全国書店新聞
             

平成29年1月1日号

日書連・舩坂良雄会長に2017年の課題を聞く

2017年が明けた。個人消費の回復の足取りは重く、ネット書店やスマートフォンの普及、定額読み放題サービスの台頭もあり、書店店頭は厳しい状況が続く。出版業界は今年どこへ進もうとしているのか。年頭に当たり日書連の舩坂良雄会長に課題と展望を聞いた。(聞き手=本紙編集長・白石隆史)
〔街の本屋、危機的状況続く/雑誌の落ち込みが経営に打撃〕
――出版業界は2016年もマイナス成長になる見通しです。
舩坂日書連が10年ぶりに実施した全国小売書店経営実態調査で、ここ数年の経営状態について「悪くなった」と答えた書店が36・1%、「非常に悪くなった」が31・2%、「やや悪くなった」が17・9%。全体の85・2%が経営が悪化していると感じているのです。書店組合の多数を占める街の本屋の経営は危機的な状況にあります。
書籍は踏ん張っていますが、街の本屋の飯の種である雑誌の落ち込みは深刻です。女性誌は、本誌の中身の競争でなく、バッグなど付録の話題性で売れていた時期がありました。付録綴じにかかる書店の手間は大変なものです。出版社にそれを言っても、一時は「書店も売れているからいいじゃないか」と言われました。出版社も強気でした。
ところが、付録を付けても売れなくなりました。最近、知人の女性から「大手出版社の女性誌を読んでも、つまらない。あれで売れるの」と言われました。お得感よりもやはり中身が伴わないと、女性の目はシビアですから、定期的に買って読むことを止めてしまいます。内容を見た上で購入する雑誌を選ぶ傾向が強くなっています。
本誌が売れなくなった今、出版社にとって付録の製作コストは重荷になっているのではないでしょうか。だからといって付録をなくす決断もなかなかできない。付録をなくすとますます売れなくなるのではないかという不安があるからです。販売する側の希望としては、本誌のコンテンツの質を重視して、読者にとって面白い雑誌を作ることを第一に考えていただきたいですね。
〔定額読み放題、店頭売上減少しないようなルール作りを〕
――ドコモのdマガジンやアマゾンのキンドルアンリミテッドといった雑誌の定額読み放題サービスが書店店頭に与える影響について、どう考えますか。
舩坂定額読み放題サービスが紙の雑誌に与える影響については、取次がデータで明らかにしています。間違いなく我々は大きなダメージを受けています。
dマガジンは月額400円で160誌以上が読み放題です。読者は好きな雑誌をタブレットなどの端末で手軽に読めるし、出版社はまとまった利益をあげることができる。喜んでいる出版社の社長もいます。でも、このサービスが普及すればするほど、その分、書店店頭の雑誌売上が減少することは明白です。dマガジンは首都圏の雑誌発売日と同時配信で、北海道や九州などの地方では雑誌の発売日と格差が生じるためにより大きな影響を受けています。それでいいのですかと出版社の皆さんに問いたいですね。
全国小売書店経営実態調査によれば、書籍と雑誌の売上比率は2対8の書店が最も多い。定額読み放題サービスがこれ以上拡大すれば、雑誌売上が5割以上を占めるような小規模零細書店の経営はますます厳しくなります。書店の店頭が苦しくなって売場面積が縮小すれば、紙の雑誌を売る場所が減り、出版社も取次も困るわけです。
出版社は、定額読み放題サービスが拡大すれば目先のお金は入るけれども、本誌が立ち行かなくなるというジレンマを抱えています。でも、本誌あってこそのデジタルコンテンツです。このままでは出版社が自分の手で自分の首を絞めるような事態になるのではないかと危惧しています。
定額読み放題について、店頭の雑誌売上が減少しないようなルール作りを早急に行うことを求めていきたいと考えています。
――電子配信やインターネット販売など、〝本〟を入手するルートがますます多様化しています。
舩坂確かにそうです。しかし、読売新聞の読書に関する世論調査によれば、本を読むきっかけは「書店の店頭で見て」が53%でトップです。書店がなければ日本の読書環境は成り立たないのが現状なのです。アマゾンだけあればいいなどというのは論外です。
日本の出版業界は大中小書店がそれぞれの強みを活かしながら営業してきました。だからこそ読者は身近な書店で本を買うことができたのです。それが出来なくなりつつあります。これ以上地域から書店が減らないよう、業界全体で考えていかなければなりません。
――昨年4月現在の全国の組合加入書店数は3694店で、組織規模はピーク時の3割弱まで縮小しました。組合員数減少対策の1つとして、北信越ブロック会から取次傘下書店の組合加入促進を進めるべきという提案がありましたね。
舩坂都内で8店舗を運営するチェーン書店を、昨年、大手取次がその会社の株を取得して運営することになりました。その書店は東京組合から売上不振により脱退していました。そこで再度組合に加入してくださいと社長にお願いに伺ったところ、社長は「全店舗は無理だけれども1店舗だけ加入いたします」とおっしゃってくださいました。その結果、都心の1店舗が組合に入りました。
取次の子会社になった書店の中には経営が苦しく、経費削減をシビアに行っているところもあります。各都道府県組合の役員が何度も足を運び、組合加入の意義や利点を粘り強く説明して加入をお願いするしかありません。組合活動を支えるためにも是非ご努力いただきたいと思います。
〔書店の粗利益は最低30%必要/出版社、取次と話し合い収益改善〕
――書店経営実態調査で組合に対応を望むことのトップは「書店の粗利益の拡大」でした。
舩坂書店の経営が年々苦しくなる中、書店の粗利益はほとんど変わっていません。書店の経営努力はすでに限界に達しています。22~23%程度の粗利益ではとてもやっていけません。赤字が続いて店を閉めざるを得なくなるような状況が全国で加速しています。書店の粗利益は最低でも30%は必要です。日本の誇るべき財産である全国に張り巡らされた書店網を守るため、残された時間の猶予はありません。書店経営実態調査の分析結果をもとに、出版社や取次と書店の粗利益の改善について話し合いの場を持ちたいと考えています。
外商雑誌について返品しないことを条件に報奨金を得る制度を3年前から提唱していますが、これも引き続き実現に向けて取り組んでいきます。出版社や取次と意見交換しながらシステム面の問題を解決し、賛同してくれる出版社から随時実行していきたいですね。
日書連会長に就任してから3年半たちましたが、この間、「書店再生」をテーマに掲げて様々な運動を展開してきました。今後も書店収益改善のための施策を着実に実行していきたいと考えています。
――2019年10月に消費税が8%から10%に増税するスケジュールが決まっています。日書連をはじめ出版4団体は出版物への軽減税率適用を求めています。今どのような運動が必要ですか。
舩坂出版4団体が窓口を一本化して、関係各所にロビー活動を行っているところです。議員立法の形できちんと法制化して、出版物にも軽減税率を適用するよう求めています。要請があれば、日書連として再び議員に陳情することもやぶさかではありません。
食料品が生きていくための身体の糧ならば、文字・活字は心の糧です。欧州のいくつかの国のようにゼロ税率が理想ですが、我が国の財政状況などを考慮して、軽減税率をお願いしているということです。
これまで出版物は消費税増税のたびに売上を落としてきました。10%になったら死活問題です。将来的に標準税率が13%、15%、20%へと上がる話もすでに出ている中、8%の段階で軽減税率を適用できなければ大変なことになります。出版業界が一致団結して対応していくことが重要です。
――出版の未来についてどう考えますか。
舩坂出版業界は先細りで厳しいと言われますが、暗い見通しは持っていません。未来は明るいと確信しています。国の政策として読書を重視する方向に向かっているからです。
先頃発表された経済協力開発機構(OECD)の15歳学力調査で、日本は読解力が前回4位から今回8位に下がりました。読書量の減少や、LINEやツイッターを使って短文でやりとりすることが多くなり、長文に接する機会が減ったことが原因と見られています。文部科学省は国語教育の充実や読解力の向上に向けた対策を推進するとしています。
学校教育や受験は丸暗記方式から思考力や創造力を重視する方向に転換しています。国が読書の重要性を理解し、読解力の向上を政策の中に取り入れると言っているのです。本屋という仕事は国や社会からもっと必要とされるようになります。悲観することはありません。
流れは悪い方向ではなく良い方向に向かっている。政策の実現には時間がかかると思いますが、業界として何としても努力して持ちこたえていきたいですね。
――最後に今年の抱負をお願いします。
舩坂前進あるのみです。全国の書店が力を合わせて頑張りましょう。
――ありがとうございました。

新理事長に別所信啓氏/岡森理事長は3期6年で退任/三重総会

三重県書店商業組合は11月26日、津市の三重県教科書特約供給所で第31回通常総会を開催し、組合員40名(委任状含む)が出席。新理事長に別所信啓氏(別所書店)を選出した。
総会は磯田智副理事長(井筒屋書店)の司会で始まり、岡森泰造理事長(岡森書店)があいさつ。「まだまだ厳しい書店業界だが、地域密着型書店は長年培ってきた厚い信頼とともに、一夜では作り得ない歴史の上に成り立っており、読者と最も近い位置で本を手渡すことができる環境にある。これが私たちの最大の利点であることを再認識していただきたい」と述べ、3期6年務めた理事長を今期で退任したい意向を発表した。
引き続き石井理事(石井書店)を議長に選出して議案審議を行い、平成27年度事業報告、平成28年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
役員改選では、新理事長に別所氏を選任した。あいさつに立った別所新理事長は「組合員一丸となって厳しい現状を打破しよう」と力強く語った。
この後、共同購買委員会の企画により、小学館パブリッシングサービスの新井氏が『にほんのマナーえほん』の商品説明を行った。
続いてトーハン、日販、中央社、日教販、近物レックスがあいさつし、河出書房新社、NHK出版、小学館が新刊をはじめ商品説明を行った。懇親会では活発な意見交換が行われた。
[三重組合役員体制]
▽理事長=別所信啓(別所書店)▽副理事長=川口力(川口書店)石垣直人(北洞書店)▽専務理事=磯田智(井筒屋書店)
(冨森康宏広報委員)

定額読み放題配信で枠組み作りを/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合は11月8日、かながわ労働プラザで定例理事会を開催。dマガジンなど定額読み放題サービスについて各地区の発売日に合わせた配信で枠組み作りを求める方針を報告した。
議事では、書店の危機と生き残り策を討議。再販契約の定義、中小書店が抱える諸問題の発信、出版物への軽減税率適用、地域書店の社会的責任の自覚など、書店経営の改革案が示された。これをもとに日書連に働きかけることとした。
また、「全国書誌情報の利活用に関する勉強会」の答申をもとに、図書納入について地域書店の優先、納入時に値引きしないことなどの方向性を示し、競争入札の範囲の見直しの検討などを県組合の意見として採択。各団体や行政機関に働きかけることとした。
(山本雅之広報委員)

組合加入促進で取次・運輸会社に協力要請/福岡組合総会

福岡県書店商業組合は11月22日、福岡市中央区のセントラルホテルフクオカで第38期通常総会を開催し、組合員171名(委任状含む)が出席した。
総会は加来晋也理事(朝日屋書店)の司会で進行。森松正一副理事長(森松尚文堂)の開会の言葉に続き、安永寛理事長(金修堂書店)は「若い時から総会に出席しているが、年々出席者が減っている。全盛期に650店あまりあった組合員も現在は3分の1近くまで減少してしまった。こうした状況の下で日書連、福岡組合および九州各県の組合をどうやって維持していくか、一緒に考えていきたい」とあいさつした。
続いて森松副理事長を議長に選出して議案審議を行い、第38期事業報告・委員会報告、収支決算報告、監査報告、役員改選、第39期事業計画案・収支予算案、第39期組織案のすべての議案を原案通り全会一致で承認可決した。
委員会報告では、福岡県書店新聞の発行(総務・広報委員会)、図書館ナノ研修会の開催(情報化推進委員会)、万引き防止キャンペーンの実施(倫理委員会)、「同一地区同日発売」「組合未加入店の情報提供」「組合加入の協力」を取次・運輸会社に要請(組織・流通委員会)などの報告があった。
第39期事業計画を説明した安永理事長は「第38期の目標を達成する期と位置づけ、出来ることから実践していく」と表明した。
総会終了後、出版社10名、取次3名、運輸・報道等7名、組合員25名の総勢45名が参加して懇親会を催し、交流を深めた。
[福岡組合役員体制]
▽理事長=安永寛(金修堂書店)▽副理事長=森松正一(森松尚文堂)白石隆之(白石書店)
(加来晋也広報委員)

埼玉組合、県内児童福祉施設に図書寄贈/県知事から感謝状授与

埼玉県書店商業組合は12月8日、吉田矩康理事長、山口洋事務局長が埼玉県福祉部こども安全課を訪問。榎本淳一課長、田中昇主幹に平成28年度寄贈本について趣旨を伝え、385冊の本を寄贈した。
今回寄贈した本の内訳は、幼児用28冊、低学年用94冊、中学年用51冊、高学年用42冊、中・高・一般10冊、辞典160冊。
榎本課長は「長年にわたり毎年多くの本を寄贈していただき、県内福祉施設も大変感謝している。子供たちは多くの新しい本がプレゼントされることをとても喜んでいる。高学年の子供たちは行政の支援を受け支えられていることはもとより、本を寄贈していただくことで社会の周囲からも見守られていることを理解し、励みになっている」とお礼の言葉を述べた。
寄贈本は同課を通じて県内の児童養護施設や母子生活施設などの福祉施設に配本され、毎年、各施設や子供たちから心温まる多くの礼状が届いている。
また、毎年、埼玉県知事より、社会福祉の増進に貢献しているとして感謝状を贈られており、平成28年度も授与した。
(山口洋事務局長)

「しぞ~か本の日!」に静岡書店大賞の授賞式

県内の書店員と図書館員が最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「第5回静岡書店大賞」の発表と授賞式が12月6日、静岡市葵区のグランディエールブケトーカイで開かれた。
受賞作は、小説部門は小川糸氏の『ツバキ文具店』(幻冬舎)、児童書新作部門は大賞がヨシタケシンスケ氏の『もうぬげない』(ブロンズ新社)、2位がヨシタケシンスケ氏の『このあとどうしちゃおう』(ブロンズ新社)、3位が町田尚子氏の『ネコヅメのよる』(WAVE出版)、児童書部門名作部門はかがくいひろし氏の『だるまさん』シリーズ(ブロンズ新社)、映像化したい文庫部門はほしおさなえ氏の『活版印刷三日月堂』(ポプラ社)。
今年は「静岡県民が紙の本の素晴らしさを再認識する日」として、当日を「しぞ~か本の日!」に制定。第1部「第1回しぞ~か本の日!書店大商談会」、第2部「第5回静岡書店大賞授賞式」、第3部「しぞ~か本の日!懇親会」の3部構成で開催し、書店97店舗153名、出版社104社144名、図書館員6館17名、取次5社29名、報道5社7名、総勢350名が参加した。
授賞式で、第5回実行委員長を務めた谷島屋ららぽーと磐田店の丸林篤史店長は「今回から出版社、取次、書店組合の協力で『しぞ~か本の日!』と銘打った大商談会も開催することができた。業界が一丸となっておすすめ本を発信し、いずれ県民を巻き込んで、名実ともなう『本の日』にしていきたい」と話した。
県内の書店180店、図書館約30館が12月7日からフェアを展開し、受賞作や関連本を紹介している。
大商談会は、同実行委員会(実行委員長=江﨑直利・静岡県書店商業組合理事長)が主催。静岡県書店商業組合、静岡書店大賞事務局、静岡トーハン会、静岡日販会、東海地区Oak友の会、静岡県中央会が協賛した。静岡県で取次の垣根を超えた商談会が行われるのは初めてということもあり、予想を超える来場者で大盛況となった。
(佐塚慎己広報委員)

訂正

12月15日付1面「絵本ワールドinにいがた」の記事で、開催日が11月15日とあるのは11月13日の誤りでした。訂正します。

「日販よい本いっぱい文庫」寄贈を実施

日販は、第52回「日販よい本いっぱい文庫」として、絵本・児童書などの寄贈を実施した。
児童書出版社から図書を寄贈してもらい、厚生労働省の協力を得て、全国の児童福祉施設や障害児施設、母子生活支援施設などに贈呈。今回はクリスマスまでに、330カ所の施設に約3万3千冊を届けた。

わが社のイチ押し企画/学研プラス・辞典編集室室長・芳賀靖彦

平素は格別のご愛顧、ご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。2017年が皆様にとって幸多き一年になりますよう、心より祈念いたします。
さて、新学習指導要領に基づき、中学校では「英語」の語彙数が従来の900語程度から1200語程度へと拡充され、ほとんどの教科書で辞書引き学習のページが設置されました。また、2020年には、小学校における「英語」の授業開始時期が現在の5年生から3年生へ前倒しされ、5年生からは教科へ格上げされることが文科省により決定されました。
学校英語を取り巻く状況が刻々と変化する中、弊社の中学生向け英語辞典の『ジュニア・アンカー』シリーズは、2016年12月に改訂を行い第6版を刊行いたしました。英検に出る単語学習もしやすくなり、小学校高学年から中学生までのお子さんが、一生役立つ基礎的な英語力をつけるのにますますピッタリの辞典となりました。
指導要領では「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を身につけることが重要とされています。英和辞典はおもに「読む」「聞く」という《受信型》の勉強の際に使用されますが、『ジュニア・アンカー英和』では「表現力UP」「ことばMAP」コーナーを設け、中学生が「話したい」「書きたい」と思うことをまとめて掲載することにより、《発信型》英語にも役立てるよう工夫しています。
また、『ジュニア・アンカー和英』でも、「日本語NAVI」や「IntroductiontoCLIL」といったコーナーを設け、更に一歩進んだ学習に役立つようにしています。
新学期に向け、第5版から好評の『ガールズエディション』、さらに今回からは『ディズニーエディション』もラインナップに加え、計7点で展開してまいります。
『ジュニア・アンカー』シリーズは、おかげさまで中学生向け英語辞典販売実績5年連続№1となりました。これもひとえに書店様のご支援の賜物と、この場をお借りして感謝申し上げます。今後とも『ジュニア・アンカー』シリーズをよろしくお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/講談社・販売局長・角田真敏

明けましておめでとうございます。旧年中は弊社出版物に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。早速ですが、2017年も意欲的な企画が多数ございますのでジャンルごとに紹介させていただきます。
【雑誌】
今年も周年を迎える雑誌があります。こども誌では「おともだち」が創刊45周年、漫画誌では「週刊モーニング」創刊35周年、「Kiss」創刊25周年を迎えます。各誌周年に合わせて話題性のある誌面企画や店頭でのフェア企画を計画しています。またDVD付パートワーク「おもてなし純ジャパENGLISH」(全40巻予定)が1月刊行開始いたします。その他のパートワーク企画も鋭意刊行準備中です。
【書籍】
某ミステリーベスト10で1位を獲得した『罪の声』(塩田武士)が好調推移、10万部突破しました。今年一層の飛躍が期待されます。学術部門では長きにわたり支持されてきた「ブルーバックス」が1月に通巻2000巻を突破します。また数年堅調な児童書部門でもロングセラーの『100万回生きたねこ』(佐野洋子)が40周年、『にじいろのさかな』(マーカス・フィスター)が25周年を迎えます。これら周年を迎えるシリーズでは新たな読者との出逢いをつくるべくさまざまな周年企画、施策を実施してまいります。
【コミック】
今年も映像化される作品が目白押しですが代表的なものをご紹介します。TVアニメでは大旋風を巻き起こした週刊マガジン『進撃の巨人』の第2弾がスタート。劇場版アニメではアフタヌーン『BLAME』、名作『はいからさんが通る』が公開に。TVドラマではいよいよ期待作『東京タラレバ娘』が主演、吉高由里子で放映開始。実写映画ではハリウッド版『攻殻機動隊』が今春全米公開後、日本での凱旋公開予定。また亀梨和也、土屋太鳳による『PとJK』、木村拓哉主演『無限の住人』が順次公開予定です。
本年もたくさんの話題作をつくってまいります。皆様のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/小学館・小学館PS営業企画部・渡辺光昭

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
今年、「小学一年生」は4月号から大きく生まれ変わります。内容面の充実を図るため、小学一年生の一年間のテーマを体系的に構築し、毎月続けて読むことで知識が深まるようにしました。
そして、学校では教えてくれないような科学ネタ、体験記事などをこれまで以上に強化。「知らなかったことを知る快感」を体験させる学習雑誌として、子どもの好奇心を育てます。
メインふろくは、これまでの3倍以上のコストをかけ、豪華かつ「使える」ものに。楽しいことはもちろん、心と頭を育てる教材として、子どもの知育・教育に熱心な親御さんにも満足されるアイテムになります。ナビゲーターは小学一年生に人気№1のドラえもん。豪華付録はそのドラえもんアイテムの予定で、4月号は『ドラえもんとびだすめざましどけい』となります。このように全面的に見直して年に5回、特大号を刊行していく予定です。ご期待いただくとともに、お客様へのご案内をお願い致します。
書籍では2017年の新企画商品といたしまして、2月15日に「心やさしく賢い子に育つみじかいおはなし366」を発売いたします。《委託販売制》
この商品は、累計145万部のプレNEOシリーズの編集部が作ります。これまでの類書にある日本や世界の名作・昔話・偉人伝・古典などだけでなく、図鑑からも読み聞かせの「楽しいおはなしの本」が出来るはずと企画したもので、他社商品よりも多い様々なジャンルのおはなしで構成していきます。多ジャンルのおはなしに触れることで好奇心が育ち、自分から勉強する子に育ちます。また、幅広いジャンルだからこそ、子どもの年齢や興味に合わせて長く使っていただける一冊だと思います。
今年も書店様の利益に貢献できるたくさんの新商品を出してまいりたいと思います。引き続きのご支援の程、よろしくお願いいたします。

翻訳事業の書籍の販売を開始/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は11月28日に東京都新宿区の日本出版クラブ会館で評議員会と理事会を開催した。
平成28年下期に行う事業では、内閣府と協力して行っている翻訳出版事業「ジャパンライブラリー」で英訳した書籍10点の販売を開始することを承認した。これまで海外の大学・図書館など約1千ヵ所に寄贈していたが、理事会で販売についての提案があったことから実施を決めたもの。トーハン、日販アイ・ピー・エス、日本出版貿易等を通じ、洋書売場を持つ国内書店や、羽田・成田・関西空港内の書店、大学生協で販売する。
役員の一部交代では、風間賢一郎理事(中央社)が退任し、加藤悟氏(中央社社長)が理事に就任した。

わが社のイチ押し企画/三省堂・外国語辞書編集室・福本健太郎

昨秋改訂した「初クラ」こと初級クラウンシリーズをご紹介いたします。
初級クラウンは、英和辞典の初版刊行以来半世紀あまり、その伝統と信頼から、中学生向けにもかかわらず、大人の学び直しにも最適と評価されています。
「初級」と言いつつも収録語数は充実し、例えば英和の主な見出し語は約9千、成句などを加えた総項目は約1万5千3百となり、これだけマスターすれば語彙力は十分「上級」と言える内容です。知的好奇心を満たすコラムとあわせ、大人にもご満足いただけます。
一方、初級者への細心の配慮も怠りません。およそ4年に一度のペースで改訂される中学校の検定教科書は現在6種類ありますが、その最新版を詳細に分析し、新規項目や用例を検討しています。教科書発行社ならではの細やかさです。
今改訂では、活字をぐっと大きくし読みやすさをアップしました。初級の教科書に合わせた特製活字を使用し、中学以上で習う漢字には原則として読みがなをつけるなど、間もなく英語科の学習が始まる小学5・6年生にもぴったりです。
改訂の新機軸として、英和の中央部分に新付録「教科書エッセンスページ」を設けました。中学教科書の最重要動詞を集め、全体像を一覧できます。英語の基礎が詰まった中学教科書からエッセンスを凝縮したページは、まさに栄養の固まりです。教科書6種分の栄養をご堪能ください。
スカイエマさんの装画も鮮やかに、イメージを一新した初クラ。英和・和英を一冊にまとめた合本に、デザインも新たな「シロクマ版」が加わって、シリーズの存在感が増しています。多くのお客様の手にとっていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/小峰書店・編集部・小島英俊

本年のわが社のイチ押し企画は、「ことばの事典365日」シリーズです。身近な記念日や行事にぴったりなことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語を、楽しいイラスト入りで紹介します。ことわざを中心に慣用句と故事成語も取り上げた『つかってみよう! ことわざ365日』と、四字熟語を扱う『つかってみよう! 四字熟語365日』(2017年4月刊行予定)の2冊構成です。
子ども向けの言葉の本は数多く出版されていますが、ことわざや四字熟語を子どもたちに生活の中で使ってもらうための本ができないかということから、今回の企画は始まりました。
ことわざや慣用句は、もともと人間の暮らしの中から生まれたものです。一見どのような場面で使うのかわかりにくい言葉も、身近な何かと結びつけて考えれば、その言葉の性質が浮かび上がってくるのではないでしょうか。そこで目を向けたのが、行事や記念日です。
日本は四季の変化が大きく、昔から年中行事を大切にしてきました。ハロウィンやクリスマスなど外国の行事も積極的に取り入れており、子どもたちの生活にも身近です。そこから、筑波大学附属小学校の青木伸生先生の監修のもと、子どもたちに特に覚えてほしい言葉を選び、一年間の行事や記念日と組み合わせていきました。
言葉の使い方の例文は、子どもが生活の中で自然に使えるよう工夫をしています。例文のあとには言葉を使うときの注意点も紹介しているので、言葉の正しい使い方がよくわかります。また、五十音索引のほかに、「数字のことわざ」などの仲間分け索引も収録しており、国語の授業で言葉を集めるのに役立ちます。ほかにも英語のことわざやいろはかるたなど、言葉の豆知識も満載です。
一日一つ言葉を覚えて使ってもらうというのが基本的な活用方法ですが、自分や友だちの誕生日の四字熟語を探したり、校内放送で今日のことわざを紹介したり、さまざまな場面で楽しく言葉の学習に役立てていただきたいです。

わが社のイチ押し企画/新潮社・出版部・佐藤誠一郎

多重人格というと、現代社会に特有なものと考えがちですが、本当は機械文明の発達する以前の方が、夜の暗さも人の心の闇も深か
ったのではないか――宮部みゆきさんの『この世の春』を読んでしみじみそう思います。だってあのお岩さんや累にしても、伝承によって色んな顔を持っているのですから。
時は江戸中期、今の千葉県北部のさる小藩で「主君押込め」という事態が起こります。まだ若い藩主の行動に頻々と異常が認められ
るようになり、新藩主を立てることで藩を改易から救ったというわけです。旧藩主は湖畔の別荘に幽閉され、その身辺の世話をすることになった女性が主人公です。
旧藩主の精神状態は、今でいえば多重人格に当たるものですが、時代小説というと斬り合いや市井の人情話と相場が決まっているのに、何と大胆なと驚く人が多いかも知れません。しかしこの小説は何も現代の精神医学を江戸時代に持ち込もうというものではありません。それどころか、死者の魂を降ろす呪術を代々受け継いでいる一族の話が背景になっている。イタコを頼って死者と再会しようと恐山に出向く人々が今なお後を絶たないことを考えると納得しないわけにはいきません。そして江戸時代と現代が地続きであることを
改めて思い知らされるのです。
幽霊や妖怪が登場するわけではないのにジジワと怖い。春日和のような心温まるシーンには要注意です。お次は必ず心臓を鷲掴みされてしまう。ただしその恐怖には、日本人の心の負の歴史がいつも寄り添っています。だからこそ違和感がない。震え慄きながら深く納得してしまう小説なのです。女主人公の目線がそれを可能にしているのかも知れません。
時代小説で誰も扱ったことのない新しいモチーフに宮部さんは挑戦しています。しかも現代科学の介入を許さない枷を自分に課して。その魔術に心ゆくまで翻弄される楽しみを、是非味わっていただきたいものです。

わが社のイチ押し企画/双葉社・営業局次長・奥山秀

明けましておめでとうございます。旧年中は格別なるご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年、書籍では、一昨年発売した文芸書『君の膵臓をたべたい』(住野よる著)が多くの読者に支持され続け、販売会社様が発表する2016年の年間ベストセラー文芸書部門で第1位を獲得させていただきました。また、2月に刊行しました同著者の第2弾『また、同じ夢を見ていた』と年末に刊行しました第3弾『よるのばけもの』も非常に順調に売り上げを伸ばしております。
コミックスでは、2008年に刊行した『この世界の片隅に』上・中・下巻(こうの史代著)を原作としたアニメ映画が11月に公開、わずか全国63スクリーンの公開ながら大評判を呼び、年明けには190館を超す劇場で拡大上映となり大ヒット中です。映画のヒットに合わせて原作コミックも約40万部の重版をし、累計部数でミリオンも目前に迫っております。また、公開に合わせて刊行した関連書籍も大変好調に推移をしております。
加えて6月に第1巻を刊行しました『私の少年』(高野ひと深著)が、〝マンガ史上最も美しい第1話〟と評され、年末に発表された「このマンガがすごい!」で第2位を獲得。発表と同時期に刊行した②巻とともに売り上げを大きく伸ばしております。
そして2017年ですが、双葉社のスタートは、なんといっても1月6日に発売となりました「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」に続く佐伯泰英書き下ろし新作『空也十番勝負青春篇声なき?』上下巻です。「居眠り磐音」の嫡子・空也が活躍する今作は、〝磐音ロス〟に陥っていた磐音ファンのみならず、「居眠り磐音」を読んだことがない読者にも是非読んでいただきたい著者渾身の青春時代小説です。
また、本年は弊社作品の映像化が多く続きます。1月は『小林さんちのメイドラゴン』(クール教信者著)がTVアニメ化、『銀と金』(福本伸行著)が実写TVドラマ化、4月には『暗黒女子』(秋吉理香子著)の実写映画と『つぐもも』(浜田よしかづ著)のTVアニメ化、そして夏にはいよいよ『君の膵臓をたべたい』が実写映画化となります。是非関連商品の売り上げアップ含め、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願い致します。

全ての読書困難者に支援を/大活字文化普及協会がセミナー

大活字文化普及協会(相賀昌宏理事長=小学館社長)は、内閣府が実施する平成28年度障害者週間連続セミナーの一環として、読書権セミナー「『読むこと・生きること』~すべての読書困難者への支援体制の実現~」を12月7日に東京都千代田区の有楽町スクウェアで開催した。
「すべての人に読書する機会の提供を~情報バリアフリー多媒体出版シリーズ」と題して講演した相賀理事長は、読書環境の整備について「読書の定義が拡張され、活字で本を作る以外に、あらゆる情報・知識について、アクセスしにくい人に配慮する時代が来ている」と指摘。「視覚障害や、車いすの利用、脳機能障害、経済的理由など、アクセスの困難にはさまざまな要因がある。また受け身の読書だけでなく、代読、代筆など発信することへのサポートを含めたさまざまな形を考える必要がある。デジタル化の進展で、一ヵ所で作られたものを皆で使うことが可能になり、個人的に作られたものも他の人が再利用できるようになったが、そういうものを探し出し、必要とする人が使えるようにするのが難しい。協会としてお手伝いをしたり、既にそういう仕事をしているところと連携しながら、全体の底上げをしていきたい。また、潜在的な読者の声や、実際の利用者の声を集め、活動に取り込んでいきたい」と述べた。
このほか、全日本視覚障害者協議会代表理事の田中章治氏、弱視者問題研究会の新井愛一郎氏による講演や、出版デジタル機構代表取締役副社長の廣岡克己氏、調布市立中央図書館館長の小池信彦氏らによる読書支援方法についての説明が行われた。

大阪屋栗田と提携交渉/TS協同組合総会

TS流通協同組合(片岡隆理事長)は11月24日午後4時から、東京都千代田区の書店会館で第17回通常総会を開催した。
総会の冒頭、片岡理事長があいさつし、「客注品流通でTSを運営してきたが、物流コストに見合う事業ではなくなっている。大阪屋栗田と提携して、同社の書店支援サービス『Web―OPAS』と客注支援システム『ぶっくる便』を組合員が利用できるように交渉を進めているが、合意に至っていない。取引出版社から品切れでない限り本が入ってくるという従来のメリットを活かした運営をしていくが、事業をどう活性化していくかが問題だ」と述べた。
濱野敏明氏(アンビル宮脇書店)を議長に選任して議案審議し、平成27年度決算関係書類、平成28年度事業計画、収支予算など全ての議案を原案通り承認した。任期満了に伴う役員改選では、理事14名、監事2名を選任し、片岡理事長の再選を決定した。
片岡理事長は、「官公需の注文や、学校や企業の一括採用品をTSに発注してほしい。東京組合青年部が扱っている商品の流通を、TSでもできるようにしたい。理解のある出版社との取引を増やし、売行き良好書の扱いとともに出版社に眠っている商品を掘り起こすことも考えていきたい」と述べた。

郷土希少本を展示即売/いばらき読書フェスティバル/茨城組合

「いばらき読書フェスティバル2016」が読書週間関連事業の一環として11月6日、水戸市の茨城県立図書館と屋外ロータリー広場周辺で開催された。主催は茨城県立図書館や茨城県教育委員会など、後援は水戸市、水戸市教育委員会、読書推進運動協議会などで、茨城県書店商業組合(池田和雄理事長)も後援団体の一員として参加協力した。
当日は天候にも恵まれ、学生や家族連れが多数来場し、終始盛況だった。会場内では、視聴覚ホールで読書団体等への感謝状贈呈、読書感想文コンクール表彰式が行われ、その後「読み聞かせコンクール茨城県知事賞受賞者による発表」と「ふるさとのことばで聴く茨城の民話」が開催された。午後には、茨城県行方市出身で2015年に松本清張賞を受賞した作家の額賀澪氏が記念講演を行った。
茨城県書店商業組合では、読書フェスティバルの日程に合わせ、総務広報委員会の川又英宏担当副理事長のもと高橋雅夫委員長が委員会を開催。メンバーの様々な意見を整理調整しながら、「他の地域ではなかなか見ることの少ない希少本(郷土史・郡史・民話など)の出会いの場を作ること」をテーマに、蔵出し郷土希少本展示即売と題する企画を練り上げた。
当日、屋外ロータリーに設置した組合のブースでは、県内の組合員から集まった約50種類の蔵出し希少本を陳列。初の試みに試行錯誤した所はあったものの、多くの家族連れや学生で賑わい、終始予想以上の盛況だった。今回のイベントを通じ、総務広報委員会として新たな試みに挑むことの大切さと、企画・実行することの意義を再確認することができ、有意義な一日となった。

大河ドラマ講演会に120名/ドラマ関連図書も販売/滋賀組合

滋賀県書店商業組合(吉田徳一郎理事長)は、12月4日午後1時半より彦根商工会議所で大河ドラマ講演会「直虎と直政の時代」を開催し、120名が来場した。
講師は全国歴史研究会会員・岡崎市史調査員で『赤鬼直政』などの著書がある市橋章男氏で、中世戦国時代の流れや、井伊家の歴史などについて講演した。2017年NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の放送を控え、主人公の直虎が彦根藩祖・直政(幼名:虎松)を育てたことから滋賀県下の地元でも関心が高く、ドラマ関連図書の販売も兼ねての開催となった。
第2部では、NHK出版大阪事務所の佐藤敬所長に「大河ドラマの楽しみ方」と題して、大河ドラマの始まりやロケの笑えるエピソードなどを紹介してもらい、来場者からの質問を受け付けた後、午後3時半に終了した。
(吉田徳一郎理事長)

出版物輸送は大転換期/業量減少「新たな輸送方法構築を」/出版物輸送懇談会

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会(瀧澤賢司部会長)は11月30日、東京都新宿区の東京都トラック総合会館で第38回出版物関係輸送懇談会を開催。トラック事業者と出版、取次、印刷、製本、書店の団体関係者が出席し出版物輸送の現状と課題について意見交換した。
冒頭であいさつした瀧澤部会長は、「今の厳しい状況をみると出版物輸送の大転換期に来ていると感じる。荷物が減り続ける中で新たな輸送方法を構築できないか、今日の懇談を次へのステップを踏むきっかけにしたい」と述べた。
日本雑誌協会物流委員会の勝野聡委員長は「ここ2、3年、従来の常識にとらわれない率直な話し合いを進めてきた。12月31日の特別発売日の設定などは、その表れと考えている。雑誌物流を今後も維持していくために知恵を出さなければいけない」と述べた。
このあと懇談会を行い、相川運送の相川宏之社長が出版物輸送の抱える課題について報告。仕分け作業や積込みの荷待ち時間がドライバーの負担となっていることに対し、料金改定が進まない状況などを説明した。藤島運輸の綿谷正幸社長はコンビニエンスストア(CVS)配送の現状を報告。配達店舗数が大幅に増える一方、配達業量の減少で売上も減り、CVS1店当たりの年間売上は10年前の半分以下に落ち込んでいると説明し、改善策としてCVS配送時間帯の緩和と、土曜日配送の減少を提示した。最後に東京都トラック協会の山﨑正常務理事がトラック業界全体の課題を説明。トラック事業者は99・9%が中小企業で、平成19年度以降赤字傾向が続く厳しい状況だと述べた。
意見交換では、日本出版取次協会輸送研究委員会の柏木祐紀委員長が、CVS配送における時間指定の緩和についてCVSと交渉を開始したと説明。また共同配送について、大阪の阪南地区で実施を始めており、その他の自社配送地区でも、今後事業者の意見を聞きながら拡大していきたいと述べた。

年間1位は『天才』/大阪屋栗田調べ

大阪屋栗田は2016年の年間ベストセラー(15年12月1日~16年11月30日)を発表。総合1位は石原慎太郎氏の『天才』(幻冬舎)だった。上位10点は以下の通り。
①『天才』石原慎太郎、幻冬舎②『おやすみ、ロジャー魔法のぐっすり絵本』カール・ヨハン・エリーン、飛鳥新社③『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』岸見一郎/古賀史健、ダイヤモンド社④『ハリー・ポッターと呪いの子第一部・第二部特別リハーサル版』J.K.ローリング、静山社⑤『コンビニ人間』村田沙耶香、文藝春秋⑥『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』Eiko、サンマーク出版⑦『羊と鋼の森』宮下奈都、文藝春秋⑧『君の膵臓をたべたい』住野よる、双葉社⑨『言ってはいけない残酷すぎる真実』橘玲、新潮社⑩『新・人間革命第28巻』池田大作、聖教新聞社