全国書店新聞
             

令和元年6月1日号

新理事長に矢幡秀治氏(真光書店)/「中小書店の経営改善に注力」/東京組合総代会

東京都書店商業組合は5月22日、千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで第43回通常総会を開催。舩坂良雄理事長(大盛堂書店)が退任し、新理事長に矢幡秀治常務理事(真光書店)を選任した。51歳で理事長に就任した矢幡氏は「中小書店の経営改善、経営課題解決に注力する」と所信を表明した。総代45名(委任状含む)が出席した総代会は、矢幡常務理事の司会で進行、本間守世副理事長(本間書店)の開会の辞で始まり、舩坂理事長があいさつ。
舩坂理事長は3期6年務めた理事長職を退任すると発表。「日本経済はいっこうに上向く気配が見えない。この秋には消費税が10%に上がる予定で、出版物への軽減税率適用も見送られた。この荒波を乗り越えていくため、本日新しい役員を選出する」と述べ、新執行部への期待を語った。また、個人経営の店は書店だけでなくどの業種も厳しいとして、「煎餅屋の業界では、次世代の若手経営者がグループを作り、新規客の開拓や新しい販売方法に挑戦しているという。書店も若い人たちが頑張って、この業界の流れを良くしてもらいたい」と、最後のあいさつを締め括った。
議長に武田初男氏(芳進堂)を選任して議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決した。
平成30年度事業報告で、指導・調査委員会からは、こぐま社・吉井康文前社長を講師に「児童書の棚作り」をテーマに開催した平成30年度書店経営研修会の内容を説明。また、万引問題では「第9回万引き追放SUMMERキャンペーン」「第14回東京万引き防止官民合同会議」の模様を報告した。
組織委員会は、各支部の支部員が減少し、支部単位での活動が困難になりつつある現状を踏まえ、エリアでの活動を活発に行ってほしいと要請した。
事業・増売委員会は、「読者謝恩図書カード」を出版社等18社の協賛で1万8000枚販売したこと、出版社への増売協力を積極的に行ったことを報告した。
平成31年度事業計画は、重点施策として引き続き「休業店を除いた全員参加型の増売運動」に取り組むことを説明。また、リニューアルしたホームページを活用し、情報発信の迅速化と広域化を進め、読者を書店に誘導するシステムの構築を目指す方針を示した。デジタル部門では、電子ビジネス関連の調査と情報収集を行い、新規事業の開拓に取り組む。書店会館の運営と営繕管理では、建て替えも視野に入れて新たな活用を模索するとした。
任期満了に伴う役員選任では、理事35名、監事3名を承認。新理事による理事会を開き、選挙の結果、新理事長に矢幡氏を選任した。副理事長は柴﨑繁氏(王様書房)を再任し、渡部満(教文館)、平井久朗(ビーブックス)両氏を新任した。なお、理事長を退任した舩坂氏は港・渋谷支部選出の理事として残る。
総代会終了後の懇親会であいさつに立った矢幡新理事長は、「組合というのは中小書店の経営改善、経営課題解決が第1の目的。まずそこに注力したい。皆さんの協力をお願いする」と所信を表明した。
[東京組合役員体制]
○印は新任▽理事長=○矢幡秀治(真光書店)
▽副理事長=○渡部満(教文館)柴﨑繁(王様書房)○平井久朗(ビーブックス)
▽常務理事=○井之上健浩(久美堂)渋谷眞(四季書房)濱野敏明(アンビル宮脇書店東京田無店)○小川頼之(小川書店)○大橋知広(東京堂書店)
[支部功労者表彰]
古谷憲一(中野屋書店)浅田実(浅田書店)

愛知組合・春井理事長、読書推進の意義を説く/愛知図書館協会で講演

愛知県書店商業組合の春井宏之理事長(正文館書店)は、5月15日に名古屋市中区の愛知県図書館で開かれた「令和1年度愛知図書館協会総会」に招かれ、「日本語の文化の多様性を守るための書店の役割、図書館の役割」と題して講演した。
春井理事長は「書店と図書館は目的の多くの部分が重なっている。より多くの人たちに本を読んでもらうために協力しなければならない」と指摘。「書店の仕事は、出版物を通じて日本語と日本文化の多様性を知らしめ、後世に残していくこと。普通の商業活動と違うところがある」として、愛知組合は「読書推進」「知の拡散」を目標に活動していると話した。

6月20日に日書連通常総会

日書連は6月20日(木)午後1時、東京・千代田区の書店会館で第31回通常総会を開催し、平成30年度事業報告、収支決算報告、令和1年度事業計画案、収支予算案、借入金最高限度額案、役員の報酬額案、任期満了に伴う役員改選などを審議する。
また、当日午前10時半から定例理事会を開催する。

3氏に黄綬褒章/全国教科書供給協会

春の褒章で、全国教科書供給協会から次の3氏が黄綬褒章を受章した。伝達式は5月30日、文部科学省講堂で行われた。
▽伊藤武司(愛知県・丸十伊藤書店)▽小栁一郎(鹿児島県・文精堂書店)▽山田壽穂(岐阜県・恵文堂)

「文学クイズ」高校生と協力/軽減税率制度学ぶ研修会実施/青森総会

青森県書店商業組合は5月8日、青森市のアラスカ会館で第32回通常総会を開き、組合員18名(委任状含む)が出席した。
総会は県組合事務局・武田豊文氏(成田本店)の司会、藤村真専務理事(スノヤ書店)の開会の辞で始まり、成田耕造理事長(成田本店)があいさつした。
成田理事長は、昨年の出版業界の動向に触れ、「紙の本の売上げは1兆2921億円で14年連続マイナス、紙と電子を合わせても1兆5916億円で前年比96・8%だった。特に雑誌の落ち込みが大きい。日書連では『これ以上、書店をなくさない』という合言葉のもと、書店環境改善実務者会議を開き、粗利30%以上実現を目指している。他県ではコンビニと連携した一体型書店もできている。さらに商売の工夫をしなければならない」と述べた。
日書連読書推進活動補助費を受けた事業では、県内高校生の協力のもと、「あおもり文学クイズ」リーフレットを1万部製作し、ポスターとともに組合加入書店に配布。リーフレットを来店客に無料配布し、新聞広告やテレビCMでサン・ジョルディの日をPRするとともに、抽選で50名に図書カードをプレゼントしたと報告した。
また、研修会事業として、青森税務署広報広聴官・鎌田奈々氏を講師に「軽減税率制度について」、トーハン・松井三喜夫氏と日販・漆山哲夫氏を講師に「取次会社からの提案」の講演を行ったと報告した。
続いて成田理事長を議長に議案審議を行い、18年度事業報告、収支決算、19年度事業計画案、収支予算案など、すべての議案を原案通り承認可決した。
総会終了後、全国万引犯罪防止機構の万引防止出版対策本部・阿部信行事務局長が「万引犯に対する損害賠償請求を普及するためのネットワーク構築について」をテーマに講演した。
(伊藤篤広報委員)

街の書店の経営維持へ、粗利30%以上実現が最重要課題/面屋龍延理事長を再選/大阪組合総会

大阪府書店商業組合は5月17日、大阪市北区の尼信ビル会議室で平成30年度通常総会を開催し、組合員113名(委任状含む)が出席。面屋龍延理事長(清風堂書店)の再選を決めた。
総会は堀博明副理事長の司会で進行。面屋理事長は開会あいさつで、「書店は粗利30%以上を得なければ経営をやっていけない。日書連では、舩坂会長のもと出版社や取次に要請活動を行い、業界3者による『実務者会議』では私が座長を務めて方策を協議した。大阪では、大阪読書推進会で子どもの読書推進運動を展開し、今年で15年目。本の帯作成で子どもの創作を促すなど、全国的にも珍しい運動だ。大阪の子どもたちの学力を向上させ、未来の読者を育てる運動に今後も力を注ぎたい」と述べた。
続いて正副議長に坂口昇常務理事、土屋充子理事を選任して議案審議。平成30年度事業報告、収支決算書、平成31年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
平成30年度事業を総括した面屋理事長は、「実務者会議」を計4回開催し、日書連から取引形態の仕組みや出版流通体制に対する要望などを盛り込んだ「試案」を提示。出版社や取次を再度訪問し、街の書店の経営維持のための施策について提案を行ったと説明。この懇談を元に、粗利益30%以上を実現する制度について引き続き協議すると述べた。
各事業報告では、読書推進委員会から、「本の帯創作コンクール(帯コン)」は1万2931点の応募があり、受賞作品は113点と報告。2018年度「読書ノート」には147校から応募があり、抽選の結果123校に4万9888冊を送付したと報告した。
図書館・情報化委員会からは、公共図書館・学校図書館への入札制の廃止について、各政党の府市会議員などに陳情活動を行っていることを報告した。
平成31年度事業計画案の総論について面屋理事長は、粗利益30%以上実現のほか、政治に働きかける問題として、出版物への軽減税率適用やアマゾン対策、地元書店による公共図書館・学校図書館への図書納入の実現を掲げた。また、「帯コン」「読書ノート」運動、大阪府との共同事業「OSAKAPAGEONE」運動の推進などに取り組んでいくと述べた。
定款の一部改正では、副理事長の選定について、現行の4名から3名に変更することを承認した。
任期満了に伴う役員改選では、理事32名、監事3名の候補者を承認。第1回理事会で面屋理事長を再選した。面屋理事長は「街の書店の廃業を防ぐことに尽力したい。三位一体で難局を乗り切りたい」と述べた。また、筆頭副理事長に戸和繁晴氏(トーワブックス)、副理事長に深田健治氏(ブックスふかだ)、堀博明氏(堀廣旭堂)を再任。常務理事、委員長は6月の理事会で決定する。

春井体制3期目始動/LINEなど活用して情報共有/愛知組合総会

愛知県書店商業組合は5月17日、名古屋市千種区のホテルルブラ王山で第36回通常総会を開き、組合員101名(委任状含む)が出席。役員改選で春井宏之理事長(正文館書店)を再選した。春井理事長は、LINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とホームページ(HP)を活用した情報共有・情報収集の仕組みを理事会から全組合加入書店まで拡大する方針を示した。
総会は伊藤信高理事(大阪屋書店)の司会で進行。開会あいさつで春井理事長は組合の厳しい財政状況に触れ、「現在の形で運営を続けることは不可能。思い切った改革が必要」と指摘した。また、スマホの普及など社会のデジタル化が進む中、本を読む人がマイノリティと見られる風潮があることを危惧し、「『便利』という言葉に振り回されず、読書の価値を広くアピールする戦略を構築したい」と訴えた。
引き続き佐藤光弘氏(光書店)を議長に議案審議。平成30年度事業報告、収支決算報告・監査報告、平成31年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認した。
事業報告は各部会の担当副理事長が説明。①「サン・ジョルディフェスティバル名古屋」で「本屋さんが選んだ、子どもに読み聞かせたい絵本101冊」の展示販売などを行った、②「中学生はこれを読め!」を20店で実施し、同リスト掲載本100冊の増売を図った、③「青少年によい本をすすめる県民運動」(協賛事業)で、出版社21社から寄贈された児童書1800冊を76校に届けた、③「孫の日」キャンペーンに約50店が参加し、出版社15社おすすめ本15点を拡販した、④中部地区書店大商談会「日本ど真ん中書店会議」を開催した――などの報告があった。
任期満了に伴う役員改選では、選考委員による指名推薦で理事26名、監事2名を選出。このあと新役員による初理事会を開き、春井理事長を再選した。副理事長4名も全員留任した。
事業計画案の説明を兼ねて3期目の所信を述べた春井理事長は、「今後2年かけて組合改革を断行する」と決意を語り、具体的な施策の一つとして組合運営におけるSNSとHPの活用に言及。「理事会ではLINEグループを作り、情報収集・情報共有の場として活用しているが、理事だけでなく県内各地の組合加入書店にも登録してもらい、できるだけ多くの書店に迅速・確実に情報が伝わるようにしたい。また、出版社の新刊情報等をホームページに載せて、注文書をダウンロードできる仕組みも作りたい」と述べ、LINEへの登録を促進するよう各支部長に求めた。また、「サン・ジョルディフェスティバル」などこれまで行ってきた組合事業について、「従来通り継続できるよう努力する」とした。
[愛知組合役員体制]
▽理事長=春井宏之(正文館書店)
▽副理事長=谷口正和(ちくさ正文館)近藤五三六(近藤商店)小原永幸(かちがわ文昌堂)水野賢一(白沢書店)

「春夏秋冬本屋です」/「令和よ、書店はいずこへ」/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

元号が変わり早1ヵ月、「令和」という名称にも馴染んできたようだ。私事だが、大正14年生まれの母は大正から昭和、そして昭和63年生まれの倅は昭和から平成へと、元号が改まるタイミングで人生をスタートしており、元号の年には親しみを感じる。
今年になって、平成30年間を振り返る出版物が何点も出ている。平成7年にWINDOWS95が発売され、研究者や大手企業が中心だったコンピューターの利用が瞬く間に一般店舗や個人にも普及し利用されるようになった。以後、通信や情報収集、伝達の手段としてパソコン、ケータイ、スマホ、タブレット等、目覚ましい進化を遂げる。
この流れに逆行するように、出版業界の売上は右肩下がりになる。昭和からバブル崩壊までは出せば売れていた。しかし、インターネットの普及もあって、本という情報媒体は大きく落ち込んでいく。書店の数も減り、横須賀地区の組合加盟店はこの20年で約4分の1まで減少。出版社も淘汰され、取次の合併もあった。電車ではかなりの人がスマホを見ていて、本を手にする人は少ない。「本」の需要形態が変わったのだ。
将来の見通しは厳しい。しかし、新元号になった今こそ、紙の良さとデジタルの利便性を融合した新しい書店と出版界の在り方について考え、いかに転換し変化していくかを問うていきたい。

京都市などが「京都文学賞」を創設/京都組合も協力、店頭で盛り上げ

京都市はこのほど市や京都新聞、京都出版文化協会等で構成する実行委員会を立ち上げ、「京都文学賞」を創設。第1回の作品募集を6月1日から開始した。
募集作品は、京都を題材とする未発表の小説。純文学、エンターテインメント等のジャンルは問わない。「一般」「中学生・高校生」「海外」の3部門を設け、プロ・アマを問わず、全国から作品を募集する。字数規程は、一般部門が2万8000~16万字、中学生・高校生部門と海外部門が8000~6万字。一般部門の最優秀賞の賞金は100万円で、書籍化を目指す。
最終選考委員は作家のいしいしんじ氏、原田マハ氏、文芸評論家で元「小説新潮」編集長の校條剛氏らが務める。また、読者の視点を選考に加えるため、一般の読者選考委員を40名程度公募する。
作品の応募締切は9月30日、読者選考委員の応募締切は7月31日。表彰式・交流会は来年3月頃、京都市内の会場で開催する予定。
実行委員会は、門川大作京都市長が実行委員長を務め、書店界からは京都出版文化協会・大垣守弘代表理事(大垣書店)が副実行委員長、京都府書店商業組合・洞本昌哉副理事長(ふたば書房)が委員として参画している。
京都府書店商業組合、文化庁地域文化創生本部、KADOKAWA、河出書房新社、幻冬舎、講談社、集英社、新潮社、PHP研究所、文藝春秋が協力。京都組合は書店店頭における京都文学賞の広報(チラシ・ポスターの配架)などの役割を担う。
募集要項等の詳細は以下の専用サイトに掲載している。URL=https://www.koubo.co.jp/kyoto/

粗利益30%実現へ方向性を協議/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は5月11日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。面屋理事長は、書店環境改善で4月16日に主婦と生活社、学研プラスを日書連舩坂会長、鈴木副会長と訪問したことを報告。書店の粗利益30%実現について今後の方向性を協議した。
読書推進委員会では、「本の帯創作コンクール」課題図書の注文締切日や店着予定日、「読書ノート」抽選日や発送日など今後のスケジュールを説明した。雑誌発売日励行委員会では5月9日開催の雑誌委員会について報告。昨年12月25日に現認された幼年誌・婦人誌の発売日違反に対する措置について説明した。レディース委員会からは、レディースランチは7月17日に中之島のフレンチレストラン「アラスカ」で開催、募集人員は40名と報告した。(石尾義彦事務局長)

書店商談会各地の開催概要発表/東京、今回は9月25日に開催/大阪11月、北海道9月、中部8月、九州9月

第10回「書店大商談会」、「BOOKEXPO2019」、第6回「北海道書店大商談会」、第3回「日本ど真ん中書店会議」、「九州選書市2019」の各実行委員会は5月22日、東京・千代田区の出版クラブで合同記者会見を開き、各商談会実行委員長が開催概要を説明した。
記者会見には、「書店大商談会」実行委員会・矢幡秀治実行委員長(真光書店)、「BOOKEXPO2019」実行委員会・洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)、「北海道書店大商談会」実行委員会・中尾邦幸実行委員長(マル五中尾書店)、「日本ど真ん中書店会議」実行委員会・春井宏之委員長(愛知県書店商業組合理事長、正文館書店)、「九州選書市2019」実行委員会・安永寛委員長(福岡県書店商業組合理事長、金修堂書店)が出席した。
会見の冒頭で、日書連の舩坂良雄会長が「商談会は、書店と出版社の出会いの場として非常に貴重。各実行委員会では書店に喜んでもらえる色々な企画を考えておられ、非常にありがたい」と応援メッセージを述べた。
第10回「書店大商談会」は9月25日(水)午前11時~午後5時半、東京都文京区・東京ドーム「プリズムホール」で開催予定。出展料は3万7800円(税込)。複数ブース出展の場合は2ブース目以降3万2400円(税込)。出展申込は6月14日まで出版文化産業振興財団(JPIC)ホームページで受付。目標は出展250ブース、来場書店1000名、商談成立1億円(本体価格)。来場書店には、店頭で役立つグッズをプレゼントする。また、出展社のブースイベント企画に協力金を補助する。出展社説明会は7月9日(火)に東京・新宿区の牛込箪笥区民ホールで開催する。
矢幡実行委員長は「前回は2月開催にチャレンジしたが、書店と出版社からなかなか行けないという声があり9月開催にした。今回は分科会は行わず、1つの会に集中してやっていきたい。補助金については上限を100万円として、有名作家を呼んだり、サイン本をブースで配るといった、少しお金がかかってもいいようなイベントを打ってほしいと考えている」と述べた。
「BOOKEXPO2019秋の陣~楽しめ!書店人~」は11月6日(水)午前11時~午後6時、大阪市北区・グランフロント大阪で開催する。出展料は2万9000円(税込)。ジャンルの異なる2ブース目から2万5000円(税込)。出展申込は6月3日~同21日、JPICホームページで受付。目標は出展245ブース、来場書店1100名、商談成立金額1億円。児童書コーナーでは絵本作家・谷口友則さんのサイン会などを予定。好評の「目指せPOP王!西日本POP王決定戦」を今年も実施。「OsakaBookOneProject」等の特設ブースも設置する。
洞本実行委員長は「出展料を昨年より3400円値下げし、その分書店用のお土産を用意していただきたいと考えている。入口で書店にくじを引いてもらい、該当出版社のくじが当たるとそのブースへ行ってもらうという方式で、各ブース均等に書店が顔を出すような形にしたい」と述べた。
第6回「北海道書店大商談会」は9月3日(火)午前10時~午後4時、札幌市中央区の札幌パークホテルで開催する。出展料は2万9700円(税込)。出展申込は6月5日までJPICホームページで受付。目標は出展105ブース、来場書店230名程度、商談成立額2200万円。イベントでは、第4回「北海道ゆかりの本大賞」を開催。これまで開催当日に投票を行い大賞を決定していたが、今回は事前投票で大賞決定を早め、書店店頭での増売を図る。大賞のセレモニーは例年通り当日会場で行う。また、「どさんこPOP王決定戦」を新たに開催し、当日受賞作品の表彰と展示を行う。
第3回「日本ど真ん中書店会議」は8月28日(水)午後0時半~5時半、名古屋市千種区・名古屋市中小企業振興会館「吹上ホール」で開催する。イベントとして、3回目となる「日本ど真ん中書店大賞2019」を小説部門、ご当地部門の2部門で開催する。ご当地部門は、愛知、岐阜、三重各県ごとに各1銘柄、計3銘柄を選定する。
「九州選書市2019」は9月18日(水)午前10時~午後4時、福岡市中央区・電気ビル共創館「みらいホール」で開催する。出展は約120ブースを予定。選書市に合わせて九州トーハン会、九州日販会の開催日を調整し、多くの書店の来場を促進する。

返品運賃値上げを承認/福岡理事会

福岡県書店商業組合(安永寛理事長)は4月22日、福岡市中央区の組合会議室で定例理事会を開催した。
理事会では、10年ぶりの値上げとなる返品運賃改定を承認した。鉄道貨物・海上輸送等の幹線輸送費の値上げに加え、運送業界の労働条件・環境・安全対策等の社会的規制強化への対応が求められている中で、昨年末に天龍運輸から組合に返品運賃改定の申し出があり、組織・流通委員会を中心に両者で話し合いを重ねた結果、社会的情勢を鑑み今回は返品運賃改定に合意するに至った。ただし、値上げ率は交渉の結果、天龍運輸の当初の申請額よりかなり低く抑えられている。
(加来晋也広報委員)

全出版人大会/野間大会会長「出版の原点見つめ直す」/日書連・舩坂会長が長寿祝賀受ける

第58回全出版人大会(主催・日本出版クラブ)が5月8日、東京・千代田区のホテルニューオータニで開かれ、出版社、取次、書店など約550名が出席。野間省伸大会会長(講談社)は「今一度出版の原点を見つめ直す令和1年にしよう」とあいさつ。また、長寿者39名を祝賀し、永年勤続者312名を表彰した。日書連関係では舩坂良雄会長が長寿祝賀を受けた。
式典の冒頭、野間大会会長は「紙の出版物、特に雑誌の売行き激減や、書店の減少に歯止めがかかっていない。10月には消費税率が10%に引き上げられる予定で、本の売行きへの影響が心配される。出版物への軽減税率適用実現に向け、今後も政府との交渉を継続しなければならない。海賊版サイトの問題も平成時代から積み残し、予断を許さない。ただ、電子出版などデジタルの動きには少し光明が見えてきた。表現媒体が多岐にわたっても、結局は優れた作品をいかに作り出すかに尽きる。出版の原点に立ち返り、魅力的なコンテンツを創り出すことに尽力したい。クリエイターや著作権者の権利と利益を出版社が一体となって擁護することで、従来型の出版という形のみならず、様々な表現展開がかなえられるよう努力したい。今一度出版の原点を見つめ直す令和1年にしよう」とあいさつした。
続いて青木康晋大会委員長(朝日新聞出版)は「委員長のミッションは3つある。1つは講師の選任で、新進気鋭の作家、柚木麻子さんにお願いした。2つ目は手土産の風呂敷のデザインで、『週刊朝日』を後ろから開かせる男、山藤章二さんに依頼した。3つ目が大会声明の起草だ」と説明し、大会声明を朗読。拍手で採択した。
永岡桂子文部科学副大臣、羽入佐和子国立国会図書館長の祝辞に続き、長寿者代表の日書連・舩坂良雄会長に鹿谷史明大会副会長(ダイヤモンド社)から寿詞と記念品、永年勤続者代表の岩本祐輔氏(医歯薬出版)に相賀昌宏大会副会長(小学館)から表彰状と記念品が贈られた。
舩坂会長は、入社した当時の書店店頭や、初めて渡米した時の体験、作家・三島由紀夫氏との交流について、若き日のエピソードを披露。「平成元年には消費税が導入され、景気が悪くなっても書籍は不況に強いと言われた。消費税が5%に上がってからは売上が落ち、その後の増税が厳しい状況に追い打ちをかけている。だがあきらめるわけにはいかない。私ども書店は基本姿勢は変えずに、時代に合った体系を作っていかなければならない。次の世代に書店を継いでもらえるようにすることも重要な使命だ。皆様には、休みの日は近くの書店へ行って本を手に取り、買ってほしい。これからも書店を大事にしていただきたい」と謝辞を述べた。
岩本氏は、医歯薬出版で著作権や版権交渉、ライセンス契約等を扱う部署で働いていると話し、「最近はアジア圏を中心に翻訳のオファーが増えており、我が国の医療が出版物という形で海外の患者さんの健康に寄与していることはひそかな誇りだ。感謝の気持ちを忘れることなく、出版界へ恩返しをしていきたい」と述べた。
このあと、小説家の柚木麻子氏が「再評価がヒットの要」と題して記念講演を行った。
懇親パーティでは、共立出版の南條光章社長が「出版界は多難な時期ではあるが、2大取次が協業をしていくという話も出ている。出版社同士が協力できるところは協業しながらやっていければ、これからも先は明るいのではないか。令和の時代も出版界のためにご尽力をお願いする」と述べて乾杯の音頭を取った。
【大会声明】
平成という時代の最後に、いちばん売れた本は「漫画君たちはどう生きるか」でした。この本は私たちに「出版人はどう生きるか」ということも教えてくれていると思います。
本の主人公コペル少年は、おじさんからこう言われます。「コペルニクスのように、自分たちの地球が広い宇宙の中の天体の一つとして、その中を動いていると考えるか、それとも、自分たちの地球が宇宙の中心にどっかりと座りこんでいると考えるか」
「地球」を「出版界」に置き換えてみてください。私たちが独善的であってはいけないこと、出版不況をただ嘆くのではなく、世の中の変化とともに私たち自身もまた変わるべきであることが、わかるのではないでしょうか。電車に乗ると、本や雑誌を読んでいる人を見ることはめっきり少なくなったと寂しがっても、どうにもなりません。
おじさんはまた、「文字というものを発明したから、書物を通じて、お互いの経験を伝えあうこともできる」とも語っています。そもそもこの漫画の原作は、いまから八十年以上前、昭和十二年(一九三七年)に書かれました。盧溝橋事件をきっかけに日中戦争が始まった年でした。そんな時代にあってもすばらしい本が生まれ、昭和から平成、さらに令和となったいまに生き続けています。
そうです、私たちは時代を超えて、人びとの心の糧となり、楽しみであり、この国の文化を担う本や雑誌、あるいは電子コンテンツをつくっています。私たち出版の仕事は、根幹のところではAIが担うことはできず、決してすたれるものではありません。それどころか、価値観が多様化し、揺れ動く中でこそ、知の集積である出版物は道しるべとなるでしょう。
一冊が人生を変え、社会を動かすこともあります。出版文化がしっかり根づいている国は、人びとの精神も豊かです。解決が難しく見える現代のさまざまな問題に対しても、本を読む人は深く考え、理性的に向き合えると思います。私たちは人びとを幸せにする仕事をしています。それに何より、この仕事はおもしろいではありませんか。
さあ、私たち出版人はどう生きるか。時代の変化に合わせて人びとが欲する出版物、時代の一歩先を行き、進むべき道を照らす出版物、どんな時代にも価値を持ち続ける出版物をつくる、ということではないでしょうか。
これからも私たちは、果たすべき使命に誇りを持ち、いい本、いい雑誌、いいコンテンツを読者に届けましょう。出版文化は永遠です。
令和1年五月八日
第五十八回全出版人大会
【長寿祝賀】
敬称省略、氏名50音順
安部英行(学事出版代表取締役社長)
阿部好美(トーハン元専務取締役)
伊勢久雄(大阪屋栗田元常務取締役)
伊藤真介(有斐閣元常務取締役)
井上ちはる(東洋経済新報社元監査役)
岩田清(大阪屋栗田元常務取締役)
内田吉昭(世界文化社元顧問)
大竹永介(講談社元顧問)
大貫英範(東洋経済新報社元取締役)
小倉昇(福音館書店元代表取締役社長)
川﨑康男(福音館書店非常勤取締役)
川面重雄(世界文化社顧問)
岸重人(日本教文社代表取締役社長)
草場憲生(大阪屋栗田元取締役)
小泉扶美子(池田書店監査役)
小林勉(東洋経済新報社元常務取締役)
酒井京子(童心社取締役会長)
酒井久雄(有斐閣元常務取締役)
坂井幸雄(光文社元専務取締役)
佐倉清一(童心社前代表取締役社長)
佐々木敏雄(大阪屋栗田元取締役)
重村博文(講談社顧問)
柴原正隆(大阪屋栗田元取締役)
下川正志(家の光協会前代表理事専務)
清野一芳(東洋経済新報社元取締役)
関谷守昭(実教出版元常務取締役)
武元善広(東京書籍元取締役)
谷利周二(光文社元取締役)
土開章一(くもん出版顧問)
中島治久(同文舘出版代表取締役)
野澤伸平(山川出版社代表取締役社長)
林保(大阪屋栗田元取締役)
廣瀬政樹(光村教育図書監査役)
舩坂良雄(日本書店商業組合連合会会長)
松下重信(東京法令出版元取締役)
水野渥(日貿出版社取締役会長)
溝口早苗(CQ出版監査役)
森田猛(緑書房代表取締役社長)
八木沢一寿(光文社元常務取締役)
【永年勤続表彰】
あかね書房=引木志都
朝倉書店=千葉徹、湯浅靖子、小野雅孝
家の光協会=岡本譲、手島秀木、藤田亮嗣、大和輝之、仙石智也、疋田義敦
医学書院=小潟清和、大竹善二郎、小南哲司、髙桑陽子、大塚敦司、小藤崇広、肥沼ひとみ、増江二郎、秋山賢一
池田書店=永井俊士
医歯薬出版=石橋直哉、岩本祐輔、長田伊織
大阪屋栗田=平間純一、平野誠、難波巧一、高島恒恵子、畠山敏昭、池上貴文、内山文一、坂野上正臣、藤井由紀、川崎淑江
宙出版=中村真理
偕成社=大西圭介、髙橋裕子
開隆堂出版=岡村洋平、荒川琢郎
学研ホールディングス=小方桂子、西村俊之、宮本光広
河出書房新社=石田博之、平井孝昌、行方佳奈美、石島真祐子、工藤恭子
教育芸術社=笠井友貴、三谷恭子、小野慎也
教育出版=佐々木直哉
共立出版=大越隆道
きんざい=松本直樹、抱山護、鈴木英介
金の星社=壬生淳一郎
くもん出版=池澤正幸
講談社=小林司、渡邉圭太、川崎耕司、田渕浩司、森田眞、栗田宏俊、山田新、森清、土井秀倫、金井暁、島田重輝、澤英子、中野勝仁、綱川順一、渡邉由香、大橋日登美、大河内馨一、新町真弓、丸山まどか、椎野充、篠塚寿美子、植羅美佳、山崎薫子、酒井美保、飯嶋佐江子
光文社=川原田康高、横田啓城、鈴木一人、西口徹、田中秀尚、山崎喜宏、伊藤響子、楠本美紀
弘文堂=早川聖子
三省堂=樋口真理、朝日潤太郎、大堀華子、林田元継、上田俊、名雪達朗、名雪菜美、阿部正幸
実教出版=三木光徳、澤見晶子、内倉佑基
主婦と生活社=八田英一、平沼和弘
主婦の友社=松木潤
春秋社=吉岡聡
裳華房=石黒浩之
彰国社=前田智成
新興出版社啓林館=池宮宏、吉井勇郎、福塚雅啓、中井洋、岩瀬友和、大森裕史、岩間亮、横田佳奈、柴田智之
数研出版=田中寛哉、村木渉、白須賀有香子、山本貴幸、小畑早苗
成美堂出版=榎本篤志
世界文化社=竹間大輔、飯塚友紀子、大野陽、平林直子、阿竹康恵、石川由紀子
第一学習社=村田康徳、金子奈津子、山本佳奈
第三文明社=法寺岡伸吾
大修館書店=丸山真司、川口修平
大日本図書=野口敦史、岡地田津、石塚幸子
ダイヤモンド社=今関淳子、田口昌輝、鈴木洋子、成富丞、真田友美、津本朋子、田島靖久、寺田文一、前田剛、坂巻良江
淡交社=妹尾朋之、阿部克宏、田村恵子、井上尚徳
筑摩書房=伊藤大五郎、永田士郎、金子千里、泉川真砂緒、吉崎宏人、高田俊哉
チャイルド本社=後藤利明、久野貴志、蛯原慶子
中央社=小川祐史、横山秀男
東京書籍=渡邉純、佐藤加寿也、香川貴男、上村尚子、高松恭太朗、藤田俊一、清水宏子、小林直樹、叶雅也、角田晶子、中西倫省、池田貴博、守屋崇
東京創元社=村上友紀恵、神原佳史、古市怜子
東京法令出版=鈴木優子、川村崇公、福澤容子
トーハン=神戸功、田代佳一、坂本昌巳、小原宗師、堀哲也、坂巻久雄、鈴木清、松浦和夫、三浦敏、松森靖
東洋経済新報社=鈴木伸、宮久保文子、久保暁子、佐藤理一郎、和田敦子、細川めぐみ、吉川明日香、和田明彦、内藤明、加藤毅
永岡書店=桐生郷志、志村将行、春別府紗里、永岡大輔
南江堂=梶村桂
日貿出版社=大越康之、高橋憲昭、野田江利子
日本実業出版社=大野雄樹
日本出版クラブ=坂口雄一
日本出版販売=川上淳、野﨑利里子、市原真也、堀江敬彦、高橋典子、岡田隆、木内智一、霧道康一、松林栄次、北川樹恵
日本文教出版=五十嵐一郎、髙井健、髙宮真一郎、久松豊
日本文芸社=鈴木康治、佐野里恵、菊原健一、佐伯裕也、櫻井淳、中阪康一、松下憲一
農山漁村文化協会=山下快、野村収平、佐藤圭、松久章子
ひかりのくに=田中英隆、澤田聡明、三平雄介、金田孝志、長瀬寿人、飯塚義人、石原公二、菅野清香、長田亜里沙、北次智美
福音館書店=岩本恵美、島田美崇、藤井崇広
富士経済マネージメント=奥畑賢司、千葉智滋、杉崎亮輔、橋本規宏、中西啓真、豊田裕介、菅又和彦、智田佳、藤井美奈子、益田葉月
双葉社=藪長文彦、安東嵩史
文藝春秋=木村哲也、矢内藍、中本克哉、伊与田江美、坪田朋子、中川優子、三阪直弘、山本浩貴
文光堂=和田建、堀内珠理
ポプラ社=新井久美子、井ノ口恵、五十嵐大、折田加奈子、小倉崇、堀田貢太郎、吉川健二郎、幸喜聖志、山本久美子、門田奈穂子、斎藤四葉、三枝潤子、田之口正隆、阪元昭次、信濃ゆい、舞木裕
マガジンハウス=田島朗、矢作雄介、佐藤真也、栗原正樹、本間春香、成瀬八重子、蜂須賀雄一郎、星野徹
光村教育図書=松本明久
光村図書出版=田原祐也、本村浩史、橋本隆行、三好聡、稲福秀喜、野田由美子、倉井睦、中川珠貴、甲斐佳那
明治図書出版=阿部兼昌、木村悠
メヂカルフレンド社=遠藤南龍
有斐閣=福壽美由紀、鈴木淳也、渡部一樹
吉川弘文館=若山嘉秀

上野の森親子ブックフェスタ2019/3日間で4203万円売上げ

「上野の森親子ブックフェスタ2019」(主催=子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団)が5月3日~5日、東京・台東区の上野恩賜公園で開催された。3日間とも晴天に恵まれ、お目当ての本を探したり、会場内のイベントや周辺施設で行われた講演会を楽しむ多くの親子連れで賑わった。
19回目を迎えた今回も、主催3団体のもと運営委員会を設置し、日本児童図書出版協会の竹下晴信会長(評論社社長)が運営委員長を務めた。後援には国立国会図書館、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、東京都教育委員会、台東区や、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日書連など、多数の省庁、関係団体が名を連ねた。
オープニングセレモニーでは、来賓として国立国会図書館国際子ども図書館の寺倉憲一館長、画家・作家を代表して日本児童文芸家協会の山本省三常務理事が祝辞。読者代表として参列した台東区立忍岡小学校の4名とともに行ったバルーンリリースで開場し、待ちわびた多くの来場者が会場内に詰めかけた。
「子どもブックフェスティバル」には75社6団体の出展、84社の出品があり、約8千点・6万冊にのぼる絵本・児童書が勢揃い。今年も作家・作家団体が協力、各出展者のブースや会場内に設けられたイベントブースに連日多くの作家が訪れてサイン会やおはなし会、子ども向けの落語会などが開催された。また、似顔絵コーナー・手作りワークショップなどでは来場した親子と楽しい時間を過ごす姿が見られた。東京都美術館や国立国会図書館国際子ども図書館では、講演会が3日間合計7つのプログラムで開催され、多くの参加者が人気作家の楽しいトークに耳を傾け、パフォーマンスを楽しんでいた。
3日間の売上は4203万3千円にのぼった。運営委員会では「初の10連休で客足も心配されたが、好天にも恵まれ、各出展者が準備した作家のイベントもすべて行うことができ、子どもたちに本との楽しい出会いを提供する、フェスタ本来の読書推進としての目的を果たすことができたのでは」としている。なおフェスタの利益の一部は、「大震災出版復興基金」を通じて、東日本大震災と熊本地震の被災地に拠出される。

愛知県書店商業組合/本屋さんが選んだ、子どもに読み聞かせたい絵本101冊

愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)は、「サン・ジョルディフェスティバル名古屋2019」(同実行委員会、中日新聞社主催)が4月21日に開催されたのに合わせ、第5回「本屋さんが選んだ、子どもに読み聞かせたい絵本101冊」を選定し、会場で展示販売を行った。選定絵本は次の通り。
【0~3才位】
▽『くいしんぼうのクジラ』谷口智則、あかね書房▽『はっくしょん』ザ・キャビンカンパニー、岩崎書店▽『まほうつかい』いしかわこうじ、偕成社▽『せんろはつづく』竹下文子、金の星社▽『パンダなりきりたいそう』いりやまさとし、講談社▽『くまちゃんせんせい』マリーニ・モンティーニ、小峰書店▽『のび~るのび~る』岡田新吾、三恵社▽『おでかけ版たまごのえほん』いしかわこうじ、童心社▽『わんわんわんわん』高畠純、理論社▽『みつけてかぞえてどこどこどうぶつ』K・ルーカス、河出書房新社▽『まんまるねんね』黒井健、ほるぷ出版▽『おやすみなさいおつきさま』マーガレット・ワイズ・ブラウン、評論社▽『どんないろがすき』100%オレンジ、フレーベル館▽『まるさんかくぞう』及川賢治、文溪堂▽『ぽんちんぱん』柿木原政広、福音館書店▽『かな?かな?えほんよーくみて!』アニエーゼ・バルッツィ、小学館▽『ウサギのすあなにいるのはだあれ?』ジュリア・ドナルドソン、徳間書店▽『ぎゅっ』ジェス・オールバラ、徳間書店▽『おばけのやだもん』ひらのゆきこ、教育画劇▽『パグパグ3きょうだい』長澤星、鈴木出版▽『しょくぱんちゃん6しまい』ささきみお、鈴木出版▽『くるくるくるくる』新井洋行、PHP研究所▽『ぎゅ~っ!』いしづちひろ、くもん出版▽『でんしゃからバイバーイ』いしづちひろ、くもん出版▽『りんごがドスーン』多田ひろし、文研出版▽『バナナおいしくなーれ』矢野アケミ、大日本図書▽『ママー、ポケット!』デヴィット・エズラ・シュタイン、光村教育図書▽『のびのびおおかみ』みやにしたつや、ポプラ社▽『あかまるどれかな?』しみずだいすけ、ポプラ社▽『いろいろバス』ツペラツペラ、大日本図書▽『だるまさんシリーズ3冊ケース入り』かがくいひろし、ブロンズ新社▽『ばかっ』森あさ子、ポプラ社
【4~6才位】
▽『ふらいぱんじいさん』神沢利子、あかね書房▽『たからもののあなた』まつおりかこ、岩崎書店▽『きゅうきゅうしゃのぴーとくん』正高もとこ、岩崎書店▽『オオイシさん』北村直子、偕成社▽『おかあさんだいすきだよ』みやにしたつや、金の星社▽『もったいないばあさん』真珠まりこ、講談社▽『ともくんのおうち』おおはしえみこ、国土社▽『恐竜トリケラトプスとスピノぼうや』黒川みつひろ、小峰書店▽『クッピーとラムのたのしい森のピクニック』岡田新吾、三恵社▽『きょう、おともだちができたの』得田之久、童心社▽『おおかみのおなかのなかで』マック・バーネット、徳間書店▽『プリンちゃん』なかがわちひろ、理論社▽『ふくろうのオカリナ』蜂飼耳、理論社▽『でんせつのじゃんけんバトル』ドリュー・ディウォルト、河出書房新社▽『せかいいちまじめなレストラン』たしろちさと、ほるぷ出版▽『こいのぼりくんのさんぽ』すとうあさえ、ほるぷ出版▽『またまたねえ、どれがいい?』ジョン・バーニンガム、評論社▽『あめがふるふる』田島征三、フレーベル館▽『こいのぼりぐんぐんこどものひ』ますだゆうこ、文溪堂▽『もじもじこぶくん』小野寺悦子、福音館書店▽『カどこいった?』鈴木のりたけ、小学館▽『ちいさなちいさなほうせきのもり』さかいさちえ、教育画劇▽『アナゴたいそう』うさやまみやこ、鈴木出版▽『せんたくばさみのサミー』ひらぎみつえ、鈴木出版▽『もぐらのいえ』松尾真由子、くもん出版▽『ふねのとしょかん』いしいつとむ、文研出版▽『ニャンコどこいった?』よこただいすけ、少年写真新聞社▽『おふくさんのおふくわけ』服部美法、大日本図書▽『へんてこロボ』ミシェル・ロビンソン、光村教育図書▽『いこう!絶滅どうぶつ園』今泉忠明、星の環会▽『おしっこちょっぴりもれたろう』ヨシタケシンスケ、PHP研究所▽『ゆびたこ』くせさなえ、ポプラ社▽『じごくにいったかんねどん』かつらこ、童心社▽『あめだま』ペク・ヒナ、ブロンズ新社▽『へびかんこうセンター』こじましほ、文溪堂
【小学校低学年】
▽『おねえちゃんっていっつもがまん』いとうみく、岩崎書店▽『ジャガーとのやくそく』アラン・ラビノヴィッツ、あかね書房▽『きみがうちにくるまえに』アリベス・ボルツ、岩崎書店▽『なぞなぞアンデルセン』石津ちひろ、偕成社▽『いつもいっしょに』こんのひとみ、金の星社▽『どしゃぶり』おーなり由子、講談社▽『みずとはなんじゃ?』かこさとし、小峰書店▽『キュンすけのおくりもの』小原麻由美、三恵社▽『二年二組のたからばこ』山本悦子、童心社▽『魔女が相棒?ねぐせのヤマネ姫』柏葉幸子、理論社▽『トムとジェリーをさがせ!びっくりタウンはおおさわぎ』まつやまたかし作画、河出書房新社▽『ホイホイとフムフムたいへんなおさんぽ』マジョリー・ワイマン・シャーマット、ほるぷ出版▽『かあちゃんのジャガイモばたけ』アニタ・ローベル、評論社▽『たいせつなこと』マーガレット・ワイズ・ブラウン、フレーベル館▽『バムとケロのそらのたび』島田ゆか、文溪堂▽『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルズ・ガネット、福音館書店▽『平成の30年学習まんが日本の歴史22巻』森本一樹、小学館▽『かぶと三十郎きみのために生きるの巻』宮西達也、教育画劇▽『さんぼんぼうってなんだろな』高橋秀雄、鈴木出版▽『うみのごちそうしろくま』柴田ケイコ、PHP研究所▽『かまきりとしましまあおむし』澤口たまみ、農山漁村文化協会▽『恋ちゃん、はじめての看取り』國守康弘、農山漁村文化協会▽『菌の絵本かび・きのこ』白水貫、農山漁村文化協会▽『むし歯のしょうたい』楠幸子、くもん出版▽『おしえてアプリンとびばことべたよ』計良ふきこ、文研出版▽『さかなちゃん』平田昌広、少年写真新聞社▽『にんじんじゃのおもしろにんじゃずかん』うえだしげこ、大日本図書▽『おにいちゃんさんかんび』くすのきしげのり、光村教育図書▽『でんでんむしのかなしみ』新美南吉、星の環会▽『みつばちさんと花のたね』アリソン・ジュイ、徳間書店▽『キラキラっとほしがかがやきました』宮西達也、ポプラ社▽『おふくさん』服部美法、大日本図書▽『ぴっちとりたまよなかのサーカス』長尾琢磨、BL出版▽『しごとば』鈴木のりたけ、ブロンズ新社

日書連のうごき

4月3日定期会計監査。公共図書館プロジェクトに髙島顧問が出席。
4月9日学校図書館整備推進会議に事務局が出席。
4月10日定期会計監査。
4月11日JPO運営委員会に事務局が出席。
4月12日公共図書館プロジェクトに髙島顧問が出席。
4月15日「本の日」実行委員会に舩坂会長が出席。
4月16日書店環境改善で主婦と生活社、学研プラス訪問に舩坂会長、鈴木、面屋副会長が出席。
4月17日定期会計監査。
4月18日九州雑誌センター取締役会に舩坂会長が出席。図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。
4月19日東京ロジスティックスセンター見学会に柴﨑副会長、志賀理事が出席。
4月22日活字文化推進会議に事務局が出席。
4月23日全出版人大会役員会に事務局が出席。
4月24日文化産業信用組合理事会に舩坂会長が出席。JPO運営幹事会に事務局が出席。雑誌コード管理委員会に事務局が出席。
4月26日公共図書館プロジェクトに髙島顧問が出席。

書店組合総会スケジュール

◆鳥取県書店商業組合「第31回通常総会」
6月27日(木)午後0時半、東伯郡琴浦町のまなびタウンとうはくで開催。

書籍新刊発送拠点「和光センター」稼働/トーハン

トーハンは5月7日、書籍新刊発送拠点「トーハン和光センター」を稼働した。
同センターは、埼玉県和光市の大型物流施設「SGリアルティ和光」の3階1万509坪に、新刊発送ラインコンベヤ、輸送方面別仕分ソータ、トラックバース(10tトラック23台着車可)などの設備を備える。これまで本社数フロアを使用していた書籍新刊発送業務をワンフロアに集約。広域交通の結節点に位置する利便性の高い施設になっている。
稼働に先立ち、4月26日に設備施工会社、物流協力会社を招いて安全祈願式を行い、神事に続いて近藤敏貴社長があいさつ。「中期経営計画『REBORN』でマーケットイン型の流通モデル構築を目指しているが、当センターはこの計画で重要な施設。高騰する輸配送等のコストを吸収すべく、作業効率を上げて返品率を改善し、万全な体制で事業を継続していく」と決意を述べた。

4月期は前年比0・9%増/雑誌復調で3ヵ月連続プラス/日販調査店頭売上

日販営業推進室調べの4月期店頭売上は前年比0・9%増。10年以上ぶりに2ヵ月連続前年超えとなった2、3月に続き、3ヵ月連続の前年超えとなった。
雑誌は同0・3%減で前月比プラス2・8ポイントと大きく回復した。内訳は月刊誌が同0・5%減、週刊誌が同2・5%減、ムックが16年11月以来の前年超えで1・5%増。ムックの「そろそろスマホ」(NHK出版)が売上を牽引した。
書籍は同2・3%減。ビジネス書、児童書、新書の3ジャンルで前年超えとなった。中でもビジネス書は『メモの魔力』(幻冬舎)や『FACTFULNESS』(日経BPマーケティング)が牽引して同6・4%増と絶好調で、3ヵ月連続の前年超え。新書は『一切なりゆき』(文藝春秋)、『妻のトリセツ』(講談社)が売れ続け、3ヵ月連続の前年超えとなった。
コミックは同8・8%増で、9ヵ月連続の前年超え。前年発売のなかった『名探偵コナン96』(小学館)、『名探偵コナンゼロの日常3』(小学館)、映画化された『キングダム54』が売上に貢献した。

サプライチェーン改革を推進/「持続可能な物流の実現」目指す/日販懇話会

日販は5月21日、東京・文京区の東京ドームホテルで2019年度「日販懇話会」を開き、書店、出版社など総勢333名が出席。平林彰社長は、サプライチェーン改革を推進することで、配送・積載効率アップによる運賃高騰の抑制、トーハンや他業界との協業・共同配送による物流コストの削減を図り、持続可能な物流の実現を目指すと今後の方針を話した。
平林社長は18年度決算概況について、連結で減収減益となり、取次事業は初めて営業赤字に転落する見込みと報告した。
出版輸送の現状については「九州・中国地方では発売日が1日遅くなり、高知県では輸送を返上されて後継の運送会社が見つかっていない。近年の急激な運賃高騰はまだまだ続く。ドライバーの確保も難しくなっている。大量返品も大きな問題」と強い危機感を示し、これら山積する問題を解決するには「出版業界のサプライチェーンを通じた改革を進めなければならない」と訴えた。
具体的には、曜日等の物流量の変動について商習慣の見直しなどによる業量平準化(発売日の調整)、トーハンや他業界との共同配送による積載率向上、倉庫や車両の稼働率向上を図ることで、運賃高騰の抑制と物流コストの削減に努めたいとした。
また、事業者間で受け渡す荷物データの標準化に言及。出版情報登録センター(JPRO)に事前登録された近刊情報のうち搬入日・判型・重量といった物流に関するデータを活用することで、効率的な作業工程を組むことができ、物流コストの削減につながるとして、出版社にできるだけ早く事前登録を行うよう求めた。RFIDタグ導入の必要性にも触れた。
最後に、サプライチェーン改革を実行したとしても運賃・物流コストの高騰の抑制に留まると指摘。「他業界では物流コストの高騰を商品価格に転嫁している。出版業界も業界三者の損益構造改善のため、定価の値上げは有効な手段になる」との認識を示し、出版社に理解と協力を求めた。
続いて、中西淳一執行役員が「出版マーケットの未来に向かって」と題して発表。「マーケット需要に基づいた仕入」「書店マージンの改善」を二本柱に、本を販売し続けられる構造の実現に取り組むとして、新刊の事前注文拡大に向けて早期の書誌情報登録と事前予約分の出荷確約を出版社に訴えた。さらに、書店マージン改善のために低返品・高粗利の取引モデル作りに取り組むと表明した。
輿水真リノベーション推進部課長は「店舗イノベーション戦略」について、いま人々が求める「リアルにしかできない体験」をキーワードとして、コンベニング、セールスミックス、新業態の3つを挙げ、今後も本を起点に広がる可能性に挑戦していくと強調した。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

谷本哲也著『知っては
いけない薬のカラクリ』(小学館新書 800円)は、医師が処方する薬の選び方や価格設定の裏側を、詳しく報告する。
日本には1万8000種もの薬があるという。診療時間の終わった大学病院の会議室で、製薬会社による新薬説明会が始まる。3000円ほどの接待弁当が出される。製薬会社も営利企業なので当然なのだろうが、世界的に見ても、接待された会社の薬は使用頻度の上がる事実があるようだ。
製薬マネーはそれだけでなく、講演会などの名のもとに数百万、千万円単位で、悪いことに、薬価の算定委員にも渡る。
この金銭の流れを調査報道で明らかにするのが「ワセダクロニクル」と「医療ガバナンス研究所」で、インターネット上で公開されている。著者をはじめとする医師グループの「製薬会社と医師」プロジェクトである。
中山祐次郞著『医者の本音』(SB新書820円)は半年で11刷。
若手の外科医が、厚生労働省の保険の点数を見せながら、医師と患者の意思の疎通に取り組んでいる。たとえば風邪で処方されるのが①対症療法薬②+抗生物質。ウイルスに抗生物質は効かないが、細菌感染の可能性を否定できないので念のためだが著者は出さない。今、医療を考える2冊。