全国書店新聞
             

平成24年3月1日号

13年度中に全組合開始目指す/基本契約書の早期締結要請/電子書籍事業

〔指導教育〕
日書連がウェイズジャパンと協力して取り組む電子書籍販売事業は、青森、東京、鹿児島の3組合がウェイズ社と基本契約書を締結。1月31日にまず青森と東京で同事業がスタートした。鶴谷電子書籍対応部会長は「まず始めることが重要。参加書店が少なくても、基本契約書を早急に締結してほしい」と各県組合に求めた。今後の事業戦略については、2013年3月までに全都道府県組合がウェイズ社との電子書籍販売事業基本契約書の締結を完了し、店舗参加率30%、配信契約コンテンツ10万点を目指すと説明した。
万引き問題については、全国万引犯罪防止機構処分市場小委員を務める小泉理事が、1月31日に行われた同機構臨時総会で①マイバッグ普及に伴う万引犯罪増加への対応②万引品処分市場対策③万引窃盗犯の「店内確保」の推進――の3点について提言をとりまとめ決定したと報告した(3面に関連記事)。
〔消費税問題〕
面屋委員長は、2月6日に民主党が開催した「社会保障・税一体改革」説明会に出席し、消費増税反対と増税の場合は出版物への軽減税率適用を求めたことを報告(3面に関連記事)。「民主党は軽減税率を一切認めない考えだ。書協、雑協、取協、日書連の4団体による『出版税制対策特別委員会』で対応を検討したい。各県組合が地元議員に働きかけることも必要ではないか」と述べた。
〔読書推進〕
「住民生活に光をそそぐ事業」の継続が決まり、平成24年度は350億円が交付税措置される。前年度から50億円の増額。西村委員長は「図書館の図書購入や司書の充実などに活用されるよう自治体や議員へ働きかけ、売上増につなげてほしい」と呼びかけた。
新成人に本を贈る「20歳の20冊」(出版文化産業振興財団主催、日書連協力)は、平成23年度は26自治体・団体(継続19、初実施7)で実施され、新成人2129名に2254冊の図書を贈ったと報告した。
読売新聞社が3月14日から4月15日まで実施する「読売新聞本屋さんへ行こう!プレゼントキャンペーン」を後援する。書店で出版物を購入したお客がレシートをハガキに貼って応募すると抽選で図書カード総額30万円分が255名に当たるもの。実施エリアは東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬、山梨、静岡の1都8県。期間中、約2000書店の店頭でポスターを掲示し、応募ハガキ設置する。
〔流通改善〕
平成24年度「年間発売日カレンダー」を再検討するよう求めていた問題で、取協物流発売日研究委員会から回答が寄せられたと藤原委員長が報告した。
これによると、祝日発売日設定(年2回)については、今後に向けた十分な検証を行っていくことを前提に、従来案通り9月22日(秋分の日)と12月24日(天皇誕生日振替休日)の2日間にしたいとした。また、土曜休配日(年5回)については、日書連の提案通り、9月1日から第2週目の9月8日に変更するとした。9月1日の土曜休配は、実施されれば8月31日納品となり月末商品在庫が増加、キャッシュフローへの影響が大きく書店にとって不利益になることから、変更するよう求めていた。
藤原委員長は「業量平準化を図りたいのが取次の考えで、提案を了としたい。ただし読者に対して祝日発売日を周知徹底する努力がさらに必要」と述べた。
「新バードネットサービス」は利用者が5店まで激減し、運営維持が困難になったことから、3月末に終了することになった。当面の保守および同サービスに代わる新サービスの提案はメトロコンピュータサービスが対応する予定。読者が日書連サイトを通じて送ってくる書籍注文メールを登録書店に配信する「オンライン配信サービス」も3月末で終了する。
〔取引改善〕
店頭陳列に支障をきたす大きさの雑誌付録の報告があり、雑協の自主基準「雑誌作成上の留意事項」を逸脱しているため、調査を進めることにしたと柴﨑委員長が報告した。

書店再生5項目案、出版流通改善協議会に提出/早期実現に向け検討求める

日書連は2月23日、出版流通改善協議会(相賀昌宏委員長)に対し、2月定例理事会で承認した「書店再生のための提案」(2面に全文掲載)を提出し、取り上げられた5項目が早急に実現されるよう検討してほしいと要望した。日書連は同協議会が出版社、取次、書店の間でキーステーションの役割を果たすことを期待している。
「書店再生のための提案」とともに提出した要望書の内容は以下の通り。
「書店再生改善案」早期実現に向けた検討のお願い
貴協議会が毎年発行しておられます「出版再販・流通白書」は、出版業界の現状を網羅的にしかも的確に捉えた、いわばバイブル的な冊子として様々な場面で活用させていただいております。販売、流通、読書推進等々の具体的取り組みが詳細にレポートされていて、出版業界の活動の記録として貴重な一等史料であると思っております。
さて、私ども書店は、大変厳しい経営環境下で「生き残り」をかけ、平成23年2月に書店再生委員会を設置し、以来、改善策を精力的に検討してまいりました。その結果、今回東京都書店商業組合より提案のあった「書店の収益改善」に向けた「5項目の提案」を先日の2月定例理事会で、全面的に採用することを承認致しました。
つきましては、貴協議会におかれまして同封別紙の「書店再生改善案」の早期実現に向けた検討をお願いする次第です。幸い貴協議会は、出版、取次、書店が一堂に会していますし、公正取引委員会が平成10年3月に出した「是正6項目」の中の一つに、「円滑・合理的な流通を図るための取引関係の明確化・透明化その他取引慣行上の弊害是正」があり、大変大きな宿題になっているかと思います。改めて申すまでもなく、私どもの提案は、一人書店だけを良くするものではなく、出版業界全体の活性化、ひいては読者サービスの改善にも直結するものと信じて止みません。どうか諸般の事情をご賢察いただき、早急に貴協議会を開催し、我々の提案事項の検討に入るよう切にお願い申し上げる次第です。
まずは書面をもって、「書店再生改善案」早期実現に向けた検討のお願いと致します。

責任仕入・販売で収益改善/書店再生のための5項目決定

日書連は2月16日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。書店再生問題では、東京都書店商業組合が検討してきた書店再生のための5項目の提案を全面的に採用することを承認した。「責任仕入と責任販売による2%の収益改善」をはじめとする5項目は、出版社・取次・書店の3者で構成する「出版流通改善協議会」(相賀昌宏委員長)で検討し、改善案が速やかに実施されるよう求めていく。
〔書店再生〕
東京組合の書店再生委員会(片岡隆委員長)が検討してきた「書店再生のための提案」5項目が日書連理事会に提出され、全面的に採用することを承認した(2面に全文掲載)。
この提案は①責任仕入と責任販売で書籍、雑誌ともに2%の収益改善②雑誌の付録綴じは書店業務からなくす(出版社が費用負担)③万引きロスの負担軽減④取次特急便の書店負担をなくす(出版社、取次が費用負担)⑤実験販売200書店計画(ロングセラー、実用書増売)――の5項目から成る。「組合と出版社が合意することによってできる改善」「業界3者が合意することによってできる改善」に限定し、書店再生にとって重要かつ緊急性のある改善案を取り上げたもの。出版社・取次・書店の3者で構成する出版流通改善協議会で検討し、改善案を速やかに実施するよう求めている。
なお、出版流通改善協議会には、日書連から藤原副会長を副委員長、また面屋副会長、柴﨑副会長、舩坂副会長、山本理事を委員として派遣している。
日書連では昨年2月に書店再生委員会を設置し、書店の収益を改善するための施策を検討してきた。8月には各県組合に対して「書店再生」をテーマにアンケートを実施し、16組合から様々な意見が寄せられた。これらを検討した結果、このほど東京組合による書店再生のための提案を採用することになった。
舩坂委員長は「書店が声をあげなければ相手は動いてくれない。今回の提案を書店の収益改善につなげたい。担当委員が全力でぶつかって良い結果に結びつける」と意気込みを語った。

日書連から5氏推薦/全出版人大会長寿者表彰

5月9日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開かれる第51回「全出版人大会」の長寿者表彰に、日書連から中山寿賀雄副会長(長崎)、鶴谷祿郎理事(青森)、吉田達史中国ブロック会長(岡山)、山口尚之理事(福岡)、影山稔員外監事の5氏を候補者として推薦することを2月定例理事会で決めた。

「20歳の20冊」拡充へ協力/書店組合とJPIC

成人の日に自治体から新成人に本を贈る「20歳の20冊」について、出版文化産業振興財団(JPIC)の矢作孝志専務理事が日書連2月定例理事会の席上で、同事業拡充に向けて協力を要請した。
矢作専務理事は「新成人への読書機会の提供とともに、寄贈図書を書店組合を通じて自治体に定価購入してもらうという、地元書店の売上に結びつく側面がある」と同事業の意義を強調。「本年度は26自治体・団体で行ったが、来年度は50以上を目指したい。毎年JPICから約2000の基礎自治体に資料を送っているが、日常的に教育委員会などと付き合いがある書店から働きかけてもらったほうがより関心を持ってもらえる。各都道府県書店組合と密接な協力関係を作り、地元行政へ積極的な働きかけを行いたい」として、同事業を拡充するため各県組合とJPICで意見交換会を行いたいと提案した。JPIC職員が総会や理事会など組合加盟書店が集まる場に出張し、同事業の仕組みや地方自治体への効果的な働きかけ方を説明するという。JPICは、4~6月に各県組合で意見交換会を開き、6~8月に各自治体への働きかけを行いたい考え。
問い合わせは出版文化産業振興財団まで。℡03―5211―7282FAX03―5211―7285eメール=渡辺氏(watanabe@jpic.or.jp)

山口組合が脱退へ/3月31日付で

〔政策〕
山口県書店商業組合(冨永信理事長、組合員数39名)から日書連を脱退する旨の意思表示が書面によって行われた。理事会はこれを受理し、同組合は平成23年度末の3月31日付で自由脱退することになった。これにより日書連の会員数は46となる。
出版4団体で構成する出版税制対策特別委員会に、日書連から次の役員を派遣することを承認した(○印は新任)。▽副委員長=大橋信夫(会長、東京堂)▽委員=藤原直(副会長、金港堂)、面屋龍延(同、清風堂書店)、柴﨑繁(同、王様書房)、○西村俊男(同、文信堂書店)、○舩坂良雄(同、大盛堂書店)
〔地震対策本部〕
〈大震災〉出版対策本部が作製した東日本大震災復興支援のための募金箱への申込状況は、2月16日現在、目標数799個に対して申込数586個、達成率73・3%と報告があった。
〔組織〕
各都道府県組合の加入・脱退状況は、12月期は加入1店、脱退10店、前月比9店減、1月期は加入3店、脱退9店、前月比6店減で、全国の傘下組合員数は4811店になったと中山委員長が報告した。
〔庶務報告〕
平成23年度経済産業省補助金事業「被災地域販路開拓支援事業(コンテンツ緊急電子化事業)」の有識者委員会に大川専務理事を委員として派遣することを承認した。

書店再生のための提案

平成23年7月、新たに設置した書店再生委員会は、第2段階として書店の収益改善について協議した。
この協議に当たっては「組合と出版社が合意することによってできる改善」「業界三者が合意することによってできる改善」に限定し、書店再生にとって重要かつ緊急性のある改善案を取り上げ、合計8回協議を重ねた。下記の通り改善案の集約ができましたので提案致します。
「出版社・取次・書店」の三者で構成する出版流通改善協議会にて検討して頂き、書店再生のための改善案が速やかに実施できるよう要望します。
(1)責任仕入と責任販売で書籍、雑誌ともに2%の収益改善
〈主旨〉
◇書店再生には書店の収益を改善することが重要で、現行の取次パターン配本・出版社のランク配本はともに制度疲労をおこしている。出版界が抱えている多くの課題が改善されていない。
◇「読者は偏在していない」が「本は偏在している」、読者ニーズに応えていない事が売上の減少になっている。
◇書店員の労働環境改善が急務。
◇パート従業員の社会保険加入が可能な経営環境の構築。
〈実施方法〉
◇書店再生に必要な収益改善を達成するには、返品の減少と利幅の拡大を図ることで、これを可能にするのは、書店の「責任仕入」と「責任販売」の拡充。
◇書籍については、出版社に「計画販売」の推進、「注文に対して満数配本」を求め、書店仕入正味65%、返品入帳55%を提案。
◇雑誌については、取次に中小書店売上げの多くを占める雑誌の「適正配本」「定期の満数配本」を求める。
(2)雑誌の付録綴じは書店業務からなくす(出版社が費用負担)
〈主 旨〉
◇完成品での送品を求める。
◇付録綴じには20坪の書店で157点、入荷数1040冊の付録綴じが必要で、1ヵ月間に約1万5600円のコストがかかっている。100坪の店舗は337点、入荷数3657冊で、1ヵ月約5万4800円のコストがかかっている(23年11月調査)。
〈実施方法〉
◇完成品でない雑誌には費用負担を求めたい。
◇1冊の付録綴じに、約15円の経費がかかっている(時給900円、1冊1分として算出)。
◇費用は1点につき2%を提案したい(雑誌の平均値650円として算出)。
(3)万引きロスの負担軽減
〈主 旨〉
◇万引きロスの負担は重すぎる。万引き調査では、1店あたり平均1・8%のロスが発生しており、その多くがコミックであるという報告がされている。万引きは出版社、取次では売上となり収益を生むが、書店は1冊の万引きで5冊分の収益が奪われている。
◇コミックのシュリンクは売上増と返品の減少につながっているが、コスト負担が重い。
〈実施方法〉
◇早期にICタグ等の装着を求める。
◇ICタグ等が装着されるまで(万引き防止策)、コミックの1%正味下げを求めたい。
(4)取次特急便の書店負担をなくす(出版社、取次が費用負担)
〈主 旨〉
◇注文品、客注品を「早く」「確実に」書店に届けるのは取次の使命であって、そのための物流コストを書店に求めているのは納得できない。
◇書店がお客様の立場に立って「止むを得ず」特急便を利用しているが、このことが常態化することによって、ますます普通注文品の入荷が遅くなってきている。これは、売行きの良い本の在庫が特急便用の流通センターに集約され、取次の売行き良好書の在庫が減少しているからではないか。
〈実施方法〉
◇特急便の書店負担、7%乃至6%は撤廃すべき。
◇流通在庫を一本化して、「早く」「確実に」を実現すべく、取次も書店目線、読者目線に徹すべき。
(5)実験販売200書店計画(ロングセラー、実用書増売)
〈主 旨〉
◇書店提案の本の増売活動
◇既刊本の掘り起こし
〈実施方法〉
◇具体案は今後日書連の書店再生委員会で検討する。

参考図書

□『万引きさせないお店にする法』
三洋堂書店・加藤和裕社長と、店舗内の万引き・内引きを中心としたロス対策コンサルティング業務などを行うウェリカジャパン・豊川奈帆社長の共著『万引きさせないお店にする法』が中経出版から発売された。A5判、158頁、定価本体1300円。
同書は不明ロス率を73%縮小させた三洋堂書店の取組みをベースに、最新の万引き犯のプロファイリング、万引き発生のメカニズムから現状分析を行い、規模や業態にかかわらずどの店舗でもできる防犯対策を詳細に解説。また、関係する各種法律、盗まれ損を許さない損害賠償の導入法、店外に出る前に犯人を捕える店舗内現行犯捕捉の方法など、実践的な万引き防止テクニックを紹介している。

出版物への軽減税率求める/一体改革説明会で面屋日書連副会長

民主党は2月6日、東京・千代田区の参議院会館で中小企業・団体を対象に「社会保障・税一体改革」説明会を開催した。一体改革の内容を説明し、意見を聞くために実施したもの。日書連からは面屋龍延副会長が出席した。
野田内閣と民主党・国民新党は1月6日、政府・与党社会保障改革本部の会合を開き、「社会保障・税一体改革素案」を決定。素案には「安心で希望と誇りが持てる社会の実現を目指して」というサブタイトルが付き、年金・医療・介護に加え子育て支援なども含めた全世代対応型の社会保障制度への改革を目指すとともに、その安定財源確保や財政健全化の達成のため、消費税について2014年4月に8%、15年10月に10%へと段階的に引き上げることを柱とする税制の抜本改革を打ち出している。
冒頭あいさつで樽床伸二幹事長代行は「少子高齢化社会の中で年金・医療・介護・子育て支援などどうしても必要な制度を維持するには、どの分野よりも多くの税金投入が必要。その財源としての税制、その柱としての消費税という順番で認識している。このことを多くの国民の皆様にご理解いただくため、党としてキャンペーンを行う本部を立ち上げ、私が本部長に就任する予定だ。党と政府がしっかり連携をとりながら説明していく」と話した。
このあと長妻昭社保事務局長が社会保障改革、古本伸一郎税調事務局長が税制について説明した。
質疑応答では日書連の面屋副会長が「消費税率3%の時代は出版販売金額は右肩上がりだったが、96年に2兆6000億円を記録したあと、97年に税率5%になってから毎年下落し続け、現在1兆8000億円まで落ち込んだ」と、出版業界の低迷と消費増税はリンクしていることを説明。「今度税率が上がるとノックアウトパンチになり、呻き声すらあげられない状況になる。出版物の軽減税率はすべての先進国が行い、活字と教育を保護している。活字文化を守らなければ国の生産力は高まらない。十把一絡に税率を上げるのではなく、各業界の事情を細かく聞いてほしい。社会保障は大事だが、消費税を上げればすべて解決するわけではない。10%になったら日本の出版はどうなるか考えてほしい」と述べ、消費増税反対と税率引き上げの際の出版物への軽減税率適用を訴えた。
これに対し、民主党の古本税調事務局長は「党税調の議論の中で、『小説などは嗜好品だが、子供たちの学習参考書など好むと好まないに関わらず買わざるを得ない出版物についてはなんとかならないか』という議員もいた。しかし、たとえ住宅でも消費税10%は予定通り適用し、商品における例外は設けないと決めている。新聞業界からも同様の要請があったが、『新聞に軽減税率を適用して小説にはしないのか』という問題が間違いなく起きる。藤井前党税調会長らがよく言っていたのは、自民党時代は複数税率にすることでそれを利権にしたということ。つまり個別の物品税は業界のロビー活動の度合によって微妙に複数の税率があった。文化という崇高な議論がそういうことに巻き込まれていいのか。どの業界も色々な思いがあると思うが、一律10%までの当面の段階は堪えていただきたい。10%以上の別世界に入った時には軽減税率の議論を改めてしなければならない。しかし今回は出版業界にも堪えていただきたい」として、出版物に軽減税率を適用する考えはないと答えた。

書店を物販、PRの場に/軒先、空きスペースを仲介

空きスペース仲介サイト運営の軒先(東京・目黒、西浦明子社長)から書店の空きスペースの有効活用で書店組合に提案があり、同社の有馬友恵氏が日書連2月定例理事会で事業内容を説明した。
空きスペースの日貸しに関心のある書店を書店組合が軒先に紹介し、軒先はスペースの賃借を希望する法人・個人に同社サイトを通して仲介する。成約すると、スペース利用料合計金額のうち35%がシステム利用料となり、65%が貸出書店の収益となる。さらにシステム利用料の中から4%が日書連、6%が貸出書店の所属する書店組合に報酬として支払われる。
書店は駐車場スペースへの移動販売車誘致、店前での各種プロモーションや物販、店内での作品展示やワークショップ実施など未使用空間を有効活用することで集客と来店者へのサービス向上につなげるとともに、貸出料の副収入を得る。
軒先は住宅の駐車場、売り出し中の土地、建物の軒先、月極駐車場やコインパーキングなど、今まで賃貸借の対象になかった空きスペース約1200件を物販、展示、プロモーションや販促活動などの場として仲介。ユーザー数とスペース数は前年比約4倍、成約数は同約3倍と業績を伸ばしている。

万引犯罪防止機構「店内捕捉」など提言/盗品のネット競売防止呼びかけ

万引犯罪防止機構は2月7日午後2時から、千代田区の東京商工会議所会議室で、報道関係者を対象に万引犯罪防止対応策の緊急提言発表会を行った。
提言は、①マイバッグ普及に伴う万引犯罪増加への対応、②万引品処分市場対策、③万引窃盗犯の「店内確保」の推進――の3つ。同機構では昨年、万引犯罪防止のための喫緊の課題に関する社会的な建議・提案を行うことを目的に、これら3つのテーマについて審議する小委員会(略称=マイバッグ小委、処分品市場小委、店内確保小委)を総務委員会の下に設置。各小委員会がそれぞれ提言案をまとめ、1月31日に開いた臨時総会で決定した。
発表会で同機構の河上和雄理事長は、「マイバッグの中に万引した商品を入れる。ネットオークションを含めた万引品処分市場への対応。万引犯は店外に出てからでないと捕捉できないという誤った認識。この3つの問題に頭を悩ませており、それぞれ委員会を作って対策を議論した。万引の現在の状況と、3つの提言はどういう意味があるのかをお話ししたい」とあいさつ。次いで佐藤聖理事が提言の内容を説明した。
提言の①では、小売業に対し、マイバッグ使用の店内マナー順守を来店客に周知するよう求めるとともに、消費者団体、地域防犯団体、地元警察、自治体、報道機関に、マイバッグ使用マナーの普及徹底を図るよう求める。
②では、万引犯罪防止に向けてのネット事業者の努力と、流通事業者におけるITを用いた対応の推進を提言。所管省庁には、万引被害品がネット上で処分されにくい環境づくりを求める。警察当局には、被害届出時間の短縮化を要望するとともに、被害回復されていない高額商品のデータベース構築を提案する。
③は、「店内でも、万引の目的で商品を服やバッグ内に隠したり、防犯タグなどをはずしたら、その時点で窃盗罪が成立する」という判断が社会全体に根付くよう早急の対策を講じるよう提言するもの。小売業各社・団体には、店内捕捉実施の如何に関わらず、防犯ポスターや店員の声がけ等で周知するよう提案。報道機関には「万引は店内でも既遂」であることを積極的に広報することを求め、警察庁、警視庁、道府県警察、検察庁には、小売業が積極的に「店内捕捉」できるよう支援を求める。

芥川賞・直木賞/受賞の3人があいさつ

第146回芥川賞・直木賞の贈呈式が2月17日に東京・丸の内の東京會館で行われた。今回受賞したのは、芥川賞が「道化師の蝶」の円城塔氏、「共喰い」の田中慎弥氏、直木賞が「蜩ノ記」の葉室麟氏。
贈呈式で芥川賞の円城氏(写真中央)は「芥川賞という大きな賞をいただき、多くの方から感想をいただくことができた。楽しんでいただいた方も、わからない、読めないという方もあり、本当に人間とはいろいろなのだという実感を日々深めている。読みにくさは私の力不足で、今後できる限り改善していきたい」とあいさつ。田中氏(同左)は「どうもありがとうございました」の一言であいさつを終了した。
直木賞の葉室氏(同右)は、学生時代に記録文学作家の上野英信氏を訪ねたことが受賞作に大きな影響を与えていることを話し、「今回の直木賞は、文学賞としていただけた嬉しさだけではない。自分の青春の思い出に巡りあうことができた、非常に大切な受賞になった」と喜びを語った。
日本文学振興会の平尾隆弘理事長(文藝春秋社長)は「若い頃、会社の先輩に『賞はあげるものじゃない、受けていただくものだ』と教えられた。賞はさしあげると同時に、作家の方々に支えられ、育てられていくものだと思っている。受賞のお三方の一層のご健筆を祈っている」と祝辞を述べた。

読書率3ポイント減の63%/家の光協会・全国農村読書調査

家の光協会は昨年夏実施した第66回「全国農村読書調査」をまとめた『2011農村と読書』を発表した。これによると総合読書率は63%で、前回の66%から3ポイント減となり、過去最低を記録した。雑誌読書率は前年比2ポイント減少し55%、書籍読書率は4ポイント減の31%となった。
■総合読書率
総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合)は63%で前年より3ポイント下落した。性別では男性が前年比5ポイント減少して56%、女性は前年と同じ70%で、24年連続で女性の読書率が男性を上回った。
年齢別にみると20代が最も高く74%。以下、30代が70%、50代が69%、40代が67%の順となり、70代が最も低く43%だった。職業別では主婦の75%がトップ。以下、学生が74%、給料生活が67%と続き、最も低いのは無職の49%だった。
■雑誌読書率
雑誌読書率(月刊誌か週刊誌を読んでいる割合)は前年比2ポイント下がり55%だった。性別では男性が3ポイント減の49%、女性が前年と同じ61%。総合読書率と同じく女性の雑誌読書率が男性を24年連続で上回った。年齢別では20代が首位で67%、次に30代が60%、50代が59%と続き、70代が最も低く42%だった。
■月刊誌の読書状況
月刊誌読書率は前年比3ポイント減の40%。「毎月読む」が19%、「ときどき読む」が22%だった。性別では男性が5ポイント減の31%、女性が1ポイント減の49%。年齢別では20代が最も高く49%、70代が最低で32%となった。職業別では主婦が51%で首位。毎月読む割合が高いのは、年齢別では20代の25%、職業別では主婦の23%だった。
■週刊誌の読書状況
週刊誌読書率は前年比3ポイント減の34%(男女ともに同率)となった。「毎週読む」が7%、「ときどき読む」が27%。毎週読む割合は男性10%、女性5%で男性が上回る傾向が16年続いている。年齢別では20代の43%、職業別では給料生活の37%がトップ。
■書籍の読書状況
この半年間に書籍を読んだ人の割合は31%で、前年より4ポイント減少した。性別では男性26%、女性36%。年齢別では年代が上がるほど読書率が低くなり、10代の50%に対し70代は10%に落ち込んでいる。職業別では学生が断然高く60%、次いで主婦が43%。最低は農業の17%だった。
過去1ヵ月の平均読書冊数は前年より0・1冊減少して1・0冊。男性は0・9冊、女性は1・0冊だった。冊数は「1~4冊」が52%と圧倒的に高く、次いで「0冊」の22%だった。書籍を読んだ人に限定した読書冊数は4・3冊で、前年より0・1冊の減少。
■雑誌・書籍の入手法
月刊誌を読んでいる人の購入先または借覧先と入手法は、1位書店61%、2位スーパー・コンビニ36%、3位JA(農協)14%。週刊誌は1位スーパー・コンビニ50%、2位書店41%、3位美容院・食堂・病院35%となった。書籍は書店が84%で他を圧倒する。書店での入手は2003年から下降傾向だったが、今回は前年比8ポイント増と盛り返した。2位は図書館・公民館20%、3位はスーパー・コンビニ18%だった。
■1ヵ月の本代
本を読まない人も含めた本への月額支出金額構成をみると、最も多いのが「買わなかった」の48%で、前年より3ポイント増加した。購入した層の中では、千円以上2千円未満が最も多く17%、次いで5百円以上千円未満の8%。
本を買わない人も含めた全員の平均支出額は前年より412円減の820円。性別では、男性が756円(前年比776円減)、女性876円(同81円減)と男性の減少が目立った。年齢別では20代が最も高く1236円、最下位は70代の415円だった。本を買う人の平均支出額は、前年比769円減の1759円。男性は1891円で前年比1437円減、女性は1669円で同200円減少した。年齢別では10代が2257円と最も高く、低いのは30代の1532円。
■1日平均の読書時間
雑誌、書籍を問わず1日平均の読書時間は、読まない人(54%)も含めた平均時間で前年と同じ17分だった。性別では男性が16分、女性が18分。年齢別では20代が最も長く25分、短いのは70代で8分だった。なお、本を読んだ人の1日平均読書時間は前年より2分長くなり39分だった。
新聞の閲読時間は平均21分、テレビ視聴時間は157分だった。また、インターネットは24%が利用していると回答し、全体の平均利用時間は18分だった。
電子書籍端末を利用した電子書籍の読書について聞くと、「よく読んでいる」「ときどき読んでいる」人の合計は、前年と同じ2%だった。
〈調査方法〉
農林業地域に住む16歳以上79歳以下の男女を母集団とし、「層化2段無作為抽出法」で抽出した全国60地点1200人を対象に、調査員による訪問留置・訪問回収法で実施。但し、東日本大震災の影響を考慮して岩手、宮城、福島の3県は調査地点から除外した。有効回収数879、回収率73・3%。

生活実用書/注目的新刊

心理学というと人文書や専門書コーナーを連想するが、文庫や新書でも心理学のジャンルを作ることができる。人間関係に、あるいは人生そのものにつまずいた時に、人はその心理を考えようとする。雑学と一括りにしないで、単行本のようにテーマ別に仕切りをつけ、並べることで読者の足を止め、実際に売上げ増になっている書店もある。
ライフ・エキスパート編著『面白いほどよくわかる不思議な心理学』(河出書房新社夢文庫K930543円)は、心理学のキーワードに添って心の迷いを解明する。
最初は、二人の間の感情が見える心理学。なぜ、何度も会ううちに好意を持ってしまうのか?アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスは女子大生を使った実験を試みる。会う回数の多かった相手ほど好意度が増すのである。これは「単純接触効果」と呼ばれる心理。ただし、第一印象が悪いと会うたびに、ますます嫌いになってしまうという。
人をもてあそぶマネーの心理学では、高級ホテルのビールは高くてもなぜ財布の紐を緩めるのか?ビールはどこで買おうと同じモノなのだが、ホテルというブランドで価値が高くなる。その「威光効果」が働くために人は高いビールを納得し買ってしまう。
さらに、無意識の行動や、迷走する心、集団心理の謎を解く全5章67の設問がある。
渋谷昌三監修/岡崎博之編著『ぜったい誰かに話したくなる心理学100題』(宝島SUGOI文庫Dし―1―2600円)も心理学のキーワードで人の心を探求する。
こんなことまで心理学でわかる!パート1。ヤキモチの強い人ほど浮気願望が強い。ある人から自分が信頼されていないと思った時、その思い込みは実は自分がその人を信頼していないからだという。受け入れがたい感情があるとそれを自分の中から排除して他人のモノとみなそうとする「投射(投影)」心理が働く。
投射は心の安定を保とうとする「防衛心理」でもある。
恋人の心を知りたい、同僚や上司の心を知りたい、と続いてパート4は心理学で社会のしくみが読み解ける!。10%のポイントは、実際は約9・1%の割引率にしかなってていない、というように人は簡単に数字に惑わされるなど100の設問に答えている。
(遊友出版・斎藤一郎)

青年マンガ部門が加わりパワーアップ/電撃コミックGP

アスキー・メディアワークスが主催する「第13回電撃コミックグランプリ」の贈呈式が1月27日に都内のホテルで開かれた。
電撃コミックグランプリは今回から青年マンガ部門を新設、少年マンガ、少女マンガ両部門と合わせた選考本数324作品の中から受賞作を決定。少年マンガ部門は準グランプリ1点、優秀賞1点、奨励賞1点、少女マンガ部門は準グランプリ1点、奨励賞3点、青年マンガ部門は準グランプリ1点、優秀賞1点、奨励賞1点が受賞した。
贈呈式であいさつしたアスキー・メディアワークスの髙野潔社長は「電撃コミックグランプリは青年マンガ部門が加わってさらにパワーアップした。残念ながらグランプリは出なかったが、全体的にレベルアップしていると感じる。今年当社は創立20周年を迎え、コミック部門も新しい企画を考えている。皆さんの活躍する場はいっぱい用意しているので、一緒に世の中を驚かせるようなコミック作品を送り出していこう」と激励した。

読書アドバイザー受講生97名が修了/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)が主催する第19期読書アドバイザー養成講座の修了式が1月30日に新宿区の日本出版クラブ会館で行われた。
第19期の修了生は97名。主催者を代表して肥田美代子理事長は「昔は読書は趣味だったが、東日本大震災で、読書は生活の一番大切な部分にあることが分かった。皆さんにはその読書の大切さをこれから伝えていく大変大きな役目がある。読書アドバイザー養成講座の修了生は日本中で活躍している。ぜひ先輩たちと一緒に、この国がもっと『言葉の力』をつけて知的な国となるように力を貸してほしい」とあいさつした。
来賓として日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長、日本出版取次協会の山﨑厚男会長、日書連の大橋信夫会長があいさつ。大橋会長は「店頭では『何を読んだらいいか分からない』というお客様が多い。そういう方に、方向性を示してあげることが大事だと思っている。出版業界は日々大変な数の新刊が出ているが、その中の一握りでいい。皆さんの知識で自信を持ってお薦めいただきたいと思う」と祝辞を述べた。
この後、肥田理事長から修了生を代表して福島市在住の長岡由江さんに修了証が授与された。

語学テキスト6誌を創刊/NHK出版春の企画説明会

NHK出版は2月6日午後2時から、新宿の京王プラザホテルで首都圏の書店を対象とした「春の企画説明会」を開催した。
説明会の冒頭で、NHK出版の溝口明秀社長があいさつ。NHKのテレビ番組「100分de名著」のテキストが、年間10冊で年度末までに80万部に達しそうだと述べ、「大震災以降、いかに生きるべきかについて、皆さんが心情的な変化を持ったことで、番組とテキストが受け入れられたのではないか」と語った。
また、「今年のテキストは、特に語学でNHKとコラボレーションする」として、昨秋開始したNHKラジオ番組のネット配信サービス「らじる★らじる」を紹介し、「スマホでもラジオ講座が聞けるので、読者に訴える大きな材料になる」と述べた。さらに、4月から『NHKオンデマンド』で語学講座を3番組配信することを紹介、「こうした環境整備も踏まえ、読者の暮らしと人生の一助となるよう良質な出版物を出していく」と結んだ。
続いて荒井正之販売部部長は直近の業績について、「語学テキストは順調に推移し、実売部数は前年比104・2%。特に『テレビでハングル講座』は126・6%と2年連続120%を超えた。英語テキストも全体で101・6%と前年を上回る見込み。一方、家庭テキストは厳しい状況で、全体で前年比90%を割る見込みだ」と報告した。
12年度の販売については、「店頭での声かけが非常に有効。定期購読獲得への積極的な活動と、お客様に『テキストをもう1冊いかがですか』と声かけをお願いしたい」と要請した。
このあと、テキスト、書籍の企画と販売促進計画が各担当者から説明された。
語学テキストは、英語講座が『おとなの基礎英語』『テレビで基礎英語』『英会話タイムトライアル』を創刊。アジア言語では『レベルアップハングル講座』『レベルアップ中国語』『テレビでハングル講座書いてマスター!ハングル練習帳』を創刊する。
家庭テキストは『きょうの料理』が表紙を変更。趣味・教養テキストは『趣味工房』が『趣味Do楽』に変わる。また『仕事学のすすめ』『資格☆はばたく』は休刊となる。
書籍は『ThinkDifferent(仮)』(5月25日発売)や、NHK「100分de名著」ブックス『ドラッカーマネジメント』『孔子論語』(2月25日発売)などの説明があった。

志ん朝のCDブックなど3点/河出書房新社の12年度上期企画

河出書房新社は1月27日、本社で2012年度上期の企画説明会を開き、『CDブック古今亭志ん朝大須演芸場』をはじめ『古井由吉自撰作品(全8巻)』『調べてナットク!みんなの博物館(全5巻+別巻)』の3点を発表した。
『CDブック古今亭志ん朝大須演芸場』は、日本一客が入らないと言われた名古屋の大須演芸場で、席亭の心意気に感じ入った志ん朝が1990年から99年まで行った独演会59席を収めたもの。すべて初出音源で、「中村仲蔵」など初CD化の演目も8席収録。発売は6月予定。体裁は愛蔵本(B5判・96頁)1冊とCDブック(B5判・CD10枚組)3冊の計4冊ケース入り。初版特典に90年代の本編未収録口演2席のCD、予約特典に80年の口演2席のCDが付く。予価4万2千円(税込)。初版6千部を予定。
『古井由吉自撰作品(全8巻)』は、デビュー当時から最近の作品まで著者自ら厳選した18作品を収録。作家生活は40年に及び、今でも1万部の固定読者を持つ古井氏だが、8割の作品が入手困難な状況になっていた。そこで芥川賞を受賞した「杳子」などを古井氏自らが厳選した。また、最近は30~40代の若い読者が付いてきていることから、各巻解説に平野啓一郎、角田光代、町田康の各氏らを起用。投げ込み月報は書き下ろし「半自叙伝」を掲載。刊行は3月から開始し、以降毎月配本。四六寸伸判・二段組・平均388頁。第1巻は刊行記念特価本体2600円(9月末日まで。以降3600円)。全巻揃本体2万6200円(9月末日まで。以降2万7200円)。全巻予約特典として著者自筆サイン色紙贈呈。販売促進費は定期1セットにつき5%。締切は3月末日。販売目標4千部。
『調べてナットク!みんなの博物館(全5巻+別巻)』は、小学校高学年以上を対象に、全国の博物館にスポットを当て、これまでにない切り口で作られた調べ学習の参考書。発売は4月上旬。A4変形判・オールカラー・各巻80頁。セット定価本体1万8000円。分売可・本体3000円。販売促進費は、3~4セット=3%、5~9セット=5%、10セット以上=7%。締切は3月末日。販売目標4000セット。

仙台で読育&食育のコラボイベント/石巻の子どもたちを招待/絵本・日本プロジェクト

文字・活字文化推進機構(肥田美代子理事長)の「絵本・日本プロジェクト」は2月22日、仙台市で3月20日に開催する「よむよむ・もぐもぐ広場in仙台」のイベント内容について記者会見を行った。
「よむよむ・もぐもぐ広場」は、子どもに絵本と食の楽しさを伝えようと、出版業界と食品業界が「読育」「食育」のコラボレーションを図ったイベントで、仙台での開催は、東京、福岡に次いで3ヵ所目。日本児童図書出版協会や宮城県書店商業組合、宮城県内外の食品会社など、多くの団体・企業が協力する。
会見には肥田理事長と絵本・日本プロジェクトの髙橋小織会長(BOOKS隆文堂)、加藤真由美事務局長(トーハン)が出席。高橋会長は「3回目は東日本大震災の被災地で開きたいという考えがあった。イベントには石巻の子どもたちを招待する。〈大震災〉出版対策本部に送迎バス等の費用でご協賛いただけることになった」と話し、続いて加藤事務局長がイベント内容を説明した。
「よむよむ・もぐもぐ広場in仙台」は3月20日(火)午前10時から午後4時まで仙台市青葉区のTKPガーデンシティ仙台(AER21階)で開催。絵本作家のおはなし会・サイン会や、協賛企業各社による体験イベント、絵本販売など盛りだくさんの内容で、入場無料(要・招待券)。書店店頭などで配布するチラシや専用サイトで申し込む。幼児・小学校低学年の子どもと親を中心に約8百人の来場を見込んでいる。

講談社、5年ぶり営業黒字に/6月から紙と電子の同時刊行態勢へ

講談社は2月20日に定期株主総会を行い、総会終了後、報道関係者に平成23年度決算概況並びに役員人事を報告した。
講談社の第73期決算(平成22年12月1日~23年11月30日)は売上高が1219億2900万円で、前年比99・7%。内訳は雑誌748億3400万円(同95・0%)、書籍279億2600万円(同105・0%)、広告収入81億5600万円(同88・3%)、その他84億1500万円(同108・7%)、不動産収入25億9600万円。雑誌の内訳は、雑誌207億5500万円(同96・1%)、コミック540億7800万円(同94・6%)。前期まで営業外収益に計上していた不動産賃貸収入を、同期から売上高に計上した。
利益面では、雑誌編成の見直しや調達コストの削減により製造原価が低下したことと、コミックの単行本など原価率の低い製品の売上構成比が上がったことなどで売上原価率が低下。また編集費、宣伝費を中心に大幅な経費削減を進めた結果、営業利益は2億円と5年ぶりに利益計上した。税引前当期純利益は7億2500万円、当期純利益は1億6400万円となった。
同日会見した野間省伸社長は、デジタル事業について言及し、6月から著者の許諾が得られたすべての新刊について、紙の刊行と同時にデジタル配信できる態勢を整えると述べた。ただし実際に同時刊行するタイトル数や価格設定等は未定だとして、「同時刊行が著者や我々にとって利益最大化につながるのかはまだわからない。マーケティングプランを考えながらやっていくので、ものによって発売時期は同時かもしれないし、遅れるかもしれない。試行錯誤しながら適切なデジタル事業の姿を追及していきたい」と述べた。
決算概況を説明した金丸徳雄取締役は、今期の課題について「収益体質をより強固なものにすることを最優先課題に位置付ける。売上高の確保、売上率の改善を図るとともに、長期的な安定成長を実現するために、伝統を守りつつ新しい分野を創造する、新たな時代の出版社像を引き続き模索していく」と述べたほか、国内出版市場でのシェア拡大と、デジタル化、国際化の推進を中期テーマに掲げた。
役員人事は、山根隆常務が専務、清水保雅、鈴木哲両取締役が常務に昇任。新取締役に渡瀬昌彦氏が就任した。キングレコード社長の重村博文氏は非常勤取締役に新任。横山至孝氏は退任し顧問に就任した。