった情報をどう扱うかは、お役に立てるのであれば何らかの方法を考えていきたい」、勝野氏は「登録項目として版数や部数を入れるのは難しいが、内容紹介のところで書いている出版社もある。本の内容を紹介するのがメインだが、書店に売っていただくためにそういう使い方もできると出版社に案内していくことも必要だと感じた」と答えた。
森氏は最後に「BooksPROで自店のお客様に合う商品を選ぶとき、ジャンルが大雑把だと検索結果の数が多く手間がかかる。ジャンルをもっと細分化してほしい」と注文。
田中氏は「BooksPROで情報を検索するためのキーワードである『JPROジャンル』は現行の大・中分類ジャンルに加え、小分類500項目を登録できるよう準備を進めている」と回答。
白石氏は出版社の立場として、「あまり細かくジャンルをくくってしまうと限定してしまうので、大雑把にしている面がある。1個に決めるよりは、他の棚にも置いて欲しいという趣旨だ」と指摘した。
田中氏はこれを受けて、「いま書店と出版社からうかがった両方のニーズがあるので、1つのコンテンツに『大ジャンル』+『中ジャンル』を最大3つまで登録できるようにしている。書店の棚を意識したジャンル分けになっており、うまく合わせて使っていただけると、ある程度実用性のある使い方、もしくは入力の仕方ができるのではないか」と述べた。
続いて、出版社からの質問として「2ヵ月前に書誌情報登録して、出版社にメリットがあるのだろうか」と提示した白石氏は、「2ヵ月前に登録するのは厳しく、不確かな情報を出したらいけないという考えがあったが、今日皆様のお話を聞き、書店のお客様対応を考えると、決まったことはできるだけ早く登録するよう心がけたい」と話した。
白石氏は続いて、「BooksPROを通して、特定の書店に販促をかけることはできないだろうか。部数が限られた学術図書を出版しているので、例えば特定の数百書店に、書誌情報とは別の情報を届けるようなシステムを作ってもらうことは可能か」と質問。
勝野氏は「JPROは、全ての出版社の書誌情報を全ての書店に公平に届けることを原則に進めているので、現状では特定の書店あるいは出版社に向けたものを想定していない。より書店の反応を知りたいということだと思うので、例えばある書誌情報に対する書店のアクセスがどのくらいか公開できるようにするとか、皆さんの意見を聞きながら使いやすいように考えていきたい」と述べた。
岡本氏は質疑の締めとして、「BooksPROの仕組みを使い、書店にもっと関心を持ってもらえる情報の流し方をしていくにはどうしたらいいか。例えば目次の内容をしっかり紹介することで、書店の検索に引っかかってくる。出版社が手を加えることでチャンスが広がってくると感じた。新刊は登録点数が増えても既刊本までなかなか手が回らない状況があるが、書店がBooksPROを頼りにしているというお話を聞き、私たち出版社が頑張って良い情報を届けてどんどん利用していただけるようにしたい」と話した。
最後に閉会あいさつで、日本書籍出版協会の樋口清一専務理事が「JPROは今後もより使い勝手の良いものにしていくが、インフラとは箱でありその中に何を盛るかは関係者が皆で進んでやっていかねばならないことだ。インターネットの普及で世の中が激変し、様々な手段で本が手に入るようになっている中で、JPROはリアル書店のビジネス、出版社のビジネスを守るための盾の1つであり、読者を増やしていく武器だと考えている」と述べ、説明会を終了した。

紙は7・5%減、電子は8・5%増/上半期の出版市場

出版科学研究所は7月25日、今年上半期の紙と電子を合算した出版市場規模(推定販売金額)が前年同期比3・5%減の8334億円だったと発表した。
紙の出版物(書籍・雑誌)は同7・5%減の5961億円。内訳は、書籍が同4・3%減の3526億円、雑誌が同11・8%減の2434億円だった。
電子出版は同8・5%増の2373億円。

「春夏秋冬本屋です」/「お客様が書いた本」/愛知・近藤商店代表取締役・近藤五三六

今回は、最近当店のお客様が本を書かれましたので、その宣伝です。
中小の書店であればほとんどのところが書籍、雑誌の配達をしていることと思います。当店も店の前にY字路の信号交差点が出来てからまったくと言っていいほど来店客が無くなってしまいましたが、元々教材屋として開業して主に小中学校への外商をしていたのでなんとか営業を続けてこられました。配達先で、特に年配の方から「配達料代わりに持って行って」と野菜やお菓子、お茶などをいただくことがあります。今までで一番困ったもらいものは大きな冬瓜でした(笑)。
その冬瓜をくださった元・中学校の英語の先生が本を書かれました。『初めての野菜づくりキッチンガーデン』です。退職してから元々の家業である農業を20年以上続けてこられましたが、大病を患い遺言代わりに書いたと笑って仰っていました(以前紹介しました図書館の会のLINEで紹介したところ、「中学生の頃の恩師だった」と買って下さった会員さんがいました。世間って狭いですね~)。
その先生、一昨年に英語の本も書かれています。こちらも元々は自費出版されるつもりでいたのですが、熱意のこもったお話に樹林舎さん(名古屋の版元さんです)が感銘し、それではもったいないとのことで一般書籍化して下さいました。装丁はペーパーバックなのですがお勧めしたい本ですので是非お手に取ってみて下さい。
どちらの本も人間社刊です。

来店客増加対策が喫緊の課題/県読書フェスティバルへ積極参加/茨城総会

茨城県書店商業組合は6月28日、水戸市の茨城県教科書販売で第36回通常総会を開催した。
総会は秋山誠二理事が司会進行。塚越通裕理事の開会の辞に続き、青天目敦理事長があいさつ。3年目に入ったコロナ禍について「感染拡大防止の徹底が求められる中、日常生活ではマスク着用や手指消毒が定着し、それと並行してテレワークやデジタル端末の活用も急速に浸透した。書店業界もIT化とDX化に真摯に向き合わねばならない」と指摘した。
また、書店の経営状況を改善するための喫緊の課題は「来店客の増加」として、茨城組合の取り組みについて茨城県読書フェスティバルへの参加、カフェ併設型県立図書館の視察、全組合員を対象としたキャッシュレス対応へのアンケート調査とその検証、春・秋の読者還元祭への参加について説明。組合活動の活性化を図っていくことを確認した。
続いて飯田浩一郎副理事長を議長に議事を進行。令和3年度事業報告、収支決算報告書、監査報告、令和4年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り可決した。
なお、総会冒頭、4月10日に亡くなった岡見正昭監事に哀悼の意を表し黙祷した。岡見氏の後任の監事として、選考委員会(池田和雄委員長他3名)は小濱智彦氏を選任し、承認された。

「本の日読書感想文コンクール」作品募集/岐阜県教販

岐阜県教販(木野村匡社長)は、県下の小中学生を対象とした「本の日読書感想文コンクール」を開催する。岐阜県教育委員会、日書連、岐阜県書店商業組合が後援。応募期間は9月1日~9月30日。入選者には賞状と図書カードを贈呈する。
同コンクールは、読書の感動を文章に表現することで豊かな人間性や自主性、考える力を育む。また、スクールイーライブラリー(小中高校向け電子書籍の定額制読書サービス)による新しい読書体験を通して、そのコンテンツの中から感想文を書いてもらう。今回で2回目となる。
対象図書は、図書館図書(学校図書館・公共図書館の蔵書)およびスクールイーライブラリーのコンテンツ。応募は図書館図書、スクールイーライブラリーそれぞれに1人1編ずつ。最優秀賞各15名に賞状と図書カード5000円分、優秀賞各15名に賞状と図書カード3000円分、入賞各50名に図書カード1000円分を贈る。入選者発表は「本の日」の11月1日に岐阜県教販ホームページ(http://www.gifukenkyohan.co.jp/)で行う。

学校図書館との関係深め拡販図る/岐阜組合総会

岐阜県書店商業組合は6月29日、岐阜市の岐阜県教販で第39回通常総会を開催し、組合員28名(委任状、書面議決書含む)が出席した。コロナ感染防止のため、会場出席した理事4名、監事1名と少数にとどめた。
総会は富田茂副理事長の開会あいさつに続き、木野村匡理事長があいさつ。書店業界の動向と今後の展望に触れ、「世界的なインフレ、コロナ禍で加速するデジタル化の中、15年ぶりに紙書籍が増加に転じたのは紛れもない事実で、是非ともこれを活かしたい。少子化と言われるが、学校および学校図書館との関係を深め、拡販につなげていきたい」と述べた。
続いて議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認。役員改選では理事全員を再任し、後日理事会で役職を決定することとした。
(事務局・大橋麻紀子)

電子図書館化進んでも「地元書店から納入を」/古泉理事長が訴え/鳥取総会

鳥取県書店商業組合は6月24日、琴浦町の琴浦町生涯学習センター(まなびタウンとうはく)で第34回通常総会を開き、組合員16名(委任状含む)が全員出席した。
古泉淳夫理事長(鳥取今井書店)はあいさつで、「いまだコロナ禍ではあるが、日書連の会に出席できる機会が増え、今後の理事会なども通常に戻りつつある。図書館委員会では、TRCが電子雑誌をリリースしたという情報があった。幸い鳥取県では皆さんの頑張りで地元書店が各図書館に出入りできているが、今後電子図書館化が進むとTRCが書籍も雑誌も入っていく可能性もあり、注視していきたい。継続して地元書店から納入できるよう組合からも働きかけ、地産地消となるよう努める。地域の文化を守ることを念頭に、引き続き活動していただきたい」と述べた。
古泉理事長を議長に審議入りし、令和3年度事業報告、収支決算報告、令和4年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
総会終了後、組合員研修として鳥取県中小企業団体中央会の支援で地元の税理士による「インボイス制度の概要及び対応のポイント」の解説を聞いた。多くの質疑が交わされ、有意義な研修となった。
(津田千鶴佳広報委員)

日書連のうごき

7月5日 雑誌コード管理委員会(Web)に事務局が出席。
7月6日 JPO運営幹事会に事務局が出席。
7月13日 秋の読書推進月間記者会見に矢幡会長が出席。
7月15日 出版平和堂小委員会に事務局が出席。子どもの読書推進会議総会に春井副会長が出席。
7月20日 全国書店再生支援財団理事会に髙島、平井両理事が出席。
7月21日 JPO運営委員会(Web)に事務局が出席。
7月26日 読書推進運動協議会常務理事会に矢幡会長が出席。
7月27日 文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。公取協会月例懇談会に矢幡会長、渡部副会長が出席。
7月29日 出版平和堂委員会、平和堂維持会に事務局が出席。

6月期は前年比13・7%減/前年コミック好調の反動続く/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの6月期店頭売上は前年比13・7%減だった。雑誌は週刊誌が前年超えとなったものの全体では前年割れが続く。書籍は全ジャンルで前年を下回った。コミックは前年同月が複数の人気作品の発売と重なった影響もあり、前年を大きく下回った。
雑誌は同7・0%減。週刊誌は、BTSが表紙の「anan」と山下達郎が表紙の「BRUTUS」(ともにマガジンハウス)に加え、「隔週刊スター・ウォーズスターシップ&ビークル・コレクション」(デアゴスティーニ・ジャパン)など分冊百科が好調で、前年を上回った。
書籍は同11・7%減。実用書は『乃木坂46賀喜遥香1st写真集まっさら』(新潮社)、新書は和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎)や『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)が好調だった。
コミックは22・4%減。雑誌扱いコミックは「東京卍リベンジャーズ28」(講談社)、書籍扱いコミックは『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される10』(KADOKAWA)などが売上を伸ばした。

地域に必要とされる書店作る/創意工夫で生き残り/福島総会

福島県書店商業組合は6月25日、郡山市の郡山商工会議所で第38回通常総会を開催した。昨年度はコロナ禍の1年で、組合業務が半減し、ほとんどの行事が中止または縮小となった。今年の総会は感染状況を見ながら開催。久しぶりに一堂に会し、組合員49名(委任状含む)が出席した。
はじめにあいさつした鈴木雅文理事長(昭和堂書店)は、「書店経営は原油高による電気料金、諸物価の高騰で経費がかさみ、ますます厳しい状況になっている。出版業界は書店の粗利益確保のため買切による施策などを実施し、書店を応援していこうという動きも出ている。また、コロナ禍で売上が減少した事業者を支援する地域クーポンをはじめ様々な補助金は積極的に活用していただきたい」と述べ、「この苦境はチャンスと心得て、地域に根差し、地域に必要とされる書店作りをして、創意工夫で生き残っていこう」と呼びかけた。
続いて鈴木理事長を議長に議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決した。(大内一俊広報委員)

新会長に河村建夫・前衆議院議員/文字・活字文化推進機構

文字・活字文化推進機構は第49回通常理事会で阿刀田高会長が辞任し、後任に同機構顧問の河村建夫・前衆議院議員が就任した。また、第34回定時評議員会、第50回臨時理事会で役員の一部改選を行い、以下の通り役員体制を決定した。○印は新任、50音順、7月11日現在。
[役員]
▽会長=○河村建夫(前衆議院議員、学校図書館議員連盟顧問)
▽理事長=山口寿一(日本新聞協会理事、読売新聞グループ本社代表取締役社長)
▽副理事長=丸山昌宏(日本新聞協会会長、毎日新聞社代表取締役会長執行役員)、相賀昌宏(日本書籍出版協会副理事長、小学館取締役会長)
▽専務理事=○町田智子(文字・活字文化推進機構事務局長、歴史民俗博物館振興会理事)
▽理事=足立直樹(凸版印刷特別相談役)、○五十嵐博(日本広告業協会理事長、電通グループ代表取締役社長執行役員CEO)、一力雅彦(日本新聞協会副会長、河北新報社代表取締役社長)、伊藤雅俊(日本アドバタイザーズ協会理事長、味の素特別顧問)、小川恒弘(日本製紙連合会理事長)、北島義俊(大日本印刷代表取締役会長)、○北島義斉(日本印刷産業連合会会長、大日本印刷代表取締役社長)、○近藤敏貴(日本出版取次協会会長、出版文化産業振興財団理事長、トーハン代表取締役社長)、中村史郎(日本新聞協会副会長、朝日新聞社代表取締役社長)、長谷部剛(日本新聞協会理事、日本経済新聞社代表取締役社長)、堀憲郎(日本歯科医師会会長)、堀内丸惠(日本雑誌協会理事長、集英社代表取締役会長)、矢幡秀治(日本書店商業組合連合会会長、真光書店代表取締役社長)、山本信夫(日本薬剤師会会長)
▽監事=北村哲男(弁護士)、能勢正幸(公認会計士)
▽顧問=銭谷眞美(元文部科学事務次官、新国立劇場運営財団理事長、全国学校図書館協議会会長)
[評議員]
▽評議員会会長=瀧野欣彌(元内閣官房副長官、元総務事務次官、地方財務協会会長)
▽評議員=秋田喜代美(学習院大学文学部教授、東京大学名誉教授)、飯塚浩彦(産経新聞社代表取締役会長)、大垣守弘(書店新風会会長、大垣書店代表取締役会長)、大島宇一郎(日本新聞協会理事、中日新聞社代表取締役社長)、岡本光晴(日本児童図書出版協会会長、あかね書房代表取締役社長)、○奥村景二(日本出版取次協会副会長、日本出版販売代表取締役社長)、奥村傳(NPO法人絵本文化推進協会理事長)、小峰広一郎(小峰書店代表取締役社長)、設楽敬一(全国学校図書館協議会理事長)、林明夫(開倫塾代表取締役社長)、堀川照代(放送大学客員教授)、山根基世(アナウンサー)

常務に齊藤貴氏/トーハン

トーハンは6月29日開催の定時株主総会ならびに取締役会で、次の通り役員人事を決めた。◎印は昇任、○印は新任。
代表取締役社長
近藤敏貴
代表取締役副社長・副社長執行役員(社長補佐、仕入部門管掌、営業本部長兼商品本部長)川上浩明
取締役副社長・副社長執行役員(総務人事部門・物流部門・渉外管掌)
田仲幹弘
専務取締役・専務執行役員(営業本部副本部長、西日本支社担当、東海近畿支社長)豊田広宣
同・同(複合事業本部長、海外事業部門担当兼広報担当)小野晴輝
同・同(経理・取引部門担当兼不動産事業部門担当)
松本俊之
常務取締役・常務執行役員(情報システム部門担当兼物流部門担当、プラットフォーム事業部長)
高見真一
同・同(経営戦略部門担当兼グループ書店事業部門担当兼関係会社担当)
大西良文
同・同(営業本部副本部長、市場開発部門担当兼特販首都圏支社担当兼東日本支社担当)堀内洋一
同・同(商品本部副本部長、営業統括部門担当兼図書館事業部門担当)
◎齊藤貴
取締役・上席執行役員(CVS部門担当)塚田達夫
同・同(複合事業本部副本部長)渡辺勝也
同・同(特販首都圏支社長兼特販第二部長)
池邉友彦
同・同(情報システム部長)○青木亮二
取締役(非常勤)
鈴木敏文
社外取締役(非常勤)
赤尾文夫
同(同)柴野京子
監査役(常勤)藤原敏晴
同(同)○山下康治
監査役(非常勤)
相賀昌宏
同(同)岩瀬徹
執行役員(東海近畿支社副支社長兼名古屋支店長)
金子俊之
同(取引部長)小寺勉
同(グループ書店事業部長)高田聡
同(経営戦略部長)
渡部弘之
同(総務人事部長)
木原篤
常勤監査役・本川幸史氏は退任した。

新役員体制を決定/協和出版販売

協和出版販売は6月29日開催の株主総会ならびに取締役会で次の通り新役員体制を決定した。
代表取締役社長
貝沼保則
常務取締役川島桂
取締役三浦敏
同大西良文
監査役藤原敏晴

五十嵐太右衞門理事長を再任/山形組合総会

山形県書店商業組合は7月26日、山形市の山形県教科書供給所で第35期通常総会を開催し、組合員24名(委任状含む)が出席。役員改選で五十嵐太右衞門理事長(八文字屋)を再任した。
総会は五十嵐勇大専務理事(山形県教科書供給所)の司会で進行。はじめにあいさつした五十嵐太右衞門理事長は「ここ数年、コロナ禍で書面議決の年度が続いたが、今年度はリアル開催に舵を切った。コロナ禍や戦争により、店舗では電気代、外商店ではガソリン代といった必要経費の値上がりが襲いかかっている。外的環境の変化に対応しながら、書店のあり方を模索していかなければならない」と述べた。
五十嵐太右衞門理事長を議長に選出して議案審議を行い、令和3年度事業報告、決算報告、監査報告、令和4年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
役員改選は選考委員による指名推薦方式で行い、理事8名(うち再任4名)、監事2名(再任2名)を承認した。
このあと開いた理事会で、五十嵐太右衞門理事長、五十嵐勇大専務理事を再任した。
(五十嵐勇大広報委員)

6月期販売額は10・8%減/書籍、3ヵ月連続で返品増/出版科研調べ

出版科学研究所調べの6月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比10・8%減となった。内訳は書籍が同10・2%減、雑誌が同11・4%減といずれも2桁減となった。書籍は店頭販売の不振が続き、4月期以降、3ヵ月連続で返品が増加。雑誌は月刊誌が2桁減となる一方、週刊誌はプラスに。6月15日発売の「anan」(マガジンハウス)がBTS特集で完売店が相次いだ影響や、週刊誌の返品率が減少傾向にあることも大きい。
書店店頭の売上げは、書籍が約10%減。いずれのジャンルも苦戦する中、前年激減していた地図・ガイドのみが『地球の歩き方ムー』(学研プラス)のヒットで2割増に。新書は約2%減だが、その中で和田秀樹のシニア向け教養新書の伸びが著しい。
雑誌の売上げは、定期誌が約8%減、ムックがほぼ前年並み。ムックは「るるぶ」(JTBパブリッシング)や「まっぷる」(昭文社)など旅行ガイドが好調。コミックスは約22%減。前年の反動が続くが、『東京卍リベンジャーズ』(講談社)や『キングダム』(集英社)の新刊、『SPY×FAMILY』(集英社)の既刊をはじめ、好調なタイトルも多い。

笑喜転一頁師匠(兵庫組合・森理事長)落語会

井戸書店・森忠延社長(兵庫県書店商業組合理事長)こと笑喜転一頁師匠による童心社寄席「秋の森さん落語会」が9月14日午後7時、東京・文京区の童心社本社紙芝居ホールで開かれる。リアル開催は3年ぶり。
落語は笑喜転一頁師匠の「井戸の茶碗」をはじめ豆乃家光笑師匠の「わいの悲劇」、水遊亭かめこ師匠の「ちりとてちん」の3席。また、椎野みちこさんと田中正美さんによるギターと紙芝居「おとうさん」を上演する。
問い合わせ・申し込みは、メール=mishima.tigers1951@gmail.com、横井真木雄氏まで。

「本屋のあとがき」/「気になる表現」/ときわ書房本店文芸書・文庫担当宇田川拓也

たまたま目に入った、ある記事のタイトルに「~に勝ち筋はあるのか」とあり、首を傾げる。そこは〝勝ち目〟ではないのか?自分では用いない表現なので、ネットで検索してみると、ゲームや企業案件の文章で使われていることが多いようだ。
さらに気になったので、周囲に問いを投げ掛けてみると、「囲碁将棋に関する文章なら違和感もなく誤用ではないのでは」、「〝死に筋〟は囲碁将棋でも聞いたことがあるが、〝勝ち筋〟は昔からあった言葉なのだろうか」、「二十年ほど前から囲碁将棋以外でも〝無理筋〟とあわせて使われ始め、弁護士のあいだでもよく使われている印象」といった意見が返ってきた。
ほほう。早速「弁護士・勝ち筋」で検索してみると、確かに弁護士の方のブログに、〝勝ち筋〟〝負け筋〟が業界内でよく使われている言葉だと紹介されていた。いやあ、世のなかには知らないことがまだまだいっぱいあり、教えてもらう愉しさは尽きることがない。
言葉とは売り場の本棚や平台と同じく、利用されればされるほど変化していくものだ。それを乱れとして捉える向きもあるだろうが、個人的には取り立てて問題視する気はない。どうしたって変化するのだから、いちいち憤るより、その流れを観察する方が興味深い。
ただし、その変化の波に乗るかは話が別だ。自分なら、やはり〝勝ち筋〟よりも〝勝ち目〟を使う。こうした、あえて選んで使いたい言葉が、みなさんにもあるだろうか。