全国書店新聞
             

平成17年11月1日号

5日、6日に絵本ワールドinひょうご

11月5日(土)、6日(日)の両日、神戸市灘区「原田の盛ギャラリー」で開催。「もったいないばあさん」の絵本作家・真珠まりこ氏による絵本講演会、NHK第8代うたのおにいさん・速水けんたろう氏のコンサート、紙芝居、読み聞かせ、人形劇など、絵本と出会う多彩なイベントを用意した2日間。約1万冊の児童書を展示即売する。

低率1%案を再確認/公取委と粘り強く話し合い/景品規約改訂

出版物小売業公正取引協議会(井門照雄会長)は10月27日に新潟市のホテル・イタリア軒で開かれた理事会で景品規約改訂問題をめぐる公取委との折衝について報告を行った。理事会では改めて①期間制限は年2回、②景品類提供の低率のトレーディング・スタンプの規定を設けるが、低率は1%――とする方針を再確認。公取委と粘り強い話し合いを行っていくことにした。「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」「同施行細則」は、平成14年7月の改訂時に「3年以内に総付景品の制限、実施期間の制限規定見直しを行う」と決めており、今年6月末が期限だった。
このため、小売公取協は
①総付景品の提供は現行通り7%、②期間制限も現行の年2回60日以内、③個店で行う低率(1%)の景品提供ポイントサービスは容認する――とする規約改訂案をまとめ、9月26日に公取委取引部舟橋部長に提出し、その後、10月3日に改訂案に対する公取委の考え方が示された。
27日の理事会では井門会長、影山専務理事が公取委との折衝を経過報告。公取委は年間を通してのトレーディングスタンプ容認は評価できるとしたものの、低率を1%というのでは制限的すぎるとし、3%程度を示唆した。これに対し小売公取協は各種調査で書店の経常利益率は1%を切っており、改訂案の1%は書店に負担できるぎりぎりの数字であることを強調した。
さらに、期間制限については「年2回60日」の案を「年2回90日」にできないかというのが公取委の意向。同案について影山専務は「景品つき販売は2週間程度の例が多く、90日に延長しても影響は大きくない。これは譲っても低率の1%を守りたい」とした。
報告を受けた理事会では「書店の営業利益は1%もない。公取委は書店の経営実態を理解しているのか」
「1%が定着すれば、次には3%、5%と増えていく。数字合わせで3%出せというのはおかしい」「利益率の高い複合書店を基準に3%にしろと言っているのではないか」「力のある書店は3%のスタンプで近隣書店をつぶすのでは」など、激しい批判の意見が相次いだ
井門会長は「今日の理事会の意見を聞いて、年2回とし、低率のトレーディングスタンプは1%の線でのぞむことを確認した。再度、公取委と話し合っていく」と、今後の方針をまとめた。

経営実態調査票を了承/今年度内に集計・分析へ/日書連

〔経営実態調査〕
「全国小売書店経営実態調査」の調査票案が提示された。調査票は「店舗に関する調査」「営業実態に関する調査」「経営実態に関する調査」「経営者の意識調査」の全41問と「別刷」からなり、高須委員長は「出版業界がどう変わっていけばいいかを探るとともに、10年おきの経営実態調査の面も考慮して設問を用意した」と説明。大枠で調査票が了承された。
調査票は11月にも組合書店全店に発送し、日書連に送ってもらう。集計は年度内に行い、来年5月の日書連定時総会に調査結果を発表する段取り。前回1999年調査の回収率39・1%を上回る回収促進策を検討すること、集計結果は各県別データも集計し、今後の組合活動に生かしていくことになった。
〔指導教育〕
個人情報保護法への対応で大橋委員長は「客注スリップに読者の氏名、住所、電話など個人情報が書き込まれ、取次、出版社に流されているのは法の趣旨から見て問題がある」と危険性を指摘した。
大橋委員長は「住所、電話を取次に流す必要はなく、垂れ流しは危険。入荷の連絡が必要だとしても、個人情報は店頭にとどめ、注文番号だけを流せばよい」と提起。「出版社が予約名簿を求める場合がある」「カレンダーなど版元の指定短冊で注文するよう求められる」という発言に「出版社も個人情報保護の観点から改める方針だ」と説明した。
〔読書推進〕
理事会当日の10月27日は文字・活字文化振興法で制定された初の「文字・活字文化の日」。高須委員長は読書週間の終わる11月9日まで、店頭にポスター掲示と「サア、本屋さんへ行こう」のCDを流し、普及宣伝に努めるよう求めた。
また、毎日新聞が発表した今年の全国学校読書調査で小学生は月間7・7冊の本を読んでいるものの、中学生は2・9冊、高校生は1・6冊とともに微減となった。同委員長は「中学生になって児童書でもなく、ヤングアダルト向けの商品開発を出版社にお願いしていく」と述べた。
〔消費税〕
総選挙後、年金、社会福祉目的税として消費税率をアップする議論が出てきた。面屋委員長は「国会でも10%、13%、15%などのラインが示され始めた」と指摘して、11月にも各委員の意見を聞いた上で、日書連の方針を検討していくとした。

読者謝恩図書カード/東京組合が3万枚発行/9月理事会

〔スタートアップ〕
東京組合は「文字・活字文化の日」制定と図書カード一本化を記念して「読者謝恩図書カード」(額面5250円)を発行する。
図書普及㈱からホワイトカードを購入し、出版社17社の協賛を得て3万枚発行する。広告カードのため書店入帳は100%。書店卸価格4850円。
発売を推進した柴崎常任委員は「5千円のホワイトカードは5035円で買える。スポンサーがつけば読者サービスができる。あくまで読者に対するサービスで、あわせて小書店の活性化を狙った」と説明した。
井門副会長は「東京組合以外の書店でも同図書カードが欲しければ、所属組合を通じて東京組合事務局と相談してほしい。今後についてはルールづくりを考えていきたい」とした。
〔再販〕
謝恩価格本の常設販売を行う「ブックハウス神保町」が10月12日東京・神田にオープンしたが、千代田支部長を兼務する大橋副会長は「今後、店の動向、謝恩価格本の期間限定が守られるかなどに注目していきたい」と述べた。
岡嶋委員長からは10月6日に再販研究委員会が再開し、事務局を東京組合から委員長の所属する団体として書協に移されたことが報告された。
〔情報化〕
志賀委員長から日書連マークを活用して学校図書館への納入で成果を上げている福岡組合の視察結果が報告され(5面参照)、「学校図書館の利用が活発になり、生徒、司書とも喜んでいる話を聞いて、意を強くした」と述べた。
件名検索に変わる「連想検索」を推進する連想出版は「ブックタウンじんぼう」のサイトに古書データベースを提供しているが、今後新刊検索も加えていく方針で、日書連としても協力していく。

ラジオ青森で書店マナーアップ呼びかけ/青森組合

青森県書店商業組合(鶴谷禄郎理事長)はRABラジオ青森放送とタイアップして、毎週土曜夜10時からの音楽情報バラエティ番組「うたラジ」で書店マナーアップ・キャンペーンを展開している。
10月8日から11月10日までのキャンペーン期間中、中・高生のリスナーを中心に川柳、CM、ソング3部門で万引き防止・書店マナーアップの作品を募集する。ソング部門の最優秀作品には2万円、川柳、CM部門には1万円の図書カードをプレゼント。発表は11月29日の番組内で。
また、同番組内のクイズコーナー当選者プレゼントに図書普及協賛の図書カードを提供する代わりに、33週にわたって30秒から40秒の「書店マナーアップ」メッセージをアナウンスすることになっている。
(岡田弘樹)

前年比5・5%の減少/「ハリポタ」第5巻の反動で/日販調べ

日販経営相談センター調べの9月期分類別売上げ調査は対前年比94・5%と前年同月を大きく下回った。
これは前年同月に発売された「ハリー・ポッター」第5巻の影響。文芸書が51・3%、児童書90・2%と前年の反動が大きく現われた。上昇傾向にあった客単価も10カ月ぶりに前年を下回った。
ジャンル別の数字では、コミックが111・0%、文庫105・6%、新書107・4%と3ジャンルの好調が続く。コミックは9カ月連続で前年をクリアして9月は2ケタ増だった。
新書は4カ月連続のプラス。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は100万部を突破して、引き続き売れている。
書店規模別では40坪未満クラスが97・5%で最もマイナス幅が低く、41~80坪クラスは92・2%で落ち込みが最大。

福岡組合がホームページ開設

福岡県書店商業組合のホームページが開設された。「組合紹介」「組合書店」「九州出版協会」「地元出版」などを紹介するとともに、福岡組合が進める地元書店による学校図書館納入の支援プログラムとして「図書館コンピュータ化紹介」が目を引く。
日書連マーク、福岡県情報センターの役割、図書データ納品の流れなどを分かりやすく解説し、fjナノ会員書店専用掲示板では連絡、技術的質問、意見交換などに利用していく。同ホームページのURLは以下。http://www.fjnano.com
*次世代メディア研究会が発足
日本出版インフラセンターが電子タグ実証実験の一環として事務局を担当する「次世代メディアコンテンツ店舗活性化研究会」が10月19日、経済産業省で初会合を開いた。
研究会の参加者は紀伊国屋書店、三省堂書店、新星堂、ジュンク堂書店、フタバ図書、ブックファースト、丸善、有隣堂の大型書店と日書連に、アマゾン・ジャパン、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、セブンアンドワイ、ブックサービス、山野楽器とネット書店、CD・DVDレンタル・販売店の14社・団体。経済産業省と日本レコード協会はオブザーバー。
今後、出版、音楽・映像ソフトの小売店舗活性化を目的に、電子タグ、携帯電話などのITツールを活用した新業態、新サービス創出を検討していく。

小倉駅前でビラ配布/福岡組合万引き防止キャンペーン

福岡県書店商業組合(山口尚之理事長)は、10月20日午後3時から小倉駅南口で青少年の万引き防止を呼びかける街頭キャンペーンを実施。山口理事長、白石穣一北九州支部長、河合正行常務理事など北九州支部を中心に書店33名が、福岡県警、小倉北警察署員、トーハン、日販などの協力も得て万引き防止を啓発するチラシ2千枚を市民に配布した。
福岡組合では昨年7月以来、福岡、筑後、筑豊の各支部でチラシの街頭配布を続けており、この日の北九州支部で7回目。山口理事長は「青少年の健全育成には大人の努力が不可欠。明るい地域作りに書店もお手伝いしたい」とキャンペーンの狙いを説明する。
書店とともにチラシを配布した小倉北警察署少年課の合屋知津子係長は「少年事案は増加しており、万引き防止のため商業店舗と警察が連携して粘り強く取り組むことが重要です。今年6月から各課の垣根を越えて小倉北安全ひまわり隊を結成して少年非行防止に努めています」と、民間との協調を重視していく考え。
福岡組合では公立中学・高校に続いて私学協会にも働きかけ、県内の私立中学・高校82校に万引き防止ポスターを配布して掲示をお願いしている。

愛知組合「孫の日」イベント盛況/川柳展や読み聞かせなど

愛知県書店商業組合(高須博久理事長)は10月16日、名古屋市中区栄のテレビ塔で「孫の日」イベント「絵本わいわいまつり」を開催した。同組合は昨年から10月第3日曜日を祖父母から孫に本を贈る「孫の日」とし、積極的に読書推進運動を展開している。
イベントでは、ボランティアによる紙芝居、読み聞かせやパネルシアター、おじいちゃんとおばあちゃんのための読み聞かせ講座、絵本作家・しらたにゆきこ氏の読み聞かせとサイン会が行なわれた。また、「孫の日」にちなんだふれあい川柳127点や絵本「もぐもぐとんねる」の原画が展示され、来場者の関心を呼んだ。

雑誌小口止め新方式、上下2ヵ所を透明ブルーで/11月中旬発売分から

神奈川県青少年課、日本フランチャイズ・チェーン協会(JFA)がグレーゾーンの成人雑誌にビニール包装、紐掛け等を要請している問題で、日本雑誌協会は小口上下2ヵ所を透明ブルーのテープで止める方法で自主規制することを決めた。早ければ11月中旬発売の雑誌から新方式が実施される。
雑誌の小口上下2ヵ所にテープ幅3㌢、裏表奥行き2㌢を最低限確保することで剥がれにくくし、テープの色を透明ブルーとすることでグレーゾーン雑誌であることが遠くから見てもわかるようにした。
印刷業界との調整を経て10月17日に雑協、出版倫理懇話会、アウトサイダー出版社に通知し、各社シール止め作業をスタート。早ければ11月中旬発売分から新方式で小口シール止めされた雑誌が店頭に並ぶ。現行シール止め雑誌の発売日最終期限は12月31日。
1ヵ所止めで12円~15円だったコストは2ヵ所で50、60%増える見込み。価格への反映は各社の判断となる。現在、小口止めされている雑誌は月間170誌・1800~2000万部と推定されており、年間40億冊発行されていると言われる雑誌全体の約5%に相当する。
雑協などは神奈川県と意見交換を行い、「2ヵ所止め」が県青少年条例が求める「ビニール包装、紐掛け等」の「等」に当たることを確認。県と合意し、JFAからも正式承認された。また、都青少年条例規則に認める区分陳列として認めてほしいと都青少年課に要請している。
10月20日、東京・神田駿河台の雑協会議室で開かれた記者会見には雑協編集倫理委員会・戸田利吉郎副委員長、出版倫理懇話会・長嶋博文会長、日本出版取次協会・林正則事務局長が出席し、今回の自主規制と実施経緯について説明した。戸田副委員長は「昨年7月1日から透明シールの小口1ヵ所止めを実施してきたが、店頭で剥がされたり、透明のためわかりにくいことから、PTAなどから問題視する声もあった。そこで今回、神奈川県、JFAの要請もあり、関係諸団体で自主規制方法を検討した」と説明。長嶋会長は「コスト負担を懸念しているが、青少年対策の自主規制として業界で意思統一した」、林事務局長は「流通面、作業工程、故紙化などの問題を考慮して2ヵ所止めで対応することにした」と話した。

秋田総会/アマゾン台頭に危機感/「由々しき事態」と川井理事長

秋田県書店商業組合(川井寛理事長)は10月25日午後3時から大仙市「史跡の里交流プラザ柵の湯」で第19回通常総会を開催、組合員35名が出席した。
総会は藤井理事の司会進行で始まり、川井理事長があいさつ。「アマゾンは千葉県市川市に延べ床面積約6万2千平米の新物流センターを建設中。アマゾンの本の年間売上は350億円と言われている。楽天、ヤフー、セブンアンドワイなどその他のネット上での販売と合わせると700億円の売上が、いわゆる本屋以外のところに流れていることになる。これは由々しき事態。トーハンのe‐hon、日販の本屋タウンなどを上手に活用すれば、対抗することができるのでは。目に見えない敵に果敢に立ち向かおう」と述べた。
高堂副理事長を議長に議案審議を行い、事業報告、決算報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。審議の中で、7月に実施した7書店での読み聞かせ、県内2ヵ所(秋田市、横手市)での音楽と講演会が素晴らしい成果をあげたと報告があった。新しい事業として秋田市で今年度から子育て支援のため12枚綴りのクーポン券を支給、市立図書館推薦の絵本76冊の中から好きな本を購入できる(クーポン8枚4千円相当)ことが報告され、読者層掘り起こしに役立つとの説明があった。また、塔文社の秋田県地図を県組合として取り上げ、販売に取り組むことを決定した。
続いて和泉副理事長をコーディネーターに、トーハン青森支店・田名網支店長、日販仙台支店・堀内係長、小学館営業部・星野氏、聖教新聞社・佐久間部長、東北トラック・佐々木支店長でパネルディスカッションを実施した。
総会終了後、平野理事の司会で、版元、取次、輸送各社を交えて恒例の懇親会を催した。
(木村和一広報委員)

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・山下玲子

◇2歳から/『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』間瀬なおかた=作・絵/ひさかたチャイルド1050円/2002・1
雪景色の「やまのえき」を出発した電車が真っ暗なトンネルをくぐるたび、次々と新たな風景が広がります。電車大好き!という子はもちろん、親子で歓声をあげながら楽しめる本です。そして終着駅の「うみのえき」に着いたなら、「でんしゃでかえろう」。延々と読んでもおもしろい。
◇4歳から/『すきすきちゅー!』/イアン・ホワイブラウ=文ロージー・リーヴ=絵/徳間書店1575円/2004・9
母と子の絵本はあまたあれど、こちらはめずらしく父と子の物語。お留守番の最中「だいじなことをわすれてた」のに気付いて、お父さんを追いかけるちゅーちゃん。途中、それと気付かぬうちに何度も子どもに命を助けられる親の姿が何ともユーモラス。幸せな気持ちになれる本です。
◇小学校低学年向き/『こんたのおつかい』/田中友佳子=作・絵/徳間書店1470円/2004・4
おつかいを頼まれた、きつねの子こんた。はりきって出かけますが、通ってはいけないと言われている道を通ってしまい、こわい目にあって…。ダイナミックな絵に子どもたちの歓声があがります。こんたと一緒にドキドキしたら、最後のページのお父さんの姿にほっとします。

訃報

伊藤誠氏(元青森県書店商業組合理事長、八戸市・伊吉書院)
10月19日、脳腫瘍のため死去した。63歳。通夜は23日、告別式は24日、八戸市のメモリアルプラザ報恩で営まれた。喪主は長男の篤さん。平成9年から10年、12年から14年まで青森県書店商業組合理事長、日書連理事。

ノンフィクション賞に奥野・中川両氏/講談社

第27回講談社ノンフィクション賞に奥野修司氏『ナツコ沖縄密貿易の女王』、中川一徳氏『メディアの支配者(上・下)』、第21回講談社エッセイ賞にアーサー・ビナード氏『日本語ぽこりぽこり』が決まり、24日夕、丸の内の東京會舘で贈呈式が行われた。
講談社野間佐和子社長から各賞贈呈のあと、重松清氏がノンフィクション賞の選考について「『ナツコ』は紋切型でない沖縄を、『メディアの支配者』はフジTVと戦後マスコミ史に迫っている。今後も力作を期待している」と選評。エッセイ賞では坪内祐三、林真理子、東海林さだおの各委員が「ビナード氏の異常にうまい日本語に翻弄された」と絶賛した。
受賞者あいさつで奥野氏が「匿名を入れれば300人以上に取材し10年かかってまとめた。励みになる」。中川氏は「文藝春秋をやめて5年間、全力投球した。続編も書きたい」。在日15年のビナード氏は「日本語に惚れて日本語で書くことは幸せだが、何語で書いても同じではないか」と、感謝の言葉を述べた。

「声」/元気の出る組合作りを考えたい/久留米市・尚文堂・鹿子島慶正

2年ぶりに全国広報委員会議に出席した。ぐるりと出席者を見まわすと見慣れぬ顔の人が多い。長野の高嶋さんや佐賀の近藤さんの顔が見えないのは寂しい。訊けばそれぞれ仕事の事情があっての欠席。年に1回の再会ながら戦友と逢えぬというのは元気の出ない話である。
会議は4時間余り、途中休憩なしでやるということである。体力に自信のない小生、無事最後まで会議に残れるだろうかと心配であった。拡大編集会議は1人1分間の発言だが、誰も東京まで出てきて1分間で終わらそうなんて「心のやさしい広報委員」はいない。自分の県の現状を訴えらる皆さんの話は、どれも身につまされるものばかりであった。
以前はこんなことは少なかったのにと月日の流れを感じながら聞いていた。時代も変わって厳しくなってきたことを身をもって感じる。大手取次や公取の諸問題など、こんなことをいつまでもやっていると中小の書店は絶対に潰れると思ったのは、私1人ではないだろう。2年ぶりの広報委員会議は、少し刺激が強すぎた。
皆さんの話を聞いていて感じたのは「元気がない」ということであった。何をえらそうなことを言ってやがると他の広報委員の方から怒られそうだが、手枷、足枷の呪縛にかかっておられるようにも思われた。何でもいいから元気の出る組合作りを考え、本の売れる勉強会を発足させていく。少し時間はかかるだろうけど、本を買ってくれるお客様に、そんなにせっかちな人は少ない。店内をゆっくり見ながら本を楽しんでいる人もいることを忘れてはならない。

受賞

★日経BP社・第5回「BizTech図書賞」
技術と経営の進歩や発展に役立つ優れた図書を表彰する、日経BP社の「BizTech図書賞」受賞作が次の通り決まった。
『環境リスク学不安の海の羅針盤』中西準子著(日本評論社)
『戦略不全の論理慢性的な低収益の病からどう抜け出すか』三品和広著(東洋経済新報社)
『日本のもの造り哲学』藤本隆宏著(日本経済新聞社)
表彰式は11月1日、千代田区の経団連会館で行われた。

人事

☆トーハン
(10月17日付)
〈機構改革〉
1.トーハン桶川SCMセンターに流通システム部と整品部を置く。
〈役員人事〉
委嘱・営業本部ゼネラルマネジャー、解・総務人事部長委嘱
執行役員阿部信行
委嘱・トーハン桶川SCMセンター流通システム部長兼任
執行役員森岡憲司
〈人事異動〉
総務人事部長(雑誌部マネジャー・雑誌仕入グループ)田仲幹弘
トーハン桶川SCMセンター副センター長兼任(流通管理部長兼西台雑誌営業所長兼上尾センター長)
吉浜茂
トーハン桶川SCMセンター整品部長兼任(商品整理部長兼桶川計画推進室ゼネラルマネジャー)
池田政夫
解・総合専門書センター所長兼任(流通管理部シニアマネジャー兼総合専門書センター所長)新井正英

「声」/新聞編集への熱い志を実感した1日/原町市・おおうち書店・大内一俊

東京は広い。受付開始の1時間前に御茶ノ水駅に到着して、時間潰しに散策しながら書店会館を目指したがなかなか見つからない。足が棒の状態になって自力での探索は諦め、日販さんのパソコンで検索していただき、ようやく道順が判明した。汗が冷や汗に変わり、長い下り坂を急いで駆け下りた。
会場に着くと開会のあいさつは既に終わっており、話は広報委員会議の本題へと向かっていた。当組合はわりと親睦会的な雰囲気があるので、本日の目的も参加することにあったのだが、周りを見回すと全国から論客と思しき参加者が、北は北海道から南は沖縄まで集結しており、真剣そのもの。その雰囲気に圧倒され、緊張感から顔がコワバッテきた。
参加者の自己紹介が始まり、場を和ませる話もあったが、苦境にある書店経営の現状やその原因となる様々な障害の実例など、身を切られるような話が多く胸を打つ。拡大編集会議では、書店新聞の改革案や提案・希望など様々な意見が交わされた。激白した話もあったが、それは新聞に対する思い入れの深さの表れだ。最後に広報委員一丸となって全国書店新聞を支え、編集もさらなる書店人のための紙面づくりに邁進することで全会一致し、予定時間を終了した。傍観の立場であったが、熱き志を持った書店人の存在を認識した有意義な一日であった。

「声」欄の投稿を募集

全国書店新聞では、「声」欄への投稿を常時募集しています。氏名・店名・住所・電話番号を明記の上、編集部までお送りください。FAX、Eメールも可。原稿は原則として6百字以内で、趣旨を変えずに文章に手を加えることがあります。紙上匿名はできますが、筆者の分からない原稿は掲載できかねます。
〒101―0062東京都千代田区神田駿河台1―2書店会館内全国書店新聞編集部
FAX=03―3295―7180
Eメール=XLD07116@nifty.ne.jp

営業体制を再編・強化/洋販

日本洋書販売は、7月からヤマトロジスティックスに物流業務を委託したが、これに伴い全国営業体制の抜本的な再編・強化を行った。また9月12日に開いた取締役会で新役員体制を決めた。
これまで物流を担っていた支店の人材を営業部門に投入することで、地方営業体制を大幅に強化。より充実した顧客サービスの提供を図る。なお組織再編に伴う人事異動も、7月から9月にかけて実施した。
機構改革では、これまでの1営業本部体制から大阪営業本部を新設し、西日本全域における営業力強化に取り組む。また九州地区の拠点として福岡支店の陣容を拡大し、九州地区と山口県、広島県での洋書需要の掘り起こしを図る。これまで物流機能を担っていた札幌、横浜、名古屋、沖縄の4支店は営業所に改組し、営業人員に特化した陣容とすることで顧客サービスを充実させる。
〈新役員体制〉
代表取締役社長兼CEO
賀川洋
代表取締役副社長兼CFO清田順稔
専務取締役楠本忍
取締役執行役員営業統括兼大阪営業本部長
松本眞知也
取締役執行役員書店グループ統括遠山茂
執行役員西日本支店統括
田宮一興
執行役員東京営業本部長
久保埜浩二
執行役員仕入本部長
山崎直子
執行役員管理本部長
今後経史
※上田和則、前田信彦両取締役は退任し、上田氏は営業企画部長を引き続き務め、前田氏は経営企画室販売管理部長に就任した。
〈人事異動〉
福岡支店長(東京営業部)高尾靖
名古屋営業所長(大阪営業部)横大路弘毅
札幌営業所長(札幌支店長)安藤隆
横浜営業所長(横浜支店長)高橋清
沖縄営業所長(沖縄支店長)与儀憲助

図書館はサポートに満足/地元書店納入、既に130校/福岡組合

福岡県書店商業組合は、小・中・高校の学校図書館へ地元書店による図書納入を推進するため、日書連マークを使用した図書館運営システム「図書館ナノ」の普及に努めている。導入校は約130校。日書連情報化推進委員会志賀健一委員長とともに、地元書店が納入する図書館の現場を訪ねてみた。
「先生、『1リットルの涙』予約しておいて」「次に読みたいなら、予約申込みを書かなあかんよ」
「なんか、面白い本ないかなあ」「それなら、これどうね。はいってきたばかりの本だよ」「ほんとだ。まだ誰も読んでない」
福岡県立門司北高校・門司学園中学校の図書室は休み時間のチャイムが鳴るのを合図に、本の貸し出し、返却にやってくる生徒で一時賑やかになった。同校は平成15年に門司高校と門司北高校が統合し、福岡県の公立学校で初めての中高一貫教育の学校としてスタートを切った。
佐々木ますみ先生は司書歴34年という大ベテラン。生徒からの図書貸し出し、返却、リクエストを次々にこなしていく。貸し出しカウンターには、クラス別に生徒のバーコード台帳が備えられている。生徒がクラス名、氏名を告げるとバーコードで本人を特定。本のバーコードと、「かえす」「かりる」「予約」とした机上のバーコードをスキャンするだけの簡単作業だ。
同図書室の在庫は約2万冊強あるが、半分の1万冊は書庫に眠っている。図書室にある残り1万1千冊にはすべてバーコードが貼付されており、貸し出し可能だ。図書館のコンピュータ管理開始にあたって、出入りの門司・宗文堂が1カ月かけてバーコードを入力した。以後の納品には、データをつけて納入する。
管理ソフトの使い勝手について、佐々木先生は「台帳を作らないでパソコン管理できるから事務処理が楽になりました。本来の仕事である読書指導や新着図書案内、各種パンフレットを作る余裕ができた」と、事務作業の軽減を評価する。
また、地元書店を利用するメリットを「週に何度も来てくれて、パソコンの相談に乗ってくれる。こうしたらいいという要望にもすぐ対応してくれる安心感がある」と、サポート体制に満足している様子。学校現場の要望に即応できるのも図書館ナノの特徴だ。
1日当り貸出し冊数という数字がある。同図書館は平均50冊。佐々木先生が新着図書案内を作り、朝のホームルームで配布すると、貸出し冊数は100冊にはねあがる。1人当り貸出し冊数も、図書館ナノ導入前は4・6冊だったのが、1年後に8冊、今年は10冊と利用が倍増した。
同校の納入を担当する宗文堂野村和義専務はパソコンに強かったわけではないが、福岡組合が立ち上げた情報センター「FJナノ」で学び、県組合情報化委員の後押しで図書とシステム納入を勝ち取った。
次に訪れた鞍手郡宮田町
は中央公民館にホストコンピュータを置き、小学校5校、中学校3校、高校1校の計8校がクライアントとしてぶら下がる。生徒・学生が一度貸出しカードを作れば、学校でも公民館でも本を借りることが可能だ。従来、貸出し、返却は手作業。佐野書店佐野晴美社長が図書館システムを紹介すると、同町社会教育課の理解を得て、平成15年に導入にこぎつけた。ネックは学校8校のうち7校までが蔵書データ未登録だったことで、平均4千冊の図書を2人雇い2カ月かけて登録。蔵書へのバーコード貼りはPTAの役員にも手伝ってもらった。福岡組合にはSA委員が5名いて、佐野さんもメンバーの一人。
宮田文化センター司書の津田亜希子さんは「公民館
の利用者は1日30人ほどですが、現在、ネットで町民に貸出し予約する仕組みを考えています」という。
大正15年創立の久留米市立東国分小学校。生徒数7百名。低学年用と高学年用に分かれて2つの図書室に蔵書が8443冊ある。司書担当の富永智恵子さんに月間貸出冊数を聞くと、即座にパソコン端末で2662冊と調べてくれた。
システム導入前は1回2冊しか貸せなかったが、貸出し管理がシステム化されたために、1回7冊までとなり、子どもたちにも好評。同校では年間30冊以上借りた子どもを表彰しているが、「パソコンに今回であなたは何冊目と出るといいですね」と富永さん。
校区の本屋さん、中島書店中嶋楠雄さんの店はバイクで2、3分の距離にあり、FAXで注文が来るとすぐ届ける。週に2、3回は顔を出す。中嶋さんが昼ごろ配達に来るのを子どもたちも知っていて、お目当ての本が届くのを待っていることもある。
年額50万円の図書予算を以前であれば年1回の取次展示会に案内して半分使っていたが、今はその都度発注できるので、品揃えがよくなったと思う。中嶋さんもそれまでは学校に出入りしていなかったが、図書館納入をきっかけに校区の本屋さんとして信頼が深まった。「学校図書館と地元書店の理想的関係が出来ているなあ」と、志賀委員長が
驚くほどだ。
FJナノ事務局長の野沢惇さん(北九州市・後藤書店)は、システム化以前から小中学校図書館に図書を納入していたが、3枚複写の手書き伝票を大量に切り続けた奥さんは身体を壊してしまった。ある時、本紙で「装備ナノ」の記事を読んだ野沢さんは「このシステムを使えば病気にならないで済む」と、早速資料を取寄せた。
図書館ナノを導入する初期投資として、コンピュータ環境を別にすると、ソフト代5万円、日書連マーク利用のための契約料が1万円。年間使用料2万4千円で初年度8万4千円。これだけ投資すれば、ニコニコ笑いながら学校に行ける。図書予算とは別枠で、残った年度末予算も図書費に狙える。
「学校図書館は図書館の数だけ、装備、運営が異なる。学校に信頼される図書納入を書店の側から提案していきたい。書誌情報提供などで福岡県情報センターがお手伝いしていく」と野沢さん。
福岡組合には野沢さんのほかに、北九州市に日書連情報化専門委員の中尾隆一さん(中尾書店)、大川市に鶴秀穂さん(ブックメイト鶴)がいて、地元書店が学校図書館にシステムを売り込む際、同行するなどバックアップ体制をとる。今後は業務の拡大をにらみながら、各地区に最低1名の指導員を置くとともに、24
日に立ち上がった福岡組合ホームページ(http://www.fjnano.com)で学校図書館納入の情報交換を行っていく。(田中編集長)

ふるさとネットワーク/北海道・東北ブロック編

〔北海道〕
旭山動物園はどこにあるか知っていますか?そう、旭川市です。今年の入場者数は7、8、9月と、東京にある上野動物園を抜いて日本一になりました。見学者は道内だけでなく全国各地より見えています。この人気を出版業界が見逃すはずもなく、関連本や写真集が多数出され、よく売れております。
私も7月に地元商店街の招待旅行の引率者として行って来ましたが、ご年配のご婦人方にも非常に喜ばれました。
北海道は自然の宝庫。本の配達をしながら四季折々に色々な動物、キタキツネの親子やウサギ、キジ、エゾリスやエゾシカ等と出会います。
まだ出会っていないのはヒグマ。怖いもの見たさでいつかは出会う期待も?今年は道内各地で非常に多くのヒグマが出没。新聞折込でも注意!のチラシ。あなたの町でも入ってきますか(笑)。
厳しさも楽しみに、今日も地域を駆け巡っています。
(村上正人広報委員)
〔青森〕
10月8日から地元メディアの青森放送ラジオとのタイアップで「書店マナーアップキャンペーン」が始まりました。青森組合では昨年来、ポスターの制作や配布を通してこのキャンペーンを推進してきましたが、これをさらに推進する手立てはないかと検討。青森市の青森地区万引等非行防止協力会が制作した「万引き防止店内放送用広報テープ」と宮城県警察中央ブロック少年補導育成センター制作の万引防止ソング「マンボDEマンボー」に出会いました。そこで声や音による効果的な推進を私たちもできないかと考え、地元ラジオ局とタイアップしていくことに。毎週土曜夜放送中の番組で、万引防止・書店マナーアップにつながる①川柳(五七五の標語)②CM(CMのコンテや1分間のミニドラマ)③ソング(キャンペーンソング)の3部門で作品を募集、優秀作品には図書カードをプレゼントするというものです。優秀作品はカセットやCDにして学校放送に利用してもらえたらと思っています。(岡田浩樹広報委員)
〔秋田〕
秋田県小学校1校の平均図書購入決算額は28万円だ。学校図書館図書整備のために平成14年度からの5年間に毎年約130億円(総額約650億円)の地方交付税措置がされてる。文部科学省は学校図書館の整備に関する調査結果をまとめるとともに、学校図書館の計画的な利用を進めるよう各都道府県・指定都市教育委員会に通知している。公立小学校では神奈川県が66万4千円で最も高かった。山梨県(66万円)、沖縄県(62万1千円)、埼玉県(60万9千円)、群馬県(59万2千円)の順だった。一方、購入費が低かったのは、青森県(19万2千円)、島根県(22万5千円)、高知県(23万4千円)などだった。中学校では、愛知県(112万1千円)で最も高く、次いで神奈川県(107万8千円)、山梨県(91万7千円)、福岡県(82万7千円)、埼玉県(77万8千円)の順だった。購入費が低かったのは高知県(33万6千円)、青森県(35万6千円)、和歌山県(36万4千円)などだった。(木村和一広報委員)
〔岩手〕
懐かしい雄姿が甦った!10月8日から10日までの3日間、「デゴイチ」の愛称で知られるD51型蒸気機関車の「SL奥州義経号」がJR東北線の一ノ関―盛岡間を運行した。東北線同区間をSLが走るのは12年ぶり。汽笛を鳴らし煙を吐きながら疾駆する懐かしい姿をカメラに収めようと、線路沿いには多くの鉄道ファンが詰め掛けた。
初日は一ノ関駅で出発式典が行なわれ、JR、一関市関係者らでテープカット。鉄道ファンや家族連れを乗せた6両編成の機関車は一ノ関駅を出発し、車内ではスタッフが義経、弁慶に扮してサービス、記念の乗車証明書も配られた。水沢、金ヶ崎、北上の各駅でもイベントが催された。各日とも同駅間を1往復。514人分の乗車券は完売という人気だった。SLが復活するたびに多くの人が集まるのはなぜだろう。汽笛の音には日本人の郷愁を誘う何かがあるのか。(栗原秀郎広報委員)
〔山形〕
食欲の秋だが、ここ出羽米どころ庄内は「春は孟宗汁」「夏はだだちゃ豆・天然岩牡蠣」「秋はきのこ・温海蕉」「冬は寒鱈」。四季折々の鮮魚、果物、郷土料理も豊富で、各種雑誌に掲載されている。当地が掲載されている別冊クロワッサン『昔ながらのおかずをちゃんとつくるコツ』は発売以来660冊余の販売である。
さて、この2、3年続きそうな“藤沢周平ブーム?”である。山田洋次監督はキムタクで来秋公開、黒土三男監督は「次回も藤沢作品で撮る」と公表。ロケ地を訪ねて観光客も増えている。当地発『藤沢周平ゆかりの地図鶴岡海坂版』は8版2万3千部、『東京版』も8千部と現在も全国から受注。このたび鶴岡支部でセット商品化の『蝉しぐれ(文庫本+ゆかりの地図+庄内刺し子BООKカバー)セット』は贈答品で好評。新しい藤沢ファンを掴んでいる。(佐藤一雄広報委員)
〔宮城〕
宮城県は仙台空港のある岩沼市、名取市や山形、岩手両県などとの共同出資で「仙台空港アクセス鉄道」を設立しました。その総事業費は416億円。単線・電化高架形式の構造で平成18年度中開業予定で急ピッチで工事が進められています。
世界との交流時代を迎えて海外との玄関口となる空港および空港周辺地区の役割はますます重要になってきており、東北のゲートウェイ(玄関口)にふさわしい活力と魅力あるまちづくりが求められています。JR名取駅から仙台空港に至る延長約7・1㌔の鉄道で、さらにJR仙台駅と仙台空港駅間(17・5㌔)を乗り換え無しで運行。「杜せきのした駅」「美田園駅」が作られ、東北最大規模のショッピングセンターなど商業施設の開発も進み、周辺地域の商工会との話し合いが行なわれています。世界へつなぐ「仙台空港アクセス鉄道」の完成が楽しみです。(菅野喜広報委員)
〔福島〕
全国各地で読書週間に合わせて様々な催しが開催されるが、福島県書店商業組合が開業から運営指導している村営書店「ほんの森いいたて」では「メッセージコンテスト」を毎年行なっている。今年で8回目。本が読める人であれば年齢、性別は問わず、雑誌、コミック、書籍他、どんな本でも簡単な感想をメッセージ(100字程度)として応募していただくもので、入賞者20名には賞品(図書カード)が贈られる。受賞作品は、そのまま店頭のPOPとして大活躍!全国からの応募も受け付けるそうですので是非、皆様もご応募いかがですか!応募は「ほんの森いいたて」(〒960‐1803福島県相馬郡飯舘村)まで。高木店長からのメッセージ「全国でただひとつの公営の書店として、10年が経ちました。今年から、また新しい気持ちで、頑張っていきます。応援よろしくお願いします」。(大内一俊広報委員)

創立60周年の記念祝賀会開く/角川HD

角川ホールディングスは10月27日午後5時から東京・日比谷の帝国ホテルで「角川グループ創立60周年記念祝賀会」を開いた。同社は昭和20年11月10日、角川源義氏が創業。祝賀会が開かれた10月27日は源義氏の命日にあたる。
あいさつに立った同社・角川歴彦会長兼CEОは、早大在学中に角川書店に入社してまず営業を経験したこと、昔の角川書店は先代源義氏の方針でオリジナリティを追求するあまり世間の評価は高いが売りにくい出版物が多く、営業部は全国を飛び回って頑張った等のエピソードを披露し、「角川60年の歴史は苦難の連続だったが、全社員一丸となって乗り越えてきた。現在、リアルの出版、映像を取り巻く状況はたいへん厳しい。これからは出版、映像とインターネット事業の融合を図り、アメリカ、中国などワールドワイドな展開を図っていきたい。角川グループのポテンシャリティは非常に高い。今後もご支援を」と話した。
続いて大日本印刷の北島義俊社長が「戦後の焼け野原の中、創業を決意した源義氏の決意と苦労は大変なもの。今日、総合メディア企業として盛業を迎えているのは喜ばしいかぎり。企業は脱皮し続けることで成長する。メディアコンテンツプロバイダーとしてますます発展してほしい」と祝辞を述べ、乾杯した。
このあと紀伊國屋書店、日本生命保険、住友商事、バンダイに感謝状と記念品が贈呈された。

新刊紹介

日本で初めて避難所生活を送った盲導犬と、パートナーの女性とのエピソードをつづった本『震災にあった盲導犬クララ』が双葉社から刊行された。石黒謙吾構成、小山るみこ絵、四六判上製96頁定価千五十円。
昨年10月23日、長岡市に住む鍼灸師の中村良子さんは新潟県中越地震に被災。8年生活をともにしてきた盲導犬クララと町の体育館に避難した。衛生上の理由からペットは避難所から退出を求められたが、クララは「訓練を受けた特別な犬」との役場の判断で、全国で初めて避難所暮らしを許された盲導犬になった。
この本は『盲導犬クイールの一生』で知られる石黒謙吾氏が執筆を担当。中村さんの人生や最初の盲導犬ハイジとの出会い、クララとの心の交流や避難所での生活がイラスト40点と文章でつづられている。

売れる店づくりを/中部トーハン会総会で高須会長

中部トーハン会(高須博久会長)は10月18日午後1時より名古屋国際ホテルで第38回定例総会を開催。書店128名、出版社242名など410名が出席した。
総会の冒頭、高須会長があいさつ。「木野村会長からバトンタッチして1年。中部国際空港が開港し、愛知博も賑わった。業界は多くの課題を抱えるが、元気を取り戻すことが一番だ。NHKでスーパーから納入を断られ、行商を始めた築地の豆腐屋を紹介していた。周辺には一人暮しの老人が多く、買い物に困っていた。今は2万人の客が付き年商2億円にのぼる。書店は客のニーズを的確に捉えているか。どうコミュニケーションをとり、話を聞きだすか。中部トーハン会は販売集団として売れる店づくりを課題にしていきたい。雑誌の売上げ低迷が指摘されている。雑誌を支えるのは町の本屋だ。主食の雑誌を定期に結びつける方策を考えるとともに、トーハンも地域に根ざす本屋を育ててもらいたい」と注文した。
加藤登志雄副会長を議長に議案審議に入り、事業報告では全国トーハン会バリューアップコンクールで前期10位、後期16位、総合14位だったことが報告され、来期は10位以内達成を目指すことを確認した。また、読書推進事業として施設の恵まれない子らに「子どもの日に本を贈る」運動を継続する。
議案審議のあと、出版社を代表してあかね書房岡本雅晴社長は「朝の読書で750万人の小・中学生が本を読んでいる。文字・活字文化振興法のもとで身近に本のある環境作りを政官民一体で進めよう」と述べた。
トーハン小林辰三郎社長は出版界の現状について「全国1100店のPOS調査で7月は100・4、8月99・7、9月はハリポタ効果を除いて99・6%とやや明るさが見えてきた。バリューアップ販売コンクールは今年前半よかったが、後期はやや出遅れ。外販を含め強力な売込みを図って」とした。さらに11月から一部稼動する桶川計画推進の3つのお願いとして①ネットワーク形成のためSA機器導入、②POSデータ開示、③責任販売の意識共有を呼びかけた。
第2部では作家・志茂田景樹氏が「本から得られる感動と元気力」を記念講演。終了後、懇親パーティーを行った。

日販、ミニシアターを渋谷で12月オープン

日販は、ミニシアター「シアターN渋谷」を12月3日にオープンする。オープニング作品は、香港映画『ブレイキング・ニュース』。
日販はこれまで映像版権事業や映像製作などの事業を手がけてきたが、新たに映画館運営に着手したもの。「シアターN渋谷」のコンセプトは「本屋さんみたいな映画館」。書店のように幅広い年齢層のお客に満足してもらえる作品を選んで上映し、日販ならではの特色を打ち出す。もう一つの特色として、映画関連本をロビーに展示。ミニシアターを、映画を通して出版物の普及に貢献できる場所として位置づける。
シアターN渋谷の住所は、東京都渋谷区桜丘町24―4東武富士ビル2F。
シアター1が75席、シアター2が102席。

読書週間に226書店で読み聞かせ会/日販

日販は、10月27日に始まった読書週間に合わせ、全国の226書店で読み聞かせキャンペーンを実施している。
このキャンペーンは、読み聞かせ会を継続開催している取引書店に呼びかけ、読書週間にあわせ全国で読み聞かせ会を開催するもの。2001年秋から毎年春と秋に実施して好評を得ており、今回は43都道府県の226書店が参加する。
キャンペーン参加書店には、開催支援キットとして店頭告知用ポスター、参加した子どもへのおみやげ(自由帳)、保護者向け小冊子(絵本ガイドブック55)、スタンプラリーカードなどを提供。また日販は東海、福岡、鹿児島エリアで「おはなしマラソン」のラジオ番組を提供しており、参加書店の読み聞かせ会開催日程をそれぞれの放送エリアの番組内で紹介するなど、地域メディアと連携した活動へと発展させている。

本屋のうちそと

規制緩和による消費者利益の限りなき追求という今日の経済政策に対して、どう言えば生活者利益をもっと守るべきだと説明できるのだろうか。
民主党岡田前代表は「市場に任せるところは徹底的に任せる。しかし市場が関与しない子育て等は政治がきちんと役割を果たす」と選挙後も語っていた。私はこの考えは違うと思う。大企業をのみ利する急激な規制緩和政策ではなく、自営業や商店街を存続させることによって地域社会を継続させ、それにより少子化や介護・治安・ニート・失業の増加等の問題に対処すべきではなかったのか。
市場第一主義により地域の弱小小売業が淘汰されようと、それは古い小売業が効率化された結果でしかないという行き過ぎた競争社会の弊害こそが、今日の多くの政治や経済の問題を引き起こしてしまったのではないのか。
規制緩和という消費者利益の限りなき追求は、結局最後は当の消費者自身が新たな社会秩序維持の為の税金や中間利益の排除によるリストラや減給によって補うことになっているのではないのか。
チェーン店が街を席巻し商店街の画一化が進み、職業選択の自由から自営小売業が消えていく。しかしこの国の政府は今、安定した生活の基盤を国民に提供しようなどとは思ってはいない。規制緩和による新たな貧困層の誕生という階級格差こそが、米国のような貧しい移民が死に物狂いで働く姿にも似た、内需拡大の為の政策だと思っているようだ、と元・久我山住民は思う。
(海人)