全国書店新聞
             

令和元年10月15日号

決済手数料の増加、経営を圧迫/神奈川組合から意見書、政策委員会中心に対策検討へ/日書連理事会

日書連(矢幡秀治会長)は9月19日、東京都千代田区の書店会館で定例理事会を開催。神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)から提案された、キャッシュレス化に伴う決済手数料を出版社・取次も応分負担することと、ICタグ導入の2点を求める意見書について審議し、日書連として検討を進めることを承認した。
[政策委員会]
神奈川組合は8月23日に横浜市中区で開いた第42回通常総会で、日書連に対する意見書を採択。内容は①キャッシュレス化の進展に伴う決済手数料の増加は、書店の廃業の大きな原因の一つとなっており、出版社と取次にも応分の負担を求めたい、②書店現場の生産性向上のため、ICタグを導入してほしい――の2点。書店の廃業をこれ以上増やさないため、日書連が出版社・取次と協議するよう提案している。
神奈川組合の考えを説明した松信裕理事(神奈川)は、「政府はキャッシュレス化を推進している。非現金取引の増加に伴う手数料の増加が書店経営の大きな負担になっている。日書連は粗利益30%以上実現を目指して運動しているが、収益改善を図るための別の切り口として、出版社と取次に決済手数料について応分の負担を求めてもいいのではないか」と述べた。
面屋龍延副会長は「この20年間で、書店店頭での決済にクレジットカードの使用が大幅に増加。3~5%の手数料を支払い、売上げの1~3割に達している」と手数料が現場の重荷になっている現状を指摘。「手数料についての話し合いを行うことは、粗利益30%以上実現の運動を進める上でも大事なこと」と述べた。
日本出版インフラセンター(JPO)の理事を務める藤原直副会長は、出版業界のICタグへの取り組みを説明。「ICタグについてはJPO内に委員会を設置して検討・研究を始めたが、現段階ではコスト等の問題もあって進展していない。経済産業省とコンビニ各社による実証実験の動きなどをにらみながら、側面からでもプッシュしていきたい」と述べた。
矢幡会長は「キャッシュレス決済に伴う手数料増加への懸念の声は色々なところで聞いている。日書連としては、粗利益30%以上実現を目指す運動の中で、出版社・取次と手数料の問題を話し合っていきたい。ただキャッシュレス化は政府が推進しているので、政府に訴える方法も探っていきたい。ICタグの導入については事あるごとにプッシュしていく」と述べ、神奈川組合の提案について政策委員会を中心に検討を進めていく方針を示した。
このほか政策委員会では、2013年6月から3期6年にわたり会長を務め、今年6月に退任した舩坂良雄前会長の相談役就任を承認した。
また、本の学校が10月27日に東京・千代田区の専修大学神田キャンパスで開催する「本の学校出版産業シンポジウム2019in東京」の協賛を承認した。
[指導教育委員会]
鈴木喜重委員長は、書店が生き残るための粗利益30%以上実現を目指す運動で、書店環境改善実務者会議や出版社・取次への訪問、「出版業界3者『実務者会議』への試案」の公表など、今までの活動について改めて説明した。
面屋龍延実務者会議座長は、昨年11月、粗利益30%以上の実現について書店の立場から考えをまとめた「試案」を作成。これを持って出版社・取次と再度意見交換を行い、街の書店の経営を維持するための施策や、返品を減らすため現在の制度の見直しを検討する協議会の立ち上げなどを提案した経緯を説明した。
[読書推進委員会]
春井宏之委員長は、今年から日書連が事務局を務める「本の日」について①図書カードプレゼントキャンペーン、②1日店長イベント、③ブックカバー大賞、④雑協会員社の雑誌へのPR広告掲載――を軸に展開すると説明し、「本を読む人を増やさなければ業界は良くならない。積極的にチャレンジしたい」と述べた。矢幡会長は「業界あげてのキャンペーン。協力してほしい」と呼びかけた。
また、来年4月20日~30日に実施する第24回「春の書店くじ」で、店頭活性化活動の一環として行っていた書店くじ50枚の無料配布を再開すると報告した。
[組織委員会]
中山寿賀雄委員長は、各都道府県組合の加入・脱退状況を報告。6月期は加入2店・脱退15店で13店純減、7月期は加入2店・脱退10店で8店純減、8月期は加入なし・脱退10店で10店純減し、8月末現在の日書連の推定所属員数は3070店になった。
また、全国に10あるブロック会(北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)の位置づけを明確化するため、各ブロック会の規約や活動実態について調査していると報告した。
[流通改善委員会]
藤原直委員長は、18日開催の同委員会の中で行われた、JPO・渡辺政信専務理事らによる「出版情報登録センター(JPRO)の現状と今後」の説明会の模様を報告。書店・図書館向けに近刊情報・既刊情報を発信する「BooksPRO」を来年3月から提供すること、情報の一元化を図り業界統一インフラの構築を目指すことなどの説明があったとした。
また、公共図書館プロジェクトから活字文化議員連盟に提出された「公共図書館―『新しい公共』の実現をめざす―」(答申)の冊子が作成されたと報告。図書納入で地域書店を優先するよう、この冊子を活用して各自の地元で働きかけてほしいと呼びかけた。
[取引改善委員会]
柴﨑繁委員長は、返品現地処理の問題について報告。出版社や取次と意見交換を重ね、着実に前進していると手応えを語った。
[広報委員会]
面屋龍延委員長は、5月以降、計27組合の総会記事を全国書店新聞に掲載したと報告。「組合活動を組合加入書店に知らせるため、各都道府県の広報委員は総会・理事会は必ず取材し、全国書店新聞編集部に記事を送ってほしい」と求めた。また、各組合の総会・理事会開催月を調査し、総会・理事会記事の掲載促進に役立てたいと述べた。
[書店再生委員会]
渡部満委員長は、直近の再販相談事例はなかったことを報告した。

新理事に鈴木、平井、森の3氏/日書連・小売公取協臨時総会

日書連は9月19日、東京・千代田区の書店会館で臨時総会を開催。役員補充選挙を行い、退任した西猛(福島・西沢書店)、舩坂良雄(東京・大盛堂書店)、山本秀明(広島・金正堂)の各理事に代わり、新理事に鈴木雅文(福島・昭和堂書店)、平井久朗(東京・ビーブックス)、森朗(広島・森書店)の各氏を選任した。
出版物小売業公正取引協議会は9月19日、東京・千代田区の書店会館で臨時総会を開催。役員補充選挙を行い、退任した西猛(福島・西沢書店)、舩坂良雄(東京・大盛堂書店)、山本秀明(広島・金正堂)の各理事に代わり、新理事に鈴木雅文(福島・昭和堂書店)、平井久朗(東京・ビーブックス)、森朗(広島・森書店)の各氏を選任した。

第8回「九州選書市2019」/過去最多135社が出展/157書店・269名が来場

第8回「九州選書市2019」(主催=福岡県書店商業組合、共催=佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島各県書店商業組合)が9月18日に福岡市中央区の電気ビル共創館みらいホールで開催された。
九州選書市は、過去最多の135の出版社・業界関連会社が出展。3階会場に地元出版社と児童書出版社の29ブース30社、4階会場に102ブース105社の2会場で開催され、157書店269名が来場した。
開催にあたってはトーハン会・日販会両会の協力を得るとともに、トーハン・日販・大阪屋栗田・日教販の各取次には準備・企画・運営の全段階でサポートを受けた。また、天龍運輸・テジマ両社の協力により、「案内状」「出展出版社紹介パンフレット」を九州各県及び山口の全書店に配送した。さらに、LINEFukuokaの協力の下、初の試みとしてLINEの「OpenChat」を利用して参加書店・出展出版社でリアルタイムの情報交換を行った。選書市終了後も閉鎖せず情報入力が可能で、来年以降の選書市でも引き続き使用する予定。
開催に先立ち行われたセレモニーで、「九州選書市2019」実行委員会の安永寛委員長(福岡県書店商業組合理事長)は「今日は積極的に書店に会い、売り込んでいってほしい。九州は東京・大阪に比べるとだいぶ売上げが少ない。以前は版元さんが九州隅々まで営業に回っていたが、今は予算の関係上難しくなった。今日は九州一円からたくさんの書店が来る。是非版元の皆さんには書店を捕まえて仲良くなり、自社のファンを作って欲しい。100人ファンを作ったら100冊本は売れる。それぐらいの意気込みで頑張ってほしい」とあいさつした。
選書市は午前10時に開会し、昨年より終了時間を1時間延長して午後5時までとした。イベント会場では昨年も好評だった「絵本の読み聞かせの基本講座」「POP作成講座」が実施された。
実行委員会では、出版社・書店に喜ばれる選書市を今後も目指し、来年以降も改善を進めて開催していくとしている。
(加来晋也広報委員)

台風被害の書店に見舞金/書店環境改善へ活発な議論進める/千葉総会

千葉県書店商業組合(鈴木喜重理事長)は9月24日、千葉市中央区の千葉県書店会館で第36期通常総会を開催し、組合員49名(委任状含む)が出席した。
総会は中島浩副理事長の司会で進行し、仁木俊行副理事長が開会の辞。あいさつを行った鈴木理事長は、「書店の業績が良くないので皆さん苦心のうえ工夫して営業していると思う。お互いに成果を持ち寄って、組合として書店が書店らしくやっていけるようにしていきたい」と前置きし、書店の粗利益30%以上実現を目指す日書連の運動について言及。業界3者による「実務者会議」の開催や、主要出版社・取次を再度訪問し、街の書店の経営を維持するための施策等について提案を行ったことを説明し、今後さらに日書連で議論を活発にさせていきたいと述べた。
続いて鈴木理事長を議長に選任して議案審議を行い、第36期事業報告、収支決算書、監査報告、第37期事業計画案、収支予算案など全ての議案を原案通り承認可決した。
第36期事業報告では、3つの県立図書館への図書納入や、組合員への図書・暦・県民手帳の販売、図書館への図書装備による収入からなる共同販売事業収入は、前期比で大幅増となったことを報告した。第37期は、①官公庁、業務用資材の共同販売事業②会館の貸付利用事業③組合支部組織の活性化④日書連における書店経営健全化への推進⑤出版物再販維持運動の継続――等の事業計画を推進する。
また、台風15号による被害状況について組合員にアンケート調査を行い、その報告を元に被災書店に見舞金を支給したいと鈴木理事長から提案があり、これを承認した。
総会終了後は、出版社、取次などを交えて懇親会を開催した。

二階堂衞司理事長を再選/「消費冷え込みへ対策を」/大分総会

大分県書店商業組合(二階堂衞司理事長)は9月26日、大分市の大分図書で第35回通常総会を開催、組合員31名(委任状含む)が出席した。
総会は渕副理事長の開会宣言で始まり、議長に二階堂理事長を選任して議案審議を行った。
第1号議案は、決算書報告を事務局の甲斐氏より、監査報告を藤井監事より行い、承認を得た。
第2号議案では、任期満了に伴う理事・監事の選任を行い、理事11名・監事2名を選任。別室で理事長・副理事長の互選を行い、二階堂衞司理事長(二海堂書店)、渕英樹副理事長(渕書店)、樋口純一副理事長(ブックスプラザひぐち)を再選した。
二階堂理事長はあいさつで10月からの消費税増税について触れ、「駆け込み消費は、税率が5%や8%に引き上げられた時のようには起きておらず、消費者の財布のひもは固くなったようだ。出版業界からの軽減税率適用の要請は見送られたが、運動は続けていくべきだ」と述べたほか、大分県内の事業所のうちキャッシュレス・ポイント還元事業の登録は約20%となっていると説明。増税後の消費冷え込みへの対策として、同事業への登録の必要性を指摘した。
日書連活動については、街の書店の減少を食い止めるため、粗利益30%以上実現の運動を今後も続けていくと説明。また、「先日行われた九州選書市で、参加書店から独自の書棚づくりの話をよく聞いた。今こそそれが必要なのではないか」と述べ、11月1日から行われる「本の日」キャンペーンなどを活用して書店からの消費者離れを防いでいこうと呼びかけた。
第3号議案では新年度予算案を承認。最後に二階堂理事長の閉会宣言で総会を終了した。
(大隈智昭広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「銀座名物!本の露天販売」/東京・教文館取締役・森岡新

「いかがですかー、本日発売でーす」
銀座四丁目に美声?がこだまするのは、華やかなりし90年代。間口の狭い入口を縦横無尽に使って、まるで花壇のように商品を並べ、銀座通りの路上を1つの売場にするのです。道路交通法上違反とは知りつつ勢いに任せて、なんとなく許されていたようです。
雑誌の創刊ラッシュもあり、売る喜びに満ち溢れ、店頭販売は好調に続きました。
閉店後の夜の時間は、前社長中村義治による名物露天商が始まります。棚を整え、売筋商品を散りばめて、我々はお役御免です。銀座通りを行く粋な面々や業界人との何気無い濃い会話を楽しんでいた、根っからの商売人だったことが思い出されます。
本屋は、静かで比較的待ちの商売ですが、表に定期的に出て行き、出来立ての旬の商材をアピールする商法は、近隣へ迷惑をお掛けしたかも知れませんが、店も銀座も盛り上げたい一心でした。
92年の『一杯のかけそば』はその中でも印象的な出来事で、顔を上げる暇もないほど飛ぶように売れる、正にそんな体験をしたものです。『ハリー・ポッターと賢者の石』『ミシュランガイド東京』等、新しいものが世に出て行く様を露店で見てきました。
店頭から見える景色は変わらず華やかですが、道行く人は忙しく、対面販売の難しさも変わらない中、売る喜びを体感して欲しいと思っています。

訃報

高市健次氏(たかいち・けんじ=帯伊書店代表取締役社長、和歌山県書店商業組合理事長、日書連理事)
10月1日に逝去した。享年67歳。通夜は10月4日、告別式は同5日、和歌山市の吹上ホールで営まれた。喪主は妻の知佳子さん。

雑誌発売日励行委員会京都・滋賀が合同会議/滋賀で深刻な違反事例

京都府と滋賀県による「雑誌発売日励行委員会京滋合同会議」が9月6日、京都市中京区のモリタ屋木屋町店で開催された。
京都6名、滋賀4名、取次4名の計14名が出席した合同会議は、川勝委員長の開会宣言の後、議事を行った。
京都地区からの発売日違反報告はなかったが、滋賀地区からは平井副理事長(文平堂書店)の指摘により名神高速道路のパーキングエリア(PA)2ヵ所で複数の週刊誌の前日販売が確認されたとの報告があった。対策として卸元の販売会社に連絡し、その結果、翌週には対応が取られ、前渡しされているものの早売りはなかった。しかし、報告書によれば、このPAでは以前から違反が繰り返されており、看過できない深刻な事態として議論が白熱した。
議事終了後、滋賀県の寺岡委員長(小学館パブリッシング・サービス大阪営業部)が閉会あいさつし、いったん持ち帰って本部委員会にも上程するとした。
この後、懇親会を行い、京都組合・犬石理事長(犬石書店)の発声で乾杯。歓談の後、滋賀組合・吉田理事長(ヨシダ書店)の中締めのあいさつで終了した。
(若林久嗣広報委員)

書店関係では木野村、村田、今西3氏を顕彰/出版功労者顕彰会

日本出版クラブは10月4日、神奈川・箱根芦ノ湖畔の出版平和堂で「第51回出版功労者顕彰会」を執り行い、次の11氏を出版功労者として新たに顕彰した。
▽版元関係=中島朝彦(同文舘出版代表取締役社長)、浜田博信(講談社代表取締役副社長)、淺香淳(音楽之友社代表取締役社長)、植田康夫(読書人代表取締役社長)、小峰紀雄(小峰書店代表取締役社長)▽取次関係=鈴木一郎(大阪屋代表取締役社長)、志村永一(東京出版販売専務取締役)、秋山秀俊(中央社代表取締役社長)
▽書店関係=木野村祐助(東文堂本店代表取締役社長)、村田正喜(学友堂代表取締役)、今西英雄(今西書店代表取締役)

「ブックスプロ」来年3月に提供開始/出版情報登録センター説明会

日本出版インフラセンター(JPO)は9月17日、東京・千代田区の一橋講堂で出版情報登録センター(JPRO)説明会「~JPROMORE―出版社・取次会社・書店・図書館をつなぐ『今』と『未来図』~」を開催した。第1部では来年3月提供予定の書店・図書館向け出版情報提供サービス「BooksPRO」(ブックスプロ)、第2部では10月以降の電子出版物登録新方式について説明した。
ブックスプロは、書店や図書館といった書籍のプロへ向けて情報の「見える化」を目指すもの。最大半年先までの近刊情報や既刊情報と、重版情報やプロモーション情報も提供。情報一元化と情報格差解消を図るとしている。
説明会の冒頭、JPO・相賀昌宏代表理事(小学館)は「JPOに未加盟の出版社は加盟を検討していただきたい」、トーハン・川上浩明副社長は「トーハンが進めるマーケットインのインフラとなるのがJPROデータ。ブックスプロの活用については最大限の協力体制で臨む」とあいさつした。
第1部では、はじめにスペシャルゲストとして紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長が登壇。「ブックスプロでは近刊の試し読みができ、内容を吟味した上で書籍を事前に発注できるようになる。取次や出版社の受発注サイトにリンクすることで、書店からの発注業務が一段と効果的になる。登録件数をさらに増やし、出版前情報の登録を100%に」と期待を寄せた。
続いて、JPRO管理委員会・柳本重民委員長(集英社)と同・田中敏隆委員長代理(小学館)が「JPROの今と未来図」と題して発表した。
JPROの基本書誌情報登録数は15年の76万点から19年の237万点へと、発足から4年間で3倍に急成長。近刊情報登録率も今年7月に70%を超え、書籍新刊委託扱いでは75・2%に達したことを明らかにし、電子出版物については現在の20万点から50万点を目指すとした。出版社には「早い登録」「質の高い情報」「多くの点数の登録」の3点を求めた。
ブックスプロについては、将来的に「s-book」「Webまるこ」「WebHotLine」「Bookインタラクティブ」「TONETS-V」「NOCS7」といった注文サイトや近刊予約との連携も視野に入れているとして、「書店が選ぶ売りたい本を売りたいだけ仕入れるマーケットインを目指す」ことを説明した。
このあと、田中氏をコーディネーターに、原書房・成瀬雅人社長、ダイヤモンド社・井上直取締役、三省堂書店・亀井宗雄専務、日販・安西浩和専務、柳本委員長をパネリストに迎え、パネルディスカッションを行った。
最後に、日書連・矢幡秀治会長(真光書店)が「書誌情報の一元化は非常に重要。書店も協力していきたい」とあいさつした。

大阪屋栗田、楽天ブックスネットワークへ社名変更/11月1日から

大阪屋栗田(服部達也社長)は10月4日、11月1日に「株式会社大阪屋栗田」から「楽天ブックスネットワーク株式会社」へ社名を変更すると発表した。
社名変更により、親会社である楽天とのシナジーをより強固なものにするとともに、出版社等の株主各社との連携のもと、書店へのサービスネットワークをさらに拡充することを目指すとしている。

売上高前年比3・7%の減/売上総利益率は1・30ポイント減/日販『書店経営指標』

日販は、全国74企業615店舗の経営関連データを収集分析した『書店経営指標』2019年版を発行した。企業ベースの主な実績をみると、売上高は前年比3・7%減、売上総利益は同4・3%減。Book専業・複合別に売上総利益を比較すると、Book売上構成比が80%以上の専業企業は同8・4%減となったのに対し、50%以上80%未満の複合企業が同4・0%減、25%以上50%未満の複合企業が同1・3%減と、複合化が進むにつれて増加する結果となった。
『書店経営指標』の企業編では、書店事業以外の事業の拡大に伴い、調査集計を企業の全売上高に占めるBookの売上構成比が25%以上とし、Book売上構成比が80%以上の企業を「Book専業」、50%以上80%未満を「Book複合1」、25%以上50%未満を「Book複合2」として分析している。
主な商材の売上高は、全体平均でBookが前年比5・3%減、文具が6・5%増、レンタル・セルが同8・8%減だった。売上高構成比の全体平均は、Bookが62・3%、文具が9・1%、レンタル・セルが12・7%。
企業ベースで実績をみると、収益性の総合指標である総資本対経常利益率の全体平均は0・86%で、同0・19ポイント増加した。「Book専業」では0・61%と同1・92ポイント増加し、4年ぶりのプラスとなった。自己資本対経常利益率は同2・18ポイント増加し5・19%。「Book専業」は4・75%で、同6・56ポイント増と大きく改善した。
売上総利益率は全体平均が26・53%で、同1・30ポイント減。「Book専業」では同0・70ポイント減少し23・02%だった。経常利益率は0・44%と同0・07ポイント減少したが、「Book専業」では同0・21ポイント増の0・11%と、4年ぶりのプラスになった。
総資本回転率は、高いほど資本活用率が良いが、全体平均は1・38回で、同0・44回減。「Book専業」では同0・44回減少し1・14回だった。粗利益率と回転率から在庫効率をはかる商品投下資本粗利益率は、高いほど良い。全体平均は107・45%で、同14・72ポイント減少した。特に「Book複合2」では176・23%と同60・19ポイント減少している。商品回転率は4・05回で、同0・34回減。「Book専業」では3・48回と同0・05回増加したが、「Book複合2」では5・15回と同1・88回減少している。
返済義務のない自己資本の割合を表す総資本対自己資本比率は、全体平均が11・51%で、同5・79ポイント減少した。短期的な支払能力を示す流動比率は102・46%で、同17・17ポイント減少。短期的な負債に対する支払能力を示す当座比率は28・52%で、同5・02ポイント減少した。
店舗ベースの売上高は全体平均で同2・8%減だった。立地別にみると、最も高い立地は「駅前」で0・8%減、低い立地は「郊外」で4・2%減。収益性では、売上総利益率の全体平均は、同店舗で比較した場合に同1・0ポイント増の29・1%、営業利益率は同0・4ポイント増の2・5%だった。売上総利益率が最も増加した立地は「商店街」で同1・1ポイント増の26・6%、営業利益率が最も増加したのは「駅前」で同1・0ポイント増の2・1%となった。
〔調査企業の内訳〕
▽Book専業・複合別=「Book専業」27・3%、「Book複合1」48・5%、「Book複合2」24・2%
▽収益(経常利益率)別=「1%以上3%未満」10・3%、「0%以上1%未満」51・8%、「0%未満」37・9%
▽売上規模別=「100億円以上」27・6%、「50億円以上100億円未満」10・3%、「10億円以上50億円未満」34・5%、「10億円未満」27・6%
『書店経営指標』2019年版(B5判58ページ、頒価本体1500円)に関する問合せは、日販営業推進室出版流通学院まで。℡03(3233)4791

11月6日にBOOKEXPO2019

今年9回目を迎える書店向け商談会「BOOKEXPO2019秋の陣~楽しめ!書店人~」が11月6日(水)午前11時~午後6時(午前10時40分にセレモニー)、大阪市北区のグランフロント大阪で開催される。同実行委員会(洞本昌哉実行委員長)が主催、日書連など後援。
今回は過去最多の238社249ブースが出展。当日は「西日本POP王決定戦」の表彰式や、児童書コーナーの専用イベントスペースで絵本作家谷口智則氏のサイン会&ワークショップ、「OsakaBookOneProject」第7回受賞作『天下一の軽口男』の著者木下昌輝氏のサイン会など、盛りだくさんのイベントを行う。
問い合わせは同実行委員会事務局の出版文化産業振興財団(JPIC)まで。℡03(5211)7282、電子メール