全国書店新聞
             

令和元年12月15日号

岐路に立つ出版物輸送/東京都トラック協会「出版物関係輸送懇談会」

東京都トラック協会(東ト協)の出版・印刷・製本・取次専門部会(瀧澤賢治部会長=ライオン運輸)は11月27日、東京・新宿区の東京都トラック総合会館で第41回「出版物関係輸送懇談会」を開催。「経営の岐路に立つ出版物輸送~急がれる出版物輸送を継続するための具体策~」をテーマに、荷主団体の日本雑誌協会(雑協)、日本出版取次協会(取協)、日本書籍出版協会(書協)、印刷工業会、東京都製本工業組合、日本書店商業組合連合会(日書連)と意見交換した。
東ト協の瀧澤部会長は、出版物輸送の現況について「経営として成り立たなくなってきていることが一番の課題。収支が合わず経営的に窮地に陥り、出版物輸送から撤退する動きが相次いでいる。部会員もピーク時の72社から23社まで減少した」と報告。「出版物輸送には人手と時間が掛かり、コスト削減が困難」と窮状を訴えた。
また、雑誌の売上低迷により業量が減少を続ける一方、コンビニエンスストア(CVS)の増加による配達先の拡大で、人手・費用の負担が増加し、「配達件数は増えても収入が増えず収支悪化を招いている」と指摘した。
運賃については、「時代の変化に伴い、従来の重量運賃では経営が成り立たなくなった。取次と協議して対策を講じても、それを上回るスピードで出版不況による業量減少が進行しており、もはや重量運賃では対応できなくなっている」と危機感を示した。
こうした状況を踏まえ、業量が減少を続けることを前提とした出版物輸送のあり方を考えることが喫緊の課題であるとして、「従来からの慣習の再検討・見直しを図るべき。出版物輸送業者は小規模零細が多く、時間の経過とともに体力がもたなくなる。スピード感をもって取り組まなければならない」と訴えた。
出版物流を止めないための具体策としては、①出版物流が抱える課題の周知、②業量に応じた弾力的な輸送、③事業継続可能な適正運賃・料金の収受――の3点に言及した。
②については「業量の増減に合わせて効率的な輸送方法を検討したい。たとえば、荷物が極端に少ない日は、荷主と相談の上でその日はトラックを止め、別の日にまとめて配送できないか」と提案。また、③については「厳しい出版不況の中、単純に現在1の運賃を2にするわけにはいかないことは理解している。そうした中、輸送業者も荷主も今やっている作業の無駄な部分をさらに見直した上で、コストに見合った運賃・料金を設定する必要がある」との考え示した。
そして、「今後、出版物をトラックという道具を使って配送することが本当に不可欠なのか」と問いかけ、「そうであるならば、トラックを使う方法を荷主の皆さんと一緒に考えていきたい」と呼びかけた。
荷主側から、雑協物流委員会の隅野叙雄委員長(集英社)は「売れる商品、運ぶ荷物を増やすことが出版社の使命」と業量増加への意気込みを示し、休配日について「週休2日まで段階的に増やすことを大前提に議論を進めている。ドライバーの労働環境改善を図りたい」と述べた。
トーハンの田仲幹弘副社長も「最終的に休配日を週休2日にしたい」との考えを示し、「今後休配日を増やしていくステップとして来年度の発売日設定をどうするか、雑協と話し合いを行っている」と報告した。
書協の中町英樹専務理事は「搬入日前後の新刊の集中を平準化することが長年の課題。出版情報登録センター(JPRO)を立ち上げ、搬入の事前調整が可能になってきた。出版社の意識も、なるべく早く計画的に本を作って搬入するという方向に変わりつつある」と述べた。
日書連の藤原直副会長・流通改善委員長(金港堂)は「雑誌が売れないから閉店する、売場が減るからますます雑誌が売れなくなるという悪循環に陥っている。新鮮な商品が毎日配送されることが店頭活性化につながるが、現状の出版物輸送の危機については皆さんと問題意識を共有している。休配日を増やす方向性も理解している」と述べ、輸送効率化をどう図るかが最大の課題と指摘した。
大日本印刷出版メディア事業部生産管理本部の結城博部長は「いかに少ない車輛でいかに効率よく配送するかを最優先に考えなければならない」と述べた。
共同製本の金子誉社長は「売れる時に売りたいという出版社の要望にはできる限り応えていきたいが、1ヵ月の中あるいは1年間の中での発行量平準化を継続課題としてお願いする」と述べた。

経営環境改善が最重要課題/粗利益率向上と定価値上げで/宮城総会

宮城県書店商業組合は11月17日、仙台・秋保温泉のホテルきよ水で第38回通常総会を開き、組合員65名(委任状含む)が出席。役員改選で藤原直理事長(金港堂)を再選した。藤原理事長は粗利30%以上実現と定価値上げによる書店収益改善を訴え、出版物輸送の厳しい現状を説明した。
佐藤由美副理事長(朝野堂)の開会の辞の後、藤原理事長があいさつ。日書連が最重要課題として取り組んでいる経営環境改善について「出版業界は20年以上マイナス成長が続いている。『粗利30%以上なければ経営が成り立たない』という組合加盟書店の声を受け、日書連は厳しい状況を打開するために様々な活動を行っている。ただ、難しい問題で、すぐに解決することは難しい。出版社には、まず定価の値上げをお願いしたい」と述べた。
また、出版物輸送問題について「出版流通は『雑誌の大量輸送』の恩恵に預かったシステム。しかし、雑誌の取扱量が最盛期の20%に減っている現在、輸送会社も経営が成り立たなくなりつつある。今後は年間の配送回数を減らさざるを得ないだろう。来年は東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、今年より休配日が大幅に増えることになりそうだ」と述べた。
さらに、来年のレジ袋有料化の義務付け、更なる消費税増税を見据えた活動に日書連として取り組む必要があると指摘した。
引き続き藤原理事長を議長に議案審議を行い、平成31年度事業報告、決算報告、令和2年度事業計画、収支予算案などすべての議案を原案通り承認した。
役員改選では、選考委員5名による指名推薦を総会に諮り、全員を承認。藤原理事長を再選し、新理事に穴久保香織(紀伊國屋書店)、相澤秀紀(宝文堂ブックサービス)の両氏を選出した。
梅津専務理事の閉会の辞で総会を終了後、永年勤続表彰を行った。今年度の対象者は4名。勤続10年の松田勇二氏(宝文堂ブックサービス)が代表して表彰状と記念品を受け取った。
第2部では恒例の版元、取次各社の研修会・企画説明会が行われた。
(照井貴広広報委員)

年末年始の事務局体制

年末年始の特別体制により、日本書店商業組合連合会事務局の業務は、年内は12月26日(木)午後5時をもって終了します。
年明けは1月6日(月)午前9時より通常業務に復します。
日本書店商業組合連合会
事務局

「組合力」発揮へ各店に奮起求める/三重県組合総会で別所理事長

三重県書店商業組合(別所信啓理事長)は11月23日、津市の三重県教科書特約供給所で第34回通常総会を開催、組合員30名(委任状含む)が出席した。
総会は重盛理事(重盛書店)の司会で進行。冒頭であいさつした別所理事長(別所書店)は、厳しい書店業界にあって、書店商業組合としての存在価値を再認識し、再構築することが必要だと指摘。「行政等とのジョイントを行うなどの施策を模索しているが、本来の意味での『組合力』を発揮できている状況ではないと認識している。『組合力』は組合員各位の『書店力』『企業力』がエネルギーの源になることは明らかで、この厳しい環境に適合し存続することで地域文化の継続と発展に寄与することを、組合員各位が再考していただきたい」と述べた。
引き続き石井理事(石井書店)を議長に選出して議案審議を行い、平成30年度事業報告、令和1年度事業計画案、収支予算案など全ての議案を承認可決した。
総会後の懇親会では、活発な意見交換が行われた。
(冨森康宏広報委員)

返品現地処理について現状報告/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は11月19日、札幌市中央区の北海道建設会館会議室で定例理事会を開催した。
理事会では志賀理事長から、返品現地処理に向けての進捗状況等の報告があった。また、1月21日開催の「北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会」について時間等の確認を行った。このほか2020年の理事会日程の調整を行った。(事務局・髙橋牧子)

「春夏秋冬本屋です」/「売場を補佐する『総務』の存在」/東京・教文館取締役・森岡新

「今、大丈夫ですか?ちょっとお願いしまーす」そんな声に対して常に動ける態勢でいることが、総務担当としての私の心情です。フットワーク軽く駆けつけたいのです。
どんなに大量の荷物があっても、たくさんの注文・返品業務があっても、売場は来店したお客様第一で、待った無しの世界です。一方、総務にとって一番の「お客様」は売場スタッフです。頼られたならば応えたい。少しばかりカッコ良すぎるかもしれませんが、これが総務が「お客様」から信頼を得るための肝なのです。
11月初旬から始まっている全館あげてのクリスマスフェアは、いよいよ繁忙期に突入。売場にとって特別な時期で、忙しさの先にはきっと充実感が待っているはず。賑わいを見せる花形の売場――その補佐に徹するのが総務の役割です。
70人規模の中小企業の総務としてのルーティンは限りなく、経理業務では日計精算に始まり銀行入金、釣銭両替、伝票整理、売上管理、給与計算など。人事関係では就業規則の見直し、36協定の届け出、契約書の更新、厚労省から発せられる案件への対応、スタッフ募集業務など。このほか定期開催の会議に必要な資料準備と議事録作成があり、営業的には月次決算と年度決算、株主総会等々…。
際限のない庶務の仕事に埋もれないように、総務一丸となり、日々変化する店売業務への対応を中心に、日常的に起こる問題を取り除く。未来の強固なワンチーム作りを目指して、今日も奔走しています。

「先頭に立ち九州を引っ張る」安永理事長が檄を飛ばす/福岡組合総会

福岡県書店商業組合(安永寛理事長)は11月20日、福岡市中央区のタカクラホテル福岡で第41期通常総会を開催し、組合員160名(委任状含む)が出席した。
総会に先立ち、8月に逝去した山下理事(あべ書店)に出席者全員で黙祷を捧げた。
総会は森松副理事長(麒麟書店)の開会の言葉で始まり、安永理事長(金修堂書店)があいさつ。「福岡県は現在200を超す書店が組合に加入している。その福岡県が先頭に立って九州を引っ張っていかないといけない。今日も若い方が出席している姿を見て頼もしく思う。売上の厳しい現状の中で皆様は頑張っておられるが、来年もさらに頑張って生き残っていただきたい。そして、若い人たちにバトンタッチできるように志を持ってもらいたい」とあいさつした。
続いて、平山常務理事(小倉ブックセンター)を議長に選出して議案審議を行い、第1号から第5号議案まで全ての議案を原案通り承認可決した。
第1号議案の第41期事業報告では、安永理事長が、福岡市子ども読書フォーラム、日書連九州ブロック会総会、万引防止街頭キャンペーン、教職員互助会研修助成券、第8回九州選書市などについて報告。続いて各委員会から活動報告を行った。
総務・広報委員会からは、福岡県書店新聞を7回発行し、読書フォーラム、万引防止街頭キャンペーンを取材したことを報告。また、理事会・通常総会・懇親会・出版業界新年の会の運営・開催を行ったことを報告した。
組織・流通委員会では、昨年11月に返品運賃改定について天龍運輸と交渉し、今年4月まで交渉を重ねた後、桶川向けを5月より、蓮田・所沢・加須・九州雑誌センター向けを9月よりそれぞれ値上げすることに同意したことを報告。また、今期は新規加入が10店、脱退が11店だったことを説明した。
倫理委員会からは、2月と7月に福岡家庭裁判所久留米支部「万引き被害を考える会」で講和したこと、7月に福岡市天神地区で万引防止街頭キャンペーンを実施したことを報告した。
第4号議案の第42期事業計画案については、①福岡県書店商業組合の組織・運営の強化、②再販制度下における書店の役割の明確化、③取引慣行の弊害是正、④ネットワーク化による情報・物流の改善、⑤読書推進と文字活字文化の振興、⑥万引防止・青少年健全育成の周辺整備、⑦第9回九州選書市の開催――の7項目を柱に事業を行うと安永理事長が説明した。
総会終了後、出版社、取次、運輸会社も加わり、総勢37名が参加して懇親会が開催された。
(加来晋也広報委員)

消費税増税の影響を懸念/キャッシュレス推進状況に注視/秋田総会

秋田県書店商業組合(加賀谷龍二理事長)は11月8日、秋田市のホテルメトロポリタン秋田で第33回通常総会を開催し、組合員18名(委任状含む)が出席した。
総会は加賀谷理事長が欠席のため、和泉正之副理事長(金喜書店)があいさつを行った。和泉副理事長は、今年行われた消費税の増税により、売上や諸経費への影響など、書店にとって厳しい問題が今後出てくるだろうと懸念を表明。またキャッシュレス化の推進について言及し、各決済事業者から導入の依頼があるが、書店の現場や顧客に混乱が起きないように選別することが必要だと述べた。
引き続き、平野左近専務理事(ひらのや書店)の司会で出席者が自己紹介を行い、議事に移った。和泉副理事長を議長に選出して議案審議を行い、第1号議案から第7号議案まで全ての議案を原案通り承認可決した。
第8号議案では、定款変更(理事定数変更)及び理事辞任申し出について審議。定款変更を原案通り承認可決した。また、長年にわたり組合活動に尽力してきた嶋田マサ(一長堂書店)、浅利国夫(あさり書店)両氏から任期途中で理事辞任の届け出があり、これを了承した。
総会終了後、書店での困りごととして、キャッシュレス決済の申請や機械の操作相談、図書館に関連した問題などの話し合いが行われた。(石川信広報委員)

出帆業界の新春行事

【書店関係】
[北海道]
◇令和2年北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会=1月21日(火)午後6時から、札幌市中央区のJRタワーホテル日航札幌で。
[宮城]
◇令和2年宮城県書店商業組合出版・取次・運輸合同新年懇親会=1月7日(火)午後5時から、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で。
[神奈川]
◇神奈川県書店商業組合新年懇親会=1月28日(火)午後5時半から、横浜市中区中華街の華正樓本店で。
[東京]
◇令和2年東京都書店商業組合新年懇親会=1月15日(水)午後5時半から、東京都文京区の東京ドームホテルで。
[静岡]
◇第52回静岡県書店商業組合新年総会=1月17日(金)午後4時から、浜松市西区の舘山寺サゴーロイヤルホテルで。
[愛知]
◇令和2年愛知県書店商業組合新春賀詞交歓会=1月14日(火)午後5時半から、名古屋市千種区のルブラ王山で。
[大阪]
◇令和2年大阪出版販売業界新年互礼会=1月9日(木)午後4時から、大阪市北区のウェスティンホテル大阪で。
[京都]
◇令和2年京都出版業界新春を祝う会=1月7日(火)午後4時半から、京都市中京区の京都ホテルオークラで。
[福岡]
◇福岡県出版業界新年の会=1月9日(木)午後4時から、福岡市博多区の八仙閣本店で。
【取次関係】
[日教販]
◇第69回日教販春季展示大市会=1月9日(木)午前10時から、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷で。セレモニーは午後0時20分から。
【関連団体】
[日本出版クラブ]
◇出版関係新年名刺交換会=1月8日(水)正午から、東京都千代田区の出版クラブホールで。
[書店新風会]
◇新年懇親会=1月8日(水)午後6時から、東京都新宿区のハイアットリージェンシー東京で。
[悠々会]
◇新年会=1月10日(金)午後6時から、東京都千代田区の帝国ホテルで。
[全国医書同業会]
◇新年互礼会=1月6日(月)正午から、東京都千代田区の帝国ホテルで。
[出版梓会]
◇第35回梓会出版文化賞贈呈式=1月15日(水)午後5時半から、東京都千代田区の如水会館で。懇親会は午後6時半から。

小学英語、大学入試テーマに/学習参考書協会・辞典協会が勉強会

学習参考書協会と辞典協会は、「2020年新学期に向けた学参・辞典勉強会」を11月14日に東京・新宿区の研究社英語センターで開催。玉川大学名誉教授の佐藤久美子氏が「小学校英語はこう変わる!―ここが知りたい。これからの英語活動」、旺文社教育情報センターの石井塁氏が「どうなる?大学入試改革―混迷の中でわかること、待つもの」をテーマに講演した。
佐藤氏は、小学校英語が2020年度に3・4年生は必修化、5・6年生は教科化することを受けて、幼稚園・保育園でも英語が取り入れられるなど、未就学児の英語教育も盛んになっているとして、未就学児から小学校の英語教育の動向や教材について説明。「音の聞き取りは未就学児が上手」「英語を学ぶ力は、日本語を反復する力を向上させる。未就学児から英語を始めても、日本語にマイナスの影響はない」「ノンネイティブの保護者や教師が語りかけても発音に問題は出ない。子どもは教材の音をまねるので、ネイティブの音源付き教材は必要」など、子どもの言語獲得と発達についての研究で得られた知見からポイントを解説した。
また英語学習の課題として、週1回や月1回では英語の発音や語彙力に効果は期待できず、短い時間でいいので毎日触れることが大事だと指摘し、「『学校だけでは足りないので家庭で少しずつ英語に触れるといいですよ』というお薦めができると思う。子どもの発達段階に応じて、日常で使えるフレーズが入った楽しく学べる教材や本が有効だ」と述べた。
石井氏は、20年度に実施される「大学入学共通テスト」について現時点での状況を説明。英語の外部検定(外検)利用について、国が外検の成績を集約して大学に提供するシステムの導入は見送りとなったが、大学が受験生から成績を独自回収して行う外検入試は残ることに注意を促し、各大学の今後の発表を注視したいと述べた。
共通テストでは、知識の理解の質を問うたり、思考力・判断力・表現力を活用して解く問題を重視していることから、対策商品の重要ポイントと位置づけ、新年度から棚の入れ替えをしてほしいと求めた。共通テストの記述式導入は見直しの可能性があり、新年度の商品の扱いは国の方針決定を確認してから判断してほしいとした。

日書連のうごき

11月5日返品現地処理でトーハン訪問に柴﨑副会長、志賀理事が出席。出版4団体連絡懇談会に矢幡会長が出席。
11月6日野間読書推進賞贈呈式に矢幡会長が出席。JPO運営幹事会に事務局が出席。
11月7日万引防止出版対策本部総会に矢幡会長が出席。発売日本部・実行委員会に長﨑理事が出席。
11月11日出版再販・流通白書事務局会議に事務局が出席。出版物公取協規約で取次協会再販委員会との意見交換に元永専務理事が出席。全国中小小売商連絡会に事務局が出席。
11月13日読書週間書店くじ抽せん会に矢幡会長、柴﨑、春井両副会長が出席。
11月14日JPO運営委員会に春井副会長が出席。
11月15日九州雑誌センター取締役会に矢幡会長が出席。返品現地処理で日販訪問に柴﨑副会長、志賀理事が出席。
11月18日書店環境改善でマガジンハウス訪問に矢幡会長、鈴木、面屋副会長が出席。
11月19日書店環境改善で新潮社訪問に矢幡会長、鈴木、面屋副会長が出席。埼玉県組合研修会に髙島顧問が出席。
11月21日図書コード管理委員会に藤原副会長が出席。
11月22日JPIC理事会・評議員会に矢幡会長、藤原、春井両副会長が出席。
11月25日出版クラブ理事会に舩坂相談役が出席。
11月26日書店環境改善で講談社訪問に矢幡会長、鈴木、面屋副会長が出席。公正取引委員会相談指導室訪問に矢幡会長、面屋副会長、公取協元永専務が出席。図書館サポート部会に髙島顧問が出席。書店再生支援財団定例理事会。
11月27日日本図書普及取締役会に舩坂相談役、藤原副会長が出席。出版物関係輸送懇談会に藤原副会長が出席。
11月28日万引防止出版対策本部に事務局が出席。

大阪子ども「本の帯創作コンクール」/入賞作品109点を表彰/9点の帯を巻き、組合書店店頭に

大阪府書店商業組合、大阪出版協会、大阪取次懇和会などで構成する大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社が主催する2019第15回大阪こども「本の帯創作コンクール」の優秀作品の展示会と表彰式が11月16日、大阪市中央区のえる・シアターで開かれた。
児童書の表紙に巻く「帯」を小学生にデザインしてもらうこのコンクールは、子どもたちに読書の喜びや表現の楽しさ、大切さを知ってもらおうと2005年にスタート。府と市の学校図書館協議会が選定する課題図書部門と自由図書部門を設ける。課題図書部門の大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞を受賞した9点の帯は製品化されて本に巻かれ、大阪府書店商業組合加盟の書店店頭に並ぶ。
大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長・武蔵野大学名誉教授)はあいさつで、こどもの本は簡単な言葉でかえって深い真実を教えてくれると語り、「本はいろいろなことを知らせたり訴えたりしている。本の声に耳を澄ませ、聞き取って本の帯の形に描き表してくれている」と子どもたちの力作を讃えて、展示されている多くの本の帯を楽しく見てほしいと述べた。
朝日新聞大阪本社の西山公隆編集局長補佐があいさつした後、選考経過を報告した戸和繁晴実行委員長(大阪組合副理事長)は「今年は全国から1万2625点の応募作品があり、京都児童文化研究所の先生方が第1次審査をして、今日展示している525点が第1次審査に通った。その中で特に優秀な作品109点をを入賞作に選んだ」と説明した。
全国15都府県とインドのムンバイ日本人学校から寄せられた応募作品から選ばれた入賞作を表彰。埼玉、広島、兵庫などの府外受賞者を含む101人と保護者多数が出席し、賞状を受け取った。
受賞者を代表して、大阪府知事賞高学年の部を受賞した阪南市立東鳥取小学校6年・岡本ののさんは、「小学校生活最後の年に最高の賞をいただき、本当に驚きうれしく思っています。週1回の図書の時間は1週間の楽しみの1つです。絵を上手に書くことができる訳ではないですが、最後まで丁寧に仕上げることをいつも心がけています」とあいさつ。
課題図書で選んだ『ふたりユースケ』(理論社刊)について、「周りの人の期待に応えることは悪いこととは思わないし、その期待に応えるために努力することも良いことと思います。しかし自分らしさや自分を見失ってもすることは自分がドンドン苦しくなっていくことも、この本を通して考えさせられました」と話した。
本の帯の制作については、「ウラとオモテどちらでも伝わることを意識して帯を作りました。オモテとウラを反対に考えていたのですが、納得せず、興味を引く言葉をオモテ表紙に、『ぼくがだれに似ていようと関係ないのに…』という言葉でウラ表紙を仕上げました。自分らしく仕上げたからこの賞をいただけたと思います」と述べた。
最後に大阪読書推進会の面屋龍延副会長(大阪府書店商業組合理事長)が、「大阪読書推進会は、16年前に書店と大阪出版協会と大阪取次懇和会の3者で立ち上げた。朝日新聞大阪本社のご協力をいただき、この本の帯創作コンクールと読書ノート運動を行っている。来年もより多くの皆さんにご参加いただくようお願いする」と閉会の辞を述べた。
第2部は林家染吉さんと笑福亭呂好さんの「子ども寄席」で落語2席が演じられ、大変な盛り上がりの裡に閉幕した。
なお、合計525点の作品は、大阪市を始め府内各地で展示される予定。
(石尾義彦事務局長)

移転

◇兵庫県書店商業組合
事務所を次の住所へ移転した。
〒654―0021兵庫県神戸市須磨区平田町2―3―9井戸書店内
℡078―732―0726FAX078―732―0999

地域の読書普及に貢献/2団体・2個人に野間読書推進賞/読進協

読書推進運動協議会(読進協=野間省伸会長)は11月6日、東京・千代田区の出版クラブビルで第49回野間読書推進賞の贈呈式を開催し、団体の部として「鹿嶋市読書団体連合会」(茨城県鹿嶋市)、「諫早コスモス音声訳の会」(長崎県諫早市)の2団体、個人の部として村上招子さん(広島県三原市)、今井登美子さん(大分県中津市)の2名を表彰した。
贈呈式で、野間会長は「読書はあらゆる人に希望と勇気を与えてくれる。読進協は、全ての人が生涯にわたり安心して読書を楽しむことができるよう、引き続き支援していきたい」とあいさつした。
選考経過を報告した全国学校図書館協議会の笠原良郎顧問は「入賞する団体は非常によく勉強しており、技術的な向上を図りながら活動している。個人で受賞する方は、自分たちが活動するだけでなく、地域の団体をつなげて活動を拡げていく方が多い」と述べた。
受賞者あいさつで、7つの読書団体が参加して多彩な活動を行っている「鹿嶋市読書団体連合会」代表の石津正子さんは、「長く続けることができたのは会員1人1人の意識が高く、たくさんの行事から多くのことを学び、会員同士の絆をしっかり築き上げてきたから。受賞を契機に、より一層の発展と会員相互の親睦を継続し、今後も市立図書館との連携を保ちながら地道に活動を続けていきたい」と語った。

10月期販売額は5・3%減/増税と台風の影響で店頭不振/出版科研調べ

出版科学研究所調べの10月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比5・3%減となった。
内訳は、書籍が同3・2%減、雑誌が同7・4%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同6・0%減、週刊誌が同12・9%減。週刊誌が大幅減となったのは、少年コミック誌や女性誌など搬入本数が少ない雑誌があった影響による。
返品率は、書籍が同4・1ポイント減の37・0%、雑誌が同0・1ポイント増の43・3%。雑誌の内訳は、月刊誌が同0・6ポイント減の43・5%、週刊誌が同3・0ポイント増の42・3%。書籍は新刊、重版ともに送品部数を抑制する傾向にあり、返品率は大きく改善した。
書店店頭の売上は、10月1日の消費税率引上げと10月12日に上陸した台風19号、その後に相次いだ豪雨など天候不順だったこともあり、低調だった。
書籍は約8%減で、各ジャンルとも低調。前年を上回ったのは、ノベルズ『鬼滅の刃片羽の蝶』『鬼滅の刃しあわせの花』(ともにJUMPjBOOKS)と『ケーキを切れない非行少年たち』(新潮新書)が売れた新書(約1%増)のみだった。
雑誌は、定期誌が約5%減、ムックが約12%減、コミックスが約4%増。コミックスは『ONEPIECE』の新刊発売があったほか、既刊の売行きも圧倒的な『鬼滅の刃』(ともに集英社)が大ブレイクしており、3ヵ月ぶりに前年を上回った。

図書館総合展ビブリオバトル・シンポジウム/図書館・出版社・取次が意義と継続の方策を語る

第21回「図書館総合展」(主催=同運営委員会)が11月12日~14日の3日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれ、図書館や出版関係者ら計3万402名が来場した。153のブースが出展し、61のフォーラムが行われた。
この中で、ビブリオバトル普及委員会と活字文化推進会議は13日、フォーラム「ビブリオバトル・シンポジウム2019」を開催。ツアービブリオ主宰の榎村真由氏が基調講演を行った後、皇学館大学文学部国文科准教授の岡野裕行氏をコーディネーターに、千葉県立中央図書館司書の松崎萌氏、原書房社長の成瀬雅人氏、日本出版販売YOURSBOOKSTOREブックディレクターの有地和毅氏が「ビブリオバトルの主催における機能と可能性について」をテーマにパネルディスカッションを行った。概要は以下の通り。
岡野ビブリオバトルを始める前にやったことは。
松崎図書館でやれば面白いという確信はあった。まず職場の人たちに理解してもらい、周りを巻き込んでいくことから始めた。
成瀬出版社が主催することはあまりない。出版社の人間がバトラーになると、自社本の宣伝になることが多く、そこに出版社側が関わる本質的な難しさがある。だから自分に出場のオファーがあったときは、自社本を絶対に取り上げないことを条件にしている。
有地特定の出版社のファンというのがけっこういるので、「出版社しばり」でやって、読者がその出版社の好きな本を紹介すると面白い。読者の要望をすくい取れるし、自社の特色もアピールできる。直接売れなくても、出版社が胴元になって本を活性化する場を作る事例になる。
岡野テーマしばりといえば「マンガ」「書店員」などはあったが、「出版社」は盲点だった。ぜひ実現してほしい。
有地六本木の文喫で開催する視点から考えると、イベント型で有名人を呼んでやるのもいいが、まずはコミュニティ型で定期的に開催し、来店客同士が自然に本の話をする場面が生まれることを想定している。今、書店は本を買うだけではなく、これまで知らなかった本や情報と出会う場所になっている。そういった書店の機能をビブリオバトルによって強化することができる。継続することでコアメンバーが生まれ、情報交換の活発化につながる。
松崎図書館には、図書館員のおススメ本やPOPを展示する場所が今までもあったが、図書館員の顔がなかなか利用者に見えない状態。ビブリオバトルをやることによってキャラクターが出て、「名物図書館員」が生まれるのではないか。月1回開催している千葉県の図書館ではコスプレして本を紹介する「名物バトラー」が生まれ、図書館員を中心としたコミュニティも出来たと聞いている。
岡野図書館が書店に声をかけても反応が薄かったという話がある。
成瀬山梨県では図書館と書店が協力して「やまなし読書活動促進事業」に取り組んでいて、ビブリオバトルも開催している。地方では書店が減っている。ビブリオバトルを媒介にして、地元に残っている書店に頑張っていただきたい。これ以上売場が減ることは危機的状況。書店と図書館が協力してできることは、共通テーマでフェアをやるなどあるが、そうしたことの一つの道具として使えるのではないか。どうすれば盛り上げることができるか考えてみたい。
岡野開催を決めた後のハードルとして、よく聞くのはバトラーが集まらないこと。
松崎図書館員自ら参加することが一番簡単。バトラーが集まらないとき、『じゃあ自分がやるよ』と言ってくれる理解者を図書館の中に作っておくことが大事。絶対に参加してくれる人を確保しておく。開催を続けるうちに、来館者の中からバトラーをやるという人も次第に増えていく。
成瀬「やまなし読書活動促進事業」で行っているケースでは、地元書店員がよく参加している。「本のプロ」が混じってやるのは悪くない。出版社も積極的に参加すればいい。そうした「本のプロ」を「素人」が打ち負かす図は面白い。
有地イベントの集客は難しい。予め継続開催を前提として考えなければならない。初回はそれ自体がコミュニティを生むことはないので、既存のコミュニティを巻き込む。たとえばビジネス系勉強会などのコミュニティを起点に開催するといいのではないか。初めから「名物バトラー」を生み出すつもりで開催するべき。バトラーを表彰することも継続する上で大事だ。
松崎開催後に参加者同士が話し合う場を作り、チャンプ本にならなかった人にも「良かったよ」と声をかけてあげるなどすると、すべての参加者の満足度が上がって、次の開催につながりやすい。
有地リアルなイベントの価値は人と話したり出会ったりことにある。バトルの後に聴衆を含めて感想を言い合うネットワーキングタイムを設けるのもいい。
岡野過去、全国大会でチャンプ本になったことで売上げが上がり、帯を変えた出版社もあった。
有地チャンプ本に選ばれたことを出版社がセールスに活かすには色々な方策が考えられる。バトラーによるプレゼン動画を書店店頭で流せば、本の魅力を伝えられるし、バトラーも本の伝道師的な立ち位置になって、本と人をつなぐ役割を色々な場所で果たすことができるのではないか。

総合1位は『一切なりゆき』/取次大手2社・2019年の年間ベストセラー

トーハン、日販は11月29日、「2019年年間ベストセラー」を発表した。集計期間は18年11月25日~19年11月23日。
総合1位に輝いたのは両社とも『一切なりゆき樹木希林のことば』(文藝春秋)。18年9月に亡くなった女優の樹木希林さんが遺した言葉を集め、章立てで収録したもの。女性では20代から80代まであらゆる世代に支持され、平成最後のミリオンセラーになった。樹木希林さん関連書籍は、トーハンで5位、日販で3位に入った『樹木希林120の遺言』(宝島社)など7点が刊行され、発行部数の合計は250万部を超え、いずれもヒットを記録した。
ビジネス書の1位は前田裕二『メモの魔力』(幻冬舎)だった。ビジネス書は売上前年比がプラスで推移する激戦ジャンルとなっており、20代男性をはじめ若い世代の購入増加が一因になったとみられる。
児童書は、「おしりたんてい」シリーズ(ポプラ社)が発行部数合計700万部、「ざんねんないきもの」シリーズ(高橋書店)が357万部となり、上位を席巻した。両シリーズともここ3年の間に爆発的に売れて、一気に誰もが知るほどの認知度を獲得した。
文庫の1位は新海誠『小説天気の子』(KADOKAWA)。今年大ヒットした映画のノベライズ本で、発行部数62万部のヒットになった。小野不由美『十二国記』(新潮社)もベスト10に4作品がランクインし、発行部数合計は250万部を超えた。
実用書は小林弘幸『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、文芸書は瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)が、それぞれ1位となった。

絵本の家を20年1月に吸収合併/岩崎書店

岩崎書店は、完全子会社である絵本の家と合併契約を締結、2020年1月1日付で岩崎書店を存続会社として吸収合併すると発表した。
絵本の家は、合併後は岩崎書店絵本の家事業部となり、従来通り営業を継続していく。絵本の家は1984年に設立。海外絵本の輸入・卸販売を軸に、キャラクター関連グッズの製作等を手掛け、商品を書店、百貨店、ミュージアムショップ、英会話学校等に提供している。
岩崎書店は、児童への英語教育の需要が高まり、2020年に小学校で英語教育の必修化が行われることから、海外絵本を扱う絵本の家を傘下に収めて英語商材の充実を図るため、今年4月1日付で同社を完全子会社化していた。

日経BPが日本経済新聞出版社と20年4月に統合/日経グループの総合出版会社に

日本経済新聞社は、全額出資子会社の日経BPと日本経済新聞出版社を2020年4月1日付で経営統合すると発表した。日経BPが存続会社となり、日経グループの出版事業の経営基盤強化を図っていく。。
経営統合後の日経BPは、デジタル、雑誌に加え、経済の専門書から経営書、ビジネス書、技術・医療専門書、生活実用書、文芸書、文庫・新書、電子書籍、ムック、映像ソフト、カスタム出版まで幅広く手掛ける日経グループの総合出版会社となる。
統合に合わせて日経BPは「日本経済新聞出版本部」を新設し、日本経済新聞出版社の書籍・電子書籍や映像ソフトなどを編集・製作する機能を引き継ぐ。同本部は新ブランドで経済学の専門書や啓蒙書、経営・ビジネス書などを刊行する。従来の「日経BP」ブランドとの複数ブランド体制となり、いずれも発行は日経BP、発売は日経BPマーケティングとなる。

東邦出版が民事再生申請

競馬やスポーツ、ゲーム関係の出版を手掛ける東邦出版は、12月2日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は、2018年3月期決算時点で6億7007万円。
同社は1979年4月に設立。2015年3月期は売上高8億7108万円を計上していた。しかし近年の出版不況による販売不振で19年3月期は売上高が7億3410万円に減少。多額の債務超過に陥り、出版物の移管などを進めていた。11月1日には関連のシーロック出版社とデジタルビューが事業を停止し、破産申請を弁護士に一任していた。

ABC雑誌発行社レポート/2019年上半期雑誌販売部数

日本ABC協会は2019年上半期(1月~6月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは36社130誌。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は、週刊誌94・32%、月刊誌91・95%、合計92・51%となった。報告誌の状況は、交通タイムス社『CARトップ』が報告を休止。日経BP『日経おとなのOFF』は休刊した。JTBパブリッシング『ノジュール』と日経サイエンス『日経サイエンス』は、退会したため掲載を停止した。
一般週刊誌のトップは『週刊文春』の28万7241部で前年同期比14・4%減となり、30万部の大台を割り込んだ。『週刊現代』は同0・4%減の20万8014部とほぼ横ばいだったが、『週刊新潮』は同21・3%減の19万7735部、『週刊ポスト』は同9・9%減の19万401部と落ち込んだ。新聞社系では、『週刊朝日』は同4・6%減の7万3914部、『サンデー毎日』が同12・9%減の3万7971部だった。
ビジネス・マネー誌は、『週刊ダイヤモンド』が同13・5%減の6万6424部と振るわず。『週刊東洋経済』は同3・3%減の5万4053部。『日経ビジネス』は同6・2%減の16万6545部、『プレジデント』は同7・6%減の13万2268部だった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が0・5%増の19万2799部と前年同期の水準を維持。『女性自身』は同4・8%減の17万6127部、『週刊女性』は同4・7%減の9万4892部と部数を落とした。
女性月刊誌は、ヤングアダルト誌の『リンネル』は同10・2%増の17万5917部と好調を持続。食・グルメ情報誌の『オレンジページ』は同6・1%増の20万4760部と大台を回復した。

中間連結決算で19年ぶり赤字/物流系・書店系子会社の経営厳しく/トーハン

トーハンは11月20日、第73期上半期(2019年4月1日~同9月30日)の決算概況を発表した。当期より連結子会社を16社から28社に、持分適用関連会社を5社から12社に拡大しており、物流系子会社と書店系子会社の厳しい経営状況を反映して、連結売上高は1896億3000万円(前年比1・2%減)、親会社株主に帰属する中間純損失は2億500万円(前年は8600万円の利益)と減収減益になった。中間決算の赤字は2000年度以来、19年ぶり。
トーハン単体の売上高は前年比2・9%減の1779億8400万円で、金額では前年を下回ったものの、売上計画を上回った。内訳は、書籍が同0・3%減の737億1200万円、雑誌が同3・8%減の621億2600万円、コミックが同4・9%増の217億4600万円、MM(マルチメディア)商品が同15・2%減の203億9800万円。
返品率は、効率販売の推進により同0・9ポイント減の42・4%と改善した。書籍は同1・7ポイント減の43・5%、雑誌は同0・9ポイント減の49・0%、コミックは同3・1ポイント減の29・3%、MM商品は同4・4ポイント増の20・8%。
売上総利益は同2・3%減の223億1100万円。MM商品の売上減少等で計画に届かなかったが、書籍・雑誌・コミックの効率販売の進展により返品率が改善できたことで、販売費及び一般管理費は計画を2億5100万円下回り、粗利益の減少を補った。しかし、販管費は同0・8%増と増加基調にあり、運賃等の上昇が大きく影響している。
この結果、営業利益は同32・8%減の14億200万円、経常利益は同71・1%減の2億8100万円。特別利益には不動産の売却益等、特別損失には本社建築計画に伴う別館等の取り壊しによる固定資産除去損を計上し、中間純利益は同91・5%減の5800万円となった。
決算説明を行った小野晴輝専務は、「減収減益の厳しい決算だが、売上高・利益とも中期経営計画『REBORN』に沿った結果となった。運賃上昇など物流費用増加の影響については、想定通りではあるがますます増大しており、取次経営を圧迫している。その中で上半期は効率販売で一定の成果を出し、物流費用の増大をある程度吸収することができた」と総括した。
トーハンは『REBORN』を進めるにあたり、連結範囲を拡大して収益力の強化、将来に向けたシナジー強化を図っていく。連結売上高は1896億3000万円、前年比1・2%の微減となったが、物流系子会社4社のうち3社、書店系子会社13社のうち9社が赤字という厳しい経営状況を反映し、経常損失は2億7000万円、親会社株主に帰属する中間純損失は2億500万円となった。「今回の決算は連結範囲を拡大したことによるコスト等の要素を含んでおり、やむを得ない過渡的な状況」(小野専務)としている。

売場作りに役立つ「書店実務手帳」発売/トーハン

トーハンは11月18日、売場作りに役立つ資料をまとめた書店員必携の専門手帳「書店実務手帳」2020年版を発売した。制作・発行はメディア・パル。150×85㍉、260ページ、頒価860円。
流通経路、出版市場の規模、ジャンル別現況、流通条件など「出版販売の基礎知識」、売場別年間スケジュール、資格試験一覧、主要雑誌発売日、出版社名簿など「書店員実務・営業資料」を掲載している。

取次大手2社年始の予定

■トーハン
来年の仕事始めにあたる1月6日(月)午前10時~11時半(受付終了11時)、東京・新宿区の本社8階大ホールで賀詞交歓の場を設け、社長以下役職員が取引先を迎える。社長の年頭スピーチや施策発表等は予定していない。
■日販
来年の仕事始めの1月6日(月)午前9時半~11時(受付10時半まで)、東京・千代田区の本社5階会議室で「新年ご挨拶の会」を開き、社長はじめ役職員が取引先を迎える。

オリジナル布製エコバッグの受注開始/日販

日販は、地球環境保護対策として、プラスチック製レジ袋に替わるオリジナル布製エコバッグを企画し、11月28日から書店法人向け受注を開始した。レジ袋の代わりに手に取ってもらいやすい手頃な価格帯(推奨店売価格100円~150円)で提案する。
書店ごとにオリジナルのデザインを採用した各法人限定バッグのほか、『赤毛のアン』『ウォールデン森の生活』など名作をモチーフにした書店ならではのデザインのオリジナルエコバッグを製作する。
この企画を皮切りに、20年2月より日販グループのリブロプラスが運営するリブロ、オリオン書房、あゆみBOOKSでのエコバッグの店頭販売が決定した。各店をモチーフにしたデザインを採用し、それぞれの書店でしか手に入らない限定品として発売を予定。

19年度中間決算は減収減益/日販単体の取次事業、営業赤字続く/日販GHD

日販グループホールディングスは11月20日、2019年度(19年4月1日~9月30日)の中間決算を発表。日販グループ(連結子会社26社)の連結売上高は、雑誌・書籍の店頭販売の落ち込みと廃業店等の増加で前年比5・0%減の2508億2000万円と、減収減益の決算になった。
日販グルーブの営業利益は、取次事業、小売事業を中心に固定費の削減に取り組んだ結果、全体では同88・3%増の10億7200万円、経常利益は同73・6%増の11億1600万円となった。特別利益100万円、固定資産除去損や店舗閉鎖損失等の特別損失2億600万円および法人税等を加減した、親会社株主に帰属する中間純利益は同62・8%減の1億3800万円で減益となった。
連結事業別業績をみると、取次事業は売上高が同5・2%減の2303億4400万円、営業利益が6200万円(前年同期は5100万円の赤字)、経常利益が同65・5%減の1億5000万円となった。
営業損益黒字化の要因の一つのMPDは、BOOKに加えてセル、レンタル、ゲームで減収となったが、物流拠点再編など固定費の削減により増益となった。一方、日販単体は、開発品がPB商品の拡大で増収となったものの、雑誌、書籍の大幅減収、物流コストの悪化を固定費圧縮や条件改定で補えず、営業赤字が続いている。
小売事業は、売上高が同2・2%減の304億1500万円、営業利益が1億円(前年同期は0円)、経常利益が9900万円(前年同期は100万円の赤字)と黒字転換した。
グループ書店全体ではBOOK、セル、レンタル、ゲーム等で減収だったものの、積極的なリニューアルを実施し、減少幅は全国動向を下回った。PPIやHigh―Profit企画への重点的な取り組みによるインセンティブ獲得や、文具・雑貨の売場拡大によって売上が伸長したことで利益率が改善。また、前年度からの不採算店の撤退、本部機能の効率化や賃料等の管理費を削減したことが奏功し、営業利益、経常利益ともに黒字化した。
上半期のグループ書店の新規出店は2店舗、閉店は13店舗で、19年9月末時点の店舗数は251店舗となった。下半期には新たに3店舗の出店を予定。
このほか、海外事業、コンテンツ事業、エンタメ事業、不動産事業、その他事業は増収を確保。一方、雑貨事業は減収となった。
日販単体の商品別売上高は、開発品が同4・5%増の138億6800万円で増収の一方、書籍が同4・8%減の972億6200万円、雑誌が同7・9%減の624億800万円、コミックスが同4・1%減の309億8300万円で減収となった。販売ルート別では、書店ルートが開発品等の伸長もある一方、書籍、雑誌の落ち込みと運賃単価値上げの影響を受けて営業赤字となった。
商品別返品率は、書籍が同1・2ポイント減の33・4%、コミックスが同2・2ポイント減の28・2%、開発品が同2・8ポイント減の38・6%と改善したが、雑誌は同1・3ポイント増の47・5%と悪化。合計では同0・5ポイント減の38・1%と改善した。