全国書店新聞
             

平成30年8月1日号

書店経営健全化の推進を要望/各組合が現況を報告/北信越ブロック会

日書連北信越ブロック会(西村俊男ブロック会長、新潟県書店商業組合理事長)が6月21日、東京・千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで行われた。北信越ブロック会は従来、各県組合が持ち回りで主幹となり、年1回該当県で開催。会議の後には、組合店の臨店診断・商店街視察・郊外SCの視察・史跡学習を行ってきた。今年度からは会議を東京で行うこととし、各県組合から現況報告が行われた。主な報告は次の通り。
福井=大雪の影響で商品の入荷がなく、さらに返品も滞った。県組合として、返品期限切れ商品の対処・仕入れ代金の支払い猶予を各取次に要請した。
富山=今秋の読書週間書店くじから、販売報奨金が廃止されるため、予算の見直しを行った。
新潟=組合員の減少に歯止めがきかない。日曜配送を月曜配送に変更を要望しているがなかなかうまくいかない。賦課金を年商別から、一律1万1400円とした。これにより収入が大幅な減少となるため、赤字決算とならないように、永年勤続表彰及び事務所費をゼロにするなど支出の大幅な見直しを行った。
日書連への要望としては、書店経営健全化の推進を求める議決を行った。
(西村俊男ブロック会長)

「書店大商談会」は来年2月6日開催/児童書分科会を10月1日に

第9回「書店大商談会」(同実行委員会主催)は平成31年2月6日(水)11時~17時半、東京・文京区の東京ドーム「プリズムホール」で開催。同「児童書分科会」は今年10月1日(月)10時半~16時半予定で東京・千代田区の一橋大学一橋講堂中会議室で開かれる。
「書店大商談会」の出展社説明会は10月12日(金)に東京・新宿区の新宿区立区民ホール四谷で行う。

軽減税率の適用求め竹本議員に陳情/大阪組合

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は、平成31年度税制改正に関する議論が自民党税制調査会で最終段階に入ったことを受け、7月7日に大阪第15区選出の竹本直一衆議院議員(自民党税調幹事)を富田林市の本部事務所に訪ねて書籍・雑誌の軽減税率適用について陳情した。
面屋理事長は、日本書籍出版協会・日本雑誌協会・日本出版取次協会・日書連の連名による「平成31年度税制改正に関する要望」を手渡して内容を説明。また、6月に行われた活字文化議員連盟と子どもの未来を考える議員連盟の合同総会で、書籍・雑誌に軽減税率適用を求める活動方針を採択したことや、活字文化議連の細田博之会長の発言を説明した。
竹本議員は、細田会長や子どもの未来を考える議連の河村建夫会長とは懇意にしているとし、本を読むことの重要性を指摘するとともに、「自主管理団体による出版物の区分管理も承知しているが、表現の自由の問題もあり区分けは難しいだろう」と見解を述べた。
(石尾義彦事務局長)

書店粗利30%以上獲得が最大の課題/第70回書店東北ブロック大会で藤原会長

第70回書店東北ブロック大会が7月5日、宮城県書店商業組合の設営により仙台市秋保温泉の「佐勘」で開催され、東北6県の書店や出版社、取次など181名が出席した。書店東北ブロック会の藤原直会長は、書店の粗利益30%以上獲得が最大の課題だと指摘。日書連の舩坂良雄会長は、業界3者による実務者会議で、粗利益30%以上実現に向けた方策の検討を進めていると現状報告した。会員書店のみが参加して開催した第1部では、冒頭で藤原直会長(宮城県書店商業組合理事長)があいさつ。藤原会長は、1949年に始まった東北ブロック大会が今回で70回目を迎えたことに言及して謝意を表明。また、書店新風会(大垣守弘会長)が進める「本の日」の取り組みに対し協力を呼びかけた。さらに書店業界の重要課題として、来年の消費税率引上げ時における出版物への軽減税率適用と、書店経営健全化の問題を掲げ、「どうしたら書店の粗利益を30%以上に引き上げることができるかが最大の課題だ。皆様のお力添えをいただき、この会から発言が出てくることを期待する」と述べた。
続いて日書連の舩坂会長が日書連活動について報告。舩坂会長は、「全国小売書店経営実態調査報告書」の分析をもとに、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、大手出版社・取次を訪問して「安定した経営のためには書店の粗利益30%以上を実現することが必要」と訴え、課題の整理と実現の方策を研究するため、業界3者による「書店環境改善実務者会議」を設置したと説明。第1回会合を6月15日に開催しており、来年3月までに一定の結論を出したいと述べた。
出版物への軽減税率については、6月の日書連理事会で、自民党税制調査会メンバーの国会議員に各選挙区の地元書店組合から陳情活動を行うよう要請したことを説明。東北選出の議員への陳情についても協力を求めた。このほか万引対策の動きとして、「万引防止出版対策本部」の発足と、渋谷地区の書店間で万引に関する情報を共有して防止に取り組む「渋谷プロジェクト」の準備状況について紹介した。
この後、藤原会長を議長に審議を行い、全議案を承認。次年度大会の当番県を福島県に決定した。
全員が参加して行った第2部では、俳優の宇梶剛士氏による記念講演「転んだら、どう起きる?」が行われた。

読書週間書店くじ実施要綱

▽実施期間平成30年10月27日(土)より11月9日(金)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数130万枚。書店には1束(500枚)3571円(税別)で頒布
▽申込方法と申込期限注文ハガキに必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は8月20日(厳守)
▽配布と請求方法くじは取引取次経由で10月20日前後までに配布。代金は取引取次より請求
▽当せん発表12月5日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額1859万円
当せん確率は9・6本に1本
1等賞=図書カード
又は図書購入時充当1万円260本
2等賞=同1千円390本
3等賞=同5百円5200本
4等賞=図書購入時に充当百円13万本
▽賞品引換え1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当
▽引換え期間読者は12月5日より平成31年1月10日まで。書店で立替えたくじは平成31年1月31日までに「引換当せん券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスターは日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp)よりダウンロード(郵送はしません)。全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページで宣伝

再販維持へ弾力的運用推進/日書連など出版各団体代表があいさつ/種パン再販研究委

日本書籍出版協会(書協)、日本雑誌協会(雑協)、日本出版取次協会(取協)、日本書店商業組合連合会(日書連)の出版4団体で構成する出版再販研究委員会(相賀昌宏委員長=書協理事長)は6月21日、東京・千代田区のKKRホテル東京で懇親会を開き、各団体のトップがあいさつ。相賀委員長は、長期的な観点から再販制度を維持することの重要性を指摘し、弾力的運用に取り組んでいく姿勢を改めて示した。各あいさつの要旨は以下の通り。
【出版再販研究委員会・相賀昌宏委員長】
再販があることで安定した商品の維持ができる。大資本が値引きして客を取ると、長い目で見ると小書店が消えていくことになる。再販でこうしたことをすべて防ぐことはできない。しかし、小資本の最寄りの書店を大事にしていくという考え方で取り組みたい。
6月15日に書店環境改善実務者会議の第1回会合が日書連と出版社、取次で行われた。出席者の報告を聞き、システムの分かる若手もワーキンググループとしてメンバーに入れて議論したほうがいいのではないかと感じた。
長期的な観点から再販制度が崩れないよう柔軟に運用していきたい。
【雑協・鹿谷史明理事長】
この20年間、出版界は大変厳しく、特に雑誌は大幅に部数を落とした。これが原因で出版物流を見直さざるを得ない状況になり、現在、取協とプロジェクトチームを組んで議論している。出版の物流システムは他の業界に類を見ない進んだシステム。これをどうやって維持し、新しい価値を付け加えることができるか、今が正念場だ。
雑協は16年に次世代雑誌販売戦略会議を立ち上げ、これを核に様々な施策を展開。そのほとんどが読者向けサービスで、再販制度維持のための弾力運用に直結している。雑誌の拡販と再販維持のため、読者サービスに全力で取り組みたい。
【取協・藤井武彦会長】
01年に公取委から「再販制度は当面、存置」という見解が出て、取協も他団体と協力して弾力運用に取り組んできた。
再販制度と委託制度は車の両輪と言われるが、委託制度は状況変化に対応しきれない部分が出てきた。今の低下局面では返品増という副作用がある。委託制度の再定義と仕組みの見直しが必要。再販制度を守る観点から委託制度を時代に合った仕組みに変えていく努力が必要だ。
出版物流問題は先行き厳しい状況が想定される。業界3者が協力して新しい局面を切り開いていきたい。
【日書連・舩坂良雄会長】
書店環境改善実務者会議は出版業界皆さんの協力で第1回会合を開くことができた。相賀委員長からいただいた指摘については、今後検討したい。書店が毎日のように閉店している中、これから出版業界をどうしていくか、書店にこれなら経営を続けていけると思ってもらうためには何が必要かが議論の中心になる。来年3月をめどに何らかの結論を出したい。
今年4月、『出版物小売業景品類公正競争規約相談(Q&A)事例集』を刊行した。出版物小売業公正取引協議会に相談のあった約200の事例をまとめた冊子だ。ぜひ活用していただきたい。

「春夏秋冬本屋です」/「『絵本』がつないでくれた母子との出会い」/東京・山陽堂書店取締役・遠山秀子

福島県立美術館で開催されている「イラストレーター安西水丸」展(9月2日まで)に行ってきました。小学生位の男の子を連れたお母さんが、安西水丸さんの絵本『がたんごとんがたんごとん』の大きな絵の前で写真を撮っていたので、撮りましょうかと声をかけました。息子さんが、氏の絵本が大好きで観に来たとのこと。このお母さんは絵本でしか安西水丸さんのことを知らなかったので、700点以上の作品や仕事をご覧になり驚いた様子で「こんなにすごい方だと知らなくて」と話していました。
4年前に氏が他界された時、嵐山光三郎さんは「記憶が砂となって崩れ落ちる、友を失うことは自分の一部を失うこと」、村上春樹さんは「安西水丸さんはこの世界で、僕が心を許すことのできる数少ない人の一人だった」、和田誠さんは「相棒を失った寂しさは、筆舌に尽くし難いものなのだ」と追悼文に言葉を残しています。展示では、この三人の方との共著・作品なども紹介されていました。
安西水丸さんの絵本は、子どもだけではなくそれを読んだおとなの心にも残り、今回の様に美術館へと誘ってくれました。「絵本」の力を改めて気づかせてくれた母子との出会いでした。別れ際「安西水丸さんは、大きくなったら読める本もたくさん書いているから、いつか読んでみてね」と男の子に伝えてさよならをしました。

経営支援する施策を強化/研修会、講習会の開催など/福島総会

福島県書店商業組合は6月17日、郡山市の郡山商工会議所で第34回通常総会を開催。西猛理事長(西沢書店)は、組合加盟書店の経営を支援するため、研修会開催などの施策に取り組む方針を示した。
総会は小林正敏専務理事(福島西沢書店)の司会で進行し、大内一俊副理事長(おおうち書店)の開会宣言の後、西理事長があいさつ。昨年度の事業報告として、福島県生活環境部とタイアップして組合加入書店に「温暖化対策普及啓発しおり」を配付したこと、岩手組合の設営で開催された書店東北ブロック大会に5名が参加したこと、恒例の「絵本ワールドin福島」は2日間で130万円の売上があったこと、第3回「私のおすすめ本メッセージカードコンテスト」には3000通を超える応募があり好評だったこと、創価学会・池田大作名誉会長に感謝状を贈呈したことなどを報告し、「内容の濃い1年だった」と総括。一方、組合員数が64名から57店に7店減少したことに触れ、「売上の減少が続く中、コストが増加。経営環境は厳しさを増し、経営者の高齢化と後継者難で廃業する書店が多い。取次と出版社の決算も厳しい。今年度は組合加盟書店の経営を支援するための講習会や研修会を開催したい」と述べた。
鈴木雅文氏(白河昭和堂)を議長に議事を行い、事業報告、決算、事業計画、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。このほか、雑誌および書籍の送品の際の商品の傷みが目立つことや図書館問題、コンビニの早売り問題について意見が交わされた。
また、来年は書店東北ブロック大会の担当県であるため、早急に組織体制を整える方針を確認した。
(大内一俊広報委員)

塩川理事長「リアル書店の強み活かす」/舩坂会長が「書店の未来」語る/長野総会

長野県書店商業組合は6月12日、松本市浅間温泉「和泉荘」で第34期通常総会を開き、組合員66名(委任状含む)が出席した。
総会は柳澤副理事長の司会で進行。開会のあいさつで塩川明人理事長は、厳しさを増す書店を取り巻く環境について「日本経済は製造業を中心に好調を維持しているが、出版業界は求人難や人件費の高騰、運送料金の値上げなどが経営を圧迫し、不況が続いている。われわれ書店業界は生き残りを賭けた経営を強いられている」と指摘。「書店組合は書店間で連携と情報共有を図りながら、リアル書店ならではの強みを活かしていかなければならない。組合員には一層の協力をお願いする」と述べた。
続いて奈良井副理事長を議長に議案審議を行い、第33期事業報告、収支決算書、第34期事業計画、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
第2部では、長野県中小企業団体中央会・荒川主事をはじめ14名の来賓があいさつし、日書連・舩坂良雄会長が「日書連の現状と書店の未来」をテーマに講演。戦争体験の出版、三島由紀夫との思い出など興味深い話を交えながら、書店の未来のあるべき姿について語った。
(藤島等広報委員)

木野村理事長を再選/入札問題など取り組み続ける/岐阜総会

岐阜県書店商業組合は6月14日、岐阜市の岐阜キャッスルインで平成29年度通常総会を開き、組合員44名(委任状含む)が出席した。
篠田元弘副理事長の開会あいさつに続き、木野村匡理事長があいさつ。組合員減少に触れ、「コミックスの売上が今までに例を見ない落ち込みとなり、中小書店の経営を直撃した。組合活動としては図書館入札問題への取り組みなどで効果が出てきており、継続していきたい」と述べた。8月22日開催の第2回「日本ど真ん中書店会議」については、「当日は日本ど真ん中書店大賞を実施する。反応の良かった図書館を回る時は、投票用紙を司書に配ってほしい」と求めた。
続いて議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認。役員改選では木野村理事長を再選した。
総会終了後、出版社など20名が参加して懇親会を行った。(寺田澄男広報委員)

高校生POPコンテストを県教委と共催/「文学検定」などの活動報告/新潟総会

新潟県書店商業組合は6月27日、新潟市中央区の新潟駅前カルチャーセンターで第34回通常総会を開き、組合員42名(委任状含む)が出席した。
はじめに西村俊男理事長があいさつ。組合員が5名減少したこと、雑誌発売日について継続して要望していることなどを説明した。
議案審議では、平成29年度事業報告、収支決算、平成30年度事業計画、収支予算、定款変更(理事定数の減数)などすべての議案を原案通り承認した。
事業計画では、本年度も「にいがた文学検定」を実施し、「絵本ワールド」を開催する。また、新規に県教育委員会主催「高校生POPコンテスト~おすすめ本のPOPをつくろう~」を共催し、各書店でポスター掲示、チラシ配布を行うことを決めた。
総会終了後、市内の割烹で取次、地元出版社、運送会社を交えて懇親会を行った。(酒井久和広報委員)

小学館「週刊ポスト」「女性セブン」定期配達分に販売協力金/東京組合加盟書店で実証実験/東京組合青年部

東京都書店商業組合青年部は6月15日、東京・千代田区の書店会館で第28回総会を開き、会員67名(委任状含む)が出席。小学館の「週刊ポスト」「女性セブン」2誌の定期配達分について、東京組合加盟書店に対して販売協力金を支払う実証実験を8月から1年間行うと報告した。
総会は井之上健浩氏(久美堂)の司会で進行。田中紀光会長(明昭館書店)があいさつしたあと、小宮仁氏(こみや書店)を議長に議案審議を行い、平成29年度活動報告、決算報告、平成30年度活動計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認した。
委員会報告で、書店再生委員会・平井久朗委員長(ビーブックス)は「街の書店の定期取り置きと配達の効果を業界に訴え、書店マージンを増やすための行動を開始した」と述べ、小学館との話し合いの中で「週刊ポスト」「女性セブン」2誌の定期配達分に限り、東京組合加盟書店に販売協力金を支払う実証実験を行うことで合意したと報告。「小学館は、定期の配達に関しては客の顔が見えるものなので、街の書店を守るために協力したいと提案してくれた。店頭でいくら売れるかではなく、紐付きの客を抱えている労に対して販売協力金を出すもの」と趣旨を説明し、「今後も業界の皆さんと話し合い、書店に果実を生む様々な仕組みを構築していく」と意気込みを語った。
親会の東京組合・舩坂良雄理事長は「外商雑誌の買切による報奨金で収益改善を目指す取り組みは日書連でも提案したが、現在保留となっている。今回の青年部の実証実験が良いモデルケースになることを期待している」とあいさつした。
総会終了後に行われた懇親会であいさつした田中会長は、「現在、街の書店は雑誌の配達を中心とした外商が仕事の大きな部分を占めている。店頭の実売で得られる報奨金も重要だが、配達に対する販売協力金を希望する書店が増えている」と述べ、小学館が街の本屋の配達に対する努力、街の本屋が持つ週刊誌定期数を高く評価したことに謝意を表明。「街の本屋の復活なしに業界の復活はない」と訴え、小学館2誌の販売に協力を呼びかけた。

受賞13書店を決定/「辞書を読む」飾り付けコンクール

出版文化産業振興財団(JPIC)は7月5日、第6回「辞書を読む」ブックフェアの飾り付けコンクールの受賞店を決定した。128店の応募の中から13店を選んだ。受賞店舗は以下の通り。
▽金賞=BOOKSアルファ能代SC店(秋田)▽銀賞=宮脇書店神戸北店(兵庫)▽銅賞=※今井書店AREA(島根)、今井書店吉成サウンドスタジアム(鳥取)、大垣書店ブックパル桂南店(京都)、オリオン書房ルミネ立川店(東京)、ニシザワBOOKS&CAFEいなっせ店(長野)、博文堂書店那須塩原店(栃木)、※ブックスノア(青森)、※文信堂書店長岡店(新潟)、水嶋書房ニトリモール枚方店(大阪)、宮脇書店稲毛長沼原店(千葉)、明文堂書店新庄経堂店(富山)
※印の店舗はJPIC賞(アイディア賞)

軽減税率「背水の陣で臨む」/JPIC評議員会で肥田理事長

出版文化産業振興財団(JPIC)は6月25日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第68回定時評議員会を開催。肥田美代子理事長は軽減税率問題に背水の陣で臨むよう訴えた。
冒頭、肥田理事長は「16年の税制改正では、週2回以上発行、定期購読の新聞が軽減税率の対象とされたが、書籍・雑誌は『日常生活における意義』と『有害図書排除の仕組みの構築』が必要と明示された。現時点では①書籍・雑誌は文化振興を目的とした文字・活字文化の基層を成す文化的意義であること、②民間の自主的な管理団体による有害図書区分システムを確立し、軽減税率が適用される書籍・雑誌を特定すること――等の方針がまとまった」と報告。「今後、活字文化議員連盟と子どもの未来を考える議員連盟の後押しを得て、与党税調に説明する作業を秋までにやらなければならない。これからが正念場。国会議員の中には軽減税率に反対の人も少なくない。この数ヵ月が最後のチャンス。背水の陣で臨まなければ後がない」と決意を語った。
評議員会では平成29年度事業報告・決算案、平成30年度事業進捗状況、任期満了に伴う理事・監事の選任など全議案を承認した。
平成30年度事業進捗状況では、第26回JPIC読書アドバイザー養成講座の開講、第9回書店大商談会・児童分科会の開催、平成30年度「子どもゆめ基金」の助成額が1744万円に内定したことを報告。また、10~20代学生への読書支援活動「JPICYOUTH」は、様々な分野の専門家を招いて年度内6回開催する予定と報告した。
理事・監事の選任では、近藤敏貴(トーハン)、中部嘉人(文藝春秋)、服部達也(大阪屋栗田)の3氏が理事、平井茂氏(日本図書普及)が監事に新任。藤井武彦(トーハン)、松井清人(文藝春秋)、大竹深夫(講談社)の3理事は退任した。

専務理事に渡辺政信氏/JPO総会

日本出版インフラセンター(JPO)は6月13日、東京・新宿区の日本出版会館で平成30年度定時総会を開き、会員39名(委任状含む)が出席。相賀昌宏代表理事(小学館)を再選したほか、大久保徹也専務理事が辞任し、後任に渡辺政信氏(新潮社)を選任した。
相賀代表理事は「JPO出版情報登録センターは第2フェーズという新たな段階に入ることができた。使うことでますます内容が充実する。是非ビジネスに活用してほしい」とあいさつした。
来賓を代表してあいさつした文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長は、JPOと国立国会図書館が継続して取り組んでいる全国書誌情報の改革を説明し、「全国書誌情報は信頼性があり精度が高く網羅性もあるが、スピード感がない。それでここ数年、JPOが使い心地の良いものにしようと頑張り、7月から開始する。地味なことだが、図書館、出版界、書店などに大きな恵みを与える」と述べた。
このあと議案審議を行い、平成29年度活動報告、決算、平成30年度活動計画、予算、役員改選など全議案を原案通り承認した。
総会終了後に理事会を開き、相賀代表理事を再任、渡辺専務理事を新任した。

5月期販売額8・7%減/週刊誌は好調銘柄多く、減少が小幅に/出版科研調べ

出版科学研究所調べの5月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比8・7%減だった。
部門別では、書籍が同8・8%減、雑誌が同8・5%減。書籍は前年同月がプラス成長だったことと返品率の上昇からマイナス幅が大きくなった。雑誌が2桁減を免れたのは、1月期以来4ヵ月ぶり。雑誌の内訳は、月刊誌が同9・6%減、週刊誌が同4・7%減。週刊誌は『週刊少年サンデー』(小学館)や『週刊新潮』(新潮社)のほか、女性週刊誌などで好調な雑誌が多く、比較的小幅の減少にとどまった。
返品率は書籍が同2・5ポイント増の43・7%、雑誌が同0・3ポイント減の48・6%。雑誌の返品率が改善したのは16年12月期以来で、ムックなど不定期誌の大幅改善が寄与した。
書店店頭の売上げは、書籍が同約4%減。学参・辞典は前年同月に「うんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)がブレイクしていた反動で約20%減となった。ビジネス書は『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)などが健闘し約4%増。雑誌は、定期誌が約5%減、ムックが約8%減、コミックスが約13%減。コミックスは、前年同月にあった『ONEPIECE』(集英社)の新刊発売が当月はなかったため厳しい結果となった。
1~5月期の累計販売実績は書籍が同3・9%減、雑誌が同13・5%減、合計で同8・2%減。雑誌ほどではないが、前年比で書籍も減少傾向となっている。

雑誌返品現地処理問題などを協議/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は6月12日、札幌市中央区のJRタワーホテル日航札幌で定例理事会を開催した。
理事会では、志賀理事長から5月17日に開催された日書連理事会について報告した後、道組合の活動を審議。雑誌返品現地処理問題では、表紙返品の実現に向けて協議し、後日北海道中小企業団体中央会を訪問したいとの報告があった。また、理事会後に開催する第42回通常総会の進行等について打ち合わせを行った。
(事務局・髙橋牧子)

帯コンなど読書推進活動の成果を報告/大阪読書推進会総会

大阪読書推進会は6月20日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社で総会を開催、出版社、取次、書店、朝日新聞大阪本社の合わせて17名が出席した。
総会は大阪組合・深田健治副理事長が司会を行い、大阪読書推進会・戸和繁晴実行委員長(大阪組合副理事長)が「一昨日は、大阪では観測史上初の震度6弱という地震が起き、北摂・三島地区を中心に棚から本が散乱したり、棚が倒れたり、スプリンクラーの誤作動で本が濡れたとの連絡があり、欠席された委員がいる」と開会あいさつの中で大阪北部地震の被害状況について触れた。
続いて大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長・武蔵野大教授)が「今年の本の帯創作コンクール(帯コン)表彰式は大阪府立中央図書館ライティホールで開催されるが、同時刻に図書館内の別の会場で『不思議の描き方あまんきみこと富安陽子展』を児童文学財団と図書館の共催で開催する。あまんさんは国語の教科書に一番載っている作家さんで、富安さんは売上が一番ある作家さんだと思う。帯コンの作品展とこの展示会を一緒に見ていただきたい」とし、「今年は大正7年に創刊された『赤い鳥』の創刊100周年。様々な催し物が全国で実施されるが、今年も帯コンをよろしくお願いする」とあいさつした。
朝日新聞大阪本社・桑山朗人編集局長補佐からは「新聞業界も厳しく、積極的に打って出ることが出来にくい状況下で、智慧の上手な使いどころを工夫しながら読書推進を進めたい」とあいさつがあった。
出席者の自己紹介の後、事業報告・事業計画・会計報告・収支予算案を審議し、承認された。
最後に、大阪出版協会理事の落合直也BL出版社長は、「子どもたちの帯の作品を見ていると、出版社の編集者よりもいい帯を描いている。子どものあいさつには胸を打つものがあり、この活動をもっと続けていけるように朝日新聞社と協力をしていきたい」と閉会の辞を述べた。
(石尾義彦事務局長)

日書連のうごき

6月1日JPIC理事会に舩坂会長、藤原、西村両副会長が出席。
6月6日故・濱田博信氏お別れ会に舩坂会長ほか日書連幹部が出席。図書館サポート部会に髙島部会長が出席。
6月11日出版クラブ理事会に舩坂会長が出席。活字文化議連・子どもの未来を考える議連合同総会に舩坂会長、本間副会長が出席。公取協連合会総会に柴﨑副会長が出席。
6月12日長野県組合総会に舩坂会長が出席。太宰治賞贈呈式に事務局が出席。
6月13日JPO定時総会に事務局が出席。
6月14日万防機構出版対策本部に事務局が出席。
6月15日万防渋谷プロジェクト運営委員会に事務局が出席。書店環境改善実務者会議に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長、春井理事、東京都組合・矢幡常務理事が出席。東京都組合青年部総会に事務局が出席。
6月19日読書推進運動協議会総会に舩坂会長、西村副会長が出席。
6月20日常設委員会を開催。
6月21日定例理事会を開催。第30回通常総会を開催。図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。出版再販研究委員会に舩坂会長、藤原、面屋、柴﨑、西村、本間各副会長、小野、安永両理事が出席。
6月22日書店大商談会実行委員会に舩坂会長が出席。
6月25日定期会計監査。
6月26日読書推進運動協議会「敬老の日」書目選定委員会に事務局が出席。
6月27日雑誌発売日本部委員会に藤原副会長、塩川、長﨑両理事が出席。
6月29日全国中小企業団体中央会理事会・総会に事務局が出席。日本図書普及株主総会に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋、西村各副会長が出席。

河出書房新社『サピエンス全史』正続編を増売/東京組合

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は7月3日、東京・千代田区の書店会館会議室で定例理事会を開催した。
事業・増売委員会では、河出書房新社『サピエンス全史(上・下)』と、その続編にあたる『ホモ・デウス(上・下)』(9月7日発売予定、ともにユヴァル・ノア・ハラリ著)の増売企画について説明し、取り組むことを決定した。休業店等を除く全組合加盟店に各3冊を配本して実施するもので、『サピエンス全史』は7月下旬に書店に配本、『ホモ・デウス』は発売時に配本して増売に取り組み、店頭販売の相乗効果を図る。
また、東京組合青年部が進めている二見書房の増売企画に東京組合も取り組むことを決めた。対象は二見時代小説文庫『剣客大名柳生俊平』(麻倉一矢著、最新刊10巻が8月発売予定)の1~10巻。申込み制で、取り組み期間は8月15日~12月末日、出荷条件は4ヵ月延勘。

大好きな本絵画コンテスト/園児から力作集まる/神奈川県読書推進会

神奈川県書店商業組合や神奈川新聞社などで構成する神奈川県読書推進会は、6月17日、横浜市中区の全国共済ビルで、「第12回大好きな本絵画コンテスト」の表彰式を開催した。
主催者を代表して神奈川組合の筒井正博常務理事があいさつを行った後、審査委員の神奈川県教育委員会社会教育主事・鈴木智久氏が講評。「県内の幼稚園・保育園に通う園児から1879点の力作が寄せられ、受賞者を選出するのに苦労した。子どもは読書することで想像力が生まれ、それを絵に表すことで、感受性が豊かな子に成長していく」と述べた。
その後表彰式に移り、横浜の幼稚園に通う徳岡碧さんに、神奈川県読書推進会賞の賞状と副賞が筒井常務理事から手渡された。続いて、神奈川県書店商業組合賞・神奈川新聞社賞・全国共済賞・サクラクレパス賞など、後援・協賛団体の表彰が行われた。
当日は梅雨の曇り空だったが会場は熱気に満ち、表彰される都度、園児のパパやママだけでなく、同席したおじいちゃん・おばあちゃんの大きな歓声や拍手で包まれた。中には表彰がどうしても恥ずかしく、ママの後ろに隠れてそっと賞状をもらう園児もいて、場内は常に笑顔に溢れていた。園児たちの悦びに、余りの興奮からか泣き出す赤ちゃんもいて、和やかな雰囲気で表彰式は終了した。受賞作は、特別協賛する全国共済の「馬車道プラザ」で、6月23日までの1週間展示された。
コンテストは今年で12回目を迎えて年々活気を増しており、終了後には関係者から、「受賞作を選定するのに嬉しい悲鳴を来年もあげられるのが待ち遠しい」との感想が上っていた。
(山本雅之広報委員)

万引防止街頭キャンペーン/福岡組合・県警が協力しチラシ配布

福岡県書店商業組合は7月16日、福岡市中央区天神地区で「万引防止街頭キャンペーン」を実施した。福岡県警察本部の後援のもと、今回で15年連続の開催となる。
出発式で福岡組合の安永寛理事長(金修堂書店)は、「今日も猛暑の中、夏休みに入る前のこの時期に組合員の皆様に集まってもらった。また、県警の皆様には毎年ご協力いただき、我々も大変心強く思っている。このような活動を今後も続けていきたいと考えており、皆様も万引防止のために活躍していただきたい」とあいさつ。次に、福岡県警察本部安全安心まちづくり推進室の大庭課長補佐が、「このキャンペーンを通じて万引の被害が1件でも減るように皆様と協力していきたい。限られた時間ではあるが、1人でも多くの方に万引防止の必要性を訴えていきたい」と述べた。
当日は、書店組合から13名、後援の県警本部から3名、福岡県中央警察署から4名の総勢20名が参加し、天神地区の繁華街2ヵ所で「万引きは犯罪です/万引きゼロを目指します」と書かれたチラシとボールペン2000セットを配布して、街行く人々に万引の根絶を訴えた。
福岡組合は、青少年の健全な育成はもとより、書店経営の根幹にかかわる問題として、今後も万引防止に積極的に携わっていく方針。(加来晋也広報委員)

「西郷検定」実施で店頭活性化図る/鹿児島組合

鹿児島県書店商業組合(楠田哲久理事長)は、店頭活性化を目的に「かごんま西郷検定」を実施した。
同検定は、今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」に因んで行ったもので、西郷隆盛に関する問題を12問出題し3択で答えてもらい、組合加盟書店80店の店頭に設置した投票箱に入れる方法で実施した。
後日、各店舗で、正解者の中から抽選で図書カードをプレゼント。また、応募者や西郷どん関連本を購入したお客様に組合特製のクリアファイルをプレゼントした。
12問の中には、一般の人は知らないような難問もあり、お客様は色々と調べて投票していた様子だった。
組合員からは、お客様には好評で店頭の活性化につながったのではないかとの意見が多く寄せられた。
(和田豊広報委員)

プレミアムセール「販売貢献賞」受ける/兵庫トーハン会第50回記念総会

兵庫トーハン会は6月14日、神戸市北区の有馬グランドホテルで記念すべき第50回総会を開催。書店14社18名、出版社40社45名、関係会社4社4名、来賓3社3名が出席した。
第1部総会は大橋洋子副会長(流泉書房)の司会で進行し、はじめに中島良太会長(三和書房)があいさつ。議案審議では山根金造氏(巌正堂書店)を議長に選出し、平成29年度事業報告、会計報告、平成30年度事業計画案などすべての議案を承認。続いてトーハン・小野晴輝常務が祝辞を述べた。このあと、全国トーハン会プレミアムセールでの功績をたたえ、小野常務から中島会長に「販売貢献賞」が贈呈された。
第2部講演会は森忠延副会長(井戸書店)の司会で進行。第5代会長の安井克典氏(安井書店)が同会50年の歴史を回想した。続いて『国家の品格』の著者であるお茶の水女子大学・藤原正彦名誉教授が「読書の重要性と出版業界への提言」と題して講演。様々な角度から出版界へのエールと激励の言葉を語った。
第3部懇親会は藤井剛青年部部長(新文堂)が司会を務め、トーハン・近藤敏貴副社長が祝辞、京阪神エルマガジン社・荒金毅社長の発声で乾杯した。会の途中、阪神淡路大震災以降の歴代トーハン神戸支店長のビデオメッセージが上映され、往時を懐かしんだ。(安井唯善広報委員)

図書カード発行高9・2%減/相賀社長「ビジネスモデル見直しも」/日本図書普及決算

日本図書普及は6月29日開催の定時株主総会に先立ち、6月18日に東京・新宿区の本社で記者会見を行い、第58期(平成29年4月1日~平成30年3月31日)の決算概況を発表。相賀社長は、国債の受取利息の減少で資金運用が先行き厳しさを増すとの見通しを語り、長期的なリスクに対応するため他のカードとの提携・統合も視野に入れた「ビジネスモデルの抜本的な見直し」を研究していく考えを示した。
図書カードの発行高は前年比9・2%減の419億1400万円となった。内訳は、一般カードが前年比8・1%減の405億9600万円、オリジナルカードが同33・3%減の13億1800万円。
回収高は同6・6%減の426億6800万円。内訳は、一般カードが同6・3%減の404億5400万円、オリジナルカードが同9・9%減の17億7900万円、図書券が同14・7%減の4億3600万円。種類別の占有率では、図書カードNEXTは309億6400万円で72・6%、磁気の図書カードは112億6900万円で26・4%、図書券は4億3600万円で1・0%だった。
加盟店は前期末対比290店減の6100店。読取機設置店も同277店減の8803店舗となったが、設置台数は大手書店の利用拡大もあり56店増の1万2020台となった。
損益については、カードロイヤリティの減額により売上高は減少して1億434万円。販売費及び一般管理費は昨年度の図書カードNEXTへの切り替え費用や広告費用、旧カードと付属品の交換・廃棄費用が剥落したことなどで約10億円減少。営業損失は26億6100万円となった。
償還国債の買い替え中止による受取利息の減少や有価証券売却益の減少などで営業外損益は5000万円減少し、経常損失は9億8500万円となった。特別損益は未回収収益等が5000万円減少したが、経費が大幅に減少した結果、税引前当期純利益は4億1000万円、税引後当期純利益は2億6200万円の黒字となった。
役員人事では、森武文氏(講談社)と服部達也氏(大阪屋栗田)を取締役、黒柳光雄氏(日本図書普及)を監査役に選任すると発表した。故濱田博信取締役相談役と大竹深夫取締役は退任。
相賀社長は同社の厳しい資金運用環境を説明。「あと10年もすると国債からの収入がゼロに近づき、赤字になるという危機的な状況にある。現在、一見数字は良いが、長期的な視点に立つと非常に脆弱な会社」と危機感を示し、今後の資金運用について「分散投資を基本に、自社の土地建物の活用など様々な可能性を考えている」と述べた。
また、「業界がシュリンクしていく中、図書カードというビジネスモデルの抜本的な見直しもシミュレーションしている」と述べ、他のカード会社との業務提携や経営統合なども視野に入れて研究しておく必要があるとの考えを示した。

「地元から書店を元気に」/片桐会長を再選/東海日販会

東海日販会は6月12日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルで第62回通常総会を開催し、会員書店、出版社、日販関係者など約300名が出席。役員改選で片桐榮子会長(磨里書房)を再選した。
冒頭あいさつした片桐会長は「業界を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。書店の減少も加速の一途をたどっている。リアル書店はもう必要ないのではないかとさえ思ってしまう。しかし、コミュニティや文化のハブとして地域に愛される存在になれれば生き残っていける。消費税増税、人口減少など厳しい状況が続くが、書店の持つ力、本の持つ力を信じて、もがき続けたい」と述べた。
また、河村たかし名古屋市長が子供たちに名古屋の歴史を知ってもらいたいと『ナゴヤ歴史探検』(ぴあ)を中学校の副読本にしてから同書の売上が伸びていることに触れ、地元を出版で盛り上げる取り組みの重要性を訴えた。
役員改選では、片桐会長、水野賢一副会長(白沢書店)を再選し、三輪明邦副会長(泰文堂)を新任した。
来賓あいさつで日販の平林彰社長は、アメリカで独立系書店の店舗数が増加傾向にあることを紹介し、ハーバード・ビジネス・スクールのライアン・ラファエリ助教授が独立系書店復活のキーワードとしてあげた「コミュニティ(共同体)」「キュレーション(収集)」「コンベニング(開催)」を引き合いに、日販の施策を説明した。
第2部は「地元から書店を、書店から地元を活性化させる」をテーマに、河村市長、『ナゴヤ歴史探検』を刊行したぴあ中部支社出版プロデューサー・伊奈禎氏、『ずっと名古屋』など名古屋を題材にした著書を多数発表している小説家・吉川トリコ氏、老朽化した小さな水族館を企画力と工夫で再生し入館者数を大きく増やした蒲郡市竹島水族館館長・小林龍二氏が講演した。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

縄文時代は約1万5千年から2千3百年以前。
山田康弘著『縄文人の死生観』(角川ソフィア文庫720円)は、発掘の現場から読み解く、縄文人の生と死の姿だ。
縄文時代の埋葬形態の多くは単独・単葬であった。しかし1回のみでなく、同じ場所に複数回行われたり、同時に埋葬した合葬の例もある。また三内丸山遺跡などでは、上部構造を持たない土坑墓と周囲に環状の配石のある土坑墓が出土する。アクセサリーをつけて埋葬されたものと、そうでないものもあり、すでに集団内の社会的な地位が存在していたのである。
祖霊崇拝、自然に還るという再生、自らの系譜認識など、縄文人もまた複雑な死生観を持っていたと想像されている。
瀬川拓郎著『縄文の思想』(講談社現代新書840円)は、アイヌ研究者が日本列島の海民、アイヌ、南島の人々が、縄文の習俗や世界観、他界観をどれほど留めてきたのかを語っている。
紀元前10世紀後半、朝鮮半島から水稲耕作が伝わり、九州北部から弥生文化が成立し、広がったが、北海道と南島では弥生農耕文化を受容しなかった。縄文の漁を深化させた海民、アイヌの祖、渡来したオホーツク人などが縄文文化を継承していったというのである。