全国書店新聞
             

平成19年2月1日号

2006年出版販売額は2.0%減

出版科学研究所は『出版月報』1月号で2006年出版物発行・販売概況を特集した。
これによると、2006年の販売金額は書籍が9326億円(1・4%増)、月刊誌9523億円(3・9%減)、週刊誌2677億円(6・5%減)。月刊誌は最大の落ち込み。週刊誌は2年連続の大幅減。

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成19年4月20日(金)より30日(月)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数600万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法返信用申込書に必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額8680万円、9・8本に1本
特等賞=ギリシア7日間の旅60本
1等賞=図書カード1万円600本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円1800本
3等賞=同5百円1万2000本
4等賞=図書購入時に充当百円60万本
ダブルチャンス賞=図書カード1万円100本
▽賞品引換え特等賞は当選券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立替えたくじは7月31日までに「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽申込み書店特典組合経由の申込店から抽選で3店にギリシア7日間の旅無料随行員。
▽無料配布店頭活性化の一環で組合加盟店全店に書店くじ50枚、ポスター1枚を無料配布

組合活性化へ補助金/1組合20万円、総額5百万円/日書連

日書連は1月26日午前11時から箱根湯本の湯本富士屋ホテルで新年初理事会を開催。昨年まとめた書店経営実態調査をもとに、書店の活性化を図る諸施策を推進していく方針を確認した。第1弾として、1組合あたり上限20万円、総額5百万円の組合活性化資金を来月にも交付する。
〔政策審議会〕
今年も情報化促進をはじめ組合活性化資金として1組合上限20万円、総額5百万円の補助金を受け付ける。応募締め切りは2月15日、2月21日の理事会で発表する。
書店データベースの確認は、今月で北海道が終了すれば28組合が完了。千葉、大分組合は確認作業を行なっており、井門委員長は今年中に残り1ケタにしたいと述べた。また、今後のデータベース更新は5年おきに行いたいとした。
書店くじの見直しについては、申込みが400万枚程度に減少しているため、井門委員長は「各書店が2週間に平均3千枚程度出せるような抜本的見直しを検討している」と説明した。
〔経営実態調査〕
高須委員長は書店経営実態調査第2弾としてまとめた『書店経営者生の声』について、8千部作成し、組合員に各1部、関係機関にも広く配布したことを紹介。実態調査をもとに日本出版学会、倉庫協議会、埼玉県組合で研修会を行ってきたことを報告した。今後、実態調査をもとに書店が活力を得て理想の出版業界となる材料として活用していきたいと述べた。
〔環境改善ワーキング〕
返品入帳改善問題で、鈴木機関長は取次8社からの回答を整理したと発表。各社ごとに改善を求めていく方針を説明した。丸岡会長は「取次8社から回答があったことは一歩前進」と述べた。
〔情報化推進〕
志賀委員長は、図書館運営に関して全国的に指定管理者制度を導入する自治体が増えていることを指摘。窓口業務から清掃まで丸ごと民間に業務委託するケースが多いことを紹介した。
東京では書店組合太田支部を母体にしたブックチェーン、中野・杉並支部の杉並ブックスなどが指定管理者の入札に積極的に取組んでいる。
今後の対応については情報化委員会の下に「図書館サポート委員会」を設置して書店からの相談に応じていくことを提案。小委員会の設置を承認した。
〔流通改善〕
昨年、講談社との共同企画として実施した完全買切り、書店マージン4割という新販売システム総括座談会を書店新聞1月1日・11日合併号に掲載した。
藤原委員長はその後の取組みとして「文藝春秋、ポプラ社、主婦の友社などに企画を働きかけており、第2弾を準備している」と報告。これに対して「出版社は新販売システムの原価計算をオープンにしてほしい」(鶴谷理事)、「宮部みゆきクラスの作家で、初版だけでも完全買切り、6万部以上の企画が考えられないか」(志賀副会長)などの声が上がった。
〔再販研究〕
岡嶋委員長から①昨年12月8日に書協の再販制度弾力運用説明会が行われた、②公取委で年明けに人事異動が行われた(2面掲載)ことが報告されたほか、「再販の弾力運用が拡大している。これまでに出版業界が行ってきた弾力運用を一度検証する必要があるのではないか」と問題提起があり、関係機関に働きかけていく方針を説明した。
青森組合からは「青森市民生協が新聞に5%引きの広告を出している。員外割引販売をあおるもので問題がある」と訴えがあった。

1月から清算業務に/共済会、各県へ事務手数料/1月理事会

日書連1月理事会は日書連共済会の清算問題をめぐって各都道府県地区委員会に1口あたり1万円、総額5477万円の解散事務手数料を支払ったことが報告された。共済会会員向けに斡旋してきた契約ホテルの宿泊は、今後、日書連加盟書店にオープンになる。〔日書連共済会〕
日書連共済会は昨年12月31日で解散し、今年1月1日から清算業務に入った。各都道府県地区委員会には「解散に伴う事務手数料」として加入1口当たり1万円、総額5477万円を支払った。
日書連共済会が加入店のために斡旋してきた契約ホテル「ホテル・メトロポリタンエドモント」と「ホテル・メンテルス」は1月1日より、日書連加盟書店であれば利用可能になった。
1月に支払うホテル・メンテルスの維持管理費(半年17万3250円)は日書連共済会から支出する。
第33期決算は、災害給付請求がまだ確定していないが、現時点では570万円の黒字になる見通し。
〔増売運動〕
舩坂委員長から春の書店くじ(実施要領1面)について積極的申込みの呼びかけがあった。サン・ジョルディ企画推進費として、各県組合の催しに上限20万円の補助金を出すことが先月の理事会で承認されたが、1月理事会までに7組合から応募があった。2月2日に検討委員会を開いて補助金の交付を決定する。
〔取引改善〕
国際地学協会が民事再生法による再建を申請し、書店からの返品が不能になっている問題で、下向委員長は取次各社から対応を聞いたことを報告。2月下旬には再生計画が出る見通しで、これを見て各取次ごとに対応を求めていく方針とした。
神奈川組合からは「9月26日に取次に返品したところ、11月に返品不能品として戻ってきた。9月は取次の決算月なので20日までしか入帳しなかった」と報告があった。
雑誌付録の問題では1月23日に日書連、東京組合、東京組合青年部と雑協、取協で懇談会が行われ、販売促進、読者サービスの観点から問題点を探り、話し合いを重ねていくことになったと報告があった。
〔組織強化〕
昨年12月期の組合員数は新規加入1店、脱退21店、差し引き20店の減少で、12月末日現在の組合員総数は、4月1日から244店減の6439店となったことが報告された。
〔指導教育〕
インターネットを利用した書店新入社員、パート、アルバイト社員教育システム「eラーニング」について、大橋委員長は「利用者がまだ少ない」として、積極的活用を求めた。「IDが交付されるまで1週間かかった。もっと早めてほしい」という声もあり、改善を図っていく。
このほか、各県組合事務担当者を対象に、組合運営のための勉強会を開催する予定。
〔共同購買・福利厚生〕
昨年の読書週間書店くじの特賞として「英国7日間の旅」を5月8日から14日まで実施するが、旅行代金19万9千円で組合員からも参加者を募ることを中山委員長が報告した。

公取委人事異動

(1月9日付)
首席審判官〔昇任〕(取引部取引企画課長)寺川祐一
官房総括審議官〔昇任〕(取引部長)舟橋和幸
経済取引局取引部長(首席審判官)鵜瀞恵子辞職(官房総括審議官)
和泉澤衛
(1月16日付)
審判官〔昇任〕(企業結合課企業結合調査官・主査、官房総務課審決訴務室併任)酒井紀子経済取引局取引部取引企画課長(審判官)高橋省三

小売公取協、緩和反対と意見書/総付景品最高額引き上げ

公正取引委員会は昨年11月末に総付景品の最高額を「取引価額の10分の1」から「10分の2」に引き上げる方針で関係方面からの意見を募集したが、出版物小売業公取協は「総付景品の緩和には反対」とする意見書を提出したことが1月26日の小売公取協理事会で報告になった。
12月20日には総付景品緩和の問題をめぐる公聴会が開かれたが、学識経験者、消費者団体、事業者団体など10人の意見陳述者のうち、規制緩和に反対したのは新聞販売協会の松井会長と地婦連代表の2名にとどまり、残る8名は賛成に回ったという。

平成18年読書週間書店くじ特賞当選者

昨年秋に実施した読書週間書店くじで特賞「英国7日間の旅」の当選者は次の9名が手続きを行った。
青森市・今俊夫(成田本店つくだ店)、会津若松市・深谷和政(坂内書店)、いわき市・永井智子(鹿島ブックセンター)、鹿沼市・青木美佳(北村書店)、朝霞市・佐藤久美子(清泉堂)、綾瀬市・中西聡、横浜市・植松啓子(有隣堂)、大阪市・上田和子、福岡市・古藤晴子(正文堂書店)

12月期は平均98.5%/前年割れ6カ月目に入る/日販調べ

日販経営相談センター調べの12月期書店分類別売上げ調査は平均1・5%減となり、6カ月連続でマイナスになった。書店規模別に見ると、201坪以上店が5・7%増と好調だったほかは軒並み前年割れ。立地別では、郊外店が0・3%の微増ながら6カ月ぶりに前年をクリアした。
ジャンル別では雑誌が4・7%減となり、2006年は終始マイナスだった。文芸書は4・5%減で、『ローマ人の物語⑮』(新潮社)『ふぞろいな秘密』(双葉社)といった話題書があったものの、前年の『東京タワー』(扶桑社)などの勢いには及ばなかった。ビジネス書は9・3%の大幅減で前年のマネー・株関連書の盛り上がりの反動が出た。一方、新書は10・1%増と2桁伸長を記録。ノベルスでは『暗黒神殿アルスラーン戦記⑫』(光文社)が、教養新書では11月30日に創刊した幻冬舎新書が寄与した。

明石原人を自費出版/兵庫組合山根副理事長

ある時は巌松堂書店社長、ある時は兵庫県書店組合副理事長、またある時は明石市議会議員。しかしてその実態は「明石原人を追うロマンチストの会」会長。多くの顔を持つ山根金造氏が、また新たなる顔を身につけた。
地元、神戸新聞総合出版センターとの企画会議の席上、近年「自分史」を作ってみたい方が多いとの話があり、書店で自分史を出版するお手伝いを事業にできないか。よい本ができたら、県内の書店で販売すれば「書き手」「出版社」「書店」の三者がそれぞれハッピーな関係が築ける。そのためには、お客様に十分な説明ができるだけの知識(原稿・予算・問題点や必要事項)が必要と言うことになり、若い頃から日記を毎日書かさず書いている山根氏に白羽の矢が立ったのでした。
そこで出来上がったのが『明石原人に魅せられて』(神戸新聞総合出版センター)。お手に取って頂きご笑覧頂ければ幸いです。山根氏は、平成4年に出版された「須磨明石殺人事件」(内田康夫著)の巖根松造氏のモデルとして、地元では知る人ぞ知る有名人です。(中島良太広報委員)

第53回出版販売新年懇親会出席者

〔出版社〕
あかね書房・小名川耕二、秋田書店・村山光磨、岩波書店・後藤勝治、潮出版社・浮田信行、旺文社・加藤彰、オーム社・村上和夫、雄鷄社・五木田一太、角川出版販売・今井克幸、角川SSコミュニケーションズ・貴志学、河出書房新社・若森繁男、学習研究社・糸久哲郎、金の星社・斎藤健司、研究社・高野正範、講談社・浜田博信、同・樋口明彦、幸福の科学出版・中村嘉秀、光文社・前田正三、小峰書店・小峰紀雄、三省堂・川島芳章、サンマーク出版・竹下直光、集英社・清水章治、主婦と生活社・今井陽敬、主婦の友社・村松邦彦、同・藤井孝行、小学館パブリッシング・サービス・加藤醇司、祥伝社・石原実、昭和図書・大竹靖夫、新星出版社・富永靖広、新潮社・木島秀夫、JTBパブリッシング・宮崎裕、聖教新聞社・長谷川太作、青春出版社・吉田敬一、誠文堂新光社・永田秀夫、税務経理協会・加藤勝彦、世界文化社・佐藤秀人、草思社・渡辺直之、大修館書店・高柳健治、第三文明社・松島健寿、同・上田幸利、ダイヤモンド社・御明宏章、淡交社・尾沼和典、筑摩書房・菊池明郎、中央経済社・山本憲央、中央公論新社・吉村治、東京ニュース通信社・奥山卓、同・山崎雅浩、徳間書店・牧田謙吾、東洋経済新報社・樋口勇、日本実業出版社・吉田啓二、日本文芸社・西澤宗治、農山漁村文化協会・阿部伸介、白泉社・長谷尾良二、博文館新社・大橋一弘、原書房・成瀬雅人、ぴあ・石原正基、評論社・竹下晴信、PHP研究所・仲野進、福音館書店・塚田和敏、扶桑社・福原知晃、双葉社・丸山和彦、ブティック社・内藤朗、文英堂・益井英博、文藝春秋・名女川勝彦、平凡社・土岐和義、ベネッセコーポレーション・木幡延彦、ベストセラーズ・加藤保治、法研・土居国明、マガジンハウス・稲垣学、リイド社・古屋義人、リクルート・梅谷知彦
〔取次会社〕
トーハン・山﨑厚男、同・風間賢一郎、日販・古屋文明、同・橋昌利、大阪屋・伊勢久雄、栗田出版販売・郷田照雄、中央社・土屋博功、日教販・河野隆史、協和出版販売・雨谷正己、日本地図共販・伊藤聡
〔業界関係〕
日本図書普及・倉園夏樹、出版輸送・手島寛、AIU保険会社・佐藤護、出版ニュース社・清田義昭、新聞之新聞社・片山昂士、文化通信社・近藤勲、新文化通信社・丸島基和

困難を克服して前進する/出版販売新年懇親会で丸岡会長

日書連が主催する第53回出版販売新年懇親会が1月26日午後5時半から箱根の湯本富士屋ホテルで開催され、出版社、取次、書店など総勢141名が出席した。懇親会では日書連・丸岡義博会長、出版社を代表して書協・小峰紀雄理事長、取次を代表して取協・山﨑厚男会長が年頭あいさつ。雑協・村松邦彦理事長の発声で乾杯した。
〔経営環境改善を第一に/日本書店商業組合連合会・丸岡義博〕
出版業界は厳しい状況が続くが、その中で日書連は少しずつチャレンジしている。昨年を振り返ると、まず出版物公取協の景品規約を改訂した。期間制限は年2回90日とし、トレーディングスタンプについては、読者サービスの観点から導入は止むを得ないと判断した。次に行なったのが書店経営実態調査だ。86%の書店が経営が苦しくなったと回答しており、日書連への要望としてマージン拡大、客注迅速化、再販維持が上がった。マージン拡大で日書連が取り組んだのが新販売システムだ。これを第一歩として、いろいろな意見を聞きながらシステムアップしていきたい。
返品入帳問題では取次8社に改善をお願いした。前向きな回答をいただいたが、できる限り早く取り組んでいただきたい。それによって資金繰りが改善し、よい店作りができる。また、書店経営実態調査で寄せられた書店の生の声をまとめた小冊子を作成した。これを読んでいただき、書店の置かれた現状を変える話し合いを進めていければと思う。
最近痛ましい事件が多いが、一つの要因は読書の減少にあるのではないか。人間形成の上で読書は大切なもの。町の本屋が元気であることが読者を育てるのには一番だ。文字・活字文化振興法をもとに日書連が頑張らなければいけない。
今年の干支はイノシシだが、猪突猛進には困難を克服して目的に突進するという意味があるそうだ。今年は書店経営環境改善を第一に努力していきたい。
〔活字文化の振興に努力/日本書籍出版協会理事長・小峰紀雄〕
競争原理社会やネット社会の拡大で出版業界は容易ならざる事態になっており、活字文化を振興させなければ大変だと思っている。丸岡会長がおっしゃったことが一歩でも二歩でも進むことを心から期待したい。新販売システムについても、正しい方向へ向かっているのであれば、私のところも参加していかなければいけないという気持ちになっている。
書協としては、活字文化の基盤を守り、振興させていくことが一番の仕事だ。そして再販を心を合わせて守らなければいけない。消費税についても出版業界が一致して、新聞業界と連携するところまでもっていければと考えている。
文字・活字文化振興法は、出版業界にとって大きな影響をもつ法律を得たと考える。活字文化議員連盟は、法の施行に伴い26項目の施策を展開すると発表しており、再販維持や、著作者・出版者の権利保護の充実などが盛り込まれている。文字・活字文化推進機構を10月に立ち上げる予定で、振興法の具体化に向けて各界と連携を深めたい。また、4月から5年間にわたって小中学校の図書費1千億円が交付税措置されるので予算化へ協力をお願いする。
〔書店と連携し課題解決/日本出版取次協会・山﨑厚男〕
昨年1年間は少しずついろいろなことが始まりだした。新販売システムもその一つで、責任販売に一石を投じていただいたことは、出版業界にとって非常に大きな動きにつながる可能性がある。一つの流れだけでなくいろいろな動きがあちこちで起こることが大事で、それが多様性であり出版業界のいいところだ。
三つのポイントを上げると、一つ目は読者の拡大・創造だ。文字・活字文化振興法の風を受けて、近年にない読書推進の気運ができつつある。それぞれの持ち場で読書を推進し一人でも多くの読者をつくるべきだ。二つ目として、その読者を受け止める流通販売がなければならない。書店の地域密着が大事となり、特に雑誌が大きなテーマになると思う。ネット書店も雑誌のプロモーションをかけてくる年になると考えられ、我々としても雑誌販売の内容が問われる。三つ目は再販制度の維持だ。出版業界の多様性を確保し、利益をもたらし、ひいては消費者のためになる。消費税についても業界を挙げて他と共闘したい。組合加盟書店の皆様と力強く連携して課題を解決していきたい。

172名が参集して新年互礼会/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は1月15日午後4時半から京都ホテルオークラに於いて京都出版業界新年互礼会を開催。総数172名が参加した。
互礼会は黒澤専務理事の司会で開会。中村理事長は開会のあいさつで「3年前に始まった市内小中学校の図書館IT化が19年度に完了する。3百校以上への情報BOX導入は組合員の協力の元で実現した。今年は府下への導入を進めるべくさらに活動を強化していきたい。また、去年秋のトーハン京都支店店売廃止で各書店の情報交換の場が失われた。その補完の場として京都組合会館のさらなる活用を考えている。組合を中心に、書協及び取次と組合員との連携が全国の組合の中でも一番取れていると評価される組合を目指していきたい」と述べた。
続いて、大阪屋・上高牧正一営業本部本部長の発声で乾杯した。
(山名達哉広報委員)

共済会給付

(18・12・18~19・1・22)
▼病気傷害名張市桔梗が丘3―3―3川口書店
川口力殿2口2万円
▼死亡弔慰松本市大手3―5―13青翰堂書店
1口10万円
▼配偶者死亡(辰巳弘子)奈良市右京1―3―4たつみ書店辰巳寿一殿
5口25万円

青年会の東京研修会に18名参加/山形組合

「第24回山形県書店青年会東京研修」が1月15・16日の両日、組合書店15名・取次会社3名の計18名が参加して行われた。
研修会のテーマは「売り上げダウンはこうして止めろ」。ノセ事務所・能勢仁先生の基調講演に続いて出版社(講談社・ポプラ社・集英社・小学館)と書店(時代屋)を訪問し、テーマについて各社から数々の提案をいただいた。
特にポプラ社さんでは坂井社長から直接熱い熱いお話を頂き、会員皆感激していた。
(五十嵐靖彦広報委員)

出版文化賞は北海道出版企画センター/出版梓会

第22回梓会出版文化賞は北海道出版企画センター、特別賞は医学書院と編集工房ノア、第3回出版梓会新聞社学芸文化賞は八木書店出版部に決まり、1月19日午後5時半から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で贈呈式が開かれた。
この賞は年間5点以上の出版活動を10年以上にわたって継続している出版社を対象に、年間を通して優れた書籍を発行している出版社を顕彰するもの。各出版社からの自薦図書と『出版ダイジェスト』読者から寄せられた推薦図書をもとに選考している。
贈呈式では大坪嘉春理事長があいさつ。「出版梓会の社団法人化を契機に、出版文化の向上と発展に寄与することを目的としてこの賞を創設した。他にはないユニークな賞と自負している。年末年始の売上げは書籍・雑誌ともマイナスと厳しいが、辛いと言っても仕方がない。元気に出版活動を続けたい」と話した。選考委員を代表して植田康夫氏が選評を行い、本賞の北海道出版企画センターについて「1971年に創立され、札幌市に本社を置き、北海道に関する本を刊行してきた。趣味的な出版物とは異なり、アイヌ関係書籍をはじめとして、北海道という地域が抱える問題に正面から取り組むという姿勢で貫かれている。東京以外の出版社が本賞を受賞したのは初めてで、喜ばしい」と述べた。
北海道出版企画センターの野澤緯三男社長は「受賞を知ることなく、受賞の知らせの5日前に父が亡くなったことが残念でならない。今回の受賞は、北海道の出版文化に携わる人たちの励みになると思う。着実に歩みを積み重ねていきたい」と喜びを語った。

出版白門会新年会

出版白門会(上瀧博正会長)は1月16日、千代田区のアルカディア市ヶ谷で新年会を開催し、会員約60人が出席した。
第1部新春講演会では、リクルートで14のメディアを立ち上げたくらたまなぶ氏が「リクルート『創刊男』の大ヒット発想術」を講演。第2部懇親会は上瀧会長あいさつ、浜田博信副会長の乾杯でスタート。第三文明社・松嶋健壽専務ら5名の初参加者の自己紹介に続き、ビンゴ大会で盛り上がり、小竹正倫副会長の中締めでお開きとなった。

「読書ノート」協賛金が約70万円に/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は1月期理事会を1月13日午後3時から組合会議室で開催した。主な報告・審議事項は以下の通り。
〔庶務報告〕
①1月6日に開催した大阪出版業界新年互礼会には153名の出席があり、近畿ブロックの各府県理事長を始め大阪組合の書店は44名が参加した。
②日書連近畿ブロック会が主催する講演会を2月24日(土)15時30分、ホテルモントレラ・スール大阪(中央区城見・大阪ビジネス・パーク)で開催する。講師として新文化通信社社長の丸島基和氏を招請し、「元気な中小書店」について講演していただく予定。講演会(無料)の後、懇親会を開催。会費は7千円で、組合員には半額の補助がある。定員60名。
③大阪市立中央図書館の平成19年度雑誌入札について昨年末に告示があり、入札業者の登録申請を行なった。入札参加資格審査の後、2月2日が入札日となる。
大阪市立図書館・分館の平成19年度雑誌納入は、入札に準ずる「歩引き率単価契約」の見積り合せとなる。申し込み締切りは1月31日で、見積り合せ執行日は2月6日。関心のある書店は大阪市立中央図書館・庶務課まで問い合わせを。「図書納入は入札制に馴染まない。世論を喚起して、その旨行政に働きかけることが大切ではないか」という意見が出た。
〔読書推進委員会〕
理事会終了後、緊急の委員会を開催して、「帯コン」の今後の日程などについて協議したい。23日に19年度の課題図書を選定する予定。「読書ノート」は出版社、書店の協賛金約70万円の協力を得られ、昨年度より1万部の増刷が可能になった。配布部数、新聞への氏名掲載基準等の細部については、17日の読書推進会・実行委員会で摺り合わせたい。
〔事業・増売委員会〕
昨年末の「TVガイド」増売企画は、正式な販売部数の確定は3月頃になるが、仮締めでは前年比10%の増売見込みとなっている。
〔組織強化・出店問題委員会〕
第6回レディースランチの会を1月29日(月)午後12時50分からホテルラマダ大阪で開催する。
〔学校図書館・IT関連委員会〕
12月13日に日書連・全国情報化推進委員会が開催され、公共図書館の指定管理者制度導入についての情報交換があった。「自治体が業務委託するのは経費節減のため。入館料を取らない図書館が、入館者の満足を得るための施策を熱心にすればするほど経費が発生するようになり、当初想定した経費節減とは矛盾する。図書館業務は民間委託には馴染まないということを訴えるべき」いう意見が出ていたと報告があった。
〔総務委員会・定款等改正委員会〕
「『総代会運営規程』の改定案と現行規程の違いを逐条的に説明し、あいまいな規程を法律に照らして適正・詳細に書き込んだ」と説明があり、原案が承認された。また「従来は『総代会準備委員会規程』がなかったので、マニュアル的なものを作成した。法律に則った運営ができるように、関連法律の条項を明示した」と説明があり、これも承認した。
(中島俊彦広報委員)

経営環境改善に全力/東京組合新年会で丸岡理事長

東京都書店商業組合は1月17日午後5時半から文京区の東京ドームホテルで新年会を開き、出版社、取次、書店など311名が出席した。
新年会は家田通久理事の司会で始まり、下向磐実行委員長が「東京組合をめぐる状況は厳しいが、このように多くの出席は組合への励ましとなる。書店経営実態調査の報告書を送った。皆さんのご意見、お知恵をいただきたい」と開会あいさつ。
丸岡理事長は「政府の月例報告では景気は回復基調というが、出版科研の1―11月の数字では書籍1%増、雑誌4・5%減、合計2・2%減でいぜんとして厳しい状況が続いている」と前置きし、昨年1年間の活動を振り返った。
この中で丸岡理事長は、書店経営実態調査「生の声」を報告書にまとめたことに触れ、「業界の話し合いの土俵を作るため、書店の置かれた現状を理解いただければありがたい」と述べた。また、今年の干支に触れて「イノシシは猪突猛進するが、困難を克服して目標に突き進む意味もある。この1年も書店の経営環境改善に全力を尽くしたい」と、新年の決意を述べた。
来賓を代表して書協小峰紀雄理事長は「10年後の出版界も現在の蓄積の上にある。返品1つとっても三者が知恵を集めて取組まないと解決はむずかしい。協力して進められる年にしていきたい」とし、文字・活字文化の振興については「10月を目処に各界各層で文字活字文化推進機構を立ち上げたい」と強調した。
乾杯の音頭は取協山﨑厚男会長。「業界三者あげて読者拡大の取り組みと連携が必要。本を読むのはカッコイイというイメージを醸成していきたい。拡大した読者は流通販売で受け止める。日書連の新販売システムの試みには敬意を表している。いろいろな試み、メニューがあっていい」と述べて乾杯。懇親会に入った。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・青木壌二

◇2歳から/『おいしいものたべたら』/みやもとただお=作・絵/すずき出版1050円/2006・11
かわいい動物達がおいしいものを食べたらどんな行動をするでしょうか?子どもたちと想像しながら、ページをめくると楽しさが増します。絵を見せ、かわいい動物の名前をあてっこするのも、小さな子には嬉しいことでしょう。さらにユーモアのある文章が絵をいっそう引き立てます。
◇4歳から/『ちいさなふゆのほん』/ネースルンド=文/ディーグマン=絵/ひしきあきらこ=訳/福音館書店1155円/2006・10
ヨーロッパの冬の情景が愛くるしい二人の子どもによって紹介されます。子どもの遊びは世界共通です。雪を踏む音、水たまりの氷を踏む音等が擬態語で表わされます。一緒に自然の中へ飛び出したくなりますね。雪が解けた砂場で帽子を脱ぐ子どもの姿が、春の訪れを伝えています。
◇小学校低学年向き/『おおきなやかたのものがたり』/青山邦彦=作・絵/PHP研究所1365円/2006・10
建物が主人公の絵本です。外国の風景の中で「館」が住む人によってどのように変わっていくか見せてくれます。華やかで大きな「館」は、火災によってみすぼらしい孤児院に変わってしまったが、そこで喜んで暮らす子どもたちの姿を見て、やがて建物としての真の幸せを感じます。

出版業界の課題と書店への期待/東洋経済新報社前会長・経済倶楽部理事長・浅野純次

東洋経済新報社前会長の浅野純次氏は1月9日、浦和・須原屋研修生OB会で「出版業界の課題と書店への期待」を講演した。この講演の中から書店の課題の部分を要約して紹介する。
〔小売業として見た書店の特異性〕
①定価販売書店は書籍、雑誌という文化を売っている。再販制で守られているのも文化財としての性格があるからだ。どこの書店で買っても同じだから、安心感、信頼感がある。あそこで高く買ってしまったとか安く買えなかったという不平、不満はない。価格で勝負できない以上、他のサービスをどこまで顧客に提供できるかに勝負がかかってくる。価格だけで競争している薬の小売業はある意味ではつまらない。その点を書店の皆さんがどこまで前向きに考えているか。
②返品自由返品が自由だということは、逆に言うと仕入れにどこまで責任を持てるか。目利きを育てる動機が育ちにくい。
最近、デパートはショップ・イン・ショップ、つまり売場を貸すのでなく、百貨店が自分の責任で仕入れる方向へ変わってきている。お客が買うのはどの洋服かを見極めるマーチャンダイジング、仕入れの専門家が育つ。出版界では小売りに仕入専門家がいるか。黙っていても本が送り込まれてくる、売れなかったら返す、では目利きは育たない。返品自由は、ある意味で非常にリスクがある。
③仕入数量普通の業種だったら、仕入れたい部数はとりあえず取れる。書店は取りたくても取れないことが多い。希望通り取るための工夫をどこまでしているか。
返品はできないが月に1、2回神田の取次に少部数仕入れに行っていた小売トップの話を聞いた。鈴木書店は潰れたし、神田の中小取次も数が減ってしまった。「希望通り入らない」とだけ言っているのではすまない気がする。
④多品種少量販売多品種だから商品知識を習得する時間的、物理的能力に限度がある。それを仕方がないと思っている書店も少なからずある。
⑤顧客の顔書店ほど顧客の顔が見えにくい業種も少ない。値段が同じだから今日はA書店、明日はB書店に行ってしまう。店頭で客の顔を記憶している店員がどれだけいるだろうか。
あるゴルフ場では2回か3回目から名前を覚えてあいさつして来る。2千人の会員から顔を識別して名前を覚える意識を持っている。書店で「この人はこの間も来てくれたな」と思い「今日もありがとうございます」と言えるかどうか。
顧客の顔を覚えるだけでなく、たとえば一種のカードを作り、××書店友の会を作る。アマゾンは2度目から「前回こういう本を買ったが、こんな本もあります」とコンピュータで出してくる。昔は10坪か20坪の書店では客も顔見知りで、今度こんな雑誌が出たよと書店のオヤジさんが言うのは当たり前だった。大型店になればなるほどむずかしくなる。親近感と、ロイヤルティを持たせる「囲い込み」をどうやって工夫していくか。
⑥販売後のクレーム書店はクレームが少ない小売だ。普通は服を買ったがボタンがどうだ、洗濯したらどうした、電気製品なら故障したとかクレームがつく。本や雑誌は落丁・乱丁は別だが、買ってつまらなくても、小売店に責任はない。クレームがないということは顧客との接点が非常に限られてしまうことを意味する。他業種ではクレームから自分たちの問題点をや商品の動向を探りだせるのに、書店はそこから学ぶヒントがない。
⑦現金販売外商を除き基本的に現金商売である。書店はそれほど重要と思っていないかもしれないが、現金収入というのは大きな強みで、ほかの業種ではクレジットもあるし、回収の問題もある。現金商売である強みをどう生かしていくかが問われる。
〔雑誌不振にどう対応するか?〕
書店の売上げは年間2%ぐらいの落ち込みで、コンビニも同様に2%ほどの減だが、出版物の扱いを増やしている。今までは雑誌が中心だったが、夜間営業という強い競争力を持っているから、絞り込んだ書籍の品揃えをすると、書籍販売に結果を出せる。コンビニが書籍の扱いを増やしていけば、どう対応していくか問題だ。
30坪以下の中小書店は減収幅が一番大きい。雑誌のウエイトが高いので、雑誌の売上げが落ちれば影響をもろに受ける。雑誌が簡単に回復する可能性は少ない。雑誌の売り方を工夫していく必要があると思う。雑誌がどういう意味で厳しいかと言うと、昔のように雑誌を何年も愛読している人は減っている。このために書籍化して特集主義でいくしかない。特集主義は良い時は良いが、駄目な時は駄目。売れる時と売れない時の波が大きい。
中小書店を育て、支援するためには、特定のジャンルに対してはマージンを変えるとか、部数を増やした店にはインセンティブを与えるなど動機付けとして書店にメリットを提供することもあっていいと思う。
CDとか文房具、DVD、電子辞書の複合店は比較的好調だ。電子辞書は秋葉原などの電気店でも扱っているから、むずかしい面もあるが、地域によっては複合化が可能だし、うまく組み合わせれば可能性は十分あると思う。
売れる本がなかなか入らないという問題は、書店が1万8千店もあり、初版5千部ぐらいの本も多いから、入手は難しい面がある。ただ、小売店なのだから、「売れる本」というより「売る本」の考え方を作っていってほしい。そのために本の中味を知らなければいけない。毎日2百冊も新刊本が出る中で、どうやって本の中味を知っていくのか。
最近、新聞の書評がどんどん充実している。昔、朝日新聞の書評は2頁だったが、今は4頁になった。日曜日に朝日、毎日、読売、日経、産経、東京、首都圏でいえば6紙の書評が出る。これを駅にでも買いに行って、書評のスクラップを作ってはどうだろう。
これはと思う本を見つけ、その中から読める本は読む。書評は遅いこともあるのが難だが、6紙見ておけば、売れ筋はほとんど出ている。著者の名前も頭の中にひっかかってくる。それだけで発注のヒントになる。エクセルでリストを作って、それをソートすれば、あっという間に自分なりの新刊リストができる。
〔サービス業としての書店の今後〕
良いホテルの条件はフロントまかせにせず、コンシェルジェがお客様の相談に答えている。お客様はチェックインしたあとも聞きたいことが山ほどある。だから相談員がいる。電気店でも、良い店は従業員が売り込みをするよりお客様を見ている。こちらがちょっと素振りをすれば、やってきて「何か御用はありますか」と言ってくる。本屋の売場で仕事をしている店員に「すみません」と聞くのは案外勇気がいるものだ。店員がお客様の質問に答える仕組みを作っておけば、お客様はこの書店に来て良かったと喜ぶ。一種のコンシェルジェ的な役割だ。
優れた立地というのは、たいてい一番の繁華街や駅前を言う。しかし、立地が良いとサービス業は甘えてしまう。食べ物屋でも立地の良いところは一見さんでも来るからサービスが十分でなくなる。サービスが良くなければお客はリピーターにはならない。
書店も立地が良いのは落とし穴で、立地が悪かったらどうやってお客をつかまえられるかと考える。それがサービス業の基本だ。モスバーガーは駅前に店を置かない。全部、裏に入ったところにある。当然、経営に緊張感があるし、どうしたら客を繰り返し呼べるか工夫していく。「あそこの書店は便利だから行くよ」と言わるのは、ほめられたことにはならない。
江戸時代から続く老舗とは「西川だから」「越後屋でなければ」と客が考える店だ。書店も「須原屋でなければ」「須原屋だから」という客をつくることが大事だ。「本屋さんへ行ってくる」と、店名を呼ばれない本屋では駄目だ。
どこの本屋でも同じと思われないサービス、それがブランド力であり、楽しく快適な場所で気持ちよく買い物できなければいけない。本を探しやすいことも大事だが、気持ち良いサービスとは何より店員の雰囲気だと思う。本を買う時、何か尋ねた時、どこまで笑顔を感じられるか。「送られてきた本を売っているだけです。笑顔なんかサービスとして何の価値もないでしょう」と思っているとしたら、大きな間違いだ。笑顔ほど大事なものはない。JTBホテル・ランキングで毎年トップになっている旅館もまず第1に笑顔だ。
書店の顧客満足という場合の落とし穴は顧客だけでなく、従業員の満足がなければ顧客も満足させられないということだ。従業員が満足するために何が必要かというと自己実現、達成感を感じられること。自分が高まってきた気持ちになれることだ。書店員として力がついてきた、お客様に喜んでもらえた、目標が達成できたという喜び。そのうえで労働条件も一定条件以上でないといけない。
ニーズとウォンツという言葉がある。顧客がある著者の本を買いたいというのはニーズで、これに応えるには、すぐその売場へ到達できることだ。文庫なら版元別でなく著者別に並べれば、すぐ探せる。新書、文庫のこれはと思う1冊を、同じジャンルの一般書売場に置いてみる。一方、「はっきりしないが、こういう本があればいいな」「何かいい本がないかな」というのがウォンツで、これに応えるには本の分類が鍵になる。ビジネス書のところに、健康の本や園芸書を置くのも1つの方法だ。
アメリカのスーパーで紙オムツ売場の隣にビールを陳列したところ、ビールの売上げが伸びた。日曜日に奥さんから紙オムツを買いに行ってと頼まれたお父さんが買った。紙オムツとビールは何の関係もないように見えるが、そこに意外性がある。「えっ、こんな本があるの」という発見はうれしい。
私はクラシック音楽が好きだが、この間、小さな本屋で邦楽の本を見つけて買った。これが大書店で邦楽書の売場にあったのなら、売場には行っていないだろう。雑然と並んでいたから見つかった。ドンキホーテの売場はいろいろな商品がごちゃごちゃ並んでいて何の脈絡もない。しかし、夜中に若い夫婦が行って、面白いものを見つけて喜んで帰ってくる。そういう要素もある。
書店でも一般書の脇に『のだめカンタービレ』や『ヒカルの碁』『ツレがウツになりまして』『もやしモム』などのマンガ本があっても良い。そういう発想を展開してみる。50坪の店だったら、1坪や2坪は自分の気に入った本を集めてスペースを作ってはどうか。
売場が限られているのでと言われるかもしれない。それは何でも置こうとしているからではないか。今、産業界では何かを捨てる、選択と集中が大事になっている。書店でも、この地域では経済と人文は売れないから置かないという店はもちろんあるが、もっといろいろな捨て方がある。
スター・バックスは、10年前、銀座で店を始める時にタバコを捨てた。当時、4人に3人はタバコを吸うため喫茶店に入った。それを敢えて捨て、ザ・サード・プレースとして家でも職場でもない第3の場所で寛ぎを見出してもらおうとした。値段は少し高いが、客は定着している。
リスクを冒すのはむずかしいが、どこに行っても同じような品揃えの書店だったら、読者はどこでもいいやと思うだけだ。個性のある店主が、自分の思いのたけをこめたそこにしかないスペースを作ってほしい。コストダウンと品質だけでない競争。サムシング・ディファレントで利益を得る。「あのサービスだからこそ、この書店へ行く」というのが客のロイヤルティである。そういう方向を目指していけば、書店業界のチャンスはまだ広がるのではないかと思う。

ふるさとネットワーク/九州ブロック編

〔福岡〕
水郷柳川市の詩人、北原白秋(1885~1942)の122回目の誕生日を祝う白秋生誕祭(柳川白秋会主催)が1月25日、柳川市矢留本町の白秋詩碑苑で行なわれ、約200人の市民が参加。郷土が生んだ偉人の功績を称えた。
白秋の母校、矢留小の5、6年生計50人で作る鼓笛隊が、白秋が山田耕筰とのコンビで手掛けた「待ちぼうけ」や同小学校校歌を演奏しながら、白秋生家前から詩碑苑までをパレード。白秋の遺影が飾られた大八車も一緒に行進した。詩碑苑では、白秋の長女岩崎篁子さんからの祝電が披露され、出席者全員が「落葉松」と「帰去来」を合唱。白秋会会長・大城昌平氏は「百歳以上も年下の後輩たちから顕彰され、白秋先生も喜んでいると思います」と話した。
ゆく水に赤き日のさし水ぐるま/春の川瀬にやまずめぐるも
北原白秋
(鹿子島慶正広報委員)
〔佐賀〕
今年1月、佐賀県立美術館で「吉野ヶ里遺跡、発掘のあゆみ」展が開かれ、「有柄式銅剣」や青い「ガラス管玉」など注目を集めた主要な出土品220点が展示さされ発掘調査の成果が紹介されました。
吉野ヶ里遺跡は、神崎市と吉野ヶ里町に跨る弥生時代の大規模な環濠集落跡で、墳丘墓や物見櫓などの建物跡が発見され、弥生時代の前、中、後期にわたり「ムラ」が「クニ」へ発展していく様子を知ることができる貴重な遺跡です。
平成元年、新聞、テレビで「邪馬台国のクニ発見」「女王卑弥呼のクニか」と報道されて以来、全国から注目され、大勢の見学者が押し寄せました。そして現在、「吉野ヶ里歴史公園」となり、集落が最盛期だった弥生時代後期の姿を復元して、弥生人の生活や文化を学習、体験できる公園として整備、保存されています。
(近藤甲平広報委員)
〔長崎〕
中国色豊かな灯の祭典「2007長崎ランタンフェスティバル」が2月18日から3月4日の15日間にわたり開催されます。
今回は、平成19年2月18日が旧正月となり「春節礼祭」が行なわれます。フェスティバルを飾る行事として、カウントダウンによる一斉点灯が実施。ランタンオブジェを含む1万5千個のランタンに一斉に光が灯り、期間中長崎の夜の街は極彩色に彩られます。メイン会場の湊公園に置かれるメインオブジェは、今年の干支で、猪(中国では、猪は豚のこと)をモチーフにした「猪事如意」(ツゥスールゥイー)で、高さ約8メートルもあり迫力満点です。
また、多彩なイベントも繰り広げられ、中国伝統芸能として継承されている「龍踊り」や本場中国の「中国雑技」などが毎日披露されます。それに加え、清朝時代をイメージし、豪華な中国服を身にまとった「皇室パレード」や江戸時代に長崎で実際行われたという「媽祖行列」なども行われ雰囲気を盛り上げます。(古瀬寛二広報委員)
〔熊本〕
皆さん、太平燕(タイピーエン)をご存じでしょうか?太平燕とは中国の福建省を起源とする中華料理で別名、春雨スープと言います。
日本では長崎県や神奈川県の個別の中華料理店のメニューにあるのを除けば、熊本県においてしか見られず、郷土料理的な位置付けとなっていますが、地元では中華料理店のメニューとして存在し、学校給食でも出されるポピュラーな料理。子供たちから大人まで幅広く馴染みある料理です。
中国でも超高級食材として知られる、太平洋の断崖の海燕の巣。その海燕の巣に似た食感の春雨を使い、イカ、豚、エビ、うずらの卵、野菜等の豊富な具材とスープを堪能できる一品です。
熊本へお越しの節は、是非、太平燕をご賞味ください。
(宮崎容一広報委員)
〔大分〕
竹林を切ることによって、荒廃する里山の保全が出来る。山林が65%を占める竹田市が始めた、市民参加型環境保全の取り組み。「竹田には竹がよく似合うね」――子どもの声を実現した城下町おこしのイベント「竹楽」に行った。
夜店の歩道に水車の心地よい音と竹灯篭の光が、幽玄の世界へと誘う。駅前通り、十六羅漢、「荒城の月」を作曲した滝廉太郎記念館、広瀬神社、武家屋敷通りの白壁を、ロウソクが照らし出す。古き江戸時代の風情へとタイムスリップさせてくれる。百数十段の階段にダイナミックに並べられた1800本の灯篭は、光のオーケストラを奏でているよう。文人南画家田能村竹田を偲ぶ催しも多くある。11月の3日間に数万人の観光客が訪れる。
2万本の竹灯篭。使用後は一部竹炭にリサイクルされ、収益金は里山保全に使う。
(金光直明広報委員)
〔宮崎〕
黒潮に洗われた日本最大級の大自然の造形美、柱状節理については、天然記念物に指定されている福井県の「東尋坊」が有名ですが、ここ日向市の柱状節理は、その規模、景観、変化等において勝るとも劣りません。
日向灘の荒波に削り取られた細長い4つの切り込みのうち、先端2番目の「馬ヶ背」の断崖絶壁は、柱状節理の岩盤がむき出しになっており、奥行き200メートル、幅10メートルの海水路に高さ70メートルの垂直にそそり立つ景観を展望所から眺めれば、荒波を谷底から吹き上げる風に足がすくむほどで、見る荒々しさが特徴です。
整備された遊歩道と駐車場をあとに車でひと下りすると、渚百選に選定された4キロに及ぶ白砂、青松の砂浜は「はまぐり碁石」の原料となる全国唯一の産地。南端部は海水浴場とつながっており、サーフィンも楽しめます。
(今村栄広報委員)
〔鹿児島〕
最新版の地図帳を見て「日本の市と人口」に目が止まりました。東京23区(847万人)を除いて、市の数779。人口の多い順に①横浜②大阪③名古屋④札幌⑤神戸⑥京都⑦福岡⑧川崎⑨さいたま⑩広島⑪仙台。ここまでが100万人以上。以下、⑫北九州⑬千葉⑭堺⑮新潟⑯浜松⑰静岡⑱熊本⑲相模原⑳岡山。我が鹿児島市は60万人を超えましたが21位に後退。
「格差拡大」が言われておりますが、人口5万人以下の市が243市。「大辞泉」による「市」とは「人口5万人以上で、中心部に6割以上の世帯数があること」となっています。因みに、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県、この縦長9都府県で面積は11%なのに人口は50%。少子化に加え、都市への人口集中で厳しい社会ですが、出版文化の普及は全国津々浦々へと願っています。(濱田晴樹広報委員)
〔沖縄〕
美しい国日本の国花は桜である。沖縄県では、全国一早い桜まつりが始まった。沖縄の桜は「カンヒザクラ」と呼ばれる品種で、色白の「ソメイヨシノ」とは異なり、濃いピンク色の花を、うつむきがちに咲かせるのが特徴である。さらに、花の散り方にも特徴がある。♪弥生の空に見渡す限り、霞か雲か匂いぞいずる♪「ソメイヨシノ」の様に、淡くはかなくハラハラと春風に舞い散るのではなく、重力にしたがってポトポトと落ちるように散る。桜吹雪は、沖縄では見られない。いかにも南国風である。
沖縄の桜は気温の低下とともに開花するので、桜前線は北から南へと南下する。日本一早い桜は沖縄本島北部で咲くことになる。南下を始めた桜前線は2月中旬頃まで沖縄全島各地で桜まつりを繰り広げる。一味違う沖縄での花見を是非味わっていただきたい。花見酒は、沖縄の銘酒“泡盛”で。♪いざや~いざや~見に行かん~♪
沖縄にめんそ~れ!
(安仁屋博一広報委員)

トーハン書店大学/万引き防止対策セミナーを開催

トーハン・コンサルティングは2月27日午後1時から東京・新宿区のトーハン本社でトーハン書店大学「万引き防止対策セミナー」を開催する。
講師はリテールサポートの山内三郎社長。万引き対策の自店舗の問題点や万引き被害の実態についての把握、防犯効果アップにつなげるためのスタッフの接客指導のポイント、セキュリティ機器の正しい配置や保安員の選定など、各店ですぐ対応できる内容。また、万引き犯を捕まえた時の対処法では、ロールプレイも交えて万引き犯を寄せ付けない売場作りを実践的に指導する。
受講料(教材費、消費税含む)は1名につき書店共助会加入店1万円、非加入店2万7千円。
問い合わせ・申し込みはトーハン・コンサルティング教育事業部まで。℡03‐3267‐8686

岩崎書店/ペネロペ絵本シリーズが好調

岩崎書店から発売されている「ペネロペ」絵本シリーズが好調。ペネロペはフランス生まれのコアラ。世界11カ国で出版されている。日本では04年夏に『ペネロペまきばへいく』など仕掛け絵本4点を皮切りに、これまで仕掛け絵本6点、お話し絵本8点を発行した。最新刊は昨年11月に発売した『ペネロペあいさつできるかな』『ペネロペいろであそぶ』各千円。仕掛け絵本、おはなし絵本の両シリーズとも累計発行部数は各28万部に達した。
昨年11月からNHK教育テレビでアニメ「うっかりペネロペ」が放映されたが、好評のため2月24日に再放送される。読者カードの分析によると、購入者は3歳以下の子どもを持つ20代後半から30代の女性が圧倒的で、3分の2はシリーズで購入している。クォリティの高いファーストブックとして位置づけられているようだ。
3月中旬には東京・松屋銀座で原画展「リサとガスパール&ペネロペ展」(14日~26日)が開かれるほか、5月には京都・伊勢丹、7月には名古屋・三越で開催予定。岩崎書店では年内に新刊6点の発行を準備しており、シリーズ百万部を目指す。

「COMIC魔法のiらんど」創刊/双葉社

双葉社は「魔法のiらんど」が運営する携帯電話向けコミュニティサービス「魔法のiらんど」から生まれたケータイ小説をまるごとコミック化した月刊誌「COMIC魔法のiらんど」を1月24日に創刊した。
同誌は、中高生から20代女性に抜群の人気を誇る、「魔法のiらんど」のケータイ小説総合サイト「魔法の図書館」と完全連携したコミック誌。サイト上で発表された有力ケータイ小説やすでに書籍化されているケータイ小説をコミック化し、月刊コミック誌として発刊するもの。
創刊時のラインナップは『恋空』(美嘉・作、羽田伊吹・画)をはじめ、『泣き顔にKISS』『また会いたくて』『teddybear』などの連載、読みきり短編、小説などを掲載。A5判、平綴じ、510頁、定価550円。特製ネイルシール付き。毎月24日発売。発行部数15万部を予定。
同誌でコミック化された連載コミックは、数カ月後に「魔法のiらんどシリーズ(仮)」というレーベルをつけて、双葉社から単行本化していく。年間刊行冊数は約20冊を予定。また、携帯電話向けコンテンツ配信の「ドワンゴ」と共同運営するiモード・FOMA向け公式電子書籍総合サイト「魔法の図書館plus」で、雑誌連載の一部をケータイコミックとして配信する。