全国書店新聞
             

平成15年5月21日号

コミック閲覧で作家に利益還元

まんが喫茶におけるコミックス利用は、これまで野放し状態だったが、今後は作家側に対価を支払うことで基本的合意がまとまり、15日、経済産業省で暫定合意書の調印式が行われた。
調印式に出席したのは、コミック作家の会から藤子不二雄A、さいとう・たかを両理事、まんが喫茶の団体「日本複合カフェ協会」から加藤博彦会長、田中千一副会長、雑協から浜田博信理事。
経産省からは文化情報関連産業課の片岡宏一郎課長補佐が立ち会った。
合意内容はカフェ協会加盟店でのコミック閲覧について今後は対価の一部を還元するというもの。
今年末までに具体的な対価の金額や還元方法を決めるべく協議に入ることにしている。
作家側を代表してさいとう氏は「読者が広がることはありがたいが、作家の権利があやふやだった。
このまま還元されなければ衰退していく。
双方が納得するビジネスモデルを期待している」、経産省片岡課長補佐は「コミックスは海外に誇れるコンテンツ。
合意は最初の一歩だ」と述べた。
まんが喫茶は全国に2千店以上あると推測され、このうちTVゲームの使用許諾権を得ている大手450店が協会に加盟。
加盟店の9割以上が1万点以上のコミックスを揃え、利用者に閲覧させている。

言論・出版の自由守れ

第42回全出版人大会が5月9日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開かれ、業界関係者約700名が出席。
古稀を迎えた長寿者45名、永年勤続者396名を表彰するとともに、言論・出版の自由を脅かすメディア規制法に反対する大会声明を採択した。
大会では浅野純次大会委員長(東洋経済新報社)の開会の辞に続き、野間佐和子大会会長(講談社)があいさつ。
「テロと戦争は平和をもたらすものではないと訴えていくのは出版人の責務。
メディアを規制する動きに対しては強く主張していく」と述べた。
続いて浅野大会委員長が大会声明を朗読し、満場の拍手で採択。
池坊保子文部科学大臣政務官、黒澤隆雄国立国会図書館長が祝辞を述べた。
小泉純一郎首相からも祝辞が寄せられた。
このあと長寿者45名、永年勤続者396名の表彰に移り、長寿者を代表して遠藤永七郎氏(栗田)、永年勤続者を代表して森島基裕氏(二玄社)に賞状と記念品を贈呈。
朝倉邦造(朝倉書店)、角川歴彦(角川書店)両大会副会長が祝辞を述べた。
遠藤氏は「入社当時は手作業で全国書店に心の温もりをもって本をお届けした。
昔のアナログ精神はデジタル時代にも必要」と謝辞を述べた。
最後に福原義春資正堂名誉会長が「本を愛する者から出版界の方がたへ」を記念講演した。

5月22日に日書連通常総会

日書連は5月22日午前11時から東京・台東区の池之端文化センターで第15回通常総会を開催する。
平成14年度事業報告、同決算報告、平成15年度事業計画案、同予算案、任期満了に伴う役員改選などを審議。
前日の5月21日は書店会館で午前11時から定例理事会。
午後4時から出版物小売業公正取引協議会総会。

中小書店育成と底上げへ

東京都書店商業組合は5月16日午後1時半から九段のホテルグランドパレスで第27回通常総代会を開催。
組合員数の減少の中で、中小書店の育成と底上げを図るための流通改善や取引慣行の見直し、法的整備を進めていく活動方針を採択した。
役員改選では萬田理事長を再選した。
東京組合総代会では冒頭萬田理事長が1年間の総括を兼ねてあいさつ。
「14年度の出版業界はITバブルが一巡し、新たな胎動が始まった。
その一つが経済産業省の指導のもと発足した日本出版インフラセンター」として、青少年条例改正や、貸与権獲得、公共図書館の副本、雑誌月間キャンペーンなどの取り組みを報告した。
さらに、昨年打ち出したTS協同組合との協業化について「新発注システムを開発、今年2月から本稼動しており、今年も支援のための予算を計上した」と述べた。
議長に武田初男(新宿・芳進堂)、黒田忠弘(日野・黒田書店)両氏を選び、進めた議案審議では、下向、奥村、丸岡、舩坂の4副理事長が担当委員会ごとに活動報告を行った。
再販問題は下向副理事長が「ポイントカードの対応で5月に講談社、小学館を訪問し違反店への指導を求めたが、話し合いにより解決の糸口を探すという回答だった。
いつまでもラチがあかない状況でいいのか。
原則を貫くべきだ」と、出版社の対応を批判した。
また、青少年の万引き対策では、丸岡副理事長が「3月都議会で請願が一部採択された。
東京組合のヒアリングと平行して古書組合、新古書店のヒアリングも始まっている。
ICタグも含めて防止策を研究していく」と説明した。
質疑応答では「ハリー・ポッター4巻の買切り・普通正味をどう考えるか」という質問に、柴崎流通改善委員長が「10冊に1冊返品許容などの責任販売では、9冊までは返品できない。
流通改善の目玉として考えたい」と回答。
「大田区などで図書館業務が民間委託される中でマークの圧倒的シェアを持つTRCは脅威」という発言に、萬田理事長は「日書連マークを開発して全国で説明会を行なっている。
学校図書館協議会の理解も得てTRCに対抗できる」と対策を述べた。
事業計画、予算案とともに提出議案を拍手で承認したあと、理事60名、監事3名を承認。
初理事会で萬田理事長を再選した。
副理事長、常務理事は19日の臨時理事会で決める。
総代会終了後、永年勤続従業員の表彰式に続き、出版社、取次、業界関係者を招いて懇親会を行った。

井狩春男の必殺まるす固め

スゲェーいい本を見つけちゃうと、会う人ごとに自慢するように話してしまう。
それにしても……。
あぁーなんてスバラシイ本がボクの前に現れてしまったのだ!これは、『葉っぱのフレディ』のように売らなければと心に誓ってしまう。
イイ本は、書名からしてイイ!『パパのカノジョは』(岩崎書店)という絵本。
「パパの」というくらいだから、カバーの女の子のパパは、いま現在一人者であることを表している。
なぜそうなったかはこの本には書いていないが、死別だと思いたい。
そのパパに、なん人目かのカノジョができるのだが、「パパの新しいカノジョあたし認めないよ」とくる。
どうやら、新しいカノジョはかわっているらしいのだ。
おまけに、すごくかっこわるい。
「すわったまんま寝たり、金魚にむかってオペラうたったりするし」「スカートなのにスニーカー、髪もやまあらしみたいだし。
すっごくカッコわるいんだ」と、けなしぱなしなのだが、やがて後半からにわかにホメはじめる。
これがたまらなくイイ。
「あたしのはなしをテレビを消してきいてくれるし」「ひみつはひみつにしていてくれるし」「テストができなくてくやしかったら、ドアをバターン!ってしめても見逃してくれるし」「がっこうの発表会で、いちばんおおきなはくしゅをするし」「かけっこのゴールでいつまでもいつまでもまっていてくれるし」「ケンカしてかえったら、わたしのみかたをしてくれるし、そして、泣いてもいいんだよっていう」……かわっていて、かっこわるいけど、認めてくれていて、命令などしないし、お説教もしない。
ただただ愛情いっぱいに抱いてくれる。
最後のページがイイ。
あたしとカノジョが肩を組んでいる。
「パパのカノジョはエリザベス。
いまんとこ、ちょっといいセンいってるかもね」パパとカノジョは、再婚するだろう。
3人は幸せに暮らすにちがいない。
そう心から願ってしまう。
これが、理想の親と子の関係だなどとおこがましいことを著者たちは言っていないだろう。
ひとつの意見なのだ。
「あたしのきげんのわるいとき、ただしずかにしといてくれる」というのもイイ。
『葉っぱのフレディ』は、ビジネスマンに売った。
この絵本は、OLに売りたい!

高須博久理事長を再選

愛知県書店商業組合(高須博久理事長)の第20回通常総会が5月15日午後2時から名古屋市千種区の愛知県厚生年金会館で開かれ、組合員234名(委任状含む)が出席した。
総会は大原副理事長の司会で進行。
高須理事長は「今年は戦後58年目に当たり、あと2年で干支が一回りする。
日本再生の生みの苦しみの年を迎えており、この先に新しい日本があると信じて過ごしていきたい。
そのためには私たちは自分で行動し、自分を変えていかなければならない。
多難な経営が続くと思うが、あと2年皆さんも生き残りにチャレンジしていただきたい。
今日はあかね書房の岡本社長に読書推進について講演をいただくが、耕して肥料をやってようやく実がなる。
子どものための運動を今後も展開していきたい」とあいさつした。
林副理事長を議長に選任して審議を行い、日書連報告、平成14年度事業報告、平成15年度事業計画案、収支決算、予算案などをいずれも可決承認した。
このうち平成14年度事業報告は各委員長から説明があり、①出店状況は郊外店のほかインショップの撤退跡や廃業店跡地への出店が目立つ。
出店された近隣書店に対する支援を取次に要請していく、②サン・ジョルディ名古屋イベントはチャリティバザーで約80万円を売上げ、本の読み聞かせ会が大盛況だった、③雑誌発売日違反は前年より上申が減少した。
放置すれば増加していくので、自分のエリアは自分で守るという気持ちで上申してほしい――などの報告があった。
役員改選では、選考委員が理事、監事を選出したのち初役員会を開き、高須理事長を再選した。
所信表明で高須理事長は、効率的な組合運営と書店活性化を活動の柱に掲げ、「副理事長も現在のメンバーで引き続きお願いする。
2年間全力を尽くす」と述べた。
総会第2部では、あかね書房の岡本雅晴社長が「子どもの読書環境を整える~『子どもの読書活動推進法』は今どのように推進されているか」と題して講演した。
〈愛知組合新役員〉▽理事長=高須博久(豊川堂)▽副理事長=大原鉦治(押切堂書店)林茂夫(松清本店)加藤登志雄(安城日新堂)澤田益男(白水書店)

特等は041044番

「春の書店くじ」「雑誌社協賛による共同懸賞」の合同抽選会が、5月7日に出版クラブで開催された。
日書連萬田会長は「くじが広く読者の手に渡り、書店で使ってもらえるよう特等5万円を80本用意した。
今後も読者に喜ばれる形を目指す」とあいさつ。
経過報告を行った舩坂増売委員長は「共同懸賞は57社129誌で告知いただいた。
大切な誌面を使い御礼申し上げる。
厳しい状況だが一同頑張って1冊でも多く販売したい」と述べた。
続いて雑誌共同懸賞から抽選に入り、森川美穂さんと雑協・浅野純次理事長でA賞、B賞を10名ずつ選んだ。
春の書店くじは、前田完治(三修社)、小峰紀雄(小峰書店)、上野幹夫(東京布井出版)、亀川正猷(栗田出版販売)、國弘晴睦(太洋社)の5氏がボウガンの射手となって当選番号を決定した(別掲)。
雑誌共同懸賞当選者A賞(全国共通図書カード1万円)=愛知県・小林竜治さん他199名B賞(同1千円)=東大阪市・有間一美さん他799名

県の功労者賞に大杉氏、山根氏が市会議員再選

兵庫県書店商業組合に2つ喜ばしいことがあった。
副理事長の大杉誠三氏(姫路市・大杉広文堂社長)が、本年度の兵庫県功労者賞を受彰された。
5月28日県公館で井戸県知事から表彰される。
大杉氏は20年に及ぶ組合活動に対し高い評価を受けたもので、当県組合としても7年連続の受彰である。
同氏はこれを機に、組合のために一層の努力を続けたいと喜びを語っている。
専務理事の山根金造氏(明石市・巌松堂書店)は、このたびの統一地方選挙で明石市市会議員2期目の当選を果たした。
当選者31名中上位7番目の当選で、市民のために活発な活動をされてきたことが評価されたもの。
組合、取次も全面支援をしていた。
同氏はライフワークである教育問題に全力を挙げていきたいと抱負を語っている。
(兵庫県書店商業組合理事長・村田耕平)

出版販売金額0.6%減少

出版科学研究所が発行した『2003出版指標年報』によると、2002年の取次ルートを経由した出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は前年比0・6%減の2兆3105億円となり、6年連続のマイナス成長。
10年前の水準に戻った。
内訳は書籍が0・4%増の9490億円、雑誌が1・3%減の1兆3615億円。
書籍は6年ぶりにプラスに転じたものの、雑誌は5年連続マイナス成長になった。
書籍の推定販売金額は前年比0・4%増の9490億円で、6年ぶりにプラスに転じた。
大人気ファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズが既刊4巻で年間710万部発行されたのをはじめ、ミリオンセラーが6点出るなど大ヒット作が寄与したと考えられる。
一方、推定販売部数は1・3%減の7億3909万冊で、6年連続マイナス成長だった。
推定販売金額がプラス、推定販売部数がマイナスという現象は、「ハリー・ポッター」シリーズなど値段の張る本がよく売れたことによる。
金額返品率は1・4ポイント減の37・7%。
送品(推定出回り金額)は1・9%減と抑制され、平均価格以上の商品の好調な売れ行きと相俟って、4年連続で下がった。
新刊点数は4・4%増の7万2055点。
大幅に伸びたのは、4月の新学習指導要領実施に合わせ、「学参Ⅰ」に該当する小・中学生向けの学参が大量に刊行されたことが要因。
新刊推定発行部数は0・1%増の4億1706万冊と横ばい。
新刊1点当たりの推定発行部数は3・3%減の5800冊と、6000冊を割り込んだ。
平均価格は、新刊が0・9%増の1192円、出回りでは1・8%増の1228円と、若干上昇した。
大ベストセラー商品が平均価格を引き上げたが、それを除くとほぼ横ばいだった。
02年の書籍を支えたものの一つとしてファンタジーが挙げられる。
中でも「ハリー・ポッター」シリーズ第4巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は初版230万部を発行、書籍の初版部数記録を大幅に塗り替えた。
また、中高年層が大きな購買力を見せ、生き方本ブームの先駆となった『生きかた上手』はミリオンセラーを記録した。
年間売れ行き良好書ベスト5は①ハリー・ポッターシリーズ(静山社)②ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本(幻冬舎)③生きかた上手(ユーリーグ)④声に出して読みたい日本語(草思社)⑤世界がもし100人の村だったら(マガジンハウス)。
雑誌の推定販売金額は1・3%減の1兆3615億円。
コミック誌をはじめ主要部分がふるわず5年連続のマイナス成長になった。
99年の4・2%減、00年の2・8%減、01年の3・3%減に比べマイナス幅は狭まったものの、下げ止まったわけではなく楽観できない状況だ。
内訳は、月刊誌が1・7%減の1兆194億円、週刊誌が0・1%増の3422億円。
推定販売部数は月刊誌が1・9%減の20億77万冊、週刊誌が2・5%減の12億1618万冊。
金額返品率は月刊誌が0・1ポイント減の31・2%、週刊誌が同率の23・2%。
抑制された送品に終始したが、不定期刊行物の点数増は高水準で推移し、展示期間の短縮と相俟って返品率の改善は進まなかった。
創刊点数は30点増の197点と創刊活動は活発だった。
ただし景気低迷と入り広告の悪化で企画規模は小型化した。
一方、休刊誌は18点減の152点と、過去最大だった前年の170点に次ぐ点数。
このうち99年以降に創刊された新雑誌が66点あり、消長は激しい。
一世を風靡した初心者向け料理誌『TANTO』、01年6月に『週刊大衆』の後を受けて創刊された『週刊DIAS』などが休刊した。
ジャンル別の動向を見ると、ローティーン向け少女ファッション誌は相次ぐ創刊で雑誌数10点近くに達し、絶頂期を迎えている。
女性誌は20代後半から40代以上向けのファッション誌が好調だった。
中高年向けの癒し系ビジュアル誌も特集によって手応えが返ってくるようになった。
落ち込みが目立ったのはパソコン誌で19・0%の大幅減。
音楽誌、スポーツ誌など趣味系の雑誌も厳しかった。
コミック誌も雑誌を買わずコミックスを買う傾向が強まっていることから、年々厳しさを増している。

全国規模で情報交換

日書連情報化推進研修会が5月8日午後1時半から書店会館で開催され、日書連マークを使った学校図書館納入について各地の現状が報告された。
日書連マークが昨年7月にリリースされて以降、各地で研修会が実施され学校図書館納入活動が活発化しているため、全国規模の情報交換を意図して開かれたもの。
研修会には全国から49名が参加。
初めに日書連萬田会長が「情報化推進委員会で書誌情報データベースの開発を進め、昨年から日書連マークを提供できるようになった。
図書館流通センター(TRC)の攻勢が強まっているが、日書連マークでTRCと対抗できる。
納入を進め地域に根を下ろしていただきたい」とあいさつ。
情報化推進委員会志賀委員長は「研修会で全国を歩いて、県により温度差を感じる。
実情を発表してもらって問題を共有化し、日書連が何ができるか方針を得られればと思う。
TRCは営業を拡充し本気で取り組んでいると聞く。
我々にとっても今年は正念場。
研修会を活用して負けない営業体制作りに各県で取り組んでほしい」と述べた。
志賀委員長を議長に行われた各県組合からの現状報告では、福岡から「マーク専用の情報センター『FJナノ』を昨秋スタート。
支部ごとにSA委員がTRCにどう対抗するか力を注いだ。
また各地区で数店にマークを先行利用して報告してもらった。
組合では全店参加を第一に考え何回も研修会を開いている。
『TRCより安くできる』と名乗りを上げる公共図書館も出ている」と報告があった。
このほか「船橋市は小中学校84校で昨年コンピュータ化した。
日外マークを使っているが7割しかデータをカバーしていないので残り3割については日書連マーク使用の方向」(千葉)といった事例報告や、「情報が入っても実行する店がまだ少ない。
料金体系をもっと周知徹底したい」(大分)「学校納入について書店の意識が低い。
奈良市はデータベース化を図る委員会を立ち上げているが、書店は動いてない」(奈良)など情報の浸透が必要という報告があった。
日書連マークを使った図書館システムの説明では、教育システムの長尾幸彦氏(愛知・ナガヲ正文堂)が自社の納入活動を紹介し、学校に納入するすべての書籍にバーコードを貼るとともに、納入した書籍のデータを蓄積していくことが重要と指摘。
またナノビットの高崎洋至氏は、「学校図書館のことは書店がすべてやるという発想で行政に当たる。
書店は学校を納得させる知識をもつことが必要だ」と述べた。

NHK生活ほっとモーニングを刊行

NHK出版から6番目の家庭誌『NHK生活ほっとモーニング』が6月16日に創刊される。
以後、偶数月16日発売、定価580円。
同名の番組はNHK総合TVで朝8時35分から放送されており、視聴率は10%。
50歳台の女性がメイン・ターゲットになる。
健康・食・生活術・家計を4本柱に、暮らしに役立つ情報を満載。
創刊号の特集は「賢く減らそうコレステロール」「これでスッキリ収納術」「年金大研究」など。
近い将来月刊化を目指す。

目標上回る20億円に

トーハン会全国代表者会議が5月7日午後2時から目白の椿山荘で開かれ、親会と青年部代表56名、出版社190名、トーハンから28名が出席した。
冒頭、トーハン金田社長は同会の概況について「親会41会、2186会員、青年部21会、316会員、店舗数で4538店を数え、トーハンの売上げの4割、書店だけでは6割」と紹介したあと、2002年度販売コンクールは目標16億5500万円に対し126%の20億8900万円を達成し、毎回大きな実績をあげていると報告した。
出版業界の市場環境については①書籍、週刊誌は前年を上回った、②書店の転廃業は平成12年のピークと比べ件数で20%、坪数で10%減少と沈静化してきたことを指摘して「市場は、立ち直りのタイミングをはかる踊り場の状態。
この1年、プラス成長の実績を出せば市場低迷に底を打ち、安定成長に向かうのではないか」と予測した。
また、同社の平成15年度営業施策は「売上回復が再重点課題」として、①地図情報システムGISによる市場分析、②SFAシステムを活用した営業改革、③商材をベースにした仕入営業体制の改革――の3点を説明。
流通改革では①桶川計画実現で書籍の効率的生産・販売を目指す、②24時間出荷体制に向けて注文・返品・共同倉庫の3つのセンターを構築していく方針を明らかにした。
トーハン会会員に対してはブックライナー活用、e―hon加盟、SA機器導入、eスリップ導入の4点を要望し、トーハンとともに「創造と挑戦」を進めていこうと呼びかけた。
各地トーハン会を代表して福岡県トーハン会山本太一郎会長は「出版業界は著者と読者が乖離している。
読者のためになる売場を作るため、トーハンはパイプ役を」とあいさつ。
販売コンクール上位入賞地区を表彰したあと、総合1位の熊本トーハン会宮崎容一会長があいさつ。
版元を代表して世界文化社鈴木勤社長は「今後も、手に取ってすぐわかる違いのある出版企画を出していく」と述べた。
第2部ではMPSコンサルティングカンパニーの鈴木博毅代表が「書店と出版が生れ変わるために」を講演した。

家庭画報インターナショナルプレ創刊号

日本初の国際版英字ヴィジュアル誌、『家庭画報インターナショナル』プレ創刊号が世界文化社から14日に発売された。
L判238頁、特別定価500円。
発行部数7万部。
創刊号の巻頭特集は、織物に生きる色の宇宙を特集した「色は生きている」。
お寿司屋さん、原宿、ヒューマノイド・ロボット、ジャポニズムなど新旧の日本文化・日本の心を世界に発信する。
10月発行の創刊号は1050円。

創業百周年企画第一弾

講談社の2003年下期新企画説明会が5月7日、同社本社で開かれた。
説明会であいさつした浜田副社長は、今年度上半期業績について「3月までは順調だったが、4、5月と苦戦している。
明るい材料は昨年下半期ABC部数で『週刊現代』がトップになり、女性誌は『vivi』が好調。
コミックはTBSとの連動で『ブラックジャックによろしく』5巻がいきなり150万部。
書籍は『類語辞典』が5刷13万部と好調だ」と説明した。
また、業界全般の問題としてポイントカード問題に触れ「本日、東京組合幹部が訪れ、決断せよという話だった。
ポイントカードは再販違反というのが私どもの考えだが、異業種の理解には時間がかかるし、強硬措置が世間の人にどう映るかで苦慮している」と述べた。
消費税総額表示の件では「短冊の坊主に表示する案が合意に達しつつあり、在庫入れ替えや改装は省ける。
合意になれば4月に入れ替えるのでなく、早い時期から始めることも必要ではないか」と示唆した。
新企画は小此木雑誌販売局長、岩崎書籍販売局長が以下を説明した。
◇『週刊京都を歩く』京都を50の地区に分け寺社仏閣から宿、食事、町の表情までを紹介。
全50巻。
定価560円(創刊号「祇園」は特別定価350円)。
6月24日創刊、全巻予約者に特製バインダー、京都の音CD、特製ブックカバーをプレゼント。
◇『百寺巡礼』(全10巻)創業100周年記念企画第1弾。
五木寛之が日本各地の百寺を2年間かけて紹介する。
第1巻「奈良」は6月下旬予定。
各巻本体1500円。
旅のガイド『五木寛之の百寺巡礼』(本体1500円)を同時発売。
4月から始まったテレビ朝日系、同名番組とも連動。
◇『日本の天然記念物』全966件の天然記念物を都道府県別に完全収録。
本体3800円、10月上旬発売予定。
◇『さすが電子レンジ!料理大全集』さば味噌煮、肉じゃが、おこわ、ピザなど、電子レンジの特徴を生かし、失敗なくできる料理レシピの決定番。
予価本体3800円、10月発売予定。

催し

◇楽樂ほんやさんシリーズ東京説明会6月14日(土)午後2時から飯田橋シニアワーク東京第2セミナー室で開催。
第1部「楽樂ほんやさんシリーズ」を使った中小書店の新戦略、第2部は外商管理、POSレジ、単品管理ソフト紹介と実演。
参加費無料。
午後5時半から懇親会(参加費3500円)。
説明会参加申込みは滋賀・ますや書店。
FAX0749・82・5227番。
◇パワーアップ店長セミナー日本書店大学は6月9日午前10時から日本出版クラブ会館で店長セミナーを開催する。
第1講「失われた売上げを探せ」(オラクルひと・しくみ研究所小阪裕司)、第2講「これからの児童書売場の考え方」(小峰書店・小峰紀雄)、第3講「本屋が本屋であるために」(ジュンク堂池袋本店・中村文孝)、「お客を引きつける店長力」(日本書店大学学長・田辺聰)。
参加費2万円。
申込みFAX076・222・9262

参考図書

◇『中小企業競争と協同』30数年にわたって島根県中小企業団体中央会会長として、日本一の中央会を育てた古瀬禦氏編著により、職員が指導した事例を交えた実践記録。
定価1700円、山陰中央新報社発行。
◇『中小企業組合の再生』不況下に生き残りをかける中小企業組合組織活性化の理論と実践を示す。
山本貢著、中央経済社、定価2400円。

本屋のうちそと

今年は山形が生んだ歌人斎藤茂吉の没後50年にあたり、地元紙ではかなり大がかりな特集を組んでいる。
この偉大な歌人を地元では「茂吉」と呼び捨てにしているが、県内には弟子とよばれている人も多く、その影響は計り知れない。
その没後50年にあやかって、「茂吉の原風景を訪ねて」と名うった遠足に毛がはえたような小さな旅を企画、前々回紹介した「市民がつくる総合誌」の執筆者40名余に案内を出した。
ほとんどが定年をすぎた年齢なので、平日のゆったりした日を選び、勤めの方は会社を休んでどうぞというプランである。
当日は休暇をとって参加した二人をふくめ16人。
レンタカーで最初の目的地である上山市の茂吉記念館に直行。
生家や茂吉ゆかりの地を半日がかりでまわり、そば街道で昼食後、午後は茂吉が戦後の二年間を過ごした大石田の「聴禽書屋」とその周辺を巡る。
いずれの地もその気になれば30分ほどで行ける場所にあるのだが、近すぎるためにかえって足を運ぶ機会がない。
「同好の士」による会費五千円の貧乏遠足は、次の企画を催促されるほど好評で、心ゆたかな一日となった。
思えばこの30数年間、消防団や商店会等の「研修旅行」に数えきれないほど参加してきたが、どれも夜の宴会と歓楽が目的で、せっかくの名所旧跡も時間つぶしのような旅行ばかりであった。
たとえ日帰りでも、ひとつの人生と向かい合うゆったりした時間を過ごせたことはこの上ないぜい沢である。
(どんこ水)