全国書店新聞
             

令和5年4月1日号

春の読者還元祭2023/総額300万円図書カードネットギフトが当たる

日書連は、「春の読者還元祭2023」を4月20日~5月12日に全国の書店で実施する。今回も販促物として「しおり」と「雑誌カード」を用意し、購入した読者や外商先に配布できるようにした。記載のQRコードから応募サイトにアクセスすると抽選で1千~1万円の図書カードネットギフトが1700本(総額300万円)当たる。実施期間を5月のゴールデンウィーク以降にまで拡大しており、しおりと雑誌カードを活用してお店の販売を盛り上げていただきたい。
「読者還元祭」は、販促物として「しおり」(1種類150枚)、「雑誌カード」(A5サイズ130枚)、「店頭ポスター」(A3)のセットを1組3630円(税込)で頒布。しおりと雑誌カードともに同一の応募用QRコードを掲載する。店頭ポスターはキャンペーン告知用で、QRコード掲載の応募ポスターは作成しない。
しおりのデザインは、江戸時代の画家・俵屋宗達の作品で日本を代表する国宝として名高い「風神雷神図屏風」を用いた。
雑誌カードには、ジャンル・カテゴリー別の定期誌発売日一覧を掲載する。雑誌カードとしおりを併用することで、外商比率の高い書店も参加しやすい企画にしている。
販促物の購入店は、日書連ホームページ(https://www.n-shoten.jp)のキャンペーンページに「実施書店」として都道府県ごとに掲載する。なお、販促物を購入して150件以上の応募者を獲得した日書連傘下組合加盟書店のみを対象に、1店につき3630円(税込)の報奨金を支給する(購入数に関わらず報奨金は1セット分のみ)。報奨金の支給は、読者が応募時に「キャンペーンを知った書店」として入力した店名を集計して積算する。
また販促活動の助成として、全組合加盟書店にしおり20枚を無料でキャンペーン開始までに直送する(雑誌カードの配布は無し)。
なお、店頭ポスターは日書連ホームページからダウンロードできる。
キャンペーン期間中、書籍・雑誌を一定金額(税込500円以上が目安)購入したお客様にしおりまたは雑誌カードを進呈。記載されたQRコードをお客様自身がスマートフォンで読み取り、応募サイトにアクセスして必要事項を入力し応募する方式。応募上限は1日1回、期間中に最大23回の応募が可能(複数回応募しても重複当選は無し)。なお、QRコードを読み取れないお客様は、併記した応募サイトURLからパソコンでも応募可能となっている。賞品は、図書カードネットギフト1万円が100本、3千円が200本、1千円が1400本。当選者には日本図書普及より直接、図書カードネットギフトメールを6月末頃に送信する予定。当選発表はメール通知をもって代える。

「ひらいてとじた笑顔がふえた」/4月23日からこどもの読書週間

読書推進運動協議会(読進協、野間省伸会長)は2023年・第65回「こどもの読書週間」を4月23日から5月12日まで、「子ども読書の日」(4月23日)から「こどもの日」(5月5日)を挟み実施する。
今年の標語は「ひらいてとじた笑顔がふえた」。読進協は実施にあたり、全国の公共図書館、小中高等学校図書館、書店、出版社、報道機関などにポスターや広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を示すマークを作成し、期間中またはその前後を通じて各社が発行する雑誌・新聞・広報紙誌などに使用するよう呼び掛ける。また、都道府県の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小中高等学校の学校図書館で「子どもの読書研究会」「子ども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人による子どもの本研究会」「子どもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」などの開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「子ども読書大会」などの開催
▽出版社、新聞社、放送局、文化団体などによる被災害地域、児童養護施設、矯正施設などへ向けた「図書・雑誌の寄贈運動」の実施

サン・ジョルディ名古屋の開催見送り

愛知県書店商業組合は、例年4月下旬に名古屋市内で行っている「サン・ジョルディフェスティバル名古屋」の中止を発表した。
新型コロナウイルス感染症について、行動制限が解除されたものの、感染拡大の懸念から多くの人が集まるイベントに不安を覚える方が多く、小さな子どもの来場も多いことから、今年も開催を見送るとした。

小中高生4部門5作品にグランプリ/マンガ感想文コンクール授賞式/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)が主催する「マンガ感想文コンクール2022」の授賞式が3月4日、東京・千代田区の出版クラブホールで開催された。マンガ感想文コンクール実行委員会共催、コミック出版社の会協力、コミック出版社10社、日本図書普及協賛、全国36都県教育委員会、日書連など後援。
このコンクールは、マンガを用いて子どもたちの学習や読書を楽しむための入り口に繋げたいと小中高校生を対象に行うもの。昨年はテスト開催として実施したが、今回は全国規模で本格的に開催した。1万2131通の応募があり、1月23日に行った最終審査の結果、4部門で5作品のグランプリと14作品の特別賞を決定した。また、9校が団体賞に選ばれた。
授賞式では、開会にあたりJPICの松木修一専務理事が「応募には新しい本だけでなくロングセラーがたくさんあったことが印象に残った。家族で一緒になって本を選んでいただいた結果ではないかと思う。コンクールを通して家族の会話が増え、本に関する様々なコミュニケーションができていけば大変うれしい」と述べて受賞者に賞状と記念品を授与した。
続いて、各部門のグランプリ受賞者がコメント。高等学校の部グランプリを『よつばと!』(KADOKAWA)の感想文「誰もがかつて子供だった」で受賞した瀬戸望結さん(開智高等学校1年)は「『よつばと!』を読むと自分が小さかった頃のことを思い出し幸せな気持ちになる。様々な経験をして成長していく姿に勇気づけられる。ありふれた日常を大切にし新しい経験に全力で立ち向かう姿を忘れず、私もいろんなことに挑戦して大きく成長したい」と話した。
また各審査員の講評が行われ、早稲田大学名誉教授の町田守弘氏は「マンガは遊びや娯楽と考えられ、学校とは相性がいいとは言えなかったが、このコンクールはマンガを読むことが感想文という一つの学びに見事につながる大変すばらしい企画だ。今後の課題を2つ提案したい。ストーリーの面白さや内容だけでなく、マンガの描かれ方、表現にも注意して読んでみてほしい。また、映画やドラマになっているマンガも多く、両方見ると新しい発見があると思う。今回の成果をぜひ次の学びへとつなげてほしい」と述べた。
閉会にあたり、マンガ感想文コンクール実行委員長の小学館・立川義剛取締役は「作家の先生方が魂を削って作った作品を皆さんがまっすぐに受け止め、感じたことを思い思いにぶつけてくださったことに大いに感動した。昨今は活字の本はもちろん、マンガですら読まない、読み方がわからないというお子さんが増えていると聞く。その中で皆さんのように物語のメッセージを読み解いてくれる読者もたくさんいるということに大変ホッとしたし、今後もそれに応えられる作品を生み続けていかなければと身の引き締まる思いがした」と話した。グランプリ受賞者と感想文を書いたマンガは次の通り。▽小学校低学年の部=奥島嗣遼さん(愛媛大学教育学部附属小学校3年)〔『映画ドラえもんのび太の宇宙小戦争2021』小学館〕、大石亘己さん(東京都新宿区立愛日小学校2年)〔『弱虫ペダル』秋田書店〕▽小学校高学年の部=篠塚瑛斗さん(東京都江戸川区立船堀小学校6年)〔『大家さんと僕』新潮社〕▽中学校の部=長谷菜月さん(兵庫県尼崎市立武庫東中学校3年)〔『ルックバック』集英社〕▽高等学校の部=瀬戸望結さん(開智高等学校1年)〔『よつばと!』(KADOKAWA)〕

「春夏秋冬本屋です」/「辞典から改めて学ぶ」/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

3月になりまさに教科書シーズン本番という時、インフルエンザで何年かぶりに発熱し床に伏した。後日会った姪に「大丈夫ですか」と声をかけられ、「平気平気。鬼の霍乱だ」と答えると、「オニノカクラン?」と怪訝な表情。そうかこんな言葉も通じないのかと改めて納得。年代の差も再認識した。
日頃お通じの友として読む本に永江朗著『広辞苑の中の掘り出し日本語』3部作(バジリコ)がある。2作目の『男と女の日本語』が特に興味深い。「ト一ハ一」は女性の同性愛を意味する語、「井出の下帯」は一度離別した男女が再度契りを結ぶこと、「衣衣・後朝」は夫婦が離別すること等、初めて目にする語やこのように解釈するのかと膝を叩く言葉に出会った。
遊郭に関する語やハラスメントにつながる語も掲載されている。差別は言うまでもなく改善されなければならない。しかし、本書に満載された日本語には奥深さと言いかえの妙があり、味わい深い。1作目でも「遺体」という語は両親の遺してくれた身体、つまり「自分の身体」のことで、「死体」という語意は二の次であることを知った。広辞苑は読んでも興味深い。
店頭で辞典の販売部数は年々落ちている。近年「忖度」という語が使われ出したように、日本語の持つ奥深さ、言い回しの巧妙さを日頃からもっと大切にしたい。薄っぺらな会話をしないためにも。

NHK出版・河出書房新社・平凡社牧野富太郎の関連書を特別増売/東京組合3月定例理事会

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は3月2日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
理事会に先立ち、NHK出版、河出書房新社、平凡社から、植物学者・牧野富太郎をモデルとするNHK連続テレビ小説「らんまん」が4月に放映を開始するのに合わせた関連書の企画説明が行われた。理事会では、事業・増売委員会より3社の企画を特別増売商品として取り組むことを提案し、これを承認した。
NHK出版の特別増売企画は、新書『牧野富太郎の植物学』(3月10日発売)とムック『NHKドラマ・ガイド連続テレビ小説らんまんPart1』(3月20日発売)を各3冊配本する。仕入条件は3ヵ月延勘。新書は、ドラマの植物監修を務める植物学者の田中伸幸氏が、牧野富太郎の業績に改めてスポットを当てる。
河出書房新社の特別増売企画は、既刊の文庫『わが植物愛の記』(牧野富太郎著)を5冊、『草を褥に小説牧野富太郎』(大原富枝著)を3冊配本。仕入条件は4ヵ月長期。新帯と新POPを用意する。『わが植物愛の記』は牧野富太郎のベストエッセイ集。『草を褥に』は富太郎と妻・寿衛子の夫婦愛を描く。
平凡社の特別増売企画は、別冊太陽『牧野富太郎雑草という草はない』(3月23日発売)を3冊、コロナ・ブックス『牧野富太郎植物博士の人生図鑑』とSTANDARDBOOKS『牧野富太郎なぜ花は匂うか』を各2冊配本。仕入条件は4ヵ月長期。別冊太陽は、牧野の生涯を美しい植物画や標本と共に紹介。既刊のコロナ・ブックスは、言葉とスケッチ、写真でつづるビジュアル版自叙伝。STANDARDBOOKSは、牧野の精選随筆集。
事業・増売員会ではこのほか、事務所取扱商品の値上げについて、仕入金額が値上がりしており、在庫分は現状価格で販売するが、新規の仕入分から値上げとなると報告があった。
共同受注・デジタル委員会では、日本教育公務員弘済会東京支部から受託した22年度学校図書助成事業について、助成校400校に組合から4月中旬~6月に順次図書を送付するため、担当書店に検品と検収書回収を求めるとともに、その際必ず事前に学校へ連絡してほしいと要請した。
『木曜日は本曜日』習慣化プロジェクト特別委員会からは、10月から全20週にわたり展開してきた著名人の選書販売等の取り組みが一区切りついたと報告。今後の予定を説明したほか、東京都中小企業団体中央会の令和5年度支援事業「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」にも応募を検討しているとして、取り組む施策のアイデアについて意見交換した。

北海道書店商業組合2月定例理事会

2月21日、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催した。志賀健一理事長は12月開催の日書連理事会について報告。道組合の活動については、事務局が中間決算の報告を行ったほか、4月からの理事会日程を確認した。(事務局・髙橋牧子)

BooksPROの利活用促進/書誌・販促情報充実へ登録求める/JPRO説明会

日本出版インフラセンター(JPO)は3月6日、東京・千代田区の一橋講堂で、出版情報登録センター(JPRO)について「電子書籍活用、ためし読み、アクセシブル…JPROがもっと便利に」と題する出版社向け説明会をオンライン併用で開催した。
JPOの相賀昌宏代表理事(小学館)は「JPROは皆さんの協力で着実にデータを増やし、同時に社会の変化にも対応してきた。高齢者の増加、障害者等への配慮の必要、子どもたちの教育現場の変化などに対応し、読書、知識、コミュニケーション環境も変化していかなければならない。JPROはその変化の中で特に検索に重点を置く出版業界のシステムだ。ただし検索それ自体の進化だけでなく、出版にとっての新たな販売機会と編集企画の創出に役立つものでなければならない。私たちはシステムのあるべき姿に向かって努力を続ける。今後ともお力添えをお願いする」とあいさつした。
JPO事務局からは、1月末時点のJPROの現況を報告。参加出版社は2575社、登録書籍数は313万2475点、登録定期雑誌は2万3012点、登録電子書籍は48万4779点(底本ISBNありが25万6725点、うちJPROに登録されているものが24万4116点)、登録オーディオブックは3906点。権利情報が登録されているものは書籍が15万5782点、電子書籍が7万4466点。
また、2月末現在でBooksPROに登録する書店は2557店、図書館は188館、BooksPROCompactに登録する出版者は2594社、ためし読みサービス「tameshiyo.me」の参加出版者は593社となっている。
販売促進部会の矢崎恵理子部会長(小学館)は「MARKETINからのCUSTOMERIN」と題しJPROの機能活用について説明。JPROの狙いは出版情報の発信、予約促進、販売促進であり、現在はプロダクトアウトから、近刊情報を早く配信することで販売チャネルからの予約を獲得するマーケットインを目指している段階とし、次の目標はJPROを使いこなして本と読者の距離を縮めるカスタマーインだと述べた。そして、書店用の出版情報サイトであるBooksPROの充実と利活用がカスタマーインにつながるとし、書店のニーズに応えるために出版社は基本書誌情報の発信をより早く行い、出版物の内容を分かりやすく、おすすめ書籍や販促情報を探しやすいジャンルで入力することが必要だと語った。
ためし読み推進部会の小見山康司部会長(白泉社)は、ためし読みサービス「tameshiyo.me」で4月3日に運用開始する新サービスについて、電子出版取次モバイルブック・ジェーピーの「立ち読みファイル」をJPROが取得し、紙書籍のためし読みとして登録すると説明した。利用条件は、①tameshiyo.meへの申込み、②紙・電子ともに書誌情報がJPROに登録されていること、③電子書籍の書誌情報に底本ISBNが登録されていること。
日本書籍出版協会の樋口清一専務理事は、読書バリアフリー法の制定や、国立国会位図書館による著作物の個人送信、図書館送信補償金制度の導入など、著作権者の権利制限を伴う法改正と出版業界のこれまでの対応について説明した。
管理委員会の田中敏隆委員長(小学館)は、権利制限を乗り越えるための出版インフラとしてJPROの役割を解説。国立国会図書館からの送信対象となる「入手困難本」は、流通在庫がなく、商業的に電子配信されていないなど、図書館等において購入が困難な資料と定義され、オンデマンド出版や電子書籍は入手可能なものとして扱われるとし、JPROにきちんと登録してほしいと要請。さらに、元本に紐づく全ての出版物「マルチコンテンツ」の登録が必要だと強調し、判型違い・オンデマンド版・他社刊行等の異版や、電子書籍、オーディオブックなど、派生する全ての出版物を紐づけてほしいと呼びかけた。
ABSC(アクセシブル・ブックス・サポートセンター)準備会の落合早苗座長代行(O2OBookBiz)は準備会の取り組みについて、「ABSC準備会レポート」発行による情報共有・情報発信、TTS(自動音声読み上げ機能)対応に向けた環境整備、Booksのアクセシブル化を進めていると説明。出版社に対し、電子書籍・オーディオブックの登録、底本ISBNの登録、TTS対応及びその有無の登録を呼びかけた。今後は、専用サイトの開設・運用や、アクセシブル・ブックス情報に関してサピエ(視覚障害者情報総合ネットワーク)などとの連携を進めると述べた。

学習参考書協会・辞典協会「学参・辞典勉強会」③

学習参考書協会と辞典協会は「2023年度新学期学参・辞典勉強会」を2月10日にオンライン配信で開催。第3部は、「新学期の棚づくり情報交換座談会」と題して、幕張蔦屋書店(千葉市)の荒井俊平氏、大垣書店二条駅店(京都市)の三田由香里氏、コーチャンフォー美しが丘店(札幌市)の松岡翔氏が、学参棚を作る際の工夫やアイデア、心構えなどについて語った。
普段の陳列や仕入れの際に心がけていることについて、荒井氏は「売場にメリハリをつけ、平台と催事棚の入れ替えを意識して、お客様に季節商品の提案を欠かさないようにしている。お客様から問い合わせがあった内容や学校・塾での情報、テレビ番組での紹介などについてはスタッフで共有し、お客様のニーズを逃がさない努力をしている」と話した。
三田氏は「スペースの都合で平台以外のものは棚に各1冊しか置けない。1年間ずっと商品を持っていないといけない年度版がたくさんあり、学参だけでなく他ジャンルのストッカーも使っている状態。日教販の自動補充のシステムを利用し、毎日の出荷最低冊数に達するように計算しながら細かく発注するようにしている」と明かした。
また三田氏は、10年ほど前から季節ごとに学参棚を撮影し、のちの展開に役立てているとして、実際のエンド台や高校年度版、中学学参の棚の写真を見せながらポイントを説明。「エンド台では3月は中学生と保護者に向けて、教科書レベルをしっかり自分のものとするために準拠メインでお薦めした。高校の年度版の棚では、3月の後期試験を残すのみの時期は、赤本のバックナンバーを残すようになってからは、少しだけ間引いて新学期用に高校辞書を展開するようにした。4月に入ってからは、共通テスト新年度版の入荷開始をPOPでアピールした。中学学参の4月は、棚前は2~3年の準拠と厚物を中心に、エンド台は1年生の準拠を中心に展開した」と話した。
来店客とのコミュニケーションについて、荒井氏は「当店は周辺に進学校があり、非常に教育への意識が高い地域で、学参に対する要望レベルも高い。お客様の要望に合った参考書を提案できるように商品知識をつけることを重視している一方、具体的な要望を聞き出すことも意識しており、お客様と二人三脚で商品を選べるよう努力している」と語った。
出版社の営業とのコミュニケーションについては、松岡氏は、遠隔地の店舗であることに加えコロナの影響などもあって訪店の頻度は減っており、東京の出版社とはメールで在庫のやり取りをして、欠本や返品漏れのチェックなどを行っていると話した。三田氏は「仕事の話はもちろんのこと、雑談ができるぐらい仲良くさせていただきたいと考えていて、雑談の中から、これは面白そうだなと思うものが結構出てくると実感している」と指摘。荒井氏は「お客様の要望に沿った本を提案できるよう、メーカーである出版社の知識をいただきアウトプットできるようにしたい。新刊の特色やターゲット層、他社との違いなどアピールポイントをうかがっている。出版社の営業さんは自社の本のプロフェッショナルなので、フェア台の作成の時は知識をいただいて作ることが多い」と話した。

本屋と図書館でスタンプラリー/図書カード贈呈の当選者決める/奈良組合

奈良県書店商業組合(林田芳幸理事長)は2月2日、大和郡山市のディーズパークで第2回理事会を開催した。
年末から年始にかけて実施した「本屋さんで図書館でスタンプラリー」キャンペーンの抽選会を実施、総額10万円の図書カードを贈る100名の当選者を決めた。同スタンプラリーには、昨年に引き続き公立図書館19館が呼びかけに応じて参加、一般紙でも取り上げられ、2136件の応募があった。
林田理事長は「生き残っていくために、地域の書店はさまざまな工夫をこらしていかなければならない。その意味でも図書館との協調は意義深い。頑張って何とか生き残っていこう」と話した。
次回理事会は4月10日に開く。
(靏井忠義広報委員)

梓会出版文化賞に書肆侃侃房/3年ぶり贈呈式

出版梓会は1月12日、東京・千代田区の如水会館で第38回梓会出版文化賞と第19回出版梓会新聞社学芸文化賞の贈呈式を開催した。3年ぶりに開いた贈呈式は前回、前々回の受賞社も招き、会食会も実施した。
梓会出版文化賞は書肆侃侃房、同特別賞はタバブックス、出版梓会新聞社学芸文化賞は千倉書房、同特別賞はブロンズ新社が受賞し、各社の代表が喜びを語った。

『ジュリーの世界』で京都本大賞受賞/増山実氏がトーク&サイン会

『ジュリーの世界』(ポプラ社)で第10回京都本大賞を受賞した増山実氏のトーク&サイン会が3月10日、京都市中京区のゼスト御池寺町広場で開催され、41名の参加者で満席になった。京都本大賞実行委員会主催、京都府書店商業組合後援。
同書は70年代の京都で有名だった「河原町のジュリー」と呼ばれるホームレスをモチーフに、人間の尊厳と物語ることの意味を問うた作品。会場に集った参加者の3分の2はジュリーを実際に見たことがあり、会話をしたことがある人もいた。
増山氏は、たまたま入った店でジュリーの本の話を耳にした奇跡の話、ジュリーの命日の2月5日に亡くなった場所に花を供えに行くとすでに彼の好きなオレンジジュースが供えてあった話、表紙に隠されたエピソードなどを披露し、30分の予定時間をオーバーするほど盛り上がった。
トーク終了後に行われたサイン会で、増山氏は参加者1人1人と話し、一緒に写真を撮るなどした。(服部義禰広報委員)

書店は「本を味わう場所」/里中満智子氏が講演/東京組合豊島支部

東京都書店商業組合豊島支部は2月12日、豊島区立舞台芸術交流センター・あうるすぽっとで、漫画家で日本漫画家協会理事長の里中満智子氏のトークイベント「素晴らしきマンガの世界」を開催した。このイベントは読者謝恩イベントとして豊島区と共催で行っているもので、今回で4回目となる。
里中氏は、手塚治虫、藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら現代マンガの礎を築いた巨匠が暮らしたアパート「トキワ荘」(豊島区南長崎)が1982年に解体されたが、その後、漫画家や地元住民が中心となって、トキワ荘の内部まで忠実に再現した「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」を2020年にオープンしたことを紹介。ミュージアム運営検討会議座長を務めた同氏は「日本のマンガを大きく発展させた方々が研鑽を積んだ場所。再現に関わることができ、後輩としてこんなにうれしいことはない」と振り返った。「地元住民の熱意がすごかった。手塚治虫の誕生日11月3日をマンガの日と定め、海外に日本の良質なマンガ文化を広げていきたいと意気込んでいる」とも。
マンガの海外への普及について、里中氏は「私もマンガサミットというイベントを続けている。日本、韓国、台湾などアジア各国やフランス、アメリカなどが参加して展示会やシンポジウムを行っている。国際交流でマンガの果たす役割は大きい。ぜひ池袋でも開催し、世界の人たちにトキワ荘を見てもらいたい」と期待を語った。
日本のマンガが世界中で感動を与えているのは素晴らしいことと喜ぶ。「日本のマンガは特殊な制作形態をとり、世界の常識から外れたところで発展してきた。手塚治虫の作品はヒーローが必ず勝つとは限らないが、子供たちはその理不尽な世界を見て、世の中これではいけないと目覚める。1人の作者がストーリー、シナリオ、キャラクターデザイン、画面構成などすべてやるのも欧米との大きな違い」と指摘した。
外国からマンガを教えてほしいと招聘されることも多いという。「中国は絵の上手な人がたくさんいる。韓国は気力に満ち溢れている。でも、日本の若い人が一番根性がある。お金にならなくても頑張る。お金が目的ではなく、誰かに読んでもらい心を動かすことができれば満足する。そして、先輩にどれだけ憧れても同じことはやらず、誰もやっていない表現を生み出す。オリジナリティへの欲求が強い」と評価した。
マンガの原画は劣化が激しい。漫画家の死去で散逸してしまうことも多い。里中氏は「今のうちにデジタル化しておかなければ。黎明期の作品を100年200年先まで継承できる国にならないと文化国家とはいえない」として、そのために構想した「国立メディア芸術総合センター」が民主党への政権交代で白紙になったものの、14年にMANGA議連が設立され、同構想を再び推進する動きが出てきたことを歓迎した。
全国で街の書店が減っている。里中氏は民度を高めるためにも本を読まなければと訴える。「紙の本の良いところは電力がなくても読めること。デジタル画面と違って目も疲れない」と指摘。書店について「あんなに素敵な空間はない。探している本だけでなく、他の本を手に取って、次に買おうと広がっていく。読書で得ることができる知識は際限がなく、私はいかにものを知らないか思い知らされる。だから退屈しない」と語った。そして、「書店もどんなふうに読者と接していくか試行錯誤しなければいけない時代。昔は本を買う場所だったが、今はゆっくり読めるカフェ併設の書店も増え、本を味わう場所を提供して成り立っている」として、もっと書店に足を運ぼうと呼びかけた。

1月期は前年比5・9%減/書籍は全ジャンルでマイナス続く/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの1月期店頭売上は前年比5・9%減だった。雑誌は前年の分冊百科創刊号が好調だった影響で大幅減。書籍は全ジャンルで3ヵ月連続マイナスに。コミックは人気作品の発売が重なり前月より回復した。
雑誌は同8・8%減。月刊誌は「ラジオ英会話2023年2月号」(NHK出版)が売上を牽引した。週刊誌は発売直後に重版となった永瀬廉が表紙の「anan2023年1月25日号」(マガジンハウス)が売上を伸ばした。ムックは大河ドラマ「どうする家康」関連が好調だった。
書籍は同6・4%減。実用書は『乃木坂46写真集乃木撮VOL03』(講談社)が牽引した。新書は『バカと無知―人間、この不都合な生きもの―』(新潮社)が売上を伸ばした。
コミックは同2・2%減。雑誌扱いコミックは「東京卍リベンジャーズ31」(講談社)、「キングダム67」(集英社)が好調だった。書籍扱いコミックは『THEFIRSTSLAMDUNKre:SOURCE』(集英社)が売上を伸ばした。

トーハン経営体制をスリム化/7つの事業本部制に移行

トーハンは3月20日開催の定例取締役会で2023年度の役員体制および機構改革・人事異動を決議した。
経営体制についてはスリム化を図り、取締役の人数を削減、役付取締役を置かないフラットな体制とする。監督と執行の分離を進め、事業を統括する執行役員へ権限を委譲し、意思決定と業務執行のスピード化を図る。
機構改革では、従来の機能別組織を再編し、7つの事業本部(取次事業本部、情報・物流イノベーション事業本部、海外事業本部、コンテンツ事業本部、書店事業本部、不動産事業本部、関連事業本部)および全社共通の管理部門(経営管理本部)で構成する事業部制へ移行。各事業ごとに戦略的にリソースの配分を行い、機動的に事業を展開することでグループ企業価値の最大化を目指す。
取締役・監査役の選任については6月29日開催予定の定時株主総会で決議する予定。取締役兼務者を含む現任執行役員に対しては期首4月1日付で2023年度の担務を委嘱する。
新役員体制は次の通り。(◎印は昇任、○印は新任)
 [取締役・監査役]
代表取締役社長
       近藤 敏貴
代表取締役副社長
       川上 浩明
取締役    田仲 幹弘
同      小野 晴輝
同      松本 俊之
同      大西 良文
同      堀内 洋一
同      齊藤  貴
社外取締役(非常勤)
       赤尾 文夫
同      柴野 京子
監査役(常勤)山下 康治
同     ○谷川 直人
監査役(非常勤)
       相賀 昌宏
同      岩瀬  徹
 豊田広宣専務取締役、高見真一常務取締役、塚田達夫、渡辺勝也、池邉友彦、青木亮二取締役、鈴木敏文取締役(非常勤)、藤原敏晴監査役は退任し、鈴木氏は相談役に就任する予定。
 [執行役員委嘱担務]
社長執行役員 近藤 敏貴
副社長執行役員(社長補佐、取次事業本部長)
       川上 浩明
同(情報・物流イノベーション事業本部長)           田仲 幹弘
専務執行役員(取次事業本部西日本支社担当、東海近畿支社長)  豊田 広宣
同(海外事業本部長)
       小野 晴輝
同(不動産事業本部長、財務特命担当) 松本 俊之
常務執行役員(情報・物流イノベーション事業本部担当、プラットフォーム事業部長)
       高見 真一
同(経営管理本部長兼関連事業本部長) 大西 良文
同(書店事業本部長、取次事業本部特販支社担当)
       堀内 洋一
同(コンテンツ事業本部長、取次事業本部営業・仕入統括部門担当兼図書館部門担当)
       齊藤  貴
上席執行役員(取次事業本部CVS部門担当)
       塚田 達夫
同(取次事業本部複合商品部長、コンテンツ事業本部ライツ・事業開発室長)
       渡辺 勝也
同(取次事業本部東日本支社担当兼首都圏支社担当、特販支社長) 池邉 友彦
同(情報・物流イノベーション事業本部情報システム部長)    青木 亮二
同(経営管理本部経営企画部長)   ◎渡部 弘之
執行役員(取次事業本部東海近畿支社副支社長兼大阪神戸支店長) 金子 俊之
同(経営管理本部経理部長)     小寺  勉
同(書店事業本部部長)
       高田  聡
同(社長室担当兼広報担当、総務人事部長)
       木原  篤
同(取次事業本部営業・仕入統括部門担当部長)
      ○天野 美生
 [機構改革](本部・部・室)
 1、営業本部と商品本部と複合事業本部を廃止し、経営管理本部、取次事業本部、情報・物流イノベーション事業本部、海外事業本部、コンテンツ事業本部、書店事業本部、不動産事業本部、関連事業本部を新設する。
 2、総務人事部を代表取締役直轄とする。
 3、経営戦略部を経営企画部に改称する。
 4、経理部と取引部を統合し、その名称を経理部とする。
 5、経営管理本部に、経営企画部と経理部を置く。
 6、仕入プラットフォーム開発室と仕入統括室を統合し、その名称を仕入統括部とする。
 7、特販首都圏支社を廃止し、特販支社と首都圏支社を新設する。
 8、特販支社に、特販第一部と特販第二部を置く。
 9、首都圏営業部を廃止し、その機能を首都圏支社に移管する。
 10、グループ書店事業部を廃止し、その機能を営業統括部と特販第二部と書店事業本部と関連事業本部に移管する。
 11、CVS商品統括室を廃止し、その機能をCVS部とCVSネット事業部に移管する。
 12、図書館事業部を図書館部に改称する。
 13、複合統括部と複合仕入部を統合し、その名称を複合商品部とする。
 14、取次事業本部に、営業統括部、仕入統括部、特販支社、東日本支社、首都圏支社、東海近畿支社、西日本支社、CVS部、CVSネット事業部、図書館部、書籍部、雑誌部、複合商品部を置く。
 15、物流統括部と輸送管理部を統合し、その名称をロジスティクス事業部とする。
 16、情報・物流イノベーション事業本部に、情報システム部とプラットフォーム事業部とロジスティクス事業部を置く。
 17、海外事業部を廃止し、その機能を海外事業本部に移管する。
 18、コンテンツ事業本部に、ライツ・事業開発室を置き、その機能の一部を関連事業本部に移管する。
 19、市場開発部を廃止し、その機能を書店事業本部に移管する。
 20、不動産事業部を廃止し、その機能を不動産事業本部に移管する。

「これ読んで大賞」に『予言の島』/ブックポート5店舗で増売

横浜市鶴見区を中心に神奈川県内で5店舗を運営するブックポートは、同社オリジナル文学賞「にゃんすたーず☆のイチオシ!これ読んで大賞」の受賞作を猫の日にちなんで2月22日に発表し、澤村伊智氏の『予言の島』(KADOKAWA)が大賞作品に選ばれた。
「にゃんすたーず」は同社のキャラクターである5匹の猫の名前。この賞は、同社のスタッフがエントリーしてイチオシ本を仕掛け、その中から熱意や展開力を審査して選ぶ賞。大賞作品は全店舗で長く売っていくのが趣旨。
今回受賞した『予言の島』は鶴見店の文庫担当アルバイトがエントリーして昨年6月から仕掛け、これまで200冊以上販売している。ブックポートでは5店舗で同書のコーナーを展開し、1年間にわたり増売を続ける。

『よくわかる出版流通のしくみ』を発行/メディアパル

メディアパルは3月14日、出版業界初心者向けのブックレット『よくわかる出版流通のしくみ2023‐24年版』を発行した。
出版社、取次、書店の仕事内容や流通の基本的な仕組みを、イラストや図表を用いて解説。今回はマーケットイン型出版流通、物流協業と再構築、BOOKМEETSNEXT、NFTデジタル特典付き出版物など、業界の最新動向を紹介している。
A5判・並製・48頁。書店卸条件は諸口・買切扱い。頒価550円(本体500円)。
購入方法は、①メディアパルのホームページからの注文、②在庫常備店(東京堂書店神田神保町店、紀伊國屋書店新宿本店、芳進堂ラムラ店)での購入、③書店への注文。

1月期販売額は6・5%減/週刊誌が大幅マイナス/出版科研調べ

出版科学研究所調べの1月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比6・5%減となった。内訳は、書籍が同7・0%減、雑誌が同5・8%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同3・3%減、週刊誌が同16・0%減。書籍は送品量が引き続き前年を下回っているにもかかわらず、返品が増加。雑誌はコミックスがプラスとなり、定期誌とムックの落ち込みをカバー。週刊誌は送品が1割以上の大幅減。全体的な部数減に加え、「週刊少年ジャンプ」「週刊文春」「週刊新潮」など大物誌の刊行本数が前年同月に比べ1本少なかったことが影響した。
返品率は書籍が同2・6ポイント悪化し32・8%。雑誌は同1・5ポイント改善し41・8%。雑誌の内訳は、月刊誌が同2・5ポイント改善の41・3%、週刊誌が同3・3ポイント悪化の44・3%。
書店店頭の売上げは、書籍が約5%減。比較的ウエイトの大きい文庫、児童書、趣味・生活実用書の売れ行きに回復の兆しが見えない。雑誌は定期誌が約10%減、ムックが約3%減、コミックスが約1%減。定期誌は「anan」1月25日号が重版されたが、全体では厳しい。ムックは旅行ガイドの復調と大河ドラマ関連の好調で、ここ数ヵ月は減少幅が小さい。コミックスは「東京卍リベンジャーズ」(講談社)の最終巻、「チェンソーマン」「キングダム」(いずれも集英社)、「ミステリと言う勿れ」(小学館)など大物新刊が全体を底上げした。

『メダリスト』など5作品が受賞/小学館漫画賞贈呈式

第68回小学館漫画賞の贈呈式が3月3日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれ、受賞者に正賞ブロンズ像と副賞100万円が贈られた。
受賞作は、児童向け部門=黒崎みのり『初×婚』(りぼん)、少年向け部門=コトヤマ『よふかしのうた』(週刊少年サンデー)と阿久井真『青のオーケストラ』(マンガワン)、少女向け部門=をのひなお『明日、私は誰かのカノジョ』(サイコミ)、一般向け部門=つるまいかだ『メダリスト』(月刊アフタヌーン)。
あいさつした相賀信宏社長は「審査では性別・年齢のボーダーや部門分けに関しても議論になった。今後変えていかないといけない。社会の課題とともに検討していく」と述べた。

文化通信社「本を買って当てようキャンペーン」/4月29日から実施

文化通信社は、書店への来店者に向けたプレゼント企画「本を買って当てようキャンペーン」を、4月29日~6月30日の期間で実施する。
期間中に本を1000円以上購入すると、抽選で食品や生活雑貨、本、図書カードなど25種類の景品が当たる。書店店頭で販売する文具・雑貨などを購入しても対象となる。専用サイトで希望の景品を選択し、レシートの画像を添付してスマートフォンなどを使って応募できる。
告知にあたっては、専用ポスター、POP、レジ配布用チラシなどを用意する。参加費など費用は不要。店頭でポスター掲示などアピールするだけで顧客へのサービスが可能で、来店促進と客単価向上の契機として活用することができる。
このキャンペーンは、2020年12月に実施した「ギフトブックキャンペーン」以来、春の「こどものための100冊」キャンペーン時期と合わせて毎年2回実施し、毎回多くの応募がある。

「日販速報」「日販通信」休刊

日本出版販売(日販)は「日販速報」を3月27日号、「日販通信」を3月号で休刊した。
「日販速報」は1957年創刊。同誌に掲載の書誌情報については、出版業界団体の書誌情報提供サイト「BooksPRO」や「Books」の利用を呼びかけている。また、書店実務に関わる情報は「NOCS7」上のコミュニケーションパークで閲覧できる体制に移行する。
「日販通信」は1950年に創刊。同誌の書店や書店経営に関するコンテンツは同社ウェブサイト「ほんのひきだし」に移行する。
書店店頭掲示用発売日情報「文庫・コミック新刊ラインアップ」は4月以降も紙版を従来通り提供する。

売上高1694億円、0・8%減/栗田宏俊氏が取締役に新任/講談社決算

講談社は2月21日、第84期(21年12月1日~22年11月30日)の決算を発表した。売上高は前年比0・8%減の1694億8100万円、税引前当期純利益は同5・3%減の219億5900万円、当期純利益は同3・8%減の149億6900万円だった。役員人事では栗田宏俊氏が取締役に新任した。
売上高の内訳は、製品(紙の書籍・雑誌)が同13・5%減の573億5500万円、事業収入が同10・0%増の1001億7200万円、広告収入が同5・0%増の73億9400万円、その他が同56・2%減の14億2000万円、不動産収入が同1・1%減の31億3800万円だった。
新役員体制は次の通り(○印は新任)。
代表取締役社長
       野間 省伸取締役副社長(管理部門・グループ会社統括、社長室担当)    金丸 徳雄専務取締役(コミック編集統括、第四事業局担当)
       森田 浩章
常務取締役(営業/グループ会社担当) 峰岸 延也同(ライツ・メディアビジネス/グループ会社担当)
       古川 公平同(編集統括、第二事業局・第五事業局担当)
       鈴木 章一
取締役(編集総務局・第六事業局担当) 清田 則子同(経理局担当)
       吉富 伸亨同(広報室・IT戦略企画室担当)   吉羽  治同(総務局担当)
       菊池 俊行同(第一事業局担当)
       髙橋 明男同(ライツ・メディアビジネス局担当) 松本  智同(販売局担当)
       角田 真敏同(第三事業局担当)
      ○栗田 宏俊同(非常勤) 野内 雅宏常任監査役  白石 光行同      乾  智之監査役    金子 眞吾

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

鳥集徹編著『医者が飲まない薬』(宝島新書900円)副題が誰も言えなかった真実。5人の医師が、現在の医療問題に対して本音を語る。
薬は5種類以上飲まなないのが原則である。減薬を勧める医者が少ないことと、一方薬が多いほど安心する患者がいる。
ポリファーマシー(多剤服用)というが、違う科で診療を受ける度、足し算で薬が増えてしまう。
降圧剤を飲み過ぎて認知症を発症したり、血糖値を下げ過ぎて頭痛や昏睡を起こしたり、薬の副作用でコンディションを崩す例がとても多い。薬はゼロが理想なのだ。
生活環境を見直せば薬は引き算できる、新型コロナにはワクチンも新薬も必要なかった、「基準値」原理主義が寿命を縮める、などが各章の見出し。薬を減らす指導こそ急務という。薬はたとえば製薬会社の医師への接待攻勢も背景にある。無暗に薬に依存しないよう警鐘を鳴らしている。
松永正訓著『患者が知らない開業医の本音』(新潮新書800円)は脳動脈瘤を発症し、大学病院で働けなくなり開業医になった医師の奮戦記。
立場で異なる医師同士の判断やクレイマー患者など、開業医の舞台裏をレポートする。自分との相性の良い医師を選ぶことが最善であると説く。

日販GHD本社7階をリニューアル/「学び、共創、コミュニケーションの拠点」

日販グループホールディングスは、東京・千代田区の本社7階を会議室、ライブラリー、イベントスペースなどを兼ね備えた新たな仕事場「オチャノバ(OCHANOBA)」としてリニューアルした。
日販グループはサステナブルな社会の実現に向けてESGを重視した経営を推進。今回の改装は、従業員の働きやすさ向上と職場環境改善、グループ内及び社外パートナーとの共創が生まれる場を意図したという。ライブラリー・イベントスペースなどを通して従業員の自発的な学びやチャレンジを誘発したり、気軽に交流を深められる場を創るとともに、社外パートナーに向けたショールームとしての機能も兼備する。
ライブラリーには、従業員が選んだ本や、「文喫」「箱根本箱」に選書された本が並ぶ。イベントスペースは116名まで収容可能で、リアルのイベントやセミナーを開催できる。全10室ある会議室は高機能の機器を備え、リアルとオンラインのハイブリッド会議に対応。オープンラウンジはDULTONの家具を採用し、軽い打合せや商談前後の雑談などの場として活用するとともに、実際に商品を体験してもらえるようにしている。カフェスペースには従業員の健康的な生活をサポートする設置型社食サービスを導入。植物工場パッケージ「CityFarming」で栽培したいちごも食べられる。
オフィス内にはグループ企業の日本緑化企画が手掛ける植物を随所に設置。サステナビリティを重視し、フロアの家具・什器には古紙を再利用した素材や、消耗した部分のみを交換できるロングライフ製品を採用している。

出版流通改革完遂に注力/「書店マージン30%以上」達成にこだわる/日販23年度組織改定

日本出版販売(日販)は3月20日、2023年度(23年4月1日~24年3月31日)の組織改定および職制人事体制を決定した。発令日は4月1日。
同社は中期経営計画のもと、マーケティングを通じた事業活動による価値提供、持続可能な出版流通の構築を目的とした出版流通改革に取り組んでいる。加速度的に縮小を続け、いっそう厳しさを増す出版市場の中で、23年度は改革を徹底してやり抜き、必ず成果を上げる年と位置付ける。そのため次の点をポイントに組織改定を実施し、掲げた戦略を遂行するとしている。
1、マーケティング戦略
出版物の売り伸ばしを図る販売戦略の実行、書店マーケットの価値を高める文具・雑貨の拡大、取引先とともに各エリアで新たなビジネスを創るエリアマーケティングへの挑戦など、マーケティングを軸とした事業活動をさらに展開するため、マーケティング推進部の機能を強化する。いずれの取り組みも各エリアに根差す支社を軸に据えて取引先と一体となって取り組むことが肝要なため、最前線の接点として5支社体制を維持する。ただし、支店は市況に合わせて一部廃止・統合を行う。
22年度に新設した文具雑貨商品本部は、現行の体制を継続する。文具一次卸として、取引書店の商材を拡大するとともに、メーカーと書店の距離を縮め、マーケット価値を最大化することにいっそう注力する。
2、出版流通改革
持続可能な出版流通を構築し、街に書店と本があり続ける心豊かな世界を未来に残し続けることが、出版流通改革で掲げたミッション。23年度は、出版流通改革の当初計画の最終年度として、「書店マージン30%以上」を中心とした各種指標を達成し、成果を上げることにこだわる。流通改革推進本部が引き続き改革を推進するヘッドクォーターとなり、支社や物流部門とも連携しながら、改革完遂に向けて邁進する。
3、社内構造改革や新規領域の確立
社内構造改革や新規領域の確立・拡大にあたり、定期の改訂時期に捉われることなく、戦略の推進に即して、フレキシブルに組織変更を実行する。