全国書店新聞
             

令和元年9月15日号

書店312名来場、活発に商談/日本ど真ん中書店会議

東海3県の書店商談会「第3回日本ど真ん中書店会議」が8月28日、名古屋市千種区の名古屋中小企業振興会館(吹上ホール)で開催された。同実行委員会が主催、愛知県書店商業組合・岐阜県書店商業組合・三重県書店商業組合が共催、日書連など後援。会場には出版社や第3商材メーカーなど146社(昨年143社)が出展、書店312名(同316名)が訪れ、商談や情報交換を行った。また、東海3県の書店員と図書館員の投票で決める「第3回日本ど真ん中書店大賞2019」の表彰式を行い、小説部門の大賞を『カモフラージュ』(集英社)で受賞した元SKE48で女優の松井玲奈さんらに賞状と記念品を贈呈した。「日本ど真ん中書店会議」は、愛知・岐阜・三重の書店員と出版社、取次が年に1度集まり、新刊やフェア商品などの商談や交流を行う場。仕入れや情報交換から店頭を活性化し、出版文化の発展に寄与することを目的としている。
開会式で主催者を代表してあいさつした春井宏之実行委員長(愛知県書店商業組合理事長、正文館書店)は、「一番の問題は本が売れないこと。我々の業界はお客様に本を売ることに重点を置いてやってきたが、買った後に読んでもらえているかというところに気持ちを変えていかないとリピートしてもらえない」と指摘。「大人は本を読んでいるだろうか。本を読む人は強い。読書の習慣を身につけてもらえるようサポートすることが我々の役割。様々な仕掛けをしていきたい」と話した。
続いて「第3回日本ど真ん中書店大賞2019」の表彰式を行い、同大賞・髙須大輔事務局代表(豊川堂)から小説部門、ご当地部門の各受賞者に賞が贈られた。
表彰式終了後、商談会および受賞者らによる書店向けサイン会を開催した。
【第3回日本ど真ん中書店大賞/松井玲奈さん、作家デビュー作が受賞】
愛知・岐阜・三重の東海3県の書店員と図書館員が「読者に本当に届けたい本」を選定する「第3回日本ど真ん中書店大賞2019」が8月28日発表され、小説部門の大賞に元SKE48で女優の松井玲奈さん=愛知県豊橋市出身=の作家デビュー作である短編小説集『カモフラージュ』(集英社)を選んだ。
東海3県の書店商談会「第3回日本ど真ん中書店会議」に合わせて、名古屋市千種区の名古屋市中小企業振興会館(吹上ホール)で開かれた表彰式で、同大賞・髙須大輔事務局代表(豊川堂)から松井さんに賞状と記念品が贈られた。
同賞は2017年に設立。今年は354名による「小説部門」「ご当地部門」への投票の結果、松井さんの『カモフラージュ』が小説部門の大賞を受賞した。
発表に先立ち、髙須事務局代表は「書店員と図書館員が自らの手で受賞作を選び、店頭で展開し、業界を盛り上げていくことを目的に創設した賞。明日から、受賞した書籍を店頭で展開し、多くのお客様に届けたい」とあいさつした。
表彰式であいさつに立った松井さんは、「子供の頃から本を読むことが大好きだった。本離れが進んでいる中で1人でも多くの人に本を手に取ってもらえるよう、これから先も小説を書いて、読書が楽しいことだということを知ってもらえるよう発信していきたい」と受賞の喜びを語った。
表彰式の後に行われた記者会見で、松井さんは「子供の頃から本が大好きで、家族で出かけるときに一番うれしい場所は本屋さんだった。『カモフラージュ』が発売され、自分の書いたものが大好きな本屋さんに並んでいるのを見たときはうれしかった。本屋さんや図書館の人たちに評価され、この賞をいただくことができて光栄でありがたいと思う」と話した。
同賞ご当地部門は、愛知県=久住祐一郎さんの『三河吉田藩・お国入り道中記』(集英社インターナショナル)、岐阜県=かのうゆきさんの『奇跡は段ボールの中に』(中部経済新聞社×ZENSHIN)、三重県=堂場瞬一さんの『帰還』(文藝春秋)の3作品が受賞した。

春の書店くじ立て替え金を振り込みました

今春実施した「2019春の書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等5千円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認くださいますようお願いいたします。
日書連書店くじ係

「キャッシュレス化」手数料支払い重く/出版社、取次も応分の負担を/神奈川組合総会で意見書採択

神奈川県書店商業組合は8月23日、横浜市中区の平和会館で第42回通常総会を開き、出版社と取次がキャッシュレス化に伴う手数料で応分の負担を行うことと、ICタグの導入について協議を行うよう日書連に求める意見書を採択した。
総会は組合員78名(委任状含む)が出席。冒頭あいさつした松信裕理事長(有隣堂)は「消費税率引き上げで売上減が襲ってくることは目に見えている。知恵を出して1冊でも多く売りたい。やり方は規模や立地によって千差万別だが、本の落ち込みの部分を何かで補う技が必要」と述べた。
議案審議では平成30年度事業報告、決算並びに監査報告、令和1年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認した。
意見書を説明した松信理事長は、「政府はキャッシュレス化を進めている。我々がカード会社に支払う手数料は平均3%程度。店頭での非現金取引の割合が5割を超えることも考えられる。なぜそのコストを書店だけが負担しなければならないのか。このまままでは書店は死んでしまう」と訴え、出版社と取次にも応分の負担を求めたいとした。
ICタグの導入ついては「書店には万引き対策や店頭での検品、棚詰め、返品対応などのメリットがある。版元も責任販売制による返品の減少、製本コストの削減や検品・棚卸のコスト削減などのメリットがある」と説明。「プロダクトアウトからマーケットインへの流れの中、近刊情報を得て書店自ら選んで仕入れる世界になった時、ICタグは力を発揮する。紙の本が生き残るため導入しなければならない」と述べた。
総会終了後、華正楼に会場を移して懇親会を開催。あいさつに立った日書連・矢幡秀治会長(真光書店)は、キャッシュレス化の手数料について「書店の低い利益率でこれ以上手数料負担が増えると厳しい。ただ、それは出版社と取次ではなく、国に対して主張していくべき」と指摘。ICタグについては「色々なことに使える。同じ品物でも買切商品と委託商品をICタグだけで区別できれば分かりやすい」と述べた。
また、図書館、再販、輸送運賃、正味等の諸問題を挙げ、「業界3者が利益をあげることのできる形を作りたい」と意欲を語った。

消費税率変更に伴う購読料改定のお知らせ

19年10月1日に施行される消費税率変更に伴い、本紙購読料は19年10月1日以降の新規契約ならびに更新分より、現在の年間7560円から年間7700円に改定します。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

「書店のファンを増やそう」/林田芳幸理事長を再任/奈良組合総会

奈良県書店商業組合は8月21日、橿原市の橿原観光ホテルで第35回通常総会を開き、組合員19名(委任状含む)が出席。任期満了に伴う理事選挙で理事10名を再任し、新理事による第1回理事会で林田芳幸理事長(啓林堂書店)を再任した。
総会は森谷勝則理事(森谷書店)の司会で進行。林田理事長は「厳しい状況だが、考え方や人生を左右するような本に出会ってもらえるような書店は必ず必要。それぞれがプラスアルファして個性のある店を作り、書店を守っていこう」とあいさつした。
春名貞夫副理事長(サン書房)を議長に議案審議を行い、平成30年度事業報告、決算報告、監査報告、令和1年度事業計画案、予算案を原案通り承認可決。役員改選で理事、監事を決め、新監事に藤木公博氏(藤木書店)を選出した。
続いて、税務署による「税務申告における消費税及び軽減税率への対応について」の説明会を行い、庫本善夫事務局長のあいさつで閉会した。
出版社や輸送関係者ら約45名が参加して懇親会を開催。林田理事長は「世の中の変化は激しい。書店も変わらなければ。子供たちにも笑顔で書店に来てもらって、書店のファンを増やさなければならない」と呼びかけた。西日本出版社・内山正之社長の発声で乾杯した。(靏井忠義広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「名物イベントに育った『論語塾』」/兵庫・井戸書店代表取締役・森忠延

待っていてもお客様はお越しにならない。お店が地域の人たちのお役に立てば、ファンが増え、本を買うなら井戸書店でとなるはず。地域の課題は無いか。
地域の小学校のPTA会長を経て、学校評議員の一員の折り、子どもたちや保護者のマナーを問題視する意見がありました。井戸書店で力になれないか。世の中では「論語塾」が開催されていることを知り、校長先生に早速こう告げました。「井戸書店で月に一度、論語塾を開催します!」「板宿子ども論語塾」と名付け、2011年11月からスタートしました。何人集まるか不安でしたが、小学5年生の女子と彼女の5歳の弟、そして校長先生ともう一人の教員。ここで自らも学ぼう、教えることは一番の学びと信じ、毎月2章句の「論語」を音読し、現実に起きている事件や騒動を例に挙げながら解説しています。その後、一時は30名以上の子どもたちが日曜日の早朝に集まる寺子屋になりましたが、今は4名だけ。白川静先生の漢字学を教える方が加わり、「論語塾+漢字塾」のスタイルを継続すること90回を超え、井戸書店の名物イベントに育ちました。
2500年前の孔子の教えである「論語」はまったく古びず、今でも店頭で売れる商材であることは間違いありません。

粗利改善、全国規模の取組みで/吉田徳一郎理事長を再任/滋賀総会

滋賀県書店商業組合は8月22日、守山市のライズヴィル都賀山で第36回定期総会を開催。任期満了に伴う役員改選で吉田徳一郎理事長(ヨシダ書店)を再任した。
冒頭あいさつした吉田理事長は「困難な状況に置かれている書店業界の諸問題は都道府県単位で解決することは難しい。全国的な規模の取り組みが必要」と強調し、最も重要な課題として①粗利30%以上の獲得、②出版物への軽減税率適用、③キャッシュレス化への対応――の3点を挙げた。また、9月30日に放送が始まる滋賀県甲賀市信楽地区を舞台としたNHK連続テレビ小説「スカーレット」に関連して、店頭の盛り上げを図りたいとした。
議案審議では平成30年度事業報告、会計報告、令和1年度事業計画案、予算案などを担当役員が説明し、すべての議案を原案通り承認した。
任期満了に伴う役員改選は、選考委員による指名推薦で理事13名、監事1名を選出。新役員による第1回理事会を開き、吉田理事長を再任した。
来賓の滋賀県中小企業団体中央会・中嶋繁総務課長が祝辞を述べ、閉会した。
総会終了後、『白洲正子と歩く琵琶湖』などの著書で知られる滋賀県文化財保護協会普及専門員、大沼芳幸氏が「地元滋賀をより良く知る講演会」と題して講演。続いて、第48回京都新聞社「お話を絵にするコンクール」課題図書販売優良店の表彰を行った。
(川瀬浩太郎広報委員)

兵庫・三和書房が金賞/「辞書を読む」飾り付けコンクール

出版文化産業振興財団(JPIC)は、第7回「辞書を読む」ブックフェア(3月下旬~5月上旬、約1200店参加)の飾り付けコンクールの受賞店を決定し、71店の応募の中から14店を選んだ。金賞には兵庫・三和書房が輝いた。
▽金賞=三和書房(兵庫)▽銀賞=宮脇書店神戸北店(兵庫)明文堂富山新庄経堂店(富山)博文堂書店那須塩原店(栃木)▽銅賞=喜久屋書店帯広店(北海道)紀伊國屋書店札幌本店(北海道)デューク書店箕面店(大阪府)戸田書店静岡本店(静岡)大垣書店東光ストア円山店(北海道)ブックスアルファ能代SC店(秋田)ブックスタマ小作店(東京)芳林堂書店高田馬場店(東京)堀廣旭堂(大阪)明林堂書店小林店(宮崎)

小学館、中公の増売企画に取組み/東京理事会

東京都書店商業組合は9月3日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
総務・財務委員会では、舩坂良雄理事が日書連理事を辞任したことに伴う日書連への補欠理事候補者について、平井久朗副理事長を推薦することを承認した。
また、10月26日~27日開催の第29回神保町ブックフェスティバルの後援名義使用について承認。出品を希望する支部及び青年部は9月25日までに事務局へ連絡するよう要請した。
事業・増売委員会では、小学館から、新学習指導要領に対応するビジュアル図鑑『キッズペディア歴史館~日本史の大事件そのとき世界は~』(2020年1月29日発売予定)について説明。また、古代から江戸時代までの名刀200本を紹介・解説する『名刀大全』(20年1月23日発売予定)について説明した。
中央公論新社は『マンガ日本の古典』全32巻セットについて説明。報奨金付きの特別増売企画として、全組合員に1セットを配本して実施する。特製トートバッグを付け、条件は4ヵ月長期委託。

東京組合研修会「キャッシュレス決済対応」テーマに講演/全国書店再生支援財団理事・髙島瑞雄氏

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は8月29日、東京・千代田区の書店会館で平成31年度書店経営研修会を開き、全国書店再生支援財団理事の髙島瑞雄氏(福島県・高島書房)が「書店のキャッシュレス決済対応について」と題して講演。政府が中小企業のキャッシュレス決済を推進する背景や、同財団が進める「キャッシュレス支援事業」について説明した。講演の概要を紹介する。
〔消費者は還元の有無で店を峻別〕
10月の消費税増税に伴い、政府は10月から来年6月までの9ヵ月間、中小・小規模事業者の店でキャッシュレス決済をした時、消費者にポイントで還元する施策を行う。中小企業の個別の店舗は5%還元となる。全国書店再生支援財団は、中小書店支援策の第1弾として「キャッシュレス支援事業」を進めていて、キャッシュレス決済端末の斡旋や低率の手数料率を希望する書店組合について、加盟する各書店に事業の案内を送付した。東京組合の皆さんには、財団が指定するキャッシュレス決済事業者である三菱UFJニコスから申込み書類が届いていると思う。
皆さんの中で、クレジットカードや、suica、WAON、nanaco、Edyなどの電子マネーを持っていない方、QRコード決済をしたことがない方はどれだけいるだろうか。挙手の様子をみると、この会場では1人だけのようだが、自分のお店に来ているお客もこのような状況だということだ。ほとんどのお客は10月以降ポイントバックを期待してくるということ。政府のポイント還元事業に加盟店登録した店には、「当店は5%ポイント還元の店ですよ」というポスターが配布される。隣の本屋はこれがあるのに自分の店は無かったら、お客はどちらに行くだろうか。
コンビニエンスストアでは、フランチャイズ加盟店の中小企業は2%還元になる。ローソンは、傘下の銀行が発行するクレジットカードをローソン店舗で利用すると上乗せ還元する施策を発表した。セブンイレブンは、セブンペイで失敗したので、おそらくもう一度nanacoのポイントバックを上げるのではないか。一方、ファミリーマートのファミペイはうまくいった。いずれも他のコンビニとの格差が出ないように対応するはずで、そうすると週刊誌を買う時に、ポイント還元をしていない書店と、還元しているコンビニとのどちらを選ぶかというのは自明だと思う。
日本における現在のキャッシュレス決済比率は約20%で、金額は60兆円程度。このうちクレジット決済が約90%、55兆円くらいある。電子マネーは約3兆円余りで、QRコード決済が増えてきている段階だ。政府はこの比率を2027年に40%とする目標を設定した。金額として120兆円以上に増えるとすれば、キャッシュレス決済は今の倍くらい稼働しないと達成しないので、ここに政府は一番力を入れている。
この事業の実施期間は10月から来年6月だが、政府が2798億円の予算をとったのは来年3月までだ。10月の消費税増税実施以降の消費の落ち込みを緩和するためとしているが、来年6月まで引っ張る理由は、来年7月の東京五輪開催時にキャッシュレス決済が特に都内や首都圏で拡がっているようにしたいというのがおそらく第一義だ。将来的には、2030年のインバウンド市場で訪日観光客6千万人を目標に掲げており、キャッシュレス決済対応のベースを作っていかなければならないという政府の考え方がある。それが今回のキャッシュレス決済事業だということをご理解いただきたい。
このキャッシュレス決済事業の対象となるのは、クレジットカード、電子マネー、QRコードで、TポイントやPontaなどのポイントのみのカードや、図書カードは該当しない。チャージができて、繰り返し使えるカードでなければ該当しないということだ。1件あたりの使用金額はクレジットカードははるかに高く、電子マネーやQRコード決済は単価が低い。週刊誌やちょっとした書籍なら電子マネーで買うが、子どもの辞書をたくさん買うとなればクレジット決済にかなわない。クレジットカードだけでなくて電子マネーを持たなければいけない理由はそこにある。QRコード決済のPayPayのように、キャンペーン実施中は20%還元したりするものもある。消費者はよくわかっていて、今どの決済手段を使えば一番自分に有利か取捨選択をして来店するので、どのキャッシュレス決済を自分の店に取り込むかを考える必要がある。
〔書店再生支援財団の斡旋事業/導入費用ゼロ、低率の手数料〕
今回財団では、三菱UFJニコスのクラウド型マルチ決済システム「J―Mups」を推奨している。いろいろ調べた結果、三菱UFJニコスが一番安く、条件も良くしてくれたからだ。「J―Mups」の加盟店手数料率は、クレジットカードが2・85%、交通系電子マネーが2・20%、ドコモの電子マネーのiDが3・00%、楽天Edyが2・50%、WAONとnanacoの流通系が2・50%としている。いろいろな研修会場で話をお聞きしたが、他では一番高いのは5・00%で、3・50%~4・00%というところが多かった。政府は10月から来年6月の期間中は3・25%より高いところは今回の施策に入れないことにした。さらに、決済手数料の3分の1を政府が期間中補助する。このため、先ほど言った加盟店手数料率は、期間中は実質1・47%~2・00%となる。期間終了後の来年7月以降は、元の料率に戻ることになる。また、今回紹介するサービスは15日ごとの決済なので、ほぼ現金と同じカウントができる。
自分の店でどの決済方法に参加するかだが、まずクレジットカードは必須だ。ただし、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースに関しては別途自分で加入手続きをしていただくことになっている。そのため料率は保証しない。例えば私の店では、JCB、アメックス、ダイナースとは契約をしない。クレジットカードは、マスター、UC、VISAなども入れて、だいたい2種類以上持っていると思うので、そちらを使ってもらえば済むと思う。自分にとって有利なものだけを選び、「○○は使えません」と書き、お客が他に電子マネーを持っているならそれで決済してもらえばいい。特に関東地区はsuicaが多いので、ほとんど問題はない。ポイント還元の5%は一緒なので気にする必要はないと思う。
その次に、iDやnanaco、WAON、Edyについてだが、これに関しては店ごとのチョイスだ。例えば近くにイトーヨーカドーがあるなら、nanacoを絶対に入れなければいけない。自店がどういう環境なのかを考えた上で選択する。三菱UFJニコスのサービスでは、「センター利用料」として月額の接続料が、クレジットカードや電子マネーの種別ごとに150円~500円かかる。この利用料は10月から来年6月までの期間中は無料だが、その後はお金がかかるので、どれを選ぶかが大事になる。
QRコード決済については、統一コードの動きが出てきたものの、現状ではPayPayやOrigamiPayなど3つも4つもQRコードを並べてやるとなると、けっこう面倒な話になってしまう。だから財団としては今回は、「J―Mups」の端末本体、電子マネーのリーダーライター、クレジットカードのpinコード入力機の3つだけ置いてもらえれば使えますよということで、煩雑にならないように電子マネーとクレジット決済だけに絞ることにした。
この決済端末の導入については、①決済事業者が3分の1、残り3分の2を政府が補助するため、負担ゼロで導入できる。端末は貸与なので、やめる場合は返送する。②売上が発生した時にかかる加盟店手数料は、期間中は標準手数料の3分の2となる1・47%~2・00%になる。そして、③消費者への5%還元による集客効果がある。この3つが、今回のキャッシュレス支援事業に参加するメリットということになる。さらに、本来だとクレジットカードや電子マネーの開設手数料で1アイテムあたり2千円かかるため、例えばクレジットと交通系電子マネー、iD、WAON、nanacoに入れば1万円かかるのだが、今回は三菱UFJニコスのご厚意で無料にしていただいた。
つまり、この10月から来年6月までの期間中、機械を入れてキャッシュレス決済をやって、お客が来なかったとしても、何もお金はかからない。売った時だけ手数料がかかるが、売ったら利益が出るわけだから、導入してみてはどうだろうか。来年7月以降は接続費用が掛かるので、逆算していくら売らなければ損だというのは分かると思う。自分の店では役に立たないと思えば、やめていただくのは自由だ。ただし3ヵ月前の告知が必要になる。
〔申し込んだ3百法人に10万円補助〕
財団では、キャッシュレス決済申込書類提出順で先着300法人に、店頭準備資金として10万円を補助する。このお金の振込みは、キャッシュレス決済の実稼働を確認した後となるので、決済した最初の振込利用明細書を財団にFAXで送ってほしい。もしお店にインターネット環境がなかったら、決済端末利用にはインターネット接続が必須なので、光回線を引きプロバイダと契約して、この10万円を費用に充ててもらえればと思う。
導入のスケジュールだが、三菱UFJニコスにエントリーシートを出すと、今度は正式な申込書が来る。フランチャイズ加盟店かどうか、中小企業かどうかの審査をするため、到着までだいたい2週間かかるので、しばらくお待ちいただきたい。既にエントリーシートを出して申込書をもらっているところは何とか10月に間に合うが、今後は厳しい。政府のポイント還元事業事務局への加盟店登録申請数が最近激増して、審査が滞っている。とにかく一刻も早く申込みをしていただければと思う。

子どもの読書推進で2つのコンテストに協力/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(松信裕理事長)は7月26日、横浜市中区のかながわ労働プラザで定例理事会を開催した。
報告事項では、6月15日に「大好きな本絵画コンテスト」の表彰式が盛大に行われたことを説明。また、「おうち絵画コンテスト」(神奈川県住宅供給公社、神奈川新聞社が主催、神奈川県書店商業組合、神奈川県読書推進会などが協力)の実施要項も発表され、2つのコンテストを組合として盛り上げていくことを確認した。
議事では、6月末決算の平成30年度貸借対照表・損益計算書・収支決算書・剰余金処分案・監査報告書と、令和1年度収支予算案が読み上げられ、いずれも原案通り承認した。これに関連して、労働保険事務の収支計算報告も行われた。
また、8月23日開催の総会で、出版社と取次がキャッシュレス化に伴う手数料について応分の負担を行うことと、ICタグの導入を求める意見書を提案し、採択を求めることを決めた。
(山本雅之広報委員)

「本の日」図書カードプレゼントキャンペーン/告知ポスターを書店に発送

日書連が事務局を務める「本の日」実行委員会(矢幡秀治代表)は、読者応募企画「図書カードプレゼントキャンペーン」の告知用ポスターを、日本図書普及の協力で図書カード取扱書店に発送した。
このキャンペーンは昨年も実施した目玉企画で、11月1日~11日の期間、書店店頭に掲示されたポスターのQRコードを読み取って応募すると、「図書カードNEXTネットギフト」10万円分などが当たるもの。
今回送付したポスターは、11月1日を「本屋さんへ行く日」とPRし、キャンペーンの実施を予告することで期間中の再来店を促すもので、応募用QRコードが入った本番用ポスターは、10月下旬頃発送する。このキャンペーンは店頭にポスターを貼るだけで参加できるため、同実行委員会は多くの書店に協力を呼びかけ、「本の日」を一緒に盛り上げたいとしている。

新社長に森岡憲司氏/2018年度は減収減益決算/中央社

中央社は8月19日、東京・板橋区の本社で定時株主総会と取締役会を開き、2018年度(2018年6月1日~19年5月31日)決算書案、役員人事案を承認。役員人事では、森岡憲司執行役員専務が代表取締役社長に新任した。
2018年度の売上高は前期比2・2%減の210億8739万円。その他営業収入を合計した総売上高は同2・1%減の212億9211万円となった。内訳は、雑誌が同4・1%減の116億42万円、書籍が同0・6%減の82億3656万円、特品等が同6・1%増の12億5040万円、その他営業収入が同6・8%増の2億471万円。営業利益は同9・0%減の2億4040万円、経常利益は同10・6%減の7573万円、税引後当期純利益は同23・3%減の6215万円で、減収減益の決算となった。返品率は同1・0ポイント減の30・1%。内訳は、雑誌が同1・2ポイント減の30・6%、書籍が同0・9ポイント減の31・3%、特品が同1・5ポイント増の14・3%。
雑誌部門のうち、コミックスを除く雑誌は同11・9%減、雑誌扱いコミックスが同1・3%増。コミックが堅調だったが、定期雑誌やムックの売上減少をカバーするには至らなかった。書籍部門は、文庫・新書の減少が続いたが、書籍扱いコミック・声優関連本・文芸書などが好調だった。特品部門は、専門店向けの特装版商品などが増加した。
経費面では、販売費及び一般管理費の合計は同4・7%減となった。返品改善に加え、全社を挙げた経費削減の取組みも奏功した。
2019年度は雑誌、書籍、特品等のプロパー売上高は同0・4%減の210億42万円、返品率は同0・7ポイント減の29・4%を見込む。近刊情報を活用した施策「街の本屋さん販促支援プロジェクト」の拡大などを推進していく。
役員人事は、森岡執行役員専務が社長に新任。片山秀樹取締役が常務に昇任、竹内純一執行役員が取締役に新任した。加藤悟社長、大谷敏夫専務、外山義朗監査役は退任し、大谷氏は監査役に新任した。また、早川和邦総合推進室長兼情報システム部長が執行役員に新任した。
[役員体制]
◎昇任、○新任
代表取締役社長〔経営計画本部長〕○森岡憲司
常務取締役〔営業本部長兼経営計画本部副本部長兼戦略委開発室長〕山本章雄
同〔管理本部長兼経営計画本部副本部長〕◎片山秀樹
取締役〔名阪支社長〕
竹内文利
同〔取引経理担当兼取引経理部長〕江上浩
同〔営業本部副本部長(営業部門)兼第一営業部長〕○竹内純一
監査役○大谷敏夫

催し

◆「出版女性人大忘年会2019」
11月20日(水)午後6時半~8時45分、東京・中央区の「MYHUMBLEHOUSETOKYO銀座」で開催。冒頭で新潮社・中瀬ゆかり出版部部長のミニ講演会(約30分)、午後7時から懇親会を行う。会費は4千円。申込締切は10月4日。
問い合わせは、イーストプレス・栗田さやか=℡03(5213)4700/FAX03(5213)4701、双葉社・君塚さゆり=℡03(5261)4816/FAX03(5261)4858、草思社・山内由輝子=℡03(4580)7676/FAX03(4580)7677

7月期販売額は4・0%増/店頭は定期誌やコミックスが健闘/出版科研調べ

出版科学研究所調べの7月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比4・0%増と3ヵ月ぶりにプラスになった。
書籍は同9・6%増。新海誠『小説天気の子』(角川文庫)を始め大物新刊が多く大幅に伸長した。雑誌は同1・2%減で、内訳は月刊誌が同0・1%減、週刊誌が同5・4%減。月刊誌は送品稼働日が前年同月より1日多かったこともあり微減にとどまった。
書店店頭の売上げは、書籍が同約1%減。雑誌は、定期誌が前年並みと健闘し、ムックは約8%減。コミックスは約2%増で、『ONEPIECE』(集英社)の新刊や、映像化作品の既刊が伸び、好調を持続している。

9月25日に書店大商談会

第10回「書店大商談会」が9月25日(水)午前11時~午後5時半、東京都文京区の東京ドーム「プリズムホール」で開催される。同実行委員会(矢幡秀治実行委員長=日書連会長、東京都書店商業組合理事長)が主催。
今回は208社・219ブースが出展。一般書、ビジネス書、児童書、第三商材の各コーナーとコミックサロンを設置し、各社オリジナルの拡材、特別セットなど商談会だけの特典が満載。講演会など多彩なイベントを実施。来場者には、店頭で活用できる雑誌用ゴムバンドを進呈する。
問い合わせは同実行委員会事務局の出版文化産業振興財団(JPIC)まで。℡03(5211)7282メールshoudankai@jpic.or.jp

今村、大島両氏が喜び語る/第161回芥川賞・直木賞贈呈式

第161回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が8月23日、都内のホテルで開かれ、「むらさきのスカートの少女」(小説トリッパー春号)で芥川賞を受賞した今村夏子氏、『渦妹背山婦女庭訓魂結び』(文藝春秋)で直木賞を受賞した大島真寿美氏に正賞の懐中時計と副賞100万円が贈られた。
芥川賞の「むらさきのスカートの少女」は、近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが気になって仕方のない「わたし」が、彼女と「ともだち」になるために自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する物語。今村氏は、音信不通になっていた同級生から携帯電話に「書店で顔写真を見た」というメッセージが届いたことを明かし、「『好きなことが見つかってよかったね』と初めて言われた。この言葉をずっと大切にしたい」と受賞の喜びを語った。
直木賞の『渦妹背山婦女庭訓魂結び』は、浄瑠璃作者・近松半二の生涯を描いた時代小説。大島氏は、知識のない文楽の世界を描くにあたり、人形遣いの桐竹勘十郎氏ら多くの関係者から話しを聞いたと謝意を表し、「近松半二が死ぬまで書き続けたように、私も地道に淡々と書き続けていきたい」と抱負を語った。