全国書店新聞
             

平成19年6月11日号

SJ文化講演会山形会場に応募多数

6月24日に開かれるサン・ジョルディの日全国縦断文化講演会(講師=渡辺えり子氏)に、締切の6月4日までに1326枚(約2600名分)の応募があり、抽選の結果、800枚(1600名分)のチケットを送付した。新聞、ラジオ、NHK全国放送での宣伝等で人気化し、組合書店から応募券の追加が相次いだ。

書店共同化事業を研究/09年に太宰生誕百年事業/青森総会

青森県書店商業組合は5月17日午後3時から青森市・アラスカ会館で第20回通常総会を開催した。
総会は岡田専務理事の司会で進行。冒頭、物故者に対し黙祷を捧げ、祖父尼副理事長が開会の辞を述べた。鶴谷理事長のあいさつは以下の通り。
「昨年度は廃業、脱会した書店が多く心苦しいばかりだが、組合としては正しい方向を見据えながら進むしかない。全国的な問題でもあるので、日書連の方策を県組合としても捉え、消化し実践していくことが大事。昨年度、流通業者に要請した返品運賃軽減化はひとつの成果を得たので、全国の状況を考慮しながら進めていきたい。
学校図書館でのTRC問題は、日書連MARCを採用し青森県組合で立ち上げたセンター方式が順調に実績を上げてきている。TRCを採用した八戸市を日書連MARCに換えていくことが今後の課題。読書推進運動では文化講演会やブックフェアを開催してきたが、結果がすぐ現れる事業ではないので、今後も関連団体とタイアップし、さらに拡大していきたい。書店共同化の事業は青森モデルというものを意識して、青年部と合同で研究していく。共同化して仕入れが順調にできるというレベルから、その商品をいかにして売りぬくかというところまで考える。
また大規模フロアの店舗を組合として運営することも今後の検討課題にする。書店実態調査に対する回収率が、青森組合は良かった。青森では組合問題に対する意識が高いと認識される」
続いて議案審議に入り、18年度事業報告・収支決算ともに原案通り承認。共同化、万引き防止、学校図書館情報化、読書推進、組合員の増強などを継続事業とした。19年度の新規事業計画としては、2009年に予定される「太宰治生誕100年事業」の準備計画、返品入帳処理改善要請をするための調査事業が承認された。また監事欠員補充として弘前市・黒滝書店の米沢勇氏が選任された。
成田副理事長代理の三上氏が閉会の辞を述べ、総会終了後、取次、出版社、教販、流通業者とともに懇親会を開催した。
(黒滝恭一広報委員)

再販、消費税が課題/12委員会を4グループに編成/東京組合

東京都書店商業組合は6月6日午後2時から書店会館で、大橋信夫理事長体制になってから初の定例理事会を開催。大橋理事長は重要課題として再販、消費税をあげ、組合一丸となって諸課題の解決に取り組みたいと所信を語った。また、理事定数減数にともない組織の効率化を図るため、現行12委員会を4グループに編成することを決めた。
大橋理事長は5月17日の東京組合通常総代会で理事長に選出されたが、「社の内外における諸事情」を理由に、いったん受諾を保留。同21日に正式に受諾した。さらに、同24日の日書連総会では第8代日書連会長に選出された。
理事会の冒頭、大橋理事長はこうした一連の経緯を説明。今後の組合運営について「基本的に丸岡前理事長の路線を受け継ぐが、(トップの)人が変われば進む方向が変わる部分もあるかと思う」と述べ、意欲を示した。
当面の重要課題は再販と消費税問題であると指摘。「問題山積の重要な局面で東京組合理事長および日書連会長を引き受け、身の引き締まる思い。東京組合には副理事長、常務理事、理事と強力なメンバーが揃っており、皆さんのお話をよくうかがいながらやっていきたい。組合一丸となって、目的を絞って議論を戦わせ、ベストの道を歩むべく努力する」と抱負を話した。
委員会構成については、各委員会に担当副理事長、委員長、副委員長、委員を配置する従来のやり方から、現行12委員会をA、B、C、Dの4グループに分ける「グループ制」とすることを決めた。①副理事長は各グループ内委員会の担当、②常務理事は原則として各委員会の委員長、③理事は各グループ内の委員会の委員――になる。今後は委員会単位ではなく、3委員会から構成するグループ単位で問題意識を共有し、問題解決にあたる。理事定数が減数となったことに対応するためとられた措置で、より効率的かつ実効性のある組合運営を図ることが狙い。

支払いサイト60日求める声/西猛理事長を再選/福島総会

福島県書店商業組合は5月20日、会津若松東山温泉・御宿東鳳で第23回通常総会を開催し、総勢30名が出席。組合員数が8名減少し104名になった危機的状況に、白熱した議論が交わされた。役員改選では西猛理事長(西沢書店)を再選した。
恒例の各支部提出議案は以下の通り。
県北支部=①雑誌の送品梱包の改善②返品入帳のいっそうの迅速化
県中支部=①図書カード最低発送金額を5万円に②学校図書館への日書連マーク普及推進
県南支部=①再販維持②年配者にももっと使いやすい組合ネットシステムを
相双支部=①60日に支払いサイト延長②日書連の組織力強化
いわき支部=取次への要望として①60日に支払いサイト延長②売れ筋商品の送本
会津支部=①正味の見直し②60日に支払いサイト延長
総会に続いて、取次東北支社2社を含む10社・1団体があいさつと新企画説明を行った。合同懇親会では意見交換、商談と盛会となり、業界三位一体の重要性を再認識した。
なお、7月12日、13日の両日、本総会と同じ会場である御宿東鳳で「第59回東北ブロック大会」が開催される。同組合では「会津士魂の志で皆様を熱くお迎えしたい」としている。
(大内一俊広報委員)

中村晃造理事長を再任/京都組合第23回通常総代会

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は5月30日に京都ホテルオークラで第23回通常総代会を開催した。
あいさつで中村理事長は、書店数の減少が近年顕著となり消費者の読書離れが進む厳しい現状を報告。その対策として、書店が顧客ニーズに迅速に応えるために、出版社各社のインターネット発注をうまく活用して注文品の入荷日数を短縮するなどの努力が必要だとして、京都組合としても書店のIT化をさらに推進していく考えを述べた。
一方京都組合の活動としては、京都市内約3百校の市立小・中・高校すべてに日書連MARC仕様の図書館電算化システム「情報BOX」の導入が今年度中に完了すること、また組合員へのITサポートを支援するため、その専門委員会を今年度中に立ち上げる予定であることを報告した。
各種事業委員会からは、①組合ホームページから商品が注文できるシステムの構築、②「本屋へ行こうキャンペーン」の取り組みの成果について、③京都市教育委員会主催の「子ども読書の日」イベントでの綿矢りささんサイン会開催をはじめとする参加協力について――などが報告された。
続いて大垣和男総務財務委員長が平成18年度会計報告を行うとともに、平成19年度の会計予算案を提案した。また、理事・監事の任期満了に伴う改選が行われ、第1回理事会を開催した結果、中村理事長の再任が承認された。
理事会では、中小書店救済のために組合がどう取り組むべきかをさらに検討していくことを今年度の課題にしたいとの意見が交わされ、終了した。この一連の議案は総代に諮られた結果、全会一致で承認され、総代会を閉会した。
会場では小学館、京都新聞社から各種コンクールの表彰が行われるとともに、京都組合の組合員従業員表彰を行った。その後懇親会を開催して親睦を深め、盛況のうちに終了した。
(澤田直哉広報委員)

大型出店の現状説明/群馬総会で大澤理事長

群馬県書店商業組合(大澤孝輝理事長)は5月30日、前橋問屋センター会館で第20回通常総会を開き、組合員48名(委任状含む)が出席した。
総会は石坂理事(事務局)の進行で進行。高塚副理事長の開会の辞に続き、大澤理事長があいさつで「昨年以来高崎・前橋の大型ショッピングモールに大規模書店の出店が相次ぎ、大変な状況になっているが、該当地区書店は街の書店として頑張っていただきたい」と述べたほか、大型店の組合加盟の問題にも触れて、組合活性化に協力を呼びかけた。
竹内理事を議長に議案審議に入り、平成18年度事業報告・決算報告、平成19年度事業計画案・予算案などを原案通り承認可決した。
また、多野郡吉井町・吉田書店の吉田勇理事が春の黄綬褒章を受章した旨の報告があり、出席者一同拍手でお祝いをした。その後事務局より図書館整備計画・河出書房新社の企画等の説明があった。
中小企業団体中央会の石井暁主事より祝辞をいただき、中村副理事長の閉会あいさつで終了。続いて版元の企画説明があったほか、運送会社と意見交換をした。その後、懇親会を小林副理事長のあいさつで開会し、和やかに幕を閉じた。
(竹内靖博広報委員)

生活実用書/注目的新刊

2001年を境にして過去6年間、書籍の定価は下がり続けている。本が売れなくなってきたために、衝動買いも見こめる新書判をはじめ、低価格本が増えてきたからである。安ければ確かに買いやすいが、本の価値はそんなものだったかという疑問は残る。
ただ低価格の本は、普段なかなか買ってくれない人へのアプローチとして、さらに、面白い本の世界に誘う方法として有効な商品であることも見逃せない。
南正時著『特選!全国JR鉄道の旅うんちくガイド』(実業之日本社476円)も、最近増えた [定価(税込)500円本] の一冊である。
かつて「ローカル線の旅」という講座をカルチャーセンターで行ってきたカメラマンの著者が、全国169路線を紹介する。全ての路線に、鉄道写真家らしい絶景ポイントを走る車両の雄姿や、特徴のある駅舎の写真が添えられている。見ているだけで十分に旅行気分を味わえる。
最北はJR北海道の宗谷本線。旭川~稚内間、53駅を結ぶ259・4キロの路線だ。無人駅の塩狩には『塩狩峠』を書いた三浦綾子記念館があり、音威子府駅は以前走っていた蒸気機関車などの鉄道資料が展示してある。天候に恵まれればサロベツ原野から、利尻富士が見えるという。
JR東日本、東海、西日本、そして四国、九州へと旅は続き、最南端の西大山駅を通る指宿枕崎線で終着を迎える。この路線も2003年、沖縄にモノレールが開通したので現在最南端ではなくなった。
夏目雄平著『カラー版小さい駅の小さな旅案内』(洋泉社COLOR新書y1000円)は、有名な観光地を巡るのでなく、むしろあまり知られていない日本の原風景を散策する薦めである。
東海道線、根府川駅を降りて、相模湾を望むみかん畑の散歩をかわきりに20コース。いずれも東京から日帰りできる旅ばかりだ。
しなの鉄道の小諸駅では、半円形型に続く棚田を見に行く。「芝生田」を「しばいくた」と読んで尋ねると、「しぼうだ」と訂正される。6月には若苗が一面に茂って美しい。
著者は千葉大学大学院の教授で、専門は物性物理学。非日常の旅は車より鉄道と強調する。全ての旅にカラーのイラストマップと写真がつく。
(遊友出版・斎藤一郎)

訂正

書店新聞6月1日号5面東京組合の記事で、梅木常務理事の名前は「梅木秀孝」の誤りでした。お詫びして訂正します。

日書連のうごき

5月7日出版物小売業公正取引協議会会計監査。取引改善・付録問題雑協との二者会談。SJの日共同企画予備抽選会。
5月8日日書連臨時理事会。「春の書店くじ」抽選会。安部理事が団長で「英国7日間の旅」出発。
5月9日第2回JPO運営委員会に大川専務理事が出席。
5月10日第46回全出版人大会に丸岡会長ほか役員が出席。再販弾力運用研究チームが初会合。
5月11日第1回図書館サポート委員会。税制対策特別委員会小委員会に、大橋副会長、下向理事が出席。学校図書館整備推進会議に大川専務理事が出席。日本図書普及㈱決算役員会に、丸岡会長ら5名の役員が出席。
5月14日TIBF実行委員会ブース打合せ会に大川専務理事が出席。
5月16日日本出版クラブ監事会と総務委員会に丸岡会長が出席。紀伊國屋書店創業80周年記念パーティーに大橋副会長が出席。
5月17日全国学校図書館協議会との意見交換会に井門副会長が出席。日本図書普及㈱監査会に井門副会長が出席。
5月18日学校図書館整備推進会議総会に大川専務理事が出席。出版平和堂委員会に大川専務理事が出席。
5月21日有斐閣創業130周年感謝の会に丸岡会長が出席。出版倫理協議会に大橋副会長ほか役員が出席。出版業界ICタグ普及促進問題で経済産業省との意見交換会に大川専務理事が出席。
5月22日全国中央会主催の「連合会等研修事業交付申請等補助事業説明会」に石井総務部長が出席。
5月23日日書連5月定例理事会。正副会長会議。出版物小売業公取協総会。
5月24日九州雑誌センター第15期株主総会に丸岡会長が出席。日書連第19回通常総会。
5月25日近畿ブロック会に長尾専門委員が出席。
5月28日読書推進運動協議会理事会並びに平成19年度総会に大川専務理事が出席。学校図書館整備推進会議広報委員会に石井総務部長が出席。
5月29日雑誌発売日本部・実行合同委員会に藤原副会長ほか役員が出席。
5月30日全国中央会平成19年度通常総会並びに第188理事会に大橋会長が出席。

新・アジア書店紀行/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔第15回メルボルン2〕
〈ボーダーズ〉
メルボルンの高級住宅地の多い南部にサウスヤラがある。東京でいえば自由が丘であろうか。そこにジャムファクトリーショッピングセンターがある。この一階にボーダーズが約700坪の広さで店を構えている。同じSC内にヴァージンメガストアーがあるので、若者が集まるのは間違いない。
入り口部分に雑誌が置かれている。このスタイルはボーダーズが日本の書店のレイアウトを研究する中で得た学習結果である。雑誌の集客性、リピート性を経営の中に取り入れたわけである。雑誌から書籍売場に誘導する途中にバーゲンセールのコーナーが大々的にある。1台30点陳列の平台が15台あった。メルボルン市内の書店を見ても、これほど派手に展開している書店はない。ボーダーズの独り舞台である。
この店は奥行が深く約70間、幅10間、700坪の大型書店である。レイアウトは入り口からレジ―雑誌―バーゲンブック―実用書(クラフト、ヘルス、クッカリー)―ガイド、マップ―中央レジ&インフォメーション―喫茶―新刊―文藝書―芸術書―社会科学書―心理学―歴史書―コンピュータ書―レファレンス―スポーツ書―児童書と続いている。児童書売り場は店の最奥にあるので、広くゆったりとスペースが確保されている。
オーストラリアの書店の特色にスポーツ書の扱いの大きいことがある。この国はスポーツ愛好国で、オリンピックでは50個のメダルをとる国である。このことが書店の棚に現れている。しかも、こども時代から親しませるためなのだろうか、児童書の脇にスポーツ書を陳列する書店が多い。
店の奥部分にCD、DVD売り場が約100坪ある。サイン看板はジャズ、クラシカル、ロック/ポップであった。店頭にバーゲンコーナーがあったが、そちらは実用書が主体であるが、中央から奥にかけてあるバーゲンブックは文藝書、こどもの本、CDである。レジは入り口、中央、奥にあり、インフォメーションは中央と奥にある。
アメリカのボーダーズでは店内の買い物に布製のショッピングバッグをレジの所で手渡していたが、この店では3・95ドルで販売していた。従業員は午前中であったが、女性8名、男性4名であった。力点は雑誌、専門書、新刊、文藝書、料理である。バーゲンブックはいうまでもない。
〈スポーツブックス〉
スポーツ書だけに絞った専門書店である。フリンダース通りを北に行き、エキシビション通りと交差する手前にある。入り口は半間と狭いが、中に入るとフローリングの店である。店中央に階段があり、二階売場が下から見える。階段も手すりも木製でコテージ風の書店である。50歳前後の気さくな社長で、20年前に創業した。社長自身も万能選手だそうで、今は各種スポーツの役員をやっているので大変忙しいそうである。スポーツの各種目に分けられた棚は圧巻である。一階12坪、二階は回廊式売場で約4坪くらいか。
1F=フットボール、サッカー、ベースボール、クリケット、NBL、2F=アスレチックス、ゴルフ、競馬、ボクシング、ラグビリーグ、ラグビユニオン、テニス、アウトドア
以上が主な種目であるが、実際にはさらに細かい種目が全部揃えられていた。社長の趣味でやっていると謙遜していた。スポーツの役職が多いので営業時間が変則的で短い。木曜は16時閉店、月~金17時閉店、土日休日である。しかし面白い店であった。
〈フォーリン・ランゲージ・ブックス〉
メルボルンの中心地、ブロックアーケードの地下にある書店である。地下といっても入口にはわかりやすい看板が大きく出されているので、見逃すことはない。店頭の看板には125言語以上の本がありますと書いてあった。
書店内の壁面陳列された順に国名を記してみよう。ロシア、東欧、イタリア、ベトナム、中国、カンボジア/ミャンマー、日本、韓国、ラテン、ギリシャ、ヘブライ、ペルシャ/Farsi、アラビック、英語ESL、フランス、ドイツ、タイ、スペイン、チェコ、ポルトガル、スカンジナビア、セルビア、インドネシア、アフリカンランゲージ、タガログである。日本の棚には『ダヴィンチコード』上巻79・95ドル、『失楽園』上巻64・95ドル、『チーズはどこへ消えた』34・95ドル(1ドル97円)。高いのに驚く。またなぜか上巻だけで下巻がないのも不思議。
〈十大書坊〉
中華街の真ん中にあった。一階雑誌のみで10坪それに喫茶15坪がある。二階コミック10坪の売り場。雑誌が面白い。日本の雑誌がそのまま売られていた。月おくれは50%オフである。日本版そのままの雑誌の定価は次の通り。『JJ』(26ドル、約2600円)、『CanCam』(26ドル)、『ef』(25ドル)、『More』(25ドル)、『メンズノンノ』(25ドル)、『VIVI』、中国版になっているものは『室内設備』、『Beauty』、『mina』(13ドル)、『with』であった。近所に栄光公司(土産店)があり、雑誌も売っていたが、この店は日本の雑誌はすべて中国版になっていた。
〈ブックシティ〉
銀座4丁目に相当する好立地である。スワンストン通りの中心地にある。道をはさんでリーダーズフィストブックストアーがある。前の書店が専門書中心の重厚な総合書店なので、ブックシティは商品を新刊、文芸、ペーパーバックスに絞っている。店の規模も72坪であるから仕方ない。女性三名がまめまめしく働いていた。店内のサイン看板は当店トップテン、新刊、一般小説、SF、古典、児童、レファレンス、ノンフィクションである。PBはよく揃えてあった。閉店は6時と早い。店の前には大勢の人が通っているというのに。
〈パラダイス・ブックショップ〉
メルボルンの郊外、アポロベイにある書店である。海洋書の多いのに驚いた。別荘地の客層に合わせたものかもしれない。女性一人で店番だが、お客様はひっきりなしに来る。女性らしい品揃えで、海洋の他芸術が充実、こどもの本もある。セコンドハンドも扱っているが、これは別荘に来た人が売ったものかもしれない。店頭ではコーヒーコーナーもあるが、こちらの担当は別である。別荘地らしい書店である。
〈ウールワース雑誌・書籍売場〉
クイーンヴィクトリアセンター(略QVC)の地下に食料品以外の物販売場に雑誌・書籍売場が約50坪で展開されている。日本のデパート書籍部に似ているが、もっと積極的である。
雑誌の種類が多い。約800誌くらいある。店内でバーゲンセールも盛んである。新刊書籍の扱いも多い。メルボルンの量販店では雑誌が大々的に売られている。それに書籍がどんどん付加されている。利用者
が多いので、これから伸びることは確実であろう。

人事

★小学館(5月31日付、◎昇任、○新任)
代表取締役社長相賀昌宏
専務取締役(全社・関連会社統括)白井勝也
同(編集統括・児童・学習編集局、コミュニケーション編集局)中村滋
同(管理・営業統括)
◎川島隆雄
常務取締役(広告局)
後藤庄三
同(マーケティング局)
大住哲也
同(マルチメディア局、コミック編集局)亀井修
取締役(情報誌編集局、女性誌編集局、ポスト・セブン編集局)山岸博
同(広告局、一ツ橋メディアレップ)安田征克
同(社長室、総務局)
平山隆
同(経理局)大木武志
同(制作局)広岡克己
同(広告局)時津和男
同(出版局、小学館イマージュ)○大山邦興
同(小学館クリエイティブ)○三宅克
同(小学館プロダクション)○熊谷玄典
同(マーケティング局)
○早川三雄
常勤監査役○五十嵐光俊
監査役田辺茂男
同山下秀樹
*田部井満男取締役は退任、上野明雄取締役は小学館クリエイティブ取締役(非常勤)に、梅沢慎司監査役は小学館顧問に就任。
執行役員
総務局GM山了吉
同篠田孝夫
マーケティング局GM
岩本敏
同岩渕博
児童・学習編集局CP
黒川和彦
コミック編集局CP
辻本吉昭
同片寄聰
情報編集局CP○東直子
ポスト・セブン編集局CP
秋山修一郎
女性誌編集局CP
桶田哲男
コミュニケーション編集局CP宮木立雄
出版局CP佐藤正治
マルチメディア局CP
○白井康介
★小学館PS
(5月29日付)
代表取締役社長(営業本部本部長)加藤醇司
代表取締役相賀昌宏
取締役(CSC本部・総務本部本部長)今津貞彦
同(営業本部副本部長)
○秋山豊
同(営業本部副本部長)
○福井雄治
同大住哲也
同早川三雄
監査役大木武志
★文藝春秋
(6月22日付)
代表取締役社長(編集委員室、企画出版編集室統括)上野徹
常務取締役(総務、月刊文藝春秋、第1編集、情報事業社長室長統括)
笹本弘一
同(経理、管理統括)
斎藤宏
同(第2編集、ナンバー、文藝、文藝振興、第3事業、広告統括)鈴木文彦
同(出版、営業、宣伝、資材製作統括)平尾隆弘
取締役(社長付渉外担当)名女川勝彦
同(月刊文藝春秋、第1編集)立林昭彦
同(宣伝、広告担当)
丹羽不律
同(総務担当)寺田英視
同(編集委員室、企画出版編集室担当)浅見雅男
同(営業担当)○五井幹雄
常任監査役石橋達恭
*白石勝取締役会長は退任し、顧問就任。白川浩司常任監査役、加藤靖彦監査役は辞任。
★河出書房新社
(6月1日付)
1、管理本部を新設し、製作部・総務部を所管する。
2、編集本部は編集第1部・第2部・第3部・編集総務部の4部制とする。
3、営業本部は営業第1部・第2部の2部制とする。
〔役員管掌〕
管理本部長
常務取締役吉田正夫
〔昇格〕
執行役員編集副本部長兼編集第1部長兼編集総務部長小野寺優
執行役員営業第2部長
伊藤美代治
執行役員営業第1部長
岡垣重男
編集第2部長代理
阿部晴政
編集第3部長代理
谷口亜子
総務部長代理金綱美紀夫
★双葉社(5月30日付)
営業局局次長兼販売促進部長◎戸塚源久
営業局営業部部長
◎庄盛克也

売上げ4.3%増に/物流改革で書店サポート/大阪屋友の会

第41回大阪屋友の会連合大会が6月5日、6日の両日、岐阜・下呂温泉「水明館」で開かれ、会員書店、出版社、大阪屋など433名が出席した。
総会は冨士原純一幹事の司会、野村宣孝幹事の開会の辞で始まり、田村定良連合会長が「景気はゆるやかな拡大と言われるが消費の本格的回復には程遠く、特にこの数カ月は客数減、売上げ低迷、経費上昇できびしいものがある。今までの制度、仕組みに無理があるのかもしれない。出版社には売れる商品、大阪屋には適正配本をお願いしたい。会員書店は1冊でも多く売る努力をしなければいけない。考えなければいけないのは正味だが、やみくもに下げろというのではなく、責任販売制、契約販売、返品減少による利益還元を考える必要がある。努力する書店、町の書店が安定的に経営できる新しい業界ルールを三者で考えていきたい」と、書店の課題について述べた。
議事では毛利元治総務委員長、工藤恭孝経営委員長、高坂喜一増売委員長が
第40期活動報告を行い、中国友の会、四国友の会を統合して西日本友の会に統一したことを発表。友の会は8地区友の会と阪青会で組織されることになった。増売では角川SSコミュニケーションズのムック4点はじめ雑誌部門3点、書籍部門4点の企画に取組んだとした。役員改選では各地区友の会から推薦のあった役員と連合会の委員会編成を承認した。
大阪屋三好勇治社長は祝辞で3月末の60期決算について「今年度は書店からの返品入帳を3月31日までとしたが、売上げは4・3%増の1257億円で2年連続の1200億円台、収益はほぼ前年並み」と報告。また、「物流改革元年」として①KBCでの一般書・PB商品・コミックの拡充、②TBC専門書センターの強化、③東京支社新刊書センター、東京流通センター内雑誌センターによる新たな商品供給体制の強化を強調。さらに書店活性化支援策として「大阪屋友の会カード」を今秋以降に発行したいと述べた。
出版社を代表して文藝春秋上野徹社長は、雑協販売委員会が作成する雑誌販売のプロのノウハウ集に協力を求めた。日書連を代表して面屋龍延副会長は、返品入帳繰り下げに率先協力してくれた大阪屋に感謝を述べたあと、今年の課題として消費税の税率アップについて「今、消費税が5%、10%上がれば出版業界は浮上のきっかけを失う。業界三者で足並みを揃え、出版物の軽減税率適用を求めていきたい」とした。
総会終了後、雑協村松邦彦理事長が「雑誌力の強化は出版市場を拡大する―雑誌の現状と将来展望」として1時間にわたって特別講演を行った。

第6期寄贈で調印/日販、中国図書館に

1982年以来、出版社149社の協力により中国国家図書館「日本出版物文庫閲覧室」に新刊図書の寄贈を続けてきた日販は、5月29日、新御茶ノ水ビル「銀座アスター御茶ノ水賓館」に中国国家図書館長詹福瑞氏を迎え、第6期図書寄贈調印式を行った。第6期の寄贈計画は今年から2011年までの5年間。
調印式終了後、午後5時から協力出版社76社が出席して感謝の会が開かれた。日販がこれまで5期25年にわたって寄贈した図書は総計24万冊、定価総額9億円。図書選定は中国側が行い、日販は無償で寄贈する方式で、日本図書閲覧室には常時2万冊の新着図書が開放されている。

本屋のうちそと

携帯小説が主流である。店頭に何点も並んでいる。しかも次から次へと湧いて出てくる。表紙を眺めているだけではまずかろうとアタックするのだが、おじさんにはきつすぎるというか、表紙の段階からなかなか手がでない。そうはいってもと思い、せめて版元で選べば何とか読めるかもとなじみのマガジンハウス『スイートスイートバスルーム』を読んだ。
ある日家の風呂場に若き女性の幽霊が出現する。そして主の大工の青年との二人の奇妙な生活が始まる。なぜ幽霊なの?終わりごろにはおいおい、そんなにうまくいく訳ないだろう!と突っ込みを入れたくなるような展開なのだが、フィクションだから当たり前かと一気に読んでそれなりの読了感。
フィクションといえば先日、ある版元のなじみの営業さんが半年振りに来店し、前回僕が薦めたというか買わせた本のおかげで落ち込んでしまいましたと。家でも会社でも落ち込んでそれからというもの一切フィクションが読めなくなってしまって、ノンフィクションオンリーの生活になってしまいましたと。さとうさくら『スイッチ』宝島社(第一回ラブストーリー大賞審査員絶賛賞受賞作)―対人関係ががうまくできなくて首の後ろのスイッチを押せば存在が消えてしまうというイメージを浮かべる女性が主人公のたどたどしい恋愛がらみのお話―しかし本の力ってすごいんだと思ってしまった。
そんな本を紹介、しかも買わせたお前の責任は?というのはさて置き、たった一冊でそこまで落ち込ませフィクションを読ませなくしてしまったなんて、ケンシローやゴクーを上回るかもしれない。本の影響力あなどるなかれ。(理)