全国書店新聞
             

平成24年12月15日号

復興支援 息長く!/〈大震災〉出版対策本部の活動と今後の展望

東日本大震災被災地の読書環境復活のため、出版界は様々な取り組みを行ってきた。中心的な役割を担っているのが「〈大震災〉出版対策本部」だ。日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版クラブの3団体で構成し、傘下に日書連、日本取次協会との5団体で構成する連絡協議会を設置。子供たちへの図書カード寄贈や募金活動など、出版界一丸となって被災地の復興に取り組んでいる。同本部広報委員会の坂本隆委員長(小学館)と鈴木宣幸副委員長(講談社)に、これまでの活動と今後の展望について話してもらった。(聞き手=本紙・白石隆史)
〔被災地との意思疎通が大切〕
――〈大震災〉出版対策本部の活動目的は何か。
坂本出版事業を通じた読書環境の復活、図書販売環境の復活、読書による人々の心の復活――の3つの目標を掲げて活動を進めている。
鈴木3つの目標を念頭に置きながら、具体的に何ができるかを運営委員会と広報委員会で詰め、常任委員会が承認する形をとっている。
――震災からもうすぐ2年がたつ。これまでの活動の手応えは。
坂本そう簡単なことではないというのが実感。当初から5年・10年という中長期的な視野に立った復興支援を想定している。
――復興はまだ道半ば。震災の記憶を風化させないでほしいと訴える被災者も多い。
坂本風化させない、忘れないことはとても大切。被災地の生の声や情報、被災者との人間関係を絶やさないよう心掛けている。
――被災地と連携を図るため何をしているか。
坂本時間の経過とともに変化する被災地の状況に即応した支援を行うため、現地との意思疎通を重視している。現地で話を聞き、その時点で何が必要か理解するよう努めている。
鈴木11年は5月と10月、12年は1月と9月、運営委員会と広報委員会の総勢14名が手分けして被災3県を視察した。各県の震災対策本部、県庁、市区町村の役所、教育委員会、図書館、書店、仮設住宅などを回り、懇談や意見交換を重ねた。実際に現地を訪れ、顔つき合わせて話し合える人間関係を築くことで、被災地の皆さんが何を求めているか分かるようになった。
〔「地元で買ってもらいたい」/図書カード寄贈事業続ける〕
――夏休みに小学生に図書カードを贈るプロジェクトを続けている。
坂本子供たちが自由に行動できる夏休みに、自分で好きな本や雑誌を地元の書店で選んで買えるようにと、11年、12年と2年続けて実施した。岩手、宮城、福島3県の被災地域にある教育委員会管轄の小学生全員が対象。教育委員会と相談の上、今年は7月に1人あたり500円分のオリジナルデザイン図書カード12万8445枚を配布した。
鈴木書店の販売環境の復活にも役立つ取り組みとして実施している。書店に元気になってもらいたいという思いを強く持っている。読みたくない本を贈ってもらうより、自分の意思で好きな本を書店で買うほうが子供たちも喜ぶ。出版界ができる最大の復興支援なのではないか。
――クリスマスにも図書カードを寄贈している。
坂本こちらは被災3県の震災遺児が対象。11年は未就学児・小学生に5千円分、中学生・高校生に1万円分の図書カードをプレゼントとして贈った。教育委員会とあしなが育英会の協力を得て今年も実施する。ただ、予算の事情で、小学生以下3千円、中学生以上5千円に減額となる。
〔逼迫する収支、募金活動を強化/復興基金〕
――出版クラブ内に創設した大震災出版復興基金が、図書カード寄贈など復興支援活動の財源になっている。募金活動はどうしているのか。
坂本企業・団体からの寄付が主体だが、社会への広報の意味も込めて、雑誌広告による募金活動に力を入れている。また、全国の書店に協力を要請して店頭に設置してもらうための募金箱を1000個用意した。まだ100個残っている。募金箱の設置を改めてお願いしたい。
鈴木書店が募金箱を置いてくれれば、来店客の目に触れ、震災の記憶を風化させないことにも役立つ。
――基金の収支状況は。
坂本12年9月末現在、総収入2億6150万円に対して総支出2億3380万円。現時点での残高は2770万円と逼迫してる。今後も被災地の読書支援を粘り強く続けていくため、募金活動にいっそう力を入れなければならない。
――一番お金のかかる事業は何か。
坂本小学生への夏休み図書カード寄贈で、11年が1億3000万円、1人当たり1000円から500円に減額した12年も6500万円を拠出している。
――13年の活動方針は。
鈴木まずは今までやってきたことを継続させたい。特に図書カード寄贈は、子供たちの心の復興にも書店の復興にも役立つ。地元で本を買ってもらうスキーム作りが一番の復興支援だ。学校図書館の復興を支援する「学校図書館げんきプロジェクト」にも力を入れる。
――新しい取り組みは。
鈴木作家や漫画家を被災地に連れて行って、地域の読書環境復活の起爆剤になるようなイベントをやりたい。本と読書に関わることで何かできることはないか常に考えている。

震災復興基金募金箱設置に協力を

〈大震災〉出版対策本部では、「大震災出版復興基金」の店頭での募金活動に協力を呼び掛けている。協力書店には、アクリル製ブック型の募金箱と店頭掲示用ポスター、送金用の郵便振替用紙を送付する。振込料は本部負担。募金を送金することで書店に税金はかからない。問い合わせは所属の書店組合へ。

1月成人式は25自治体・1校で実施/20歳の20冊

出版文化産業振興財団(JPIC)は12月5日、成人式で自治体から新成人へ本を贈る「20歳の20冊」事業(日書連協賛)について、平成25年1月の成人式での実施は25自治体・1校、新成人の人数は2723名と発表した。初めて実施するのは8自治体で、このうち兵庫県香美町は地域の書店が自治体へ働きかけて実施にこぎつけた。8月の成人式で採用した6自治体と合わせて、平成24年度は計31自治体・1校での実施となる。
1月の実施自治体は以下の通り。○印は初めての実施
○北海道・夕張町、同・壮瞥町、同・真狩村、○同・北竜町、○同・佐呂間町、同・厚沢部町、○同・豊頃町、同・中頓別町、岩手・普代村、福島・大熊町、茨城・大子町、○同・石岡市、○山梨・身延町、岐阜・高山市朝日支所、同・白川町、静岡・藤枝市(藤枝明誠高等学校)、○兵庫・香美町、鳥取・日吉津村、同・南部町(1人3冊)、島根・邑南町、高知・室戸市、同・大豊町、同・安田町、同・田野町、同・越知町、沖縄・与那国島

書店収益改善が重要課題/宮城組合第31回通常総会

宮城県書店商業組合は11月18日、大崎市鳴子温泉の鳴子観光ホテルで第31回通常総会を開き、組合員67名(委任状含む)が出席した。
小関真助県北支部長(かほく書店)の開会の辞のあと、藤原直理事長(金港堂)があいさつ。東日本大震災で被災した県内書店の大半が再開したことを報告し、全国から寄せられた義援金など復興支援に感謝の意を表した。また、日書連が最重要課題として取り組んでいる「書店再生のためのロングセラー、実用書増売」企画について報告。「多くの注文があったが、今後はさらに書店の収益性向上を目指すとともに、拡販システムの構築を図りたい」と話した。送品・返品同日精算実現への取り組みについては「書店と取次との取り決めは右肩上がりの時代のもの。現在では時代にそぐわなくなっている。こうした部分について、日書連は早期改善に向け努力している」と強調した。
引き続き藤原理事長を議長に選んで議事を行い、平成24年度事業報告、決算報告、平成25年度事業計画案、収支予算案など、すべての議案を原案通り承認。菅原正敏副理事長(興文堂書店)の閉会の辞で総会を終えた。
総会終了後、永年勤続者の表彰を行った。今年度の対象者は23名で、勤続5年の木村宣広(宝文堂ブックサービス)、平田香緒里(ヤマテル)の2氏が代表して表彰状と記念品を受け取った。引き続き版元・取次各社研修会を行った。
(佐々木栄之広報委員)

「古事記で日本を知る」講演会を開催/兵庫組合

兵庫県書店商業組合は11月23日、神戸市産業振興センターで「古事記で日本を知る講演会」を開き、約90名が来場した。古事記国生み神話ゆかりの兵庫県にちなみ、同組合が9月より「古事記の世界に触れるフェア」として取り組んでいる企画の第2弾として行ったもの。第1弾の「古事記ざんまい上つ巻」は組合加入書店でブックフェア、第2弾の「古事記ざんまい中つ巻」は講演会、第3弾の「古事記ざんまい下つ巻」は古事記ゆかりの淡路島へのバスツアーと、3部構成となっている。
今回の講演会は、森忠延氏(井戸書店)の司会で進行し、山根金造理事長(巌松堂書店)のあいさつで開会。講師は、古事記関連の著書が多数ある大阪府立大地域連携研究機構の村田右富実教授。村田氏は「~神々の求婚~古事記と妻問ひ」と題し、夫が妻元に通う婚姻の形「妻問ひ」を通じて古事記を解説した。質疑応答、花束贈呈のあと、春名洋志副理事長(大和堂書店)が謝辞を述べ、盛況裏に閉会した。会場では、村田氏が監修した『わかる古事記』(西日本出版)を販売し、多くの来場者が購入した。
(安井唯善広報委員)

来年夏休みフェア実施へ/第9回中学生はこれを読め!/北海道組合

北海道書店商業組合は11月13日、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催。2013年夏休み企画フェアとして、第9回「中学生はこれを読め!」の開催に向けて準備中であると久住邦晴理事長が報告した。現在、北海道新聞社から発行しているブックレット『中学生はこれを読め!2』も、来年度改訂版として『同・3』を発行する予定。久住理事長は「フェアが盛り上がることを期待している」と話した。
理事会終了後、第3回児童書販売研究会を開催。書店15名、出版社7名が出席した。冒頭、偕成社の藤坂康司販売部長が「児童書出版社が書店にお伝えしたいこと」をテーマに講演。続いて出席書店と出版社が、クリスマス・年末年始の品揃え、売場作り、集客、アピール方法について情報交換した。次回開催は来年5月を予定。(北海道組合事務局・髙橋牧子)

システム利用で業務効率化/本屋の村、東京で書店向け勉強会

関西の書店7店が中心となって、書店業務省力化システムの開発・販売を行っている「本屋の村有限責任事業組合」は11月11日、東京・千代田区のPHP研究所東京本部で「本屋が知っておくべき電子書籍のすべて」をテーマに書店勉強会を開き、全国各地のシステム導入書店が参加した。
勉強会は本屋の村・深田健治氏(ブックスふかだ)の司会で進行。冒頭あいさつしたPHP研究所の山崎至朗専務は「当社は00年から電子書籍を手掛けている。モットーとしているのは、どの書店や取次に対しても平等に出荷すること」と話した。
第1部は書店業務管理ソフト「楽樂ほんやさん」勉強会と銘打ち、本屋の村・庫本善夫代表(庫書房)が登壇。本屋の村を設立した経緯について「本屋を辞めていく最大の理由は採算ではない。心が折れるから。私は心が折れそうになった時に、たくさんの本屋仲間と話ができるパソコン通信という場を持つことができた。そこで大変なのは自分だけじゃないことがわかった。仲間たちと会を重ねる内に、市販の外商管理システムに対する不満の話になり、ますや書店・岩根秀樹氏が独自に開発して使っていた書店業務管理システムの評判がよく、これをみんなで使えるようにしたいと思った」と説明した。
楽樂ほんやさんの活用については、無線インターネット接続とタブレット等の端末を利用した配達先での書誌検索、リモートコントロールソフトの利用やFAXソフトの導入による業務効率化事例を説明。自身がパソコンに詳しかったことで、学校図書館電算化の流れに対応してビジネスにつなげることができた事例を紹介した上で、デジタル時代に大切なこととして情報収集力、自己管理能力、本と隣接する他分野の研究をあげた。そして、「楽樂ほんやさんのシステムを利用することで業務を効率化し、その時間をコミュニケーションなど人間にしかできない仕事に割くことができるようになる」と省力化のメリットを強調した。
第2部は「電子書籍によって変わる2013年の出版業界」と題してPHP研究所の中村由紀人事業開発本部長が講演した。
中村本部長は、出版社が生き残るためには出版物のデジタル化戦略と海外戦略の推進が不可欠として、ある調査で日本の電子書籍市場は11年度の629億円から16年度には2000億円へ約3倍になると推計されていると報告。出版各社は新刊書籍と電子書籍の同時発売を目指すようになり、電子書籍の配信、書籍のネット通販、リアル書店のサービスがシームレスにつながることでハイブリッド書店への道が開くとの考えを示した。

片岡理事長を再選/TS協同組合総会

TS流通協同組合は11月28日午後4時から書店会館で第13回通常総会を開催し、組合員75名(委任状含む)が出席した。
総会は秋葉幸伸副理事長の司会で進行し、岡嶋成夫副理事長が開会の辞。片岡隆理事長はあいさつで「書店業界は厳しい状況だが、頑張っている書店もある。売上を伸ばしている店は読者とのコミュニケーションがきちっとできている。読者目線で、接客を通じて、他の店ではできないお客様とのコミュニケーションをしていくことが必要だ。TSも13年たって高齢化が進んでおり、若い人の加入促進を進めたい」と述べた。
正副議長に小川頼之氏、下向紅星氏を選任して議案審議を行い、平成23年度事業報告、決算報告、平成24年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決。任期満了に伴う役員改選では、理事15名、監事2名を選任し、片岡理事長の再選を決定した
平成23年度の売上は7701万円で前年比18・8%減と大幅に減少。取引出版社は132社で、東京官書普及41社と合わせて173社と前年から3社増加した。加盟組合員は131店と前年から9店減となった。発注店数は月平均68店と前年より1店減少。1店当たりの月売上は10万5501円で前年より3万731円減少した。出版社取引金額ベスト5は講談社、新潮社、角川グループ、文藝春秋、小学館。また共同購買事業として、光文社『舟を編む』、講談社『スティーブ・ジョブズ』Ⅰ・Ⅱなどの共同仕入を行い、事業売上は前年比340%となる707万円になった。
平成24年度は、組合員の加入促進をはじめ、受発注システム研修の継続、システム・運用方法の改良、消費者への広告宣伝、システムを利用した受注の拡大、オリジナル商品の開発・販売、共同仕入等事業の一層の拡大、取引出版社の拡大、東京組合との連携強化と協業化の推進、東京青年部との事業協力に取り組む。片岡理事長は、「受発注以外の事業をさらに進めていかないと、収益を上げるのは難しい。物流コストの削減と入荷速度のスピードアップという大きな課題を抱えた中で実現するのは大変なことだと思うが、これらの事業計画で一つひとつ実績を積み上げていくしか方法はない」と述べた。
審議終了後、来賓の東京組合・小泉忠男副理事長が「書店業界全体が厳しく、会員が減少する中で、東京組合や日書連全体に比べればTSは頑張っている。片岡さんは、前回再選の時よりさらに東京組合副理事長という仕事が増えた。理事、会員の皆さんで片岡さんを支えてほしい」とあいさつ。柴﨑繁副理事長の閉会の辞で終了した。

よむよむ・わくわく広場を東京で開催/絵本・日本プロジェクト

文字・活字文化推進機構(肥田美代子理事長)の「絵本・日本プロジェクト」は、来年1月に開催する「よむよむ・わくわく広場in東京」について、12月6日に日本出版クラブでプレス発表会を行った。
「よむよむ・わくわく広場」は子どもの健やかな成長のために出版業界と異業種企業がコラボレーションを図るイベントで、2012年度は9月の静岡に続き東京が2ヵ所目の開催。日本児童図書出版協会や読売新聞社、東京都書店商業組合、日本図書普及、カルピス、キッコーマンなど多くの団体・企業が協力する。
発表会では、肥田理事長のあいさつに続き、絵本・日本プロジェクトの髙橋小織会長が同プロジェクトについて、①絵本マイスター事業②電子等未来志向の書店活性化事業③ギフトパッケージ④PR事業・イベント⑤絵本賞⑥その他貢献事業――の各事業を説明。次いで加藤真由美事務局長がイベント内容を説明した。
「よむよむ・わくわく広場in東京」は2013年1月19日(土)、20日(日)の午前10時から午後4時まで、渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催。絵本作家によるおはなし会・サイン会や、紙芝居、大型絵本とピアノ演奏、しかけ絵本など活字に触れるイベントを用意。木の自由工作や、しょうゆ、野菜ほかを題材にした体験型イベント、絵本販売など盛りだくさんの内容となっている。参加無料(事前申込み制)で、書店店頭などで配布するチラシやインターネットで申し込む。幼児・小学校低学年の子どもと親を中心に、2千人以上の来場を見込んでいる。

出版梓会が一般社団法人に

出版梓会(菊池明郎理事長)は、内閣総理大臣の認可を得て、11月1日付けで法人の名称を「社団法人出版梓会」から「一般社団法人出版梓会」に変更した。

出版業界の新春行事

【書店関係】
〔北海道〕
◇新年合同懇親会=1月22日(火)午後6時から、札幌市中央区の札幌ガーデンパレスで開催。
〔宮城〕
◇合同新年懇親会=1月9日(水)午後5時から、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で開催。
〔神奈川〕
◇新年懇親会=1月18日(金)午後6時から、横浜市中区の華正樓で開催。
〔東京〕
◇新年懇親会=1月16日(水)午後5時半から、東京都文京区の東京ドームホテル地下1階「天空」で開催。
〔静岡〕
◇第45回新年総会=1月8日(火)午後3時半から、焼津市の焼津グランドホテルで開催。午後4時半から支部会、午後6時から懇親会。
〔愛知〕
◇平成25年新春賀詞交歓会=1月17日(木)午後5時半から、名古屋市千種区のルブラ王山2階「白帝の間」で開催。
〔大阪〕
◇大阪出版販売業界新年互礼会=1月11日(金)午後4時から、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で開催。
〔京都〕
◇平成25年京都出版業界新年互礼会=1月9日(水)午後4時半から、京都市中京区の京都ホテルオークラ3階「翠雲の間」で開催。
〔福岡〕
◇福岡県出版業界新年の会=1月7日(月)午後4時から、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で開催。
【取次関係】
◇日教販第62回春季展示大市会=1月9日(水)午前10時から東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催。セレモニーは午後0時45分から。
◇トーハン新春の会=東京会場は1月8日(火)午前10時半から、東京都文京区の椿山荘プラザ棟5階「オリオン」で開催。社長あいさつは午前10時半。近畿会場は1月11日(金)にトーハン大阪支店で開催。物流部門新年賀詞交歓会は1月8日(火)午後1時から、東京都文京区の椿山荘タワー棟8階「コスモス」で開催。
◇日販2013年新春を祝う会=1月8日(火)午前10時から、東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京地下2階「ボールルーム」で開催。社長あいさつは午前10時。
◇大阪屋新春おでんの会=1月10日(木)正午から、東大阪市の関西ブックシティ1階特設会場で開催。社長あいさつは正午。
◇栗田新春あいさつの会=1月11日(金)午後2時半から、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷3階「富士の間」で開催。社長あいさつは午後2時半。
◇中央社新年ご挨拶の会=1月9日(水)午前9時半から、東京都板橋区の本社3階ホールで開催。
【関係団体】
◇日本出版クラブ新年名刺交換会=1月9日(水)正午から、東京都新宿区の日本出版クラブ会館で開催。
◇全国医書同業会創立120周年記念新年互礼会
=1月5日(土)正午から、東京都千代田区の帝国ホテルで開催。
◇書店新風会新年懇親会=1月8日(火)午後5時から、東京都新宿区のハイアットリージェンシー東京地下1階「センチュリールーム」で開催。
◇出版梓会第28回梓会出版文化賞贈呈式=1月17日(木)午後6時から、東京都新宿区の日本出版クラブ会館3階「鳳凰の間」で開催。

来場した書店の「満足度」100%に/書店大商談会アンケート/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は、10月に東京・新宿で行われた「第3回書店大商談会」の来場書店と出展社に行ったアンケートの集計結果を公表。大商談会について「満足」「やや満足」と答えた書店は100%にのぼった。
アンケートの回収数は約280枚で、来場書店に今回の出展社数(147社152ブース)について聞いたところ、「ちょうどよい」が65%、「もっとほしい」25%、「多い」10%という結果になった。大商談会に対する満足度は「満足」が60%、「やや満足」が40%で、「やや不満」「不満」は0%だった。
良かったところを聞くと、「日頃お会いできない出版社の方とお話ができた」「出版社との交渉をきちんとできる点が素晴らしい」「タイムリーな商品を注文できて良かった」などの意見が上がった。不満点については、「もう少し魅力のあるセットやお得感のあるものがあると嬉しい」「スタンプラリーがあまり周知されていなかった」「拡材などをもっと増やしてほしい」という声が寄せられた。
一方、出展社152ブースに満足度をたずねた結果は、「満足」が55、「やや満足」77、「やや不満」11、「不満」0、「回答無し」9となった。
気づいた点や要望については、「来場書店が多く、非常に有意義だった」「来年も参加したい」「商談成立以外にも前向きな情報交換ができた」という高い評価が寄せられたが、「開催時間が長い(17時以降来場者が減った)」という意見も多くみられた。

コーナー作りで売上増/書店再生の増売企画販売/東京理事会

東京都書店商業組合は12月5日に書店会館で定例理事会を開催した。各委員会の主な審議・報告事項は次の通り。
〔書店再生委員会〕
日書連が実施する「書店再生のためのロングセラー、実用書増売企画」の店頭での展開が始まり、片岡隆委員長は「75冊の商品をバラバラにして既存の棚に展開した場合と、フェアとして展示販売した場合で、大きな売上の差がある。『食と健康』という旬のテーマであり、コーナーづくりをしたり、他の出版社の書籍・ムックや売行き良好書とともに展開すると一層効果が上がるという報告が出ている」と述べた。
〔総務・財務委員会〕
根岸勇三理事(埼玉屋書店)が教科書供給の功績により秋の褒章で黄綬褒章を受章したことを報告した。
〔組織委員会〕
賦課金の改定案を来年の総代会に提案することを了承した。
〔再販・発売日・倫理委員会〕
日本出版者協議会(旧・流対協)が、アマゾンジャパンに対し、「AmazonStudent」プログラムの10%ポイント還元特典の中止や、価格表示で再販対象書籍については「定価」と表示するように申し入れている件の説明があった。
〔事業・読書推進委員会〕
第6回読者謝恩図書カードは、申込み枚数の上限をはずして第2次販売を開始した。増売企画は、枻出版社の「ハンドブックシリーズ」増売について、担当者が理事会開会前に企画説明を行った。
〔指導・調査委員会〕
万引きを通報した後の警察の手続きに手間取ったという事例があり、11月の東京万引き防止官民合同会議でこの件を警視庁の担当者に伝えたところ、後日に指導を行ったとの連絡を受けたと説明があった。
〔取引・流通改善委員会〕
店頭陳列に支障がある厚さの雑誌付録2件の事例を報告。また、日書連が雑協と付録問題で意見交換会を行ったことを報告した。
TS流通協同組合の11月期発注件数は5590件(前年同月比70・6%)、売上金額は627万1100円(同57・8%)、書店数は63店(同73・3%)となった。

訃報

小川恵一郎氏(神戸市・灘宝文館、日本書店商業組合連合会相談役、兵庫県書店商業組合相談役)11月27日午後3時55分に逝去した。85歳。
通夜は11月28日午後6時から自宅にて、告別式は29日午後1時から神戸市灘区の理性院で営まれた。喪主は妻の佳津さん。昭和56年から58年まで日本書店組合連合会副会長。出版物販売倫理委員長として「万引問題実態調査報告書」の作成に尽力。同調査は、単一業種の全国規模による本邦初の試みとして大きな反響を呼んだ。

12年上期は同期比93・38%/ABCレポート

日本ABC協会は2012年上半期雑誌発行社レポートを発表した。今回は43社167誌を掲載。各雑誌部数の前年同期比の平均は週刊誌94・35%、月刊誌93・06%で、合計では93・38%となった。
総合週刊誌は、部数首位の『週刊文春』が2万6千部減の46万5千部。『週刊新潮』は3万3千部減の35万6千部でともに後退した。『週刊現代』は5万1千部減の38万1千部、『週刊ポスト』は4万9千部減の28万4千部と振るわなかった。新聞社系では、『週刊朝日』が13万1千部と3千部減少したが、『サンデー毎日』は6千部増の7万3千部と盛り返した。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が3千部増の9万4千部、『週刊東洋経済』は2千部増の6万9千部でともに前期を若干上回った。
女性週刊誌は、『女性セブン』が4千部減の25万9千部、『女性自身』が7千部減の24万2千部、『週刊女性』が9千部減の15万1千部。前期は3誌ともプラスとなったが、一転して軒並み減少となった。
女性月刊誌では、『non・no』が3万9千部減の31万2千部と、2期続けて大幅減。前期に部数を伸ばした『ESSE』が7万6千部減の30万部、『with』が6万3千部減の21万6千部と低迷した。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

元町商店街では、店舗閉店しても、しばらく明るい街灯が点灯していますし、クリスマス音楽も流れています。照明は大正15(1926)年から「鈴蘭灯」というアールデコ式デザインです。
「雨の元町鈴蘭灯濡れて光ったアスファルト」(元町行進曲)と歌われています。この年、当店は「賀集書店」から「海文堂」に改称したのでした。
明るい商店街より、おじさんは吹きさらしの落ち葉が溜まった暗い裏道を歩き家路を急ぎます。
脳内音楽は奥村チヨしかありません。「恋の奴隷」ではないですよ。「落ち葉の舞い散る停車場は~」(千家和也作詞)です。調子に乗ると平浩二「バスを待つあいだに涙を拭くわ~」(千家和也作詞)になり、雨でも降ろうものなら、「氷雨」(とまりれん作詞)になります。冬には悲恋が似合うのですね。演歌だってそうです。みんな北の国に行ってしまいます。
悲しい歌が思い浮かぶのは、やはり本誌連載終了、皆さんとのお別れが迫ってきているからなのでしょう。気がつけば丸6年と1月、皆さんの目を汚してきました。当初半年か1年かな、と思っているうちに、当たり前のように続いてしまいました。1人の人間(それもポンコツ)が長期にわたって本紙の貴重なスペースを独占するのはよくありません。正直なところ、ネタにも困ってきています。このあたりで幕をと、私から降板をお願いした次第です。今月でサヨナラいたします。長い間のご愛読に感謝申し上げます。書店組合の皆さんや他店の方々に、「読んでるでー」と声をかけいただくことたびたびで、たいへん嬉しくありがたく、励みにしてまいりました。問題はー、内容でー……、それは言わぬが何とやら。
大阪の古書肆「鹿田松雲堂」の歴史です【註1】。創業は天保14(1843)年。初代は修業中に大塩平八郎の蔵書処分――義挙の軍資のため――に立ち会ったそうです。二代目は幕末から明治、新聞、雑誌、新刊書、教科書も扱います。書籍商組合で業界発展にも尽力し、目録販売を手がけました。三代目・四代目も店と業界を発展させますが、戦争で古書籍商も大きな被害となりました。空襲で店舗と家族を失い、四代目は心身とも無理が重なり、戦後49歳で亡くなります。長男が再興を目指すも、努力は実りませんでした。
平和な時代である現在、本屋の店頭は賑わっているでしょうか。「文化」は、大切にしなければなりません。しかし、「文化」というものが、安っぽく、薄っぺらで、模倣品で、軽くなっています。私たち本屋は「文化」の担い手となっているでしょうか。そんなことを反省させられる本です【註2】。
大量生産・大量販売・大量消費の出版は、地域の老舗や小型書店を廃業に追い込み、「リサイクル・ブック」を生み出してしまいました。出版が大手企業の傘下になり、主体性を失いかねない事態もあります。「文化、文化」と叫びはいたしませんが、「文化」に対する「敬虔」な気持ちは持ち続けたいと思います。今後電子書籍がどうなるのか、私は全然興味がありませんが、大量○○の出版は全部任せてしまったらいかがでしょう。著者が言います。デジタル化の弊害はあるだろうが、
「悲観的である必要はない。紙の本が閲してきた五百年という歴史の重みである。この時間の集積は、科学がいくら新しい技術を生み出しても、そう簡単に破棄できるものではない。書籍はルネサンスの発生当時から一番使いやすいツールであり、究極のメディアであった。紙の書籍こそ、今後も延々とつづく本の原型であり、永遠の姿ということができる」
本屋は本の力を信じます。最後に。どうぞ、良い読書の時間をお過ごしください。ではでは。
【註1】四元弥寿『なにわ古書肆鹿田松雲堂五代のあゆみ』和泉書院
【註2】菅原孝雄『本の透視図』国書刊行会

緊デジによる電子書籍の配信を開始/出版デジタル機構

出版デジタル機構は、経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」によって電子化されたコンテンツを、11月16日から15の電子書店へ配信を開始した。
第1弾として配信されたのは、講談社新書「ブルーバックス」の52タイトル。『子どもにウケる科学手品77』を始め、人気が高く重版を重ねているタイトルを揃えた。
取扱い電子書店は、「紀伊國屋書店BookWebPlus」「koboイーブックストア」「エルパカBOOKS」「GALAPAGOSSTORE」「コ―プデリeフレンズ電子書店」「セブンネットショッピング」「どこでも読書」「TOPBOOKS」「BooksV」「BOOKSMARTPoweredbyBOOKER’S」「BookPlace」「BookLive!」「honto」「本よみうり堂デジタル」「MOBI―BOOK」となっている。
出版デジタル機構では、今回の第一弾を皮切りに、大手出版社から中小出版社までのさまざまなジャンルのタイトルを、電子書店を通じて配信していく方針。今後の配信については、偕成社の宮沢賢治など児童文学の名作(偕成社文庫)、中央公論新社、筑摩書房、白水社、みすず書房の新書や学術系書籍、ネコ・パブリッシングの鉄道シリーズ「RMライブラリー」、これまであまり電子化されていなかった絵本や図鑑、さらにコミックや文学作品を予定。また、学芸出版社(京都)、創元社(大阪)、金港堂(宮城)といった関西や東北地域の出版社や、電子書籍を初めて手掛ける出版社の作品も制作を進めているとしている。

『聞く力』が総合1位/2012年・年間ベストセラー

トーハン、日販は2012年の年間ベストセラーを発表した。総合トップはともに阿川佐和子著『聞く力』が獲得。2位は渡辺和子著『置かれた場所で咲きなさい』となった。
〔トーハン調べ〕
①聞く力(文藝春秋)②置かれた場所で咲きなさい(幻冬舎)③新・人間革命(24)(聖教新聞社)④体脂肪計タニタの社員食堂/新・体脂肪計タニタの社員食堂(大和書房)⑤舟を編む(光文社)⑥大往生したけりゃ医療とかかわるな(幻冬舎)⑦人生がときめく片づけの魔法/人生がときめく片づけの魔法(2)(サンマーク出版)⑧不滅の法(幸福の科学出版)⑨実はスゴイ!大人のラジオ体操(講談社)⑩50歳を超えても30代に見える生き方(講談社)⑪「空腹」が人を健康にする(サンマーク出版)⑫日本人の知らない日本語(3)(メディアファクトリー)⑬美木良介のロングブレスダイエット/美木良介のロングブレスダイエット1週間即効ブレスプログラム/美木良介のロングブレスダイエット必やせ最強ブレスプログラム(徳間書店)⑭采配(ダイヤモンド社)⑮かいけつゾロリはなよめとゾロリじょう/かいけつゾロリのメカメカ大さくせん(ポプラ社)⑯こびと大百科(長崎出版)⑰謎解きはディナーのあとで/謎解きはディナーのあとで(2)(小学館)⑱心を上手に遠視する方法(サンマーク出版)⑲黒子のバスケ―Replace―/黒子のバスケ―Replace2―/黒子のバスケ―Replace3―(集英社)⑳こびと観察入門(1)(長崎出版)
〔日販調べ〕
①聞く力心をひらく35のヒント(文藝春秋)②置かれた場所で咲きなさい(幻冬舎)③新・人間革命(24)(聖教新聞社)④体脂肪計タニタの社員食堂500kcalのまんぷく定食/新・体脂肪計タニタの社員食堂もっとおいしい500kcalのまんぷく定食(大和書房)⑤舟を編む(光文社)⑥大往生したけりゃ医療とかかわるな「自然死」のすすめ(幻冬舎)⑦人生がときめく片づけの魔法(1・2)(サンマーク出版)⑧DVD付き実はスゴイ!大人のラジオ体操(講談社)⑨美木良介のロングブレスダイエット/美木良介のロングブレスダイエット1週間即効ブレスプログラム/美木良介のロングブレスダイエット必やせ最強ブレスプログラム/美木良介のロングブレスダイエット健康ブレスプログラム腰痛、肩こり、足のむくみは私におまかせください!(徳間書店)⑩日本人の知らない日本語(3)(メディアファクトリー)⑪50歳を超えても30代に見える生き方「人生100年計画」の行程表(講談社)⑫「折れない心」をつくるたった1つの習慣(青春出版社)⑬心を上手に透視する方法(サンマーク出版)⑭謎解きはディナーのあとで(1・2)(小学館)⑮「空腹」が人を健康にする「一日一食」で20歳若返る!(サンマーク出版)⑯こびと大百科びっくり観察フィールドガイド(長崎出版)⑰采配(ダイヤモンド社)⑱かいけつゾロリはなよめとゾロリじょう(ポプラ社)⑲弱った体がよみがえる人体力学(高橋書店)⑳不滅の法宇宙時代への目覚め(幸福の科学出版)

話題の人物賞にももクロと栗山監督/DIMEトレンド大賞

「2012小学館DIMEトレンド大賞」の発表・贈呈式が11月12日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で開かれた。
今回は「話題の人物賞」に北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督と5人組アイドルグループ「ももいろクローバーZ」が選ばれ、ゲストとして登場。会場を沸かせた。大賞は、ユーザー同士なら国内・国外、通信キャリアを問わず無料で音声通話やメールができるスマートフォンアプリ「LINE」(NHNJapan)が受賞した。
小学館DIMEトレンド大賞は、ビジネスからエンターテインメントまで、その年のトレンドを映し出す注目商品、ヒット商品、先見性のある商品に贈られる賞で、今年で25回目。
〔「DIME」月刊化へ〕
小学館は12月3日、月2回刊行してきたトレンド情報誌『DIME』を、来年3月から毎月16日発売の月刊誌にすると発表した。
同誌はトレンド情報誌の草分けとして、1986年4月17日に隔週刊誌として創刊。以来、ビジネスパーソンを中心に支持されてきた。それから27年たち、読者の仕事、生活、消費環境は激変。こうした時代を生きる30代~40代の好奇心、購買心、コミュニケーション能力、仕事の作法の指南役として、月刊化を機会に取材力、編集力を深く厚くし、増ページすることで、ネットメディアでは届かないリアルトレンドマガジンを目指すとしている。

業界人必携「書店実務手帳」発売/トーハン

トーハンは「書店実務手帳」の2013年版を発売した。150×85㍉、頒価750円。出版市場の概況等の各種データ、売場別年間スケジュール、主要雑誌の発売日(約380誌掲載)、出版社名簿(約1000社掲載)、展示冊数算出表、資格試験等一覧など、日々の業務に役立つ資料をコンパクトにまとめている。

消費増税など激論/ニコ動で党首討論

ドワンゴ、ニワンゴ両社が運営する動画サイト「ニコニコ動画」は11月29日、東京・六本木のニコファーレで、衆議院議員総選挙に先駆けてネット党首討論会を開催。野田佳彦首相(民主党代表)、自民党の安倍晋三総裁ら10党の党首が参加し、TPP、消費増税、原発の3つのテーマについて討論した。
党首討論はニコニコ生放送で生中継され、総来場者数は140万3551人と過去最多を記録した。民主党、自民党、日本未来の党、公明党、共産党、みんなの党、社民党、国民新党、新党大地、新党日本の各党首が参加。日本維新の会、新党改革は欠席した。
消費増税は民自公3党などの賛成多数で可決・成立したが、民主党の野田代表は「安定財源を確保することで、将来の年金、社会保障を安心なものにし、子育てを応援しようということ」と消費増税法の主旨を説明。併せて低所得者対策の必要性を強調し、所得税、相続税、資産課税を格差是正の観点から見直す考えを示した。
自民党の安倍総裁は「経済が悪い状況、デフレが進行していく中では、消費税は上げない」とする一方、「毎年増え続ける年金、医療、介護、子育ての給付に責任感を持たねばならない」とも述べ、「税金を上げるだけでなく経済を成長させながら財政再建を目指す」考えを強調。「デフレを脱却しなければ税収は増えない。日銀の伝統的な方法でない新たな次元のデフレ脱却政策を進めたい。経済成長と無駄遣いをなくすことが大切」と主張した。
公明党の山口那津男代表は「税と社会保障の一体改革の中核は消費税だが、制度設計にあたって低所得者対策、中でも軽減税率を8%段階から採用すべき」と主張。「軽減税率はヨーロッパでは長い歴史を持ち、生活必需品、食料品、メディア、知的媒体などに軽減税率を適用している。国民から理解を得られやすい、こうした軽減税率が最もふさわしい。景気対策をしっかりやり、消費税の制度設計を完成させるべき」と強調した。
日本未来の党の嘉田由紀子代表は「不況下での増税は経済を悪化させる。今やるべきことは歳出削減」との考えを示し、消費増税凍結を訴えた。共産党の志位和夫幹部会委員長は「デフレ下、不況下で大増税をすれば、国民の負担が増え、経済が底抜けする。増税は暮らしも経済も財政も壊すもので、中止すべき。消費税に頼らない別の道を探究しなければ」と主張した。みんなの党の渡辺喜美代表は「消費税は社会保障の財源という大前提が間違い。消費税は所得のない人も小学生も払うもの。全額、地方の財源にするのが相応しい」と指摘した。
社民党の福島瑞穂党首、新党大地の鈴木宗男代表、新党日本の田中康夫代表は増税反対をアピール。一方、国民新党の自見庄三郎代表は増税容認の考えを示した。

世界最多15軒が3つ星獲得/ミシュランガイド東京・横浜・湘南

日本ミシュランタイヤは12月1日、レストランとホテルの格付け本『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2013』(定価本体2400円)を発売。これに先立ち11月28日、東京・文京区の椿山荘で出版記念パーティを開き、同書の概要を発表した。
今回掲載された施設は合計350軒で、内訳はレストラン286軒、ホテル52軒、旅館12軒。レストラン22軒と旅館1軒が新たに1つ星として掲載された。
このうち最高評価の3つ星を獲得したのはレストラン15軒(東京14軒、湘南1軒)で前年より2軒減少したものの、今年も世界最多の3つ星を獲得した。2つ星はレストラン57軒(東京53軒、横浜3軒、湘南1軒)と旅館1軒(湘南)、1つ星はレストラン214軒(東京175軒、横浜14軒、湘南25軒)と旅館1軒(湘南)だった。
出版記念パーティであいさつに立った日本ミシュランタイヤのベルナール・デルマス社長は「今年は発刊から6年目にも関わらず、22軒ものお店が新規掲載された。日本でミシュランガイドを発行するたびに、日本の食のレベルの高さを感じる」と語った。また、ミシュランガイド総責任者のマイケル・エリス氏も「日本の食は、世界でも稀に見る活力にあふれている。ますますクリエイティブに、着想豊かに、新しく変貌している」と称賛した。

活字への軽減税率適用/読売新聞グループ白石社長が求める/読売中公会

第28回書店読売中公会が11月8日、東京・千代田区の東京會舘で開かれ、会員書店、取次、読売新聞東京本社、中央公論新社など約160名が出席した。総会終了後に行われた懇親会の席上、読売新聞グループ本社の白石興二郎社長は、消費税率引き上げに際し、新聞や出版物には軽減税率を適用すべきとの考えを改めて示した。
総会の冒頭、あいさつした亀井忠雄会長(三省堂書店)は、同会の2011年度の販売実績は前年比110・5%と好調だったが、12年4月~9月の販売実績は前年比87・9%と低迷していると報告し、「中公文庫は来年、創刊40周年を迎える。これから来年に向けて文庫の新刊をしっかりと取り上げたい。色々な仕掛けで頑張って販売し、来年3月末の締めで前年をクリアしたい」と会員書店に協力を呼びかけた。
中央公論新社の小林敬和社長は「11年度の概況は、売上高63億9900万円で前年比101・3%の増収となった。文庫『ピース』が33万部、『世界史(上・下)』が48部に達した。既刊の店頭仕掛け商品として大きく売り伸ばしたことが、黒字確保の原動力になった」と謝意を示した。
来賓を代表して日販の古屋文明社長は「巨人の優勝が景気と書店店頭の活性化につながってほしい」とあいさつ。このあと今後の販売企画として、中公文庫創刊40周年企画の記念フェアと棚チェックキャンペーン、浅田次郎氏の単行本『一路』販売コンクール、「中公新書で今を読み解く」と題したフェアセット企画と棚チェックキャンペーンなどの説明があった。
同会販売委員会の田村定良委員長(田村書店)は「中公文庫はエンターテインメント系も売れるようになった。矢月秀作氏の『もぐら』シリーズを来年のこの時期までにミリオンセラーにしたい」と話した。
総会終了後に懇親会が行われ、あいさつした読売新聞グループ本社の白石社長は消費増税問題に言及。「政局は混沌としているが、一番の課題は14年と15年に引き上げられる予定の消費税への対応。14年8%の段階から軽減税率を導入するよう政府、与野党に働きかけているが、見通しは明るくない。ただ、政権が変われば一縷の望みがあると思うので、引き続き努力する。早く新しい政治の形を作ってもらいたい。それが景気低迷を打開する唯一の方法」と話した。

書店向け機能を拡充/日販「WIN+」

日販は11月5日、CRMプログラム「HonyaClub」の顧客・購買履歴分析システム「WIN+」に大幅な機能追加を行ったと発表した。
従来の出版社の編集・宣伝・広告・販促を支援するマーケティング分析メニューに加え、売場作りや顧客囲い込み施策、販売促進等の書店店頭での施策を支援する機能を中心に充実させ、出版業界の川上から川下まですべての流通段階で利用できるマーケティングツールになった。
書店が利用できる新機能は、購入金額帯別の会員の購買動向を分析できる「会員ランク分析」、自店の購買履歴を活用したランキングやクラスタPOPを簡易に出力できる「POPがポン」、会員属性や購買履歴を切り口に販促対象者を自由にアレンジして抽出できる「会員番号抽出」、自店の会員動向や売上占有率など各種実績を把握できる「完全攻略ガイド」。店舗ごとの客層に合った分析・提案ができるようになった。
また、書店と出版社がともに利用できる機能として、著者同士の客層比較や特定著者の購入者が他にどんな著者を購入しているか確認できる「著訳者数珠つなぎ分析」「著訳者クラスタ比較分析」を搭載。新たな著者の発掘や棚作りに活かせる機能となっている。

雑誌バックナンバーを全店在庫/日販、客注サービス強化

日販は11月1日、客注品の取り寄せサービス「本の超特Q!QuickBook」で雑誌バックナンバーの在庫を大幅に拡大。一部例外を除き、同社の仕入銘柄全点を取り揃えることにしたと発表した。
雑誌バックナンバーサービスは分冊百科とNHKテキストなど売行良好銘柄を中心に、2011年9月にスタートしたもの。今回、書店から要望が多かった婦人誌やホビー誌、さらに洋雑誌や医書雑誌まで幅広い在庫を揃えることで書店の利便性を高め、雑誌バックナンバーの客注に応える。

上期売上高3・8%減/単体・連結ともに減収増益/トーハン

トーハンは11月29日、第66期上半期決算(H24・4・1~9・30)を発表した。単体の上半期売上高は2295億8000万円で前年より3・8%減少した。内訳は、書籍877億200万円(前年比4・8%減)、雑誌1271億7500万円(同4・1%減)、MM商品147億200万円(同5・0%増)。
売上総利益は前年比3・7%減の265億7300万円。販売費及び一般管理費は、運賃や荷造費などの販売費が上昇したが、全社でコスト削減に取り組んだ結果、管理費が同7・8%減と大幅に減少し、営業利益は同5・9%増の26億5900万円となった。営業外収益は株式配当金や不動産賃貸料の増加などで同5・0%増となり、営業外費用の増加分を吸収し、経常利益は同10・6%増の17億4000万円。法人税等を差し引いた中間純利益は14億5600万円となり、同18・9%増の減収増益決算となった。
返品率は、書籍が前年比1・0ポイント増の43・5%、雑誌が同1・8ポイント増の40・1%、MM商品が同0・4ポイント減の19・2%で、総合では40・5%と同1・3ポイント上昇した。
今期は、2011年の書店向けWebシステム「TONETSV」のバージョンアップに続き、出版社向けオープンネットワーク「TONETSi」を9月に稼働し、書店・出版社・トーハンを一本で結ぶ情報インフラを構築した。「MVPアライアンス」契約は2年目に入り75法人が参加。上半期の実績は既存書店と比べ総合売上で1・1ポイント上回り、総合返品率は0・6ポイント下回った。上半期の新規書店は253店・1万6533坪、転廃業は147店・1万4017坪。
下半期は、「TONETSV」「TONETSi」のデータを活用した効率送品の実施や、外商販売力の強化に取り組む。電子書籍事業では、「Digitale―hon」の全面リニューアルに続き、書店店頭での電子書籍販売システム「c―shelf」を12月22日にスタート。年度内で3千店の導入を目指す。
連結決算は、連結対象となる関係会社が、スーパーブックスと明屋書店グループ6社を加えて合計19社に増加。明屋書店グループは貸借対照表のみの連結とした。売上高は前年比4・1%減の2339億5200万円、経常利益は同26・0%減の12億8100万円となったが、明屋書店グループの株式購入による特別利益の計上により、中間純利益は同40・9%増の17億8000万円と、単体同様に減収増益だった。

女性誌でイベント連動企画を展開/講談社広告企画発表会

講談社は11月13日、平成25年度広告企画発表会を本社で開催。『ViVi』『VoCE』で行うイベント連動企画の展開をはじめ、各雑誌の諸施策について説明した。
冒頭で、森武文専務は2012年11月期の決算について、広告収入は前年比104%と11年ぶりに前年を上回ったと述べ、主な要因として『ViVi』でファッション以外のスポンサーからの出稿が大幅に増加したこと、『VoCE』が積極的な企画提案でコスメブランドの大型案件を獲得したことなどを挙げた。
来期は、『ViVi』が創刊30周年、『VoCE』が創刊15周年を迎え、本誌の強化を進めるとしたほか、リアルの出版物と電子書籍との相乗効果を目指した積極展開や、インド版『巨人の星』放映など海外事業について説明し、「私どもの持つ資産をフル活用して来期売上を確保していく」と述べた。

講談社が12年秋の新刊書籍説明会/ローリング新作など

講談社は「2012年・秋新刊書籍説明会」を11月26日に東京都文京区の本社で開催した。
始めに野間省伸社長が「koboやKindleが発売され、さまざまな電子書籍サービスが始まっている。講談社もこの1年間は電子書籍の拡充に励んできたが、私どもの売上の90数%は紙の書籍であり、こちらもきちっと丁寧にやっていく」とあいさつした。
企画説明では、書籍担当者が各自工夫を凝らしたプレゼンテーションを展開。12月1日発売のJ・K・ローリング著「カジュアル・ベイカンシー突然の空席Ⅰ・Ⅱ」について海外文芸出版部の山口和人部長は「著者自身が『小説を書きながらこんなに泣いたことはない』と語っている。読者の心を大きく揺さぶる感動的な内容であることを強調したい」と話した。このほか、『別れる力大人の流儀3』の著者・伊集院静氏や、『三角でもなく四角でもなく六角精児』の著者・六角精児氏らが登壇して自著について語った。

13年上半期の雑誌企画を発表/小学館

小学館は12月3日、東京都千代田区のホテルグランドパレスで「2013年上期雑誌新企画発表会」を開催した。
冒頭あいさつで早川三雄常務は「来年は久しぶりに小学校の入学児童数が増え、今年より2万7千人多い子どもたちが元気に入学する。出版界こぞって彼らの入学をお祝いしたい。雑誌の売上を上昇気流に乗せるために、定期購読者の獲得を推進し、企画の最新情報をできるだけ早く取次や書店に知らせるようにしたい。雑誌の販売に即効薬はない。地道だがこの二つのテーマにしっかり取り組む」と述べた。
『小学一年生』は、1月発売の入学準備直前号、3月発売の4月号、4月発売の5月号の企画を連動して読者の購読を促進。販売施策については、①実売前年比大幅増、②4月号で獲得した読者の継続をめざした5月号対策の強化、③定期購読キャンペーン――の3つを重点目標に取り組むと説明した。4月号と5月号を対象とした増売コンクールは、売上率条件を85%から75%に緩和した。
このほか、学習ムック『ドラえもんふしぎのサイエンス』(12月7日第5号発売)、『コナンをめざせ謎解きチャレンジ2013』(2013年4月発売)や、『DIME』の月刊化(2013年3月から毎月16日発売予定)、コミックの最新情報等の説明が行われた。

中間決算は減収減益/書籍返品率1・5ポイント改善/日販

日販は11月28日、第65期中間決算(12・4・1~9・30)を発表した。単体の売上高は今春からの市況悪化による店頭売上の落ち込みを反映して2762億2800万円で対前年1・6%の減収となった。このうち商品売上高の内訳は、書籍が1214億7900万円で同1・8%増となったものの、雑誌はダウントレンドが続き1457億2400万円で同2・6%減。開発商品も146億2800万円で同1・4%減となった。
返品率は、書籍はPARTNERS契約の締結など出版流通改革の取り組みが奏功し、34・1%と同1・5ポイント改善した。一方、雑誌は37・5%で同1・5ポイント上昇した。この結果、合計返品率は35・7%で同0・2ポイント上昇した。
雑誌売上高の減少とレンタル市場の低迷によるPPTの収益力の低下で、売上総利益は252億6500万円で同5・3%減。全社でコスト削減に努力した結果、販売費及び一般管理費は239億9600万円で同4・2%減と、売上高の落ち込み以上に抑制した。しかし、市況悪化による売上高の減少、返品率改善幅の低下をカバーしきれず、営業利益は12億6800万円で同22・2減、経常利益は15億3800万円で同24・4%減。これに投資有価証券評価損などによる特別損失と法人税等を加味した結果、中間純利益も10億2300万円で同10・8%の減益となった。
子会社17社との連結決算は、連結売上高は3352億9500万円で同1・7