全国書店新聞
             

令和3年4月1日号

春の読者還元祭2021/3000名に図書カード1000円が当たる!/QRコード付きしおり4月20日から配布

日書連は、書店くじに替わる新キャンペーン「春の読者還元祭2021」を4月20日~30日に実施し、伊藤若冲の名画しおりを全国の実施書店で配布する。しおりのQRコードから応募サイトにアクセスすると、抽選で3000名に図書カードネットギフト1000円分が当たるもの。キャンペーン期間の11日間、しおりを活用して来店客を増やし、店頭を盛り上げたい。
「読者還元祭」で書店が行うことは、書籍・雑誌の購入客にしおりを配布するだけ。書店くじでは当選額の立て替えや請求などの煩雑な業務があったが、これらを解消し、多くの書店が参加しやすい仕組みとした。インターネット配布型の図書カード「図書カードネットギフト」を賞品とすることで、新しい時代のニーズにも対応する。
また、200件以上の応募者を獲得した日書連傘下組合加盟書店のみを対象に、1店につき3300円(税込)を支給する。
しおりは江戸時代の画家伊藤若冲の作品「旭日雄鶏図」「牡丹図」「老松白鳳図」「梅花群鶴図」「薔薇小禽図」の5種類のデザインを用意した。
キャンペーン期間中、書籍・雑誌を一定金額以上(500円以上が目安)購入した読者にしおりを進呈。読者はしおりのQRコードをスマートフォンで読み取り、応募サイトにアクセスして必要事項を入力する。スマホを持っていないなどQRコードを読み取ることができない読者には、QRコード併記の応募サイトを案内する。1日1回の応募が可能なので、計11回応募することができる。ただし、読者1人につき当選は1回限りとする。
当選者には6月上旬頃に日本図書普及より直接、図書カードネットギフト1000円分をメール送信する。当選発表はメール通知をもって代える。
実施書店には、4月上旬までに宣伝用ポスターを送付する。お客様へのPRに役立てていただきたい。

最優秀賞に宝屋書店(愛知)/子どもの本秋・冬セール店頭飾り付けコンクール

日書連主催、日本出版取次協会、日本児童図書出版協会協賛の増売運動「2020年心にのこる子どもの本秋・冬セール」店頭飾り付けコンクールの審査結果がこのほど発表され、最優秀賞の宝屋書店(愛知県知多郡)をはじめ各賞を選んだ。
宝屋書店の竹内美千代さんは「コロナ禍で入店を躊躇するお客様に、店内で紹介する本や展示が外からでも分かり、滞在時間が短くても本が選べるようにショーウィンドウを広範囲に使い、多くの本を見やすく紹介した。スマホでの会話調もイメージした」と工夫したところを説明し、「毎年力を入れているこの展示が店のイメージとして定着してきた」と手応えを語っている。
各受賞書店は次の通り。
▽最優秀賞=宝屋書店
▽優秀賞=トーワブックス毛馬店、金沢ビーンズ明文堂、加賀谷書店東通店
▽アイデア賞=アクトピアブックセンター、今西書店、文信堂書店、福岡金文堂イオン大塔店、ブックスグリーンウッド中原店
▽参加賞=SuperKaBoS鯖江店、ブックスジュピター、王様屋、黒木書店七隈店、今井書店グループセンター店、ブックスグリーンウッド小城店、いくろ書店

消費税総額表示への対応について/日書連、店頭掲示用文書の雛形を作成/来店客からの質問など想定

4月1日からの消費税総額表示の実施に向け、日書連は3月16日、書店店頭に掲示するお客様向け説明文の雛形を全理事と各都道府県組合に送った。来店客からの質問を想定して作ったもの。説明文の掲示は義務ではないが、必要な書店は以下の雛形を参考に、それぞれの実情に合わせて自由に説明文を作成、店頭掲示してほしい。
[消費税総額表示への対応について]
4月1日から消費税総額表示が義務化されますが、書籍・雑誌は商品特性上、新刊や増刷分から出版社が順次対応して参ります。
そのため当面、総額表示(税込)と本体価格表示(税別)の商品が混在しますが、総額表示がない商品も、書店レジにて本体価格に消費税を上乗せして販売いたします。
なお、総額表示される商品は、スリップ(出版物に挿し込まれている短冊)の上部突起部分、帯、カバー、フイルムパック、出版物本体などのどこか1箇所に総額が記載されます。ISBNコード、バーコード部分には従来通り本体価格が表示されます。販売価格がご不明の場合には、書店スタッフにお声がけください。
お客様各位にはご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

返品現地処理の進捗状況を説明/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は3月2日、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催。返品現地処理の進捗状況を志賀理事長が説明し、事務局から中間決算について報告を行った。
(事務局・髙橋牧子)

大阪組合も「定期誌販売協力金」実施へ/小学館と話し合い進める

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は2月13日、大阪市北区の組合会議室で正副理事長・委員長会議を開催した。大阪府に新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発令されていたことから、理事会に替えて開いたもの。
大阪組合が進めている書店の粗利改善運動で面屋理事長は、東京組合が小学館と実施している週刊誌2誌の定期分に対する販売協力金事業について説明。近く小学館と打ち合わせを行い具体的な施策を詰めたいと述べ、福島浩一理事(福島書店)を特別委員長に指名し、了承された。
第16回大阪こども「本の帯創作コンクール」(帯コン)の結果について、応募数6296点、応募校数226校、昨年11月10日付朝日新聞大阪本社版朝刊で「紙上表彰式」として受賞作品136点を表彰したと報告。また、茨木市展示会を11月26日~1月末まで阪急茨木市駅ロサビアで開催し、大阪府立中央図書館展示会を3月24日~4月4日に開催予定、堺市立中央図書館展示会は中止と説明した。次回の帯コン表彰式は、11月13日に大阪市中央区のエル・おおさかで開催予定。
定款・規約等委員会では、理事定数の減員について方向性を議論した結果を受け、冨士原委員長が次回までに試案を提出することにした。出版販売倫理委員会からは、大阪府警が作成する防犯しおりを組合員書店に各500枚、大阪府警から2月24日に発送したと説明した。
(石尾義彦事務局長)

日書連のうごき

2月2日子どもの読書推進会議総会(Zoom)に春井副会長が出席。
2月3日デジタル教科書について活字文化議員連盟の笠浩史事務局長訪問に矢幡会長、春井副会長が出席。
2月16日読書推進運動協議会常務理事会(Zoom)に矢幡会長が出席。
2月17日政策委員会(Zoom)に矢幡会長、鈴木、面屋、柴﨑、渡部、春井、安永各副会長が出席。全国万引犯罪防止機構理事会(Zoom)に矢幡会長が出席。
2月18日2月定例理事会に矢幡会長、面屋、柴﨑、渡部各副会長、志賀、平井両理事が出席。
2月24日公正取引委員会による出版物ウェブヒアリングに渡部副会長が出席。
2月25日全国万引犯罪防止機構出版対策本部事務局会議(Zoom)に事務局が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「町に本屋さんのある幸せ」/岩手・小原書店店長・小原玉義

「急で悪いけど明日時間を取ってくれないか。小原書店の研究をするのでインタビューしたい」。地元で唯一の高校の校長から電話をもらった。これは受けるべきだと直感した。
翌日、校長がかわいらしい2人の女子生徒さんを連れて現れた。研究結果は卒業式の日に配る生徒会誌に載るらしい。生徒さんによるロングインタビューが始まった。
「創業は終戦直後の昭和22年。今は亡き父が本好きで始めた。僕は毛色が変わっていて、本屋を継ぐ前は13年間、横浜でエンジニアをしていた。店員は女性3人。皆40年以上の大ベテラン。僕が小さい時には人だかりができるほどいっぱいのお客さんがいたけど、今はねぇ、大変。努力していること?大東高校生にしてほしいこと?」
2ヵ月後、校長がニコニコしながら立派に出来上がった生徒会誌を持って来てくれた。ページをめくって、驚いた。特集のタイトルが「町に本屋さんのある幸せ」。13ページも使った特集の最後には「10分あったら、小原書店に立ち寄って帰ろう。町から本屋の文化の灯を消すな。このテーマで小説家林真理子さんが本校においでになる」と結んであるではないか。
こんなうれしい出来事があったのは2年前の春のことだ。今日も店に「幸せ」を感じてくれるお客さんがきっと来る。頑張ろう。

書店でのマイバッグ使用マナー啓発/出版万防、万防機構がポスター作成

万引防止出版対策本部(出版万防、矢幡秀治本部長=日書連会長)は、全国万引犯罪防止機構(万防機構、竹花豊理事長)と協働して、書店におけるマイバッグ使用マナーを啓発し万引防止に取り組む統一ポスターを作成した。
このポスターは、万防機構の理事である三洋堂書店・加藤和裕社長(愛知県名古屋市)が自社用に先行して使用していたものを活用し作成した。万防機構は昨年8月、小売店向けにマイバッグマナーポスターを作成したが、一部書店の実情には適合しない部分があったことから、書店用ポスターが望まれていた。
同ポスターは万防機構のホームページ(https://www.manboukikou.jp/)からダウンロードできるほか、日書連傘下の各都道府県書店商業組合と万防機構会員書店に3月下旬に送付している。また、日本図書普及が5月下旬に加盟店へ配布する販促物配送便を活用し、あらためて約8000店に配布する。
今回の配布に際し加藤社長は「このマイバッグ利用マナーを全国標準にできれば、お客様も気持ち良くお買い物していただけるようになる」と効用を語った。

第3期「定期誌販売協力金」参加店募集/小学館「ポスト」「セブン」対象/東京組合

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は3月2日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
理事会に先立ち、1月に逝去した丸岡義博相談役に全員で黙祷をささげた。日書連報告では、万引防止出版対策本部と全国万引犯罪防止機構が作成した「書店用のマイバッグ使用マナーポスター」について説明し、活用を呼びかけた。
事業・増売委員会では、東洋経済新報社『石橋湛山の65日自由主義者の夢と幻』(保阪正康著)、『超訳ケインズ『一般理論』』(山形浩生編・訳・解説)について増売企画として取り組むことを承認。また、小学館の『週刊ポスト』『女性セブン』の定期雑誌販売協力金「第3期」参加店募集について2月19日に全組合員に申込書をFAXしたと説明し、承認した。
共同受注・デジタル委員会では、日本教育公務員弘済会東京支部から受託した20年度学校図書助成事業について、助成校250校が決定したと報告、組合員が担当する業務を説明した。

訃報

村田耕平氏(むらた・こうへい=神戸市・三宮ブックス代表取締役、元日本書店商業組合連合会理事、元兵庫県書店商業組合理事長)
3月16日に脳出血のため死去。享年85歳。通夜は17日、告別式は18日に大阪府守口市のやすらぎメモリアル大真会館で家族葬として執り行った。喪主は長女の宮本秀子さん。
村田氏は昭和57年に三宮ブックスを設立し、兵庫組合では平成9年から理事長、日書連では10年から理事をそれぞれ3期務め、書店業界の発展に尽力した。
平成7年の阪神・淡路大震災では自宅も店舗も被災地の真ん中にあったため壊滅的な被害を受けたが、県組合専務理事として被災書店の復興活動で中心的な役割を担った。

1月期販売額は3・5%増/コミックスの絶好調続く/出版科研調べ

出版科研調べの1月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・5%増となった。
内訳は、書籍が同1・9%増、雑誌が同5・7%増で、ともに前年を上回った。書籍は推定出回り金額が同0・1%増と送品が前年並みだったことに加え、返品が改善しプラスとなった。雑誌の内訳は、月刊誌が同8・9%増、週刊誌が同7・2%減。月刊誌はコミックスが『呪術廻戦』(集英社)と『進撃の巨人』(講談社)の新刊・既刊、『鬼滅の刃』(集英社)の既刊が爆発的に売れて大幅なプラスになった。
返品率は、書籍が同1・2ポイント減の31・9%で、6ヵ月連続で良化している。雑誌も同2・8ポイント減の42・3%。内訳は、月刊誌が同3・9ポイント減の42・2%、週刊誌が同1・9ポイント減の42・5%。月刊誌はコミックスの好調で19年10月期以来、16ヵ月連続で返品が改善した。
書店店頭の売上は、書籍が約2%減。ビジネス書は60万部到達の『人は話し方が9割』(すばる舎、19年刊)を筆頭に、『今さら聞けないお金の超基本ビジュアル版』(朝日新聞出版、18年刊)などロングで売れ続ける商品が多く、約2%増。文芸書は約10%増で、芥川賞・直木賞受賞作の売行きが好調。特に『推し、燃ゆ』(河出書房新社)は40万部を突破し全体を牽引した。
雑誌の売上は、定期誌が約1%減、ムックが約21%減、コミックスは約30%増。コミックスはアニメが放送中の『呪術廻戦』が驚異的な伸びを示した。

出版情報ポータルサイト「BooksPRO」新機能と活用術を動画で解説/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は、出版情報登録センター(JPRO)の書店向け出版情報ポータルサイト「BooksPRO」の新機能と活用術をわかりやすく解説した動画をホームページに公開した(https://jpro2.jpo.or.jp/movies-202102.html)。動画では、「書店はBooksPROの何を活用し、何に期待するのか」をはじめ、書店から期待されている「出版社系の受発注サイトとの直連携」や「販促情報表示の改善」「雑誌情報の表示」「ためし読みの本格導入」など、新機能の数々を紹介している。
【注文サイトとの連携がスタート】
「はじめに」と題した動画では、BooksPRO推進会議リーダーの柳本重民氏(集英社)が、昨年12月時点の実績でJPROの登録出版社は1895社、登録点数は250万点超と報告。新刊(委託配本)の登録率は90・7%、そのうち書籍は94・9%。また登録書店数は図書館を含め約2000件となっている。柳本氏は「BooksPROは昨年3月のスタート以来改修を重ねており、動画で紹介する新展開の4テーマは書店の声に応えたものだ。理想に到達するには遠い道のりだが、間違いなく前進の一歩だとご理解いただきたい」と今回の新機能実装と動画制作の意図を語った。
「書店はBooksPROの何を活用し、何に期待するのか」では、柳本氏が聞き手となり、BooksPRO推進会議のメンバーである亀井崇雄氏(三省堂書店代表取締役社長)と増田めぐみ氏(浜書房取締役)が、サイトを使っての感想や新機能への期待を語った。
増田氏は、「一番大きな特徴は、その日発売される出版物をカレンダーで見られること。販促情報は旬の情報を出版社が直接入力してくれるので便利。BooksPROの画面から出版社の注文サイトへ直接飛んで発注できるようになるのが魅力的だ」と活用のポイントを説明。
亀井氏は、「コロナ禍で出版社は営業の方がなかなか書店に行けない状況だ。BooksPROの機能がますます充実すればサイト上だけで商談が可能になると思うし、全ての書店に等しく情報が行き渡る環境が整う。書店は情報を検索し取得する力、商品の手配力で勝負するようになる。そのためにも、質、量、速報性の3つを高めてさらにサイトの操作性や機能を充実させていくことが必要だ」と期待を寄せた。
「BooksPROの画面から直接発注へ受注サイト連携開始」では、JPOの渡辺政信専務理事が、BooksPROと各注文サイトとの連携について説明した。
3月24日から既刊について出版社系注文サイト「s-book」「Webまるこ」「WebHotLine」「一冊!取引所」との連携がスタート。また、「Bookインタラクティブ」とも6月末に連携を行う予定で、総計150社を超える出版社の商品が対象となる。
BooksPROでは、注文サイトで取り扱いがある場合、商品ページにリンクバナーが表示され、当該サイトを通じ即時に注文ができるようになる。同様に、BooksPROの販促情報ページからも、ひもづいている商品の注文ページに直接つながる。このシステム連携を利用するためには、書店はBooksPROのほか、連携対象の注文サイトでユーザー登録していることが必要。
動画では、数理計画の岡野豊氏が「s-book」を例に、書店が実際に注文する際の流れや、出版社側の留意点を説明。また注文サイト未参加の出版社に向け、インテージテクノスフィアの田中明生氏が「Bookインタラクティブ」の紹介を行っている。
「これは便利!BooksPROで雑誌情報の表示が始まります」では、雑誌・ムック登録PTリーダーの井上直氏(ダイヤモンド社)と同サブリーダー兼日本雑誌協会雑誌POSセンター運営委員長の佐野洋氏(講談社)が、1月26日からスタートした雑誌情報の表示について、実際に書店からどのように見えるのかデモを交えて新機能を解説。現在閲覧できる雑誌情報は雑誌POSセンターから提供される、雑誌名、判型、号数、定価、雑誌コード等の基本情報となっており、今夏をめどに目次、内容、特集、付録等の情報を閲覧できるようにする。
「書店に響くBooksPRO販促情報の入力の仕方、使い方」は、販促WGリーダーの澤田剛氏(集英社)が、販促情報をより充実させるため3月末に実施した改修ポイントとして、①販促情報のBooksPROへの反映時間を短縮②販促情報も注文サイトと連携し、書店の手間を大幅に圧縮③販促情報を見やすくするためWeb画面を改修――の3点を説明。また、5月には注文書の自動生成機能も実装するとした。
「必ず役に立つ!『ためし読み』活用のススメ」では、3月1日に本格運用を開始した「ためし読み」サービスについて、ためし読み推進WGリーダーの小見山康司氏(白泉社)が解説した。

「ためし読み」本格運用を開始/JPRO

日本出版インフラセンター(JPO)は、出版情報登録センター(JPRO)の有料オプションサービスとして「tameshiyo.me(ためし読み)サービス」の本格運用を3月1日からスタートした。JPOは20年3月から実証実験を行っており、サービスの運営体制、利用料金等の検討を進めていた。
またJPROと日本雑誌協会の雑誌POSセンターとのデータ連携が1月26日に開始し、雑誌の基本情報が書店向け出版情報ポータルサイト「BooksPRO」にも配信され、ためし読みデータも連携できるようになった。
「ためし読みサービス」は、出版社が書籍や雑誌の一部をサーバーに登録することで、ネット書店等の販売サイトの当該コンテンツに「ためし読みボタン」が自動的に掲出されるサービス。主要ネット書店、「BooksPRO」「Books」に加え、自社のホームページへのリンクも可能になっている。利用料金は、コンテンツ提供者(出版社)は月ごとの利用容量単位の課金で、コンテンツ利用者(書店)は無料。6月頃には、ためし読みの日時、デバイス(PC、スマホ等)、閲覧サイトなどのログを管理システムで確認できるようにする予定。

書店向けWeb商談会2021春/前回を上回る161社が出展

有志の出版社による書店向けWeb商談会実行委員会(三芳寛要実行委員長=パイインターナショナル代表)は、4月5日~23日の3週間、「書店向けWeb商談会2021春」を開催する。
この商談会はコロナ禍でも出版社と書店が気軽に商談できるようにと出版社の呼びかけで始まり、これまで2020年6月、同年10月に開催。出展社数、参加書店数、商談金額とも伸長を続けている。
商談はWeb会議システム「Zoom」を使用(一部の出版社は別のアプリを使用)する。書店は参加費無料。取次口座を持たない書店も参加することができる。参加申込は3月8日から受け付けを始めている。
出展社は前回を上回り出版社や玩具メーカーなど161社。参加書店は前回235名の倍以上の500名、商談金額は前回2000万円以上の倍の5000万円と、実行委員会では目標を掲げている。
今回はオンライン商談機能に加え、商談しなくても特設ホームページからオンラインで注文ができる「オンライン発注」を搭載し、多忙で商談する時間がとれない書店員のニーズに対応する。出版社横断でテーマに合わせて商品提案し、オンラインでまとめて発注できる「合同フェア注文書」も用意している。また、期間中、様々なオンラインイベントが行われる。
出展社は次の通り(50音順。※印のある出展社は複数ジャンルにまたがる)。
[一般書]
明石書店、亜紀書房※、朝日出版社、飛鳥新社、アスコム、アノニマ・スタジオ※、家の光協会、イースト・プレス※、インプレス、ウェッジ、潮出版社※、英治出版、英明企画編集、絵本スタジオアコークロー※、エムディエヌコーポレーション、LLCインセクツ、オレンジページ、音楽之友社※、海風社※、化学同人※、笠間書院、河出書房新社※、カンゼン、Keystage21、きずな出版、キネマ旬報社、木楽舎、KiltyBOOK、クオン、KuLaScip、クロスメディア・パブリッシング、クロスメディア・ランゲージ、グラフィック社、K&M企画室、慶應義塾大学出版会、芸術新聞社、玄光社※、弦書房、現代書館※、現代書林、佼成出版社※、合同出版、国書刊行会、コトノハ、西東社、彩流社、朔北社※、左右社、三修社※、303BOOKS※、三和書籍、視覚デザイン研究所※、自然食通信社、集英社クリエイティブ、主婦と生活社※、秀和システム、祥伝社※、書肆侃侃房、新星出版社、JMA・アソシエイツステップワークス、G.B.、Jリサーチ出版※、実業之日本社※、青弓社、青幻舎、世界文化社、創元社、食べもの通信社、太郎次郎社エディタス※、大日本絵画※、月とコンパス※、帝国書院※、DUBOOKS、東京書籍※、東京創元社、東京大学出版会、東京美術、東方出版、遠見書房、トゥーヴァージンズ、名古屋外国語大学出版会、ナナロク社、西日本出版社、日販アイ・ピー・エス※、農文協※、パイインターナショナル※、万来社、ひとなる書房、ビーナイス※、双葉社※、文藝春秋、ベレ出版※、便利堂、方丈社、北樹出版、本の種出版、マール社、まむかいブックスギャラリー、ミシマ社、ミツイパブリッシング、目の眼、山と溪谷社、よはく舎※、雷鳥社、ライツ社
[コミック]
亜紀書房、秋田書店、一迅社、イースト・プレス、潮出版社、幻冬舎コミックス、ジャイブ、集英社クリエイティブ(OfficeYOU)、主婦と生活社、祥伝社、実業之日本社、竹書房、日本文芸社、日販アイ・ピー・エス、白泉社コミック、ヒーローズ、双葉社、フレックスコミックス、フロンティアワークス、ぶんか社、LINEDigitalFrontier、リイド社
[児童書・学習参考書]
亜紀書房、あすなろ書房、アノニマ・スタジオ、アリス館、岩崎書店、潮出版社、絵本館、絵本スタジオアコークロー、おむすび舎、音楽之友社、偕成社、海風社、化学同人、仮説社、学研プラス、河出書房新社、きじとら出版、クレヨンハウス、玄光社、現代書館、好学社、廣済堂あかつき、佼成出版社、交通新聞社、小峰書店、コンセル※、朔北社、三修社、303BOOKS、Jリサーチ出版、視覚デザイン研究所、主婦と生活社、実業之日本社、実務教育出版、ジャムハウス、太郎次郎社エディタス、大日本絵画、大日本図書、月とコンパス、帝国書院、東京書籍、東京書店、ニジノ絵本屋、西村書店、日販アイ・ピー・エス、農文協、パイインターナショナル、白泉社えほん、ひさかたチャイルド、評論社、BL出版、PHP研究所、ビーナイス、ひだまり舎、フレーベル館、ブロンズ新社、ベレ出版、ポプラ社、光村図書出版、YAMAVICOHAUS(横浜アニメーションラボ)、よはく舎、ラボ教育センター、ロクリン社
[玩具]
コンセル(幼保向け玩具等)、ジーピー(ボードゲーム等)、すごろくや(ボードゲーム等)、ハナヤマ(パズル等)
[サービス・商品]
アスパイア(防犯カメラメーカー)、一冊!取引所(発注システム)、光和コンピューター(出版・書店システム)、ダイワハイテックス(包装機器メーカー)、とうこう・あい(出版広告・出版システム「ブックセラ―」)、美術出版エデュケーショナル(マルチメディア商品KURUMI製本キット)、リグネ(書店の新規顧客獲得のためのウェブサービス)

宇佐見りん氏と西條奈加氏/芥川賞・直木賞贈呈式で思い語る

第164回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が2月18日に都内のホテルで開かれ、『推し、燃ゆ』(「文藝」冬季号)で芥川賞を受賞した宇佐見りん氏、『心淋し川』(集英社)で直木賞を受賞した西條奈加氏に正賞の懐中時計と副賞100万円が贈られた。
芥川賞を受けた宇佐見氏は、デビュー2作目で初ノミネートされての受賞。「最初に私の胸にあったのは、本当にいいんだろうかという気持ちだった。自分の中ではまだまだという自覚があり、悔しい思いも持っている。次に書きたいことは既に決まっていて、3作目は私の一生にとっても大事なものになる。編集さんに一刻も早く見せたい。本を読んでくださった多くの方に早く届けたい一心だ」と話した。
直木賞を受けた西條氏も初ノミネートでの受賞。「自分のことを口で話すのが苦手で、自分が言いたいことを一番近い形で出せるのは執筆においてだと、作家になってから実感するようになった。作家になって6、7年くらいまでは執筆中に過去のいやな思い出がどかどか浮かんできて困った。作家というのはしんどい作業で、書く喜びや楽しさ、辛さに自分の中でようやく折り合いがつくようになるまで16年かかった。執筆自体は孤独な作業だが、本当の1人にはさせないようにずっと伴走してくれたのが担当編集者。その方たちを今回この会場に招待することができ、私の作家人生が丸ごと入っているようで感無量だ」と喜びを語った。

講談社決算増収・大幅増益に/「電子+版権」が「紙」上回る/常務取締役に鈴木章一氏

講談社は2月19日、東京都文京区の本社で定時株主総会を開催し、第82期(2019年12月1日~2020年11月30日)決算を発表した。デジタル関連と版権を合わせた収入が紙の出版物の収入を初めて上回った。コロナ禍で巣ごもり需要が高まり、電子書籍とコミックが好調に推移した。
売上高は前年比6・7%増の1449億6900万円で増収、当期純利益は同50・4%増の108億7700万円で大幅増益となった。
売上高の内訳は、紙の書籍と雑誌を合わせた「製品」は同1・2%減の635億900万円、デジタル関連や国内・海外版権などの「事業収入」は同16・4%増の714億5700万円だった。
「事業収入」のうちデジタル関連は同16・9%増の544億円、国内版権は同0・3%増の82億円、海外版権は同32・9%増の88億円。デジタル関連の大半を占める電子書籍は同19・4%増の532億円と大きく伸長した。
「広告収入」は同6・8%減の55億2200万円、「不動産収入」は同0・4%増の31億7300万円となった。
あわせて同日付で役員人事を決定。鈴木章一取締役が常務取締役に昇任した。新役員体制は以下の通り。(◎印は昇任、〇印は新任)
代表取締役社長
野間省伸
専務取締役(管理部門統括、社長室担当)
金丸徳雄
常務取締役(営業統括)
峰岸延也
同(ライツ・メディアビジネス統括)古川公平
同(コミック編集統括、第三事業局、第四事業局担当)森田浩章
同(編集統括、第二事業局、第五事業局担当)
◎鈴木章一
取締役(編集総務局、第六事業局担当)清田則子
同(経理局担当)
吉富伸亨
同(広報室、IT戦略企画室担当)吉羽治
同(総務局担当)
菊池俊行
同(第一事業局担当)
〇髙橋明男
同(ライツ・メディアビジネス局担当)〇松本智
同(販売局担当)
〇角田真敏
同(非常勤)野内雅宏
常任監査役白石光行
監査役金子眞吾
渡瀬昌彦常務取締役は退任し、顧問に就任した。

トーハン機構改革/4支社体制へ変更

トーハンは2月15日、3月1日付の機構改革・役員人事を発表した。
機構改革では、東部支社と中部支社を統合して東日本支社に、名古屋支社と近畿支社を統合して東海近畿支社に、中国四国支社と九州支社を統合して西日本支社として、特販首都圏支社を含めて4支社体制へ変更した。
〈機構改革〉
【本部・部・室】
1.社長室を新設し、秘書室を廃止する。
2.東部支社と中部支社を統合し、その名称を東日本支社とする。
3.名古屋支社と近畿支社を統合し、その名称を東海近畿支社とする。
4.中国四国支社と九州支社を統合し、その名称を西日本支社とする。
5.AI推進室を仕入プラットフォーム開発室に改称する。
6.複合事業本部にライツ・事業開発室を置き、ライツ・事業開発グループを廃止する。
7.雑誌返品協業準備室を廃止する。
【グループ】
8.社長室に秘書グループと広報グループを置く。
9.経営戦略部に出版流通DX担当を置く。
10.各支店のリテールサポートグループを廃止し、リテールサポート第一グループは第一グループに、リテールサポート第二グループは第二グループに改称する。
11.東北支店のリテールサポート第一グループとリテールサポート第二グループを廃止する。
12.名古屋支店の取引総務グループを廃止する。
13.大阪支店と神戸支店を統合し、その名称を大阪神戸支店とする。
14.大阪神戸支店に第一グループと第二グループと第三グループと第四グループを置く。
15.九州支店のリテールサポート第三グループを廃止する。
16.AI推進室の仕入配本プラットフォームグループを仕入配本開発グループに改称する。
17.AI推進室の新システム構築グループを廃止する。
18.書籍部の一般書PBグループと教科書学参・児童実用グループと専門書グループを廃止し、書籍調整第一グループと書籍調整第二グループと書籍調整第三グループを置く。
19.書籍部の外販営業グループを、外販グループに改称する。
20.雑誌部の雑誌統括グループと調整グループを統合し、その名称を雑誌調整グループとする。
21.複合仕入部の複合仕入第一グループと複合統括部の複合統括第一グループを統合し、その名称を複合統括第一グループとして、複合統括部に置く。
22.複合仕入部の複合仕入第二グループと複合統括部の複合統括第二グループを統合し、その名称を複合統括第二グループとして、複合統括部に置く。
23.複合仕入部の複合仕入第三グループを複合仕入グループに改称する。
24.複合統括部に複合統括第三グループを置く。
〈役員人事〉
▽委嘱=営業本部副本部長兼東海近畿支社長西日本支社担当
専務執行役員豊田広宣
▽解=複合仕入部長兼任委嘱
上席執行役員渡辺勝也
▽委嘱=東日本支社担当兼任
上席執行役員堀内洋一
▽委嘱=営業統括部長、支社総括担当図書館事業部門担当仕入プラットフォーム開発担当
上席執行役員齊藤貴
▽委嘱=図書館事業部門担当部長
執行役員松木修一
▽委嘱=東海近畿支社副支社長兼名古屋支店長
執行役員金子俊之

上野の森親子BF/講演会をオンライン配信/児童書販売会は中止

子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団が主催する「上野の森親子ブックフェスタ」は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、東京・台東区の上野恩賜公園で例年行っている「子どもブックフェスティバル」の開催を中止。今年は5月3日~5日に東京都美術館講堂で事前予約制の講演会を開き、オンラインで同時配信する。イベントスケジュール等の情報は、公式ホームページ(https://ueno-bookfesta.jp/)に随時掲載する。

新社長に吉川英作氏/平林社長は会長に/日販GHD

日販グループホールディングス(日販GHD)は2月18日開催の定例取締役会で4月1日付の役員・執行役員等の体制を決定した。
日販GHDでは、吉川英作副社長が代表取締役社長に就任。平林彰社長は取締役会長に就任した。執行役員には近藤純哉、君塚真、小松和弘、平岡隆の4氏が新任した。
日本出版販売(日販)では、富樫建取締役が常務に昇任。吉川英作会長が取締役に就任した。また、小松和弘、太田紀行両氏が執行役員に新任した。
日販GHDと日販の新体制は次の通り。◎印昇任、○印新任。
■日販GHD
代表取締役社長(グループ経営統括)◎吉川英作
取締役会長平林彰
専務取締役(グループ経営戦略担当)奥村景二
同(グループガバナンス担当、グループ財務・人事担当)酒井和彦
取締役(グループIT担当、不動産事業担当)
富樫建
社外取締役(カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長兼CEO、CCCLIFESTYLE代表取締役社長、蔦屋書店代表取締役社長兼CEO)
増田宗昭
同(講談社代表取締役社長)野間省伸
常勤監査役宮路敬久
社外監査役(税理士法人髙野総合会計事務所代表社員)真鍋朝彦
同(森・濱田松本法律事務所パートナー)金丸和弘
執行役員(取次事業責任者日販代表取締役社長)
奥村景二
同(取次事業責任者MPD代表取締役社長)
長豊光
同(小売事業責任者NICリテールズ代表取締役社長)露木洋一
同(小売事業責任者NICリテールズ代表取締役副社長)○近藤純哉
同(海外事業責任者日販アイ・ピー・エス代表取締役社長、ダルトン取締役会長)佐藤弘志
同(雑貨事業責任者ダルトン代表取締役社長)
○君塚真
同(エンタメ事業責任者日販セグモ代表取締役社長)安井邦好
同(コンテンツ事業責任者ファンギルド代表取締役社長)梅木読子
同(グループシェアード責任者日販ビジネスパートナーズ代表取締役社長)
○小松和弘
同(グループIT責任者日販テクシード代表取締役社長)藤澤徹
同(日販GHD事業統括室長)平岡隆
牛山修一執行役員は退任し、4月1日付で日販アイ・ピー・エス取締役会長に就任。
■日本出版販売
代表取締役社長
奥村景二
取締役副社長(流通改革責任者、取協担当)
安西浩和
専務取締役(管理本部長、物流本部長)酒井和彦
同(営業本部長)
髙瀬伸英
常務取締役(営業本部副本部長、営業推進室・リノベーション推進部担当)
◎富樫建
取締役(仕入流通本部長、流通改革担当、広報担当)
中西淳一
同(CVS部・ネット営業部・商品開発部担当)
伊藤宏治
同平林彰
同吉川英作
監査役小河洋一郎
同○西堀新二
執行役員(営業本部副本部長、関西支社長)
竹山隆也
同(営業本部副本部長)
長豊光
同(商品開発部長、グループ文具担当、図書館営業部担当)野口瑞穂
同(管理本部副本部長)
○小松和広
同(物流本部副本部長、王子流通センター所長)
○太田紀行
吉川英作氏(きっかわ・えいさく)
82年成蹊大学卒、日本出版販売入社。06年取締役MPD社長、09年常務取締役、11年専務取締役、16年取締役副社長、17年代表取締役副社長、19年日販GHD代表取締役副社長。広島県出身。59年7月16日生まれ、61歳。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

日本の城は3万ヵ所にも及んでいるという。
かみゆ歴史編集部編著『「物語」と「景観」で読む日本の城100』(イーストプレス880円)は、日本史を変えた名城10選から、歴史情緒あふれる城下町が残る城10選まで、テーマ別に100の城を解説している。
北は函館の五稜郭や根室チャシ跡群。チャシとはアイヌ民族が築いた城で、多くは海を望む崖上に堀を巡らせた面崖式。根室市内に32ヵ所もあり、北海道全体では約500を数えるという。南は沖縄の首里城である。
冒頭にカラーで紹介するのは姫路城、松本城、丸亀城、岡城、竹田城、犬山城、郡上八幡城、名古屋城、諏訪原城、滝山城、山中城、仙台城。
千田嘉博著『城郭考古学の冒険』(幻冬舎940円)は、城郭から歴史を読み解いていく。
信長は小牧、岐阜、安土城と居城を移るごとに家臣と隔絶し、絶対的な超越者を目指した。家康の名古屋城には、1609年の「なこや御城惣指図」に「馬出し」があって、反撃の拠点になる拠点を設けたのがわかる。天守がなくとも最強なのは奈良の高取城、など城の面白さが満載である。