全国書店新聞
             

令和4年9月15日号

秋の読者還元祭2022/事前告知用店頭ポスター、全国書店に発送

日書連は9月中旬、「秋の読者還元祭2022」の事前告知用店頭ポスターを日本図書普及の定期発送物に同梱して全国の書店に発送した。
「読者還元祭」は、「書店くじ」に替わる新たな店頭活性化・販売促進策として、昨春からスタート。今回も「本の日」図書カードプレゼントキャンペーンとの合同企画として規模を拡大して実施する。11月1日の「本の日」をはさみ、10月27日~11月23日の「秋の読書推進月間(仮称)」の期間、書店店頭に掲示された応募用ポスターまたはキャンペーンしおりのQRコードを読み取って応募すると、抽選で200名に「図書カードネットギフト」1万円、500名に同3000円、1500名に同1000円が当たる。
なお、QRコードを掲載した応募用ポスターは10月下旬、こちらも日本図書普及の定期発送物と同梱で送付する。
店内の目立つ場所に貼って、キャンペーンを盛り上げていただきたい。

「菊池雄星文化プロジェクト」に今年も協力/岩手組合総会

岩手県書店商業組合は7月29日、矢巾町のIwakyoで第33回通常総会を開催し、組合員34名(委任状含む)が出席した。今年も新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、議決書提出の書面総会とした。
はじめに玉山哲理事長(東山堂)を議長に議案審議。令和3年度事業報告、決算報告並びに監査報告、令和4年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業計画では、「菊池雄星文化プロジェクト岩手読書感想文コンクール」(主催=岩手日報社、日報岩手書店会)に今年も協力することを決めた。このプロジェクトは、球界随一の読書家として知られる岩手県出身のメジャーリーガー、トロント・ブルージェイズで活躍する菊池雄星投手が「1人でも多くの子どもたちに1冊でも多くの本を読んでほしい」との思いから3年続けて協力しているもの。菊池投手が一次審査通過作すべてに目を通し、特別賞を選定する。
このほか、地域密着型の図書館整備促進事業の取り組みなどを実施する予定であることが報告された。
役員改選では理事全員が留任となった。
(小原玉義広報委員)

衛藤征士郎、岩屋毅両議員に書店議連加入を要請/大分組合

大分県書店商業組合の二階堂衞司理事長(二海堂書店)と大隈智昭広報委員(おおくま書店)は、8月3日に大分3区選出の岩屋毅衆議院議員、8月6日に大分2区選出の衛藤征士郎衆議院議員の事務所を訪問。県内書店の現状を説明し、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)への加入を要請した。これに対し、両議員は早急に加入手続きをとると返事した。(大隈智昭広報委員)

読書週間標語「この一冊に、ありがとう」

読書推進運動協議会(野間省伸会長)の主催により、文化の日を中心に10月27日から11月9日まで実施される第76回読書週間の標語が「この一冊に、ありがとう」に決まった。全国優良読書グループ表彰や野間読書推進賞贈呈式などの行事が行われる。

年末年始スタンプラリー、図書館との相互送客で効果/奈良組合総会

奈良県書店商業組合は8月4日、橿原市の橿原オークホテルで第38回通常総会を開き、組合員21名(委任状含む)が出席した。
総会は川岸泰子理事(ベニヤ書店)が司会進行。林田芳幸理事長(啓林堂書店)のあいさつの後、森谷勝則副理事長(森谷書店)を議長に議案審議を行い、第37期(令和3年度)の事業報告、決算報告、監査報告、第38期(令和4年度)の事業計画案、予算案を原案通り承認可決した。
林田理事長は事業報告で、年末年始のスタンプラリーでは参加図書館が増え、異なったスタンプ4つを集めた人も増加したと報告。「相互送客の効果を実感した」と述べた。
また、長年の懸案だった公立図書館と学校図書館への図書納入拡大のための障碍者施設へのブックコート委託が本格化したことも報告した。
引き続き、大阪府書店商業組合の深田健治理事長(ブックスふかだ)が「これからの書店のDX―BooksPROの活用など」をテーマに講演した。
総会終了後、版元や取次ら19名が加わって、3年ぶりに懇親会を開催した。林田理事長は「書店に足を運んでいただけるよう知恵を出し合おう。書店をこれ以上減らしてはならない」と結束を呼びかけた。
(靏井忠義広報委員)

「絵本ワールド」3年ぶり開催へ/兵庫組合

絵本ワールド2022inひょうご(兵庫県書店商業組合主催)が10月8日、神戸市須磨区の須磨寺青葉殿講堂で開催される。コロナの影響で3年ぶりの開催となる。
当日は絵本作家の山本孝さんと青山友美さんのサイン会、くらのうさとこさんによる身近な紙でのラッピング教室のほか、お話し会や紙芝居など多彩な企画を用意している。入場無料。
後援には日書連をはじめ子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、神戸新聞社が名を連ねる。

鹿児島組合、認知症関連書籍のフェア開催/認知症を理解する県民週間を実施

鹿児島県書店商業組合(楠田哲久理事長)は、鹿児島県くらし保健福祉部とタイアップして認知症フェアを開催している。
鹿児島県は9月21日の世界アルツハイマーデーを含む9月18日から24日までを「認知症を理解し一緒に歩む県民週間」としており、それに合わせて認知症に関する書籍10点を選定し、組合員のうち49店舗でフェアを開催。この県民週間は平成30年から始まり今年で4回目となるが、県組合は1回目から協力している。65歳未満の若年性認知症もあることから高齢者だけでなく中年以上の方に好評で、店頭の活性化に役立っている。(和田豊広報委員)
[認知症関連書籍]
『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』文響社、『認知症が進まない話し方があった』青春出版社、『認知症世界の歩き方』ライツ社、『マンガでわかる!認知症』リベラル社/星雲社、『70歳からのボケない生き方』きずな出版、『最高の脳活大全』文響社、『図解鎌田實医師が実践している認知症にならない29の習慣』朝日出版社、『いちばんわかりやすい運転免許認知機能検査対策ブック』成美堂出版、『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』自由国民社、『認知症パンデミック』筑摩書房

「春夏秋冬本屋です」/「もう一回、読んで!」/福岡・麒麟書店常務・森松恵美

絵本に関するご相談で、子どもが同じ絵本ばかりを「もう一回、読んで!」と持ってくる。他の絵本もあるのに…。という子育て中のママの声がある。私は「それで、大丈夫です」とお答えしている。子どもにとって、ママから大好きな絵本を読んでもらうことは、最高の時間。お気に入りの一冊に出逢えることで、幼少期の気持ちが安定することもある。4、5歳にもなれば、少しずつ自分で読み進めながら新たな発見もする。同じ絵本を何度も読むって素晴らしい。
「絵本好きな子どもにするには、どうしたらいいの?」こんな質問もある。私は「ママが無理しないことです」とお答えしている。まちの読み聞かせ会に行って、他人の声に頼るのも良し!疲れた夜には絵本を置いて、今日楽しかったコトをお喋りしながら寝るのも良し!子どもがグズッた時は、お気に入りの絵本を一緒に読めば良し!いまの私は、そんな風に絵本のある子育てをしている。
本屋さんに立ち寄り楽しく絵本を選ぶママの姿や、お膝の上で幸せな時間を作ってくれるママを、いつも子どもは一番近くで見ている。絵本に触れるちょっとした日常の積み重ねが「絵本好き」に繋がるはず。そして「もう一回、読んで!」この言葉が出たら、その子はすでに絵本の虜。素敵な魔法にかかっている証拠。ぜひ、何度も何度も読んであげてほしい。

第11回「書店大商談会」10月3日、出版クラブで開催/規模限定し午前・午後の2部制

第11回「書店大商談会」が10月3日(月)に東京・千代田区の日本出版クラブホール及び会議室で開催される。同実行委員会(矢幡秀治実行委員長=日書連会長、東京都書店商業組合理事長)が主催。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となる。
コロナ禍が続く中、小規模でも出版社と書店との商談・名刺交換の場を提供しようという主旨で開催するもの。今回は商談会限定パンフレット(紙版)の制作は行わない。
大商談会は、10月3日の午前(10時~14時)と午後(14時半~18時半)の2部制で、午前と午後では出展社を別にして開催する。出展社は9月9日現在で71社が決定。ジャンルは一般書(ビジネス書含む)と児童書。今回は規模を限定するため、書店アンケートと過去の出展実績を踏まえて出版社に案内を送付した。書店への事前周知については、取次からメール等で案内する。

総会に向け決算報告書、収支予算案を審議/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)は7月29日、横浜市中区の横浜市社会福祉協議会会議室で定例理事会を開催した。
報告事項では、中小企業団体中央会の会合に出席した松信理事長から報告があった。当節の厳しい経営環境から、キャッシュレスサービスの手数料を改善できないかという意見が各団体から示され、中央会に前向きに検討してもらうことにしたと説明した。
広報委員からは、10月に東京で開催する全国広報委員会議に参加する予定と発表した。
議事では、令和3年度決算について貸借対照表・損益計算書・剰余金処分案と、令和4年度収支予算案が読み上げられ、いずれも承認した。また、県下4店舗の閉店などに伴う組合脱会の件、続いて新年度の役員改選案が示され、2件とも承認した。
8月開催の通常総会は、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を鑑み、規模を縮小して行うことを決めた。
(山本雅之広報委員)

訂正

9月1日号3面の寄稿「地元の活動を紙面で全国にPR」で、「当時の山根金蔵理事長」とあるのは、「山根金造理事長」の誤りです。お詫びして訂正します。

東京組合中野杉並支部の4書店/特別支援教育書のブックフェア開催/版元8社が出展、トーク会も実施

東京都書店商業組合中野杉並支部の4書店(江藤書店、今野書店、秀文堂、信愛書店=幹事社)で構成する「特別支援教育ブックフェアの会」は、発達障害や性教育について学校現場や相談窓口で対応に悩む先生たちを応援し、選書に役立ててもらおうと、8月6日に東京・杉並区の阿佐ヶ谷地域区民センターで「本の力で教室に元気を」と題する特別支援教育書のブックフェアを開催した。杉並区教育委員会が後援。
会場では、出版社8社(明石書店、医学書院、かもがわ出版、子どもの未来社、合同出版、大和書房、農山漁村文化協会、協同医書出版社)が出展し、お薦めの本をアピールした。
また特別企画としてトーク会を開催。教育実習生向けにオンラインで性教育プログラムを提供する「もあふるオンライン教育実習」の竹之内大輝共同代表と、運営メンバーで自身も聴覚障害を持つ奈良佳織氏、元杉並区立保育園園長で、現在はNPO法人「むさしの児童文化協会」で童話の口演活動に取り組む橋爪邦子氏が出席した。
トーク会の冒頭で、信愛書店の原田直子氏があいさつ。原田氏は特別支援教育について、「学校の先生たちがとても苦労しているという話がたくさん報道され、本屋として先生の役に立つ本をもっと紹介したい、本を使って元気な学校を作ってほしいと思いフェアを準備した」と意図を説明。「もあふる」の活動を新聞で見て、「学校では正式な授業として扱われていない性教育を何とかしようと、先生たちが一生懸命研究し取り組んでいることに感激した」と述べた。
竹之内氏は、教員になる前に性教育について学ぶ機会を得られた方がいいと考え教育実習プログラムを作ったと説明し、「子どもに教えるのかどうかの議論は賛否があるが、知識と視点を持つことは大切だ。自分の考えを押し付けず、子どもたちの話を聞き、興味を持つことを受容して居場所になってあげることを考えている」と語った。
特別支援学校(聴覚)で教員をしている奈良氏は自身がFtM(身体的性が女性で性自認が男性)であり公表することには葛藤があったが、生徒たちは真剣に受け止め、「そういう人もいるんだと、男女は関係なく人として接してくれてうれしかった」と話した。
橋爪氏は、「ジェンダーや性教育の問題を話し合えるこのような会がたくさん開かれるようになってほしい」と述べて、広島への原爆投下を題材にした絵本『おこりじぞう』を口演した。

ブックフェスタしずおか10月に開催/県内各地でイベント/静岡県組合が協力

「みんなの図書館さんかく」を運営する一般社団法人トリナス(静岡県焼津市)は、静岡県立中央図書館、静岡県書店商業組合の協力で、静岡県ではじめての「ブックフェスタしずおか」を10月1日から同31日まで開催する。
ブックフェスタでは、コアイベントとしてグランシップ静岡(静岡市駿河区)で、全国各地で本に関する活動を展開する多彩なゲストを招きトークセッションを開催。県東部・中部・西部の各地域でも本に関するトークショーを開催する。また、10月中は静岡県内市町立図書館を中心に関連イベントを実施。イベントが一過性のものとならぬよう、アーカイブとして記念書籍を発行する。イベントの内容は以下の通り。
〈コアイベント〉
10月22日(土)10時~16時、グランシップ静岡で開催。①ぶっ通しトークショー=様々なテーマでトークセッションを開催。②ブックマルシェ=新刊・古本の販売、ワークショップ、読み聞かせなどが出店。
〈東部イベント〉
10月16日(日)14時から2時間程、みんなの図書館さんかく沼津(沼津市)で開催。演題「町に本屋がある風景~これから~」。講師は高久書店店主の高木久直氏。
〈中部イベント〉
10月29日(土)13時半~15時半、静岡県立中央図書館講堂(静岡市駿河区)で開催。演題「『耳をすます』~子どもと本の架け橋として~」。講師は福音館書店編集者・児童文学作家の斎藤惇夫氏。
〈西部イベント〉
10月9日(日)14時~16時半、ひと・ほんの庭にこっと(磐田市)で開催。演題「まち育てのライブラリーをつくる~そもそも図書館が果たす役割ってなに?~」。講師は京都橘大学教授の嶋田学氏。
ブックフェスタしずおかの詳細は公式ホームページ(https://bookfesta-shizuoka.com/)へ。

第17回大人の塗り絵コンテスト作品募集/河出書房新社

河出書房新社は、第17回「大人の塗り絵コンテスト」の作品募集を開始した。応募期間は12月1日まで(必着)。
コンテストは、河出書房新社の「大人の塗り絵」シリーズから好きな絵柄を選び、好きな画材で塗って応募する。参加費無料。入賞・入選者には自身の作品をプリントしたオリジナルバッグを進呈する。
結果は2023年2月上旬、読売新聞紙上、公式サイトで発表予定。入賞・入選作品は全点、渋谷Bunkamuraギャラリー(東京・渋谷区)、西宮市立北口ギャラリー(兵庫・西宮市)で開催される「大人の塗り絵コンテスト展覧会」で展示する。
河出書房新社主催、読売新聞東京本社広告局共催、サクラクレパス/北越コーポレーション/ユーキャン協賛。今年も日書連が協力する。

新社長に永井真士氏/昭和図書

昭和図書は7月28日の定時株主総会で、永井真士氏が代表取締役社長に昇任するなどの新役員体制を決定した。◎昇任、○新任。
代表取締役会長
◎友弘亮一
代表取締役社長
◎永井真士
専務取締役(全体統括・営業担当)◎田貝裕之
取締役(業務統括)
岩﨑満
同(総務・経理担当)
坂本美香
同(業務・事業開発担当)
○西﨑充
同(非常勤)隅野叙雄
同(同)佐野明夫
監査役(非常勤)
田中敏隆
山田貴芳取締役は顧問に就任。

日販出版流通改革レポートVol.4/書店マージン改善計画通り進行/PPIプレミアム参加書店で27・9%に

日本出版販売(日販)は7月13日、出版流通改革の6月までの取り組みをまとめた「出版流通改革レポートVol.4」を公表。同社が取り組む低返品・高利幅スキーム「PPIプレミアム」は、参画書店の平均マージンが27・9%とマージン改善が進捗、参画シェアも拡大し、ともに計画通り進んでいることを明らかにした。
「PPIプレミアム」は、出版社・書店・日販の3者での密なコミュニケーションのもと売上拡大・返品削減を実現し、そこで得られたプロフィットをもとに、書店に高利幅のマージンを還元する施策。参画書店の平均マージンは27・9%で、施策を開始した19年3月時点と比較して1・3ポイント改善した。先行して参画したグループ書店では28・4%となり、23年度の目標であるマージン30%に向けて着実なマージン改善がみられる。
書籍粗利改善の参画出版社は、4月に新たに明日香出版社、アルク、集英社、ベレ出版、三笠書房、フランス書院の6社が加わって26社になり、TSUTAYAの7掛けスキームも含めた出版社参画シェアは36・8%となった。7月に池田書店が参画、10月以降も複数の出版社の参画を予定する。
書籍粗利改善の参画書店は前回発表と同じ11法人(グループ書店3法人含む)だったが、一部法人で店舗を拡大。TSUTAYAの7掛けスキームも含めた書店参画シェアは41・2%となった。7月以降に9法人が参画する。
参画書店のPOS前年比・返品率を全国動向と比べると、グループ書店3法人のPOS実績は前年比2・5%減で全国動向差4・9ポイントのプラス、返品率は23・2%で同8・4ポイントのマイナス。21年10月に参画した7法人では、POS実績が前年比4・0%減で全国動向差0・3ポイントのプラス、返品率は18・6%で同14・3ポイントのマイナスとなっており、返品削減に大きな効果が出ている。
雑誌では、TSUTAYAとMPDが先行して進めていた時限再販・非再販の雑誌を返品不可・買切扱いとし、書店マージンを高める施策の取り組みを開始した。契約点数は出版社50社193点で、TSUTAYAに加え日販グループ書店2法人が参加。今年2月発売の施策対象誌の売上率は、割引開始から3ヵ月で約90%となり、3%以上のマージン改善がみられた。
8月からは、デジタル印刷技術の活用を合わせ、ネットワーク上で出版社・書店・取次の在庫連携を進める「ネットワーク在庫」のスキームを稼働。注文品の出荷率を90%以上にして店頭の欠品を防止し売上拡大を図るもので、まずポプラ社とスキームを開始する。

7月期は前年比9・4%減/雑誌・書籍・開発品は回復傾向/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの7月期店頭売上は、コミックは厳しい状況が続くが、雑誌・書籍・開発品は1桁減まで回復し、全体では前年比9・4%減となった。全体で1桁のマイナスにとどまったのは今年4月以来3ヵ月ぶり。
雑誌は6・7%減。月刊誌は「GLOW2022年8月号」(宝島社)や「月刊コロコロコミック2022年8月号」(小学館)などが売上を牽引。週刊誌は、表紙がBTSの「anan2022年6月22日号」(マガジンハウス)が好調だったほか、安倍晋三元首相関連の特集が関心を集めた。
書籍は8・1%減。文芸書は、『オーバーロード』の15巻・16巻(KADOKAWA)や『禁断の中国史』(飛鳥新社)が売上を牽引し、21年12月以来7ヵ月ぶりに落込みが1桁台まで回復した。児童書は『小学館の図鑑NEO〔新版〕岩石・鉱物・化石DVDつき』(小学館)などが伸長した。
コミックは13・5%減。雑誌扱いコミックは、「転生したらスライムだった件21」(講談社)、「僕のヒーローアカデミア35」「怪獣8号7」(ともに集英社)などが売上を伸ばした。書籍扱いコミックは、『異世界居酒屋「のぶ」15』(KADOKAWA)などが売上を牽引した。
開発品は8・8%減だった。

『ワールドセイキョウVOL.3』初版80万部で発売/ハービー・ハンコックさん登場/聖教新聞社書店向け説明会

聖教新聞社は8月25日、東京・新宿区の世界聖教会館で書店向け説明会を開催し、創価学会の活動を多角的な視点で伝えるベストセラー「ワールドセイキョウ」の第3弾『WORLDSEIKYO(ワールドセイキョウ)VOL3』を紹介した。また、外郭出版社の潮出版社、第三文明社、鳳書院が企画説明を行った。
説明会には都内の書店、取次、関係者ら144名が参加。日書連からは矢幡秀治会長、柴﨑繁副会長、渡部満副会長、平井久朗理事が出席した。
登壇した聖教新聞社の石橋正至出版局長は、1月7日発売の『ワールドセイキョウVOL2』が90万部を突破、トーハン調べで今年上半期のベストセラーになったことを報告し、9月8日発売の『ワールドセイキョウVOL3』について説明した。
今回のテーマは「創価学会の平和・文化運動」。表紙は「音楽の力で人々の心を潤し、平和な世界を目指す」というモチーフにより制作された。
巻頭の特別企画は、世界的ジャズピアニストで創価学会インターナショナル芸術部長を務めるハービー・ハンコックさんのスペシャルインタビューを掲載。入会のきっかけ、入会後のジャズピアニストとしての変化、人と人を結びつける音楽の役割などについて語っている。
もう一つの特別企画「平和な世界を目指して」では歌手のアグネス・チャンさんへのインタビューを掲載し、「国籍は〝SEKAI〟」では毎年5000人が入会しているイタリアと会員が倍増したアルゼンチンの活動を紹介。また、池田大作名誉会長が友に贈る指針「人生の羅針盤」、信仰体験「ストーリーズ」などを掲載している。
『ワールドセイキョウVOL3』はA4判変型、オールカラー36ページ、定価250円(税込)。初版80万部。
このほか、池田名誉会長監修『日蓮大聖人御書全集新版分冊第4巻』(B6判・並製、552ページ、定価税込1200円、9月15日発売)など、来年3月までの出版企画を紹介した。
書店を代表してあいさつした日書連の矢幡会長は、4社が時代に即した書籍を発刊していることに謝意を表した上で、「来店客が減少し、売上げが厳しくなっている。この先どうやって書店を続けるのかと不安を訴える声も多く聞かれる。これまでも悩んできたが、今は本当の分岐点」と強い危機感を示し、「聖教新聞社をはじめ出版社、取次とともにいい方策を見つけ頑張っていきたい」と決意を語った。
最後に、聖教新聞社の萩本直樹代表理事は「これからも書店と手を取り合い、文字・活字文化振興のため努力していく」と述べた。
【外郭出版社の主要企画】
[潮出版社]
西園寺一晃『「周恩来と池田大作」の一期一会』、聖教新聞社報道局・編『私がつくる「平和の文化」』、池田大作『忘れ得ぬ旅太陽の心で第6巻』、潮編集部・編『創価大学駅伝部獅子奮迅2023』、池田大作『女性に贈ることば365日』、パンプキン編集部・編『データで学ぶ「新・人間革命」特別編輝く女性のために』、『文化手帖2023』『白ゆり家計簿2023』『USHIODiary2023』
[第三文明社]
夏井いつき『夏井いつきの「今日から一句」』、三枝充悳『大智度論の物語(一)』『同(二)』、菅野博史『摩訶止観(Ⅰ)』
[鳳書院]
織田友理子『LOVE&SDGs車いすでもあきらめない世界をつくる』、青山樹人『新版宗教はだれのものか三代会長が開いた世界宗教への道』、水谷修『もうすぐ死に逝く私からいまを生きる君たちへ――夜回り先生いのちの講演』、聖教新聞社・編『新・名字の言選集〈新時代編④〉』

21年度決算は減収減益/片山秀樹常務が専務に/中央社

中央社は8月17日、東京・板橋区の本社で定時株主総会と取締役会を開き、2021年度(21年6月1日~22年5月31日)決算と役員人事を決定した。総売上高は前期比7・6%減の208億4859万円、営業利益は同8・5%減の3億5691万円、経常利益は同11・9%減の1億6532万円と減収減益の決算になった。当期純利益は同16・1%増と前年を上回った。
部門別の売上高は、雑誌が同9・4%減の121億5301万円、書籍が同3・9%減の71億5631万円、特品等が同13・6%減の13億712万円。
雑誌部門のうち、コミックスを除く雑誌は同16・9%減、雑誌扱いコミックスは同6・1%減。雑誌は巣籠もり需要が一巡し、コミックスは前期に社会現象となったヒット作に比肩する商品が出なかったため、成長トレンドが再び停滞した。書籍部門は、送品改善施策で返品率は減少しているが、巣籠もり需要の反動で減収となった。
返品率は雑誌が同1・0ポイント増の27・8%、書籍が同1・3ポイント減の30・4%、特品等が同1・6ポイント増の10・9%。総合で同0・3ポイント増の27・9%と悪化した。
全社的な利益創出と経費削減の取り組み「ハイ・パフォーマンス・プロジェクト」の実施により、販売費及び一般管理費は同5・6%減となったが、営業利益と経常利益は減益となった。ただ、前年に計上した特別損失がなかったことで、当期純利益は増益となった。
期中の新規出店は3店、閉店は56店。期末の従業員数は同3人増の96人。
22年度は売上高同2・0%増の210億2180万円、返品率同1・5ポイント減の26・4%を目指す。
役員改選では片山秀樹常務取締役が専務取締役に昇任した。
[役員体制]
代表取締役社長 経営計画本部長 森岡憲司
専務取締役 営業本部長兼経営計画本部副本部長兼仕入部長 山本章雄
同 管理本部長兼経営計画本部副本部長兼総務部長
(昇)片山秀樹
取締役 営業本部副本部長(営業部門)兼市場開発室長 竹内純一
同 情報システム部担当兼人事部長兼経営計画推進部部長 早川和邦
監査役 岡田益男
執行役員 物流管理部長
木山良樹
同 第二営業部長兼配本課長 足立良二

「本屋のあとがき」/「無作法なメールへの対応」/ときわ書房本店文芸書・文庫担当宇田川拓也

みなさんは面識のない相手にメールを差し上げる際、○○様という敬称のみならず、自分の名前も記さずに送信することができるだろうか。とてもではないが、私にはできない。それがたとえ1~2行で済む内容であったとしてもだ。不躾に過ぎるし、果たして目を通してもらえるかという不安の方が勝ってしまう。
だが、世のなかには、そうしたことを気に留めない向きも存在する。
私がミステリ好きなこともあり、売り場でミステリ作家の方のサイン入り書籍を扱わせていただくことがある。その郵送希望や問い合わせで、無味乾燥な短文メールが届く。頻度としては1か月に1通あるかないか程度ではあるが、当初はなかなかにムッとしたものである。けれどいまは「これまで注意してくれるひとや見習うべきやり取りに接する機会がなかったか。これでは印象を悪くするばかりだろうに」と気の毒に思う気持ちの方が強くなった。なので、こちらもあえて相手の敬称も店名・名前も省き、「面識のない相手に名前も名乗らずメールされる方のようですので、こちらもそのようにさせていただくとしましょうか」と始める文章を返信することにしている。結果は、自身の無作法に気づいて改めてくださる方が9割、無視が1割、といったところだ。
まったくもって余計なお世話なのかもしれないが、顔が見えなくとも相手はひとである。ほとんどの方にとっては当たり前であるそのことを、わかってくれたらうれしい。