全国書店新聞
             

令和4年1月15日号

「春の読者還元祭」実施要項決定/店売、外商ともに参加しやすく/日書連12月定例理事会

日書連は12月16日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催し、「春の読者還元祭2022」の実施要項案を承認した。毎年春と秋に実施していた書店くじに代わる新事業として2021年春から開始した読者還元祭。今回は販促物として「しおり」に加え新たに「雑誌カード」を用意し、雑誌配達を行う外商比率の高い書店も参加しやすい制度設計とした。報奨金も実施する。
12月定例理事会は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることから、実出席を中心としたハイブリッド形式で行い、一昨年2月の定例理事会以来、約2年ぶりに多くの理事が書店会館に参集した。出席者数は実出席26名、Web出席7名、書面出席19名、計52名だった。
各委員会からの報告は以下の通り。
[読書推進委員会]
◇「春の読者還元祭2022」の実施要項案を承認した。実施期間は4月20日~30日(読者応募は5月7日まで)。賞品総額300万円の図書カードネットギフトを読者に贈る。
前回は販促物として「しおり」500枚(5種類各100枚)を用意したが、今回は「しおり」(1種類150枚)+「雑誌カード」(150枚)+「店頭ポスター」を封入したセットに変更し、組合加盟書店や希望する書店に頒布する。「しおり」と「雑誌カード」ともにQRコードが印刷されており、読者はQRコードから応募する。
「しおり」の枚数を減らしたのは、「書店くじ」から「しおり」への変更に伴い、一度の会計で複数枚を読者に渡すメリットが薄れ、「書店くじ」を踏襲した1束500枚では多いという指摘が複数あったため、見直したもの。
女性ファッション誌の客層分布や発売日一覧などを掲載した「雑誌カード」を新たに用意したのは、店頭では定期購読の促進、外商では配達の定期誌が休刊した際の代替提案に役立ててもらうため。「雑誌カード」と「しおり」を併用することで、外商比率の高い書店も参加しやすくした。
販促物を購入して150件以上応募を集めた組合加盟書店には、引き続き上限3300円(税込)の報奨金を支払う。
春井宏之委員長は「書店くじに代わる新たな店頭活性化・販売促進策として読者還元祭を始めて1年。これまでのやり方にとらわれることなく、皆さんの意見を取り入れながらいい方向に進めていきたい」と述べ、当面試行錯誤を続ける考えを示した。
◇10月27日~11月11日に実施した「読書週間×本の日秋の読者還元祭2021」の応募総数は6万7313件だった。
◇2021年「心にのこる子どもの本秋・冬セール」は20組合が目標を達成した。
[組織委員会]
日書連所属員数の月次動向は、10月期が加入4店・脱退8店で4店純減、11月期が加入なし・脱退2店で2店純減。安永寛委員長は「若い人に書店を続けてもらうにはメリットが必要。後継者の育成方法を検討したい」と述べた。
[流通改善委員会]
藤原直委員長は、日本出版取次協会(取協)が9月15日付で公表した文書「災害警報等発令時の配送について」「大規模自然災害発生時の取次発送作業および輸配送の対応について」の内容を説明した。
[取引改善委員会]
日本出版販売(日販)と楽天ブックスネットワーク(RBN)が10月から協業範囲を拡大したが、大阪組合ではRBN帳合書店を対象に「日販との協業についてのアンケート」を実施した(3面に関連記事)。柴﨑繁委員長は「(大阪組合のアンケート結果を)各都道府県組合で情報共有したい」と述べた。
[書店再生委員会]
渡部満委員長は、文化庁・国立国会図書館の担当者が11月9日に来局し、「国会図書館による個人向けデジタル化資料送信サービス」「公立図書館による蔵書の一部分をデジタル化した資料のメール送信サービス」について意見交換したことを報告した。
[図書館委員会](旧・図書館サポート委員会)
日書連MARCのベースMARCである楽天ブックスネットワーク「OPL-MARC」が3月で廃止となる。その後のベースMARCを「トーハンMARC」に切り替えるため、データ使用契約をトーハンと締結し、4月から運用を開始すると髙島瑞雄委員長が報告した。
電子図書館については情報収集に努め、組合加盟書店への紹介窓口としても対応するとした。
[その他]
出版文化産業振興財団(JPIC)が、書店・出版社・取次・有識者で業界課題解決に取り組むため発足した「特別委員会」の委員に、日書連の春井宏之、深田健治両副会長が就任した。課題解決の実務を行う専門委員会の委員についても、活動の詳細が決まり次第、人選を行う。

書籍の販売金額、15年ぶりに増加/出版科学研究所調べ

出版科学研究所は「出版月報」12月号で、2021年の紙の出版物の販売金額が前年比約1%減の1兆2100億円台となる見込みと発表した。
書籍は約2%増と2006年以来15年ぶりにプラスとなる見込み。児童書などが好調だったことに加え、返品の減少も寄与した。一方、雑誌は約3%強のマイナスだが、コミックは前年を超える見込み。

JPIC、「特別委員会」を発足/業界3者と有識者で全体課題解決へ/日書連から春井、深田両副会長が参加

出版文化産業振興財団(JPIC、近藤敏貴理事長)は、有志の書店を中心に出版社、取次、有識者19名で構成する出版業界の調査・研究・実行組織「特別委員会」を発足し、12月6日に東京・千代田区の出版クラブビルでキックオフミーティングを開催した。
冒頭、近藤理事長は特別委員会の目的を説明。全国の有力書店にアンケートとヒアリングした書店の経営課題を基に、活発に議論した。各委員から提案が多数挙がったため、1月に再度開催して、取り組みテーマを決定する。具体的な検討は、取り組みテーマごとに設置する専門委員会で行う。今夏を目途に、業界課題解決に向けた方向性の取りまとめを目指す。
なお、日書連からは春井宏之、深田健治両副会長が特別委員会委員に就いている。
[特別委員会委員]
〈書店〉
井之上健浩(久美堂)、岡山好和(丸善ジュンク堂書店)、奥野康作(ブックエース)、笠原新太郎(笠原書店)、亀井崇雄(三省堂書店)、斉藤晋一郎(谷島屋)、春井宏之(正文館書店、日書連副会長)、深田健治(ブックスふかだ、日書連副会長)、藤則幸男(紀伊國屋書店)、長﨑健一(長崎書店)、松信健太郎(有隣堂)
〈出版社〉
菅間徹(講談社、書協)、関口康二(河出書房新社、書協)、豊栖雅文(小学館、雑協)、福原知晃(扶桑社、雑協)
〈取次〉
安西浩和(日本出版販売、取協理事)、田仲幹弘(トーハン、取協理事)〈有識者〉
塚本晴二朗(日本大学法学部教授、日本出版学会会長)、山崎隆広(群馬県立女子大学文学部准教授、日本出版学会理事)
個人名50音順

「春夏秋冬本屋です」/「平等院鳳凰堂のお宝」/愛媛・文具座やまさき会長・山﨑由紀子

愛媛県美術館で「平等院鳳凰堂と浄土院その美と信仰」が開催された。名刹の寺宝を拝観に、三顧の礼と通い詰めた。
10円硬貨で親しみのある宇治の平等院鳳凰堂。造幣局では10円硬貨が最も原価が高く鋳型製造が困難で、熟練の2名だけが精密な建築物の製作が可能らしい。ピカピカの10円硬貨を拡大鏡で確認すると、屋根に乗る鳳凰像がちゃんと見えて、うっとり。一番仲良くなりたい1万円札の福沢諭吉の裏にも、鳳凰像がくっきりはっきり印刷されている。美術館会場では、鳳凰像の威厳ある佇まいが目の前に現れ、畏れ多くて思わず合掌する。
我が家は浄土宗で、ご本尊は阿弥陀如来像。残念なことに、宇治の平等院への拝観は写真や映像のみで叶っていなかった。ゆえに、今回の阿弥陀堂の雲中供養菩薩像の拝観は、仏像好きの私の念願だった。本来の阿弥陀堂では距離があるが、展示ケースで間近に拝める。
52体のうちの北1号、北13号、南1号、南14号のお姿を拝観。修復された童子の顔と、古の顔の雲中供養菩薩像を2体ずつ展示。伝帝釈天立像の足元に4体の鬼が踏みつけられ、奥のは苦しそうな表情だが、手前の鬼たちは嬉しそうに笑っている。画家・山口晃筆「当世来迎図」の絵の中の京都タワーも楽しい。
この至福の時間が私の最高の「お宝」だ。

日書連「秋の読者還元祭」6万7313件の応募/「春の還元祭」から68%増

日書連と「本の日」実行委員会は12月16日、東京・千代田区の書店会館で、「読書週間×本の日秋の読者還元祭2021」のキャンペーン結果について記者発表を行った。
「読者還元祭」は、日書連が毎年春と秋に行ってきた「書店くじ」に代わる新たな店頭活性化・販売促進事業として2021年春からスタート。「くじ」をQRコード付き「しおり」、賞品を「図書カード」から「図書カードネットギフト」に変更するなど、全面的にリニューアルした。
11月1日の「本の日」図書カードプレゼントキャンペーンとコラボレーションして実施した「読書週間×本の日秋の読者還元祭2021」は、10月27日~11月11日の期間中、抽選で来店客5000名に図書カードネットギフト1000円分を贈った。
応募総数は6万7313件に達し、4月の「春の読者還元祭」(応募総数4万件)に比べて68%増加した。日書連読書推進委員会は、「本の日」キャンペーンとのコラボレーションが相乗効果を生んだこと、春に続く2回目となり認知が広がったことが奏功したと見ている。
記者発表の席上、「本の日」実行委員会代表も務める日書連・矢幡秀治会長(真光書店)は「『書店くじ』からリニューアルして2回目の『読者還元祭』は、『本の日』と一緒にキャンペーンを行うことで認知が広がり、大きく伸びた。『本の日』も、書店と読者の双方に浸透してきている。こうしたキャンペーンをやっていくことでお客さんが書店に戻ってきてくれることを期待している」と語った。
同・春井宏之副会長・読書推進委員長(正文館書店)は「『本の日』との連動で規模を大きくすること、図書カードネットギフトの認知を広げることに重点を置いた。6万件を超える多数の応募があり、第一段階はクリアしたのではないか。2022年春、秋のキャンペーンに向けてさらに発展させるためにはどうすればいいか、皆さんと相談しながら進めたい」と述べた。
「本の日」実行委員会・大垣守弘財務委員長(大垣書店)も「日書連との連携、日本図書普及の協力で、キャンペーンへの応募は年々増えている」と手応えを語った。
キャンペーンに協賛した日本図書普及・平井茂社長は「次回は応募総数10万件超えを目標に、もっと盛り上げたい。続けて応援する」と期待を寄せた。
また、「本の日」実行委員会・髙須大輔広報委員長(豊川堂)は、11月1日にオンラインで開催したトークイベント「ひろゆきと話そう。本のこと、自分のこと、未来のこと。」に学生60名が参加してひろゆき氏と交流し、YouTubeライブ配信を7259名が視聴したと報告。「11月だけでなく、これからは年間を通して企画を考えていきたい」と意気込みを語った。
同・奥野康作店頭活性化委員長(ブックエース)は、ブックカバー大賞に516作品の応募があり、大賞作品のブックカバーを全国171店舗で配布したこと、書店へのイベント助成金を31件支給したことを説明。「多くの読者がイベントを理由に来店し、店頭の賑わいに一役買うことができたと思っている」と述べた。

小説部門は『スモールワールズ』/静岡書店大賞、2年ぶりに開催

静岡県内の書店員と図書館員636人が最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「第9回静岡書店大賞」(同実行委員会主催)が12月7日、発表された。
小説部門大賞は一穂ミチ『スモールワールズ』(講談社)が選出された。児童書新作部門大賞は柴田ケイコ『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』(KADOKAWA)、2位はヨシタケシンスケ『あんなにあんなに』(ポプラ社)、3位はいわいとしお『もりの100かいだてのいえ』(偕成社)。児童書名作部門大賞は馬場のぼる『11ぴきのねこ』(こぐま社)が選ばれた。映像化したい文庫部門大賞は伊代原新『月まで三キロ』(新潮社)。
新型コロナウイルスの影響で昨年は中止し、2年ぶりの開催となる今回はWeb上で発表。掛川市・高久書店で収録した授賞式動画もYouTubeで配信した。
授賞式動画で、式に出席した小説部門大賞の一穂氏は「静岡に縁もゆかりもないにも関わらず栄誉ある賞をいただき、県民の皆さんの富士の裾野より広い御心に感謝する。これからも新しい世界をささやかに開いていくような小説を書きたい」と抱負を語った。
ビデオメッセージを寄せた児童書新作部門大賞の柴田氏は、「パンどろぼうの2作目。パンへの深い愛情が感じられる作品になっている。読んでいただけたらうれしい」と話した。
映像化したい文庫部門大賞の伊代原氏は、ビデオメッセージで「2019年の第8回小説部門大賞を受賞したこの作品を、再び選んでもらい光栄。静岡の皆さんには長きにわたって愛していただき感謝しかない」と喜びを語った。
大賞は2020年9月1日~2021年8月31日に刊行された作品が対象。県内の150書店と図書館で受賞作品を特集したフェアを開催している。
(佐塚慎己広報委員)

埼玉組合、県を通じて図書寄贈/児童養護施設の子どもらに345冊

埼玉県書店商業組合の奈良俊一理事長(ならいち)と江原宏信事務局長は12月8日、埼玉県福祉部こども安全課を訪問し、図書345冊を寄贈した。内訳は、幼児56冊、小学校低学年59冊、小学校中学年44冊、小学校高学年61冊、小学校辞典120冊、中高一般5冊。県側は松井明彦課長、中田晃史主幹、篠原康友主事が応対し、奈良理事長が寄贈の趣旨を伝えた。
寄贈した図書は、こども安全課より県内の児童養護施設、母子生活施設等に配布され、毎年各施設や子どもたちから心温まる礼状が多く届いている。また、毎年埼玉県知事より社会福祉の増進に貢献しているとして感謝状が授与されており、今年度も授与された。
松井課長は「子どもたちが本に接することは大事で、読書する機会が増えるのは良いこと。図書を寄贈していただきありがたく思う。昭和37年より50年以上もの間、図書の寄贈を続けていただいていることに驚くとともに、感謝している」とお礼の言葉を述べた。(江原宏信事務局長)

楽天BNが日販と協業範囲拡大/大阪組合、帳合書店にアンケート実施

大阪府書店商業組合は12月11日開催の定例理事会で、楽天ブックスネットワーク(RBN)帳合書店を対象に実施したアンケート「日本出版販売(日販)との協業について」の結果を報告した。このアンケート調査の結果を基に、RBNと意見交換の会合を1月27日に予定している。
RBNと日販は10月から協業範囲を拡大し、帳合書店に影響が広がっていることから、大阪組合は実態を把握するためアンケート調査を実施した。日販はRBN一部帳合書店分の雑誌・書籍・開発品の送品業務で協業。物流業務を日販の流通センターで受託し、物流受託する商品の仕入業務を日販が行っている。
このほか理事会では、コロナ禍の影響で各都道府県組合の運営が厳しくなっていることに配慮して、日書連が2021年度の組合員1名当たりの一般賦課金を年額2000円減額する決定をしたことを受け、2月上旬に減額分を各支部へ送金する予定と報告した。
(石尾義彦事務局長)

創立100周年特設サイトをオープン/小学館

小学館は8月8日に創立100周年を迎えるが、それに先立ち特設サイトをオープンした。https://shogakukan.co.jp/zero/
サイトは「0(ゼロ)から考えよう。」をキャッチフレーズに、出版業務を①好奇心の育て方②文化との接点③高齢化社会④地方創生⑤本の読み方⑥街の歩き方⑦本の作り方――の7テーマに分け、新規事業などに取り組む社員へのインタビューで構成している。
同社はこれから、出版企画や映像化・イベントなど、様々な100周年記念事業を立ち上げることを予定している。

「本屋続けて良かったなぁ通信」NET21-協業化の現場から

【同じ立場の仲間と問題意識を共有/ブックセンターササエ代表取締役社長・佐々木栄之
私がNET21の門をたたいたのは2012年1月だったと記憶しております。2011年3月11日に起きた東日本大震災により以前から続いていた売り上げ減少、支払いの増加、特に震災の特別融資を受けたことによる長期借入金の返済負担の増加によって経営が困難になりつつあり、現状のままでは将来の見通しが立たない状況にありました。
そのような時、知人の書店社長のすすめでNET21の説明会に参加しました。NET21は私が実家の書店に戻ってすぐの頃、自社の実像が見え始め、試行錯誤を繰り返す日常の中、設立が業界紙などに取り上げられる中で初めて知りました。最初の印象は首都圏の書店の若手エリートの集団で、自分には縁のない存在のような印象を受けたとともに、強い憧れを感じていたことを記憶しています。説明会には数十名の書店員が参加しており、メンバーや出版社の方々がNET21について説明を行いました。
全体説明が終わり、メンバーが数ヵ所に分かれて個別説明会が行われました。私はここぞとばかりに以前から興味関心があったこともあり2、3質問をしました。質問に対して正直にお答えいただけていた事が好印象でもあり、NET21が身近な存在であるという認識を持ち始めたのはこのころからだったと改めて思い返します。その後の懇親会の席では説明会ではまじめな印象の強かったメンバーたちががらりと雰囲気が変わり打ち解けやすかったことから、何とか入会して自社の状況改善につなげていきたいと思いました。
その後数回、定例会にオブザーバーとして参加し、説明会から1年後ようやく入会が認められ、憧れのNET21に入会することが出来ました。同じ説明会に参加した書店の方が、同じく熱心にオブザーバー参加をしていたのに入会できなかったので、私はラッキーだったのだと思います。
NET21に加盟して最大のメリットは自身と同じ立場の方々と、知識や経験に基づいた問題解決の議論を気兼ねなく行えることだと私は思います。今、同じ時代に同じ業界で同じ問題に取り組んでいる者同士が知恵を出し合って問題を解決する、または状況を好転させるヒントが定例会やその後の懇親会にはたくさんありました。おかげさまで当社は震災後の度重なる苦難の津波に流されることなく、現在も書店として生き残ることができております。
ネット書店や電子書籍の台頭、輸送費・人件費の高騰、まだまだ続く書店や出版社の廃業、取次の体質の変化等、業界の先行き不安は続きそうです。書店同士が手を取り合って生き残りを模索することは正解の一つだと考えます。
業界の衰退を招かず、明るい未来を夢見ることができる可能性の一つとして、未入会の書店の仲間がNET21に興味関心を抱き、賛同し、新たな仲間としてともに活動できることをお祈りいたします。

渋谷書店万引対策共同プロジェクト/2年目の状況を検証した報告書公表

渋谷書店万引対策共同プロジェクト(渋谷プロジェクト)事務局はこのほど、渋谷プロジェクト開始後2年目(2020年8月1日~2021年7月31日)の状況を検証した報告書を公表した。同プロジェクトは東京・渋谷区内の大盛堂書店、啓文堂書店渋谷店、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の3書店が、防犯カメラの顔認証システムで集めた個人データを登録して、万引被害を未然に防ぐために共同利用する取り組み。報告書では、マスク着用の来店客が増えたことで当初再来店検知率が大幅減少したが、昨年4月に顔認証ソフトをバージョンアップしたことで精度が向上し、マスク顔の検知率がアップしたと評価している。報告書の全文を掲載する。
〔ロス率、全店で改善/ロス額50万円減の店舗も〕
1、対象期間
2020年8月1日から2021年7月31日まで。
2、定量面から
1)登録人数及び事案件数は44名(前年+5名)71件(同+18件)。他に登録断念(不鮮明、商品隠匿映像なし)が4件あります。
2)事案71件には盗撮1名1件が含まれます。
3)再来店事案は19名28件で前年+12件でした。
①28件の対応内訳は抑止と補捉の合計が16件で、ビデオ映像による事後確認等が12件でした。
②対象期間中に再来店が確認できた19名中最多来店回数は6回でした。
③また今期の再来店者19名中14名は同一店舗への再来店で、5名は他店舗への再来店がありました。
④再来店率は大幅増。4月にグローリー社製の顔認識ソフトのバージョンアップによるマスク顔での検知率アップが奏功しました。
4)登録事案71件中70件は単独敢行で、他1件は2人組でした。
5)抑止は全体では22件で、前年+15件です。
6)捕捉は11件で前年+4件です。
7)1年を超えて敢行に及ぶ対象者も確認できました。
8)ロス率は、3店舗とも改善しました。
①ロス率がマイナス0・02ポイント改善された店舗では、ロス率が過去5年で2番目に低く、ロス金額では同期間で最少で、その前年比はマイナス30%となりました。
②ロス率がマイナス0・09ポイント改善された店舗では、ロス改善率がチェーン全体のそれを上回りました。
③ロス率そのものが過去最低の0・05%に下がった店舗では、ロス金額が1年目の40万円減に続いて、50万円減となり、ロス率最低値更新が続いています。
3、定性面から
1)マスク着用の来店客が増えたことで当初、再来店検知率が大幅に減少していましたが、4月に顔認識ソフトウェアをバージョンアップしたことで
・警戒発報の精度が向上しました。
・その精度はマスク未着用時と同程度と評価できます。
2)活動の実績が見える化され共有化されることで、各担当者の当該活動へのモチベーションアップにつながっています。
3)客数の減少により万引き犯の数も比例して減少しています。また客数減により売り場担当者が売場内の客の行動を把握しやすくなっています。
〔「安心」伝える情報開示と発信を〕
4、3年目の活動計画
1)再来店時対応の精緻化
〇前述の通り今期の再来店事案28件の内、事後確認によって判明した事案が12件あることから、これを精査の上各店と協議し、対象者の再来店時の万引敢行を抑止します。
2)2022年春施行の令和2年改正個人情報保護法への対応
〇当プロジェクトはすでに同改正を先取りしている点もありますが、改正内容に照らしてガイドライン等の再点検を行い、常に適切な運用が行われるように努めます。
3)更に安全なシステムへの改良
〇お客様に安心してご来店いただけるよう、更に安全なシステムへの改良に着手しセキュリティーを向上いたします。
5、検証委員からの総括
1)一般人の感覚として、カメラの精度が上がることでプライバシーへの影響も増すと思われがちですが、誤認識がなくなるというメリットを丁寧に説明すべきでしょう。引き続き安心してもらえるための情報開示と発信を継続してください。
2)このシステムに登録されているのは犯罪を行ったことが確かな人だけであって、一般のお客様には影響がないものだということを、お客様に分かってもらう努力を継続すること。顔識別カメラに対する気持ちが悪い等のもやもや感を払拭していくことで「安心」を伝えていってほしい。
3)プロジェクト拡大に関し法的スキームは様々に紹介され、様々な意見に耐えうるものになっているが、肝心のどれくらい役に立っているのか?について確認したい。実効性の担保が今後の拡大の鍵になる。施策として耐えうるように、その点をどこかに発表することがいいと思う。
4)そして当プロジェクトは法的見解や社会受容性を綿密に検討して進めてきましたが、故に形式だけを取り入れた同様の取り組みが現れることを懸念します。この取り組みと同様の取り組みをお考えの企業は、その本質的成果や法的スキームを理解し、かつ社会への受容性を十分担保したうえでの実施が必須です。

マルチコンテンツ情報の登録開始/読書バリアフリー法、著作権法改正に対応/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は12月9日、東京・千代田区の一橋講堂で出版社を対象に「JPRO/Books新企画説明会~読書バリアフリー法・著作権法改正への対応施策~」を開催。オンライン配信を含めて約700名が参加した。
著作権法改正による図書館関係の権利制限規定の見直しや、読書バリアフリー法に対応する「マルチコンテンツ情報」を出版情報登録センター(JPRO)へ登録し、書誌情報ポータルサイト「Books」での表示を開始すること、また点訳・音訳に必要なテキストデータの提供といった障害者団体から寄せられる要望の窓口となる「アクセシブル・ブックス・サポートセンター」(ABSC)を設立することについて、施策の内容を説明し、協力を呼びかけた。
マルチコンテンツとは、元本に紐付く全ての出版物のことを指す。マルチコンテンツ情報の登録では、刊行済みの紙の本に、異版(判型違い、オンデマンド版、他社刊行等)、電子書籍、オーディオブックといった様々な形態で出版されている本を紐付ける作業を進める。Booksを検索すると、同内容で違う形態のコンテンツが入手できることが分かり、読者の購買につながる。また、改正著作権法による「入手困難本の国会図書館から個人への電子送信」への対応として、その本に異版や電子書籍等が存在し、入手困難ではないと表示することが、著者と出版社の権利を守ることにもつながる。
説明会では、ABSC準備会座長を務めるJPOの相賀昌宏代表理事(小学館)が開会あいさつし、今回の施策に至るまでのJPROの取り組みを説明。
日本書籍出版協会(書協)の小野寺優理事長(河出書房新社、書協アクセシブル・ブックス委員会委員長、ABSC準備会委員)はABSC設立の展望について、「障害者団体やボランティアと連絡を取り、Booksの紹介と利用促進を図ると同時に、Booksの改修作業への意見や注文を反映させていく。出版界の第一次窓口として機能することで、各出版社が個別対応する負担が軽減される」と説明した。
マルチコンテンツ登録表示WGリーダーの栗原真史氏(KADOKAWA)は、JPROへの登録方法とBooksでの表示について説明。「自社本、他社本問わず、新しい商品を発売した出版社が元本を登録してほしい」と求めた。

わが社のイチ押し企画/講談社・第四事業局局次長・吉田昌平

漫画家、イラストレーター、映像監督、シナリオライターなどのジャンルに囚われず、世界的なタイトルを次々に生み出す創作者の顔を持つ大友克洋さん。
漫画作品も、『AKIRA』はおかげさまでロングセラーですが、過去の大半の単行本が絶版状態です。
そんな中、大友さんご自身が、自分の仕事をまとめた全集を自分の思うような形で作りたいと思い、自分でプロデュースするなら自分が生きているうちに、と企画したのが本全集「OTOMOTHECOMPLETEWORKS」です。
その第1期・第1回配本が、いよいよ1月21日に弊社より刊行開始となります。
配本順はその限りではありませんが、巻数はなるべく時代順にしてあります。
そうすることで、大友さんが作家としてどのように変化してきたか──本当は収録したくなかった古い作品、実現しなかった作品、未完のものも出し惜しみせずに全てお見せいたします。
大友さんいわく「自分でも過去作品を見直すことはあまりないので、全て見るのはこの編集作業で初めてになると思います。ヘタすると忘れている作品もあるので、見直すと面白いですね。最初の頃から見ていくと、自分でも絵が上手くなっていく過程が判ります。描き方が変わっていったりテーマが変わっていったり、試行錯誤している様子も判ります。色々な見方が出来るので、皆さんにも楽しんでいただけるのではないでしょうか」
と、漫画だけでもいろいろな見方ができそうです。
プラスして、本のデザイン、装丁にまでこだわった仕様となっていますので、発売日には驚いていただけるのではないかと思っています。
デザインや装丁に込められた大友さんの思いは、アートというところにとどまらず「本と云うのは本来、家に置いておくもの」という思いに込められています。
書物は読み捨てられるものではなく、その復権も目指す。本自体も全集も作家の作業を残すもので、伝承し残されるべきだ、という考えのもと構想されています。
数々の作品で見せたまったく新しい表現方法の集積は、これまでの大友さんの文化的な冒険を愉しめるこれも新しい作品集、本のかたちとも言えるものと自負しております。
ぜひ、ご期待ください。

わが社のイチ押し企画/河出書房新社・営業第三部第一課・鎌塚亮

謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は宇佐見りん『推し、燃ゆ』が第164回芥川賞を受賞、第7回沖縄書店大賞「小説部門」大賞を受賞、本屋大賞にもノミネートされ、おかげさまで累計52万部を突破いたしました。また、同書は各販売会社様の2021年年間ベストセラーランキングで文芸書部門第1位となりました。これもひとえに全国の書店様のあたたかい応援と、多大なるご協力の賜物と心より感謝しております。この場を借りて厚く御礼申し上げます。同著者の芥川賞受賞第1作は、車中泊の旅をする一家が、家族の在り方の根源を探る様を描く中篇「くるまの娘」。本作は、「文藝」2022年春季号(1月7日発売)に掲載しております。
本年1月には、第163回芥川賞受賞作家である遠野遥の最新刊『教育』を刊行いたします。超能力の成績向上のため日々鍛錬に励む「私」を主人公とした、「文藝」2021年秋季号掲載直後から話題沸騰の芥川賞受賞第1作にして初長篇です。
また、古川日出男訳『平家物語』(池澤夏樹=個人編集日本文学全集)を原作としたTVアニメ『平家物語』が、1月12日よりフジテレビ「+Ultra」にて(毎週水曜24時55分~、他各局でも)放送を開始。同じく古川日出男著『平家物語犬王の巻』を原作とした長編アニメーション映画『犬王』は本年初夏劇場公開予定です。湯浅政明監督のもと、漫画家の松本大洋がキャラクター原案、野木亜紀子が脚本、大友良英が音楽を担当。犬王役をバンド「女王蜂」ボーカルのアヴちゃん、犬王とバディを組む琵琶法師・友魚(ともな)役を森山未來が演じています。ふたつの「平家物語」にぜひご期待ください。
本年も書店様と読者の方々にとって、力となる作品を刊行して参る所存です。何卒皆様のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/双葉社・営業局次長・奥山秀

謹賀新年
昨年はコロナ禍の中で感染リスクがありながらも多くの作品を読者に届けていただきありがとうございました。
昨年弊社の文庫では、湊かなえ著『未来』を大きく売り伸ばしていただきました。お陰様で2021年の文庫年間ベストセラートップ10にもランクインしました。単行本が本屋大賞にノミネートされた『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人著)の文庫版も、その続編の新刊単行本『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』や、こちらも売行き好調の『赤ずきん、旅の途中に死体と出会う。』とご併売いただき、5刷11万部突破と好調です。『赤ずきん~』は2023年福田雄一監督によるNetflixでのまさかの実写化も発表になりましたのでご期待ください。宝島社刊『この時代小説がすごい!2022年版』で文庫書下ろしランキング第1位をいただいた『三河雑兵心得シリーズ』①~⑦(以下続刊)(井原忠政著)も各店様に大きくご展開いただき、累計50万部を突破いたしました。読者から毎日のように次巻の発売予定のお問い合わせのお電話をいただくシリーズになっております。因みに第8巻は2月発売予定です。2月はもう一作品、注目の文庫新刊がございます。こちらも本屋大賞にノミネートされた知念実希人著『ムゲンのi』上下巻です。是非とも大きなご展開をお願いいたします。
単行本では、昨年は直木賞作家・三浦しをんの3年ぶりの新作小説『エレジーは流れない』や、YOASOBIの楽曲の元となった小説第2弾『大正浪漫』(NATSUMI著)、著書『明け方の若者たち』が映画放映中のカツセマサヒコ著『夜行秘密』など、多くのヒット作・話題作を刊行できました。本年春のイチオシ新刊は、映画原作『そして、バトンは渡された』がヒットしている瀬尾まいこ著『夏の体温』です。3月刊行予定ですのでご期待ください。
コミックスでは昨年は『島さん』①~②(以下続刊)(川野ようぶんどう著)がスマッシュヒット!訳ありのベテランコンビニ店員・島さんの優しさが多くの読者の心を掴んでいます。本年の注目作は既に多くの書店員さんにプルーフを読んでいただきご支持いただいている期待の大型新人・武田登竜門が描く『BADDUCKS』です。第1巻が1月中旬発売です。
本年も何卒、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願いいたします。

「文具女子博」に2万4千名来場/オンライン版も1月21日から開催/日販セグモ

日販セグモは12月16日~19日に東京・大田区の東京流通センターで文具の展示販売イベント「文具女子博2021」を開催した。
5回目となる「文具女子博」のテーマは「Happy文具パレード」。新型コロナウイルス感染予防のため、前回に続いて定員入れ替え制を導入、入場チケットは完売し、4日間で2万4千名が来場した。
会場内では、「Happy文具パレード」をイメージした限定商品や、文具女子博オリジナルグッズも販売。今回初めて実施した「パレードタイム」では、限られた時間内でしか入手できないオリジナルのポストカードを配布した。
来場者の直接投票で大賞を決める「文具女子アワード」は、エントリーした68商品の中から、自分でインクを調色できるスタンプパッド「いろづくり」(シャチハタ)が大賞に輝いた。各受賞商品は一部商品を除き、全国の文具店と書店店頭で1月からフェア展開を行っている。
また、オンラインで自宅にいながらも文具女子博が楽しめる「オンライン文具女子博Winter」を1月21日(金)12時~同27日(木)18時に開催する。チケットは不要。イベントURL=https://bungujoshi.com/event/winter/

11月期販売額は0・6%増/書籍は高額商品刊行などで2桁増/出版科研調べ

出版科研調べの11月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比0・6%増だった。内訳を見ると、書籍は同11・0%増と2桁の伸び。前年同月の落ち込みが大きかったことや、返品が改善したことに加え、10年ぶりに改訂された『総合百科事典ポプラディア第三版』(ポプラ社、全18巻セット・本体価格12万円)が刊行されたことで金額ベースで大幅に上昇したことが影響した。書籍新刊平均価格も同8・6%(107円)増になった。雑誌は同10・4%減と3ヵ月連続の2桁減。内訳は月刊誌が同10・8%減、週刊誌が同8・1%減。月刊誌は前年同月にコミックスが大きく伸長した影響で、減少幅が膨らんだ。
返品率は、書籍が同0・7ポイント減の33・6%、雑誌が同2・4ポイント増の41・3%。内訳は月刊誌が同2・8ポイント増の40・7%、週刊誌が同0・8ポイント増の44・2%。
書店店頭の売上は、書籍が約5%減。文芸書は約1%増で、『転生したらスライムだった件』(マイクロマガジン社)の新刊や、発売前から書店員を中心に話題を集めた逢坂冬馬のデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)などがヒットしプラスになった。
雑誌の売上は、定期誌が約9%減、ムックが約10%減、コミックスが約17%減。コミックスは前年同月が『鬼滅の刃』『呪術廻戦』の全巻が売れていた時期で、反動が大きかった。『SPY×FAMILY』『キングダム』(いずれも集英社)などの新刊は好調な売行きを示した。

厚労省・児童福祉文化財/出版物の推薦作品を決定

厚生労働省社会保障審議会は、児童の福祉の向上を図るため、出版物、舞台芸術、映像・メディア等の3分野で「児童福祉文化財」として、子どもたちや家族、保育士など子どもと関わる立場の人向けに優れた作品を推薦している。このほど、令和3年度の出版物の推薦作品を下記の通り決定した。
▽『森の小さな生きもの紀行いつでもどこでもきのこ』文一総合出版/文=保坂健太郎、写真=新井文彦/小学生以上▽『きつねの時間』フレーベル館/作=蓼内明子、絵=大野八生/小学校高学年▽『いろんなきもち自分の心をたいせつにして幸せになる方法』保育社/著=エリノア・グリーンウッド、訳=平木典子/小学校高学年、保護者・指導者等▽『NHK子ども科学電話相談昆虫スペシャル!』NHK出版/編=NHK「子ども科学電話相談」制作班、監修=丸山宗利・清水聡司・久留飛克明/小学生、保護者・指導者等▽『NHK子ども科学電話相談恐竜スペシャル!』NHK出版/編=NHK「子ども科学電話相談」制作班、監修=小林快次・田中康平/小学生、保護者・指導者等▽『モヤモヤそうだんクリニック』NHK出版/文=池谷裕二、絵=ヨシタケシンスケ/小学校高学年▽『おてがみ』教育画劇/作・絵=たちもとみちこ/小学校低学年▽『18歳までに知っておきたい法のはなし』みらいパブリッシング/著=神坪浩喜、編=谷郁雄、イラスト=山口クミコ、ブックデザイン=池田麻理子/高校生、保護者・指導者等▽『あなたのあしもとコケの森』文一総合出版/作=鵜沢美穂子、写真=新井文彦/小学生以上▽『サイコーの通知表』講談社/著=工藤純子/小学校中学年▽『地球のことをおしえてあげる』鈴木出版/作・絵=ソフィー・ブラッコール、訳=横山和江/小学生以上▽『すてきなひとりぼっち』のら書店/作=なかがわちひろ/小学生以上▽『わたし、パリにいったの』のら書店/作=たかどのほうこ/小学校低学年▽『わたしのあのこあのこのわたし』PHP研究所/著=岩瀬成子/小学校高学年▽『消えたレッサーパンダを追え!警視庁「生きもの係」事件簿』学研プラス/文=たけたにちほみ、絵=西脇せいご/小学校中学年・高学年▽『くじらの子』少年写真新聞社/写真と文=石川梵、写真=宮本麗/小学校中学年・高学年▽『登り続ける、ということ。山を登る学校を建てる災害とたたかう』学研プラス/著=野口健/小学校中学年・高学年▽『この世界からサイがいなくなってしまうアフリカでサイを守る人たち』学研プラス/文=味田村太郎/小学校高学年▽『自分のミライの見つけ方いつか働くきみに伝えたい「やりたいこと探し」より大切なこと』旬報社/著=児美川孝一郎/中学生、高校生

年末年始の店頭売上/トーハンは1・4%減、日販は6・2%減/コミック減少も書籍が堅調

年末年始(21年12月29日~22年1月3日)の書店店頭売上動向をトーハン、日本出版販売(日販)が発表した。これによると、トーハン調べが前年比1・4%%減、日販調べが同6・2%減となった。
トーハンの発表(1519店)によると、年末の売上は書籍1・3%減、雑誌5・4%減、コミック16・4%減、MM(マルチメディア)6・1%増、総合4・6%減。年始は書籍4・7%増、雑誌1・6%減、コミック1・6%増、MM5・7%増、総合3・1%増。期間計は書籍1・3%増、雑誌4・1%減、コミック8・5%減、MM5・9%増、総合1・4%減だった。
書籍は、12月24日公開の映画のノベライズ作品『劇場版呪術廻戦0ノベライズ』(集英社)や、養老孟司著『ヒトの壁』(新潮社)など話題作が売上上位となった。ジャンルでは「児童」が16・2%増と好調だった。雑誌は、定期雑誌が8・9%減、ムックが7・0%増。ムックは、高単価のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」関連銘柄が売上を牽引した。コミックは、『呪術廻戦』(集英社)が既刊を含めて良好な売行き。
日販の発表(1607店)では、年末の売上は書籍2・9%減、雑誌6・9%減、コミック22・1%減、開発品1・5%減、合計9・2%減。年始は書籍1・4%増、雑誌4・8%減、コミック6・6%減、開発品1・8%減、合計2・1%減。期間計は書籍1・0%減、雑誌6・2%減、コミック15・5%減、開発品1・6%減、合計6・2%減となった。
書籍は、実用、学参、児童書の3ジャンルが前年超え。実用書では『星ひとみの天星術』シリーズ(幻冬舎)、児童書では『898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑上・下』(小学館)が売上を牽引。また、21年年間ベストセラーで総合1位を獲得した『人は話し方が9割』(すばる舎)が期間内の書籍売上第1位となり、好調を持続している。雑誌は、月刊誌が前年割れとなる中、週刊誌は1・7%増、ムックは3・5%増と前年を上回った。コミックは前年の好調から一転して大きく落ち込んだ。映画「劇場版呪術廻戦0」の公開を受け、「呪術廻戦18」(集英社)が期間内のコミック売上第1位となった。

NHK出版、春の企画説明会をオンラインで開催/テキストや書籍の注目企画を紹介

NHK出版(土井成紀社長)は「2022年NHK出版春の企画説明会」をオンラインで開催することを決め、全国の書店に配信動画の視聴を呼びかけている。
新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、昨年春と秋に行った企画説明会に続いて今回の企画説明会もオンラインで開催する。配信は、2月9日(水)午後2時半から(40分予定)。土井社長あいさつの後、新年度のテキストや注目の書籍を紹介する。企画説明会終了後、オンラインで質疑応答の場を設ける。また、同日午後4時より3月31日(木)までアーカイブでも視聴することができる。
視聴方法は、パソコン、タブレット、スマートフォンで初期登録フォーム(https://shoten.nhk-book.co.jp/entry/)にアクセスし、必要事項を入力すると、その後、登録したメールアドレスに視聴するための案内が送られる。日書連HPにも初期登録フォームのリンクを設けている。
同社では「経営者だけでなく現場の担当者の方々にも販売強化の参考にしていただきたい」と、広く書店関係者に視聴を呼びかけている。
問い合わせは同社セールス・プロモーション部(担当=俵氏、今村氏)まで。℡03(3780)3543電子メール・俵氏