全国書店新聞
             

平成29年11月1日号

図書館は地元書店から納入を/日書連図書館サポート部会・髙島部会長が分科会で報告/図書館大会

日本図書館協会は10月12日、13日の両日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで第103回全国図書館大会東京大会を開催した。13日の「出版流通」分科会では公立図書館の図書購入について意見交換が行われ、日書連図書館サポート部会の髙島瑞雄部会長(郡山市・高島書房)が報告。地元書店が図書館に納入することは、より良い読書環境の育成に不可欠だと述べた。
12日は午前に日本図書館協会創立125周年記念式典を開催し、午後は全体会、13日はテーマ別に24の分科会を行った。創立125周年記念式典で、日本図書館協会の森茜理事長はこれまでの足跡を振り返り、「当協会は1892年、アメリカ、イギリスに続き世界で3番目に生まれた図書館人の連帯組織。これからも皆様とともに日本の図書館界の振興のため尽くしていきたい」とあいさつ。来賓の日本書籍出版協会(書協)の相賀昌宏理事長は、図書館協会と連携して図書館関連予算増額の要請や相互理解を深める活動を行っていることを紹介し、「街づくりや地域活性化の中で出版社と図書館が一緒に新たな読書環境を作っていくことになると思う」と述べた。
2日目に「出版流通」分科会が「書店と図書館の協同を求めて―『公立図書館における図書購入の実態』を中心に―」をテーマに開かれ、始めに文教大学文学部の大場博幸准教授が、2016年実施の『公立図書館における図書購入の実態』調査について基調報告した。同調査は全国の公立図書館に「自治体内書店からの購入の有無」「装備の有無」「割引の有無」「割引率」「書店組合経由の割合や金額」の5つを尋ねたもの。大場教授は、無償での装備を含めると約8割の図書館が何らかの割引を受けていること、割引率には1%未満から最大25%まで幅があること、自治体規模・蔵書規模が大きく東京及び近辺の図書館ほど高い割引率で購入していることなどを説明した。
髙島部会長は、同調査の結果を地元書店の視点から考察。装備費と割引率の関係については、誰が材料費や装備作業を負担するかなどでコストは変わってくるとして、「今回のアンケートに出てこなかったのは、公共図書館から発注があり、書店・協同組合が裸納入をして図書館に届け、図書館で装備する。その時の材料費と場所代は図書館が持つが、図書館が雇用した装備のための人件費は書店・協同組合が持つという場合だ」と述べた。
また、資料購入代金の平均単価が意外に盲点になっていて、ある図書館では地元書店と大手図書館専門業者とで納入単価に大きな差があり、大手業者はそこから充分に装備費を捻出できていたと指摘した。
最後に、地方自治体は地元書店を公共図書館、学校図書館に次ぐ第3の図書館として大いに活用してほしいと述べ、地元書店が図書館に納入することは、より良い読書環境を協同して育み、文化的香りのする地域を築き上げていくため必要不可欠な条件だと結んだ。
分科会ではこのほか白河市立図書館の田中伸哉館長とフリーライターで日本文藝家協会理事の永江朗氏が報告。永江氏は、「図書館は立地する地域の書店から定価で購入を」と訴えた。
〔「図書館で文庫貸し出しやめて」/文藝春秋・松井社長が訴え〕
「公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために」をテーマとした「出版と図書館」分科会が行われ、書協図書館委員会の持谷寿夫委員長(みすず書房取締役相談役)が図書館界と出版界の協働について基調報告した後、慶應義塾大学文学部の根本彰教授、文藝春秋の松井清人社長、岩波書店の岡本厚社長が報告を行った。
この中で松井社長は、文庫本の販売金額が2014年から3年続けて6%以上減少していると指摘。「版元にとって文庫本は収益の大きな柱。市場の低迷は作家にとっても深刻な事態になっている。できれば図書館で文庫本の貸し出しをやめていただきたい。文庫くらいは自分で買おうというマインドが作られていくことが大事だ」と述べた。

過去最多の120社が出展/183書店・302名が来場/九州選書市

「九州選書市2017」(主催=福岡県書店商業組合、共催=佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島各県書店商業組合)が9月20日に福岡市中央区の電気ビル共創館みらいホールで開催された。
今年で6回目となる選書市は過去最多の120社(231名)が出展し、九州・山口の各県から183書店(302名)が来場した。開催にあたっては、準備の段階から当日の会場運営に至るまでトーハン・日販・大阪屋栗田・日教販の各取次に多くの支援をもらい、天龍運輸・テジマの両運輸会社には「選書市案内状」「出展出版社紹介冊子」を九州・山口の全書店に配送してもらった。加えてトーハン会・日販会の全面的な協力を得て、選書市に合わせて20日に九州トーハン会、翌21日に九州日販会の総会の日程を組んでもらい、より多くの書店の来場が可能になった。
開会セレモニーで福岡県組合の安永寛理事長は「この選書市は九州各県の書店組合の応援もいただき、九州一丸となって『手作り』でやっている。九州中の書店がここに集結するので、出版社の皆様も今後とも参加し続けていただきたい。そこで大事なことはやはり売上げ。今日帰ったら書店からもらった名刺をもう一度電話でもいいのでフォローしてほしい。それで必ず売上げに繋がっていく。東京・大阪に負けず福岡も売上げを上げていきたい」とあいさつした。
今回の選書市は初の試みとして4階の本会場の他に3階に児童書・現地出版社を一堂に集め、来場者の利便性・回遊性を高めた。昨年も好評だった絵本専門士の尾場瀬淳美氏「やってみよう!読み聞かせ!」、POPインストラクターの片山茂氏「POPは楽しい(POP作成実習講座)」の2つのイベントも開催され、共に多くの参加者で賑わった。当日会場で集めたアンケートの意見を参考にしながら、より良い選書市を来年以降も開催していく。
(加来晋也広報委員)

発売前の本のゲラを閲覧・評価できる「ネットギャリー」のサービス開始/出版デジタル機構

出版デジタル機構は10月17日、ウェブを活用した紙の書籍の販売促進支援サービス「NetGalley(ネットギャリー)」の提供を正式に開始した。
書店員、図書館員、教育関係者、ブロガーなどの「プロフェッショナルな読者」に対して、発売前の書籍のゲラ(galley)や見本を電子データの形態で無料配布する。会員はネットギャリーを通じて出版社にゲラの閲覧をリクエストできる。出版社によってリクエストを承認された会員は、これから発売される書籍を読み、レビューや評価といったフィードバックを行うことによって、書籍の情報をネットを通じて広く社会に拡散する。
書店員は書籍を事前に読むことで、選書や仕入に役立てたり、レビューを書くなどして出版社との関係を深めることができるなど、様々なメリットがある。
これまではKADOKAWA、幻冬舎、講談社、光文社、集英社、小学館、ディスカヴァー・トゥエンティワンの7社でテストを実施してきたが、本格稼働によって新たに朝日新聞出版、イースト・プレス、秀和システム、主婦の友社、竹書房、トランスビュー、白泉社、PHP研究所、ブリッジ、マガジンハウスが加わり、17社から作品の提供を受ける。書店関係者を中心とした約700名のテスト会員を核に、今後も会員を募集していく。

「春夏秋冬本屋です」/「BOOKEXPOに出展します」/滋賀・ますや書店代表取締役社長・岩根秀樹

パソコン通信で知り合った書店とオフ会を重ねるなかで市販の書店外商管理システムに対する不満から「書店業務を知り尽くした書店自身が作ったソフトを書店さんに低価格で提供しよう」と話が進んで「本屋の村」が生まれて20年経つ。京都、姫路、東京と各地で説明会を開催。各地で書店さんの話を聞くうちに、お店によってさまざまな業務や使い方があることを知り、可能な限りソフトの機能に取り入れていった。
たとえば、配達はおじいさんと近くに住むお孫さんと別々だが請求はおじいさん、社内各所の個人宛てに配達するが請求は会社宛て、このように届け先は複数だが請求先はひとつといった機能も追加した。
単品管理もできるようにした。入荷データは取次とのデータ交換、売上はPOSと納品書発行、返品は返品入力、年に一度棚卸をすれば、ISBNや雑誌コードを打てばいつ売れて何冊在庫あるかも瞬時でわかる。「街の本屋の在庫情報」としてホームページでわかる仕組みも作ったが参加書店が少なくて現在は休止中。来年1月に新バージョン「らくほんz」をリリースする。機能を増やしても操作のしやすさは維持したい。
直近ですが、本屋の村は11月7日の「BOOKEXPO2017」に出展します。交代でメンバーが詰めますので是非お立ち寄りください。

粗利益30%獲得へ具体策が必要/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(井上俊夫理事長)は9月15日、横浜市中区のかながわ労働プラザで定例理事会を開催した。
冒頭、8月25日に開かれた県組合総会・懇親会の報告が行われた。日書連報告では、9月定例理事会で討議された粗利益30%獲得の件について「目標達成に向けて具体策が必要」との指摘があった。また、万引問題で出版業界6団体1企業で「万引防止出版対策本部」を立ち上げたこと、日書連オリジナル手帳「ポケッター」の斡旋が2018年版を最後に中止となることなどが報告された。
日本雑誌協会が「年間定期購読キャンペーン」に代わって打ち出した「月刊誌“とって置き”キャンペーン」については、実施期間が10月1日~11月30日と日程が差し迫っていることや、外商と配達分は対象とならないことから、組合員に十分な企画説明ができないとして、県組合としては協力しないことを決めた。
議事では、年6回の理事・監事会、新年懇親会、総会の日程を決定した。
また、出版物や書店業界に理解の深い公明党関係者からの依頼で懇談の場を設けることとした。業界の問題点について忌憚のない意見交換を行う。今後、特定の政党に限らず、様々な政党と意見交換の場を持つ。
(山本雅之広報委員)

全国の組合加入書店10月1日現在、合計3395店、半年間で109店減少

今年10月1日現在で日書連の会員(46都道府県書店商業組合)に所属する組合員数の合計は、今年4月1日対比で109店(3・1%)減少して3395店となり、3400店を割り込んだことが組織委員会(中山寿賀雄委員長)の調査で明らかになった。
この半年間の新規加入は14店で、これに対して脱退数は123店。加入数が脱退数を上回った組合は佐賀、群馬の2組合。増減なしが岩手、三重、富山、島根、鳥取、高知、熊本、鹿児島、沖縄の9組合。残る35組合は組合員が減少した。
各組合ごとに加入の内訳をみると、新規加入があったのは大阪、佐賀が各4店、群馬が各2店、千葉、静岡、兵庫、鹿児島が各1店、残る39組合は新規加入ゼロだった。
一方、脱退が最も多かったのは千葉16店。以下、東京10店、埼玉、大阪、広島各8店、北海道、兵庫各6店、福岡、宮崎各5店の順に脱退が多かった。
加入と脱退を合わせた増減率をみると、組合員が増加した2組合の増加率は、佐賀が8・1%増、群馬が5・3%増だった。
一方、組合員が減少した35組合を減少率の大きい順にみると①宮崎(14・3%減)、②千葉(13・6%減)、③広島(11・4%減)、④福井(7・7%減)、⑤青森(7・4%減)だった。

売上高伸長率マイナス2・78%/トーハン『書店経営の実態』

トーハンは、全国107企業504店舗の経営資料を集計分析した平成29年度版『書店経営の実態』を発行した。これによると、平均売上高伸長率はマイナス2・78%(前年マイナス3・36%)で、22年連続のマイナス成長となった。
『書店経営の実態』は、売上高対経常利益率が0・0%以上の企業を「健全企業」、0・0%未満の企業を「欠損企業」として分析している。売上高伸長率をみると、健全企業がマイナス2・28%(前年マイナス2・12%)、欠損企業がマイナス5・48%(同マイナス6・11%)で、総平均でマイナス2・78%(同マイナス3・36%)と、22年連続の前年割れになった。
売上高対粗利益率は書店業界では20~23%が平均的と言われる。健全企業は23・98%、欠損企業は22・40%で総平均では23・72%(同23・37%)となった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は総平均で0・27%(同0・30%)。健全企業は1・12%だったが、欠損企業はマイナス3・70%。売上高対経常利益率は健全企業が1・53%、欠損企業がマイナス2・41%で、総平均は0・83%(同1・00%)になった。
売上高対販売費・管理費率は総平均で23・45%(同23・07%)。健全企業は22・86%、欠損企業は26・10%だった。また、売上高対人件費率は総平均で11・45%(同11・35%)。健全企業は11・33%、欠損企業は12・06%だった。
粗利益対経費率は、販売費及び一般管理費が粗利益に占める割合をみるもので、収益が厳しい低成長期には特に重要になる。総平均では98・86%(同98・72%)で、健全企業が95・33%に対し欠損企業が116・52%だった。労働分配率は50%以下が目標とされるが、健全企業が47・25%、欠損企業が53・84%で、総平均では48・27%(同48・57%)になった。
従事者1人当りの月間売上高は、健全企業が201万1千円、欠損企業が177万5千円で、総平均では197万6千円と前年比16万5千円減少した。従事者1人当りの月間粗利益高をみると、健全企業48万2千円に対し欠損企業39万8千円。総平均で同4万6千円増の46万9千円だった。
商品回転率は健全企業4・49回、欠損企業3・33回で、総平均は同0・22回減の4・33回。売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標だが、健全企業107・67%、欠損企業74・59%で、総平均では同3・62ポイント減少して102・71%になった。
総資本に占める純資産(自己資本)の割合を示す自己資本比率は、健全企業が27・15%、欠損企業が11・03%で、総平均は同1・68ポイント増の23・93%だった。事業に投下された資本総額の回転速度を示す総資本回転率は、書店経営では約2回転が目安。総平均は同0・25回減の1・51回で、健全企業が1・55回、欠損企業が1・22回だった。
流動比率は、1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスをみることで短期支払い能力を表す指標で、130%以上の確保が望ましい。健全企業は152・17%、欠損企業は152・47%で、総平均は同13・80ポイント減の152・22%となった。
固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は139・48%、欠損企業は223・73%で、総平均は同15・82ポイント減の148・18%だった。
店舗単位での売上伸長率は、前年のマイナス3・3%に対しマイナス2・6%と、前年に比べ小幅なマイナスにとどまった。
売上高伸長率を売場規模別にみると、最も下げ幅が大きかったのが200~400坪未満のマイナス3・8%。立地環境別では、郊外型がマイナス3・2%と振るわなかった。売上規模別では、5千万円未満がマイナス4・1%と不振が目立った。地域別では中国・四国の下げが最も大きく、マイナス3・7%と落ち込んだ。
複合型書店の調査では、書籍・雑誌以外の売上構成が20%以上の店舗を複合型書店、20%未満を本専業店に分類。複合型書店の売上高伸長率を部門別にみると、レンタル複合店がマイナス3・3%、セルCD・DVD複合店がマイナス3・0%、文具・雑貨複合店がマイナス1・6%、その他の商材の複合店がマイナス3・5%で、本専業店はマイナス2・8%だった。
平成29年度版『書店経営の実態』(B5判、46ページ、頒価税込1512円)に関する問い合わせは、トーハン・コンサルティングまで。℡03(3266)9623

8月期販売額6・3%減/書籍3・7%減、雑誌8・6%減/出版科研調べ

出版科学研究所調べの8月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比6・3%減となった。
部門別では、書籍が同3・7%減、雑誌が同8・6%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同6・9%減、週刊誌が同15・7%減。雑誌の数値は、稼働日の増減により月によって起伏が激しくなっているが、マイナス幅は月を経るごとに徐々に拡大している。
返品率は、書籍が同2・3ポイント減の42・2%。雑誌が同1・7ポイント増の44・4%で、内訳は月刊誌が同1・4ポイント増の45・3%、週刊誌が同2・7ポイント増の39・8%。
書店店頭の売上は、書籍が約1%増。新書は各社の教養新書が好調で約2%増となった。雑誌は、定期誌が約5%減、ムックが約1%減、コミックスが約4%減。コミックスは『ONEPIECE』『ワンパンマン』(ともに集英社)など大物新刊の発売で、5%以内の減少にとどまった。

大阪府書店組合賞など優秀作品を選考/大阪「帯コン」

第13回大阪こども「本の帯創作コンクール(帯コン)」(大阪読書推進会、朝日新聞大阪本社主催)の最終審査会が9月30日に大阪市の大阪府書店商業組合会議室で行われ、第1次審査を通過した518点の作品の中から大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪府書店商業組合賞などの優秀作品を選考した。
今年は、初めて海外からの応募としてフランスのパリ日本人学校から作品が寄せられ、全国12都府県297校から合計1万2841点の応募があった。
最終審査会では、大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長・武蔵野大学教授)らが作品の帯を本に巻き、オモテ表紙・裏表紙・背表紙のデザインのチェックやキャッチコピーとの調和を含めて審査した。
11月11日、大阪市北区に新築された中之島フェスティバルタワー・ウェスト(旧朝日新聞大阪本社跡)4階の中之島会館で表彰式と作品展示会が行われる。なお、同日第2部として大阪出身の絵本作家、長谷川義史さんのえほんライブも開催する予定。
(石尾義彦事務局長)

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

居酒屋の出現は、江戸中期にまで遡るという。
伊東善資編著『江戸の居酒屋』(洋泉社 950円)は酒の誕生から、呑み倒れの町だった江戸の飲み方や出された肴まで、詳しく解き明かす。
徳川家康が江戸に入府すると、関東一円から人足が集まったために、遊女屋と酒屋が営業を始めた。居酒屋に先立って呑めたのは、枡酒屋と呼ぶ酒屋の軒先である。居酒と言って、それがやがて居酒屋に変わっていく。
産業面で遅れていた江戸は、上方から送られる「下りもの」を大いに受け入れた。酒も下り酒が珍重されたのである。居酒屋にはテーブルなどなく、各自の膳で豆腐や鍋、おでん、刺身などを肴に呑んだ。にごり酒が1合4文(120円)、極上酒は32文だった。
巻末に青森から九州まで、江戸時代から続く187銘酒が紹介される。
では現代の居酒屋事情はというと、三浦展著『横町の引力』(イースト新書861円)が、ブームにもなっている横町の姿を、歩いて紹介する。
横町都市・東京と巻頭写真に現れるのは、三軒茶屋、赤羽、新宿ゴールデン街、武蔵小山、西荻窪、池袋、立石などで、いずれ劣らぬ飲み屋街。前身の闇市、赤線からの成り立ちと、数百年変わらないその魅力を語る。

さわや書店フェザン店・田口幹人店長が講演/東日本OaK友の会が講演会・懇親会開く

東日本地区OaK友の会(奥村弘志幹事長=南天堂書房)は9月26日に東京都文京区のホテル椿山荘で特別講演会・懇親会を開催し、会員書店、出版社など255名が出席した。
特別講演会は、さわや書店フェザン店(盛岡市)の田口幹人店長が「本を読むことへの取り組みとまちの本屋」と題し講演した。田口氏は、「来店して『この本ありますか』と問い合わせた人が、目的の本はなくても帰りに2、3冊買ってくれる店を作ろうと思った。本を選べない人はたくさんいる。そういう人に本をどう届けるかを考えた」と説明。また、「本屋は文化だとは思っておらず、本屋は商売。文化は、本を読んだり街を訪れた人たちがコミュニケーションの中で作っていくもので、本屋はその下支えをすることはできるかもしれない」とし、そこで地域の中に本が根付くように様々な取り組みを行っていると紹介。「雑誌が売れないのは本当に痛く、来店動機がなくなる恐怖を感じている。『いわて健民』という醤油を産学官の連携で作り店で販売したが、本屋へ足を運んでもらう動機を作るためで、地場産品の会社に行って『本で物語を作りませんか』と提案している」と話した。
また、個人的なライフワークとして、中学校の国語の授業で読書について話をしていることを紹介。未来の読者を作る意味で、業界を挙げて若い人に本を読むことの楽しさや本を読む意味を伝える活動をしていくべきだと提言した。
懇親会であいさつした奥村幹事長は、書店が受注した商品に限定して、郵便局を使い出版社から読者に直接送品する仕組みを提案。決済は書店と取次を通して行い、送料は書店、取次、出版社で分担するとして、「今日頼めば明日か明後日には読者に届くとなれば、読書離れやアマゾンへの対抗策になる」と述べた。
続いてOaK友の会連合会の田村定良会長(田村書店)が、第52回OaK友の会連合大会を来年6月6日~7日に福井県の芦原温泉で開催すると報告した。
大阪屋栗田の大竹深夫社長は、「どうしたら街中に本屋を残せるのか、業界に残された時間は限られてきた。取次も書店もこれまで以上に頑張るが、越えられないハードルがある。ゲームオーバーになる前に版元にも勇気ある一歩を踏み出してもらいたい」と呼びかけた。今年4月~8月の業績については、売上高は前年同期比101・8%、返品率は約3ポイント改善して39・4%と報告。また、新春市会「おでんの会」は来年1月10日に開催することも併せて報告した。