全国書店新聞
             

平成19年4月11日号

21日・22日に開催/SJ名古屋

サン・ジョルディフェスティバル名古屋2007が21日(土)、22日(日)の両日、名古屋市中区の「オアシス21銀河の広場」で開催される。サン・ジョルディ名古屋実行委員会(高須博久委員長)と中日新聞社の共催。
両日とも本のチャリティ販売、自費出版相談、絵本読み聞かせなどの催しが行われる。21日は12時45分から開会式が行われ、催事は午後1時から6時まで、22日は午前10時から午後4時まで。

年2百億円の完全実施を/学校図書整備フォーラム

新図書整備5カ年計画の完全実施をめざすフォーラム「学校図書館図書の充実を求めて」が4月3日午後3時から新宿区の日本出版会館で開かれ、学校図書館議員懇談会河村建男会長が「学校図書館の充実に向けて計画の完全実施を」と述べたほか、総務省、文科省の担当課長が新5カ年計画の概要を説明。最後に「各自治体に計画の完全予算化を求めよう」というアピールを採択した。
主催者を代表してあいさつした学校図書館整備推進会議石井宗雄代表は「平成19年から23年まで毎年2百億円、総額1千億円の施策は議員、総務省の熱い期待と力添えの賜物。今年は学校図書館法の改正から10年たって、2002年以降、12学級以上の小中学校には司書を置くようになった。全国に2万4千人以上の専門資格を持った司書教諭が置かれていることは心強い。図書整備費を予算に生かして完全実施に向けて努力していきたい」とあいさつした。
学校図書館議員懇談会・子どもの未来を考える議員連盟会長の河村建男会長は
「図書館の本を充実したいという気持ちに敬意を表したい。子ども議員連盟を中心にこども読書年の決議が衆参両院議院で可決し、法案ができた。最近、こどもの学力低下でゆとり教育が悪いという声があるが、もっと本質的な学び方があるはずだ。交付税措置が付いたから安心ではなく、力を合わせて完全実施を実現しよう」と呼びかけた。
行政からは総務省自治財政局関博之調整課長、文部科学省初等中等教育局木岡保雄児童生徒課長が国の施策を説明。関課長は年間2百億円の予算措置の中味について「小学校108億円、中学校92億円。標準は小学校が18学級68万8千円、中学15学級116万2千円、特別支援学校350学級201万2千円」と説明した。
文部省木岡課長は図書標準の達成率について「小学校は37・8%、中学32・4%の達成率で、減耗部分を整備しないと充実しない。予算化の達成と、これを踏まえた子ども読書計画の策定を支援していく」と述べた。
このあと全国学校図書館協議会森田事務局長が、学校図書館の図書費予算化の促進を提案。各学校の蔵書点検と検証、地域の支援ネットワークを育てていきたいと提案した。
また、千葉県君津市立南子安小学校木實誠校長が図書の充実が教育現場を変えた実例を報告。最後に別掲のアピール文が読み上げられ、拍手で可決された。
【アピール】
「学校図書館は、学校教育の心臓である」この言葉をモットーにして、戦後の学校図書館運動が進められました。そして今、学校図書館の充実がこの時代の重要課題になりました。
2001年に制定された「子どもの読書活動推進法」において、読書活動は、子どもが人生をより深く生きる力を身につける上で欠かせないものであり、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならないとし、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な
計画」が策定されました。
さらに2005年に制定された「文字・活字文化振興法」において、文字・活字文化が母語としての日本語を涵養し、民主主義の発達に欠くことができないものであり、そのための環境の整備が必要であることが強調されました。
この度、これらの法律を背景に、学校図書館の整備充実を図る「新学校図書館図書整備五か年計画」が策定されました。同施策の策定にご尽力いただきました関係者の皆さまに深く敬意を表すると共に、この計画に基づく交付税措置が、すべての自治体で完全に予算化されるよう強く求めたいと思います。その実現には社会全体としての取り組みが必要であり、私たちは、そのための活動を積極的に推進したいと思います。以上アピールといたします。
2007年4月3日
フォーラム「学校図書館図書の充実を求めて」参加者一同

今年9月に講座再開/読書アドバイザーの養成/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は3月29日午後3時から、神楽坂の日本出版クラブ会館で定例評議員会・理事会を開き、平成19年度事業計画、同予算案、理事・評議員の一部交代を承認した。
新年度の事業計画では、平成5年以来、1400人を送り出し、全国で読み聞かせ活動などに活躍している「読書アドバイザー」養成講座について、昨年度は開催を見送ったが、今年9月には新しいカリキュラムができあがり、再び開講する方針が示された。テキストも全面改訂し、スクーリングを含めて9月から来年2月まで半年間の講座を行う。募集定員は120名、受講料は従来の6万8千円から5万2500円に引き下げる。
このほか、当面の活動では5月3日、4日、5日の3日間、上野公園噴水広場で第8回「上野の森親子フェスタ」を開催、児童書出版社46社が参加してチャリティ販売を行うことを了承。5月19日、20日には高槻市で家の光協会との共催により「読書・活字文化フェスタ」を開催。20日には読書ボランティア養成講座を実施する。
理事交代の件では、森内日出美氏(日教販)が退任し、後任に河野隆史(同)が就任。評議員は武田三男氏(日本地図共販)が退任し、小林定義氏(同)が就任した。

生活実用書/注目的新刊

今年の冬は特別暖かく、ついに一度もウールのオーバーを着ることがなかった。と、これが単なる世間話で終わるのなら何でもないが、それが地球温暖化現象の事実の一つなのだから、背景にある事態を見れば、相当深刻である。
アル・ゴア著『不都合な真実』(ランダムハウス講談社)が2800円の本体価格にもかかわらずよく売れている。温暖化の不気味さを人々が感じ始めたからなのだろう。それならば、書店店頭にはもっと地球環境を考える本が並んでいなければならない。しかし、実際には高定価な専門書が多く、売れないから置きにくい。マイナスのテーマだから、より売りにくいという悪循環なのだ。危機感は知らなければ怖くないが、危険が来てからでは遅い。若い人にこそ理解して欲しい問題だがそれもまた空疎かもしれない。でも、発信しなければならない。地球が危ないのだから。
『このままでは地球はあと10年で終わる!』(洋泉社MOOK952円)は高定価でも専門書でもない。最初のページには平均気温があと2~3度上昇した時の関東平野の地図。川崎、横浜、草加、越谷は水面下に沈んでいる。「我々の世代には無関係だろうと大方の人はタカをくくっているはずだ。ところが温暖化がもたらす地球の破局を回
避するために残された時間は実は10年しかない!これは根も葉もない憶測などではないし、脅しでもない。」そう語り始める。死の海、大型台風、疫病、水をめぐる戦いなどがやってくる。写真やイラストで知る現実が実に恐ろしい。ストップに必要なのは「少しばかりの想像力と勇気だけなのだ。」と、本書は結ぶ。
国連大学ゼロエミッションフォーラム編『地球温暖化今私たちにできること―市川市発・暮らしの中で3Rを実行する』(海象社1000円)は市川市、市川市教育委員会と国連大学~が共催した会のプログラムを収録したブックレット。3Rというのはリデュース(減量)、リユース、リサイクルで、生産の減量以外はいずれも身近でできることである。今まで5分別だったゴミを12分別にしたり、生ゴミを生産者と結んで堆肥化するモデル事業が紹介されている。市と住民が揃って、低エネルギー化を図っている様子に、世の中は棄てたもんじゃないと安心させられる。(遊友出版・斎藤一郎)

東京青年部が「夏の100冊」で読書推進

東京都書店商業組合青年部(小宮仁会長)は、店主の推薦本をアピールする読書運動「本屋オヤジ組」を昨年から展開しているが、広く推薦本を募って「夏の100冊」を作り、読書推進を図ることになった。
「本屋オヤジ組」は、店主が読んで感動した本を、推薦文や手書きの帯、POPなどで地域読者にアピールするもの。読者の関心を集め、店主のモチベーションを上げて店売の充実を後押しするなど様々な効果があったことから、青年部全体で推薦を募って夏の「東京青年部の100冊」として展開を図ることにした。
対象となるのは店主が読んで感動した文庫で、新刊既刊を問わない。推薦文は百字以内で手書きを基本とし、ハガキまたはFAXで東京組合事務局まで送付する。締切は6月7日の青年部総会当日まで。

新宿区の文化ガイドを販売/互助会規約改正案を承認/東京理事会

東京都書店商業組合(丸岡義博理事長)は4月3日に書店会館で定例理事会を開催した。主な報告・審議事項は以下の通り。
〔総務・財務委員会〕
東京都書店組合互助会は、改正保険業法の適用除外団体として存続を図る方針を決めていたが、3月に特定保険業者の届出を行ったことを報告。全ての給付対象金額を10万円以下とする規約改正案が示され、総代会に提案することを承認した。
〔事業・増売委員会〕
新宿区が区成立60周年を記念して発行した『新宿文化絵図―重ね地図付き新宿まち歩きガイド』について、書店での販売分は東京組合を通して販売すると報告があった。初版には新宿の町の江戸・明治・現在を重ね合わせて見ることができる「重ね地図」が付いており、早めの注文を呼びかけた。また、筑摩書房のちくまプリマー新書『われわれはどこへ行くのか?』(松井孝典著)を書店組合の推薦図書として取り上げてほしいと提案があり、これを了承した。
〔再販研究委員会〕
大田区の大森銀座商店街が始めたポイントカード事業について報告。百円買上げ当たり1ポイントをサービスするもので、非接触型ICカードを使っており、「PASMO」や「Suica」と連携も可能。岡嶋副理事長は「出版社3社に問い合わせたところ、『割引き類似行為に当たるが、1%程度の低率のポイントサービスに対して動くことは難しい』という回答だった。競争が激化すれば3%、5%というところが出てくる。さらに議論を深めて出版社にぶつけたい」と述べた。
〔流通改善委員会〕
TS流通協同組合の3月期売上げは882万8421円(前年比87・7%)で、発注件数は8758件(98・1%)、書店数は74書店(91・4%)と報告があった。

日書連のうごき

3月6日税制対策特別委員会に丸岡会長ほか役員が出席。
3月7日出版在庫情報整備研究委員会解散報告会に大川専務理事が出席。
3月8日ICタグ書店向け公開ヒアリングに井門副会長ほか役員が多数出席。出版平和堂維持会役員会に大川専務理事が出席。3月期決算法人説明会に石井総務部長が出席。
3月9日第50回全国学芸科学コンクール表彰式に大川専務理事が出席。全国万引犯罪防止機構に丸岡会長が出席。
3月12日雑誌愛読月間キャンペーン推進会議に舩坂常任委員が出席。
3月14日第10回JPO運営委員会に志賀副会長が出席。第46回全出版人大会協賛団体事務局打合せ会並びに、第18回出版関連業界電子タグ標準化委員会に大川専務理事が出席。「本の学校」東京運営委員会に石井総務部長が出席。第10回光文シエラザード贈呈式に丸岡会長が出席。
3月15日第6回活字文化推進会議に丸岡会長が出席。情報化推進で志賀副会長が小学館と集英社を訪問。
3月19日出版倫理協議会に大橋副会長ほか役員が出席。
3月20日東京ニュース通信社創立60周年記念祝賀会に丸岡会長が出席。
3月22日第1回リビング新聞「ミセスが選ぶBOOK大賞」贈呈式に丸岡会長が出席。
3月23日九州雑誌センター第3回取締役会と全国中小企業団体中央会第一八七回理事会に丸岡会長が出席。情報化推進で志賀副会長が大阪屋を訪問。「日本絵本賞」表彰式に丸岡会長が出席。
3月26日雑誌発売日本部委員会に長谷川理事ほか役員が出席。
3月27日日本図書普及役員会に丸岡会長ほか役員が出席。正副会長会議。活字文化振興出版会議運営委員会に大川専務理事が出席。
3月29日JPIC第34回定例評議員会、第79回定例理事会に丸岡会長ほか役員が出席。
3月30日日本出版クラブ理事会・評議員会に丸岡会長が出席。出版ゾーニング委員会に大橋副会長が出席。

馬場常務が専務に承認/経営企画部などを新設/トーハン人事・機構改革

トーハンは4月5日に人事異動と機構改革を発令した。役員人事では馬場章好常務が専務に、阿部好美、川上浩明、近藤敏貴の3取締役が常務に昇任。機構改革では、改革推進本部を廃止して経営企画部を新設。営業本部は風間本部長の下に馬場専務、佐久間上席執行役員、加藤部長の3副本部長を配して、営業力強化とシェア拡大のためのオペレーション統括部を新設した。取引部には経営支援室を設置。経営支援と既存店の底上げを図る。
〔役員人事〕(○昇任)
専務取締役○馬場章好
常務取締役○阿部好美
常務取締役○川上浩明
常務取締役○近藤敏貴
〔執行役員〕
委嘱営業副本部長兼任
専務馬場章好
委嘱特販第一部長
常務阿部好美
委嘱経営支援室長兼任
常務川上浩明
委嘱近畿営業部長
常務近藤敏貴
委嘱書籍部長、解開発営業部長委嘱
上席執行役員鈴木仁
委嘱ロジスティックス部長
執行役員栃木裕史
委嘱桶川品質管理担当ゼネラルマネジャー兼任、解トーハン桶川SCMセンターゼネラルマネジャー兼任委嘱
執行役員石井孝文
委嘱流通管理部長、解中部営業部長委嘱
執行役員野辺忠史
〔退任役員〕
執行役員書籍部長
野村博信
執行役員九州営業部長
岩田浩執行役員中国四国営業部長石川二三久
〔機構改革〕
【本部】
1、改革推進本部を廃止する。
【部・室】
2、経営企画部を新設し、改革推進部を廃止する。
3、ロジスティックス部を新設し、SCM推進部と桶川計画推進室を廃止する。
4、営業本部にオペレーション統括部を新設する。
5、営業本部にMD推進部を新設し、トーハン桶川SCMセンターに配置する。
6、取引部に経営支援室を新設する。
7、トーハン桶川SCMセンターに桶川DC部を新設する。
〔部長級人事〕
経営企画部長(改革推進部長)須崎浩
経営企画部GM(情報システム部GM)小倉俊一
ロジスティックス部GM兼MD推進部GM兼任(桶川計画推進室GM兼企画推進部長)関口晴生
営業副本部長(休職・他社出向)加藤悟
オペレーション統括部長(SCM特販部GM)
山田康平
MD推進部長(大阪支店長兼近畿トライスセンター長)岩田新治
書籍部GM(休職・他社出向)矢作孝志
開発営業部長(開発営業部GM・西日本担当)
豊田広宣
開発営業部ゼネラルマネジャー・西日本担当(特販第三部長)清水美成
開発営業部GM(休職・デジタルパブリッシングサービス出向)佐藤俊之
経営支援室GM兼任(取引部GM)柴豊
中部営業部長(北陸支店長)庄司和人
解休職、命中国四国営業部長(休職・他社出向)
小林進
九州営業部長(東北支店長)小野晴輝
九州営業部GM兼九州支店長(特販第一部SM)
奥村晴治
特販第三部長(特販第三部SM・第一グループ)
高田聡
トーハン桶川SCMセンター副センター長兼桶川DC部長(桶川計画推進室GM兼流通管理部長兼トーハン桶川SCMセンター副センター長)吉浜茂
任職員、命休職、デジタルパブリッシングサービス出向(書籍部長)
野村博信
現職、休職(ブックライナー出向)志賀国隆
任職員、命休職・他社出向(中国四国営業部長)
石川二三久
任職員、命休職・他社出向(九州営業部長)
岩田浩

栗田人事

(4月2日付、○昇格)
〈取締役〉
委嘱・営業推進部長
取締役柴原正隆
解・特販第二部長委嘱
取締役雪武史
〈部長・部長代理〉
特販第二部長(営業推進部長兼営業推進課長)
森孝弘
営業第一部長代理兼東部課長(営業第一部長代理)
小出直之
営業第四部長代理兼東海中部課長(営業第一部東部課長)○鈴木て津雄
営業第四部大阪支店長〔部長代理〕(雑誌仕入部長代理)大内浩幸
営業第四部九州支店長〔部長代理〕(営業第四部長代理兼東海中部課長)
川窪克誌
雑誌仕入部長代理(雑誌仕入部雑誌仕入調整課長)
○佐藤勉

取次各社で入社式

取次各社は4月2日に入社式を開催。トーハンは79名、日販は48名、栗田は6名の新入社員が出版業界の仲間入りをした。
【トーハン】
新入社員は79名(男子40名、女子39名)。本社8階大ホールで入社式を行い、山﨑社長が次の様にあいさつした。
「出版業界の全体状況ではマーケット規模は決して大きく伸長しているとはいえず、消費者・読者の購買行動も不透明さがぬぐえない状況にあると言わざるを得ない。トーハンは今大きな激動期の中にある。これまでのビジネスをどう伸ばしていくのか、そして新しいビジネスをどう構築していくのか、まさに正念場に差し掛かっている。トーハンが変革していく方向のキーワードは『読者』だ。書店さんとともに読者の意識にたってすべてを発想すること、これが今後のビジネスの拡大に直結する。桶川SCMセンターもこのような思いで構築したものだ。これから与えられた仕事が本当に読者の意識や目線に立脚したものなのか、大いに考え悩み、変革のための方策を模索してもらいたい。常にそれぞれが問題意識を持って事に臨むということが大事だ。これから辛いことや困難なことが多くあると思うが、自らすすんで数多くこなし、自分を鍛えていく必要がある。努力している人には必ず手が差し伸べられる。ぜひ個々人が強くなった上で強いチームが数々現場で出現していくことを願う」
【日販】
本社5階会議室で入社式を開催。今年度新入社員は48名(男子33名、女子15名)だった。式典は古屋社長のあいさつ、新入社員の答辞に続き、社歌を斉唱した。古屋社長のあいさつ要旨は以下。
「出版業界は10年もの間売上が低迷している。色々な環境変化はあるが、流通の仕組みや書店店頭のあり方が、読者ニーズに応えきれていないからだ。日販は数年前から出版流通の構造改革をしていこうと様々な挑戦をしてきた。昨年4月にスタートさせた3年間にわたる中期経営計画『NEXT』もその基本方針を『新たな成長を実現する構造改革の推進』としている。今年度の『NEXT』は王子流通センターのリニューアル計画と『HonyaClub』の2つの施策を中心に構造改革にはずみをつけていく。日販は現場の若手社員の意見が経営トップにまで伝わり、それを議論できる社風。好奇心を旺盛にして豊かな創造力を働かせ、それを形にしていく根気があれば、皆さんの夢を実現できる会社だ。我々を取り巻く環境はものすごいスピードで変化を続けている。この流れに押し流されることなく、常に一歩先を見つめ、挑戦を繰り返していく日販人になってほしい」
【栗田】
新入社員は6名(男子3名、女子3名)。本社3階会議室で入社式を挙行、その後新入社員紹介の全社朝礼を開催した。以下は郷田社長あいさつ要旨。
「当社は1918年に創業し来年90周年を迎える長い歴史のある会社だが、この間は厳しい時代もあり、様々な試練を受けてきている。先輩諸氏をはじめ役職員が知恵と工夫で乗り切り、今日があることを忘れてはならない。今日からは皆さんがその一員となって新しい栗田の歴史を作っていただきたい。現在当社は3年計画である中期経営計画の初年度として、目標達成に向け役職員一丸となって邁進している。社歴は古いが若い会社にしようと頑張っているところだ。なぜ自分が栗田を選んだのか、どういう仕事をしたいのか、その志を常に持ち、大きく成長し、一日も早く戦力になっていただきたい。そのためには疑問は先輩社員に質問し解決する。そして自分のものとした上で、自分の意見がきちんと表現できる社員になってほしい。若々しい力を会社の中で存分に発揮していただきたいと願っている。出版業界の一翼を担う栗田出版販売の社員として、誇りを持って業務に邁進することを期待する」

2007年第4回本屋大賞/受賞は『一瞬の風になれ』

書店員が選んだいちばん売りたい本「2007本屋大賞」に佐藤多佳子さんの『一瞬の風になれ』(講談社)が選ばれ、4月5日午後7時から東京・明治記念館で発表会が行われた。
本屋大賞は過去1年間に国内で刊行された小説を対象に、書店員の投票で選ぶ賞。今年は全国505書店、779名の書店員がエントリー。317書店、405名の一次投票で上位10作品をノミネートし、2次投票で受賞作を決定した。
授賞式で浜本茂本屋大賞実行委員長(本の雑誌社)は「本屋大賞は今年で4回目。第1回の小川洋子『博士の愛した数式』がベストセラーになり、昨年も『東京タワー』が選ばれ、話題になった。もともと書店員が読んだ本を推薦し、店頭を活性化する。店員のモチベーションを高め、仕事の誇りを取り戻そうというのが主旨だった。受賞作が売れたのは嬉しいが、ベストセラーになったのはおまけ」と述べ、あくまで書店員のための賞であることを強調した。
ゲストの筑摩書房松田哲夫氏は「候補作品は好きな作品ばかり。書店員のPOPや声かけでジワジワ売れる本が増えている。自分も大賞を取れる作品をプロデュースしたい」と祝辞。
大賞を受賞した佐藤多佳子さんは、学生時代、赤坂・金松堂書店で3日かけて『あしたのジョー』を立ち読みしたエピソードを紹介しながら、「書店員が選んだ賞として、ほんとうにありがたい」と、お礼の言葉を述べ、投票した書店員と一緒に記念撮影にのぞんだ。

ポプラ社持株会社に/6社傘下にグループで運営

ポプラ社は4月1日付で持株会社「ポプラホールディングス」を設立。旧ポプラ社から従業員と事業を新会社ポプラ社に譲渡し、ジャイブ、そうえん社など6社を傘下に収めるポプラ社グループとして運営していくことになった。
グループ各社のうち、ポプラコミュニケーションズは雑誌『プシコ』編集、ポプラ社小説大賞、イベントを運営、ジャイブはタカラ・トミーから移ってコミック系を中心にYA小説を出版。そうえん社は児童図書専門出版社。
3月26日に行われた記者説明会で坂井宏先社長は「ポプラ社は創業60年で、新創業を目指した。社員は全員解雇して退職金も払う。賃金制度は2005年より年功序列型から成果主義に移行しており、改めて社員の意欲を促したい。ポプラ社グループとして機動力を高め、より成長できる企業を目指す」と、グループ化の狙いを説明した。
また、創業60周年記念出版として、角野栄子の自薦童話集『ちいさなどうわたち』(パペット付特別セット、全6巻、税込セット定価6千3百円)を出版し、10万セットを目標に販売する。「近年、読み聞かせは活発で絵本は好調だが、小学校2年生、3年生が次の長い読物に移るあたりが弱い。そこを狙った企画」という。
◇㈱ポプラ社ホールディングス(旧ポプラ社)
代表取締役社長坂井宏先
専務取締役小沼保衛
取締役白土育代
取締役前田茂実
取締役飯田建
取締役(非常勤)斉藤幸司
監査役蜂須優之
◇㈱ポプラ社(新会社)
代表取締役社長坂井宏先
取締役白土育代
取締役前田茂実
取締役飯田建
監査役小沼保衛
◇㈱ポプラコミュニケーションズ
代表取締役社長坂井宏先
取締役○石川順恵
取締役○奥村傳
監査役前田茂実
◇㈱ジャイブ
代表取締役社長坂井宏先
専務取締役石川順恵
取締役佐藤秀
取締役○荻野民夫
取締役○小沼保衛
取締役○奥村傳
監査役前田茂実
◇㈱そうえん社
代表取締役会長坂井宏先
取締役社長○矢ヶ部博
取締役福島清
取締役小沼保衛
取締役遠藤正夫
取締役○伊澤みよ子
監査役前田茂実
◇㈱ポプラコミュニケーションネットワーク
代表取締役社長野村浩介
取締役奥村傳
取締役前田茂実
◇北京蒲蒲蘭文化発表展有限公司
董事長坂井宏先
董事石川郁子
(○新任)

第53回青少年読書感想文全国コンクール課題図書

〔小学校低学年〕『おじいちゃんのごくらくごくらく』西本鶏介作、長谷川義史絵、鈴木出版、『ぼくのパパはおおおとこ』カール・ノラック文、イングリッド・ゴドン絵、セーラー出版、『ハキちゃんの「はっぴょうします」』薫くみこ作、つちだのぶこ絵、佼成出版社、『はっぱじゃないよぼくがいる』姉崎一馬文・写真、アリス館
〔小学校中学年〕『りんごあげるね』さえぐさひろこ作、いしいつとむ絵、童心社、『ゆりかごは口の中』桜井敦史著、ポプラ社、『ピトゥスの動物園』サバスティア・スリバス著、スギヤマカナヨ絵、あすなろ書房、『干し柿』西村豊写真・文、あかね書房
〔小学校高学年〕『七草小屋のふしぎなわすれもの』島村木綿子作、菊池恭子絵、国土社、『平和の種をまくボスニアの少女エミナ』大塚敦子写真・文、岩崎書店、『両親をしつけよう!』ピート・ジョンソン作、ささめやゆき絵、文研出版、『あきらめないこと、それが冒険だ』野口健著、学習研究社
〔中学校〕『レネット金色の林檎』名木田恵子作、金の星社、『一億百万光年先に住むウサギ』那須田淳作、理論社、『世界一おいしい火山の本チョコやココアで噴火実験』林信太郎著、川野郁代イラスト、小峰書店
〔高等学校〕『てのひらの中の宇宙』川端裕人著、角川書店、『ぼくたちの砦』エリザベス・レアード作、評論社、『泣き虫しょったんの奇跡』瀬川晶司著、講談社

栗田、ブックサービスの経営権取得

栗田出版販売は4月2日、ヤマトホールディングス㈱からブックサービス㈱(久保田妙子社長)の発行済株式の70%を取得、出資比率を90%へ引き上げ、経営を譲り受けた。
ブックサービスは昭和61年10月、ヤマト運輸㈱(現ヤマトホールディングス)と栗田が共同出資で設立した書籍宅配事業の会社で、平成11年12月に栗田が開始した「本やさん直行便」サービスの提携先。今回の経営権獲得により書店客注のスピードアップによるサービス向上が図れ、書籍通販事業の拡大も狙い。ブックサービスは同日付で以下の通り役員を改選した。
ブックサービス役員
代表取締役社長(留任)久保田妙子
取締役(留任)河本正美
同(新任)雪武史
同(新任)阿部隆
監査役(新任)米沢明男

小学館文庫小説賞

第8回小学館文庫小説賞
に石野文香氏『パークチルドレン』、中嶋隆氏『廓の与右衛門恋の顛末』の2作が決まり、3月29日正午から一ツ橋・如水会館で贈賞式が行われた。
同賞はエンターテインメントから純文学までジャンルを問わず新しい才能の発掘を目的にしたもの。今回は586編の応募の中から小学館出版局文庫・文芸編集部員が3次にわたる選考で受賞作を決めた。
贈賞式では小学館白井専務が「第1回受賞作の『感染』は文庫で13万部とブレイクし、第6回の『あなたへ』も7万部になった。編集部が読者の視線で選ぶ賞として定着してきたことを喜んでいる」とあいさつ。早稲田大学教授で江戸文学研究者の中嶋氏は「小説は書き始めて2年だが、元禄時代を背景に仕事で疲れたサラリーマンが電車で読めるような小説を書いていきたい」と受賞のあいさつを行った。

大阪屋物流を設立

大阪屋は4月3日、新会社「㈱大阪屋物流」を設立した。資本金9千万円。新会社の社長は大阪屋三好勇治社長が兼務する。
新会社は大阪屋の物流を担う運送会社と共同し、安全で安定した物流ネットワークを広く活用していくことを目的に設立。本社営業所は大阪市西区の大阪屋に置き、関東営業所、大阪営業所を開業した。貨物利用運送を主に関連業務を拡大させ、初年度20億円の年商を見込んでいる。

本屋のうちそと

本店と支店を毎日往復している。車で20分弱だからさしたる距離ではないのだが、途中、学校を通り、川を渡り、山際を走る行程はそれなりに季節を感じるのには十分である。今は桜。校庭沿いの短い並木、そして名所パノラマビューの堤防の桜並木。山桜は中腹と頂上の開花時差が目に楽しい。そして中、高、大学に囲まれた立地の本店にはこの時期新しい学生たちがやってくる。
学校や住居の近辺探索的な見慣れない顔がちらほら。広くもない店内をあちこち眺めながら本を物色。そんな彼らを出迎えるのが、正面通路の真中に置かれたダンボール箱内で熟睡している19歳の年寄りの猫である。まじまじと見つめて「あっ、生きてる!」死んだ猫をダンボールに入れて店に置いておく本屋があるかってんだ!「人形かと思った!」人形を箱に入れて床に置いておく本屋もないだろう!と心の中で突っ込みながら、彼らが選ぶ本は?とみていたらやはりシリーズ最新刊「涼宮ハルヒの分裂」がダントツで即完売。この本が読書のきっかけになったという評判のこのシリーズ、おじさんは第一巻にアタックすること数回。いまだ読破かなわず。開業した30年前は角川や早川、東京創元のSFなどを中心に学生に薦めたりしていたのはやはりまだ若かったからかな。とはいっても現在のライトノベルズが全てだめな訳でもなく、「図書館戦争」の有川浩など何人かの作家はクリアしているからくじけずにチャレンジ、チャレンジ。本って本当におもしろいから。(理)

話題の本

◇『書店ほどたのしい商売はない』
阿佐ヶ谷、高井戸、晴海など都内を中心に11店舗を経営する「書原」上村卓夫社長の個性的な店舗運営、経営哲学をインタビューでまとめる。聞き手は出版営業のベテラン、遊友出版・斎藤一郎、ベレ出版・内田眞吾の両氏。商品の繋がりを重視した平台、売上げスリップの分析で時代のキーワードを発見するなど氏の職人気質を探り、書店経営の醍醐味、中小書店の仕事と使命を考える。
四六判216頁、定価本体1500円、日本エディタースクール出版部。