全国書店新聞
             

平成22年6月1日号

子どもの本セール、出品条件7ヵ月長期に/年間通し店頭の棚活用へ

日書連は5月19日午後1時から東京・神田駿河台の書店会館で定例理事会を開催した。年2回実施している日書連の児童書増売運動「心にのこる子どもの本セール」の出品条件を今年の秋以降、6ヵ月長期委託から7ヵ月長期委託に変更。書店店頭の棚を年間通して空白期間なく使うことができるようにした。
〔増売〕
日書連が年2回実施している児童書増売運動「心にのこる子どもの本セール」の出品条件が今年の秋から6ヵ月長期委託から7ヵ月長期委託に変更となる。舩坂委員長は「これまで、新刊セールの商品が返品される4月中旬から夏休みセール商品が店頭に並ぶ6月中旬まで1ヵ月半以上、店頭の棚が空いていた。7ヵ月長期とすることで年間通して棚を使うことができる」と説明した。販売目標は1億1千万円(前年比127・40%)。都道府県別に目標を設定し、達成した組合に本体価格の1%を報奨金として支払う。
10月27日から11月9日の秋の読書週間に実施される「読書週間書店くじ」の実施要綱を承認。特賞は「図書カード5万円」40本。
〔共同購買・福利厚生〕
「ポケッター2011」の製作部数を前年比1万5千部減の7万5千部とすることを決めた。
〔情報化〕
店頭コミック試し読みシステム「ためほんくん」は現在稼働中の11店舗・13台に加え、新たに14社・計43台の参加申込があった(4月20日現在)。新規申込書店はTSUTAYA、大垣書店京都駅前店、豊川堂(本店ほか3店)、自由書房鷺山店、久美堂(本店ほか2店)など。このほか丸善、有隣堂、旭屋書店が導入を検討している。
9月までのプレ稼働期間中、費用対効果面のメリットを検証し、中小書店の武器となるシステム作りを目指す。
〔指導・教育〕
5月28日に米アップルのタブレット端末「iPad」が日本でも発売。電子書籍をめぐる動きが急になる中、全国の書店から不安の声があがっている。
鶴谷理事はiPadやキンドルなど電子書籍端末に対する知識を深めた上で対策を講じる必要があるとして、夏から秋にかけて関係者や有識者を講師に呼んで研修会を開催することを提案。「iPadは雑誌の記事の切り売りにつながり、中小書店のメシの種である雑誌が売れなくなる恐れがある」と指摘した。
〔政策〕
組合財政健全化のため、関係団体負担金の減額を図る。出版文化産業振興財団を大幅に減額するのをはじめ、出版物小売業公正取引協議会は半減。このほか出倫協、発売日本部委、出版再販研究委、学校図書館整備、出版クラブなども会費圧縮の方向で検討する。
〔組織〕
4月期の各都道府県組合の加入・脱退状況は新規加入が3店、脱退が36店となり、前月比33店の純減となった。現在の組合加入書店合計は5154店。

歴史的変革期乗り切る/多様な出版物の存在護持/出版人大会

第49回全出版人大会が5月12日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで開かれ、業界関係者580名が出席した。
式典の冒頭、上野徹大会会長代行(文藝春秋)があいさつ。「出版界を取り巻く環境は激動の渦中にあり、新しい時代を自らの手で切り開き、新しいステップを力強く登る瞬間にいる。一方、変えてはいけないこともある。日本の出版界は書籍、雑誌をはじめ様々な価値観を持つ出版物を世に問うてきた。多様な出版物が存在することこそ成熟した社会の証し。出版物の多様性は保ち続けねばならない。現在のような激動の時代であればこそ、変えてはいけない部分を再確認したい」と述べた。
鈴木一行大会委員長(大修館書店)は「電子書籍、流通改革など出版界はかつてない変革期にあり、業界の存在価値が問われる状況に直面。販売額は2兆円を割り、市場の縮小が続いている。今までと同じことを続けていては、乗り切ることはできない。文化の担い手として存在価値を高めていこう」とし、大会声明(4面に全文掲載)を朗読。拍手で採択した。
来賓の中川正春文部科学副大臣は「豊かな出版文化を維持するためにはデジタル化の新しいビジネスモデル構築が必要」、長尾真国立国会図書館館長は「今年は電子書籍元年と言われる。国立国会図書館も諸事業を通じて新しい時代に対応したい」と祝辞を述べた。鳩山首相からのメッセージに続き、長寿者43名と永年勤続者350名を表彰した。

ソニー・凸版・KDDI・朝日新聞/電子書籍配信で新会社

ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社は5月27日、電子書籍配信事業に関する事業企画会社を7月1日を目処に設立することで合意したと発表した。
企画会社は4社における協議に基づき、書籍、コミック、雑誌、新聞などを対象としたデジタルコンテンツ向けの共同配信プラットフォームの構築・運営にあたり、年内のサービス開始を目指す。ソニーは電子書籍専用端末「リーダー」を年内に国内で発売する。
参加企業を限定せずオープンに展開し、国内電子書籍連合として、米アップルやアマゾンの1社独占プラットフォームに対抗。国内の出版社や新聞社などが安心してデジタルコンテンツを提供できる環境を整備する。
新会社の資本金は1500万円で、4社が各25%出資する。社長には、携帯電話向け音楽配信を手掛けるレコチョク社長の今野敏博氏が就任を予定。
小学館、集英社など出版社31社から成る日本電子書籍出版社協会も設立に賛同。代表理事の野間省伸・講談社副社長は「電子書籍がより早く読者の手元に届く形が作られれば幸い」とコメントした。

都青少年育成条例改正案に反対声明/漫画家と出版社10社

漫画家有志1421人とコミック10社会の出版社は5月25日、子供の性的行為を過度に描いた漫画を規制する東京都青少年健全育成条例改正案に反対する声明を発表した。声明は、改正案について「表現の自由を損ねる」「漫画文化の衰退をもたらす」と訴えている。藤子不二雄Aさん、ちばてつやさん、浦沢直樹さん、講談社、小学館などが名を連ねている。

会員メリット開発で成果/25回迎えたSJイベントが盛況/愛知組合総会

愛知県書店商業組合は5月14日午後2時から名古屋市千種区のホテルルブラ王山で第27回通常総会を開き、組合員171名(委任状含む)が出席した。
総会あいさつで谷口正明理事長は「若い役員が大変頑張っており、協同増売で特別報奨を達成したり、紙のゴミ無料回収や、廉価なガソリンを提供する業者の紹介ということもやってきた。今年もいろいろなアイデアを出してくれると思う。25回を迎えたサン・ジョルディイベントは、チャリティ金の一部を中日新聞社会事業団とハイチ地震救援金に寄付して、残りは中学校へ図書を寄贈する。任期のあと1年は、図書館予算の無駄遣いなどについて行政への働きかけを行っていきたい。『愛知モデル』をつくり上げ、全国の書店が頑張ろうという機運を盛り上げていけるような、先頭を走る愛知でありたい」と述べた。
続いて林茂夫氏(松清本店)を議長に選任して各議案を審議し、平成21年度事業報告、平成22年度事業計画案、収支決算・監査報告、収支予算案などを承認可決した。
このうち平成21年度事業報告は各委員長から説明が行われ、①組合員のいろいろな問題を把握するため全組合員を対象にアンケートを実施中で、今後の活動に役立てる、②協同増売は主婦の友社の新実用BOOKについて受注1万4千冊で特別報奨を達成した、③第4回「中学生はこれを読め!」フェアを愛知、三重の2県で展開、愛知75店、三重28店が参加した、④サン・ジョルディフェスティバルは、原ゆたか氏サイン会や河村たかし名古屋市長と作家・井沢元彦氏の対談イベントなどが行われ盛況だった――などの報告があった。
総会終了後、文化通信社の星野渉取締役編集長が「押し寄せたデジタルの波」を講演。午後5時から懇親会を開催した。

書店環境改善へアンケート/取引約定書の現状を調査/大阪組合通常総代会

大阪府書店商業組合は5月21日午後2時半から、大阪市のウェスティンホテル大阪で第28回通常総代会を開催、総代80名(委任状含む)が出席した。
総代会で面屋龍延理事長は電子書籍の動向について言及した後、組合活動を振り返り、「一昨年に取次との取引改善を求める決議を日書連に提案し、日書連は送品・返品同日精算の実現へ運動してきた。業界用語の統一問題でも、現状の解釈と問題点を1月にまとめている。我々は社会的に大きな意義のある仕事を長い間やってきた。その意義に確信を持って困難を切り開いていきたい」と述べた。
議長に堀博昭氏、副議長に東正治、松田和子両氏を選任して議案審議を行い、平成21年度事業報告、収支決算書、平成22年度事業計画案、収支予算書案などを原案通り承認可決した。
事業報告では、本の帯創作コンクール受賞者の感想文集を2千部作成したこと、「大阪しゃれ言葉」の冊子制作を提案したこと、書店環境改善の参考とするため、取次との約定書に関するアンケートを全組合員書店に配布したことなどが報告された。新年度事業計画では、①書店経営健全化、②IT化委員会、③読書推進、④組織強化、⑤返品・請求同日精算、⑥再販制度維持――などの活動方針を了承した。
質疑では、「同日精算問題の進展がない。不公正な取引を改善できるのは日書連しかない。交渉をしっかりやってほしい」との要望があった。また役員補充の件では、今西英雄、中井満洲男両理事が退任、鶴山武済(ブックイン加美)、春江健三(耕文堂書店)両氏の理事就任を承認した。
総会終了後、出版社・取次を交えて永年勤続従業員表彰と懇親会を行った。◇永年勤続優良従業員=勤続17年・内本和子、勤続9年・榎本薫(パルネット恵我之荘店)勤続5年・天野達也(ホビーアリモト)

地に足つけて読者サービス/東京組合総代会で大橋理事長

東京都書店商業組合は5月20日午後2時から出版クラブ会館で第34回通常総代会を開き、総代61名(委任状含む)が出席した。
総代会は田島敏幸組織委員長の司会、柴﨑繁副理事長の開会の辞で始まり、大橋信夫理事長があいさつ。「取次と送品・返品同日精算、業界用語の統一について話し合ってきた。書店も本が売れるよう努力しているが状況は厳しい。みなデジタルの大波が到来する恐怖に浮き足立っている。こういうときこそ地に足をつけて読者サービスすべき。組合加入書店数が年々減っていくなか、売れる企画がほしい。出版社とも協力してアイデアを出していきたい」と話した。
議長に武田初男、鈴木康弘の両氏を選び議案審議を行い、平成21年度事業報告については柴﨑繁、舩坂良雄、岡嶋成夫、小泉忠男の副理事長4氏が担当委員会の取り組みを一括して報告した。
このうち経営・取引問題では、送品・返品同日精算について日書連と共同で作業を進めているもののなかなか進展せず膠着状態にあることが柴﨑副理事長から報告された。柴﨑副理事長は「二大取次以外は30日まで入帳できているところも出てきている。物理的に不可能でないことはすでに証明されている。粘り強く説得していくしかない」との考えを示した。
携帯電話向け電子書籍サイト「ブッカーズ」については、昨年6月からauに加えてドコモ、ソフトバンクの公式サイトとして本格的な運用段階に発展。電子サイト運営推進委員会に企画チームを設置し、店頭活性化プラン立案などを行っていることが報告された。
組織問題については、小泉副理事長が「19支部制は維持しつつ新たにエリア制を導入した。近隣支部間の交流によって幅広い情報交換を行うことができた」と、支部組織の強化・活性化の施策を説明した。
事業計画では①書店経営研修会の年1回開催、②読書推進事業の継続、③読者謝恩図書カードの発行・販売、④ブッカーズの積極的展開――などを承認。
最後に組合功労者と支部功労者を表彰して総代会を終了した。
〔組合・支部功労者〕
▽組合功労者=桜内秀吉(新盛堂)越石武史(甲文堂書店)大熊賢一(第一書林)▽支部功労者=幡場益(五車堂書房)小林國義(金竜堂書店)秋山栄一(桔梗屋書店)野上昭(野上書店)安武祥吾(羽田書店)

北から南から

◆長野県書店商業組合第26回通常総会
6月28日(月)午後3時から上田鹿教湯(かけゆ)温泉「鹿鳴荘(ろくめいそう)」で開催。

総会上程議案を審議/埼玉理事会

埼玉県書店商業組合は4月27日、浦和の埼玉書籍会議室で理事会を開催、理事22名が出席した。
水野理事長のあいさつの後、山口事務局長より議案報告。組合脱退者の報告では、本年も上期において3店の脱退があり、本支店合計で現在189店となった。また総会は本年度も埼玉書籍会議室にて、県中央会と日販、トーハンの各支店長を来賓としてお迎えし、5月29日に開催することを決定。総会に上程する各議案を審議した。
日書連報告では、青少年の万引撲滅キャンペーンの三者共同声明や、春の書店くじの状況報告、国民読書年連動企画「本屋の歩き方」等の説明があった。
(石川昭広報委員)

総会は8月20日開催/滋賀理事会

滋賀県書店商業組合は4月27日、近江八幡市Gnet滋賀で定例理事会を開催した。
審議に先立ち、㈱ホリデーの担当者からタイアップによるプレゼントキャンペーンの提案説明を受け、協議の結果実施を決定した。
理事会での委員会報告では、読書推進増売委員会から京都新聞主催「第40回お話を絵にするコンクール」について、①第40回記念・国民読書年特別賞の増設②前回受賞校へのキャラバン③夏休み「コンクールの本を読もう!描こう!会」④スリップコンクールに代わる書店販促キャンペーン等の概略が説明された。
流通改善委員会からは雑誌発売日励行滋賀県地区小委員会の報告があり、名神高速道路黒丸PA下り線・菩提寺PA下り線・伊吹PA上り線の各売店で早売り違反の報告があったので、小学館福井委員長に対応を依頼したと報告があった。
図書館サポート委員会からは、湖南地区でパソコン販売店とタイアップして日書連MARCの促進を図っていることが説明された。
事務局から、県立図書館入札結果報告、ダイレクトショップ2店舗の脱会、日書連補助金を活用してのパソコン購入、近畿ブロック会講演会「電子書籍時代で雑誌の昨日・今日・明日」開催、などが報告された。
議案として、総会開催までのスケジュール、組合ホームページの活用と理事会ニュース発行について討議。総会は8月20日守山市都賀山荘にて開催することなどが決定した。
(岩根秀樹広報委員)

景品規約の浸透進む/出版物小売業公取協総会

出版物小売業公正取引協議会(大橋信夫会長)は、5月19日午前11時から書店会館3階会議室で2010年度総会を開催した。
総会は水野兼太郎理事の司会で進行し、代理を含め51名が出席と報告。藤原直副会長の開会の辞に続き、大橋会長が「4月の理事会で前任の井門会長からバトンを受けた。本日の総会はよろしくお願いする」とあいさつした。
続いて来賓の消費者庁表示対策課・奥野弘昭規約担当補佐が祝辞。奥野規約担当補佐は「消費者庁による景品表示法の運用と、各協議会における公正競争規約の運用とは車の両輪。公正競争規約は、長期的視野に立って消費者の立場で見直しをお願いしたいと思っている」と述べた。
このあと大橋会長を議長に議案審議を行い、平成21年度事業報告、収支決算報告、平成22年度事業計画案、予算案をいずれも原案通り承認可決した。
事業報告を行った影山稔専務理事は、公正競争規約の改訂について「現行規約が有効に機能し始め、出版業界全体で関心が高まったことから、現状維持を公取委に要望した。その後景品表示法の消費者庁への移管に伴い、規約と組織及び運営に関する規則について必要な部分を改める作業を行い、昨年8月に認定と承認を受けた」と説明。規約の主旨徹底については、「景品と値引きの判断について」、「割引に類する行為について」(日書連再販研究委員会との共同研究)を資料としてまとめて公表したことを報告した。また、平成22年度事業計画を以下の通り決めた。
1.出版物小売業の「公正競争規約」に対する理解と検討。そして正しい運用、普及のための活動、研修会等の開催。2.景品表示法をはじめ、関係法令の研究並びに規約違反の防止。3.一般消費者、消費者団体及び出版業界団体との連絡。4.関係官庁との連絡①消費者庁並びに公正取引委員会及び各地方事務所との連絡。②各都道府県の景品表示主管課との連絡。③全国公正取引協議会連合会並びに公正取引協会との連絡。5.広報活動
任期満了に伴う役員改選では大橋会長をはじめとする役員を決定(別掲)、柴﨑繁副会長のあいさつで閉会した。
〈出版物公取協新役員〉
▽会長=大橋信夫(東京)
▽副会長=鈴木喜重(千葉)藤原直(宮城)柴﨑繁(東京)
▽理事=久住邦晴(北海道)鶴谷祿郎(青森)和泉徹郎(秋田)玉山哲(岩手)五十嵐太右衛門(山形)西猛(福島)塚越賢次(茨城)杉山和雄(栃木)大澤孝輝(群馬)水野兼太郎(埼玉)山本裕一、井上俊夫(神奈川)舩坂良雄、岡嶋成夫(東京)東浦澄夫(山梨)古澤隆(静岡)谷口正明(愛知)木野村祐助(岐阜)作田幸久(三重)西村俊男(新潟)丸田茂(富山)森井清城(石川)赤羽好三(長野)安部悟(福井)平柿宗敏(滋賀)面屋龍延、坂口昇(大阪)中村晃造(京都)櫻井晃二(奈良)宇治三郎(和歌山)井上喜之(兵庫)田江泰彦(鳥取)今井直樹(島根)吉田達史(岡山)山本秀明(広島)冨永信(山口)西尾文士(香川)平野惣吉(徳島)井門照雄(愛媛)五藤栄一郎(高知)山口尚之、長谷川澄男(福岡)岩永藤房(佐賀)中山寿賀雄(長崎)長﨑晴作(熊本)大隈劭(大分)田中隆次(宮崎)井之上博忠(鹿児島県)小橋川篤夫(沖縄)
▽専務理事=影山稔
▽監事=小泉忠男、佐藤光弘

生活実用書/注目的新刊

最近、頓に世間がぎすぎすとしているような気がする。書店営業をしていても、これまでと違う無視のされかたを経験する。自分の仕事を中断されたくない。担当者に取り次ぐのが面倒。営業マンと話したくないなど、昔からそんなことはあったが、軽んじられるのは同じでも、今はそのニュアンスが妙に異なる。
「中国は処世訓の国である。…だがそれは、世の中が息苦しいことの裏返し…俗世が濁っているからこそ、清らかな処世の言葉が光るのである。」こうして書き始められるのが湯浅邦弘著『菜根譚中国の処世訓』(中公新書2042820円)。著者の洪自誠は謎が多いのだが、16世紀末~17世紀頃の人と考えられている。日本では戦国時代から江戸初期に重なる。日本に伝わって刊行されたのが1822年、江戸の昌平黌でも読まれ、明治以降20回以上翻訳、出版され続けてきた本である。
儒教・仏教・道教を融合した『菜根譚』を、本書はテーマごとに解説。さらに背景や処世訓の歴史にも言及する。
たとえば清濁あわせのむ度量を説くのに、水清ければ魚住まずという孔子の教えを引用し、福沢諭吉の同様の言葉をもひも解いている。
「あれこれと苦心している中に、とかく心を喜ばせるような面白さがあり、逆に、自分の思い通りになっているときに、すでに失意の悲しみが生じている。」と、幸不幸は見極めがたいが、苦労している時に、むしろ充実感があるものなのだろうと解説する。本書は発売1カ月後に重版されている。それほど、道に迷っている人が多いということ
である。自殺者が3万人を12年連続で越え、不機嫌な人の増えた現在を映している。
仲村璋八・石山力山訳『菜根譚』(講談社学術文庫7421250円)は50刷に届こうというロングセラー。
たとえば「功を建て業を立つる者は、多く虚円の士なり。…」は、失敗せずに成功する人は皆円満な人であるという教えだが、前掲の読み下し文と原文、語義、訳文が併記してあるのでわかりやすい。
ビジネスの研修にもよく使われる『菜根譚』だが、それは古来からの教えである。何もサラリーマンだけのものにしておく手はない。人生訓としても含蓄に富み、世代にかかわらず、今必読の書である。(遊友出版・斎藤一郎)

SJ飾り付けコンクール、99書店で/北九州・筑豊

福岡県書店商業組合北九州支部・筑豊支部は4月20日から5月5日まで、国民読書年と連動して「サン・ジョルディin北九州・筑豊」を開催し、99書店が参加して飾り付けコンクールを実施した。店内の様子、どのような商品をプレゼントしたかなどを写真に撮ってもらい、選考委員会を開いて参加賞など各賞を表彰する。SJは全国的には影が薄れつつあるが、もうひと工夫あれば各書店にとって面白いイベントになる。北九州市の「ブックスなかがわ」から寄せられたレポートと写真を紹介する。(西村勝広報委員)
「2回目の参加となるサン・ジョルディでしたが、前回よりも格段にレベルアップした飾り付けでお客様にも好評でした。前回も大好評だったミニ花ポットプレゼントは人が人を呼び、当日に用意した苗30個が即日なくなりました。主婦層を中心としたお客様からもたくさんの喜びの声を頂くことができました。前回のサン・ジョルディより飾り付けやお客様の反応が予想以上によく、満足いく結果となりました。しかし、サン・ジョルディ自体がまだまだマイナーなことが残念です…。素敵な行事ですから今後の定着と飛躍を期待したいと思います。当店はさらに進化した企画を準備し、来年のサン・ジョルディに備えたいと思います」

「親子で読書を楽しむ」/子ども読書の日記念事業/京都

平成22年度「子ども読書の日」記念事業が4月17日から25日までの9日間、京都市内の市立図書館などで行われた。主催者の京都市教育委員会などが「子ども読書の日」の4月23日頃に子どもの読書活動の推進を目的に毎年開催しているもの。京都府書店商業組合は今回も後援として参加協力した。
今年の事業は「親子で読書を楽しむ」をテーマに、市内20の市立図書館で読書絵はがき展のほか、絵本の読み聞かせや紙芝居、人形劇などが催された。京都組合は事業協力の一環として、京都組合のイメージキャラクター「ブックン」を印刷したクリアホルダー2千枚を提供。今回の事業案内のほか資料などを挟み込んだ上で、期間中に会場の公共図書館などで来場記念品として無料で配布した。また、初日の17日午後5時から中心会場の中京区・京都アスニーで児童文学作家の富安陽子さんの講演会とサイン会が行われ、京都組合は講演された富安陽子さんの作品の展示販売を行った。このほか会場内には京都市とともに読書推進活動などを行う団体のパネル展示コーナーも。京都組合は京都市立図書館から長年にわたり請け負う図書装備業務の歩みを紹介したパネルの掲示を行った。
同日正午から中京区の京都府庁で、京都府教育委員会主催、京都組合ほか後援による、子どもの読書推進活動のフェアも開催。京都府で恒例となっている「子ども読書絵てがみコンテスト」の第9回の表彰とその作品展示が行われた。また今回は会場で、府教育委員会が選定した「京の子ども110選」の選定図書およそ百冊余りを、京都組合が見本展示した。
(澤田直哉広報委員)

全出版人大会声明

子どもの頃に本で見たり読んだりした二十一世紀の世界は、その頃の社会ではとても不可能と思われたことが紹介されており、あらゆるものが光り輝いて見え、心ときめかせていた覚えがあります。
二十一世紀に入って、今年で、はや十年がたちますが、今やそれらの夢のほとんどが、日常的に可能となり、ますます社会全体が便利になりつつあります。しかもそれは日常生活の、目に見える部分だけではありません。文化的にも様々な研究が行われ、我々は豊富な知識を得られるようになってきました。
これらの、あらゆる分野で進歩してきた人間の生活は、それを実現してきた人々の努力の結果であることは言うまでもありません。そして、その努力を陰になり日向になって支えてきたのは、我々が従事する出版界であったことも、また事実ではないでしょうか。古今の様々な参考文献、冊子などの形で発表される研究成果、そしてそれをまとめた書籍など、あらゆる情報が縦横無尽に行き来したことで、進歩が確実に人間のものとなっていったと言えると思います。さらに社会の進歩に貢献した側面だけではなく、楽しさ、喜びといった精神的な面においても、出版は、豊かな生活に寄与してきたということも忘れてはならないでしょう。
現在、出版界は大きな転機を迎えています。特に、電子書籍の問題、著作隣接権など出版者の権利の問題、流通改革・改善に関わる問題等々、そして何よりも人々が活字から遠ざかっているという現状認識など、枚挙に遑はありません。
しかしながら、過去を振り返ってみた時に、問題がなかった時期があったでしょうか。いつの時代にも出版界は幾多の問題に直面してきました。そして、そのたびに、知恵を絞って、工夫を凝らすことで乗り切ってきたからこそ、社会の進歩に貢献することができたのだと思います。
本年は、衆参両院で決議された「国民読書年」であり、多様な催しがこれからも企画されていますが、むしろそういった社会全体の後押しがある分だけ、以前より恵まれた環境にあるといえるでしょう。
社会の進歩がここで終わるはずもありませんし、また終わらせるわけにもいきません。今後ますます発展していく分野における、情報を得たいという要望や、心の充足感、豊かな生活といった面での要望が高まって行く中で、出版界はこれからもその発展に寄与して行かなくてはならず、また従前以上に積極的に関わっていくべきと考えております。
いやしくも出版が天下の公器である以上は、目先のことにとらわれて一喜一憂することなく、堂々と大道を進むがごとく、顕在化している様々な問題を、創意工夫を持って、根本から解決していくことが重要です。先人同様のたゆまぬ努力を続けていくことをここに誓い、大会声明といたします。
平成二十二年五月十二日
第四十九回全出版人大会

前年割れに歯止め/『1Q84』第3巻牽引/日販調べ

日販経営相談センター調べの4月期書店分類別売上調査がまとまった。これによると売上高対前年比は100・0%となり、06年6月以来3年10ヵ月ぶりに前年割れに歯止めがかかった。4月16日発売の『1Q84BOOKS3』が4月末までに80万部を記録したことが要因となった。客数は天候不順等の影響で99・3%となった。
文芸は『1Q84BOOKS3』が牽引して118・4%と2桁の伸び。一方、文庫は96・7%となり、3ヵ月連続で前年を下回った。『告白』が好調に推移したものの、前年に比べて話題となる銘柄が少なかった。
客単価は101・7%となり、2ヵ月連続で前年を上回った。『1Q84BOOKS3』の本体価格が1900円だったことが要因。1人当たりの買上冊数は101・1%、商品単価は100・6%とそれぞれ前年を上回った。

海外の出版・書店事情⑥/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔中国の出版・書店事情〕
中国の出版業界は大転換期にあり、興味深い。何故ならば先見性のあった毛沢東、周恩来、鄧小平等の考え方が具現化されつつあるからである。中でも鄧小平によってすすめられた市場経済は文化大革命から20年たってやっと、出版界に陽の目がさしてきた。
つまり国営主義で貫かれてきた出版界に雪崩れ現象が始まった。あれ程頑なであった国家管理による出版社であったものが、2008年末に50社の民営出版社が出来た。今年中にあと100社前後誕生するものと思われる。
07年現在、出版社数は579社(北京220社、北京以外359社)である。新刊点数は13万6226点で、前年比6・1%増である。定価総額は約9418億円(676億元)である。雑誌は9486種発行され、定価総額は約2393億円(170億元)で、書籍と比較して雑誌の割合は低い。この理由は、中国の雑誌市場では商業誌が少なく、官庁系の出版社が発行する業界誌が多いからである。
中国の出版社の特徴に、専門性の強いことがあげられる。出版社が専門分野に徹していることである。08年に四川大地震があったが、地震出版社からは08年以前すでに日本の3倍の点数が発行されていた。地震年鑑は毎年発行されている(98元・1700円、1200頁)。気象出版社も農業出版社もある。その他文学を専門とする人民文学社、社会科学書を専門とする人民出版社、青年を対象とする中国青年出版社などがある。
もう一つの特色は出版社が独自の物流センターを持っていることである。
電子出版物は8652種で前年比20%増である。中国の書店状況も興味深い。物流に関しては市場経済が2000年初頭から取り入れられ、民営書店が台頭してきたのである。それ以前は国営書店である新華書店が全国を支配していた。しかし現在は事情が全く違う。
中国の国有書店(新華書店)は1万726店で、前年比2・8%減、それに対して民営書店は11万4965店(前年比3・9%増)で、書店数で断然国営書店を上回っている。そして民営の物流センターは5946カ所あり、民営書店をサポートしている。因みに国営の物流センターは16万7254カ所ある。中国の出版界の要人に、民営書店について質問しても、顔をしかめ?なかなか実状を話してくれない。国営書店の新華書店、外文書店、中国書店のことしか頭にない様である。全国、新華書店の総売上は2兆500億円(前年比2・9%増)、販売冊数は113億6500万冊(同比4・2%増)である。民営書店の売上の伸びは著しく、売上額は新華書店総額を上回るといわれている。中国のベストセラーの中に「徳川家康」「窓ぎわのトットちゃん」が入っている。ゲームソフトでは「信長の野望」がある。
中国には4000坪以上の超弩級の書店が北京、上海、瀋陽、深川、大夏にある。前回のアジアの書店の連載のときに北京図書大厦を紹介したので、今回は上海図書大厦にします。
〈上海書城〉
とにかく上海書城は広い。一階から七階まであり、店中央に幅広いエスカレーターが最上階まで通じている。一・二階は吹き抜けなので、その分売場面積は他の階に比べて狭い。それでも各400坪はある。三~七階は各700坪であるから、総計4300坪の売場である。売場構成は次の通りである。
一階:新刊、文藝、電子辞書、雑誌、インフォメーション
二階:文学史舘、文化典蔵、読者サロン
三階:人文社科舘、社会科学、人文科学、軍事
四階:文化教育舘、こどもの本、学参、辞書、教育書、言語
五階:科学技術舘、理工学、医学薬学、産業
六階:電子音像舘、CD、ビデオ、DVD
七階:芸術珍蔵舘、書道、絵画、レアブック
中国一の大型総合書店であるから、専門書は大量に揃っている。読者から見れば本のアイテム数が多いので選書に時間がかかるのは当然である。しかし読者はそれを楽しんでいるようである。一番の圧巻は七階の藝術書売場である。流石、書の国中国である。歴代書家、名筆、書法の本がずらりと並んでいる。貴重書はウインドウに収められていた。レアブックコレクションも見事であった。今年、上海万博に行かれたならば是非寄って欲しい書店である。

東京組合Booker’s/雑誌コンテンツ販売へ

東京都書店商業組合とACCESSが共同で運営する携帯電話用電子書籍サイト「Booker’s(ブッカーズ)」の事業説明会と、ACCESSが開発した雑誌閲覧用ソフトの説明会が、5月11日に千代田区の住友不動産猿楽町ビルで開かれ、出版社約3百社が出席した。
ブッカーズはこれまで書籍やコミックを携帯電話向けに配信していたが、ACCESSが雑誌閲覧用ソフト「NetFrontMagazineViewer」を開発、雑誌コンテンツの販売をiPadなどの電子端末向けでも進めていくとして出版社にコンテンツの提供を呼びかけた。
説明会で東京組合大橋信夫理事長は「我々は今後も紙の書籍・雑誌を販売していくが、デジタルの情報を利活用することが、本をより販売していく上で有効ではないかと考えた」とあいさつ。ACCESSの鎌田富久社長は「出版社からコンテンツの提供をいただければ、端末に合わせて変換して提供できる。書店、出版社と組ませていただき、一緒に大きな事業を作っていきたい」と述べた。
東京組合電子サイト運営推進委員会・小橋琢己委員長は、ブッカーズが展開してきた書店店頭との連動企画について説明し、「読者のコンテンツの入手先が多様化するのに伴い、読者の選択肢に合わせた場の提供と演出が必要だ。ブッカーズはリアル書店にしかできないこと、デジタル書店だからできることを複合的に考え、取り組んでいく」と今後の方針を述べた。
東京組合の特任理事を務める丸善・小城武彦社長は「紙とデジタルが共存し、トータルで売上げを増やす知恵が必要。町の書店はお客様とのコミュニケーションが濃密で、マーケティング機能が優れている。ブッカーズはこの強みを活かすことができる」と話した。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・塩見治子

◇2歳から/『おふとんかけたら』/かがくいひろし=作/ブロンズ新社893円/2009・9
すっと手に収まった真四角の本。幾つもの目が表紙のソフトクリームを見つめます。あけるとびっくり!寝ぞうの悪そうなたこがおふとんの中にいるのです。「どうして?」ありさんもお豆さんもトイレットペーパーも、みんなおふとんで眠るのかなあ。おふとんが気持ち良さそうですね。
◇4歳から/『ちょっとまって、きつねさん!』/カトリーン・シェーラー=作/関口裕昭=訳/光村教育図書 1470円/2008・7
お話の中のきつねはいつも悪賢い動物です。さあ、このお話では…。「うさぎのぼうや、あぶない!」画面いっぱいに描かれたきつねの大きな口と歯。その時「ちょっとまって」うさぎのぼうやはきつねの恐さを知らないのかしら?見開き頁の分割された絵がドキドキ感を増します。
◇小学校低学年向き/『ぶどう酒びんのふしぎな旅』/藤城清治=影絵/H.C.アンデルセン=原作/講談社3000円/2008・7
アンデルセン原作の『びんの首』が美しい影絵の絵本となりました。表紙の藤城影絵が、絵本を前にしたこどもたちをふしぎな旅に誘います。影絵の頁ごとに人間のように口をきく「ぶどう酒びん」の思い出をたどって、旅していきます。さあ、びんは一体どんな旅をしたのでしょうか。

契約販売の拡大進める/当期利益は増益見通し/日販懇話会

2010年日販懇話会が5月19日午後2時半から文京区の東京ドームホテルで開催され、取引書店、出版社、日販関係者など380名が出席した。
懇話会の冒頭で日販古屋文明社長は第62期決算の概況について「日販単体では売上げが対前年3・1%減。書籍が5・0%減、雑誌が1・1%減、開発品が6・5%減だった。経常利益は減益、当期純利益は増益の見込みで、連結決算も同様の傾向だ」と報告。
また、電子書籍の動向について触れ、「流通の仕組みを効率的で業界三者が儲かる形に変えていかなければ、我々の将来も、デジタルメディアとの共存もない。返品に歯止めをかけるために、事前に出版情報をいただいてそれに基づいて発注し、在庫を持つようにする仕組みを作る。それが出版業界再生の近道だ。出版流通改革で皆がウィンウィンの関係になるようにしたい」と述べた。
続いて、安西浩和常務マーケティング本部長が「あるべき商構造と支持される書店づくりのために」と題し重点施策を解説。売上げ・返品の目標を設定した契約販売について、特にインセンティブとペナルティーが発生するインペナ契約の割合を増やしていくと説明。また、講談社と全書籍の取引について仕入れ正味と返品正味に差をつける契約を結ぶとして、「そこで得られた果実は書店に戻す」と述べた。次に田中宏樹マーケティング本部推進課係長が、取引制度改革を進めるための契約である「パートナーズ契約」について昨年度の総括と今年度の方向性を発表。富樫建www推進部CRM課係長が、HonyaClub会員へのサービスや、会員の属性・販売動向分析システム「WIN+」を使ったマーケットデータの活用について説明した。
この後、法政大学大学院の坂本光司教授が「日本でいちばん大切にしたい会社」を記念講演した。

版元4社合同YA向け新書フェア/久住邦晴氏が全面協力

ヤングアダルト(YA)世代に向けたシリーズを刊行している理論社、PHP研究所、河出書房新社、講談社の版元4社は「10代からはじめる新書フェア」を6月初旬より実施する。昨年に版元3社が全国500書店で実施した企画だが、今年から新たに講談社が加わり、YA棚設置を目指して全国700書店で受注活動を展開している。
理論社「よりみちパン♪セ」、PHP研究所「心の友だち」、河出書房新社「14歳の世渡り術」、講談社「15歳の寺子屋」の4シリーズから16点各3冊・合計48冊のセット。本体価格5万1912円。3ヵ月延勘。6月2日搬入。
今年は「本屋のオヤジのおせっかい中学生はこれを読め」「高校生はこれを読め」などユニークな読書推進活動を展開する久住邦晴氏(北海道札幌市・久住書房社長、北海道書店商業組合理事長)が全面バックアップ。同氏を講師に「10代が来る書店にするにはどうすべきか」をテーマとしたワークショップを開催する計画もある。このほか秋にジュンク堂書店池袋店で4シリーズの著者による連続イベントを開催する予定。
フェア・アイテムは以下の通り。
▽理論社=『いのちの食べ方』『この世でいちばん大事な「カネ」の話』『どんとこい、貧困!』『こんな私が大嫌い!』▽PHP研究所=『大人になる前に身につけてほしいこと』『挫折と挑戦』『中学時代にしておく50のこと』『くじけそうなときには』▽講談社=『前進力』『道は必ずどこかに続く』『「フラフラ」のすすめ』『15歳の日本語上達法』▽河出書房新社=『あした選挙へ行く前に』『不肖・宮嶋メディアのウソ、教えたる!』『女子の国はいつも内戦』『さよなら紛争』
問い合わせは理論社営業部まで。℡03―3203―5791

電子書籍のパピレス、JASDAQ上場へ

パピレスは5月20日、ジャスダック証券取引所に新規上場を申請し承認された。上場予定日は6月23日。証券コード3641。
同社は1995年設立。PCや携帯電話向けの電子書籍の配信を手掛けており、iPad向け電子書籍レンタルサービス「電子貸本Renta!」も開始予定。2009年3月期の売上高は33億8810万円、経常利益は2億9050万円、純利益は1億7148万円。

講談社、京極夏彦氏の新刊をiPadでも発売

講談社は5月20日、京極夏彦氏の小説『死ねばいいのに』をiPad向け電子書籍として発売すると発表した。同書はハードカバー版(税込定価1785円)が5月15日に既に発売済みで、iPadのほか、iPhone、パソコンへの配信・販売と、携帯電話へのテキスト配信・販売も同時に行う。
小説は全6章立てで、いずれの版でも第1章を無料でダウンロードできる。価格はiPad、iPhone版が税込価格900円。発売後2週間はキャンペーンとして同700円で販売する。パソコン版は税込価格945円(キャンペーン中735円)、携帯電話版が1章当たり税込価格105円。配信の開始時期については、現在アップルの認可待ちの状況で、6月上旬までの販売を目指すとしている。
20日に講談社で行われた記者会見で、野間省伸副社長は「書籍の新刊を刊行とほぼ同時にデジタル化して配信するのは初めての試み。今回は大勢の読者に支持をいただいている京極さんの協力を得て、実験的な意味合いを込めながら、電子書籍とはどんなものかを読者に体感していただけたらと考えた。紙の本の需要を刺激して、リアル書店を含めた出版市場を活性化する可能性を秘めたものだと思う。今後は国内外のさまざまな電子書籍端末に書籍をリリースしていく。いろいろな形で読者が本に接して読書の楽しみを一層感じてもらえるようにしたい」と説明。
京極夏彦氏は「iPadが私の本とあまり時期をたがえず発売することになり、良い機会だと思い実験台を買って出た。まだまだ発展途上で完成作品ではないが、電子書籍という商品として最低限満足していただけるアプリケーションが構築されていると判断したのでOKした。紙の本と電子出版は決して食い合うものではない。今後電子出版が、日本の出版文化の新しい局面をつくり上げるだけの力を持てるように考えていかなければいけない。その第一歩となるだろうと思っている」と述べた。

「親鸞」上巻、初日9万アクセス超える/ネットで無料公開

講談社は5月12日午前0時から五木寛之さんの長編小説『親鸞』上巻全文をインターネット上で無料公開。初日アクセス数は9万7300を超え、同社の予想を大きく上回った。
ネット無料公開は6月11日までの1ヵ月間限定。パソコンでしか見られず、印刷やダウンロードはできない。モバイルや電子書籍端末で読むこともできない。
「若い読者が書店に足を運ぶきっかけに」との五木さんの提案で実現した。
『親鸞』は昨年12月から上下巻計64万7千部を発行。同社広報室では「現在もベストセラーリストの上位に入っている作品の上巻全文を無料で公開することは、これまで例のないこと」としている。

大日本印刷、文教堂を連結子会社化

大日本印刷(DNP)は文教堂グループホールディングス(GH)を連結子会社化した。文教堂GHが5月31日付で実施した総額12億円の第3者割当増資をDNPが引き受け、文教堂GHの議決権35・77%を取得。DNP子会社のジュンク堂書店が保有する16・08%と合わせて51・85%を出資し、増資後はDNPグループで過半数を握った。
DNPは丸善、ジュンク堂、図書館流通センターを相次いで傘下にしたほか、ブックオフにも出資して筆頭株主となっている。大型店舗が中心の丸善やジュンク堂と郊外型中小型店舗中心の文教堂の業務統合を進めることで、デジタル時代の出版流通プラットフォーム構築を加速化させる。

本屋のうちそと

ツイッターを始めた。よく分からない。10年くらい前に立ち上げたホームページも更新がままならず、同窓会などの掲示板も忘れた頃にしか顔を出さず、ミクシィは数回で挫折、その後のブログは今だもってよく分からず通過してツイッターへ。といっても簡単でつぶやくだけという話だけで入り方、登録の仕方がよく分からないままだったのが、通販のメールに「ここからツイッターに登録しよう」というボタンがあって思わずクリック。
どうして、こんなにもめまぐるしく世の中は変化というか進化していくのだろう。
きっと当たり前なのだろうけれども、この年ではついていこうと気持ちはあるのだが、途中でこけたり、休んだりしていると皆は見えないくらいずっと先の方まで行ってしまっている。キンドルが評判になり、iPad発売で騒いでいたら、早速、講談社が京極夏彦の新刊を単行本と同時にiPad用を約半額で発売すると発表。当然のことだからそうだよなと思うのだが、イメージから一気に等身大の現実を目の当たりにすると…。
ツイッター初心者の「つぶやき」は、絶対にグチだけになりそうな気がする。ということはこれは意外と続くかも知れないぞ。この業界、当分ため息とグチには困らないから。
(理)