全国書店新聞
             

平成21年12月21日号

ブックライナー手数料撤廃・正味1%下げ

㈱ブックライナー(池田禮社長)は創立10周年を機に12月1日より客注品取り寄せサービス「本の特急便」の利益還元として読者手数料50円の撤廃ならびに書店取引正味の1%引下げを実施した。
ブックライナーは客注品取り寄せ専門会社として平成12年11月に「本の特急便」をスタート。ロングテールを中心に80万点を常備している。

高率提供は再販違反/書店のポイントサービス/再販説明会

出版4団体で作る出版流通改善協議会の「再販関連」会員説明会が12月9日午後2時から日本出版クラブ会館で開かれた。説明会では2009年『出版再販・流通白書』の概要、講談社、小学館、35ブックスの取り組み事例が報告されるとともに、最近目立つ高率のポイント付き販売について「実質的に値引き」として再販制度の上では違反にあたることが指摘された。
開会にあたって流通改善協議会相賀昌宏委員長は「最近、ポイントカードで実質的に値引きされているケースが目立つ。取次も努力いただいているが、出版社も個々に働きかけを行うべきではないか。再販契約のルールは守っていきたいし、値引きに類する行為には引き続き反対していく。同時にお客様の視点も持ちながら、うまく運営していきたい」とあいさつした。
会員説明会は『出版再販・流通白書(第12号)』の配布も兼ねており、白書の概要説明を出版流通改善協議会早川三雄委員(小学館)が行った。早川委員は説明の中で「平成13年に著作物再販制度は当面存置となったが、今年4月22日の衆議院経済産業委員会で公取委竹島委員長から廃止すべき考えに変わりはないと発言があった。流通改善、新しい販売施策を示すことで成功、失敗事例を共有していきたい」と述べ、出版業界の取り組みが公取の是正6項目に応えることになることを強調した。
続いて、講談社岩崎光夫取締役、小学館市川洋一GMが責任販売の取り組み、筑摩書房菊池社長が人文系8社が共同で取り組んだ「35ブックス」について事例報告を行った。
講談社岩崎取締役は『CDえほんまんが日本昔ばなし』について、「1万5千~2万セットと予想していたが2万7千セット強の受注があった。最高は600セット。100セット以上の法人が40以上ある。発売1カ月半で外商は8割の消化、店売は40%半ば、全体で6割を超えた。第2期を来年6月に同条件で販売したい」と報告した。
小学館市川GMは①『ホームメディカ』は責販制で5500店から5万6千部、委託は2千店から1万4千部、合計7万部の注文があり、委託を5千部重版した。売上率は7~8割。②『くらべる図鑑』『クオリア』『太陽系大地図』はRFタグを奥付に貼り、スリップの色を変えた。『くらべる図鑑』7万部、『クオリア』2万7千部、『太陽系大地図』は2万部販売した、③来春発売する『生活の図鑑』は実物見本を付け読者の反応を見て注文を出せるようにするとした。
人文系出版社の「35ブックス」は筑摩書房菊池社長が「復刊が中心で、5百から千部の作り部数。1カ月前取次に搬入し、実売は70%から20~30%。筑摩も搬入直前は30%程度の注文だった。各媒体でアピールしたところ、連日注文があがっている。悪くても1年ぐらいで売り切れる見通し」と経過報告。販売会社は今回、手作業で処理したが、来年以降は数社がシステム的対応をとれる見通しと説明した。
筑摩書房では、来年3月に写真集『幕末』改訂版を書店マージン40%で出すことを検討しており、5カ月の時限再販、返品歩安入帳かバーゲンにするかを検討しているという。
最後に書協菊池副理事長は「再販についてはポイント問題がおかしなことになっており、再販制度に照らし合わせると違反」と指摘。さらに「聞いてみると当事者は事前に公取委に相談しているようだが、公取委は再販は民間と民間の契約として独禁法上の解釈しかしない。お墨付きを与えたわけではない。それを取り違えたところがある」「小売公取協の景品最高額7%をポイントに応用しているのかもしれない。ポイントを付けようと思ったら、出版社に個々に聞いてほしい」と、再販の正しい運用を求めた。

年末懇親会に315名/帝国ホテルで賑やかに

日書連主催の出版販売年末懇親会が12月16日午後6時から東京・日比谷の帝国ホテル富士の間で開催され、出版社、取次、業界関係者、書店など総勢315名が出席した。
懇親会は藤原直副会長の司会で進行し、はじめに大橋信夫会長があいさつ。「資本系列化、帳合変更の問題など日々起きているがわれわれが扱っているのは文化の塊ともいうべき本。会場内で『ためほんくん』のデモをやっており、新しいものと紙の共存も課題だ。仕事は人のつながりであり、一丸となって不況を乗り越えていこう」と呼びかけた。
出版社を代表して書協小峰紀雄理事長はデジタル・アーカイブを配信するブックサーチ問題で書協内に特別委員会を作ったことを紹介するとともに、「来年の国民読書年には復元力を発揮して明日の時代を築いていこう」と述べた。
乾杯は取協古屋文明会長が「来年は取協60周年。国民読書年と合わせて書店店頭が元気になる企画を検討している」と述べ、乾杯の音頭をとった。

栗田と集品で協業、順調に/TS協同組合総会

TS流通協同組合は11月26日午後4時から書店会館で第10回通常総会を開き、組合員84名(委任状含む)が出席した。
総会の冒頭、片岡隆理事長は「物流を受け持っていたルートサービスとの協業が困難になり、出版社へ商品を取りに行く集品業務について栗田との協業化を検討。10月1日から新しい集品方法をスタートし、ほとんど問題はない。コストも下げることができた。書店への配送業務についても全力で改善に取り組み、ローコスト運営を目指したい」とあいさつした。
議案審議では平成20年度事業報告、決算報告、平成21年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
平成20年度の売上は1億451万円で前年比3・6%減少したが、1億円の目標は達成した。発注店数は月平均74店と前年より6店増加したが、1店当たりの月売上は14万5千円で前年より5千円減少した。出版社取引額ベスト5は新潮社、講談社、角川グループ、文藝春秋、小学館。また、共同購買事業として村上春樹著『1Q84』(上・下)(新潮社)、『家庭医学大事典』(小学館)の共同仕入れを行ったほか、教育玩具のピットランドを継続販売した。
平成21年度は組合員の一層の加入促進、取引出版社の拡大を図るほか、システム・運用方法・流通の改良、オリジナル商品の開発と販売、共同仕入の拡大、東京組合との連携強化と協業化の推進、東京青年部との事業協力等に取り組む。
審議終了後、来賓の東京組合・小泉忠男副理事長があいさつ。「TS役員は東京組合役員を兼務している場合が多い。それぞれの立場で活躍していただきたい。ローコスト運営を期待している」と述べた。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

神戸年末の風物詩「ルミナリエ」、例年週末は行列が当店前まで延びるのですが、今年は最後の土曜日だけでした。見物客減少なのか、皆さん時間をずらして効率が良いのかは不明です。
開催中のある日、某大書店の若手男子君が当店を訪問してくれました。先月も書いた講演会で知り合った人です。時々覗いてくれているそうで、挨拶して世間話をしておりますと、可愛い女性が近づき寄り添います。
「ガールフレンド連れかいな、やれやれ」と思いましたら、
「嫁です」と当然のようにおっしゃる。美女となんとかです。
世の中の歪みと言うか、神のいたずらに、納得しがたい気持ちが沸々と湧き上がります。今の今まで本一途の純真な若者と思っておったのに、もう稀代の女たらしと認識いたしました。
職場結婚で今も同じ店舗にいるとのこと。そこで私、「そら、あかん」と。「君ら神聖なる会社で何をするんや。犯罪や、反社会的行為や。働く者は商品に手を付けてはいかんし、共に働く女性に手を出してはならん。だいたい、君んところの会社がそういう行為を許しておるのがけしからん。人事担当者は何をしておる。店の責任者が甘すぎる。今度幹部に会ったら一言言うたる」
一気にまくしたてました。「嫉妬心」、そんな生易しい気持ちではありません。腹の底から煮えたぎるような「怒り」です。
大書店社長殿。恋愛・結婚は当人同士の自由でありましょう。他人がとやかく申すべきではありません。しかし、今も同じ店舗内でイチャイチャ・クネクネでは、他の労働者諸君の士気に悪影響を及ぼすことは火を見るより明らかです。私の脳内には御社の全店でハートマークが乱舞している絵が浮かんでおります。快進撃を続ける御社の前途、また出版文化における御社の立場を深く憂慮するのです。できてしまったものは仕方ありません。結婚は認めても、勤務先は離すべきです。全国に店舗があるのですから、ちょっとだけ離しましょう。提案です。男性は蝦夷地か陸奥、女性は薩摩か琉球でいかがでしょう。彼らはきっと御社の将来を担う人材でありましょうから、厳しく、また温かく見守ってやってください。かつて同様に職場恋愛・結婚をした私から、寛大なるご処置をお願いする次第であります。
今、本屋のことをあれこれ調べていて、ちょうど阪神・淡路大震災の頃にさしかかっています。間もなく15年を迎えます。あの時、日書連はじめ全国の書店、出版社、取次販売会社の皆さんから大きなご支援をいただいたこと、改めてお礼申しあげます。組合事務局で当時の写真を見て、思いを新たにいたしました。私がいた本屋は比較的被害も軽く、再開できました。1冊ずつ本を拾ったのですが、同じことをもう1度できる自信はないです。今度あったら、そう、前述の若いカップルが北と南から助けに来てくれるでしょう。
では皆さん、よいお正月を。

井之上博忠理事長を再選/書店元気になる施策実施/鹿児島総会

鹿児島県書店商業組合は12月10日午後4時から鹿児島市のサンロイヤルホテルで第24回定時総会を開き、組合員69名(委任状含む)が出席。役員改選で井之上博忠理事長を再選した。
総会は石井俊二理事の司会で進行。村永直美副理事長の開会のことばで始まり、井之上理事長があいさつ。「鹿児島組合は300名以上の組合員がいたが現在は114名。100名を切るのも時間の問題。組織をスリム化し、書店が元気になる施策を実施することが必要。1月23日、24日の両日、南日本新聞会館で絵本ワールドを開催する。読書推進に積極的に取り組みたい」と述べた。
続いて楠田哲久理事を議長に選出して議案審議に入り、第24期事業報告、決算報告、第25期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。各委員会報告では、情報化委員会から11月27日に県組合ホームページを立ち上げたとの報告があった。URLはhttp://www.kagoshimakenshoten.com/。また、日書連MARC採用校は現在、鹿児島市77校、霧島市6校で、当面の目標として100校を目指すとの方針が示された。定款変更については「本組合の趣旨に賛同し、本組合の事業の円滑な実施に協力しようとする者を賛助会員とすることができる」との条文を新たに加えた。任期満了に伴う役員改選では理事13名、監事2名を選出。初理事会を開き、井之上理事長を再選した。
永年勤続者として井上信夫、柚木利明両氏(ともにテジマ)を表彰したあと、日書連・柴﨑繁副会長が講演。送品・返品同日精算、業界用語統一、有事出版社返品など業界が取り組むべき問題について具体的に話した。(楠田哲久広報委員)

小冊子「大阪しゃれ言葉」の出版計画/大阪理事会

大阪府書店商業組合は12月12日午後1時から組合会議室で定例理事会を開催した。主な審議事項は以下の通り。
〔読書推進委員会〕
12月10日、読書推進実行委員会を開催し、11月14日の「帯コン」展示会および表彰式の反省点などを討議した。取次から「理事以外の一般書店も表彰式などを見学するだけでもよいから会場に来てほしい」という声が出た。また、「行政に対するPRも不足している」という意見もあった。
〔経営活性化・書店環境改善委員会〕
大阪組合の独自企画として「大阪しゃれ言葉」といった小冊子を出版したい。また、店頭活性化の一助として、著名人による講演会なども企画したい。
〔学校図書館・IT化関連委員会〕
大阪府教育委員会の大阪府立学校情報ネットワークシステムの第1期分50校の更新入札は来年実施される予定だったが、府教委の都合で再来年に入札延期してほしいと要請があった。
富田林市が指定管理者制度導入を検討しているという情報を入手したので、地元書店が「当局は導入の弊害について十分検討されたい」との要望を市長に手渡すことにした。
〔レディース特別委員会〕
恒例のレディースランチの会を1月19日午後12時半より大阪市中央区「ルポンドシエル」で開催する。定員は先着60名。
(中島俊彦広報委員)

訃報

青木義良氏(名古屋市・榮進堂書店会長、元愛知県書店商業組合理事長、元日書連理事)
12月4日死去した。85歳。通夜は5日、告別式は6日、名古屋市千種区のいちやなぎ中央斎場で営まれた。喪主は長女の夫で同社社長の青木克行氏。
昭和55年から56年と63年から平成5年まで日書連理事を務める。

坂本龍馬の魅力に迫る/主婦の友社が雑誌『RYOMA』創刊

主婦の友社は2010年1月29日に、さまざまな切り口で坂本龍馬の魅力に迫る雑誌『RYOMA』を創刊する。
2010年のNHK大河ドラマで「龍馬伝」が放送されるなど、いま坂本龍馬が注目を集めている。『RYOMA』は、主婦の友社社員で「龍馬研究家」でもある、同姓同名の坂本龍馬氏が責任編集。創刊号では「龍馬×言霊」をテーマに、有名な「日本を今一度洗濯いたし申し候」など龍馬の元気が出る言葉を紹介。大河ドラマ出演者をはじめ多数の著名人を起用し、表紙からコラムにいたるまで「龍馬を満喫」できる構成となっている。高知・長崎といった龍馬が活躍したエリアも紹介する。
『RYOMA』はA4判・中綴じで百ページ前後。4号で完結する予定で、第2号は3月29日、第3号は6月下旬、第4号は9月下旬に発売する。

出版業界の新年会日程

【組合関係】
〔北海道〕
◇平成22年北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会=1月19日(火)午後6時から、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで開催。
〔宮城〕
◇合同新年懇親会=1月7日(木)午後5時から、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で開催。
〔神奈川〕
◇新年懇親会=1月19日(火)午後5時半から、横浜市中区の華正楼・本店で開催。
〔東京〕
◇新年懇親会=1月14日(木)午後5時半から、文京区の東京ドームホテル地下1階「天空」で開催。
〔静岡〕
◇第42回静岡県書店商業組合新年総会=1月13日(水)午後3時半から、静岡市清水区の三保園ホテルで開催。
〔愛知〕
◇新春賀詞交歓会=1月15日(金)午後5時半から、名古屋市千種区のルブラ王山地下1階「弥生の間」で開催。
〔大阪〕
◇大阪出版流通業界新年互礼会=1月8日(金)午後3時から、大阪市北区のホテルグランヴィア大阪「鳳凰の間」で開催。
〔京都〕
◇京都出版業界互礼会=1月7日(木)午後4時半から、京都市中京区の京都ホテルオークラ3階「翠雲の間」で開催。
〔福岡〕
◇平成22年福岡県出版業界新年の会=1月6日(水)午後4時から、福岡市博多区のホテルオークラ福岡で開催。
【取次関係】
◇日教販第59回春季展示大市会=1月8日(金)午前9時から東京・千代田区のスクワール麹町で開催。セレモニーは午後0時15分から。
◇トーハン新春の会=1月7日(木)午前10時半から、東京・文京区の椿山荘5階「オリオン」で開催。社長あいさつは午前10時半、鏡開きは午前11時10分。
◇日本出版販売2010年新春を祝う会=1月7日(木)午前10時から東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京地下2階「ボールルーム」で開催。午前10時から社長あいさつ・鏡開き。
◇大阪屋新春おでんの会=1月9日(土)正午から、大阪・東大阪市の同社関西ブックシティ1階特設会場で開催。社長あいさつは正午から、鏡開きは午後0時半から。
【関係団体】
◇日本出版クラブ新年名刺交換会=1月6日(水)正午から東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開催。
◇全国医書同業界新年互礼会=1月7日(木)正午から東京・千代田区の帝国ホテルで開催。
◇書店新風会新年懇親会=1月8日(金)午後5時から、東京・新宿区のハイアットリージェンシー東京地下1階「センチュリールーム」で開催。
◇出版梓会第25回梓会出版文化賞贈呈式=1月19日(火)午後6時から、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で開催。

人事

★金の星社
11月27日開催の定時株主総会並びに取締役会で以下の役員選任を行ない、職制担当業務の一部変更を行なった。○新任。
代表取締役社長(営業本部長・出版本部長)
斎藤健司
会長斎藤雅一
取締役(経営本部長・営業管理部長)奥津惠市
取締役(経営管理部長)
長島孝好
常任相談役(渉外部長)
渡辺裕
監査役鹿田昌
販売部副部長笠原則男
特販部部長磯貝毅
広報室室長関野泰子
出版部部長・編集二課編集長鹿田裕子
出版部副部長・編集一課編集長大河平将朗
出版部副部長・製作課課長
○下川征十郎
経営管理部副部長
樋口正子

読進協「若い人に贈る読書のすすめ」

読書推進運動協議会は、「2010若い人に贈る読書のすすめ」として、以下の24点を掲載したパンフレットを作成した。
▽『神去なあなあ日常』三浦しをん、徳間書店▽『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子、理論社▽『頂きはどこにある?』スペンサー・ジョンソン、門田美鈴・訳、扶桑社▽『大きな木のような人』いせひでこ、講談社▽『絶対貧困』石井光太、光文社▽『子どもたちの遺言』谷川俊太郎・詩、田淵章三・写真、佼成出版社▽『半島へ、ふたたび』蓮池薫、新潮社▽『恋文の技術』森見登美彦、ポプラ社▽『若いうちに読みたい太宰治』齋藤孝、筑摩書房▽『図書館で出会える100冊』田中共子、岩波書店▽『悼む人』天童荒太、文藝春秋▽『働くニホン』日本経済新聞社・編、日本経済新聞出版社▽『青嵐の譜』天野純希、集英社▽『新装版青年の思索のために』下村湖人、PHP研究所▽『植物図鑑』有川浩、角川書店▽『たりないお金』竹川美奈子、ダイヤモンド社▽『いのちの食卓』辰巳芳子、マガジンハウス▽『虫捕る子だけが生き残る』養老孟司、池田清彦、奥本大三郎、小学館▽『対話力』樋口裕一、久恒啓一、中央公論新社▽『秒読み』筒井康隆、福音館書店▽『14歳からの社会学』宮台真司、世界文化社▽『下世話の作法』ビートたけし、祥伝社▽『f植物園の巣穴』梨木香歩、朝日新聞出版▽『勝てる読書』豊崎由美、河出書房新社

トップは「1Q84」/2009年間ベストセラー

トーハン、日販は2009年の年間ベストセラーを発表。総合トップは両社とも、村上春樹の長編小説「1Q84」が獲得した。2位は、麻生前首相の「誤読」などでブームを巻き起こした「読めそうで読めない間違いやすい漢字」が、3位は人気ゲーム「ドラゴンクエストⅨ」の攻略本がランク入りした。
〔トーハン調べ〕
①1Q84(1・2)(新潮社)②読めそうで読めない間違いやすい漢字誤読の定番から漢検1級クラスまで(二見書房)③ドラゴンクエストⅨ星空の守り人大冒険プレイヤーズガイド(集英社)④新・人間革命(20)(聖教新聞社)⑤日本人の知らない日本語(メディアファクトリー)⑥バンド1本だけでやせる!巻くだけダイエット(幻冬舎)⑦私服だらけの中居正広増刊号~輝いて~(扶桑社)⑧告白(双葉社)⑨脳にいいことだけをやりなさい!頭のいい人は「脳の使い方」がうまい!(三笠書房)⑩体温を上げると健康になる(サンマーク出版)⑪オバマ演説集対訳生声CD付き(朝日出版社)⑫世界一の美女になるダイエット(幻冬舎)⑬欲情の作法(幻冬舎)⑭勇気の法熱血火の如くあれ(幸福の科学出版)⑮ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー公式完全クリアガイドジョウト攻略+ジョウト図鑑編(メディアファクトリー)⑯しがみつかない生き方「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール(幻冬舎)⑰ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー公式完全クリアガイドカントー攻略+ぜんこく図鑑編(メディアファクトリー)⑱ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー公式完全ガイドブックジョウト攻略編&ジョウト図鑑(エンターブレイン発行、角川グループパブリッシング発売)⑲ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバーぼうけんマップ&ポケモンずかん〈ジョウト版〉(小学館)⑳ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー公式完全ガイドブックカントー攻略編&全国図鑑(エンターブレイン発行、角川グループパブリッシング発売)
〔日販調べ〕
①1Q84(1・2)(新潮社)②読めそうで読めない間違いやすい漢字(二見書房)③ドラゴンクエストⅨ星空の守り人大冒険プレイヤーズガイド(集英社)④新・人間革命(20)(聖教新聞社)⑤「脳にいいこと」だけをやりなさい!(三笠書房)⑥告白(双葉社)⑦日本人の知らない日本語(メディアファクトリー)⑧巻くだけダイエット(幻冬舎)⑨しがみつかない生き方(幻冬舎)⑩私服だらけの中居正広増刊号~輝いて~(扶桑社)⑪体温を上げると健康になる(サンマーク出版)⑫世界一の美女になるダイエット(幻冬舎)⑬つみきのいえ(白泉社)⑭本当に頭がよくなる1分間勉強法(中経出版)⑮欲情の作法(幻冬舎)⑯悼む人(文藝春秋)⑰差別と日本人(角川書店発行、角川グループパブリッシング発売)⑱悩む力(集英社)⑲かいけつゾロリイシシ・ノシシ大ピンチ!(ポプラ社)⑳勇気の法(幸福の科学出版)

ロングセラー絵本「ミリオンぶっく」

トーハンは100万部を超えて読み継がれる絵本を「ミリオンぶっく」として06年からカラーパンフレットで紹介しているが、このほど2010年度版が完成し、全国2500書店を通して無料配布する。
2010年版は35万部製作。書名・著者・出版社・本体価格・ISBN・内容紹介に加えて、初版年月・累計部数・対象年齢を付し、年代別に掲載。累計425万部の「ぐりとぐら」の著者 中川李枝子さんのコメントも掲載している。
掲載は121タイトル。また、今年度版より「絵本の誕生秘話」や「対象年齢別索引」を設けた。書店にはコーナー展開用フェアパネルやメッセージカード、欠本補充用発注冊子などの促進ツールを提供している。
来春から全国4414の私立幼稚園へのアピールを開始するなど、2010年国民読書年に向けた新たなプロモーションも展開する。

催し

■大阪屋友の会連合大会は6月3日、琴平で
来年の第44回大阪屋友の会連合大会は6月3日、4日の両日、香川県琴平ことひら温泉「琴参閣」で開催することが決まった。
■久住氏講師に1月8日、中央社書店研修会
中央社は中央社共栄会との共催で、来年1月8日午前10時から板橋区の本社で書店研修会&情報交換会を開催する。
研修会の講師は北海道書店商業組合理事長の久住邦晴氏(札幌・くすみ書房社長)。『町の本屋の挑戦』というテーマで、久住氏が仕掛けた「中学生はこれを読め」の狙いや、店頭活性化、読書推進のアイデアを語ってもらう。研修会終了後、11時10分から4階食堂で情報交換会。つきたてのモチも用意する。
定員百名(先着順)。会費3千円。中央社帳合以外の書店も参加できる。申し込みは中央社共栄会事務局FAX03・3558・1329番へ。

参考図書

◇『夭折の画家佐伯祐三と妻・米子』
著者の稲葉有氏は元トーハン常務、稲葉通雄氏。文庫判320頁、本体定価1600円、影書房刊。
25歳で渡仏、ヴラマンクに師事し、独特の画風で場末のカフェ、広告塔などを描き、パリで客死した佐伯祐三の変死と妻・米子の実像に迫る。現在と昭和初年が交錯する中で、ミステリアスな佐伯の死の謎に迫っていく。佐伯祐三没後80年記念出版。写真、絵多数収録。
◇『三島由紀夫研究文献総覧』
神田神保町の古書店、山口書店山口基氏の編著による『三島由紀夫研究文献総覧』が出版ニュース社から刊行された。A5判上製792頁、本体定価1万円。
三島由紀夫の信任を得ていた山口氏が長年にわたって蓄積した資料の集大成。第1部門「三島由紀夫とその研究文献」、第2部門「主要参考文献」、第3部門「三島由紀夫の著作」、付録「雑誌三島由紀夫特集」。人名索引、作品論等索引。

人事

◇中央経済社
(12月16日付)
代表取締役最高顧問
山本時男
代表取締役会長兼CEO
山本継
代表取締役社長
山本憲央

訂正とお詫び

本紙前号4面掲載「中央社からコードレスあんかと携帯電話充電器」の記事で問合せ先の同社開発営業部の電話が誤っていました。正しい番号は03・3558・1149番です。

上半期4・7%の減少/日販連結売上3576億円

日販グループの第62期中間決算概況によると、上期の連結売上高は3576億6800万円、対前年4・7%の減少となった。このうち日販単体の売上高は2945億8600万円で対前年4・6%減、12期連続の減収だった。
連結ベースの販売管理費は対前年5・7%減。販売費では物流業務の生産性向上、積載効率の向上、日販単体の雑誌平均定価の上昇、運賃比率の改善などで前年を7・5%下回った。一般管理費では日販のホスト・コンピュータ入れ替えで減価償却費が増加したものの各社で経費削減、合理化に取り組んだ結果、前年比4・5%の減となった。
営業利益は74億9千万円、対前年0・6%減、経常利益は27億8400万円、対前年1・7%の減益となった。特別損益では前期の王子流通センター改装費を中心とした特別損失額がないため、税引き前中間純利益は6・8%増の23億2100万円、中間純利益は87・6%増の14億9700万円となった。
日販単体の売上高は書籍が8・3%減の1105億9100万円、雑誌は1・6%減の1588億1800万円、開発商品は5・6%減の251億7500万円となった。返品率は書籍が0・9ポイント増の42・4%。雑誌は一般店、CVSとも改善した結果、0・7ポイント減の36・2%。合計で前年横ばいの37・3%となった。
営業利益は3・1%減の63億9500万円、経常利益は24・6%減の13億8700万円、税引前中間純利益は22・2%増の7億3600万円、中間純利益は13・1%増の3億7100万円。日販単体の中間決算でも減収増益となった。
4日に行われた記者会見で日販平林常務は「雑誌のマイナス傾向が続き環境は厳しいが、書店、CVSの努力で返品も減り、利益面ではほっとしている。店頭は書籍、雑誌とも10月、11月と悪くない」と述べた。
【日販連結中間損益計算】
売上高357、668
売上原価310、553
売上総利益47、115
販売費及び一般管理費
39、625
営業利益7、490
営業外収益602
受取利息47
その他の収益555
営業外費用5、308
支払利息85
売上割引5、185
その他の営業外費用37
経常利益2、784
特別利益91
特別損失555
税金等調整前中間純利益 2、321
法人税等274
法人税等調整額187
少数株主利益362
中間純利益1、497
(単位百万円)

本屋のうちそと

当地には、大きな地域中核病院がありまして、相当遠方から患者がやってきます。したがって当店の棚配列も、他所とは違ったレイアウトになっています。店に入ってすぐの平台には、お見舞いに適した本を(妻が選んで)並べてあります。そこを過ぎた正面の通路、左側は新刊書や話題の本などですが、右側には医学・看護・健康の本が、闘病記などといっしょに並んでいます。
その奥が文庫のコーナーで、雑誌は一番奥と側面の棚に押しやられているのです。先日も脳疾患で入院された方の家族の方が来られました。「あいうえお」の表を、と言っていろいろ見ていただいたのですが、結局お買い上げいただいたのは子供向けの「あいうえお」の本。指先でパネルをタッチすると音が出るタイプの本でした。発語が不自由な患者さんとのコミュニケーションツールとして使われるというのです。
出版社も、こういう使い方をされるとは思ってもいなかった事でしょう。でも、ここにこそ大切なヒントがあると思うのです。大部数を売ろうとする企画立案がどれも似たような、何だか詰まらないものに思えてしまっています。誰にでも売れそうな「本」というのは、それこそネットで間に合う類の「情報」でしかないのではないでしょうか。
読者は一人一人が別でして、それぞれの人に必要とされる本がきっとあるのです。町の本屋は、読者の側に立って、そんな本を探し続けていくのが生きる道ではないかと考えさせられた出来事でした。(広辞猿)