全国書店新聞
             

令和2年9月1日号

紙の出版販売金額、今年上期は2・9%減/雑誌はコミックスが大幅増/出版科研調べ

出版科学研究所は2020年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の推定販売金額は6183億円で前年同期比2・9%減となった。内訳は書籍が同3・0%減の3517億円、雑誌が同2・9%減の2667億円。電子出版市場は同28・4%増の1762億円になった。
新型コロナウイルス感染症拡大で、政府は4月に緊急事態宣言を発令。書店は営業自粛要請の対象外となったが、4月から5月にかけて休業や時短営業する店舗が相次いだ。書籍、雑誌ともに発行の延期・中止が続出し、送品数が大幅に減少する一方、返品も少なかった。
〔コロナ禍で児童書や学参などに特需/書籍〕
書籍の販売金額は3517億円、前年同期比3・0%減で、前年より減少幅が1・8ポイント縮小した。3月2日に全国一斉休校が始まると自宅学習のニーズが高まり、小学生向けドリルや学習要素の強い児童書が急激に売上を伸ばした。文芸書、ビジネス書、文庫本、新書、実用書などの主要ジャンルは、都市部の大型書店休業の影響が大きく、マイナスになった。しかし書店の営業が再開した5月末から6月以降の販売状況は、概ね好調だった。
販売部数は、同3・8%減の2億8053万冊。新刊平均価格は同1・1%増の1218円、出回り平均価格は同1・3%増の1200円だった。金額返品率は32・1%で同2・8ポイント改善した。新刊点数は同3・9%減の3万4039点で、このうち取次仕入窓口経由が同4・7%減の2万3371点、注文扱いが同1・9%減の1万668点で、取次仕入窓口経由は8年連続のマイナス。新刊点数は、コロナ禍の影響で4、5月期は大きく減少した。
20年上半期のジャンル別動向をみると、文芸書は、凪良ゆう『流浪の月』(東京創元社)が本屋大賞受賞後にブレイクし、初版1万部の作品が5月上旬には37万部まで伸長した。人文・社会では、19年刊のブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)がテレビでの紹介を機にさらにブレイクし、53万部に到達。文庫本は、コロナ禍を機にヒットする作品が複数登場し、なかでもカミュ『ペスト』(新潮文庫、04年刊)は2月以降に計36万4千部を増刷、累計で125万部に達した。
〔定期誌は合併号や刊行延期が相次ぐ/雑誌〕
雑誌の販売金額は2667億円で前年同期比2・9%減となり、前年の5・1%減から減少幅を縮めた。内訳は、月刊誌が同1・6%減の2206億円、週刊誌が同8・5%減の461億円。月刊誌は定期誌が約12%減、ムックは約19%減、コミックスが約30%増となった。定期誌は、コロナ禍で取材等の制作進行が困難になったことで、250誌以上が合併号や刊行延期となったことも影響し、大幅減となった。コミックスは『鬼滅の刃』(集英社)が爆発的な売行きを示したのをはじめ、アニメ化作品でのヒットも多く、大幅に伸長した。
推定発行部数は同7・0%減。内訳は、月刊誌が同5・7%減、週刊誌が同10・4%減。推定発行金額は同7・1%減で、月刊誌は同6・7%減、週刊誌は同8・7%減だった。平均価格は同0・2%減の584円。価格の安い少年向けコミックスが大幅に部数を伸ばしたため、雑誌全体ではマイナスとなった。
金額返品率は同2・6ポイント減の41・6%で、月刊誌が同3・1ポイント減の41・6%、週刊誌が同0・2ポイント減の41・7%。4月に、日本雑誌協会と日本出版取次協会が5月末までに発売された雑誌の返品期限を延長する施策を発表した影響もみられた。また、コミックスの好調が月刊誌の返品率改善に寄与した。
創・復刊点数は同14点減の18点、休刊点数は同11点減の53点だった。『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)、『東京ウォーカー』(KADOKAWA)など有力誌休刊の発表も相次いだ。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が同100点減の1466点、ムックは同440点減の3239点。コロナ禍で刊行を先送りする動きも目立った。1号を1点とした付録添付誌数は同297点減の5134点。
〔紙+電子の出版販売額は2・6%増〕
20年上半期の電子出版の市場規模は1762億円で前年同期比28・4%増、金額で390億円増加した。内訳は、電子コミック(電子コミック誌含む)が33・4%増の1511億円、電子書籍が同15・1%増の191億円、電子雑誌が同17・8%減の60億円。
コミックは、紙と同様に『鬼滅の刃』などヒットしたコンテンツが多数登場したことや、外出自粛に伴いユーザー数が増加したため3割超の大幅増に。書籍は、リアル書店の休業や、東野圭吾など電子化を解禁する作家が増えたこともあり、売上を伸ばした。雑誌は、定額制読み放題サービス淘汰の動きもあって大きく落ち込んだ。
上半期の紙と電子の市場を合わせると7945億円、同2・6%増。市場全体における電子出版の占有率は22・2%となった。

書面議決で開催/日書連9月理事会

日書連9月定例理事会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から書面議決で行います。書面議決書を9月14日(月)までにご提出ください。提案議案については定款第53条4項にあります通り、理事全員が同意の意思表示をした場合に決議があったものとみなします。
また、日書連9月各種委員会は中止いたします。

書店における新型コロナウイルス感染症拡大予防ガイドライン(令和2年8月11日改訂)/日本書店商業組合連合会

日書連は「書店における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」を公表し、最新の改訂を8月11日に行った。小売業関連12団体のガイドラインの改訂が7月31日に行われたため、この改訂内容を参考に書店のガイドラインについても改訂を行った。改訂したのは①飛沫防止用シートの火災予防のための注意書き、②新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)や地方自治体の独自システム利用に関する検討や推進――の2点。書店はこのガイドラインを活用し、各店舗における新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防に取り組んでいただきたい。以下、全文を掲載する(【】内の部分が今回改訂した文言)。なお、日書連ホームページでも全文を公表している。
〔1.はじめに〕
○日本書店商業組合連合会は、令和2年5月4日に変更された新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を踏ま
え、令和2年5月4日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(以下「専門家会議提言」という。)において示されたガイドライン作成の求めに応じ、専門家会議提言において示された感染拡大を予防する「新しい生活様式」の実践例を踏まえつつ、「小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」を参考に、具体的取組(①各店舗の実情に応じた感染予防対策、②従業員の感染予防・健康管理、③買物エチケットに係る顧客への協力依頼・情報発信等)に関し、本ガイドラインを定めることといたします。
○書店には不特定多数の人々が訪れることから、店頭において十分な感染拡大防止策を講じることが、従業員及び顧客の感染を防止し、事業の持続可能性を確
保する上で極めて重要です。
○本ガイドラインでは、事業者がそれぞれの業態、店舗の規模や立地などの実情に応じて実施する際に参考とすべき取組を例示し、指針として示します。
○また、従業員の感染予防・健康管理を実施する上で取り組むべき事項や買物エチケットに係る顧客への理解を得るための情報発信等に関し参考とすべき事項
についても、併せて示します。
○各事業者におかれましては、本ガイドラインを活用することにより、消費者への呼びかけを含め、書店における新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防に
向けた取組を推進していただきますようお願いいたします。
○なお、従業員に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応については、保健所と連携した対応を実施することになりますが、対応を巡る論点(営業再開
及び情報発信の在り方等)の詳細については今後の検討課題とし、本ガイドラインの内容には含みません。
〔2.感染拡大予防に向けた具体的な取組〕
(1)店舗における感染予防対策
書店には不特定多数の顧客が訪れることから、店舗の規模・立地条件や地域における感染拡大の状況などの実情に応じた効果的な対策を実施することにより、「三つの密」を避け、店舗における顧客及び従業員への感染拡大のリスクを下げることが重要です。
具体的には、基本的な感染防止対策である、ⅰ)身体的距離の確保、ⅱ)マス
クの着用、ⅲ)手洗いや手指消毒に取り組むとともに、店舗においては、社会的距離の確保、清掃・消毒の実施、接触感染・飛沫感染の防止、換気の徹底、商品陳列等の工夫、店舗内の混雑緩和、店舗内施設の利用等に関する取組を行う必要があります。
このため、各事業者においては、店舗の実情に応じ、以下に挙げる取組例を参考に対策を講じることにより、店舗における感染予防策の充実を図り、顧客や従業員の安全・安心を確保した上で事業を実施していくことが求められます。
① 身体的距離の確保
●店内外において対人距離を確保するため、店舗の規模等に応じて、以下のような取組を行う。
(国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(令和2年4月20日版)」において、「濃厚接触者」は「手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)」とされたこと、専門家会議提言の「新しい生活様式」において、対人距離の確保については「できるだけ2m(最低1m)空ける」とされたことも踏まえつつ、店舗の業態、規模・立地条件などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)
・店内での滞在に際し、顧客に対し掲示・アナウンスの実施などにより可能な範囲での対人距離の確保を促す。
・とりわけ、レジ前や入店前など店舗内外で顧客が列に並ぶ際には、床に目印を付すことや掲示・アナウンスの実施などにより対人距離の確保を促す。
②清掃・消毒
●従業員に対しこまめな手洗いや手指消毒を励行するほか、必要に応じ手指の消毒設備を入口及び施設内に設置すること等により顧客の手指の消毒も励行する。
●店舗については、通常の清掃に加え、店内の消毒等に関し、以下のような取組を行う。
・買物カゴ、買物カートのハンドル部分、扉の取っ手など、顧客や従業員が手を触れることが多い箇所・機材等は定期的に消毒を実施する。
・トイレについて、トイレの蓋がある場合には蓋を閉めて汚物を流すよう表示し、不特定多数が接触する場所は消毒を行うとともに、ハンドドライヤーのほか共通のタオルの使用は行わない。
・ゴミの廃棄については、鼻水・唾液などが付いたゴミが入っていることを想定しビニール袋等に入れて密閉して縛るほか、ゴミを回収する人は、マスクや手袋を着用し、マスクや手袋を脱いだ後は、必ず石鹸と流水で手を洗う。
③接触感染・飛沫感染の防止
●従業員と顧客の接触機会を減らし、飛沫感染を防止するため、以下のような取組を行う。
・透明間仕切り等の設置などによるレジ前での飛沫感染防止の取組を行う。
【(消防庁予防課「飛沫防止用のシートに係る火災予防上の留意事項について(情報提供)」(令和2年7月22日事務連絡)において、飛沫防止用シートの材質によっては、着火・燃焼しやすいものがあることから、「火気使用設備・器具、白熱電球等の熱源となるものの近くには原則設置しないようにすること。ただし、これらの近くに設置することが感染予防対策上必要な場合にあっては、燃えにくい素材(難燃性、不燃性、防炎製品など)を使用すること。」、「同じ素材であれば、薄いフィルム状のものに比べて板状のものの方が防火上望ましいこと。」とされている。また、「比較的燃えにくい素材」として、「ポリ塩化ビニール製やポリカーボネート製のもの」が挙げられている。これらを踏まえ、店舗の業態、規模などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)】
・レジにおいてコイントレーでの現金受渡を励行する。
・自動精算機・キャッシュレス決済の利用を促進する。
・従業員によるマスク等の着用や、こまめな手洗いや手指消毒を励行する。
・従業員が対面による販売・説明・サービスを行う際には、感染予防の観点から、マスク等の着用等による必要な感染予防の措置を行う。
④換気の徹底
●店内が換気の悪い密閉空間となることを避けるため、以下のような取組を行う。(テナント事業者については、出店先の店舗・施設と連携して取り組む。)
(新型コロナウイルス厚生労働省対策本部において、リスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するため、多数の人が利用する商業施設等においてどのような換気を行えば良いかについて、推奨される換気の方法を取りまとめており、ビル管理法における空気環境の調整に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30立方メートル)を満たすことになり、「換気が悪い空間」には当てはまらないとの見解が示されている。推奨される換気の方法としては、機械換気(空気調和設備、機械換気設備)による方法、窓の開放による方法などが推奨する措置として挙げられている。これらを踏まえ、店舗の業態、規模・立地条件などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)
・換気設備を適切に運転・管理することや窓やドアを定期的に開放すること等により、室内の換気に努める。
⑤商品陳列等
●商品の陳列等の工夫により、局所的な混雑緩和や接触機会を削減するための以下のような取組を行う。
・書籍・雑誌等の立ち読みについて、自粛の呼び掛けや必要に応じてひもかけ・バンド等の使用を行う。
⑥店舗内混雑の緩和
●店舗の規模や立地条件などの実情に応じ、店内の人の密集を避けるための工
夫として、以下のような取組を行う。
・混雑につながるような販売促進策を自粛する。
・事前の買物リスト作成等による滞留時間短縮を呼び掛ける。
・混雑時間帯に関する情報提供によりオフピークタイムでの来店を呼び掛ける。
・混雑時の入店の制限のほか、店舗・施設などで混雑や待ち列が生じる可能性がある場合は入店者の分散化が図られる方法等を検討する。
⑦店舗内施設の利用等
●店舗内施設の利用等について、「三つの密」を避けるための以下のような取
組を行う。
・催事の実施又はアミューズメント施設及びサービス施設等の集客施設の使用については、各都道府県において示される対応に基づいて実施又は使用の可否を判断し、実施又は使用する
場合においても、入場者の制限や誘導、手指の消毒設備の設置、マスクの着用、室内の換気等の適切な感染防止対策を講じる。
⑧店舗入店時の顧客に対する依頼
●顧客の店舗への入店に際しては、感染拡大のリスクをできる限り下げる観点
から、掲示・アナウンスの実施などにより、顧客に対し以下のような事項を依頼する。(テナント事業者については、出店先の店舗・施設と連携して取り組む。)
・発熱その他の感冒様症状を呈している者、新型コロナウイルス感染症の陽性が判明した者との濃厚接触がある者、同居家族や身近な知人の感染が疑われる者、過去14日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域等への渡航並びに当該国・地域の在住者との濃厚接触がある者(以下、「有症状者等」という。)の入場の自粛を依頼する。
・顧客の入店時のマスクの着用や手洗いや手指消毒などの実施を依頼する。
【⑨感染拡大防止に資するシステムの活用
●店舗が立地する地方自治体において独自に、感染者が発生した店舗を利用者に通知するためのシステムを導入している場合には、当該地方自治体におけるシステムの運用や、店舗の業態、規模・立地条件などの実情に応じて活用を検討する。】
(2)従業員の感染予防・健康管理
店舗の事業を実施するとともに、店舗における感染拡大予防を確かなものとするためには、従業員の感染予防と健康管理の実施がそのための基礎となります。
従業員の感染予防においては、一人ひとりが基本的な感染防止対策である、ⅰ)身体的距離の確保、ⅱ)マスクの着用、ⅲ)手洗いや手指消毒に取り組むことが重要です。また各事業者においては、従業員に対し、新型コロナウイルス感染症予防に関する基本的知識等の周知徹底を図ること、飛沫感染と接触感染の防止策を講じること、対人距離を確保すること、バックヤードや事務所等における対策を講じること、感染予防・健康管理のための指導を行うこと等に取り組むことが必要となります。
このため、以下に挙げる取組例を参考に対策を講じることにより、従業員の健
康と安全・安心の確保に努めることが求められます。また、とりわけ就労に対する不安や様々な事情(妊娠、高齢者介護等)を抱える従業員に対しては配慮が必要です。
①新型コロナウイルス感染症予防に関する基本的知識等の周知徹底
●従業員に対し、感染症予防に関する基本的な知識を周知し、感染防止策を徹
底させるため必要な指導・教育を行う。
②従業員への飛沫感染と接触感染の防止
●従業員によるマスク等の着用や、こまめな手洗いや手指消毒を励行する。消毒による手荒れ防止等のため手袋を使用する場合であっても、手袋を使用していない場合と同様に、手洗いや手指消毒による感染防止の取組が必要であることを周知する。
③対人距離の確保
●従業員が業務において他の従業員や顧客との対人距離を確保できるよう、業
務の方法や導線について点検するとともに、従業員自らが対人距離の確保に努めるよう指導する。
(専門家会議提言の「新しい生活様式」において、対人距離の確保については「できるだけ2m(最低1m)空ける」とされたことも踏まえるものとする。)
④バックヤード・事務所等での対策
●従業員用の休憩所や事務所等のバックヤードにおいても、「三つの密」を避けるための対策を適切に講じるとともに、共有電話など複数の者が触れる箇所・
機材等の消毒を定期的に行うなど、感染予防の取組を適切に実施する。
⑤その他、感染予防・健康管理に関する指導等
●職場において、顧客対応に伴う先進負荷も含め、従業員の日々の健康状態の
把握に配意するとともに、体調が優れない場合には休みやすい環境作りに努める。また、従業員に対し、以下のような指導を行う。
・咳エチケットを徹底する
・従業員による体温の測定と記録を実施する
・発熱などの症状がある場合に所属長への連絡と自宅待機を徹底する
・新型コロナウイルス感染症の陽性が判明した者との濃厚接触がある場合、同居家族や身近な知人の感染が疑われる場合、過去14日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域等への渡航並びに当該国・地域の在住者との濃厚接触がある場合、所属長への連絡を徹底する
・出勤時、トイレ使用後、売場への入場時等における手洗いを徹底する
・通勤時には時差通勤など出来るだけ混雑を避ける方法を選択する
・勤務に際し、適切な休息の確保や水分補給など健康維持に必要な対応を行う
・従業員1人1人が十分な栄養摂取と睡眠の確保を心がけるなど健康管理を行う
●店舗・施設への出入り事業者に対しても、感染予防・健康管理に関する取組を促す。
【●従業員及び店舗・施設への出入り事業者に対して、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の利用を促す。また、感染者が発生した店舗を利用者に通知するためのシステムを地方自治体が独自に導入している場合には、併せて当該システムの利用を周知する。】
(3)買物エチケットに係る顧客への協力依頼・情報発信
買物の場における安全・安心を確保するためには、店舗及び従業員による適切な対応だけでなく、顧客の理解と協力が不可欠です。従業員と顧客が互いに協力しあって安全で安心な買物の場を作り上げていくという意識が大切です。
従業員だけでなく、顧客においても、一人ひとりが基本的な感染防止対策であ
る、ⅰ)身体的距離の確保、ⅱ)マスクの着用、ⅲ)手洗いや手指消毒に取り組むほか、買物エチケットに対する理解が必要です。
このため、以下のように、一般消費者に対する協力依頼とわかりやすい情報発信に取り組むことが必要です。
①対人距離の確保及び混雑緩和に係る理解促進
●対人距離の確保及び混雑緩和のため、以下の事項について、顧客に対し協力を依頼する。
(専門家会議提言の「新しい生活様式」において、対人距離の確保については「できるだけ2m(最低1m)空ける」とされたことも踏まえつつ、顧客の理解と協力を得ることに努める。)
・店舗内等においては他の顧客及び従業員との一定の対人距離を確保すること。
・精算を待つ際は間隔を空けて並ぶこと(複数人グループでの購入の場合にはできるだけ1人で精算すること)。
・予め購入品の計画を立てて来店するなど店内滞在時間短縮化を心がけること。
・来店回数の削減に努めること。
・混雑時間帯を避けての来店に努めること。
・従業員への問い合わせや他の顧客との会話で不要不急のものは出来るだけ控えること。
②感染防止対策への理解促進
●感染拡大を防止する観点から、以下の事項について、顧客に対し協力を依頼する。
・有症状者等は入店を自粛すること。
・入店時にはマスクを着用すること。また、入店後に飲食等のためマスクを外す際には、使用中のマスクを適切に管理すること。
・消毒液が備え付けられている際には手指を消毒すること。
・咳エチケットを徹底すること。
・現金を数える際に指をなめるなどの感染懸念行為を行わないこと。
・可能な限り購入しない品物への接触を避けること。
・電子決済や自動精算機の利用により可能な限り従業員との接触を避けること。
・マイバックへの袋詰めは顧客自身で実施すること。
・買物への外出時や帰宅時にマイバックの洗浄や消毒をすること。
【・新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の利用を促すこと。また、感染者が発生した店舗を利用者に通知するためのシステムを地方自治体が独自に導入している場合には、併せて当該システムの利用を促すこと。】
③サービスの内容変化に対する理解促進
●接客やサービスの内容変化に関する以下の点について、顧客に対し理解を求
める。
・感染予防(従業員の対人距離確保、飛沫対策等)の観点から、接客対応やサービス水準が従来とは異なるものとなり得ること。
・店舗において一時的に品薄商品や陳列棚における欠品が生じる可能性があることや、必要に応じて点数制限による販売が行われることがあること。
〔3.おわりに〕
○各事業者においては、本ガイドラインで示した事項に基づいて店舗営業を行うことにより、効果的な感染予防対策が図られることが期待されます。
○店舗における取組事例については、経済産業省、農林水産省及び消費者庁が公益財団法人流通経済研究所と連携し、好事例の収集・発信を行っています。最新の情報については、公益財団法人流通経済研究所のホームページをご参照ください。
(公益財団法人流通経済研究所ホームページ)
https://distribute-dei-taisaku.jp/
○なお、本ガイドラインの内容は、感染拡大の動向、ウイルスに関する知見等に関する専門家の助言等を踏まえ、今後見直すことがありえます。(以上)

「トーハン会エリア代表者会議」を開催

トーハンは7月31日、新型コロナウイルス感染症の拡大によるトーハン会総会の開催見直しに伴い、「トーハン会エリア代表者会議」を開催すると発表した。開催予定日は次の通り。
北海道エリア、九州エリア=10月9日、近畿エリア=10月14日、東北エリア=10月20日、東海エリア=10月22日、中国四国エリア=11月9日
各会議には代表取締役も出席する予定で、同社の経営方針と販売施策等を説明し、意見交換する。新型コロナウイルス感染予防の観点から、各エリアのトーハン会代表者と役員を中心に少人数で行う。出版社を招いた懇親会等は行わない。また、この他のエリアについても書店と検討を進めるとしている。

人事

★全国出版協会
6月22日開催の2020年度定時総会並びに7月10日開催の第2回理事会において任期満了に伴う役員改選を行い、下記の役員体制を決定した。
[20・21年度全国出版協会役員] ○印は新任
▽理事長=浅野純次(元東洋経済新報社社長)
▽常務理事=○加藤真由美(出版科学研究所所長)
▽理事=赤尾文夫(旺文社顧問)佐藤隆信(新潮社社長)相賀昌宏(小学館社長)柳楽節雄(元家の光協会専務理事)上野徹(元文藝春秋社長)野間省伸(講談社社長)堀内丸惠(集英社社長)近藤敏貴(トーハン社長)○武田真士男(光文社社長)
▽監事=大橋一弘(博文館新社社長)山﨑厚男(八重洲ブックセンター社長)
立花隆、丹下伸彦、藤井武彦、堀川嘉一の各氏は総会で理事を退任した。
★出版共同流通
臨時株主総会で役員を以下の通り決定した。
代表取締役社長
北林誉
常務取締役中川秀行
取締役川村興市
同渡部正嗣
同酒井和彦
監査役真鍋朝彦
同小河洋一郎
★協和出版販売
6月26日開催の株主総会並びに取締役会で下記の役員を選任し就任した。
代表取締役社長
貝沼保則
常務取締役三浦敏
取締役大西良文
監査役吉田尚郎
磯野芳郎取締役は退任し、顧問に就任。

「春夏秋冬本屋です」/「地元の力」/鳥取・今井書店経営企画本部広報グループ長・津田千鶴佳

近頃、山陰出身の若者の活躍がめざましいです。長く低迷する音楽業界で、〝ヒゲダン〟は久しぶりに世代を超えたメジャーバンドになりました。アマチュア時代のインストアライブに関わった当社のスタッフも今の人気を目の当たりにし、嬉しくも寂しい複雑な心境でしょう。
そのヒゲダンと世代を同じくしたマツダケンさんという山陰出身のイラストレーターが上京し頑張っています。繊細な筆致や鮮やかな色使いで描かれる動物たちの生き生きとした躍動感が彼の持ち味で、初作品集が出版されるというニュースが飛び込んで来たのは昨年末でした。地元から羽ばたいた若き才能の活躍を後押しすべく、当社でも早速出版記念の作家参加型イベントを企画し、作品集も前例のない数を発注しました。が、イベントの邪魔をしたのが新型コロナでした。
イベントの実現は難しく地元ファンの落胆は目に浮かぶ、そしてイベント用に発注した作品集は入荷してくる。どうすればマツダさんにもファンの方達にも喜んでもらえるか…。悩んだ末に出した代替案はマツダさんにも快諾いただき、ファンの方達にも喜んでいただける結果となりました。
この地で育まれた若い才能の後押しも地域に根ざした書店だからこその役割であり、地元とつなぐ役目もまた書店でありたいと考えます。

11月1日は「本の日」/図書カードプレゼント企画告知ポスターを書店に発送

日書連が事務局を務める「本の日」実行委員会(矢幡秀治代表)は、読者応募企画「図書カードプレゼントキャンペーン」の告知用ポスターを、日本図書普及の協力により図書カード取扱書店へ9月11日に発送する。
このキャンペーンは昨年も実施した目玉企画で、11月1日(日)~11日(水)の期間、書店店頭に掲示されたポスターのQRコードを読み取って応募すると、「図書カードNEXTネットギフト」が総額200万円分当たるというもの。1等賞は5000円分を100名に、2等賞は500円分を3000名にプレゼントする。
9月に送付するポスターは、11月1日を「本屋さんへ行く日」とPRし、キャンペーンの実施を予告することで期間中の再来店を促すもので、応募用QRコードが入った本番用ポスターは、10月中旬頃発送する。このキャンペーンは店頭にポスターを貼るだけで参加できるため、同実行委員会は多くの書店に協力を呼びかけ、「本の日」を一緒に盛り上げたいとしている。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

池田清彦著『自粛バカ―リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋』(宝島新書810円)は、コロナ禍で現れた日本人の本性を、理学博士が観察し分析している。
安全は科学的な話で、安心は心理的なものなのだが、結局日本人は安全ではなく、安心で動く。自粛要請に9割が従う国民性は誇れるにしても、問題は従わない人を社会がバッシングすること。今さえ良ければ、自分さえ良ければという、本心の裏返しの正義が攻撃性として露わになる。この「正義」が所謂自粛警察を生み、SNSなどでの誹謗中傷に変わる。
敗戦時に多くの戦犯が責任逃れをしたように、日本では上に立つ人が責任を取ることはめったにない。上が決めたことだから、と逃げる風潮。マジョリティ(多数派)がマイノリティ(少数派)をいじめる問題など。批判を恐れずに、自分の頭で考え行動することが何より一番であると説く。
百田尚樹著『バカの国』(新潮新書800円)もクレーマー・バカ、血税を食べるバカなど、日常のあきれた事件を滅多切りにしている。コロナ感染者が出てからも動かなかった政府へのぬぐえない不信感や、自己顕示欲の化け物SNSも、バカ発見器と手厳しい。現代の世直し論でもある。

総会に向け決算報告書、収支予算案を審議/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)は7月28日、横浜市中区の横浜市社会福祉協議会で定例理事会を開催した。
議事では、6月末決算の令和元年度財産目録・貸借対照表・損益計算書・収支決算書・剰余金処分案・事業別収支報告と、令和2年度収支予算案が経理担当の山本裕一副理事長により読み上げられ、いずれも原案通り承認した。
8月24日に開催する第43回通常総会は、新型コロナウイルス感染防止対策として、例年より規模を縮小して行うこととし、懇親会は開催しないことを決めた。
(山本雅之広報委員)

訃報

奥村弘志氏(おくむら・ひろし=南天堂書房代表取締役社長、全国書店再生支援財団理事長、元日本書店商業組合連合会副会長)
8月12日早朝、逝去した。享年83歳。葬儀は家族葬で営まれた。
平成7~9年、15~17年に日書連常任委員、9~11年、13~15年に日書連理事、11~13年に日書連副会長を務めた。
平成22年、取引取次の枠を超えた「首都圏書店大商談会」の開催を呼びかけ、実行委員長として活躍。全国各地で書店商談会が行われる嚆矢となった。平成30年には、書店の経営支援を目的とする全国書店再生支援財団の発足に尽力、理事長に就任していた。