全国書店新聞
             

平成30年7月1日号

活字文化議連、子どもの未来を考える議連合同総会/軽減税率、確実に適用を

活字文化議員連盟と子どもの未来を考える議員連盟は6月11日、東京・千代田区の参議院議員会館で合同総会を開き、国会議員約30名、書店、出版社、取次など約220名、合計約250名が出席。来年10月の消費税引き上げ時に新聞、書籍・雑誌に対して確実に軽減税率を適用するよう求めていく活動方針(別掲)を採択した。日本書籍出版協会(書協)の相賀昌宏理事長(小学館)は、書協、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日書連の4団体が「書籍・雑誌の軽減税率適用に関する制度設計骨子(案)」をまとめ、軽減税率の対象図書を区分する自主管理団体を設立すると報告。書籍・雑誌に対する軽減税率適用を訴えた。
冒頭のあいさつで、活字文化議連の細田博之会長(衆議院議員)は「食料品は口から入って栄養になり、新聞、書籍・雑誌は目を通って脳に入って知恵をつける。同じぐらい大事なもの」と指摘し、軽減税率適用を実現したいと話した。書籍・雑誌については「表現の自由の問題はあるが、有害図書を対象から除外すべきという議論がある。出版業界全体で協議し、内容を各党などの関係者に説明する段取りとなっているが、決定するのは年内。半年しか時間がない中での調整が大きな課題だ。軽減税率に関するしっかりした制度を確立することを期待している」と述べた。
子どもの未来を考える議連の河村建夫会長(衆議院議員)は「子どもたちがお小遣いで気軽に本を買うことができる社会でなければならない」として、2020年を「日本絵本年」にしたいと提案。また、知的財産を守る観点から、新聞、書籍・雑誌への軽減税率適用の実現に向けて取り組んでいくと述べた。
各界からの発言者として登壇した日本新聞協会の白石興二郎会長(読売)は、「新聞への軽減税率適用が文字通り実現されることを期待する」とした上で、定期購読だけでなく、即売や電子版へも適用を求めていることを説明。書籍・雑誌についても「出版界と二人三脚で適用を求めていく」と述べた。
書協の相賀理事長は「出版業界は平成28年度与党税制改正大綱の提言を真摯に受け止め、鋭意検討を進め、意見の調整に努めてきた」と述べ、「書籍・雑誌への軽減税率適用に関する制度設計骨子(案)」をまとめたと報告。有害図書排除の仕組みの構築では、軽減税率の対象図書を区分する自主的管理団体「出版倫理コード管理機構」と第三者委員会「出版倫理審議委員会」の設立の準備を進めていることを説明した。
そして、出版物は国民の健康的で文化的な生活を支えるため重要な役割を果たしていると指摘し、「増税による価格上昇は購入を躊躇わせる要因となる。新刊書店での購入が減少し、執筆者への還元と新たな出版物の再生産が少なくなり、国民の知的・文化的な環境の衰退という負のスパイラルに入る。増税による書店店頭からの客離れに対する危機感は大きい」と述べ、軽減税率適用を訴えた。
作家の林真理子氏は、出版業界は2桁のマイナス成長が続き、多くの作家がじり貧の生活に陥っていると窮状を訴え、出版文化を守るために軽減税率が必要と話した。
【当面の活動方針について/活字文化議員連盟、子どもの未来を考える議員連盟】
(1)新聞・書籍・雑誌への軽減税率の適用について
2016年度税制改正では、週2回以上発行、定期購読の新聞が軽減税率の対象とされたが、書籍・雑誌については、「日常生活における意義」や「有害図書排除の仕組みの構築状況等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討する」とされたところである。
これを受けて、出版界は自主的な検討を続け、「書籍・雑誌は文化振興を目的とした文字・活字文化の基層をなす文化的意義がある」とし、また有害図書排除の仕組みの構築については、「民間の自主的な管理団体による有害図書区分システムを確立し、軽減税率が適用される書籍・雑誌を特定する」という方針を定めた。われわれはこの方針を是とし、消費税の10%引き上げ時には、文化振興の観点から新聞、書籍・雑誌に対して確実に軽減税率を適用するよう求めていく。
(2)「絵本文化推進2020」と絵本サミットについて
青少年の読書離れは、多くの先進国に共通する課題である。読書習慣の始まりの一歩は、絵本の読み語りにあるという考え方も共通している。わが国の絵本や児童文学は、その豊かさと多様性において国際社会の評価が高い。また、子どもの読書環境にかかわる法整備や絵本専門士、朗読指導者、認定絵本士などの人材育成は、他国に劣らぬ施策である。
2020年東京五輪のスポーツ祭典・文化祭典で、わが国の絵本文化に光を当てることは、新たな視点から日本文化の歴史と魅力を世界に発信することにほかならない。われわれ議員連盟は、政官民による「絵本文化推進2020」(仮称)を設立し、2020年を〝日本絵本年〟とする決議の提案を検討する。今秋には設立総会をひらき、「世界絵本サミット」の開催など、絵本に係わる活動に取り組む決意を表明する。

「有害図書排除」で自主管理団体設立へ/軽減税率適用に向け準備進む

日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日書連の出版4団体は、出版物への軽減税率適用に向けて、有害図書排除のための自主的管理団体や第三者委員会の設立の準備を進めている。
書籍・雑誌への軽減税率適用について、平成28年度税制改正大綱で示された「その日常生活における意義、有害図書排除の仕組み構築状況等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討する」との提言を受け、出版業界は民間の自主的な管理団体による有害図書区分のシステムの確立を検討。「出版倫理コード」(仮称)を付与された書籍・雑誌を軽減税率とすることや、出版倫理コードを付与・管理する団体として書協、雑協、取協、日書連で構成する「一般社団法人出版倫理コード管理機構」を設立する案をまとめた。
書籍・雑誌の流通で使われている既存コード(書籍JAN、定期刊行物コード)を活用し、現在利用されていない空白の桁を用いて、軽減税率となる出版物に関する桁を新設する。出版倫理コードの付与・管理は、日本出版インフラセンター(JPO)の日本図書コード管理センター、雑誌コード管理センターと連携協力して実施する。
また、法曹関係者、学識経験者、教育者・保護者らによる第三者委員会「出版倫理審議委員会」を併せて新設。同委員会は「出版倫理コード管理機構」の諮問を受けて出版倫理コードの付与の可否を審議し、実質的な判断を行う。

7月22日に茨城県つくば市で開催/関東ブロック会

日書連関東ブロック会(鈴木喜重会長)が7月22日(日)、茨城県つくば市の「つくば山水亭」で開催される。
当日は午後2時から会議、午後3時45分からベレ出版取締役相談役の内田眞吾氏による講演「なぜ本屋の無い地域への出店という暴挙を、あえて行ったのか?~本と書店の大切さを再認識するために~」、午後5時から懇親会を行う。

京都BF、作家サイン会など、多彩な読書推進の活動を報告/京都総会

京都府書店商業組合は5月30日、京都市中京区の京都ホテルオークラで第34回通常総会を開催し、62名(委任状含む)が出席した。
総会は森武紀明氏(山城書店)の司会で進行し、冒頭であいさつした犬石吉洋理事長(犬石書店)は、「新体制になってから丁度1年が経過した。いろいろと不慣れだったが、その都度周囲の方々から意見を聴きながらやってきた。今後の活動もいろいろな意見を基に行っていくので、忌憚のない意見を頂戴したい」と述べた。
続いて、議長に村田清氏(村田舞鶴堂)、副議長に井上一哲氏(井上文鴻堂)を選出して議事を進行。全ての議案を原案通り承認可決した。
第1号議案の各種事業については、組織情報委員会から組合員数について、平成30年3月末日現在で組合員総数は前年度より9店減の137店と報告した。図書館納本事業委員会からは、前年より受注が増えた分、純利益が前年比増加したと報告。厚生委員会からは例年通り秋の慰安旅行と物故者法要、新年互礼会、さらに京都ブックフェスティバルの日程に合わせて女性社員・店員を対象とした「女性のためのお食事会」を開催したと報告した。
事業活性化委員会からは、森見登美彦著『シャーロック・ホームズの凱旋』(『小説BOC』に掲載)を記念したサイン会や、第5回京都本大賞受賞の原田まりる氏のサイン会を開催。さらにBOOKEXPO2017において京都本大賞ブースの出展、商店街振興組合寺町会主催のこども囲碁大会の後援とサポートなど、多様な活動を行ったことを報告した。
その後、会計報告・京都書店会館運営報告・監査報告と続き、次年度の事業計画案では、総務・財務委員会は、組合員減少に伴う定款の理事定数変更などについて説明。また図書館納本事業委員会からもスタッフの減少に伴う慢性的な人手不足の解消を模索するとした計画が上程された。
引き続き会場では、京都組合から、5年以上理事として貢献した該当者3名に「役員表彰」が行われた。また、京都新聞COMからは「第47回京都新聞お話を絵にするコンクール販売促進キャンペーン」について売上上位5店舗の表彰が行われた。
午後5時からは出席者による懇親会を開催した。
(若林久嗣広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「図書カードとクオカード」/大阪・ブックスふかだ代表取締役・深田健治

当店では最近、図書カードの販売枚数がかなり減っている。一方、プレゼントなどでよく見かけるのがクオカードだ。コンビニでしか使えないイメージがあるが、当店では利用もできるし、カードの販売もしている。お客様の利便性を考えて3年ほど前に導入したのだが、利用者の多さに驚いている。「クオカード使えます」のPOPを見て財布の中身を探す人もけっこういる。
クオカードは企業による100枚以上のまとめ買いが非常に多く、顧客に贈るプレゼントとして利用されているようだ。これほど流通して販売金額の多いクオカードのお客様を、コンビニではなく本屋へ誘導したいものだ。
同時に、図書カードの販売枚数を増やすことも考えたい。図書カードがクオカードなど他のカードと違うのは「本しか買うことができない」ということ。クオカードをもらった人の多くはコンビニに行くだろうが、図書カードをもらった人は確実に本屋に足を運んで本を買ってくれる。当店のような小さな店の店頭で売れる図書カードが少なくなっているのは仕方ないとしても、企業などの一括採用でもっと利用してもらえないだろうか。
わが町会では、お祭りなどの参加者に配るために図書カードを買ってくれていたが、最近クオカードに変更した。子供たちがコンビニで使えるから便利だという。うーん、ちょっと違うんじゃないかなって思う。
本屋で本を買ってもらうためのツールとして、図書カードの存在をもっとアピールしたい。

暮しの手帖社『戦中・戦後の暮しの記録』を増売/東京組合

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は6月5日に東京・千代田区の書店会館で理事会を開催した。
事業・増売委員会では、暮しの手帖社『戦中・戦後の暮しの記録』(7月下旬刊行予定)について企画を説明。同書は『暮しの手帖』創刊70周年を記念して出版されるもので、東京組合では既刊の『戦争中の暮しの記録』と併せ、休業店等を除く加盟店274店に各3冊配本して増売に取り組む。
指導・調査委員会からは、東京万引き防止官民合同会議主催で8月1日に開催される第9回「万引き追放SUMMERキャンペーン」について、小林副理事長ら役員が出席すると報告した。
このほか、10月27、28日に開催される第28回神保町ブックフェスティバル(同実行委員会主催)について、東京組合後援名義使用を承認した。

発売日格差の更なる改善求める/書店活性化の取り組み継続/沖縄総会

沖縄県書店商業組合は5
月28日、那覇市の同組合会議室で第30回通常総会を開催し、組合員30名(委任状含む)が出席した。
総会は竹田祐規事務局長の司会で進行し、小橋川篤夫理事長があいさつ。書店を取り巻く現状や、全国的な書店数の減少、図書館の指定管理者制度導入が進んでいる状況などを説明した。また、平成29年度の活動報告として、トーハンの関連会社メディアパル発行の「新・よくわかる出版流通のしくみ2017~18年版」の組合員への配布、組合制作の「のぼり」の配布や、「ポケッター18」の組合員への配布などについて話した。
続いて小橋川理事長を議長に議案審議に入り、平成29年度事業報告、収支決算報告、平成30年度事業計画案、収支予算案など、第1号議案から第7号議案まで全ての議案を原案通り承認した。今年度の取り組みとして、昨年に引き続き、①雑誌・書籍の発売日短縮に向けてのさらなる改善の継続、②書店活性化に向けた取り組み、③日書連が取り組んでいる「書店の粗利益拡大」等4項目の早期実現に対して当組合も協力していく――を提案した。
任期満了に伴う役員選出では、小橋川理事長、大城副理事長、真栄城副理事長を再選した。
(大城行治広報委員)

新たな読者発掘する施策が課題/オリジナルしおりを作成へ/石川総会

石川県書店商業組合は5月21日、金沢市の石川県教科書販売所で第30期通常総会を開催。組合員50名(委任状含む)が出席した。
総会は事務局の司会で進行し、冒頭で森井清城理事長は「書店を取り巻く環境は一段と厳しくなり、ここ30年で組合員数は半減、毎年数軒ずつ廃業店が発生している危機的状態だ。しかしながら書店のフロア面積は倍増しており、人口比で考えれば飽和状態をはるかに超えている感がある。それぞれの書店が店舗規模や立地にマッチした経営に腐心しているが、個店単位ではなかなか採算ベースに乗らないのが現実ではないか。ネットやコンビニでの出版物の取扱いも脅威だが、書店の店頭で出版物を手に取って選ぶ楽しみや、新たな世界を発見する喜びを読者に提供できる強みを今一度考え、新たな読者を発掘する施策の必要性を痛感する」とあいさつした。
引き続き、森井理事長を議長に議案審議を行い、第30期事業報告、収支決算報告・監査報告、第31期事業計画案、収支予算案など全ての議案を原案通り承認可決した。また、書店活性化の施策事業として「オリジナルしおり」を作成して組合員に配布し、活用してもらうことにした。
任期満了に伴う役員改選では、理事1名から退任の申し出があり、選考委員による指名推薦で理事13名(1名減)、監事2名を選出した。
総会終了後、出席者による懇親会を行った。
(金野忠事務局長)

地域密着の書店と図書館のあり方探る/奈良理事会

奈良県書店商業組合(林田芳幸理事長)は6月4日、大和郡山市の啓林堂書店郡山店で第5回理事会を開いた。
林田理事長が「地元に密着した図書館と書店の在り方を考えたい」とあいさつした後、県立図書情報館で開かれた「書店員によるビブリオバトル」などについて報告があった。また、次回(第34回)総会を8月23日に橿原市久米町の橿原観光ホテルで開催することを決めた。
このほか、公立図書館への本の納入をめぐる問題で、県立奈良養護学校進路支援部の平谷嘉基部長から、納入本の加工を障害者が通う事業所に委託する可能性や問題点などについて聞いた。
次回理事会は7月7日に開催する。
(靍井忠義広報委員)

成人向け商品の区分陳列徹底を呼びかけ/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(井上俊夫理事長)は5月15日、横浜市中区のかながわ労働プラザ会議室で定例理事会を開催した。
議事の前に、第35回「神奈川県夏の推薦図書」読書感想文コンクールについて、出版社と主催者を代表してポプラ社と神奈川新聞社が説明し、お互いの積極的な協力体制を確認した。
報告事項では、出版物への軽減税率適用の現況や、9月開催の日書連全国広報会議に神奈川組合からも参加することを報告。倫理委員会からは、フリマアプリを使った万引本転売の被害が甚大であることから、その対処法が早急に求められると説明があった。また、神奈川組合が後援する「大好きな本絵画コンテスト」の選定作業が行われ、表彰式を6月17日に行うこと、神奈川県育成条例に基づきアダルト関係の商品は区分陳列を徹底することと報告があった。
理事会の議題では、横須賀支部の書店の閉店による退会を承認。拡販商品として例年実施している神宮館の暦を、平成31年版も積極的に販売することとした。
昨年度で終了した日書連の手帳「ポケッター」に代わり、金額や利用のしやすさなどの面からパイロット製のスケジュール手帳を採用することとし、6月末をめどに注文を募ることにした。(山本雅之広報委員)

組合書店の減少を危惧/書店間での情報股間を促進/福井総会

福井県書店商業組合(安部悟理事長)は平成29年度総会を5月28日に芦原温泉の灰屋で開き、組合員29名(委任状含む)が出席した。
総会は京藤副理事長の司会進行で始まり、安部理事長があいさつ。「出版不況で全国的に街から本屋が消える現象が起きており、福井組合でも同様だ。福井は2月の豪雪により売上低下と流通のマヒで雑誌等の期間切れが多く発生し、組合員には大きな負担となった。ただ取次が個別に入金率や返品入帳で弾力的に対応してくれたのは幸いだった。まだこの厳しい状況は続く。さらに書店間での情報交換を進めるとともに、日書連の書店くじや『心にのこる子どもの本』セールへの積極的な参加をお願いする」と呼びかけた。
吉川理事を議長に議案審議を行い、事業報告、決算等の1号議案を清水副理事長が報告、続く予算案等の2号議案も満場一致で承認可決した。
その後、来賓の日販北陸支店長・川田晃樹氏、トーハン北陸支店アシスタントマネージャー・野村栄司氏、聖教新聞社関西副支社長・新井正人氏、同福井支局長・加藤幸治氏、ウララコミュニケーションズ編集長・宮田耕輔氏がそれぞれあいさつを行った。
懇親会は日販川田支店長の乾杯で始まり、2月の福井豪雪での苦労話や、会場のすぐ近くで起きた老舗旅館「べにや」の火事が話題になっていた。
(清水祥三広報委員)

前年同期比で94・44%/2017年下期ABCレポート

日本ABC協会は2017年下半期(7月~12月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは40社152誌。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は、週刊誌91・91%、月刊誌95・19%、合計94・44%となった。
総合週刊誌は、『週刊文春』が前期から9千部減とやや部数を落としたが36万3千部と販売部数トップを維持した。『週刊現代』は1万7千部減の24万6千部、『週刊新潮』は4千部減の24万2千部でともに前期比マイナスに。『週刊ポスト』は7千部増の22万4千部と盛り返した。新聞社系では、『週刊朝日』が5千部減の7万7千部、『サンデー毎日』が1万部減の3万9千部と低迷した。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が8万3千部、『週刊東洋経済』が5万8千部、『プレジデント』が15万5千部で、それぞれ前期比微増となった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が9千部減の19万1千部と20万部の大台割れ。『女性自身』は2千部減の18万9千部、『週刊女性』は5千部減の9万9千部といずれも下落が続く。女性月刊誌は、『nicola』が4千部増の15万3千部、『mini』が1万部増の15万4千部増と好調を持続している。

フレーベル館、文溪堂、理論社が受賞/学校図書館出版賞

6月11日の「学校図書館の日」を記念した「第48回学校図書館賞」と「第20回学校図書館出版賞」の表彰式が6月1日、東京・中野区の中野サンプラザで開催された。主催は全国学校図書館協議会(SLA)。
学校図書館向き図書の優良な出版企画に対して出版社を顕彰し、学校図書館向き図書の出版の振興を図る「学校図書館出版賞」は、『プログラミングを学ぶ前に読むアルゴリズムえほん』(全4巻、松田孝監修)を刊行したフレーベル館、『スポーツでひろげる国際理解』(全5巻、中西哲生監修)を刊行した文溪堂、『伝統工芸のきほん』(全5巻、伝統工芸のきほん編集室編)を刊行した理論社の3社が受賞した。いずれも初の受賞。「同・大賞」は該当なし。
学校図書館の振興に著しい業績を示した個人と団体を顕彰する「学校図書館賞」は、「運動の部」「論文の部」は該当なし。「実践の部村松金治賞」は袖ヶ浦市教育委員会、「実践の部奨励賞」は北海道小樽高等支援学校学校図書館司書の小野薫氏が受賞した。
主催者あいさつでSLAの銭谷眞美会長は、「学校図書館出版賞」の受賞作について「ジャンルとしては多岐にわたり、類書のなかったものばかり。児童・生徒に正しい知識を広めたいとする編著者の思いが伝わってきた。各学校での学習活動や読書活動に貴重な資料となる企画」と称えた。

日書連のうごき

5月1日出版物小売公取協で公取委取引企画課訪問に元永専務理事が出席。
5月7日日書連監査会に舩坂会長、小泉、元永両監事が出席。
5月8日全出版人大会に舩坂会長、柴﨑、本間両副会長、小林理事が出席。
5月9日JPO理事会に藤原副会長が出席。書店大商談会実行委員会に舩坂会長が出席。
5月10日万防機構渋谷プロジェクト有識者会議に舩坂会長が出席。春の書店くじ抽選会に舩坂会長、西村、柴﨑両副会長が出席。
5月14日公取委著作物再販ヒアリングに本間副会長が出席。
5月16日常設委員会・部会を開催。
5月17日出版物小売公取協通常総会を開催。定例理事会を開催。出版倫理協議会に井上理事が出席。JPO運営委員会に柴﨑副会長が出席。
5月18日IT導入補助金説明会に事務局が出席。愛知県書店商業組合総会に公取協・元永専務理事が出席。
5月21日日本図書普及決算取締役会に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋、西村各副会長が出席。JPRO管理委員会に事務局が出席。
5月22日日本図書普及監査会に西村副会長が出席。東京都書店商業組合総代会に事務局が出席。
5月23日万防機構理事会に事務局が出席。
5月24日万防機構渋谷プロジェクト運営委員会に事務局が出席。
5月28日書店環境改善で学研プラス訪問に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長が出席。出版物小売公取協とアシェット社の意見交換会に柴﨑副会長、元永専務理事が出席。出版物への軽減税率要請で議員会館訪問に舩坂会長が出席。
5月29日日本雑誌協会懇親会に舩坂会長が出席。
5月30日インターネット上の盗品流通に関する定例会議に事務局が出席。
5月31日日本出版クラブ監査会に舩坂会長が出席。

『かいけつゾロリ』11年連続1位/「朝の読書」人気の本調査

朝の読書推進協議会の調査による「朝の読書」実践校の平成29年度人気の本がこのほどまとまった。調査期間は平成29年4月から平成30年3月末。
これによると、小学生は『かいけつゾロリ』シリーズが11年連続で1位となった。例年人気の高い読み物シリーズは、『ほねほねザウルス』『本の怪談』『ミルキー杉山のあなたも名探偵』『怪談レストラン』などが上位に入った。学習漫画シリーズでは『科学漫画サバイバル』が根強い人気で、昨年に引き続き2位に入った。また、『学研まんが新ひみつ』など歴史や偉人の伝記、科学などを漫画で解説した学習漫画が今年も多くランクインし、子どもたちの人気を集めていることが分かった。
中学・高校では、その年のベストセラーやメディア化作品など、世間で話題になった作品やライトノベルが支持される傾向が見られる。映画化でも話題となった、住野よる著『君の膵臓をたべたい』は、中学校で2位、高校では1位に入った。高校では、住野氏の作品が1~3位を独占し、学生から多くの支持を集めていることが分かる。また、恩田陸著『蜜蜂と遠雷』、宮下奈都著『羊と鋼の森』など、本屋大賞や芥川賞・直木賞を受賞した文芸作品も登場している。
「朝の読書」は1988年に千葉県の私立女子高で2人の教師によって提唱され、1995年よりトーハンが支援する形で全国に広がった読書推進運動。現在、全国で約2万7000校、970万人の小・中・高校生が取り組んでいる。

来年から新たな賞に改称/講談社出版文化賞贈呈式

平成30年度・第49回講談社出版文化賞の贈呈式が5月24日、東京・文京区の講談社レセプションルームで行われた。
贈呈式では、講談社の野間省伸社長が講談社出版文化賞について、「来年の創業110周年に合わせて新たな賞として生まれ変わる。絵本賞は講談社絵本賞と改称し、さしえ賞、写真賞、ブックデザイン賞については新たに創設される野間出版文化賞として顕彰する」と説明、続いて各受賞者に賞を贈呈した。
ブックデザイン賞を受賞した芦澤泰偉氏は、「この賞は装幀をやっているデザイナーにとって1つの励み。最後に取らせていただいてうれしい。今後書店で『ああこれは芦澤がやった』と言われる装幀をやっていきたい」と話した。
〔各賞受賞者〕
▽さしえ賞=西川真以子「北のロマン青い森鉄道線」(読楽)ほか▽写真賞=新田桂一『NAOMI』(ヨシモトブックス)▽ブックデザイン賞=芦澤泰偉「講談社ブルーバックス」シリーズほか一連の作品▽絵本賞=佐々木マキ『へろへろおじさん』(福音館書店)

1位は『漫画君たちはどう生きるか』/トーハン、日販18年上半期ベストセラー

トーハンと日販が発表した2018年上半期ベストセラー(集計期間=17年11月26日~18年5月25日)は、総合1位はどちらも吉野源三郎原作・羽賀翔一画『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)だった。
『漫画君たちはどう生きるか』は、昨年8月の発売以来、テレビ番組や新聞などで相次いで取り上げられ、月間ベストセラーでは12月から5ヵ月連続で1位を獲得。累計発行部数が200万部を超える大ベストセラーとなった。書籍新装版もトーハンで5位、日販で4位となり、50万部に迫る勢い。
2位はどちらも佐久間健一著『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』(サンマーク出版)、3位はトーハンが大川隆法著『信仰の法』(幸福の科学出版)、日販が今泉忠明、下間文恵ほか著『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)だった。いずれも昨年の年間ベストセラーにランクインしていた作品で、書店の定番商品として展開され、ロングセラーになっている。

4月期販売額9・2%減/雑誌は3ヵ月連続で15%超マイナス/出版科研調べ

出版科学研究所調べの4月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比9・2%減だった。
部門別では、書籍が同2・3%減、雑誌が同15・8%減。雑誌は3ヵ月連続で15%超のマイナスとなった。雑誌の内訳は月刊誌が同15・7%減、週刊誌が同16・2%減。書籍は前月に引き続きマイナス幅が小さかった。
書店店頭の売上げは、書籍が同約3%減。縮小が続いていたビジネス書は約1%減にとどまった。『10年後の仕事図鑑』『大人の語彙力ノート』などSBクリエイティブのビジネス書が牽引した。雑誌は、定期誌が約10%減、ムックが約11%減、コミックスが約11%減。コミックスは『進撃の巨人』(講談社)などこれまで市場を牽引してきた有力新刊の力が落ちた。

『サピエンス全史』続編、9月刊行/大型企画の取り組みに意欲/河出書房新社企画説明会

河出書房新社は5月29日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で「企画説明会2018」を開催。今夏から秋に刊行する注目企画の最新情報を説明した。
冒頭であいさつした小野寺優社長はこの1年の実績について「『おらおらでひとりいぐも』(若竹千佐子著)は芥川賞受賞後、爆発的な勢いで部数を伸ばし50万部を突破。16年刊行の『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)は上下巻と電子書籍で累計63万部に達している。著者の新作『ホモ・デウス』の翻訳は既に完成しており、9月刊行予定。どうかご期待いただきたい」と述べた。
単行本企画については、山田悠介著『僕はロボットごしの君に恋をする』は17万部に達し、劇場版アニメ化が決定、青山透子著『日航123便墜落の新真実』は10万部となり、3部作の完結編を来年刊行予定と報告した。
シリーズ企画では10代向け短篇小説レーベル「5分シリーズ」が創刊1周年を迎え、9点で累計30万部を突破する人気シリーズに成長、日本文学全集の掉尾を飾る角田光代訳『源氏物語上』が3万5千部まで伸ばし、内容的にも非常に高い評価を得たと述べた。
ヴィジュアル本企画については営業活動で課題が残ったとして、「販売会社や書店の協力を得て事前予約活動を行い、予約を固めた上で刊行するという、本来あるべき大型企画の取り組みに再度チャレンジしたい」と意欲を示した。
説明会で発表された主な企画は次の通り。
▽『ホモ・デウス―テクノロジーとサピエンスの未来(上・下)』=9月上旬刊行予定。
▽『伊能図大全巻別版』(全7巻)=伊能忠敬没後200年企画。セット販売のみだった『伊能図大全』全7巻を各巻別に新装、5月25日発売。9月に『伊能図探検~江戸から未来が見えてくる!』、10月に『日本200年地図』を刊行予定。
▽『グレートネイチャー生きものの不思議大図鑑』=7月中旬刊行予定。▽『料理の科学大図鑑』=10月刊行予定。▽『JOURNEY旅と冒険の世界史大図鑑』=11月刊行予定。
▽『落語世界文学全集』=橋本治著、第1回配本『おいぼれハムレット』(6月8日発売)、年2回刊行。▽『須賀敦子の本棚』全9巻=池澤夏樹監修、第1回配本『神曲地獄篇(第1歌~第17歌)』(6月22日発売)、隔月刊行予定。▽『源氏物語中』=角田光代訳(池澤夏樹個人編集・日本文学全集05)、11月刊行予定。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

岡田尊司著『対人距離がわからない―どうしてあの人はうまくいくのか?』(ちくま新書 760円)は、人生の幸不幸は人間関係にあると考える精神科医の心の分析。
その場と相手に、心地よい対人距離を適切にとることができることは、現代の社会適応と成功に重要なスキルになる。そこでのキーワードはほどのよさなのだが、これも相手によって基準が異なっていて、実に難しい。
本書は著者が長年集積してきたデータを豊富にグラフ化。依存性、強迫性、失調型、自己愛性など、10タイプのパーソナリティが紹介されていて、たとえば社会適応にマイナスなのは回避性の人で、傷つくのを怖れ、親密な関係も避けてしまうタイプ。プラスは演技性を持つ表現上手な人。
幸福度の高い人生を手に入れるには、相手にとって安全基地となる存在になること。また興味あるものにすぐ惹かれて、躊躇なく抑制力もない愛着障害は、行動が発達障害に似ているという。香山リカ著『発達障害と言いたがる人たち』(SB新書 800円)も、生きづらさの原因が知りたくて、自分から発達障害かもと感じる現代人の不合理を、精神科医が様々な角度から解説。患者が病気になりたがるという不思議な今が見える。

「ローカル」への原点回帰呼びかける/地元本販売の実績報告/神奈川トーハン会

神奈川トーハン会は5月30日、横浜市港北区の新横浜プリンスホテルで第47回定例総会を開催し、会員書店25名(委任状含む)が出席。役員改選で筒井正博会長(伊勢治書店)を再選した。
第1部総会では議案審議を行い、平成29年度事業報告、会計報告、平成30年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認した。
出版社なども出席して行われた第2部であいさつした筒井会長は、雑誌・コミック低迷の根本原因について、「『耳と目から入る情報は無料』『買い物はネットでする』という今の風潮に対する我々の認識の甘さ、取り組みの遅れがあった」と指摘。自身が書店業界と関わってきた50年間を振り返り、取次から配送される書籍・雑誌を荷解きして棚に並べて売るという構造に変化はないとして、「もう一度ローカルという原点に帰り、ローカルな品揃え、接客、イベントをしていく店を作らなければならない。神奈川トーハン会は、書店業界の未来図をどう描き、何をしていくかの議論を深める場としての役割を果たしたい」と述べた。また、18年度の全国トーハン会プレミアムセールは「5位以内入賞を目標とする」と意気込みを語った。
続いて、トーハン・森岡憲司取締役首都圏支社長がトーハンの今年度主要施策を説明。筒井会長が提唱する「ローカルの原点に帰る」施策については、枻出版が5月28日に発売した、鎌倉市大船の魅力を紹介したガイドブック『大船本』を地元の2書店でデモ販売し、1日で300冊超の実績を記録したと報告。「みんな地元が好きなもの。地元本は強い。出版社に企画してもらい、地元本を売っていきたい」と述べた。
第3部は商談会・名刺交換会を行い、書店17店・37名と出版社60社・68名が活発に交流した。

訃報

小峰紀雄氏(こみね・のりお=小峰書店代表取締役社長、元日本書籍出版協会理事長、元日本児童図書出版協会会長)6月10日、肝不全のため死去。79歳。故人の遺志により、通夜、告別式は家族、近親者のみで執り行った。お別れの会等は後日執り行う。