全国書店新聞
             

平成23年6月15日号

本の力でわがまち復興/岩手県宮古市・みやこ書店柳井社長に聞く

東日本大震災から2ヵ月経った5月中旬、岩手県宮古市を訪ねた。田老地区をはじめ沿岸部は大津波で壊滅的な被害を受けたものの、市街地の中心部では瓦礫や泥もかなり撤去され復興に向けた動きが進みつつある。みやこ書店の柳井修社長は「ピンチをチャンスにしたい」と決意を新たにしている。(本紙・白石隆史)
三陸海岸に面した宮古市。巨大地震による津波が沿岸部を襲い、10ヵ所以上の集落が壊滅、死者・行方不明者は770名にのぼる。JR宮古駅近くの商店街も津波にさらわれ浸水し、市街地のほぼ半分が浸水した。
津波被害が甚大だった市街地中心部からわずか500メートル内陸の住宅地にあるみやこ書店を訪ねた。「幸い津波が到達しなかったので大きな被害を受けずに済みました。店舗や商品の一部が損傷しましたが、家族と従業員は無事です」と柳井社長。
3月11日は2階の自宅にいた。激しい揺れで立ち上がることはおろか動くことすらできなかった。数分後に揺れが収まると、階段を駆け下りて1階の店舗へ。すでに従業員が来店客全員を外に誘導し終えており「ホッとした」という。店内は、壁面の棚が倒れ、本が床一面に散らばって足の踏み場もない状態。外壁と外階段、床などに亀裂が入る被害にも見舞われた。
従業員2名を帰宅させた後、復旧作業に取り掛かった。倒壊した棚を修復し、散乱した書籍や雑誌を棚に戻し、営業できる状態になるまで3日間かかった。
営業を再開したのは震災発生から3日後の14日。「営業再開まで1週間以上かかった書店が多いようです。多分ウチは被災地沿岸部で一番早かったのではないでしょうか」という。
しかし、店を開けても、本がなければ商売にならない。商品を調達するため、柳井社長は太洋社に連絡をとろうとした。しかし震災発生後から10日間は固定電話も携帯電話も不通。NTTが宮古消防署3階に開設した臨時公衆電話が、宮古市内から外部に電話で連絡をとるための唯一の手段だった。柳井社長は14日、長蛇の列に並び、太洋社と武蔵貨物自動車に電話した。
まず太洋社。「当店は津波の被害を受けなかった。復旧作業も済み、今日(14日)から営業を再開した」旨を伝えた。これを聞いた太洋社の担当者は「もうやれるんですか」とびっくりしていたという。そして「わかりました。できるだけ通常通り配本します。安心してください」と答えた。武蔵貨物は「道路に不通箇所があることとガソリン不足が深刻なため隔日配送になります」と答えた。
実際、営業再開から1週間、隔日配送が続いたあと、書籍、雑誌、注文品とも通常配送に戻った。「太洋社と武蔵貨物の対応は早かった。すごかったですよ」と振り返る。浸水しなかったことが大きかった。「店内が水浸しになっていたら、荷物を置く場所もない。持ってきてもらっても困る。逆に配本を止めてほしいと頼んでいたでしょう」。
顧客の安否も気になった。車を走らせたが、押し流され横倒しになった自動車、港から流れてきた漁船、大量の瓦礫が散乱し、市内は通行不能の道だらけ。目的地にようやく辿り着いても、建物が壊れ、人の気配がしない配達先もあった。市役所庁舎を訪ねると、1階は支柱だけ残してすべて押し流されていた。別館の2階にある雑誌陳列棚はみやこ書店が設置したものだが、これも流されてなくなっていた。「2階の机の高さあたりまで津波が押し寄せたのでしょう」と津波の猛威を語る。
記者も宮古市街を歩いたが、本格的な復興には長い時間がかかると思わざるを得なかった。宮古市役所近くにある大通と向町の商店街は、壁や内部が滅茶苦茶に破壊されて「解体OK」の文字が赤いスプレーで記された建物が並ぶ。通りを歩く人はほとんどいない。津波の汚泥が乾いて舞い上がる砂塵や、壊れた家屋から噴き出す粉塵のせいで、マスクなしでは歩くことができない。復興・復旧作業は少しずつ進んでいる。所々でショベルカーが瓦礫や倒壊した建物の撤去作業を行っている。だが、作業員と重機の数があまりにも足りないと感じた。漁港の一角は瓦礫の仮設置場になっており、廃材、家具、生活用品などの集積は高さ5メートルに達する。
宮古市中心部から10キロ離れた田老地区にも行った。この地区は明治29年と昭和8年の大津波で壊滅的な被害を受けたことを教訓に、「万里の長城」とも呼ばれる総延長2・4キロ、高さ10メートルの防潮堤を備えた。しかし、今回の津波は世界最大級の防潮堤を易々と乗り越えて、町を根こそぎ破壊した。建物の約8割が倒壊したという。震災後初めてこの地区を訪れた柳井社長は「ああ、これは酷い」と呻いて絶句した。車から降りて周囲を見渡す。いま自分が立っている場所が住宅地だったとはとても信じられない。瓦礫と漂流物と建物の土台部分が無残に残る以外、見渡す限り何もない。津波の爪痕の凄まじさに戦慄した。
地域に密着して営業してきた中小事業者の経営再建と地域の復興は一体で考えねばならない。地域文化を支えてきた「町の書店」が果たす役割も大きい。
みやこ書店では営業再開後、来店数、売上げとも、震災前より10%以上増えた。避難所になっている近くの小学校から本を求めて来店する被災者もいる。「地域の人たちは本を求めている」柳井社長は実感したという。
売れているのは新聞社などが発行した被災地の報道写真を集めたグラフ誌。朝日新聞出版の週刊朝日臨時増刊『アサヒグラフ東北関東大震災全記録』は100冊入荷して数日後に完売した。宮古市・タウン情報社の月刊みやこわが町4月特別号『特集2011・3・11東日本大震災大津波来襲その時宮古に何が起こったのか…』は200冊入荷して即日完売。これまで累計1000冊近く売れた。毎日新聞社のサンデー毎日緊急増刊『東日本大震災』、朝日新聞出版のAERA増刊『東日本大震災』、読売新聞社の読売新聞特別縮刷版『東日本大震災1か月の記録』も売れ行き上位に。「お見舞いのお返しにまとめて購入される方が多いですね。20冊買うお客様もいる。だから100冊なんてあっという間になくなってしまう」。
『週刊文春』『週刊新潮』などの週刊誌も売れているが、グラフ誌に比べると動きが鈍いという。「記事を丹念に読ませる週刊誌よりも写真集のほうが売れているのは、直感的に震災の全貌が理解できるからだと思います。当店では報道写真集に力を入れています」と話す。
「震災で出版の流れが変わった」と柳井社長は強調する。「昨年来の電子書籍ブームで、書店は時代遅れの業態になるかもしれないと不安を持っていた。ところが震災を境に紙の出版物の素晴らしさが多くの人たちに見直された。テレビやインターネットは速報性には優れています。でも、震災の全体像や津波の凄まじさを深く理解するためには、じっくり編集された出版物のほうが役立つ。早く帰宅するという生活習慣の変化や、この体験を後世に残しておこうという機運も手伝い、出版物の強みが発揮されているようです」。
出版社、取次、書店など出版関係者は萎縮すべきでないという。「震災は大きな被害をもたらしました。でもだからこそ、この困難を逆風ではなくチャンスと考えたい。せっかく出版物の素晴らしさが再認識されたのですから、この芽を大事に育んでいってほしい。それが被災地の一書店の望みです」。

東日本大震災義援金

光文社は5月27日、日書連の「東北地方太平洋沖地震被災書店義援金」に500万円を寄付した。
(5月23日~6月6日)
新潟県書店商業組合、オオテマチショボウ、イクロチエコ、鹿児島県書店商業組合、イズミブンコ、石川県書店商業組合、光文社、佐賀県書店商業組合、イヌイナツコ、シュッパンネッツカンサイ、大分県書店商業組合、ビラトリナガシマ、群馬県書店商業組合、実務教育出版、東京都書店商業組合大田支部、鹿児島県書店商業組合、ドクシャ、白水社
(受付順、敬称略)
総額7742万1108円

こども読書の日記念事業に参加/京都組合

京都府書店商業組合は4月16日~24日に京都市中京区の京都市中央図書館などで開催された「こども読書の日記念事業」に参加した。主催の「子どもの読書活動推進のための懇談会」は、京都市が子どもの読書活動振興のため設置した機関で、京都組合もメンバーとして活動に参画し協力している。
今回は16日に中京区の京都市生涯学習総合センター(京都アスニー)で午後2時から開催された絵本作家の宮西達也氏の講演会&サイン会で、京都組合は羅以上した約200名を対象に絵本を販売し、購入者にノベルティグッズをプレゼントしたほか、宮西氏の作品のキャラクター「ティラノサウルス」の着ぐるみも登場させて会場を賑わせた。
24日には、この事業に関係する団体の活動報告会が京都市中央図書館で開催され、京都組合は昨年度実施した読書推進活動などを報告した。その終わりには京都組合のマスコットキャラクター「ブックン」が登場。多くの児童がブックンと記念撮影を楽しんだ。
また、この事業の期間中には、「京の本屋さんから絵本プレゼント」と題し、京都組合から絵本を贈る企画を実施した。会場への来場者を対象に募集し、期間中の9日間で集まった応募数は126名。抽選で30名に、それぞれ希望の絵本を発送してプレゼントした。担当した中川勝利副理事長(ブックジョイ)は「当組合も財政が厳しいのが実情だが、読書離れと言われながら、我が子にもっと絵本を与えたい、読ませたいとして読書を大切だと考える親御さんは今なお多い。読書を推進する意思は行政も同じで、地道ながらこのような活動を通して読書人口の増加につなげ、社会にも貢献していきたい」としている。
(澤田直哉広報委員)

スマホ向け配信事業を積極推進/講談社

講談社は平成23年度下期メディア事業局企画発表会を、5月11日午後4時から本社本館講堂で開催した。
始めに野間省伸社長が「講談社はデジタル化、映像化、海外展開など、より多角的な事業展開を進めていく」とあいさつ。
森武文専務は上半期の業績について「震災の影響は、広告面では第二四半期が約5%の減収。販売面では震災直後は落ち込んだがすぐ回復し、週刊誌は前年比20%以上伸びている状況だ」と報告。下半期の活動テーマとして「新しい形の『雑誌力』創造」を掲げ、5月19日にスマートフォン向け無料アプリケーション「熱犬通信」、今秋に「VOCE」の電子版を創刊すると説明。これらの雑誌型コンテンツ配信アプリケーションを「mapli(電誌)」と命名したと発表した。
巴一寿メディア事業局局長は、下半期は①デジタル化、②グローバル化、③アカウンタビリティへの対応、④新ビジネス領域へのチャレンジ――の4つをテーマに取り組むと説明。このうちデジタル化については、スマートフォン向けコンテンツ配信事業を積極的に進め、PC版やデジタルサイネージメディアへの対応と合わせ、雑誌ブランドを真ん中に置いた形でのトリプルスクリーン戦略として展開していくと述べた。

日書連義援金に拠出/鹿児島理事会

鹿児島県書店商業組合は5月21日、鹿児島書籍会議室で第3回理事会を開催した。
楠田哲久理事長の日書連報告のあと議事に入り、東日本大震災の義援金は店頭でお客様から22万6128円集まり、組合からも30万円拠出することを決めた。
続いて永里読書推進委員長からサン・ジョルディの日に合わせて組合書店店頭で1万2千袋の花の種を配布したと報告があった。6月26日に開催される「もっとイキイキ学校図書館フォーラム」について楠田理事長から説明があり、黒木厚生委員長からは6月24日~25日の婦人部研修旅行「あじさいの会」について説明があった。また、7月に「ためほんくん」の講習会を行うことを決めた。
(和田豊広報委員)

東京組合、13委員会を8委員会に/デジタル戦略推進委を設置

東京都書店商業組合は6月2日午後2時半から書店会館で定例理事会を開き、平成23~24年度各委員会の委員構成を決めた。先月24日に行われた総代会で、役員改選により理事40名を選出、大橋信夫理事長を再選し、副理事長の人事を決定しており、この日常務理事として小橋琢己、梅木秀孝、本間守世、岩瀬且敏、越石武史、渋谷眞の6氏の就任を発表した。日書連理事には正副理事長5名が就任する。
委員会構成については、総務・財務委員会以外の13委員会を8委員会に統合し、A・B・C・Dの4グループに分けた。副理事長は各グループ内委員会の担当になり、常務理事は原則として各委員会の委員長に就任。理事は各グループ内の委員会委員に就いた。
電子書籍販売サイト「Booker’s」の運営に当たってきた電子サイト運営推進委員会は、デジタル戦略推進委員会に名称を変更。従来の携帯電話からスマートフォンへの展開や、店頭で販売可能なデジタル書籍の研究なども行っていく。
〔東京組合各委員長〕
▽総務・財務=大橋信夫(総務担当)舩坂良雄(財務担当)
Aグループ(担当=小泉忠男副理事長)
▽組織=田島敏幸▽指導・調査委員会=小林洋
Bグループ(担当=柴﨑繁副理事長)
▽取引・流通改善=渋谷眞▽デジタル戦略推進=小橋琢己
Cグループ(担当=片岡隆副理事長)
▽厚生=越石武史▽再販・発売日・倫理=梅木秀孝
Dグループ(担当=舩坂良雄副理事長)
▽事業・読書推進=本間守世▽共同受注=岩瀬且敏

日書連のうごき

5月6日日書連総会議案書対応正副会長委員長会議。「春の書店くじ」抽選会。
5月9日万引防止機構・処分品市場小委員会に小泉常任委員が出席。
5月10日書店注文環境整備研究WGに大川専務理事が出席。
5月11日第2回「首都圏書店大商談会」実行委員会に大川専務理事が出席。
会計監査会。地震対策本部。出版物小売公取協として電子書籍問題で影山専務理事ほか役員が消費者庁を訪問。
5月12日図書館サポート部会。
5月13日全出版人大会に大橋会長ほか役員が出席。
5月16日野間佐和子氏「お別れの会」に大橋会長ほか役員が出席。
5月17日日本図書普及㈱決算役員会に大橋会長ほか役員が出席。「新ICT利活用サービス創出支援事業」出版社向け説明会に小沢主任が出席。
5月18日九州雑誌センター株主総会並びに第1回取締役会に大橋会長ほか役員が出席。各種委員会(増売、読書推進、指導教育、取引改善、流通改善、再販研究、広報、消費税、情報化推進、組織、共同購買・福利厚生、政策、地震対策本部)。
5月19日定例理事会。JPO理事会に藤原副会長が出席。出版物小売業公正取引協議会総会。日本図書普及㈱監査会に井門顧問が出席。平成23年度中小活路開拓調査・実現化事業選考結果説明会に石井事務局次長が出席。
5月20日「ためほんくん」幹事会。出版倫理協議会に山本理事ほか役員が出席。
5月23日福井組合「ためほんくん」研修会に深田委員が出席。TIBF実行委員会事務局会議に石井事務局次長が出席。
5月24日日本出版クラブ第1回事業運営委員会に大川専務理事が出席。
5月25日出版流通対策協議会との意見交換会に大橋会長が出席。
5月26日文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。
5月27日日本出版クラブ監査会に大橋会長が出席。
5月30日読書推進運動協議会理事会に大川専務理事が出席。同・通常総会に大橋会長が出席。

監査役に西村日書連副会長/日本図書普及

日書連は5月19日の定例理事会で、井門照雄顧問が日本図書普及の監査役を退任したことに伴い、後任に西村俊男副会長(新潟組合理事長)が就任することを承認した。

震災の惨状伝える/宮古市のタウン誌

大震災の写真を集めたグラフ誌の刊行が新聞社や出版社から相次いでいる。宮古市でタウン誌を発行するタウン情報社は『月刊みやこわが町』4月特別号「特集2011・3・11東日本大震災大津波来襲その時宮古に何が起こったのか…」(定価500円)を刊行した。
写真約150枚を市内6地区別に掲載。編集部は巻頭言で「この惨状を後世に残すのがタウン誌の役目」として、「この記録された現実を受け止めながら明日への希望を持って立ち上がる復興に向けての1冊になればと願っております」と記している。売れ行きは通常号の7~8倍にあたる1万5千部と好調。同誌は宮古市の書店・コンビニ、公式販売サイト、スポンサー会員店で販売している。特別号は全国から注文があるという。
同誌に関わる編集者、ライター、印刷オペレーター、広告スポンサーの多くが何らかの形で被災した。だが、編集部の横田晃さんは「宮古の会社が編集・印刷し、宮古の店で販売するという基本姿勢は崩さない」と語る。6月号を震災特集「特別号パート2」として出す予定だ。

山根副理事長が被災地でボランティア/兵庫組合

兵庫県書店商業組合は5月10日、神戸市のエスカル神戸4階会議室で5月期定例理事会を開催した。
理事会では、先月議決した県組合の震災義援金拠出に関する最終調整が行われた。関連して、岩手、宮城両県でボランティア活動を行った山根金造副理事長(巌松堂書店)から報告があった。これによると、ボランティア活動は有志3名(書店は山根氏のみ)により、5月1日から5日間の日程で行った。被害が比較的小さかった岩手県・遠野市を拠点に同・大槌町、同・釜石市、宮城県・気仙沼市を訪問し、避難所等で干菓子と抹茶をふるまい大変好評だったという。山根副理事長は「報道以上に悲惨な状況」と訴えた。
次に、小松恒久常務理事(小松書店)より、日書連の活性化資金を活用して組織強化のための小冊子を作成する旨の報告があった。組合の歴史、組織・活動内容、組合加入のメリットなどを盛り込む予定。
また、村田耕平事務局長(三宮ブックス)より、2011年度兵庫県功労者表彰に春名洋志専務理事(大和堂書店)が産業振興功労者として受賞が決まったとの報告があった。
(安井唯善広報委員)

小学生はこれを読め/700冊ラインナップで実施へ/北海道総会

北海道書店商業組合は6月7日、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで第35回通常総会を開き、組合員71名(委任状含む)が出席。道組合が読書推進運動として実施している中学生・高校生向けフェアに引き続き取り組むとともに、今年度から小学生に対象を拡げてフェア展開を図ることになった。
総会は村上正人副理事長(マルイゲタ)の司会で進行。冒頭あいさつに立った久住邦晴理事長(久住書房)は、組合員数減少に伴う賦課金収入の減少で、組合財政は危機的な状況にあると指摘。このため今年6月14日付で組合事務所を閉鎖し、今後は専従事務局員を置かず、三浦勝也行政書士事務所が組合事務を代行すると報告した。これにより年間100万円の経費削減になる見込み。同事務所は浪花理事長時代から道組合の決算業務等に携わってきたことから「事務代行への移行はスムーズに進むだろう」と期待を示す一方、専従事務局員がいなくなることで「今までやってきた事業を見直さざるを得なくなる」可能性も示唆。「単なる縮小には終わらせない。組合員に必要とされる組合を目指す」として理解と協力を求めた。
中尾邦幸理事(マル五中尾書店)を議長に議案審議を行い、平成22年度事業報告、収支決算報告、平成23年度事業計画案、収支予算案なとすべての議案を原案通り承認可決した。
このうち読書推進運動については、「本屋のおやじのおせっかい中学生はこれを読め!」「本を愛する大人たちのおせっかい高校生はこれを読め!」に加え、今年度から「小学生はこれを読め!」フェアを展開すると報告があった。書店2名、大学生1名、道内図書館関係団体、北海道新聞社など25名から成る編集委員会が約700冊を選書し、7月に北海道新聞社からリスト本を出版、秋にフェアを実施する予定で準備を進めている。中学生・高校生フェアは書店が発注しやすいようセット組みを検討する。
また、在札出版社と営業代行の協力で「児童書販売研究会」を立ち上げ、定期的に会合を行っていくことを決めた。
万引き問題については、中尾理事から愛知県の三洋堂書店が店内の窃盗行為に対して現行犯で捕捉する取り組みを行っている事例を紹介。久住理事長は「店内捕捉は裁判で負けるというのが道警の見解。北海道万引防止ウィーブネットワーク総会で業界の被害の状況を説明し、店内捕捉についても提起する」と述べた。
また、5月10日の理事会で、退任した高宮要夫副理事長に代わり、佐藤文明理事(TSUTAYA篠路店)を副理事長に選任したと久住理事長が報告した。