全国書店新聞
             

令和元年12月1日号

12月18日に出版販売年末懇親会

日書連は12月18日(水)午後6時から、東京・千代田区の帝国ホテルで恒例の「出版販売年末懇親会」を開催する。
書店が主催する出版業界の懇親の場として、出版社、取次、業界関連団体などを招いて毎年行っているもので、同ホテルの本館中2階「光の間」を会場に開催する。

フローラル出版『史上最強のCEO』増売企画を説明/東京組合理事会

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は11月6日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。各委員会の主な審議・報告事項は以下の通り。
〔事業・読書推進委員会〕
フローラル出版、集英社の担当者が増売企画の説明を行った。
フローラル出版は、12月11日発売予定の『史上最強のCEO』(ジェームス・スキナー著)について説明した。著者のスキナー氏は、アメリカ最大級の研修会社、フランクリン・コヴィー社の日本支社長などを務め、ベストセラー『7つの習慣』を日本に紹介したことでも知られる。同書は、著者の豊かな実績と経験に裏付けられたビジネスの原理原則を惜しみなく公開するもの。初版100万部で発売し、アマゾンジャパンには出荷せず、書店への応援施策として仕入1部に対して100円、実売1部に対して100円の販促支援金を支払う。書店とは、発刊日から3ヵ月は重点販売することなどを参加条件とした覚書を交わした上で受注すると説明した。集英社は10月25日発売した『博学王131/2のビックリ大図鑑』について説明。ジャンルを問わず知的好奇心を刺激する80のテーマを斬新なビジュアルで紹介する図鑑で、「地球の構造」など基礎的なものから、「チョコレート」「武士道」といったマニアックなテーマも深堀りする。1テーマにつき13の知識と、「考える力」が育つプラスアルファのエピソードで解説している。低年齢層から大人まで年代別の楽しみ方ができる「知の入口」となる図鑑として、拡販を要請した。
「読者謝恩図書カード」は出版社から合計18・5口の協賛を得て発行し、11月27日より事務局での販売を開始すると報告した。
〔総務・財務委員会〕
10月26日~27日に開催された「第29回神保町ブックフェスティバル」について、約13万人が来場し、出版物の売上は6500万円にのぼったと説明。青年部がワゴン2台を出展したと報告した。
令和2年1月~5月の理事会等の日程を次の通り承認した。
▽理事会=1月休会、2月4日(火)、3月3日(火)、4月2日(木)、4月24日(金)臨時理事会、5月休会。
▽新年懇親会=1月15日(水)
▽通常総代会=5月20日(水)
〔組織委員会〕
名義変更2件、脱退1件を報告した。
〔厚生・倫理委員会〕
令和2年新年懇親会の案内状を、11月13日に出版社、取次、全組合員他宛に発送すると説明。組合員は12月20日までに支部長宛に出欠票をFAXまたは郵送するよう求めた。

1等賞はじめ各当せん番号を決定/「読書週間書店くじ」抽せん会

日書連が主催する「読書週間書店くじ」の抽せん会が11月13日午後0時半から東京・千代田区の書店会館会議室で開催され、「書店くじ」の協賛社、協賛団体、日書連役員の立会いのもと、1等賞「図書カード5千円」から4等賞まで各賞の当せん番号を決定した。読者への当せん番号発表は、12月5日(木)に日書連ホームページと書店店頭掲示ポスターにより行う。
今年で第46回を迎える「読書週間書店くじ」は、10月27日から11月9日まで行われる「読書週間」の協賛行事として、読者謝恩、店頭活性化と増売を目的に実施している。
抽せん会は読書推進委員会・春井宏之委員長の司会で進行。書店くじの抽せんは、0から9までの番号を記した10個のボールを抽せん箱に入れ、中からボールを1個取り出す方法により実施した。日本書籍出版協会の樋口清一事務局長、日本雑誌協会の堀口大吾氏、日本出版取次協会の松尾靖事務局長、読書推進運動協議会の小塚昌弘事務局長、日本図書普及の平井茂社長が1番から5番までの抽せん箱を担当し、1等賞から4等賞までの当せん番号を決定した。
日書連の矢幡秀治会長は、「書店くじはうちの店でもとても楽しみにしている方がいて、100円でも『当たった』とすごく喜んでくれる。私も毎年楽しみに実施している。当せん番号は12月5日に店頭に掲出するので、書店にまた足を運んでくれる方が多くなればいいなと思っている」とあいさつした。
書店くじの引き換え期間は、12月5日(木)の当せん番号発表から令和2年1月10日(金)まで。書店で賞品に立て替えた当せん券は、当せん番号発表ポスターと同送する「引換当せん券・清算用紙」に必要事項を記入の上、一緒に同1月31日(金)までに日書連事務局へ送付する。
当せん番号発表ポスターは、日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)からダウンロードして印刷することもできる。

BOOKEXPO2019秋の陣/商談成立額1億円超える/過去最多239社が出展

関西の大商談会「BOOKEXPO2019秋の陣~楽しめ!書店人~」(主催=同実行委員会、後援=日書連など)が11月6日、大阪市北区のグランフロント大阪で開かれた。
9回目の今回は、過去最多となる239社・251ブースが出展。1852名が来場した。内訳は書店1029名、出展社716名、取次74名、報道12名、その他21名。商談成立件数は5397件(昨年5563件)、商談成立金額は前年比0・1%増の1億312万3537円(昨年1億292万6622円)となった。
開会セレモニーで、洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)は「売らなくては前に行かない。仕入れなければ返品率は下がらない。しっかり商談しよう」とあいさつした。
続いて、「目指せPOP王!『西日本POP王決定戦』」の「手書きPOP」「ディスプレイ」各部門の受賞者を発表。金銀銅賞、佳作の表彰式を行った。上位入賞作品の写真展示コーナーも好評だった。
また、第7回「大阪ほんま本大賞」を『天下一の軽口男』(幻冬舎)で受賞した木下昌輝氏、第7回「京都本大賞」を『京都府警あやかし課の事件簿』(PHP研究所)で受賞した天花寺さやか氏のサイン会を開催し、参加者に店頭POP用のサイン色紙をプレゼントした。
会場には一般書・第3商材、コミック、児童書の各コーナーが設けられ、商談や情報交換が熱心に行われた。
児童書コーナーでは、絵本作家の谷口智則氏のサイン会に加え、手書きPOPのワークショップを実施。谷口氏の直接指導のもと、店頭でそのまま活かせるPOP作りを行った。

ジャズの街・神戸で「本の日」イベント/作家松宮宏氏のトーク&ジャズ演奏/井戸書店

兵庫県神戸市須磨区の井戸書店(森忠延社長)は10月19日、「本の日」イベントとして、「『アンフォゲッタブル』~記憶に残る本と曲を!」を開催。神戸在住の作家・松宮宏氏のトークショーと、こちらも神戸在住のミュージシャン・山本真央氏(オルガン)と藪下ガク氏(ギター)によるジャズ演奏で、店舗内に設けた会場を沸かせた。
神戸を舞台とした小説で定評のある松宮氏だが、今年4月には『アンフォゲッタブルはじまりの街、神戸で生まれる絆』(徳間書店)を刊行。様々な環境の人たちが、日本で最初にジャズバンドが生まれた街・神戸で、ジャズをきっかけに知り合い、神戸の再開発を巡る騒動に巻き込まれながら、逞しく生きていく姿を描いている。
トークショーで、松宮氏は同作をはじめ小説の創作方法や秘話などを語った。また、トークの合間には、『アンフォゲッタブル~』に登場するジャズの名曲を山本氏と藪下氏が演奏。活字に音楽を絡めることで、作品の世界観を深く聴衆に伝えた。

京都本大賞、『京都府警あやかし課の事件簿』(PHP研究所)が受賞/ガイド本大賞・リピーター賞とも関西出版社に

京都の書店員と一般読者が投票で選ぶ第7回「京都本大賞」、第6回「京都ガイド本大賞」、同「京都ガイド本大賞リピーター賞」の授賞式が10月31日、京都市中京区の京都書店会館で開催され、各大賞が発表された。京都府内の書店・取次・出版社などで構成する実行委員会が主催、京都府書店商業組合が後援。
過去1年間に発刊された京都府を舞台にした小説の中から最も地元の人々に読んでほしい小説を選ぶ「京都本大賞」は天花寺さやか『京都府警あやかし課の事件簿』(京都市・PHP研究所、定価本体720円)、初めての京都観光に役立つ「京都ガイド本大賞」は『京都案内』(京都市・リーフ・パブリケーションズ、同900円)、京都のコアなファン向けの「京都ガイド本大賞リピーター賞」は『体験が楽しい!京都本』(大阪市・京阪神エルマガジン社、同880円)に決定した。3賞とも関西の出版社が受賞するのは初めて。
授賞式では、「京都本大賞」を受賞した天花寺氏に洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)から盾と賞状を贈呈した。天花寺氏は「生まれ育った京都で日頃感じることを書きたいと思っていた。誠実に、感謝と謙虚の気持ちで、今後も物語を書き続けたい」と喜びを語った。
『京都案内』の担当編集者・中野さやか氏は「念願の受賞で名誉なこと。シンプルなタイトルだが、他のガイドブックに載っていないような地元の店を多く掲載した」、『体験が楽しい!京都本』の担当編集者・井鍋槙氏は「3年前にガイド本大賞をいただき、今回で2冠を達成できた。3冠、4冠を目指したい。物より経験を大切にする風潮と、今回の受賞作の内容が合致したのだと思う。京都に関する本を毎年6冊程度発行しているが、まだまだ網羅しきれない」と話した。
なお、天花寺氏の新刊『京都府警あやかし課の事件簿』第3巻の発売に伴い、来年1月25日、京都市南区のPHP研究所京都本部で、組合加盟書店で購入した読者を対象にサイン会を開催することが決まった。(若林久嗣広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「下を向いて歩こう」/神奈川・金文堂書店信濃屋書店取締役・山本雅之

小雪になり僧侶さえ忙しなくなると、星空が一層魅惑的になる。昭和の名曲に「上を向いて歩こう」があるが、普段の生活で上を向いて歩くことは滅多にない。理由は簡単。危険だから。
日常意識せずにいたが、ある時から気を引くものが道路上にあることに気付いた。それは「マンホール」。マンホールに関する本を検索すると、何やらそそる本が見つかった。池上修・池上和子共著『町自慢、マンホール蓋700枚。』(論創社)である。全国各地の特徴・名産・名所旧跡・自然と、おらが街の自慢出来るものはほとんどマンホール蓋のデザインになり、図柄・種類・大きさも多種多様で楽しい。ちなみに、我が横須賀ではペリー提督がデザインに使われている。
マンホール蓋は静かなブームとなっており、「日本マンホール蓋学会」というものがある。その魅力にとりつかれた「蓋女(ふたじょ)」も登場。コースター、バッグ、Tシャツといったグッズも出回っている。約20年前から、蓋の寿命の問題と地域活性化、町おこしが相俟って、図柄の見直しやカラー化の動きも出始めている。
マンホールは用途別に上・下水道、消火栓、ガス、電信電話とある。近年、大規模自然災害で、洪水や大停電に見舞われることが多くなった。電線の地中化や公共工事は一足飛びにはいかないが、地下の役割と需要を今一度考慮すべき時だ。下を向いて歩き、マンホール蓋のデザインを楽しみながら、今後のこの国のあり方について思いを巡らせてみたい。

大阪・ブックプラザの藤田氏が受賞/府青少年健全育成優良店

令和1年度「大阪府青少年健全育成優良店表彰式」が11月6日、大阪市中央区のホテルプリムローズ大阪で開催され、羽曳野市・ブックプラザの藤田彰氏が受賞。田中清剛・大阪府副知事から賞状を授与された。
大阪府青少年健全育成条例の実効性を高め、青少年にとって良好な社会環境づくりを進めるため、他の模範となる優良店として大阪府が顕彰。
藤田氏は地元地域の読書活動や子供会活動を永きにわたって支援。組合活動では、長年、出版販売倫理委員長として大阪府警の外郭団体である青少年環境問題協議会の万引き防止活動に携わってきたことが評価された。(石尾義彦事務局長)

日本最大級の文具の祭典/「文具女子博」12月12日から4日間開催

日販は12月12日~15日の4日間、東京・大田区の東京流通センターで、「見て・触れて・買える」日本最大級の文具の祭典「文具女子博」を開催する。
近年の文具熱の高まりを受け、2017年に第1回を開催し、昨年開催の第2回は3日間で延べ3万5千人が来場。いずれも盛況となった。第3回の今年は会期を3日間から4日間に拡大。前売入場チケットは即日完売しているが、会場で当日料金を払えば入場できる。男性も入場できる。
今年のテーマは「文具浪漫」。新しくメーカー30社が加わり、過去最多の133社が参加。取り扱いアイテム数は約5万点となった。レトロモダンなデザインの文具や、おなじみの文具とのコラボグッズをはじめ、ここでしか買えない商品も多数用意している。
また、香りのする絵具「香の具」の塗り絵体験ワークショップや「測量野帳」のデコレーションなど、今年初登場のコンテンツを多数ラインアップ。テーマの「文具浪漫」に合わせて、レトロな縁日を連想させる「セロテープde輪投げ」など、体験型コンテンツも充実している。

10月期は前年比6・0%減/『鬼滅の刃』の好調受けコミック・新書が前年超え/日販調査店頭売上

日販調べの10月期店頭売上は前年比6・0%減。前回の消費税増税時の14年4月は6・5%減だったが、今回はほぼ同水準で推移。10月中旬以降、首都圏を中心に荒天の影響を受けながらも、大幅な落ち込みは見られなかった。また、4月からテレビアニメの放映が開始されて人気に火がついた「鬼滅の刃」関連作品の好調を受け、コミック・新書ジャンルが前年超えとなった。
雑誌は同7・2%減。月刊誌は「Myojo12月号」(集英社)が通常版と表紙違い版の2種類が発売されてともに完売し、売上を牽引した。
書籍は同9・8%減。新書は吾峠呼世晴『鬼滅の刃片羽の蝶』(集英社)と宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社)が売上を牽引し、6・6%増。児童書は前年超えはならなかったが、山崎聡一郎『こども六法』(弘文社)、トロル『おしりたんていラッキーキャットはだれのてに!』(ポプラ社)が好調だった。
コミックは3・2%増。雑誌扱いコミックは、新刊では尾田栄一郎『ONEPIECE94』(集英社)、吾峠呼世晴『鬼滅の刃17』(集英社)が売上を伸ばした。「鬼滅の刃」は9月にテレビアニメの放送が終了したにも関わらず、既刊も売上を伸ばし続けている。書籍扱いコミックスは、あやめぐむ『デスマーチからはじまる異世界狂想曲9』(KADOKAWA)が売上を牽引した。コミック全体では前月から3・4ポイント改善し、3ヵ月ぶりに前年超えとなった。

第35回梓会出版文化賞/ジャパンマシニスト社に決まる

出版梓会(今村正樹理事長=偕成社)は11月1日、優れた出版活動を継続して展開している中小出版社の活動を顕彰する第35回梓会出版文化賞がジャパンマシニスト社(東京)に決定したと発表した。選考対象となった73社の自薦応募社から選ばれた。
また、同・特別賞は西日本出版社(大阪)、第16回出版梓会新聞社学芸文化賞は柏書房(東京)と有斐閣(東京)に決まった。
贈呈式は20年1月15日午後5時半、東京・千代田区の如水会館で開かれる。

九州選書市、出展社と来場者さらに増やす/福岡理事会

福岡県書店商業組合(安永寛理事長)は10月21日、福岡市中央区の組合会議室で定例理事会を開催。9月18日に福岡市中央区の電気ビルみらいホールで開催した「九州選書市2019(大商談会)」が盛況裏に終了したことを報告した。
安永理事長は「今回の九州選書市は、過去最多の出版社135社が出展。会場のレイアウトを見直すことで、次回はさらに出展社を増やしたい。出版社や来場者からのアンケート結果や実行委員会の反省会で出た意見・問題点を踏まえ、出来るところから改善していく。さらに来場者が増えるよう工夫を凝らし、来てよかったと思われる選書市にしたい」と述べた。次回の開催については、現在のところ20年9月3日(木)で調整中。
各支部報告では、北九州支部が10月17日、福岡支部が10月21日、筑後支部が9月25日、筑豊支部が10月26日に、それぞれ支部総会を開いたと報告があった。
また、11月20日に福岡市中央区のタカクラホテル福岡で開催する第41期通常総会および懇親会に出席してほしいと、加来晋也総務・広報委員長が呼びかけた。
(加来晋也広報委員)

台風19号被災書店に見舞金/再生支援財団支給30万円を分配へ/静岡総会

静岡県書店商業組合は10月24日、静岡市葵区のクーポール会館で第32回通常総会を開催し、組合員80名(委任状含む)が出席。台風19号で被災した組合加盟書店に対して、全国書店再生支援財団から静岡組合に支給された見舞金を、被害状況調査にもとづいて分配することを決めた。
総会は佐塚慎己副理事長の司会で進行し、吉見光太郎理事長があいさつ。「昨今の書店を取り巻く厳しい状況を乗り越えていくため、県下の組合加盟書店に有益な情報を今まで以上に提供し共有していく」と述べ、協力を呼びかけた。
各委員会からの報告の後、11月19日・20日開催の「図書館ブックフェア2019総合図書展示会」、12月3日開催の「しぞ~か本の日!書店大商談会」について話し合った。
また、吉見理事長は「猛威を振るった台風19号により被害を受けた当県は、10月17日開催の日書連定例理事会の席上、全国書店再生支援財団から30万円の見舞金を受け取った」と報告。県下の全組合加盟書店に被害状況調査票を送り、その結果にもとづいて事務局が適切に見舞金を分配することを決定した。
続いて林美樹夫事務局長を議長に選任して議案審議を行い、2019年度事業報告、決算書、監査報告、20年度事業計画案などすべての議案を原案通り承認した。
また、沼田渉理事(サガミヤ)が勇退し、後任理事に長倉一正氏(長倉書店)を選出した。沼田氏は昭和60年に監事に就任し、以来、34年の長きにわたり組合の発展に尽力してきた。
なお、新年総会は20年1月17日、浜松市西区の舘山寺サゴーロイヤルホテルで開催する予定。
(佐塚慎己広報委員)

売上高伸長率マイナス3・26%/前年割れは24年連続に/トーハン書店経営の実態

トーハンは、全国99企業591店舗の経営資料を集計分析した2019年度版『書店経営の実態』を発行した。これによると、平均売上高伸長率はマイナス3・26%(前年マイナス5・19%)で、24年連続のマイナス成長となった。
『書店経営の実態』は、売上高対経常利益率が0・0%以上の企業を「健全企業」、0・0%未満の企業を「欠損企業」として分析している。売上高伸長率をみると、健全企業がマイナス2・85%(前年マイナス4・75%)、欠損企業がマイナス3・81%(同マイナス5・78%)で、総平均でマイナス3・26%(同マイナス5・19%)と、24年連続の前年割れになった。
従事者1人当りの売上高は、健全企業が2266万4千円、欠損企業が2103万1千円で、総平均では2202万5千円と前年比42万1千円減少した。売場1坪当り売上高は、健全企業が143万6千円、欠損企業が120万4千円。総平均では134万1千円と前年比9千円増加した。
売上高対粗利益率は書店業界では20~23%が平均的といわれる。健全企業は24・64%、欠損企業は24・44%で総平均では24・57%(同24・01%)となった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は総平均でマイナス0・36%(同0・02%)。健全企業は0・33%だったが、欠損企業はマイナス1・54%。売上高対経常利益率は健全企業が1・08%、欠損企業がマイナス0・74%で、総平均は0・41%(同0・57%)になった。
売上高対販売費・管理費率は総平均で24・93%(同23・99%)。健全企業は24・31%、欠損企業は25・98%だった。また、売上高対人件費率は総平均で12・24%(同11・62%)。健全企業は12・20%、欠損企業は12・31%だった。
事業に投下された資本総額の回転速度を示す総資本回転率は、書店経営では約2回転が目安。総平均は前年と同じ1・69回で、健全企業が1・71回、欠損企業が1・55回だった。商品回転率は健全企業4・37回、欠損企業3・86回で、総平均は前年比0・01回減の4・19回となった。
粗利益対経費率は、販売費及び一般管理費が粗利益に占める割合をみるもので、収益が厳しい低成長期には特に重要になる。総平均では101・47%(同99・92%)で、健全企業が98・66%に対し欠損企業が106・30%だった。労働分配率は50%以下が目標とされるが、健全企業が49・51%、欠損企業が50・37%で、総平均では49・82%(同48・40%)になった。
従事者1人当りの粗利益高をみると、健全企業558万4千円に対し欠損企業514万円。総平均で前年比2万3千円増の541万2千円だった。
売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標だが、健全企業107・68%、欠損企業94・34%で、総平均では前年比2・11ポイント増加して102・95%になった。
流動比率は、1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスをみることで短期支払い能力を表す指標で、130%以上の確保が望ましい。健全企業は163・73%、欠損企業は100・33%で、総平均は前年比7・56ポイント減の128・37%となった。
当座比率は、即座に現金化が可能な当座資産と流動負債のバランスを見る指標で、即時支払い能力を表す。健全企業は57・75%、欠損企業が26・18%で、総平均は同4・5%減の40・14%となった。
総資本に占める純資産(自己資本)の割合を示す自己資本比率は、健全企業が32・11%、欠損企業が15・59%で、総平均は前年比1・88ポイント増の25・66%だった。固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は118・84%、欠損企業は168・31%で、総平均は前年比14・24ポイント減の130・55%だった。
店舗単位での売上高伸長率は、前年のマイナス5・2%に対しマイナス3・2%と、前年に比べマイナス幅が縮小した。
売上高伸長率を売場規模別にみると、最も下げ幅が大きかったのが200~400坪未満のマイナス3・3%。立地環境別では、住宅地がマイナス3・6%と振るわなかった。売上規模別では、5千万円未満がマイナス5・9%と不振が目立った。地域別では、関東の下げが最も大きく、マイナス4・0%と落ち込んだ。
複合型書店の調査では、書籍・雑誌以外の売上構成が20%以上の店舗を複合型書店、20%未満を本専業店に分類。複合型書店の売上高伸長率を部門別にみると、レンタル複合店がマイナス4・9%、セルCD・DVD複合店がマイナス3・7%、文具複合店がマイナス1・7%、雑貨複合店がマイナス1・8%、その他の商材複合店がマイナス3・9%で、本専業店はマイナス3・3%だった。
2019年版『書店経営の実態』(B5判、42ページ、頒価税込み1540円)に関する問い合わせは、トーハン・コンサルティングまで。℡03―3266―9623

帝国データバンク/出版関連業者の経営実態調査/取次の売上高、10年で25%減少

帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(約147万社収録)から、2019年9月時点での出版社、出版取次及び書店経営を主業とする企業4734社を抽出して「出版関連業者」と定義し売上高合計、企業実態などを分析したレポートを発表した。同レポートでは、「出版社」については新聞社を除き、「書店経営」は店頭販売を行う書店のほかに、中古書店やネット販売も扱う業者を含めている。
2008年度及び13年度から18年度まで売上高が判明した出版関連業者3740社をみると、18年度の出版社の売上高合計は1兆6036億4700万円で前年度比0・2%減少し、2年連続のマイナスに。取次は1兆5195億3200万円(同4・3%減)で5年連続の減少、書店経営は1兆652億6000万円(同1・3%減)で3年連続の減少になった。業界全体として10年前の08年度比でみると、減少率は2桁を超え、取次では25%の減となった。
出版関連業者4734社のうち18年度の「売上規模」が判明した4724社をみると、全体では「1億円未満」が2438社(構成比51・6%)で最も多く、次いで「1億~10億円未満」が1794社(同38・0%)となった。全業種ともに小規模事業者が多く、特に書店経営業者は「1億円未満」の構成比が最も高く全体の57・4%を占めている。
出版関連業者4734社を「都道府県別」にみると、全業種で「東京都」がトップとなり、全体でみると2位の「大阪府」の8倍以上と突出している。3業種それぞれにみても、「大阪府」「北海道」「愛知県」など主要都市を有する都道府県に多いという分布になった。
レポートのまとめでは企業の動向について、出版社では、デジタル分野の販促強化で雑誌の落ち込みをカバーした企業、取次では、教科書の一部改定や道徳の授業の教科書化における学習商材の販売数を増加した企業、書店経営では、店舗のスクラップアンドビルドを進め、書籍・雑誌以外の雑貨や文房具など多角的に店舗を展開した企業がみられたと紹介。
また、入場料を取る書店や、日販とトーハンの物流協業化による業務効率化、アマゾンジャパンの買切方式導入など業界それぞれの変革も注目されているとし、「紙からデジタル化への対応のみならず、新たなビジネスモデルを模索する動きがある。しかし本業以外のノウハウが未熟であるような業者においては、投資次第では倒産につながるリスクともなりかねない」と指摘している。

ところざわサクラタウン、20年7月オープン/クールジャパンの発信拠点/KADOKAWA、角川文化振興財団

KADOKAWAと角川文化振興財団は10月31日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で、埼玉県所沢市に来年オープンする「ところざわサクラタウン・角川武蔵野ミュージアム」の事業発表会を行った。
ところざわサクラタウンは、KADOKAWAが運営する新オフィス「所沢キャンパス」と書籍製造・物流工場、イベントホール「ジャパンパビリオン」、ホテル「EJアニメホテル」、直営書店「ダ・ヴィンチストア」、ショップ&レストランや、角川文化振興財団が運営する文化複合施設「角川武蔵野ミュージアム」などから構成され、延床面積は8万4000平方㍍。所沢市との共同プロジェクト「COOLJAPANFOREST構想」の拠点施設として事業を進めている。
同施設は20年4月30日に竣工予定。6月6日に角川武蔵野ミュージアムがプレオープン、7月17日にところざわサクラタウンがグランドオープンする。書籍製造工場は7月15日、物流倉庫は12月29日稼働し、21年4月には書籍製造・物流工場のフル操業を開始する。施設への来場者は、国内のアニメ・ゲームファン、訪日外国人、地域住民、従業員・業務訪問客など年間140万~180万人を見込んでいる。
事業発表会では、KADOKAWAの松原眞樹社長が同社の経営戦略を説明した。松原社長は、デジタル化の進化やSNSとUGC(一般ユーザーが作ったコンテンツ)の進化など事業環境に大きな変化が起きる中、同社はIP(知的財産)とITを主体とする会社に変貌しているとして、「事業の中身が大きく変わり、売上のうち紙の書籍・雑誌の割合が25%を切り、電子書籍が紙の半分以上に拡大している。MD(商品政策)やライツビジネス、広告、映画・映像、ゲーム、ウェブサービスなど、多様に分化した重層的な事業ポートフォリオになっている。今後2、3年でデジタルを軸とした構造改革を完成させ、次の改革へ進みたい」と述べた。
また、高い返品率や輸送問題により、「紙の出版ビジネスは事業として持続が難しくなる」と危惧を表明。今後も原点は紙の出版物にこだわっていくとして、ところざわサクラタウンに建設する書籍製造・物流工場の活用で出版業界の負託に応えたいと話した。
KADOKAWAの角川歴彦会長(角川文化振興財団理事長)は、「COOLJAPANFOREST構想」について説明。角川会長は、「所沢市民から『KADOKAWAなら文化を所沢に持ち込んでくれる』と期待を寄せられている。所沢は昔から豊かな文化を築いてきたが、住民の方にはそれが今は見えない形になっている。その掘り起こしをしなければならないと感じた」と語り、美術、映画・動画、出版、教育の4部門を柱に、武蔵野そのものをミュージアムとした「武蔵野回廊国際芸術祭」を実施したいとの構想を披露した。

訪れてみたいアニメ聖地88/アニメツーリズム協会が20年版を発表

アニメツーリズム協会は10月29日、東京・千代田区のベルサール九段で、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2020年版)」を発表。88作品のモデル・舞台となった99ヵ所、および26の関連施設・イベントを選定した。今回は、北海道函館市を舞台にした『ラブライブ!サンシャイン!!』など12作品を新たに選んだ。
世界で人気のアニメを地域創生や新たなインバウンド需要に結び付けることを目的に17年に初めて選定・発表し、3回目となる。今回は6月1日から9月22日まで投票を実施し、世界60ヵ国・地域のアニメファンから昨年の倍以上となる8万票が集まった。内訳は国内37%、海外が63%を占めた。海外は1位中国、2位香港、3位台湾とアジアからの投票が目立った。
同協会の角川歴彦理事長(KADOKAWA)は「年々、海外からの投票が増え、関心の高まりを実感している。京都アニメーションの不幸な事件があったが、それを乗り越えてアニメを発展させていかないといけない」と述べた。
テーマ別観光による地方誘客事業の一環として同協会を支援する観光庁の田端浩長官は、「地域の皆さんにとって自らの地域価値を再認識し、地域活性化を進める契機となることを期待する」と述べた。
今回、新規選定された作品は次の通り。
『ラブライブ!サンシャイン!!』(北海道函館市)
『フライングベイビーズ』(福島県いわき市)
『BanGDream!(バンドリ!)』(東京都・都電荒川線早稲田駅近辺)
『さらざんまい』(東京都台東区)
『ゲゲゲの鬼太郎』(東京都調布市)
『JustBecause!』(神奈川県藤沢市)
『ガーリー・エアフォース』(石川県小松市)
『八十亀ちゃんかんさつにっき』(愛知県名古屋市)
『ゲゲゲの鬼太郎』(鳥取県境港市)
『からかい上手の高木さん2』(香川県土庄町)
『博多明太!ぴりからこちゃん』(福岡県福岡市)
『色づく世界の明日から』(長崎県長崎市)

9月期販売額は3・0%減/店頭売上では児童書が好調/出版科研調べ

出版科学研究所調べの9月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・0%減となった。内訳は書籍が同0・2%増、雑誌が同7・3%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同8・4%減、週刊誌が同1・5%減で月刊誌が低調だった。
書店店頭の売上を見ると、10月1日からの消費税増税を前にした駆け込み需要はあまり見られず。また、9月9日に上陸した台風15号など、悪天候の影響もあり月前半の売行きは振るわなかった。書籍は前年同月に比べ約3%減。この中で児童書は、「おしりたんてい」シリーズ(ポプラ社)に加え、テレビ等で紹介された『こども六法』(弘文社)が大ヒットするなど、約1%増と好調だった。
雑誌は、定期誌が約5%減、ムックが約6%減、コミックスが約1%増。定期誌やムックでは、9月20日に開幕したラグビーワールドカップ日本大会関連の特集号が好調だった。コミックスは前年同月に『SLAMDUNK新装再編版』(集英社)が刊行された反動などマイナス要素があったが、『鬼滅の刃』(集英社)の大ヒットで前年を上回った。

中公、4年連続で黒字決算/「マンガ日本の古典」百万部重版目指す/書店読売中公会

書店読売中公会は11月13日、東京・千代田区のよみうり大手町ホールで第35回総会を開き、会員書店、取次、読売新聞東京本社と中央公論新社の関係者ら136名が出席。中央公論新社の松田陽三社長は、2018年度決算が4年連続で黒字となったと報告した。
冒頭であいさつした松田社長は、好調だった企画の例として、文芸誌「小説BOC」掲載の8作品を単行本化した「螺旋プロジェクト」と、今年2月から新たな仕掛け販売を展開し、累計45万7千部を重版した「マンガ日本の古典」(全32巻)を紹介。「良い本を作れば黙っていても売れる時代ではなく、きちんと仕掛けをして書店に並べれば売れるのだと改めて感じた。読者に読まれる前の本はまだ未完成で、そこに命を吹き込んで本として成立させるのが、読者に本を販売していただく書店の役割だと思う。これからも中公の本を1人でも多くの読者に届けるお手伝いをしていただきたい」と述べた。
続いて、活動報告・企画説明を各担当者が行った。
会員書店の販売実績は、18年度の売上高は前年比6・0%減の28億5569万円と報告された。文庫の強化をテーマに取り組み、垣谷美雨『老後の資金がありません』、三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』がロングヒットとなったほか、「マンガ日本の古典」が大きく売上を伸ばしたが、中公新書のヒット作が続いた前年の販売実績には及ばなかった。
19年上半期の売上高は前年同期比7・0%減。単行本は、伊坂幸太郎『シーソーモンスター』、朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』など「螺旋プロジェクト」の作品群が累計約20万部と好調で、前年実績を大きく上回った。また中公新書は、前年実績と隔たりはあるものの売上は堅調に推移していると報告があった。
19年~20年の販売企画については、「マンガ日本の古典」は20年3月までに100万部重版を目指し、売り伸ばし施策として、全巻セット持ち帰り用トートバッグの製作や、全国紙・ブロック紙・地方紙での新聞宣伝を継続して行っていくと説明した。この他、浅田次郎『流人道中記』『一路』、島本理生『Red』の増売企画や、中公新書×石ノ森章太郎コラボ企画などの説明が行われた。
総会終了後、朝井リョウ氏が講演を行った。会場を移して開かれた懇親会では、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄代表取締役主筆が「活字文化は国民の民度を測る秤のようなもの。日本は活字文化においては世界一で、日本の書店文化を非常に誇りに思う」とあいさつし、同社の山口寿一社長の発声で乾杯した。

「やまなし読書活動促進事業実行委員会」に文字・活字文化推進大賞/第13回高橋松之助記念賞

読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校、地方自治体、団体、個人を顕彰する第13回高橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」(高橋松之助記念顕彰財団主催)の表彰式が、10月28日に東京・千代田区の出版クラブビルで行われた。
今回朝の読書大賞を受賞したのは、南越前町立南条小学校(福井県南条郡南越前町)、明照学園樹徳高等学校・樹徳中学校(群馬県桐生市)、出水市立出水商業高等学校(鹿児島県出水市)、岐阜県立東濃特別支援学校(岐阜県土岐市)。最終選考に残った優秀校は6校。文字・活字文化推進大賞は、やまなし読書活動促進事業実行委員会(山梨県)が受賞した。
贈呈式では、高橋松之助記念顕彰財団・浅野純次理事長が「今年は小中高校と団体の他に特別支援学校を表彰させていただくことになり、選考顧問や選考委員も喜んでいる。特別支援学校の朝の読書は並々ならぬご苦労があると思う。これをきっかけに、全国の特別支援学校やフリースクールなど朝の読書が困難な学校が対象になることを期待している」とあいさつした。
やまなし読書活動促進事業実行委員会は、2012年に山梨県立図書館が新たに開館したのを機に、「本を贈る習慣を山梨県に根付かせ、全国にモデルケースとして発信したい」との意向を踏まえ、自治体や公共図書館、書店有志などで組織。大切な人に贈りたい本の推薦文を書き応募する「贈りたい本大賞」など、多彩な活動を行っている。図書館と書店が読書推進という共通の目的で手を組み、山梨県の読書文化の醸成に大きく貢献している点が高く評価された。
受賞者あいさつで同実行委員会の須藤令子委員長(朗月堂代表取締役)は「この活動で、官と民の壁や図書館と書店の壁が取り払われた。同じ目的の下であれば立場は関係ないとよくわかった。受賞をきっかけに、同じような取り組みを行う地域が増えることを期待している」と語った。

「芦田愛菜さん、読書推進運動キャンペーンに起用を」/中部トーハン会総会で髙須会長が提案

中部トーハン会は10月24日、名古屋市中区の名古屋国際ホテルで第52回定例総会を開催し、会員書店、出版社、トーハン関係者ら総勢289名が出席。髙須博久会長(豊川堂)は読書家として知られる女優の芦田愛菜さんを読書推進運動のキャンペーンに起用したいと提案。また、トーハンの近藤敏貴社長は出版輸送の現状に厳しい認識を示し、「このままでは出版流通の未来はない」として制度改革を訴えた。
髙須会長は、「この1冊があなたの人生を豊かにする」と生涯言い続けると宣言し、「こどもの日」「孫の日」に本を贈る活動や、出版業界人自らが率先して本を持って外を歩く実践など、様々な読書推進運動に取り組んできたことを紹介。幼稚園時代に月60冊の本を読んでいた読書家として知られる女優の芦田愛菜さんを読書推進運動のキャンペーンに起用したいと提案し、「芦田さんに『本を読む姿はかっこいい。クールだ』と言ってもらいたい。誰かスポンサーになってほしい」と呼びかけた。
続いて髙須会長を議長に選出して議事を行い、すべての議案を原案通り承認。
このあと、学研プラスの碇秀行社長があいさつ。同社で年2回、読み聞かせ会を実施していることを紹介し、「運用費用は約200万円。お金も手間もかかるが、子供たちが小さい頃に本の素晴らしさを体験する機会として続けていきたい」と意義を語った。
トーハンの近藤社長は出版輸送問題に言及。「大手輸送会社の社長から運賃改定の要請を受け、改定がなければ明日にでもやめたいと言われた。別の輸送会社からは『義理人情でやっている。他のものを運んだほうがよほどいい』とも言われ、衝撃を受けた。認識の甘さを痛感している」と述べ、「過去にとらわれた発想の延長線上に出版流通の未来はない。本来あるべき姿を先に描き出し、逆算して制度を改革していく必要がある」と訴えた。
トーハンの豊田広宣専務、田頭賢一名古屋支店長が同社の全体方針・施策の説明を行い、中部トーハン会プレミアムセールの表彰式を行った。
総会終了後、作家でドイツ文学者の中野京子氏が「名画に描かれた『読書』」と題して講演した。

「ドラえもん」50周年記念して発売/6種の第1話収録、23年ぶり新刊『0巻』/小学館新企画発表会

小学館は10月30日、東京・千代田区の本社で新企画発表会を開催。著者や担当編集者が登壇し、今秋から来年初頭にかけて刊行を予定している文芸作品や児童書、コミックスなど13企画のプレゼンテーションを行った。
来年連載開始50周年を迎える「ドラえもん」の記念企画では、12月1日に藤子・F・不二雄『てんとう虫コミックスドラえもん第0巻』、同日に藤子・F・不二雄『絵本まんがはじめてのドラえもん』、来年2月6日に藤子・F・不二雄/原作、川村元気/脚本、湧井学/著『小説映画ドラえもんのび太の新恐竜』を発売することを発表した。
てんとう虫コミックスとしては1996年の第45巻発売以来、23年ぶりの最新刊となる『第0巻』は、「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」の6誌に掲載された、学年によって描き分けられた6種類の第1話を、掲載当時ほぼそのままの状態で収録した貴重なもの。ドラえもんが登場しない「ドラえもん伝説の予告ページ」も掲載当時の状態で収録されている。
さらに、『てんとう虫コミックスドラえもん豪華愛蔵版全45巻セット〝100年ドラえもん〟』を予価本体6万円で発売する。全巻原画からの高画質スキャンによる最新製版データを使用。100年後の未来に届けるという意味を込めて「100年ドラえもん」と名付けたという。来年2月から予約を開始し、同9月に発送を予定。「コロコロコミック」で漫画版『ドラえもんのび太の新恐竜』を連載中のむぎわらしんたろう氏は、自身が大のドラえもんファンだったことを明かし、「藤子プロに入社した時、表紙の着色を実際に手伝えてうれしかった」と振り返った。なお、同氏のコミックスは来年3月の映画公開に合わせて発売予定という。

「粗利30%+定価アップ」書店収益改善へ理解求める/東北日販会総会で藤原会長

東北日販会は11月7日、宮城県仙台市太白区の緑水亭で第14回総会を開催。藤原直会長(金港堂)は、日書連が提唱する粗利30%以上獲得の議論に理解を求めるとともに、出版社に対して思い切った定価アップによる利益分配を訴えた。
冒頭あいさつした藤原会長は「出版業界は曲がり角に来ており、改革が必要。日書連が唱える粗利30%以上の獲得に向けて皆さんと議論していきたいが、難しい問題もある。まず出版社には定価を思い切って上げていただきたい。上げたから売れなくなるというのではなく、売れないのは中身がないからと理解して、ぜひ中身のある商品を値付けして、利益を分配することを検討していただきたい」と述べた。
総会は今年度より議案内容を事前に案内し、確認状の提出によってすべての議案を原案通り承認した。
日販の平林彰社長は、今年上半期の小売事業は減収増益だったと報告。BOOKは前年比1・6%減だったが、文具・雑貨は同5・5%増となり、粗利益率が0・5ポイント増加したことを説明した。
続いて安井邦好執行役員が、文具・雑貨パッケージ「Sta×2(スタスタ)」、日本最大級の文具の祭典「文具女子博」、日本最大級の「パンのフェス」など、同社が手掛ける本以外の事業を説明した。
なお、今年度は商談会を中止。総会開始前に、京都市内で1日100食限定をコンセプトとした飲食店を展開する「minitts」の中村朱美社長が、「仕組みで人を幸せに~働きやすさと会社利益の両立~」と題して講演した。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

歩くことが健康に良いのは誰もが知っている。
能勢博著『ウォーキングの科学』(講談社ブルーバックス900円)は、どれくらいの速度、頻度、時間を歩くのが効果的なのかを解説する。
これまで一日一万歩が推奨されてきたが、楽な歩行では、効果はほとんど期待できないという。運動の強度や個人の体力を測定できなかったことと、体力の70%に相当する、ややきつい運動の効果を実証する研究がなかったことが原因である。
そこで効果的なのがインターバル速歩である。背筋を伸ばし、大股で、3分間速く歩く。今度はゆっくり3分。これを5セット週4日以上5ヵ月続けると著しい体力の向上がみられる。血圧、血糖値、肥満など生活習慣病からも解放される。
アシックススポーツ工学研究所著『究極の歩き方』(講談社現代新書900円)は商品開発の現場から考察する足形と歩き方の研究である。
歩くのはランニングに比べ、足に負荷がかからず、膝や腰を痛めない。人の足形と歩き方は50歳を境に一変する。それは土踏まずなどの足裏のアーチが加齢と供に崩れやすいからである。この本でも早歩きとゆっくり歩きを何度も繰り返す方法を勧めている。生涯元気に歩こうという2冊。