全国書店新聞
             

平成29年10月1日号

万引本、フリマアプリに大量出品/被害にあった平惣・平野社長「放置できない、死活問題」/日書連理事会

『週刊新潮』8月31日号の「メルカリは泥棒市場だ万引き本800冊出品でも放置!」と題した記事で、日書連・平野惣吉理事(徳島)が経営する書店「平惣」で大量の新刊本が万引され、フリーマーケットアプリ「メルカリ」に出品、転売された事案が掲載された。日書連(舩坂良雄会長)が9月14日に東京・千代田区の書店会館で開いた定例理事会で報告した平野理事は、普通の万引ではなく、大量に万引してメルカリで転売する、いわゆる「メルカリ万引」は書店にとって放置できない死活問題と述べ、万引撲滅へ強い決意を示した。
[万引問題]
『週刊新潮』の記事によると、「平惣」の徳島県内3店舗で大量の万引被害があり、その後、万引されたとみられる商品がメルカリに大量出品されていることを同社従業員が発見。出品者は徳島県在住の女性。従業員が試しに1冊購入したところ、女性の名前で商品が届き、万引犯を特定。警備を強化して女性をマークした結果、万引現行犯逮捕に至った。その後、犯人の自宅を捜索すると大量の新刊本が積まれてあった。被害は少なくとも795点、約110万円にのぼるという。
理事会の席上、「平惣」の社長で徳島県書店商業組合理事長、日書連理事を務める平野惣吉氏は「大量万引被害は書店にとって死活的な問題。盗品を大量に転売することを放置しているメルカリは泥棒市場と言われても仕方がないのではないか。単なる万引だとすぐに釈放されて万引を繰り返すが、今回は大量に万引してメルカリで転売していた。被害額110万円のほかに弁護士、万引Gメン、防犯カメラなどのコストもかかっている。被告女性を絶対に許すことはできない」と述べ、裁判で余罪も含めて徹底的に責任を追及すると強調。「たかが万引ではない。泥棒市場をこのまま放置することはできない。万引の撲滅に向けて頑張る」と決意を語り、全国の書店に応援してほしいと呼びかけた。
[政策委員会]
書店粗利益30%獲得を目指す運動について、舩坂良雄委員長は「売上不振が続く中、書店だけでなく出版社も厳しい。そんな中でも何とか粗利益30%を獲得できる形を作りたい。日書連という全国組織を有効活用し、日書連が中心となって本の仕入、増売を行い、報奨金やバックマージンによって粗利益を拡大するやり方を模索したい」との考えを示した。
常設委員会編成と外部団体への派遣委員(次号掲載)を決定。平成30年度理事会日程案を承認した。また、本の学校が11月3日に東京・神保町の専修大学キャンパスで開催する第12回「本の学校産業シンポジウム2017in東京」を協賛することを承認した。
[指導教育委員会]
要望書「書店経営の環境改善に向けた取り組みのお願い~『全国小売書店経営実態調査報告書』の分析から~」を持って、10月~11月にトーハン、日販、書協、雑協を舩坂会長、鈴木喜重委員長らで訪問。各社・団体のトップと話し合い、①書店粗利益の拡大、②客注品の確実迅速化、③取次システム利用料の軽減、④配本の適正化――の4点について取り組みを要望したいとの考えを鈴木委員長が示した。
その後、各社・団体に担当者を決めてもらい、問題解決のための実務者会議を継続的に開いていきたいとした。
[流通改善委員会]
「雑誌発売日諸問題解決に向けた対応のお願い」と題した要望書を9月20日付で雑誌発売日励行本部委員会に提出すると藤原直委員長が報告した。日書連は平成10年から毎年、同本部委員会宛の要望書を出している。今回の要望事項は以下の8項目。
①全国同時発売を目指して、発売日格差の解消に努めていただきたい。まずは、全誌とも3日目地区(北海道ならびに九州地区)を2日目地区に繰り上げるご努力を願いたい。②沖縄地区の「週刊誌航空輸送」の早期実現に向けて、格段のご尽力を賜りたい。③年間購読など、出版社が読者に販売する雑誌の着荷日については、該当地区の発売日に合わせた調整を願いたい。また、dマガジンの配信についても同様のご配慮をいただきたい。④次号発売告知の際に、地方の発売日遅れの現状を勘案して「一部地域遅れ」の注意書きのご努力を願いたい。
⑤「雑誌発売日励行に関する協約」と「契約」の普及と「正しい理解」の啓蒙を促進するために、強力な指導力を発揮願いたい。特に、悪質な違反に対しては視覚の取り消しを含めた厳格な対応を願いたい。⑥読者目線に立って合併号を廃止し、年間を通してレギュラー発売が出来るようなシステムを構築していただきたい。⑦「週刊朝日」「サンデー毎日」の同一地区、同時発売に向け、関係各位の格段のご努力を願いたい。⑧休配日等の日程決定に際しては、書店側の意向も反映されるよう検討願いたい。
また、日本出版取次協会と日本雑誌協会から「土曜休配日に関するアンケート」への協力依頼があった。今後、土曜休配日は増やしたほうがいいか、減らしたほうがいいか、またその理由などを問うもの。
出版輸送を取り巻く環境の悪化を考慮し、本年度の土曜休配日は13日と前年度の5日から大きく増えた。来年度の発売日カレンダー作成を含めた抜本的な輸送改革を始めている取協と雑協は、販売の最前線にいる書店の意見を集約して今後の検討材料にしたいと、アンケート実施の意図を説明している。
これを受け、各都道府県組合にアンケート用紙を10枚ずつ渡し、組合所属の書店に配布することとした。
[組織委員会]
受注生産で製作する日書連のオリジナル手帳「ポケッター18」は、8月20日の締切までに3万5500部の申込があり(前年は4万1100部)、これに基づき販売価格を決定した。締切日以降の申込及びキャンセルはできない。11月中旬頃、取引取次より配送。
中山寿賀雄委員長は「製作部数が4万部を割り込んだ。一部当たり製作コストが大幅に上がり、採算が合わない。苦渋の決断だが、ポケッターの斡旋は今回の18年版をもって中止したい」と諮り、承認された。
各都道府県組合の加入・脱退状況は、6月期が加入なし・脱退11店で差し引き11店純減、7月期が加入2店・脱退22店で同20店純減、8月期が加入なし・脱退10店で同10店純減。これにより、8月末現在の日書連の推定所属員数は3410店になった。
[読書推進委員会]
西村俊男委員長は、今秋実施する「読書週間書店くじ」の申込枚数が対前年比88・2%にとどまったと報告。「春の書店くじ」も申込枚数が減少しているため、春と秋の書店くじの活性化に向けた取り組みを今年度の最重要課題とする方針を示した。西村委員長は「書店くじをたくさん買ってもらうにはどうしたらいいか、知恵を出し合っていきたい」と述べ、積極的にアイデアを出してほしいと呼びかけた。
[広報委員会]
面屋龍延委員長が、全国書店新聞2018年1月~12月の刊行スケジュールについて、従来通り月2回(1日・15日)刊行すると説明した。
また、消費税問題について報告した。
[書店再生委員会]
日本雑誌協会・次世代雑誌販売戦略会議(井上直議長)との意見交換会を7月7日、取引改善委員会(柴﨑繁委員長)と合同で書店会館で行ったと本間守世委員長が報告した。
意見交換会には、日書連側から柴﨑委員長、本間委員長、元永剛・出版物小売業公正取引協議会専務理事、雑協側から井上議長、梶原治樹副議長、江刺卓店頭定期&取り置きサービス促進チームリーダー、高橋憲治専務理事補佐が出席。
雑協が雑誌の店頭取り置きキャンペーンを最初に岩手・さわや書店、続いて同・東山堂で実施したことについて、「実施にあたっては日書連、実施店舗のある県組合および近隣書店に事前告知するなど一定のルール作りが必要との考えを伝えた」と述べた。

平成30年度日書連理事会等日程

▽30年4月=委員会18日・理事会19日▽同5月=委員会16日・理事会17日・公取協総会17日▽同6月=委員会20日・理事会21日・通常総会21日▽同7月=休会▽同8月=休会▽同9月=委員会19日・理事会20日▽同10月=休会▽同11月=休会▽同12月=委員会12日・理事会13日・年末懇親会12日▽31年1月=休会▽同2月=委員会13日・理事会14日▽同3月=休会

月刊誌“とって置き”キャンペーン「店頭活性化のための企画」/雑協次世代雑誌販売戦略会議・井上議長が趣旨を説明

日本雑誌協会・次世代雑誌販売戦略会議の井上直議長(ダイヤモンド社)が9月14日の日書連定例理事会に出席。同協会主催「月刊誌〝とって置き〟キャンペーン」の説明を行った。
次世代雑誌販売戦略会議は、20~40代前半までの若手メンバーが集まり、これから先の新たな雑誌販促やプロモーション策を検討・実施する会議。出版社と取次から17名が参加し、「単号売り伸ばし促進チーム」「店頭定期&取り置きサービス促進チーム」「雑誌価値発信チーム」の3チームに分かれ、「雑誌時限再販」キャンペーンへの協力、「年末年始特別発売」の活性化、「店頭取り置き定期」推進のための企画立案、ツイッターなどソーシャルメディアを用いた「雑誌の魅力・価値」の発信、書店との雑誌販売に関する意見交換会などの活動を行っている。
同会議発足の意図について、井上議長は「20~40代はこれから数十年、紙の世界で生き残っていかねばならず、大きな危機意識を持っている。何としても紙の雑誌を残していきたい。そのために若手の意見を雑協の中に取り入れてほしいと考えた」と話し、「出版社の論理だけで動かず、必ず書店現場の意見を取り入れる。全国一律にこだわらず、積極的な者同士で率先して動きたい」と活動指針を説明した。
「月刊誌〝とって置き〟キャンペーン」については、昨年まで17年間続けてきた「年間定期購読キャンペーン」に代わる新たな販促施策と位置付け、「年間定期購読キャンペーン」との違いを「財布のひもが固い今の時代に、一括で1、2万円を消費者に支払ってもらうのは厳しい。今回のキャンペーンは、店頭での都度払いによって取り置きしてもらう仕組みのため、ハードルも低く、書店への来店頻度を向上させることができる」と説明。店頭取り置きを推進し、店頭活性化に役立つ企画であることを強調した。
期間中に全国の参加書店店頭で定価500円以上の対象誌60誌を購入し、次号からの取り置きを希望する新規購読者にスタンプカードを配布。同一誌を5号連続で購入し、5つスタンプがたまった読者に図書カード500円分を進呈するもの。スタンプカード配布期間は10月1日~11月30日。なお、外商や配達分は対象とならない。
日書連の舩坂良雄会長は「次世代雑誌販売戦略会議は様々な新しい試みを検討している。今回のキャンペーンは書店店頭に客を呼び戻すことが趣旨。読者獲得の観点から見ていい企画」と前向きな見解を示した。一方、出席理事から「全国の書店に対する事前告知が不十分。取次から案内が来ていない中小書店が多い」「図書カードの書店立て替え分の精算に時間がかかる」など方法論や手順を問題視する意見が出たため、舩坂会長は善処するよう井上議長に求めた。
井上議長は書店への案内が不十分だったことを反省し、「街の本屋さんが参加しやすいよう、あえてポイントバックではなくスタンプカードにした。本来、日書連を中心として、中小書店に参加していただくため考えた企画」と述べ、理解と協力を求めた。

「春夏秋冬本屋です」/「1万時間の法則から」/福島・高島書房代表取締役・髙島瑞雄

覚えておいでだろうか?『天才!成功する人々の法則』(マルコム・グラッドウェル、講談社刊)。8年前のビジネス書だが、売れ始めた直後に、サンプリングの問題や、練習の取り組み方や質が指摘され、説得力を欠き、売り上げが失速した。
しかし、その言わんとする事には共感する。
漠然と1万時間というが、書店員が1日8時間、年間250日の勤務で2千時間。5年で、その1万時間となる。つまり正社員が通常の勤務で、指導者が通常に教えていけば、書店業界の一人前になると考えれば、合点がいく。1日4時間のパートでは、10年かかる。売上が減り、経営が厳しくなるとローコスト経営に走(趨)りがちである。結果、店頭における質の低下が問題となってくる。
本屋好きな読者は、検索機で本を探したいのではなく、書店人というプロと話がしたくて、本屋に足を運ぶのだろう。しかし、現実には驚愕の珍回答で目をまわす。書店人の質の低下が、読者の書店離れの一因ではないかと、著者は疑っている。
書店は業態というよりは業種として機能しており、その知識を必要とされていると考える。
近年米国では、大手チェーンが倒産あるいは衰退しているが、独立系書店(インデペンデント)が息を吹き返し、元気だ、と話題になっている。
明日のために、1万時間をかけてみませんか。

「読書週間」10月27日から/日書連は「書店くじ」実施

恒例の秋の行事「読書週間」(読書推進運動協議会主催)が10月27日から11月9日まで実施される。
今回のポスターのイラストは、有賀千華さん(大分県)の作品が選ばれた。「人との出逢いと同じように、自分が見ている世界の見え方が変わるなどといった影響を受けたりして、本との出逢いにも運命を感じるようなことがあると思います。そんな本との出逢いを楽しんでほしいと思います」と語っている。
標語は三浦和也さん(小学館)の「本に恋する季節です!」。「本に親みを持つ人々が少しでも増えてほしいと願い、標語をつくりました。とくに『恋』という言葉を使うことで、若い世代の目にとまればいいなあ、本の世界にときめいてくれるといいなあ、と考えました」と標語に込めた思いを語っている。
また、日書連では読書週間に合わせて「読書週間書店くじ」を実施するにあたり、店頭掲示用ポスターを作成した。ポスターは日書連ホームページからファイルをダウンロードして印刷する。
※書店くじの申し込みは8月20日で締め切っています。締切日以降の申し込みはできません。

第2回どえりゃあ書店大商談会/日本ど真ん中書店大賞も同時開催

「日本ど真ん中書店会議~第二回どえりゃあ書店大商談会」が9月7日、名古屋市千種区の名古屋市中小企業振興会館(吹上ホール)で開催。出版社150社がブースを出展し、書店員353名が参加。商談や情報交換を活発に行った。愛知、岐阜、三重の各県書店商業組合が中心となって構成する同実行委員会が主催。
オープニングセレモニーで春井宏之実行委員長(愛知県書店商業組合理事長)は「何もしないで本が売れる環境ができることはこの先もうない。自分たちの手で何かを起こし、発信していくことをやっていかなければならない。読書推進は商業者も公的な立場の人も同じ考えのはずだが、今は皆がばらばらに動いていて、横でつなぐ努力をしている。それが形になれば本はまだまだ売れる」とあいさつした。
続いて、「日本ど真ん中書店大賞」の授賞式を行った。この賞は東海3県の書店員、図書館員が読者に届けたい本を選び、書店店頭を盛り上げるため、今回新たに創設されたもの。「小説」「時代・歴史」「よりよい暮らし」の3部門を設け、300名を超える投票の結果、それぞれ入賞作を決定した。
同賞事務局の高須大輔代表(豊川堂)は「書店として読者に自分たちが選んだ本を自分たちで届けることを徹底的にやっていけば、地域の読書環境は確実に大きくなる。日本のど真ん中から情報発信して、お客様に楽しんでいただける賞にしたい」と意気込みを語った。
名古屋駅西の喫茶店を舞台にした作品で小説部門3位になった太田忠司氏は「名古屋の喫茶店は子供の頃から親しんできたが、大きくなってから名古屋の喫茶店が東京や大阪とは違う独特の文化を作っていることが分かり、そのギャップの面白さを知ってもらいたくて書いた」と述べた。
よりよい暮らし部門2位の津端英子氏は「65年間、大好きな家で、畑仕事、織物、食べることを楽しくやってきた。賞をいただき深く感謝する」と述べた。
時代・歴史部門1位の和田竜氏は「直木賞など、これまで賞にことごとくはねられてきた。日本ど真ん中書店大賞の第1回に選んでいただき感謝している」とあいさつした。
受賞作は以下の通り。
【小説部門】
1位『か「」く「」し「」ご「」と「』(住野よる、新潮社)、2位『蜜蜂と遠雷』(恩田陸、幻冬舎)、3位『名古屋駅西喫茶ユトリロ』(太田忠司、角川春樹事務所)
【時代・歴史部門】
1位『忍びの国』(和田竜、新潮社)、2位『関ヶ原』(司馬遼太郎、新潮社)、3位『清須会議』(三谷幸喜、幻冬舎)
【よりよい暮らし部門】
1位『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子、小学館)、2位『あしたもこはるびより』『ひでこさんのたからもの』(津端英子、津端修一、主婦と生活社)、3位『つくおき』(nozomi、光文社)

第4回料理レシピ本大賞/料理部門は光文社が2連覇、お菓子部門はマガジンハウス

書店員有志を中心に組織する「料理レシピ本大賞inJapan」実行委員会は9月12日、東京・文京区の東京ドームホテルで第4回受賞発表会を開催。料理部門は『世界一美味しい煮卵の作り方』(はらぺこグリズリー、光文社)が大賞に輝いた。光文社は2年連続の受賞。お菓子部門は『白崎茶会のあたらしいおやつ小麦粉を使わないかんたんレシピ』(白崎裕子、マガジンハウス)が大賞。
今回は出版社57社、163点がエントリー。全国124名の書店選考委員、料理専門家10名から成る特別選考委員による選考の結果、料理部門大賞7点(大賞1点、入賞6点)、お菓子部門1点をはじめ、ジャンル賞として新設した専門料理賞1点、絵本賞1点、エッセイ賞1点、コミック賞1点、協賛の大日本印刷(DNP)が選考したDNP賞1点が決定した。
発表会では加藤勤実行委員長(ブックスタマ)、大日本印刷・窪田聡執行役員があいさつ。第1回から特別アンバサダーを務めるお笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆき氏が、各受賞作品の著者と出版社に表彰状と記念品を手渡した。
手間もお金もかけない「ひとり飯」のレシピ本『世界一美味しい煮卵の作り方』で料理部門の大賞を受賞したはらぺこグリズリー氏は「お金を払って買ってくれた読者に絶対損をさせたくない。100人が作って100人が美味しいというレシピを作ろうと思った」とあいさつした。
小麦粉、卵、バター、砂糖を使わない洋菓子のレシピ本『白崎茶会のあたらしいおやつ小麦粉を使わないかんたんレシピ』でお菓子部門大賞を受賞した白崎裕子氏は「レシピ本を一生懸命作っても、同じレシピが半年ぐらいでネットやSNSにアップされ、本の価値がなくなってしまう。レシピを仕事にするのは難しいと悶々と考えていたところ賞をいただくことができて、これでしばらく頑張れる」と喜びを語った。
舩坂良雄実行委員会顧問は「受賞作は平積みにして自信をもってお客様に薦められる。全国の書店がコーナー展開できるよう増刷を」とあいさつした。
受賞作は次の通り。
【料理部門】
▽大賞=『世界一美味しい煮卵の作り方』(はらぺこグリズリー、光文社)
▽入賞=『300万人に支持されたオレンジページnetのBESTおかず』(オレンジページ)、『デリおき毎日カンタン!作りおき洋風惣菜』(依田隆、秀和システム)、『藤井恵さんの体にいいごはん献立』(藤井恵、学研プラス)、『全部レンチン!やせるおかず作りおき』(柳澤英子、小学館)、『僕が本当に好きな和食』(笠原将弘、主婦の友社)、『小林カツ代の永久不滅レシピ101』(小林カツ代、主婦の友社)
【ジャンル賞】
▽専門料理賞=『新装版包丁の教科書』(野﨑洋光、新星出版社)▽絵本賞=『おばけのてんぷら』(せなけいこ、ポプラ社)▽エッセイ賞=『あしたも、こはるびより。』(つばた英子、つばたしゅういち、主婦と生活社)▽コミック賞=『真夜中ごはん』(イシヤマアズサ、宙出版)▽DNP賞=『三陸わかめと昆布浜とまちのレシピ80』(婦人之友社編集部、婦人之友社)
【お菓子部門】
▽大賞=『白崎茶会のあたらしいおやつ小麦粉を使わないかんたんレシピ』(白崎裕子、マガジンハウス)

2つのテーマで研修会開く/熊本組合第30回通常総会

熊本県書店商業組合は8月25日、熊本市のANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイで第30回通常総会を開き組合員41名(委任状含む)が出席した。
総会の冒頭、長﨑晴作理事長があいさつを行い、日頃からの組合活動に対して御礼の言葉を述べた。総会は議長に長﨑理事長を選任して議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算報告、平成29年度事業計画案、予算案等全ての議案を原案通り承認可決した。また役員補充選挙で木村理人氏(明屋書店金龍堂)を新理事に選任した。
第2部研修会では、日本出版産業企業年金基金業務部長の津久井隆氏を講師に招き、「出版企業年金について」をテーマに研修を行った。また研修会パート2では、熊本地震被災エッセイを描く熊本在住の漫画家・ウオズミアミ氏が講演を行い、地震発生当時の生々しい状況等について話した。
第3部懇親会も和やかな雰囲気の中行われ、宮崎副理事長の閉会の辞で終了した。(宮崎容一広報委員)

吉田徳一郎理事長を再選/経営環境改善、万引防止など推進/滋賀総会

滋賀県書店商業組合は8月29日午後2時半から、守山市のライズヴィル都賀山で第34回通常総会を開催。組合員47名(委任状含む)が出席した。
総会は脇坂仙也理事(脇坂書店)の司会で始まり、吉田徳一郎理事長があいさつ。「書店組合の役割として書店経営環境の改善にも取り組んでいる。最近増えてきたのが換金目的での万引きだ。ある新古書店に発売後何日以内なら幾らで買い取ると張り出されていたので、警察関係の会議で苦言を呈したら掲示されないようになった。万引防止のポスター『隠したら店を出ずとも窃盗犯!』を配布したので、被害を防止するために有効に活用してほしい。また他県組合の取り組みを参考として、県の中小企業団体中央会にも協力いただき、福祉団体へ県内だけで使える図書カードを送ったり、子どものいる場所へ本を送る運動に取り組んでいきたい」と述べた。
続いて山田康義副理事長を議長に選出して議案審議を行い、平成28年度事業報告、収支決算報告、平成29年度事業計画、収支予算などの議案を原案通り承認可決した。任期満了に伴う役員改選では理事13名、監事1名を選出。終了後に行われた理事会で、吉田徳一郎理事長(ヨシダ書店)、上田聡幸副理事長(三信堂)、山田康義副理事長(山田耕雲堂)、平井浩専務理事(文平堂)を再選した。
総会終了後、法藏館統括(編集長兼務)の戸城三千代氏が「真宗王国・滋賀県と仏教書」と題して講演。法藏館の概要、読書家のお坊さん、法藏館の書籍はどんな売れ方をしているのか、滋賀県下のリアル書店の存在意義など、具体的な話を聞いた。
懇親会場に移動し、京都新聞社「第46回お話を絵にするコンクール」の表彰式を開催。続いて中央会、輸送会社、取次、出版社を交えて懇親会を行い親交を深めた。
(岩根秀樹広報委員)

出版功労者顕彰会/10月6日出版平和堂で

昨年1年間に亡くなった出版人を偲ぶ「第49回出版功労者顕彰会」(日本出版クラブ主催)が10月6日(金)正午から、神奈川県箱根町の出版平和堂で営まれる。新たな顕彰者は次の各氏。
▽出版社=朝倉邦造(朝倉書店)佐藤光市(ホビージャパン)今井勲(少年画報社)齊藤發司(リイド社)清水勝(河出書房新社)岩佐豊(ダイヤモンド社)▽書店=影山稔(丸越書店)高橋千尋(ザ・本屋さん)赤羽好三(凌雲堂)八田哲彌(文誠堂書店)森實(栃木県教科書供給所)

組合書店による図書館納入を陳情/公明党大阪府本部を訪問/大阪組合

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は、公明党大阪府本部を訪問し図書館納入問題について陳情を行った。
9月11日、大阪市西区の公明党大阪府本部会議室にて「政策要望懇談会」が開催され、大阪選出の衆参国会議員、大阪府下自治体議会議員が多数出席。組合からは面屋理事長、深田・萩原・堀各副理事長、田上図書館委員長が出席した。
面屋理事長は、初めに消費税の軽減税率問題について公明党の山口代表に面会し、陳情の趣旨を理解いただいたことに感謝の言葉を表明。書店組合の概要と、大阪組合で13年間取り組んでいる「本の帯創作コンクール」への小学生の応募が毎年1万人を超えることや「読書ノート」活動で大阪の子どもたちへの読書推進を行っていることを話した。
続いて、活字文化議員連盟の勉強会の内容や、今年2月1日に開催した「日書連近畿ブロック会」における日本書籍出版協会(書協)相賀昌宏理事長の、図書納入について総合評価方式による入札の活用や、地元書店が利益を受けられる方法に関する発言などを紹介。次に、大阪府立・市立中央図書館の納入を、太刀打ちできない入札制により東京資本が独占し、利益が東京に集中して地元に循環せず地元書店の疲弊を招いていること、また大阪市立小中学校図書館の納入について地域の書店の受注が難しくなっていること、町の書店の経営状況並びに全国の図書館納入のアンケート結果などを日書連の経営実態調査のグラフを示して説明した。
深田副理事長からは、公共図書館に平成21年まで納入していたこと、大阪市立小中学校図書館では値引き入札が前提でランダムに3書店に、図書の装備をした上で歩引き率の見積もり合わせしている実態と納入の実例を挙げて直面している問題点を説明し、組合員書店による納入を陳情した。
これに対し石川博崇公明党大阪府本部代表代行(大阪選出参議院議員)から「入札方法については、相賀書協理事長の言葉にあるように、総合評価方式を活用して、入札の仕様書に条件を盛り込むことは可能」と発言があった。そして、「今後市議会議員団と相談し、石川事務所を通して市議会に働きかけをする。別途書店組合と相談をしていく」との見解が示された。
(石尾義彦事務局長)

雑協キャンペーンへの参加を承認/大阪理事会

大阪府書店商業組合は9月9日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
庶務報告では、平成29年度大阪府青少年健全育成優良店表彰候補店の推薦について、豊中市・笹部書店を承認した。
会議に先立ち、面屋理事長から以下の説明があり審議を行った。
①9月11日開催の公明党大阪府本部「政策要望懇談会」での陳情事項を検討し、承認された。
②日本雑誌協会(雑協)が主催する「月刊誌〝とって置き〟キャンペーン」について、雑協からの連絡の経緯や、企画概要が9月15日付全国書店新聞に掲載されることを受けて検討を行った。「外商や配達分は対象とならない」とする文言は顧客の差別や書店の選別になるとの意見があったが、書店の活性化になるとの意見があったことから、同企画への参加を承認。組合員に案内文書を送付することにした。
読書推進委員会では、「本の帯創作コンクール」への応募数は1万2千点を超える見込みと報告があった。定款・規約等改正委員会では、諸規定の文言を実情に合うよう精査し、10月12日に定款委員会を開催すると説明した。また出版販売倫理・共同受注委員会では、松原市図書館の建て替えに伴い、委託管理者がTSUTAYA、納入がTRCとの話があることから、面屋理事長に市長への陳情をお願いしたいと報告があり、承認された。
(石尾義彦事務局長)

商談会、次期総会について審議/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は9月5日正午から、札幌市中央区の札幌パークホテルで定例理事会を開催した。
理事会では、道組合の活動について審議し、同会場で開催中の「第4回北海道書店大商談会」について意見交換を行った。また、来年6月開催の第42回通常総会について協議した。
(事務局・髙橋牧子)

ISBNコード即日発行へシステム更新/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は9月13日に定例理事会を開催。日本図書コード管理センターが運用するISBN発行業務管理システムをリニューアルすることなどを承認した。
現在、ISBNコードは登録申請から発行まで約1ヵ月かかっているため、Web上で申請し即日発行できるようシステムを更新する。ガイダンス形式で手続き方法等を丁寧に説明し、利用者の利便性を高める。更新作業は今年度中に完了し、2018年4月から新システムの運用を開始する。登録申請費用の支払い方法も、現在の郵便振替に加えクレジットカード決済を導入する。
出版情報登録センター(JPRO)が来年4月開始する「第2フェーズ」についての説明会は、東京会場は10月6日に千代田区の一橋大学一橋講堂での開催を予定しているが、申込みが多数にのぼるため、10月18日に千代田区のメディアドゥ「セミナールーム」でも開催することを決めた。申込み締切は10月11日。

12月5日に、しぞ~か本の日!書店大商談会/静岡書店大賞授賞式も開催

静岡県で取次の垣根を越えた書店大商談会「第2回しぞ~か本の日!書店大商談会」が12月5日(火)に静岡市葵区のグランディエールブケトーカイ4階で開催される。
当日は3部構成とし、第1部書店大商談会を午後1時~4時半に開催する。主催は「静岡書店大商談会」実行委員会(実行委員長=江﨑直利・静岡県書店商業組合理事長)。協賛は静岡県書店商業組合、静岡書店大賞事務局、静岡トーハン会、静岡日販会、東海地区OaK友の会、静岡県中央会。後援は日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本書店商業組合連合会、出版文化産業振興財団、静岡新聞社・静岡放送、静岡教科書。協力はトーハン静岡支店、日販静岡支店、大阪屋栗田静岡支店、中央社。
第2部は「静岡書店大賞授賞式」を午後5時~6時に開催。第6回を迎える同賞は、静岡県内の書店員と図書館員が県民に最も読んでもらいたい本を投票で選ぶもの。対象になるのは昨年9月から今年8月までの1年間に刊行された日本の小説、日本の文庫(テーマ=映像化してほしい文庫)、日本の児童書。児童書は新作部門とロングセラー部門を併設し、翻訳ものも含む。ロングセラー部門は対象期間の適用外とするほか、今回から同部門のみ図書館員だけの投票で決定する。
第3部は合同懇親会を午後6時15分~7時45分に開催する。

「孫の日」キャンペーンを展開/推薦図書の拡販に取組み/愛知組合

愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)は、10月15日の「孫の日」を中心とした読書推進キャンペーンを9月18日の「敬老の日」から「孫の日」を挟み11月9日の「読書週間」終了までの期間で展開している。
同キャンペーンは、10月第3日曜日の「孫の日」におじいさん、おばあさんがお孫さんに本を贈ることで交流を深めてもらうと同時に、お孫さんが本に親しむきっかけづくりになればと実施するもの。39書店が参加し、協賛出版社の推薦図書14点を店頭や外販で販促する。推薦図書リストも作成、購入者には出版社から提供された拡販用の絵葉書やシールなどのノベルティを配布する。昨年製作した、絵本作家・服部美法氏による愛知組合オリジナルの「孫の日」ポスターを店頭に掲示してPRする。
〔推薦図書〕
▽手ぶくろを買いに/新見南吉=作、松成真理子=絵/岩崎書店▽うし/内田麟太郎=詩、高畠純=絵/アリス館▽英語でも読めるはらぺこあおむし/エリック・カール/偕成社▽大人になってこまらないマンガで身につく整理整頓/辰巳渚=監修、大野直人=マンガイラスト/金の星社▽きょうりゅうたちのいただきます/ジェイン・ヨーレン=文、マーク・ティーグ=絵/なかがわちひろ=訳/小峰書店▽でんしゃがきました/三浦太郎/童心社▽まるさんかくぞう/及川賢治・竹内繭子=作・絵/文溪堂▽アンダーアース・アンダーウォーター地中・水中図絵/アレクサンドラ・ミジェリンスカ、ダニエル・ミジェリンスキ=作・絵/徳間書店▽おふくさんのおふくわけ/服部美法/大日本図書▽まんが将棋入門/羽生善治=監修/くもん出版▽ぐるぐるまわろうぐるぐるでんしゃ/間瀬なおかた=作・絵/ひさかたチャイルド▽しっぽしっぽしっぽっぽ/木曽秀夫/フレーベル館▽新装版どうぶつしょうぎ/きたおまどか=作、ふじたまいこ=イラスト/小学館▽おいしそうなしろくま/柴田ケイコ=作・絵/PHP研究所

10月26日に書店大商談会/東京ドーム・プリズムホールで

第8回「書店大商談会」が10月26日に東京都文京区の東京ドーム「プリズムホール」で開催されます。今回の出展は、240社・248ブース。一般書、ビジネス書、児童書、コミック、第三商材のエリアを設置し、各社オリジナルの拡材、特別セットなど商談会だけの特典が満載です。勉強会、著者サイン会など多彩なイベントも行われます。来場者には、店頭で役に立つ「出展社営業担当者一覧」冊子をプレゼント。皆様ぜひご来場ください。
▽日時=平成29年10月26日(木)午前11時~午後5時30分
※コミックは、分科会を平成30年2月8日(木)に開催
【勉強会】
①「親子で楽しむイベントで店頭活性化―児童書出版社によるイベントの提案―」=午前11時半~午後0時半
②絶対売れる!POP講座「僕なら書店POPをこう書きます。」梅田悟司氏(コピーライター)=午後1時半~2時半
③「独立系書店の存在意義―アメリカの小規模書店が元気な理由」星野渉氏(「文化通信」編集長)=午後3時~4時
【サイン会】
作家・相場英雄氏(協力・角川春樹事務所)=午後0時半開始予定
▽会場=東京ドーム「プリズムホール」(JR総武線・都営三田線水道橋駅から徒歩5分、都営大江戸線・三田線春日駅から徒歩10分、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩10分)
▽主催=「書店大商談会」実行委員会
▽問い合わせ=「書店大商談会」実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=JPIC)まで。℡03―5211―7282

売上総利益率0・13ポイント減少/専業企業と複合企業の差が拡大/日販『書店経営指標』

日販は全国69企業521店舗の経営関連データを収集分析した『書店経営指標』2017年版を発行した。企業ベースの売上総利益率を、Book売上構成比が80%以上の専業企業と、80%未満の複合企業で比較すると、専業企業は前年比1・68ポイント減の23・08%に対し、複合企業は同1・07ポイント増の30・25%となり、専業と複合の差は7・17ポイントと前年よりさらに拡大した。
企業ベースの売上総利益率は前年比0・13ポイント減の27・48%。営業利益率は同0・04ポイント減の0・11%、経常利益率は前年と変わらず0・43%だった。しかし特別利益が同0・51ポイント減の0・30%、特別損失が同0・54ポイント増の1・14%となったため、当期純利益はマイナス0・76%と同1・07ポイント減少した。
過去3年間の推移をみると売上総利益率が「35%以上」の企業数構成比が3年連続減少し、利益率は悪化傾向にある。経常利益率は「マイナス2%未満」「マイナス2%~0%未満」の企業数構成比が減少し改善傾向となっているが、「3%以上」の企業数構成比は依然減少が続いている。
収益性の総合指標である総資本対経常利益率は同0・11ポイント悪化し0・79%になった。減少が大きかったのは、収益(経常利益率)別「3%以上」で同2・63ポイント減少した。営業利益率は同0・04ポイント悪化の0・11%。減少が大きい区分は、Book売上構成比別「80%以上」で同0・22ポイント減、「50%未満」で同0・16ポイント減だった。
総資本回転率は同0・03回減の1・81回。商品回転率は5・88回で、同0・33回増加した。支払い能力を示す流動比率は117・86%で、同26・81ポイント悪化した。また、返済義務のない自己資本の割合を表す総資本対自己資本比率は同0・12ポイント改善し21・42%になった。
従業員1人当たりの売上総利益を表す労働生産性は、同7万4千円減少して489万4千円になった。また、1時間当たりの売上総利益を表す人時生産性は、同42円増の3168円になった。
正規従業員の平均年間勤務日数は247日、年間総実労働時間は1949時間だった。パート・アルバイトの年間総実労働時間は1153時間。また、正規従業員の平均月給は26万4千円、パート・アルバイトの時給は855円だった。
店舗ベースの売上総利益率は29・5%で、同0・2ポイント減少した。営業利益率は同0・1ポイント減の2・5%。売上総利益率を100として、人件費率と地代家賃率の過去3年間推移をみると、人件費率は42・4%で同4・4ポイント増、地代家賃率は27・1%で同0・5ポイント増。人件費・地代家賃率の合計は69・5%と同4・9ポイントの大幅増となり、店舗の収益を圧迫している。
店舗全体の売上高は同2・3%減で、売上構成比別にみると、文具は同3・9%増、飲食料品・雑貨は同1・9%増と前年を上回った。このほか、Bookが3・5%減、レンタルが3・4%減、セルが9・0%減、ゲーム・トレカが同2・9%減となった。
立地別では、駅ビルが同2・1%減、駅前が同2・8%減、商店街が同2・1%減、SC内が同4・0%減、郊外が同1・2%減と全立地で前年を下回った。
〔調査企業の内訳〕
▽Book売上構成比別=「80%以上」36・5%、「50%以上80%未満」21・2%、「50%未満」42・3%
▽収益(経常利益率)別=「3%以上」8・0%、「1%以上3%未満」22・0%、「0%以上1%未満」34・0%、「0%未満」36・0%
▽売上規模別=「10億円以上」17・6%、「5億円以上10億円未満」9・8%、「3億円以上5億円未満」13・7%、「3億円未満」58・9%
『書店経営指標』2017年版(B5判45ページ、頒価税込1620円)に関する問い合わせは、日販営業推進室書店サポートチームまで。℡03―3233―4791

こどもの本BFに1万6千人超来場/トーハン

トーハンは取引書店と共催で「2017こどもの本ブックフェア」を全国4会場で開催した。今年は7月21日~23日の岡山会場(コンベックス岡山)を皮切りに、7月23日~25日に京都会場(京都市勧業館)、7月30日~8月1日に札幌会場(札幌総合卸センター)、8月1日~3日に福岡会場(福岡国際会議場)で行い、合計1万6727人、640校を動員した。
開幕セレモニーでは、協賛団体を代表して日本児童図書出版協会より、岡山会場はひかりのくに・岡本功社長、京都会場はポプラ社・長谷川均社長、札幌会場は学研プラス・碇秀行社長、福岡会場は講談社・森武文副社長があいさつを行った。
各会場には、332社の協賛出版社が出品した絵本、読みもの、図鑑、保育・教育書など2万点、計5万冊をジャンルごとに展示販売。他にもテーマ別に約30ブースを設け、「よみきかせ絵本人気ランキング」「朝の読書」「MOE絵本屋さん大賞」など近年の定番コーナーや、「ロングセラー絵本」「最新!学習まんがフェア」「名作作家フェア」など多彩な企画を展開した。また、トーハンとフォルトゥーナ(イギリスの出版社、DK社の日本総代理店)で企画し、現在全国約3百店の外商書店で展開中の「DK社の図鑑フェア」と連動したコーナーを設置して、子どもから大人まで楽しめる図鑑をアピールした。
この他にも各会場で様々なイベントを実施。絵本作家の廣嶋玲子氏、tuperatupera氏、あきびんご氏、加来耕三氏などを招いたワークショップやサイン会を行ったほか、全会場で「ジブリをさがそう!」と題した探し物ラリーを実施。公式ホームページにアップした「おしりたんてい」の塗り絵も好評で、8百枚を超える作品が寄せられた。

エッセイ賞など講談社3賞の贈呈式

平成29年度講談社ノンフィクション賞、講談社エッセイ賞、講談社科学出版賞の贈呈式が9月14日、東京都千代田区の如水会館で行われた。
受賞したのは、第39回講談社ノンフィクション賞に梯久美子氏『狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社)、中村計氏『勝ち過ぎた監督駒大苫小牧幻の三連覇』(集英社)、第33回講談社エッセイ賞に小泉今日子氏『黄色いマンション黒い猫』(スイッチ・パブリッシング)、穂村弘氏『鳥肌が』(PHP研究所)、第33回講談社科学出版賞に中川毅氏『人類と気候の10万年史過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』(講談社)。
贈呈式では、講談社・野間省伸社長があいさつを述べたのち、受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。エッセイ賞を受賞した小泉氏は、20代の時書いた初のエッセイを読んだ演出家の故・久世光彦氏から「面白く書けているけど、明るいことしか書いてない。いつかそうじゃないところまで書けるようになるといいね」との言葉をもらったと紹介。「今回の本でその時書けなかったことを書いたような気がして、自分でも楽しかった」と話した。

参考図書

◇『ポプラ社創業七〇年の歩み』
ポプラ社は、創業70周年を記念して社史『ポプラ社創業七〇年の歩み』を刊行した。
同社は1947年6月に田中治夫、久保田忠夫両氏により創業。戦後の荒廃から立ち直り、これから育ちゆくこどもたちのために夢と希望のある本を届けたいとの思いでスタートした。以来、冒険小説、探偵小説、少女小説、科学や歴史をはじめとする知識の本、創作児童文学や絵本の数々を刊行してきた。社史では、1946年から各年ごとに出来事やエポックとなった出版物などを記載。同社OB、OGからの寄稿を織り交ぜて同社の足跡をたどっている。

「情報源として新聞を活用」/読売・毎日・中日3社が書店向け冊子作成

読売新聞社、毎日新聞社、中日新聞社の3社は、書店向け冊子「NEWSPAPER×BOOKSTORE書店の情報源としての新聞」(写真)を共同で作成した。書店員が新聞をどう活用しているかを紹介する内容で、活字文化の振興に取り組む3社が、新聞の情報を書店の魅力アップにつなげてもらい、出版広告の活性化も図ろうと企画した。
巻頭の「書店員座談会」では、名古屋市・ちくさ正文館書店本店店長の古田一晴氏らが、フリーライターの永江朗氏を聞き手に、仕入から陳列、接客などで新聞を活用している方法を語る。「記者座談会」では永江氏を司会に、書評欄を担当する3社の記者が書評で取り上げられる本の選定法などを解説する。
また、「出版社に聞くベストセラーと書店と新聞との関係」として、『九十歳。何がめでたい』(小学館)など、出版社の担当者へのインタビューで新聞広告をいかに活用して大ヒットにつながったかを紹介。この他、書店と連動した新聞社の取り組みとして、読売新聞の「ミステリーブックフェア」、毎日新聞の「青少年読書感想文全国コンクール」、中日新聞の「どえりゃあ書店大商談会」を紹介している。
冊子は5千部を作成、主要書店に配布するほか、3社のホームページでPDF版を公開している。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

櫻井武『睡眠の科学・改訂新版』(講談社ブルーバックス1000円)は、2010年に上梓された本の改訂版。その間にたとえばオレキシン受容体拮抗薬が実用化し、不眠症治療に使われている進化がある。オレキシンとは覚醒を安定させる神経ペプチドのことだという。
人はなぜ眠るのかなどいまだに解けない謎から睡眠の効果、睡眠と覚醒や睡眠障害まで、睡眠のメカニズムが解き明かされる。何時間寝るのが良いのか、という疑問には翌日眠気を感じないで、すっきり過ごせるだけ眠れば良いと回答する。睡眠時間の必要性は個人によって大きな差があるからで、錯綜する情報から早急な結論を出すのは、問題が多いと提唱する。
内山真『睡眠のはなし』(中公新書760円)も睡眠を多角的に捉えた一冊。ストレスと不眠は現代人特有と言われがちだが、実際自然や肉食獣の脅威にさらされた古代から連綿と続いている。
朝が得意か不得意かも体内時計機能に関連した遺伝子の多様性による、生まれつきの体質であることがわかってきた。老いて早起きになるのは、脳にある睡眠調節機能の老化によるという。睡眠は心と体の好不調に密接に関わっている。5人に1人が不眠の現代人への快眠のヒントが満載。