全国書店新聞
             

平成23年10月1日号

寄付総額8636万円に/義援金収支報告書まとまる

日書連は9月15日午前11時から東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開き、東日本大震災「義援金」収支報告書の内容を報告した。これによると、集まった義援金は総額8636万円。このうち1620万円を被害の大きかった組合加盟278店・同非加盟46店に見舞金として送った。残った金額は岩手、宮城、福島、茨城など東北・関東地方の被災7組合に最終配分する。〔地震対策本部〕
東日本大震災「義援金」収支報告書=別掲=がまとまり、大橋部会長が内容を説明した。
これによると、口座開設期間の3月16日~9月13日に入金された義援金は312件・8636万1936円。ここから1店あたり5万円の見舞金を、まず被災した組合加盟店278店、続いて組合非加盟店46店に送金した。送金額は組合加盟店分が1390万円、組合非加盟店分が230万円、計1620万円。この結果、預金利息と雑費を勘案した差引残高は6992万7249円となった。
差引残高は、政府が被災者生活再建支援法を適用した青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の7県の組合に最終配分する。ただし、原発被害が収束していないことを重視し、まず福島組合に1000万円を取り分けて、残額を福島を含む7県組合に配分する。7県組合への配分方法は、取協がまとめた被災データをもとに被害程度を県別に数値化し、残額に乗じて算出する。理事会はこの最終配分案を承認した。
また、100万円以上の義援金を寄付した次の18の企業・団体・個人に対し、日書連会長名で礼状を出すことを決めた。
▽1000万円=小学館、集英社、講談社▽500万円=新潮社、文藝春秋、成美堂出版、光文社▽200万円=日本漢字能力検定協会▽114万6595円=藤原印刷▽100万円=日本出版取次協会、照林社、出版文化産業振興財団、潮出版社、日本図書普及、少年画報社、恩田陸、NHK出版、日経BPマーケティング(金額別・入金日順、敬称略)

書店再生の道探るアンケート実施/18組合から回答

〔書店再生〕
8月5日の委員会で、各県組合に対して書店再生をテーマにアンケート調査を実施することを決め、同月上旬に調査票を送付した。調査項目は①書店再生のために日書連が実行すること、②各県組合で取り組んでいる事例、③その他――の3つで、自由記入方式で回答。9月6日の締切までに18組合から回答があった。舩坂委員長は「10月20日に委員会を開き、調査結果をとりまとめる。いただいた意見を検討し、具体的な再生策を打ち出したい」との方針を示した。
春の書店くじのダブルチャンス賞は7月21日に抽選会を行い、昨年から倍増の200名が当選。今秋の読書週間書店くじ申込状況は9月9日現在で218万6500枚。
〔取引改善〕
送品・返品同日精算の実施要請に対して、トーハン、日販両社は4月から返品入帳締切日を1日短縮したものの、その後は進展が見られない。この状況に対して柴﨑委員長は懸念を表明。「我々が求めているのは、返品入帳改善ではなく、送品・返品同日精算の実現。出版物小売公取協の元永顧問と相談しながら今後の対応を考える。トーハン、日販とは出来るだけ早く話し合いの場を持ちたい」と述べた。
〔流通改善〕
L表示の問題点について、全国47組合で6月29日~8月31日に調査を実施し、調査結果がまとまったと藤原委員長が報告。①8月号と書いてあるにも関わらず8月中頃でL表示があり、期日が早すぎるもの、②次号が発売される前にL表示がくるもの、③応募雑誌等で応募の締切以前にL表示がくるもの――を問題点としてあげ、「L表示を考えたのは取協。11月に取協と話し合いたい」との方針を示した。

全国広報委員会議、12日に開催

日書連広報委員会(面屋龍延委員長)は10月12日(水)午後1時から東京・千代田区の書店会館で「全国広報委員会議」を開催する。日書連本部広報委員、各都道府県組合の広報委員、本紙編集部員が一堂に会し、この1年間の広報活動を振り返り、日書連広報のあり方と全国書店新聞の編集方針を話し合う。

電子書籍対応部会を設置/書店でのサービス展開模索

〔指導教育〕
電子出版サービスを手掛けるウェイズジャパンが「書店における電子書籍サービス展開」を提案したことを受け、指導教育委員会の下に新たに「電子書籍対応部会」を設けることを承認した。部会長には鶴谷理事を選任。構成員は杉山理事、山本理事、楠田理事。
このサービスは、まず各県組合とウェイズ社が契約。組合加盟店でウェイズ社の電子書籍専用端末「ISTORIA」(イストリア)を販売し、端末を購入した読者がウェイズ社のプラットフォームで電子書籍を購入するたびに、価格の約10%のロイヤリティが所属組合を通じてその店に支払われるというもの。
各県組合―ウェイズ社間の電子書籍販売還元ロイヤリティ約定書、組合加盟店―ウェイズ社間の電子書籍端末機販売約定書、各県組合―組合加盟店―ウェイズ社間の電子書籍販売還元ロイヤリティ支払規則の雛型の作成については、電子書籍対応部会に一任する。また、日書連―ウェイズ社間の電子書籍販売事業基本協定書についても検討を進めることを決めた。
鶴谷部会長は「電子書籍マーケットで書店の役割を確保しなければならない。ウェイズ社は端末発売時に最低600店の参加が必要と考えている。各組合は組合員総数の15%程度が参加するよう働きかけてほしい」と求めた。また、出版社向け説明会を9月26日、東京・新宿区の日本出版会館4階大会議室で開催すると報告した。

出版20社が新会社設立/出版物デジタル化など支援

講談社、小学館、集英社など出版社20社は9月15日、電子出版ビジネスの市場拡大を推進するための新会社「出版デジタル機構」(仮称)の設立に合意した。この冬にも設立することを目指し、国内の出版社の参加を広く募っていく。
国内の電子出版ビジネスの公共的インフラを整備することによる市場拡大や日本の電子出版物の国際競争力強化が狙い。また、国内で出版されたすべての出版物の全文検索を可能にすることも目指す。
参加出版社の出版物デジタルデータの保管が主要な業務。図書館ビジネスの代行や国立国会図書館が電子化した雑誌・書籍の民間活用、電子書店への配信業務支援も行う。また、出版物の電子化、著作権者への収益配分を支援するとともに、電子出版物に関する検討事項を討議・解決する場を提供する。
今回の新会社は、総務省、経産省、文科省を軸とした三省デジタル懇談会などで議論されてきた「出版物へのアクセスの確保」「図書館と出版社のあり方」「出版物の権利処理の仕組み」といった課題への回答との位置づけ。新しい市場を拡大する上で横たわる課題を解決しながら、出版界の将来を形作っていくことが役割としている。
参加出版社は、インプレスホールディングス、勁草書房、講談社、光文社、集英社、小学館、新潮社、筑摩書房、東京大学出版会、東京電機大学出版局、版元ドットコム(代表=ポット出版、ほか6社)、文藝春秋、平凡社、有斐閣の20社(50音順)。

SJの日、組合独自企画を支援

〔読書推進〕
独自展開の企画を提出してきた組合に補助金を拠出する「サン・ジョルディの日PR企画推進費」の募集を来年度も引き続き行いたいと西村委員長が提案し、承認された。拠出総額は300万円。1組合当たりの支給額は20万円を上限に、提出された企画案を委員会で検討の上、算出する。エントリーする組合は所定の申込書に企画概要と諸費用概算を記入し、11月30日までにFAXで申し込む。採用組合には12月下旬に拠出金額を連絡する。振込は、平成24年6月開催の日書連総会で予算の承認を得た後、同年6月末日に行うことを予定。
〔組織〕
各県組合加入・脱退状況は、7月期が新規加入4店、脱退8店、差し引き4店減、8月期が新規加入0店、脱退13店、差し引き13店減となり、全国の組合員数は4879店になったと中山委員長が報告した。
日書連のオリジナル手帳「ポケッター2012年版」は7万2千部(見本込み)製作し、9月13日までに6万7千部の注文があった。残数は4800部。
〔広報〕
神田村(東京・神田神保町周辺にある専門取次団体の愛称)の活用例を紹介する連載「神田村こう使っている」を7月1日付書店新聞から開始したと面屋委員長が報告。「この連載を参考にして、仕入れ等に役立ててほしい」と述べた。
〔出版販売年末懇親会〕
今年は12月14日(水)午後6時から開催することを決めた。会場は東京・千代田区の帝国ホテルを予定。〔政策〕
神奈川組合から日書連の財務改善を求める要望書が提出された。同組合が8月26日の総会で決議したもので、経費の総点検による経費削減や販売促進事業の事業別会計を実行し理事会への提出を義務化することなどを求めている。文案を起草した中村監事(神奈川組合理事)は「中小書店の心の拠り所である日書連が今後もいい形で存続してほしいとの願いから提出に至った」と経緯を説明。大橋会長は「重要な意見として受け止め、今後の組合運営において配慮したい」と応えた。
〔庶務報告〕
電子出版コンテンツ流通管理コードの策定および管理運用体制と普及体制の研究を行うために日本出版インフラセンター(JPO)が設置する「電子出版コード管理研究委員会準備会」に、日書連から藤原副会長を委員として派遣することを承認した。
◇理事交替
滋賀県=吉田徳一郎(彦根市・ヨシダ書店、所属委員会=広報、組織)
◇退任理事
平柿宗敏(滋賀)
出版物小売公取協は9月15日の定例理事会で以下の役員を選任した。
▽理事=竹内靖博(群馬・シロキヤ書店)川島孝文(埼玉・川島書店)佐藤光弘(愛知・光書店)吉田徳一郎(滋賀・ヨシダ書店)▽監事=堀江幸雄(京都・ブックスランボー)
※大沢孝輝、水野兼太郎、谷口正明、平柿宗敏の各理事、および佐藤光弘監事は退任した

第2回首都圏書店大商談会

昨年1800件・4000万円を超える商談成立で大きな成果をあげた首都圏書店大商談会が、今年も取次書店会が連携し、帳合の枠を超えて開催されます。会場は首都圏各地からアクセスしやすい秋葉原。出展96社・100ブースを「一般」「コミック」「児童書」の3コーナーに分けました。出版社に希望や現状を伝える、出版社から出版企画や情報を聞くことができるのはもちろん、店で役立つイベントも実施します。この商談会限定の特典も多数用意。書店の各売り場担当者は是非ご来場ください。
▽日時平成23年10月26日(水)午前11時~午後5時
▽会場アキバ・スクエア(東京都千代田区外神田4-14-1秋葉原UDX。JR秋葉原駅すぐ、秋葉原UDX内2階)
▽参加費無料※当日参加も可能ですが、なるべく事前に取次会社へお申し込みください
▽主催「首都圏書店大商談会」実行委員会(構成団体=東京トーハン会、東京日販会、大阪屋東日本友の会、首都圏栗田会、首都圏中央会、日教販、太洋会関東・甲信越支部、協和会)
▽後援日本書店商業組合連合会、東京都書店商業組合
▽問い合わせ帳合の取次担当者または以下の事務局まで。出版文化産業振興財団(JPIC)担当=中泉、奥(oku@jpic.or.jp)〒101-0051東京都千代田区神田神保町3-12-3℡.03-5211-7282FAX.03-5211-7285

受注サイトの改善点聞くアンケート実施/書店の注文環境整備へ

出版流通倉庫協議会はS―book.net、出版社共同ネットなどインターネットを利用した書店専用受注サイトの利用状況や問題点について、書店の声を聞くためアンケートを実施することになり、同協議会の代表幹事を務める昭和図書の大住哲也社長が9月15日に開かれた日書連理事会の席上で内容を説明した。
このアンケートは、同協議会が経済産業省公募事業「書籍等デジタル化推進事業」の「書店注文環境整備ワーキンググループ」の活動主体として調査研究を行うため実施するもの。期間は9月26日~10月31日。S―book.net、出版社共同ネット会員書店9971店を対象に実施。S―book.netのサイト内にあるアンケートページに回答を記入する。
大住社長は「書店の声をより多くいただき、問題点や改善点を抽出することが目的。書店の注文環境の整備、書店の活性化につなげたい」として協力を求めた。
問い合わせは「㈱出版ネット&ワークス」管理部まで。℡048―989―1061FAX048―989―1063

「絵本・日本プロジェクト」をPR

文字・活字文化推進機構「絵本・日本プロジェクト」の高橋小織会長(BOOKS隆文堂社長、写真・左)と加藤真由美事務局長(トーハン図書館事業部部長)は9月15日の日書連理事会で、同プロジェクトの主旨を説明した。書店、取次、出版社の女性10名がメンバーとなっており、絵本マイスター事業や絵本賞など6事業を柱に、絵本を贈り合う文化を創造するための活動を行っている。
高橋会長は「出版業界を盛り上げるため全力を尽くす」と述べた。日書連の大橋会長は「出版なでしこを応援しよう」とエールを送った。

新理事長に吉田徳一郎氏/組合加入のメリット発揮/市が総会

滋賀県書店商業組合は8月19日午後2時半から、守山市ライズヴィル都賀山で第28回通常総会を開催。組合員52名(委任状含む)が出席した。
総会は西谷健理事の司会で始まり、平柿宗敏理事長があいさつ。「理事長に就任した平成17年から3期6年が過ぎた。トップが変わることの意味は大きく、組織は常に新陳代謝により役職を交代して新しい考え方をもった方にやっていただいたほうがいい」と今総会で退任する旨を述べた。さらに、①図書館等に地元書店で購入するよう働きかけ、②図書館サポート委員会の図書装備事業と書店による装備や書誌データについての研修会の実施、③書店の減少を食い止めるため文化的商品を扱っている意義を広める事業の実施、④日書連によるウェイズジャパンの電子書籍販売が実現した際には積極的に対応する――が必要だと話した。
議長に西川忠夫理事を選出して議案審議を行い、平成22年度事業報告、収支決算報告、定款変更、平成23年度事業計画、収支予算などの議案を原案通り承認可決した。任期満了に伴う役員改選は理事16名と監事2名を選出。初理事会を開催し、吉田徳一郎副理事長を新理事長に選出した。
総会終了後、田江泰彦氏(日書連「ためほんくん」部会長)を講師に「ためほんくん」説明会を開催。コミック増売だけでなく、顧客とのコミニュケーションツールとして活用できることに認識を新たにした。
懇親会場に移動し、京都新聞社「第40回お話を絵にするコンクール」の表彰式を行い、1位彦根市・太田書店、2位大津市・ブックスあさひや、3位大津市・扶桑書店を表彰した。
懇親会の冒頭で吉田徳一郎新理事長が「12年前理事になってから、図書館装備、学情など図書目録データベースなど教えてもらった事柄は多い。今後は組合加入のメリットを発揮できるように、読み聞かせ会や作家講演会開催による店売活性化も進めていきたい」とあいさつ。その後、取次、出版社、運送会社を交えて懇談した。
(岩根秀樹広報委員)
〔滋賀組合新執行部〕
▽理事長=吉田徳一郎(ヨシダ書店)
▽副理事長=上田聡幸(三信堂)岩根秀樹(ますや書店)
▽専務理事=宇野壽晃(宇野書店)

地域に貢献し読者に愛される書店目指す/千葉総代会で鈴木理事長

千葉県書店商業組合は9月20日午後1時から、千葉市中央区の千葉書店会館で第28期通常総代会を開催、理事・総代44名(委任状含む)が出席した。
総代会は長谷部泰三副理事長の開会の辞で始まり、鈴木喜重理事長があいさつ。「我々は地域の読者のお役に立とうと一生懸命やってきた。従来の町の書店の在り方をさらに発展させる形で頑張り、町の人に愛され、読者に愛される書店になることを目指していきたい。皆さんと団結して書店の在りようを追及していく」と述べた。
鈴木理事長を議長に議案審議を行い、村田正喜副理事長が事業報告、事業計画案を説明。①官公庁、業務用資材の共同販売事業②会館の貸付利用事業③組合支部組織の活性化、並びに新規組合員の加入促進及び組織化への対応――等の事業計画を承認したほか、日書連が取り組んでいる送品・返品同日精算について早急な実現の要望があった。定款変更では、組合員数の減少に伴い総代会に替えて総会を開催するための条文変更を承認。10月20日に臨時総会を開き、総代会の決議事項について承認を得ることとした。また、本郷榮司監事の逝去に伴い、小泉修氏(コイズミ書店)を監事に選任した。
続いてウェイズジャパンの小橋琢己執行役員から電子書籍サービスの説明が行われ、千葉組合として同事業に取り組んでいくことを承認した。
来賓あいさつで日書連・舩坂良雄副会長は「私が担当する書店再生委員会では、どうしたら書店の利益を生んでいけるかを真剣に考え、出版社、取次に提案していく。現在各組合にアンケートを実施しており、10月の委員会で意見をまとめる。送品・返品同日精算の問題は、あくまで同日精算実現を求めて根気強く進めていく」と述べるとともに、10月26日に秋葉原で開催される首都圏書店大商談会への参加を呼びかけた。

8月期は3・4%減/16ヵ月連続のマイナスに/日販調べ

日販営業推進室調べの8月期書店分類別売上調査が発表され、売上高対前年比は3・4%減で先月を1・1ポイント下回り、16ヵ月連続のマイナスとなった。
雑誌は全体で2・4%減と先月を0・6ポイント下回った。月刊誌が4・0%減と低迷が続いたほか、コミックは前年売行きが好調だった銘柄が、今月は発売がなかったため、先月の4・0%増から2・2%減とマイナスに転じた。
書籍は文庫の落ち込みが影響し、全体で4・5%減と先月を1・7ポイント下回った。ビジネス書は、『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』(中経出版)が好調だったものの、前年はダイヤモンド社の『もしドラ』が大きく売上を伸ばしており、その反動で10・8%減となった。新書はPHP研究所、文藝春秋の銘柄が好調で3ヵ月連続のプラス。

「小学生はこれを読め」10月27日からフェア/北海道理事会

北海道書店商業組合の定例理事会が9月8日正午から、札幌市中央区のヒューリック札幌ビル会議室で行われた。
日書連報告の後、道組合活動について審議し、久住邦晴理事長より10月27日~11月30日実施する「小学生はこれを読め!」フェアを説明。今年度は予算の都合で中止となった中学生フェア、高校生フェアについてスポンサーによる運営を目指すとする今後の展望や、フェアの効果的な実施方法や時期について議論した。
また「児童書販売研究会」の立上げについて報告。第1回開催に向け出版社を対象に9月26日に実施する説明会について説明があり、実り多い会合となるよう意見が出された。また第1回開催は11月初旬をめざすことを決めた。
このほか、新年合同懇親会を、平成24年1月17日(火)に開催することを承認した。
(北海道組合事務局・蓼内英江)

出版受注サイトの有効活用術/高島書房社長・高島瑞雄

第32回「出版販売実務セミナー」(書店経営研究会、栗田出版販売、栗田・書店共済会共催)が8月25日、東京・文京区の文京シビックセンターで開かれ、出版社に「出版社共同ネット」への参加呼びかけを開始した日書連で流通改善委員会図書館サポート部会長を務める高島瑞雄氏(福島県郡山市・高島書房)が「出版社受注サイトの有効活用術」をテーマに講演した。
お客さんの期待に応えて注文品に迅速に対応すれば、店頭活性化と顧客獲得につながる。そのとき電子受発注は書店にとって強力な武器になる。
電子発注するようになる前、当店では「書籍の注文は10日から2週間かかります」と案内していた。雑誌のバックナンバーは3週間から1ヵ月を目安に注文をいただいていた。客注は原則として前金をいただいている。責任を感じてしっかりとフォローしていたので手間もかかった。しかし、電子発注を行うようになった現在は、書籍、コミック、文庫の96%が1週間以内、雑誌に関しては1週間から2週間でバックナンバーを入荷することが可能になった。
お客さんの来店頻度は1週間に1回の方が多く、1週間以内で入荷すればクレームはほとんどない。5日で渡せば十分満足するし、「もう入ったの?」と喜ぶ方もいる。クレームがなくなれば店頭での作業が減り、業務の効率化を図ることもできる。
経産省の委託を受けてフューチャー・ブックストア・フォーラムという事業を進めている。現在の状況を調査して、将来の出版業界のあるべき姿を模索しているが、どうしてもインターネット環境の整備が必要になる。しかし東京の書店でネット化しているのは40%だという。むしろ地方のほうが進んでいるのではないか。地方のほうが入荷に関して深刻な問題を抱えているからだ。ネット環境を整備して注文品に迅速に対応する努力をせざるを得ないのだ。
栗田の受発注システム「KINS・V」は、書名、著者名、出版社名、定価、出版年月などがディスプレイ上で確認でき、予告伝票で数日後の発売予定や入荷冊数が確認できる。自店には入荷しないけれども、他店で売っているかもしれない本も確認できる。だから自店にない本についてお客さんから問い合わせがあっても対応することができる。お客さんに対して「1週間以内に入ります」と自信をもって答えることができる。
「KINS・V」で電子発注すると、OKCに在庫があれば自動的に仕分ラインに乗り、何の手作業も入らずスムーズな流れで書店に着荷する。OKCに在庫がない場合は出版社に直接電子発注され、出版社からOKCに商品搬入される。商品は発注形態別に振り分けられ、「電子発注商品」として書店別仕分機に投入され、書店に着荷する。いずれの場合もロスタイムが発生しないので早い。
これに対して、手書き短冊や電話による非電子発注の場合、栗田が出版社にあらためて電話、ファックスで注文する。または端末でISBNを調査して電子化して発注する。この部分には当然、人が介在する。番線担当者がいないと処理は翌日回しになるし、土日にかかると翌月曜日になってしまう。ここですでに数日のロスが生まれる。
このあと出版社からOKCに商品が搬入されるが、発注形態別仕分で「非電子発注商品」扱いになると、「電子発注商品」とは別カートに乗ってオペレーターのところに行く。オペレーターは書店コード、出荷条件、商品コード、冊数などを手入力してバーコードラベルやバーコードが印字された短冊を作る。この作業はとても手間がかかるもので、電子スリップの10倍以上の時間がかかる。
手書き発注は、時間がかかるとともに危険を伴う。人間がやることだから、必ず間違える。番線や名前を間違えると別の所に行ってしまう。すると督促せざるを得なくなり、ダブリ入荷する。多くの書店が長年経験してきたことだと思う。一方、電子発注の場合は24時間・365日、自由に発注できる。出版社や取次が休みでも在庫状況がわかる。
非電子発注は遅くならざるを得ない理由がある。だからスムーズに流れてロスがない電子発注にしましょうと言っている。
電子受発注システムは「KINS・V」だけでなく、一ツ橋グループの「S―book.net」や、このサイトにリンクが貼られている「出版社共同ネット」がある。参加出版社は合わせて113社になる。上手に活用すれば商品を迅速に入荷することができる。独立系サイトとしては18社が参加しているBook―Order.Net(BON)、4社が参加している角川Web―Hot―Lineもある。
講談社、河出書房新社、JTBパブリッシング、PHP研究所、NHK出版、宝島社、デアゴスティーニ・ジャパンなどの出版社HP内サイトや、児童書10社の会「10社ブックネット」、クリーンブックス、NCL(農文協)、CBLの会、SLBC(学校図書館図書整備協会)といった児童図書や図書館の会員組織系サイトもある。
「KINS・V」は雑誌バックナンバーの取り扱いができないが、「S―book.net」や「出版社共同ネット」で発注できる。小学館の『教育技術』や白泉社の『MOE』が1週間で入ってくる。手作業でやるよりはるかに早い。お客さんが曖昧な書名を言ってきたときに書名の特定もできる。また、在庫の有無や重版出来予定日の情報を予め得られるから、入荷日についてお客さんとのトラブルを避けることができる。同時に出庫日の確認ができるので、これまでのように「そろそろ入るはずなのですが」ではなく「○月○日に出版社を出たので、まもなく入荷します」と自信をもって答えることができる。「KINS・V」は出庫の細かい追跡が出来て便利だ。
少年写真新聞社の課長が突然来店して、「販売促進をお願いしたい」と言ってきたことがある。「出版社共同ネット」のデータに基づいて実績のある店を訪問しているという。書店側もデータに基づいて実績のある出版社の商品をフォローして拡販することが可能だ。
また、手書き発注や電話発注だと入荷しないとき督促するが、督促するとダブることが多い。電子受発注サイトを使えばウェブ上の追跡調査で出庫の確認ができるので焦って督促する必要がなくなり、ダブリ入荷を防ぐことができる。
ネット環境を構築し、ネットで発注するようになると、日書連の「ためほんくん」や「選書ツール」を使うことができるようになる。様々な販促ツールを武器として使えるようになるので、発注以外でもメリットが出てくる。
7月、郡山ビューホテルに呼ばれて、「8月からすべて電子発注にするのでパソコン、ネット回線、プリンターのない店とは取引できない」と通告された。これまでは取次や出版社に電話注文すれば済んだからネット環境を作らなくても大丈夫だったが、納入先のほうがネット環境のない店を排除してきた。当店はすべて揃っているので今まで通り取引しているが、こうした動きは現実的に起こっている。最近、テレビで紹介された本を、携帯やパソコンからメールで注文するお客さんが増えている。この場合、入荷の連絡もメールで行うので、電話代の節約になる。
出版社―倉庫・取次・輸送―書店―読者・納入先と業界全体がネット化すれば、すべて電子受発注できる。出版社には「出版共同ネット」に参加して在庫を開示してほしいとお願いしている。出版社は努力してスピードアップを図ると言っている。書店もネット化して自らスピードアップに取り組み、お客さんのため快適で信用できる注文環境を作るべきだ。
お客さんから自信をもって注文を取ることができるようネット環境を構築する。注文を取ったお客さんが自店の顧客になり、収益が上がる――そういう体制を作っていきたい。

「再販商品は競争になじまない」入札の問題点指摘/肥田美代子氏が講演

出版文化産業振興財団と文字・活字文化推進機構の理事長を務める肥田美代子氏は9月8日、北海道札幌市の京王プラザホテル札幌で開かれた北海道トーハン会で読書推進をテーマに講演した。肥田氏は1989年に国連で「子どもの権利条約」が採択されてから20年間を振り返った後、入札や指定管理者制度などの問題点を指摘。地域の知の力を作る役割を担う書店を支えねばならないと訴えた。
昨年12月、平成22年度補正予算で、ふだん光のささない、公共事業以外の分野に光を当てようと、片山善博総務大臣(当時)の英断で「住民生活に光をそそぐ交付金」が措置された。総額1千億円。公共図書館や学校図書館、DV被害者支援、自殺予防施策、児童虐待などに使いなさいというものだった。1千億円のうち図書館関係に使われたのは350億円で、片山さんに言わせると「図書館の一人勝ち」だったという。
片山さんが凄いのは、公共事業ではなく、地域の知の力を作るために使ってくださいと言ったこと。ところが、350億円のうち、地元の皆さんにどれくらい入ったかが大きな問題。もし東京の大手納入業者がほとんど使ったならば、地域の知の力を育てることにはならない。地域の書店は知の力を作るという大きな役割を担っている。だから地域が書店を支えなければならない。今回は国がそれを支えるために1千億円出したが、地域の知の力を担う皆さんがその予算を潤沢に使えたのか。
私が国会で図書環境の整備をやっている間に、図書館司書の問題は解決せず、地域の書店は入札によって公共図書館にも学校図書館にも納入できなくなってしまった。私は何のために読書環境を整備したんだろう。地域を痩せ細らせ、知の力もなくなり、書店もどんどん消えていく。そんなことを手伝ったのかと思うと忸怩たるものがある。とても悔しい。これからは読書環境の整備というよりも、書店が力を出せるシステムを作らなければいけないと思っている。
「光をそそぐ交付金」は起爆剤として導入したけれど一回では終わらせないと片山さんは言った。内閣が変わって片山さんは大臣をやめたが、今度の川端総務大臣にしっかりと引き継がれているので安心していただきたい。
片山さんは「地産地消」を訴えた。地域に税金を払わない人に持っていかれないようにという悲鳴に近い大臣の言葉だ。指定管理者制度には反対とも言っている。競争入札にも反対している。競争入札で辛い思いをした書店は多いと思う。せっかく学校とつながっても、結局安いところが落札するなんて、とんでもない話だ。
しかし、これをやってはいけないという法律はない。だから我々が目を光らせてシステムを変えていく。再販商品の本は競争になじまない。だから入札はやめる。指定管理者制度は、当初は合理的なサービスを提供するために総務省が始めたものだが、結局「安かろう」になってしまった。これもやめねばならない。
地産地消ということでいえば、地域の書店で買ってもらう。公共図書館と学校図書館は書店にとって大きな収入源ということを理解してもらう。書店が支えなければ図書館はしっかりしない。何もかも人任せでは先生方の本を選ぶ力がなくなり、教育の中心にある学校図書館が駄目になってしまう。書店は、図書館でもっと稼いでいただきたい。3%や5%の手数料で終わって悔しい思いをした書店は多いと思う。それは図書館にとっても不幸なこと。書店のありようは国の文化レベルを表す。地域の知の力を作る原動力になるのが書店。自信を持っていただきたい。

売上げ伸び率2・6%減少/トーハン書店経営の実態

トーハンが発行した平成23年度版『書店経営の実態』によると、調査を行なった全国の128企業386店舗の平均売上高伸長率はマイナス2・6%で、前年を0・3ポイント上回ったものの、16年続けてマイナス成長となった。収益面では、売上高対営業利益率がマイナス0・1%(前年マイナス1・3%)、売上高対経常利益率が0・4%(同0・2%)となった。
〔損益状況〕
『書店経営の実態』では売上高対経常利益率が0・0%以上の企業を「健全企業」、0・0%未満の企業を「欠損企業」として分析している。売上高伸長率を見ると、健全企業が前年比0・9ポイント増の0・2%、欠損企業が1・7ポイント減のマイナス8・1%で、健全企業がプラス転換。総平均では0・3ポイント増のマイナス2・6%となり、16年連続のマイナス成長となった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は、総平均でマイナス0・1%となり、前年を1・2ポイント上回った。健全企業は2・1%だったが、欠損企業はマイナス3・6%。売上高対経常利益率は健全企業が2・8%、欠損企業がマイナス3・6%で、総平均では前年比0・2ポイント増の0・4%となった。
粗利益対経費率は、販売費及び一般管理費が粗利益に占める割合を見るもので、収益が厳しい低成長期には特に重要になる。総平均では前年より3・6ポイント改善して102・2%となったが、12年連続で100%を上回った。健全企業が94・3%に対し、欠損企業は118・0%。労働分配率は50%以下が目標とされているが、健全企業が49・0%、欠損企業が55・7%。総平均では0・4ポイント改善して51・3%となった。
複合型書店の調査では、書籍・雑誌以外の売上構成比が20%以上の店舗を複合型書店、それ以外を本専業店に分類した。複合型書店の売上高伸長率を部門別にみると、書籍マイナス0・1%、雑誌2・4%、レンタルマイナス4・7%、セルCDマイナス0・4%、TVゲームマイナス7・6%、文具0・7%で、総平均は0・0%。本専業店は総平均でマイナス4・0%だった。
売上高伸長率を地域別に見ると、今年は九州・沖縄の2・9%を除いてマイナス。東海はマイナス7・1%と大きく落ち込んだ。立地環境別ではSC内が1・2%だったほかはすべて前年割れに。商店街がマイナス5・6%、駅前がマイナス4・1%と振るわなかった。売上規模別では5億円以上が3・2%、2億~3億円未満が1・7%と順調だったが、5000万円未満はマイナス9・4%と大きく落ち込んだ。売場規模別では21~40坪がマイナス7・9%、20坪以下がマイナス7・1%と低迷した。
〔販売効率〕
従事者1人当りの月間売上高は、健全企業が198万円、欠損企業が131万5千円で、総平均では175万円と前年比6万4千円増加した。従事者1人当りの月間粗利益高を見ると、健全企業36万9千円に対し欠損企業26万2千円。総平均では前年比1千円減の33万円だった。
商品回転率は健全企業5・0回、欠損企業3・0回で、総平均は前年比0・1回増の4・3回。売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標。健全企業112・6%、欠損企業84・8%で、総平均では前年より1・3ポイント増加して102・9%となった。
〔財務状況〕
総資本に占める純資産の割合を示す自己資本比率は健全企業が3・2ポイント減の20・6%、欠損企業が0・5ポイント増の11・5%で、総平均は1・8ポイント減の17・0%だった。
事業に投下された資本総額の回転速度を表す総資本回転率は、書店経営では約2回転が目安。総平均は0・2回増の2・0回で、健全企業が2・2回、欠損企業が1・5回だった。
流動比率は1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスを見ることで短期支払能力を表す指標で、130%以上の確保が望ましい。健全企業は前年と同じ129・8%、欠損企業は18・6ポイント増の140・4%で、総平均は7・1ポイント増の134・0%となった。
固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は16・5ポイント増加し182・0%。欠損企業は30・8ポイント減少し296・5%となった。総平均は12・0ポイント増加し214・1%だった。

京極夏彦『ルー=ガルー2』4形態で同時発売へ/講談社

講談社は、京極夏彦氏の最新作『ルー=ガルー2インクブス×スクブス相容れぬ夢魔』を10月14日に単行本、ノベルス、文庫、電子書籍の4形態で同時発売する。
『ルー=ガルー2』の販売価格(予価)は、単行本(四六判)が税別3200円、ノベルス版(新書判)が税別1400円、文庫版(上下巻)が税別各700円、電子書籍が税込1400円。電子書籍は専用アプリ並びにPC・アンドロイド・iOS対応の各電子書店で発売予定。
講談社・野間省伸社長は「今回の同時発売は〝読者と作品が出会うチャンスを最大限に広げる〟さらに進んだ試みと考えている。出版界が激動の時代に、新たな扉を開くこの試みが、『読書』の楽しみと素晴らしさをより多くの方に伝え、版元はもとより、書店や著者の未来、出版界全体の活性化につながると信じている」、著者の京極氏は「同一のコンテンツを扱っていたとしても、四六判、新書判、文庫版、電子書籍は商品としてはまるで別個のもの。それは単に判型や価格の差ではない。ニーズに併せた商品作りを心がけるという基本に立ち返るなら、今回の同時発売も決して奇異なことではないと考えている」とのコメントを寄せている。
このほか、京極氏の大ヒット作「百鬼夜行シリーズ」全9タイトルの電子書籍化を決定。今後刊行予定の新作も順次追加するとしている。

ノンフィクション賞に角岡、森両氏/講談社

第33回講談社ノンフィクション賞に角岡伸彦氏『カニは横に歩く自立障害者たちの半世紀』(講談社)、森達也氏『A3』(集英社インターナショナル)、第27回講談社エッセイ賞に内澤旬子氏『身体のいいなり』(朝日新聞出版)、内田洋子氏『ジーノの家イタリア10景』(文藝春秋)、第27回講談社科学出版賞に近藤宣昭氏『冬眠の謎を解く』(岩波書店)が決まり、9月5日に千代田区丸の内の東京會舘で贈呈式と祝賀会が行われた。
贈呈式では、講談社・野間省伸社長があいさつを述べた後、受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。ノンフィクション賞を受賞した角岡氏は「障害者の皆さんにはいじめられたが、賞金もいただいたのでチャラになったかなと思っている。一生懸命書いていくので読んでください」、森氏は「賞にはほとんど縁がなく、自分は栄冠をもらえないと思っていた。今回も駄目だろうと思っていたので感慨もひとしおです」とそれぞれ喜びを語った。

58期売上高389億円/太洋社決算

太洋社は9月28日開催の定時株主総会・取締役会に先立ち、9月7日に第58期(平成22年7月1日~同23年6月30日)の決算概況を発表した。
今期の売上高は前期比2・8%減の389億2300万円で6期連続の減収となった。売上高の内訳は、雑誌が204億6300万円(同2・0%減)、書籍が176億3500万円(同4・8%減)、その他が8億2500万円(同31・4%増)。また返品率は、雑誌が37・5%、書籍が39・7%、その他22・6%、計37・8%となった。
販売費及び一般管理費は同5・5%減となったが、売上原価が悪化したため、営業損失は1億1200万円、経常損失は2億9900万円、当期純損失は1億8400万円の赤字となり、減収減益の決算となった。自己資本比率は12・0%、配当は1株当たり30円。役員は全員再任し、大神田博氏を取締役に新任する。
第59期は「変わらなければ生き残れない」をスローガンに掲げ、重点方針として①返品減少②フラットな組織作り③マーケティング・マインドの徹底④新規事業への参入――に取り組む。売上高388億円、返品率34・9%、売上総利益率10・2%を目指す。

生活実用書/注目的新刊

放射能の危険にさらされている日本列島。深刻だがせめて、自分のできるところから身を守らなくてはならない。
野口邦和著『放射能汚染から家族を守る食べ方の安全マニュアル』(青春新書P927952円)は、大学の放射能防護学専任講師が安心できる「ひと手間」を教える。
放射能汚染は汚れと同じなので、流水で洗う。湯や洗剤を使うとさらによく落ちる。
たとえばキャベツは外側の紫がかった葉は捨てる。一枚ずつ水洗い。洗った後ゆでるとストロンチウムは55%除去でき、酢水に15分さらしても約27%除去されるという。
桃は皮をむけばセシウム134は97%、ストロンチウムも90%除去できるが、梨のような果物は放射能が芯のくぼみにたまりやすいので、しっかり取り除かねばならない。
肉はゆでるのがポイントだが、ゆでた湯は捨てること。水やエサが管理され、放牧されていないものが安全だが、市場を信用するしかない。
魚の身にはセシウム、骨にはストロンチウムが蓄積しやすいため、頭や内臓などアラと骨は取り除いた方が安心。
25年前のチェルノブイリ事故の影響で、今もって輸入品の検査は行われている。気の遠くなるような長期間の注意が不可欠になってしまった。
鎌田慧著『原発列島を行く』(集英社新書0116B700円)は2001年初版。今年6月に第4刷が出た。
北海道泊村、青森県六ヶ所村から山口県上関町にいたる全国17ヶ所の現地レポート。福島県双葉町・富岡町の原発も「矛盾噴き出す原発銀座の未来」と題しその危険が報告されている。30年前から押しつぶされてきた、地元富岡町毛萱部落の反対運動。町の幹部達は原発が来るとは言わずに大工場と表現したという。12年前に白血病で死亡したH
氏は、酪農の傍ら東電の三次下請けで原発内の溶接を担当していたベテラン。福島第一、第二原発で被爆した総線量は11年間で75ミリシーベルトだった。またかつて原発反対の急先鋒だった町長が、一転し増設を要求するという変わり身。もし津波が発生したら、海の水位は下がり、冷却水が間に合わなくなる、とすでに強い不安を語っている。大事故が発生する前に、日本は原発から撤退できるか、と微かな希望を書いている。
(遊友出版・斎藤一郎)

日販創立62周年記念式典

日販は9月9日に本社5階会議室で創立62周年記念式典を開催。あわせて社長賞、利益拡大賞、業績貢献賞、社会貢献賞の表彰を行った。古屋文明社長のあいさつ要旨は以下の通り。
「再販制度がない米国の出版業界では、価格競争によって書店が疲弊してしまっているようだ。その意味で、日本の再販制度は、今後さらなる弾力運用を広げていくことは必要だが、なくしては業界全体が立ち行かなくなる。委託は、高度成長期にあっては業界が成長する原動力となっていたが、今や業界の収益を阻害している制度となってしまっている。雑誌は書籍よりも利益率が高く、出版社や取次の経営を支えてきた。だが雑誌のダウントレンドが止まらず、今年に入ってからの低迷は過去に例を見ないほどだ。
以上、3つの視点から戦後の出版業界を支えてきたものを見てきたが、これからの時代、取り組むべきことは明らかだ。根本は書籍の収益改善、そしてそのための流通改革だ。『LEAD』に続く新しい中期経営計画の策定作業を進めているが、軸となるのは、雑誌がさらに落ち込んでも書籍で経営が成り立っていく体制を築き上げなければならないということだ。
取引制度の改革に向けては、脱・委託の流れを加速させるべく「PARTNERS契約」の一層の拡充が必要となる。またCRMプログラム「HonyaClub」の拡充、「HonyaClub.com」の利用率向上が必要だ。
一方では、雑誌に代わる利益源泉の模索が必要になる。キーとなるのが電子書籍の取り組みであり、業界三者が収益を獲得できるビジネススキームを確立していかなければならない」