全国書店新聞
             

平成14年12月1日号

ヤマダに中止申入れ

ヤマダ電機が出版物の販売に5%のポイントカードを出している問題で、筑摩書房、主婦の友社、文藝春秋、出版流対協の各社に続いて、集英社、東洋経済新報社、角川書店からも「ポイントカードは値引きで再販契約違反」とする見解発表が相次いでいる。
小学館は11月13日、大竹靖夫営業渉外担当取締役名で「ポイントカード中止のお願い」を出し、12月13日の期限付きでヤマダ電機に回答を求めている(同社文書2面)。
ポイントカードに対する出版社の対応は、11月21日に開かれた日書連理事会で中村再販委員長から報告になったもの。
このうち、小学館はポイントカードが再販契約の条項に抵触していると指摘、12月13日までにヤマダ電機が中止の計画を示さない場合、再販契約書に基づいて警告書、送品辞退などの措置を検討することを明確にしている。
これについて、日書連中村委員長は、「出版社が品止め等のペナルティを示したことは一歩前進」と、小学館の姿勢を高く評価。
萬田会長も出版社の対応が一段階進んだことを評価する」と述べ、ポイントカード問題は、事業者間の再販契約違反として取り上げていく方針を示した。
また、中村委員長は今後の対応として「日書連事務局にポイントカードの専任担当者を置いて情報収集に努める」としたほか、各県組合にも担当者を置いてほしいと、日書連への登録を求めた。
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買切りなら低正味当然

「ハリー・ポッター」第5巻の買切り・普通正味の販売条件をめぐって、日書連から静山社に質問状が出されていたが、20日に届いた同社の回答では正味問題に触れておらず、肩透かしに終わったことが流通改善委員会藤原委員長から報告された。
日書連からの質問状は、■第4巻を買切りにした理由、■買切りにして正味を下げることは考えなかったのか、■5巻以後の取引条件はなどというもの。
これに対して静山社は、「3巻は百万部製作したが店頭に並ばなかったため、取次と相談して買切りにした。
予約数は満数届けられた」と回答。
買切り低正味、5巻目以降の販売条件については触れていない。
藤原委員長は、■配本が満数来たことは評価している、■4巻目は売れることがわかっていた例外的なケース−−としながらも、「買切りというリスクが書店にある場合、メリットがあって当然。
静山社が単独で取引条件を決めたとは思えない。
取次にも経緯を聞いてみたい」と述べた。
木野村理事からも「通常なら買切りは正味安。
他社への影響も考え、将来に向けてクギを差すべきだ」と発言があった。
萬田会長は「買切り低正味からははずれている。
これを例外とせず、責任販売制の議論を進めたい」とまとめた。
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前年比93・13の指数に

日本ABC協会は、このほど2002年1〜6月期の雑誌発行社レポートを発表した。
今回掲載の雑誌数は『パソコン主婦の友』(主婦の友社)、『LUCi』(扶桑社)など5誌増え、2誌減った結果、48社131誌。
前年同期と比較した指数は週刊誌94・65、月刊誌92・13、合計93・13となった。
主要50誌をまとめたのが別表。
総合週刊誌では、「ムネオ疑惑」で『週刊新潮』が昨年下半期と比べ8万部近い増加。
『週刊文春』も3万部近く増加した。
『週刊現代』は微減、『週刊ポスト』は3万5千部の減。
サッカーワールド杯で『ナンバー』は5万部近く増加、20万部台にのった。
女性週刊誌は各誌とも3万部近い減少。
前回のレポートから『VERY』『MORE』『CLASSY』『JJ』などの有力女性誌が掲載されるようになったが、『MORE』は2万6千部増加で66万部に迫り、『with』は63万5千部から55万8千部に落ち、7万部の差が付いた。
パソコン誌は『週刊アスキー』『日経クリック』が7〜8千部の増加、『日経ベストPC』『日経PC21』は微増。
角川書店の地域情報誌は『東京ウォーカー』が3万部減り10万7千部台になったほか、他の地域誌も1、2万部の減少が続いている。

本屋のうちそと

TS流通協同組合が発足して3年目を迎えた。
都の助成金を使い果たしたら存続できないと言われてきたが、会員の努力で存続している。
書店はいつの時代でも早い注文品の入荷が使命だ。
昔は神田村、版元、取次と仕入れに行った。
担ぎ屋のように大きなダンボールや風呂敷で電車に乗って持ち帰ったものだ。
時代が変わり物流が変わり、注文は電話やFAX、インターネットでするようになった。
それでも入荷の流れは変わらない。
大手出版社はロットで取次に入れ、それを取次が仕分けして書店に配送する。
注文品は何十冊も必要としない。
一冊の注文を、いかに早く入手するかが課題である。
どうして本は単品管理で早く入らないのか。
インターネットで検索して、注文する。
早いものは凄く早くなり、さすが取次だと思うこともある。
それでも大手出版社の本は入荷が遅い。
版元、取次に在庫が無い場合が多いからだ。
お客様からは「今日の新聞に載っていたのに、なぜ在庫がないのか。
お宅ではその版元に注文できないのか」と聞かれる。
TS流通が出来てからは、注文が早くなった。
TS流通には親会の東京組合から補助金が出ているが、まだ不参加の大手出版社にプッシュしてくれると、ありがたい。
現在の役員は3年間ボランティアで努力してきた。
近々、注文システムの設定が簡単になり、使いやすくなる。
まだシステムに参加していない書店も、一緒に利用していくことで、TS流通をよりよいものにしていきたい。
(とんぼ)

−無題−

◇三省堂書店11月28日開催の定時株主総会に続く取締役会で取締役の新体制を以下の通り決めた。
○印は新任。
代表取締役社長亀井忠雄専務取締役○比留間鎮夫常務取締役石田憲一同森雅夫同○鈴木良介取締役鈴木明人常任監査役新田恭隆

『入学準備号』から小1増売スタート

小学館は11月20日午前11時から一ツ橋の如水会館で販売会社を対象に2002年度雑誌企画発表会を行ったが、今年は『小学1年生』の増売に絞って重点説明を行った。
説明会では最初に鉢谷常務が「今年は春先から『PS』『日本の美をめぐる』『フラワーズ』と9誌創刊したが実を結ぶにはまだ時間がかかる。
きびしい局面が続いており、3月から8月の上期決算で約40億円の減収を予想している。
徳に雑誌が苦戦している。
師もきもあと3カ月だが、雑誌を頑張り、減益幅を小幅にとどめたい。
適正な発行部数を出しつつ、実倍を減らさないために、よりきめ細かい配本をお願いしたい。
不況と言っても、面白い企画は売れている。
読書水深活動も新しい光が見えてきた。
皆さんと一緒に頑張りたい」とあいさつした。
『小学1年生』塩谷編集長から2003年度『小学1年生』大キャンペーンについて、入学準備号、4月号、5月号と、3号連続の特別付録、詳細な内容説明が行われたあと、マーケティング黒木局長は「『小学1年生』に集中して6年間の売上げアップを」と提案。
■『入学準備号』発売の1月中旬から5月号までロングスパンの取り組みを、■付録の実物展示を、■ドラえもんなど小学館のキャラクターをフル動員して店頭を明るく演出、■年間購読者を増やす働きかけを、■おじいちゃん、おばあちゃんに向けたアピールを−−などと書店の売場作りに向けて具体的提案を行った。

強力な販売集団に

書店読売中公会の第18回総会が11月19日午後2時半から新宿のホテル・センチュリーハイアットで開かれた。
会員総会に引き続き、午後3時半から販売会社首脳をまじえて総会を行い、書店読売中公会亀井忠雄会長が「第二部は読売新聞渡邉社長のあいさつがメイン。
読売中公会は実質的な面を重視し、時代に対応した方向に開かれた形で運営していきたい」と述べた。
読売新聞グループ本社渡邉社長は「過去の統計では巨人が優勝すると景気はよくなるはずだが、デフレ時代にインフレ政策をとっていては自殺行為。
不況になれば本は売れなくなる」などと、政局を中心に約1時間にわたってあいさつした。
中央公論新社中村仁社長は「新社になって3年10カ月が立ち、採算性の意識を会社の隅々まで浸透させることをベースに経営再建と良質な出版を目指してきた。
そうした土台の上に今秋は日経文化賞、毎日図書出版賞、サントリー学芸賞、野間文芸新人賞と4つの表彰を受け、収穫があった。
出版不況と言われるが、電車の中では活字を読む人は増えている。
私たち出版社はよい本をたくさん出す。
書店は大いに売ってほしい。
新たな脱皮を図り、強力な販売集団に」とあいさつした。
来賓を代表してトーハン金田社長は「今年から販売組織を少し変えられたと聞いたが、販売強化に力点を置いた改善は時宜を得たもの。
販売を整備した上に、中公新書40周年、中公文庫30周年キャンペーンで充実した企画が出され期待できる。
読売新聞の活字文化推進プロジェクトが立ち上がったが、出版業か居ももろ手を挙げて応援していきたい」と祝辞を述べた。

書店くじ抽選会

今秋行われた「読書週間書店くじ」の抽選会が11月20日午後5時から神楽坂の日本出版クラブ会館で行われ、1等から4等までの当選番号を決めた。
抽選会は日書連増売委員会伊沢崇委員の司会で進行。
萬田会長は「書店くじは関係者の協力により昭和49年から続いている。
読書週間中の10月末、鳥取の出版文化展でモデル図書館の展示を見学してきた。
読書を通じて新しい世界が広がる。
読書環境の整備は日本の将来にも重要な課題」と、あいさつ。
経過報告を行った船坂増売委員長は「書店くじは日書連の運動の大きな柱。
昨秋から特賞の海外旅行を止め、その分、当選本数を増やした。
来春の春のくじでは特賞5万円の図書カードを設けた」などと説明した。
抽選はボウガンの射手に三修社前田完治社長、小峰書店小峰紀雄社長、太洋社国弘晴睦社長、トーハン高野仁常務の各氏を選び、別掲の当選番号を決めた。
抽選会に続いて雑協浅野純次理事長が祝辞。
「書店で本を買うのは、探す楽しみ、読む楽しみに加え、書店くじで3回楽しめる。
今日の雑協理事会でポイントカードが議論になった。
レンタル・コミックも大きな問題だ。
日本がよくなるには雑誌を読むことが必要条件。
書店くじのますますの成功と発展を祈りたい」として乾杯の音頭をとった。

−無題−

平成15年理事会日程委員会理事会1月=新年懇親会24日(金)2月=19日(水)20日(木)3月休会4月=23日(水)24日(木)5月21日(水)通常総会22日(木)6月=18日(水)19日(木)7月=16日(水)17日(木)8月休会9月=17日(水)18日(木)10月=移動理事会23日(木)11月=19日(水)20日(木)12月=17日(水)18日(木)

10カ月ぶり前年クリア

日販調べの10月期書店売上げは、10月23日に発売になった『ハリー・ポッター』第4巻の効果で平均2・2%増となり、昨年12月以来、10カ月ぶりに前年同月比を上回った。
『ハリー・ポッター』は文芸書に分類している調査店が多いため、40坪以下店で73%増、41〜80坪店95%増、81〜120坪店72%増、121坪以上店80%増、平均81・4%増と売上倍増の勢い。
児童書で集計した書店もあったため、児童書の売上げも平均15・5%と大きく伸びた。
このほかのジャンルでは文庫が5・3%増、新書も2・1%増と好調。
文庫は宮部みゆきの『クロスファイア』『理由』、『話を聞かない男、地図を読めない女』、『アルジャノンに花束を』が好調。
客単価も『ハリー・ポッター』効果を受け、前年同月比を2ケタ上回る1087円。

共済会給付(11月)

(14・10・22〜14・11・20)▼病気傷害弘前市末広2−2−5ブックランド王様石郷岡一男殿10口青森市八重田1−6−13よしのや本間書店本間徳夫殿15口二戸郡一戸町字向町45−2一守書店一守愛二郎殿4口仙台市青葉区二日町3−25米竹書店米竹シゲノ殿10口牛久市牛久町280浩文堂書店山越貴男殿板橋区高島平7−1−1なります書店中村弘一殿引佐郡細江町気賀11535森上書店森上健司殿大阪市中央区島之内2−11−28浪花書店佐野澄男殿3口大原郡大東町1881糸川書店糸川吉夫殿5口佐世保市宮崎町3−14州文堂山口敏男殿▼死亡弔慰潮来市潮来前6065敬文館書店大川茂登殿3口横浜市鶴見区北寺尾1−3−1水野書店水野守正殿3口名古屋市中区新栄3−3−3安達書店安達秀吉殿2口岐阜市安良田町1−17林文堂林正孝殿5口▼配偶者死亡(井上登美代)橿原市白橿町2−29−8井上書店井上幸夫殿2口▼水害(倉庫)八戸市番町26金入番町店金入忠清殿1口5万円▼風害東茨城郡大洗町磯浜曲松718江口又新堂江口光一殿10口20万5千円▼同(倉庫)鹿嶋市宮中2−2−7かざりや書店武内久殿2口10万円那須郡烏山町中央1−14−15越雲書店越雲進一郎殿1口5万円旭市ロ831三川屋本店小林三造殿3口1万5千円▼水害新潟市青山1−5−15文信堂書店青山店西村俊男殿1口11万円島尻郡与那原町与那原432ブックスオーシャン泉川寛光殿2口6万8千円具志川市みどり町4−20−10幸文堂幸喜義一殿1口24万6千円沖縄市南桃原3−1−11朝野書房喜友名朝勇殿2口34万3千円▼漏水(住居)千代田区神田駿河台2−1−11茗渓堂坂本矩祥殿10口2万6千円▼その他被災帯広市大通16−13ブックスタンポポ門脇孝吉殿5口5万円下館市稲荷町丙123諏訪書店諏訪節子殿3口6万円宇都宮市宝木町1−3−135落合書店宝木店落合雄三殿7口14万円鶴見区獅子ケ谷1−15−8横溝書店横溝理殿1口1万円北区志茂2−59−6東亜堂書店松本良介殿1口1万円多気郡明和町金剛坂822−8ブックセンタールック明和店上地正友殿1口2万円那覇市繁多川1−6−16いしだ文栄堂小橋川篤夫殿2口2万円春日部市大場1052服部書店服部和之殿10口40万円(口数のないものは1口)

−無題−

「ポイントカード」中止のお願い(要旨)御社にて実施中の「ポイントカード」につきまして、再販売価格維持契約の条項に抵触していると見受けられます。
ご多忙中のところ恐縮ですが12月13日(金)までに貴店のご見解、または中止に向けてのご計画など、ご一報をくださいますようお願い申し上げます。
期日までに何らご連絡を頂けない場合は、誠に不本意ながら「警告書の発送」から始まり送品辞退等への措置を、契約書に沿いまして検討いたします旨をご了承願います。
ご承知の通り昨年3月、公正取引委員会は著作物に限り文化的・公共的側面から判断し「再販制度」を存続し、引き続き当事者間の契約の下に定価販売行為を認めました。
同時に小社では「ポイントカード」につきまして、再販売維持契約の目的・内容から解釈して値引きに類する行為に該当すると判断しております。
小社は、公取委のご指導のもとに、消費者団体・著作権者団体の方々と対話を重ねて「再販制度」の弾力運用に腐心しております。
著作物はその公共性から小売価格に関する競争は馴染まず、読者にはどこでも同じ価格で購入できる公平性を保たなければならないと考えます。
小社の事実誤認の点もあるかと存じます。
ご異議やご不明の点などございましたら何なりとお申し出ください。

沖縄26日指定で混乱

〔経営取引〕10月23日に全国一斉発売した「ハリー・ポッター」4巻は、輸送の関係で沖縄のみ26日発売となったが、沖縄ジャスコだけ23日から発売した問題で、関係者より事情聴取した結果が下向委員長から報告になった。
これによると、沖縄の発売日はフェリーのドック入りのため21日の船便で沖縄に配送。
26日発売になった。
一方、ジャスコの荷物はトーハンから船橋のジャスコ物流センターに一括納品され、ジャスコから沖縄に航空便で配送したという。
通常、書籍は着発売で、今回のような書籍の発売日指定は珍しい。
沖縄だけ26日発売になった経緯について、静山社はすべて取協に任せたと説明している。
ジャスコは「読者には事前に23日発売と告知しており、沖縄も同様の扱いにした」としており、理事会では「品物は10日ぐらいから搬入されており、沖縄を23日発売に間に合わせることは出来たのではないか」という声が上がった。
取引約定書の問題では、取次から改定を求められている書店に対して、弁護士を紹介。
相談は無料で行うとする方針を説明した。
〔発売日〕沖縄の週刊誌空輸問題は3年前、沖縄開発庁長官に検討を申し入れたあと棚上げになったままだが、11月14日に那覇で開かれた沖縄県発売日委員会に雑協委員が出席。
雑協からも沖縄開発庁に要望書を提出してもらう方針が説明された。
〔情報化〕学校図書館納入のため開発した日書連マークの研修会が各県で実施されていることを志賀委員長が報告。
市町村レベルで可能な安価なネットワークとして注目を集めているとした。
〔スタートアップ〕日本出版インフラセンター運営委員に志賀副会長を推薦。
出版業界を取り巻くIT化に対応して、非接触ICタグの研究などを行っていくことになった。
〔増売〕20日に行われた書店くじ抽選会の模様が船坂委員長から報告され、来春の書店くじは特賞5万円を80本設ける実施案を承認した。
〔広報〕各県組合の情報化推進をめぐり、まだメールアドレスを持っていない県組合事務局が多いことから、今西委員長は「担当者を決めて組合員とメールができる環境整備を進めてほしい」と要請した。
新理事に高村盛氏三重県書店商業組合選出の山本義雄氏が退任し、後任に高村盛氏(亀山市・高村書店)が就任した。
11月17日の同組合総会で山本義雄理事長が退任したことに伴うもの。

単年度で黒字達成

TS協同組合は11月14日午後3時から書店会館で第3回通常総会を開催。
新年度は発注システムの改良を図り、取引出版社の拡大と組合員の増強をめざす事業計画を承認した。
役員改選では片岡隆理事長(北区・ブックスページワン)を再選した。
同組合の現在の組合員数は148書店、取引出版社109社で、1年間のTS客注システムの売上げは3700万円。
新年度は4550万円の扱いをめざす。
総会であいさつした片岡理事長は「東京都からの助成金4千万円は昨年3月で打ち切りになったが、本年は単年で若干でも利益が出せた。
1店舗の発注金額は対前年で38%アップしたが、利用店が増えない。
現在新しいシステムに切り替え中で、Sブックより簡単になる。
取引出版社は新潮社が加わった。
幻冬舎とも交渉しているところだ」と現状を説明した。
来賓の東京組合萬田理事長は「東京組合は6月の総代会でTS共同組合との協業化を承認した。
新しいビジネスモデルとして応援している」と祝辞を述べた。

井門副会長を招き図書館問題研修会

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は10月26日、日書連井門照雄副会長を講師に招き、同組合会館で学校図書館問題(日書連マークと学校電算化)についての研修会を開催。
組合員24名が参加した。
まず井門副会長より、千葉県市川市での取り組みと日書連マークについて説明があった。
現在、文部科学省により学校図書館資源共有型モデル地域事業が立ちあげられ、蔵書のデータベース化や図書館のネットワーク化が進められているが、納入する書店側にも仕組みについて知識がないと突然締め出されることも考えられ、新たな対応が迫られているとのことで、参加者はみな真剣な表情で聞き入っていた。
続いて中村理事長より、モデル校になっている4つの京都市立小中学校での取り組みについて経過報告があり、司書ツールと情報BOXの実演も行われた。
京都組合では、今後も継続して勉強会を開催する方向で検討している。
(棚橋良和広報委員)

顧客情報の整備が重要

大分県書店商業組合(大隈劭理事長)は11月14日正午から、大分市の大分図書で第18期通常総会を開催、組合員52名(委任状含む)が出席した。
総会では樋口文雄副理事長(ブックスひぐち)を議長に選出し、第18期事業報告、収支決算報告と監査報告、第19期収支予算案などを審議した。
大隈理事長は「書店は情報伝達の使命があり、その延長線上に売上がある。
顧客台帳をパソコンで整備し、定期購読を確保することが書店の売上増進につながる」と訴えた。
また、書店が自費出版を取り扱うのは利益増になると述べて、自店が取り組んだ3件の事例を紹介し、方向と視点を変えた書店経営を提案した。
例年行っていた永年勤続者表彰は、廃業による書店減もあり本年は取りやめた。
総会終了後、学校図書館納入で装備付き納品が予想されることから、大分県立図書館の北野伸昌氏による「図書装備の実技指導」を開催。
日書連マークを使ったコンピュータソフト“図書館ナノ”による「図書貸し出し返却システム」に実際に触れて、バーコードとスキャナーで簡単操作ができることを体験した。
(金光直明広報委員)

沖縄地区の格差是正に取り組む

今年最後となる雑誌発売日励行本部・実行合同委員会が11月26日に出版クラブで開催。
那覇市で11月14日に開かれた沖縄地区雑誌発売日励行委員会の模様が報告され、航空輸送による発売日格差解消に向けて、業界を挙げて取り組んでいくとの方針が示された。
新聞社系週刊誌の発売日問題では、朝日新聞社から、現在の販売スタイルが読者ニーズに適うとする内容の文書回答があったと報告。
これに対して梅木秀孝実行委員から「それならば書店にも早く配送してほしい。
できなければ置くのをやめるというのが書店の声だ」と発言があり、田中洋輔副本部委員長は「文書で回答があったのは初めてで、これをたたき台に粘り強く進めていきたい」と述べた。
長野県書店商業組合から出ていた「週刊誌等の首都圏同時発売」の要望については、搬入調査を実施した結果、取次への搬入量がもう少しあればクリアできそうな雑誌があるため、出版社の協力を得て実現できる雑誌から解決していきたいと説明があった。
また大阪府書店商業組合より、卸業者の前渡し違反に対し1回目の違反措置について「警告」措置を削除し「前渡し停止」から措置する、月刊誌の「前渡し停止期間」を週刊誌の停止回数と見合ったものとする−−を求める要望書が出されたことが報告された。
平成15年度の土曜休配日は4月12日、6月14日、7月12日の年3回案が示されたが、日書連は4月を廃止した年2回実施を要請し、取協で対応を協議するとの回答があった。

山口理事長を再選

福岡県書店商業組合(山口尚之理事長)は11月18日午後4時から、セントラルホテルフクオカで第24期通常総会を開催した。
総会には組合員258名(委任状含む)が出席。
第1号議案の第24期事業報告は各委員会の委員長から1年間の活動内容が報告された。
第2号議案は第24期収支決算と監査報告。
第3号議案の第24期事業計画案に関する報告は、総会議案掲載文を各委員長が内容を補足しながら報告した。
第4号議案の第25期収支予算案は前期より7・9%減の予算となった。
第5号議案の次期役員改選に関する件では、山口理事長(三山書店)を再選した。
なお、副理事長を勇退した鶴英男氏の後任として長谷川澄男氏(ブックイン金進堂)を選出。
これに伴い、福岡支部長の後任に坂口充氏(坂口文洋堂)が選ばれた。
総会は午後5時に無事終了し、引き続き同ホテル3階ダイヤモンドホールにて出版、取次、運輸会社など29名の参加を得て懇親会が開かれた。
(鹿子島慶正広報委員)

日書連マーク講習会に29名

福島県書店商業組合(高島季雄理事長)は11月12日、理事会と学校図書館納入の特別講習会を開催した。
理事会は午前11時から郡山市書店協同組合事務局で開かれ、日書連報告、事務局報告のほか、ポイントカード、万引き問題などについて協議した。
午後1時半からは、郡山市民文化センター会議室に会場を移して特別講習会「日書連マークで学校図書納入に活路を見いだそう」を開催。
日書連井門照雄副会長、教育システム・長尾幸彦代表取締役、フェルムルックス・秋山雄樹氏を講師に日書連マークと図書館納入システムについて学習した。
講習会には29名が参加、土地柄に合った取り組み方の紹介などに熱心に聞き入っていた。

大型トラックに速度規制

東京都トラック協会の出版・印刷・製本・取次専門部会は11月13日、大久保のホテル海洋で第24回出版物関係輸送懇談会を開き、輸送19名、出版社15名、印刷3名、製本2名、取次6名、日書連から大川哲夫事務局長が出席。
大型貨物自動車のスピードリミッター(速度抑制装置)装着義務付けに伴う諸問題を検討した。
大型貨物自動車へのスピードリミッター装着は、平成6年排出ガス規制適合車以降の使用過程車(一部を除く)にも義務づけられ、来年9月以降3年以内に対象車すべてにスピードリミッターが装着される。
これにより一律速度90キロに制限されることになる。
事故の低減、燃費向上などのメリットが期待されているが、一方でコスト増による運送会社の経営悪化、追い越しが難しくなる、ドライバーに緊張感がなくなり小規模事故は逆に増える、到着時間が遅れるなどのデメリットも指摘されている。
懇談会の席上、瀧沢賢司部会長(ライオン運輸)は「出版・印刷・製本・取次・運送の各分野で作業完了までの時間短縮は進んでいるが、スピードリミッター装着が義務付けられれば、これまで通りの作業体制では着荷の遅延は避けられない」と指摘。
設定された着荷時間を守るため業界全体での取り組みを話し合いたいと述べた。
これに対して、「出版から運送まですべてにかかわる切実な問題」(出版社)と物流全体の見直しの必要性では一致したものの、個別の取り組みについては「現状でも苦しい日程の中で納品している」(印刷)など、いずれの業界も「これ以上の作業時間短縮は困難」と主張。
瀧沢部会長は「簡単に結論が出る問題ではない」として、書籍・雑誌流通が遅滞無く行われるよう今後も協議を続けることになった。

新BIRDネットPOSデータ・10月期

〔ムック〕『決定版どんどん目が良くなるマジカルアイ』宝島社933円4-7966-2750-2『新型アコードのすべて』三栄書房400円4-87904-576-4『初めてのたまごクラブ’02-03秋冬号』ベネッセコーポレーション571円4-8288-5629-3『カスピ海ヨーグルトのすべて』主婦の友社680円4-07-235499-6『HYPERHOBBYVOL.50』徳間書店743円4-19-720215-6『いないいないばあっ!2002年秋号』講談社570円4-06-346728-7『るるぶ東京横浜03』JTB出版事業局800円4-533-04361-5『僕たちの好きなガンダム全登場キャラクター徹底解析編』宝島社857円4-7966-2927-0『クッキン!カンタンおかずレシピ秋02』オレンジページ476円4-87303-197-4『Snowboarder2003vol.2』実業之日本社743円4-408-02843-6〔単行本〕『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』静山社3800円4-915512-45-2『新・人間革命第11巻』聖教新聞社1238円4-412-01204-2『真・三国無双2猛将伝コンプリートガイド』コーエー1500円4-7758-0009-4『常勝の法』幸福の科学出版1800円4-87688-357-2『海辺のカフカ上』新潮社1600円4-10-353413-3『海辺のカフカ下』新潮社1600円4-10-353414-1『天国の本屋』かまくら春秋社1000円4-7740-0157-0『中央構造帯』講談社1800円4-06-211442-9『ビッグ・ファット・キャットとマスタード・パイ』幻冬舎900円4-344-00221-0『老いてこそ人生』幻冬舎1500円4-344-00208-3〔新書〕『十津川警部姫路・千姫殺人事件』講談社790円4-06-182276-4『読書力』岩波書店700円4-00-430801-1『魔人同盟』祥伝社819円4-396-20751-4『春の魔術』講談社760円4-06-182249-7『幽霊温泉』文藝春秋848円4-16-321300-7『貴賓室の怪人』角川書店857円4-04-788160-0『双樹に赤鴉の暗(くろ)』講談社820円4-06-182278-0『盗んで、開いて夢はショパンを駆け巡る』徳間書店800円4-19-850574-8『女は男のどこを見ているか』筑摩書房720円4-480-05964-4『日本語の教室』岩波書店700円4-00-430800-3〔文庫〕『アルジャーノンに花束を』早川書房760円4-15-110101-2『陰陽師鳳凰ノ巻』文藝春秋448円4-16-752807-X『理由』朝日新聞社857円4-02-264295-5『話を聞かない男、地図が読めない女』主婦の友社667円4-07-235217-9『宝島上』早川書房540円4-15-030702-4『コスメティック』小学館571円4-09-408013-9『デュアン・サーク1翼竜の舞う谷上』メディアワークス530円4-8402-2189-8『慟哭』東京創元社720円4-488-42501-1『クロスファイア上』光文社590円4-334-73370-0『クロスファイア下』光文社590円4-334-73371-9〔実用書〕『チェンジ・ザ・ルール!』ダイヤモンド社1600円4-478-42044-0『クビレ美人になる1分間BMストレッチ』講談社1200円4-06-211397-X『ディノス2002秋冬号』扶桑社429円4-594-03606-6『ディノスコレクション特別編集号』扶桑社371円4-594-03713-5『声を出して覚える般若心経』中経出版1200円4-8061-1677-7『年賀状データ集Pack43002003年』ナツメ社1380円4-8163-3339-8『決定版小林カツ代の基本のおかず』主婦の友社1200円4072348732『決定版基本の和食レシピ』主婦の友社1200円4-07-233537-1『パソコン・カンタン!年賀状2003』エム・ピー・シー952円4-87197-631-9『英語で日記を書いてみる』ベレ出版1500円4-939076-85-7〔コミック〕『HUNTER×HUNTER15』集英社390円4-08-873314-2『バガボンド15』講談社524円4-06-328850-1『NANA−ナナ−7』集英社390円4-08-856413-8『ヒカルの碁19』集英社390円4-08-873332-0『フルーツバスケット10』白泉社390円4-592-17170-5『Worst(ワースト)3』秋田書店390円4-253-20219-5『シャーマンキング21』集英社390円4-08-873327-4『あたしンち8』メディアファクトリー854円4-8401-0614-2『ブラックジャックによろしく3』講談社533円4-06-328849-8『BLACKCAT10』集英社390円4-08-873329-0

−無題−

講談社は11月11日午後5時半から東京・音羽の本社で、取次向けに2003年上期新企画発表会を開催。
冒頭あいさつで浜田博信副社長はポイントカード問題に言及し、「『ポイントカードによる値引き行為は再販違反』が講談社の見解。
違反行為への対抗措置、制裁措置を検討しているが、当面は中止するよう要望を続ける」と述べた。
浜田副社長は「他業界からの参入者は出版業界のルールを考慮しない」と、対応に苦慮している現状を説明。
取次に指導を求めるとともに、講談社としても何らかの措置をとることを検討しているとした。
また、同社の今期決算について「苦しい数字になることは間違いない」と、減収減益の見込みであることを示唆。
とくにコミック部門の売上不振(9495%)が響いたという。
内訳は本誌9394%、KC98%、マンガ文庫9394%。
2003年上期新企画◇『パンの基本大図鑑パン・マルシェ』基本のパンから人気ベーカリーやカフェのパンまで160種を紹介。
大阪あべの辻製パン技術専門カレッジ監修。
B5変型判、376頁、予価本体3500円。
2003年3月中旬刊行予定。
◇『こどもの病気の地図帳』発育期のからだと病気がイラストと図解で一目でわかる。
鴨下重彦、柳澤正義著。
A4変型判、184頁、本体4000円。
2002年11月20日刊行予定。
◇『こころの医学事典』乳幼児期から老年期までの主な症状を解説。
野村総一郎、樋口輝彦監修。
菊判、704頁、予価本体3800円。
2003年2月刊行予定。
◇『patthebunny』アメリカで60年にわたって愛されてきたキャラクターの絵本。
ドロシー・クンハート作。
『ぱたぱたバニー』(予価本体1000円)など6点。
2003年3月刊行予定。
◇『人間国宝の技と美陶芸名品集成』(全3巻)陶芸界の巨匠を集大成し、作品・人の魅力に迫る。
各巻A4判、168頁、予価本体5400円。
第1巻2003年5月下旬刊行予定。
◇『週刊鉄道の旅』4070歳代の男女をメインターゲットに、旅の情緒を味わう鉄道を毎週2つずつ紹介。
L判、オールカラー36頁、税込560円(創刊号税込350円)。
毎週木曜日発売、全50冊。
2003年1月16日創刊。

世界の老舗書店・有名店

朝鮮半島の北朝鮮と韓国の面積比は55対45で、北の方が広い。
人口は2300万人対4613万人で韓国の方が2倍と多い。
中でも突出しているのがソウルの人口989万人の多さである。
首都にこれ程人口が集中する例は少ない。
ソウルは首都として文化的、政治的、経済的に吸引力があるのであろう。
今回はソウルの中の中心書店を紹介してみよう。
■教保文庫韓国を代表する書店である。
広さ、商品量、売上とも韓国一であり、アジア有数の書店といってよい。
特にワンフロア2500坪は書店としてアジアNo.1ではないか。
日曜日に訪問した時、その雑踏ぶりにびっくり。
坪3人入店しているとすれば7500人が在店人数になる。
レジ前はスーパーのレジ同様、長蛇の列である。
ベストセラー、こどもの本売場、学参売場は押すな押すなであった。
教保文庫は売場が19のセクションに分かれている。
売場はL字型で、長い方の売場の中央に6のメイン通路がある。
入口は地下鉄側から入るものと、明洞側(2カ所)から入る3カ所がある。
明洞側の入口の側壁には、“人は本を作り、本は人を作る、本は永遠である”の文句が刻まれている。
大変に目立つ刻字であるが、ハングル文字なので読めず、通訳に読んでもらった。
この入口付近には若者達の待ち合わせが多かった。
19の売場セクションは次の通りである。
マルチメディア児童書とアニメーション未就学者の本、こどもの英語の本科学工学コンピュータ書、電気工学外国語の本芸術、スポーツ、ホビー、生活実用書自然科学、技術書人文科学、社会科学日本語の本(日本書コーナー)政治、法律、社会学経済、経営ヒューマニティ宗教中学、高等学校参考書辞書、雑誌ノンフィクション、詩小説日本語のコーナーは50坪で、ここは日本の書店と変わりなく、雑誌、文庫、新書、コミック、文芸、ベストセラー、辞書、参考書、専門書と充実していた。
この売場の責任者である林良明氏は日本語が上手で、商品知識も豊富であった。
文藝春秋を300部販売するのには驚いた。
ティーンズ誌、ファッション誌がよく売れるという。
韓国の教育熱心なことは有名である。
その反映で学参売場の充実と人混みは20年前の日本の新学期風景と同じであった。
親子で買い物をしている人が多い。
教保文庫は学参売場に限らず児童書、専門書、どの売場も混雑していた。
日商3000万円もうなずける。
■永豊文庫教保文庫を追うソウルNo.2の書店である。
この店は1階と地下1階のツーフロアーに売場が分かれている。
1階は韓国書籍、地下1階は外国語フロアーである。
日本の書籍は地下売場一番奥に約30坪で売られている。
一通りの書籍は陳列されているが、コンピュータ書に力が入っている。
その隣に英語のコンピュータ書が約20坪あるので、充実感を一層感じさせる。
韓国のIT人口は日本の倍といわれる。
メール利用者は人口の58%である。
1階の混雑度は勿論であるが、地下売場も100対65くらいの割合で混んでいる。
日本語のコーナーより英語他言語のコーナーの方が混んでいる。
特徴的だったのは、1階こどもの本コーナーである。
30人くらいのこどもが一斉に読書をしていた。
先生らしき人が2人に、書店員が応援にあたっていた。
壁面書棚の上の空間に、ファンタジックな絵画が飾られていた。
こどもの本コーナーの演出にはぴったりであった。
こどもの本売場の中央には大きいデスクがあり、そのまわりに20個の可愛い椅子がある。
幼稚園を思わせる風景であった。
店の入口は交差点角から入るものと、地下鉄入口に通ずる2つの入口がある。
交差点口にはyoungpoongBookStoreと店名がわかり易く出ていた。
英語表記はハングルの国では必須表記である。
店内のきれいさでは永豊文庫の方が教保文庫より上である。
特に1階売場の白く磨きあげられた大理石の床は感じがよい。
地下1階に降りるエスカレータも幅が広くてよい。
日本語売場の朴来豊氏は15年の経験をもつベテランで、量では教保に劣るかもしれないが、情報検索、出版知識では劣勢を感じさせない。
永豊文庫は書籍の他に、地下売場ではCD、AV、ビデオ、音響機器に力が入っていた。
エスカレータを降りる人の半分近くはそちらに向かう風であった。
教保に対する差別化戦略の表れである。
売場面積は1階、地階合計で2300坪である。
■eコマース店のモーニング365韓国は4年前にIMFの指導で、ITが国家育成の柱であることを自覚し、今日に至っている。
その結果eコマースの2大書店がある。
1つはイエス24であり、もう1つはモーニング365である。
前者は1998年の創立、後者は2000年の創立である。
地下鉄を下車し改札口を出ると、キオスク風の書店がある。
間口1・5間、奥行1間の店である。
ウェブで注文した本がここで受け取れるのである。
この書店はモーニング365のハッピーショップといわれている。
大学街の地下鉄駅、住宅地区の地下鉄駅構内に25〜30カ所eコマース専用商品受け渡し店がある。
さらに驚くことに値引率が30〜40%と破格であり、このeコマースが韓国出版流通を混乱させているといってよい。
このことにより、ソウル市内の独立中小書店はどんどん廃業している。
イエス24のネット売上は年商8億5000万円であり、教保文庫のネット売上8億円を上回った。
eコマース商品受け渡し窓口では、引き取るだけでなく、その場で発注もできる。
若い女性1名が配置され、入力作業をしている。
営業時間は9〜22時である。
eコマースは元来、姿を見せないものだが、ソウルではeコマース書店として存在していた。
自宅で発注し、通勤、通学時に受け取れる便利な書店なのである。
今後の発展が期待されることは言うまでもない。

−無題−

アマゾン日本では2年前にできたばかりの、インターネットだけで店舗を展開している会社。
将来はお客様が何かほしいと思われたときにオンライン上でなんでも簡単にすぐ手に入るというようにしたい。
次に、地球上でお客様を最も大切にする企業でありたい。
お客様の変化していくニーズをいち早く組み込み、常に新しい企業モデルを作っていきたい。
お客様にとって何が大事かと考えるかというと、まず「品揃え」、次にCD、洋書の部分で「価格」、次に「新しい発見」。
お客様を大切にするために「リコメンデーション」(推薦)と「ランキング」を重視している。
お客様一人一人にいかに近づくか、お客様のニーズをいかに組み入れるか、お客様の購買行動から推測して推薦する。
あと、お客様に「書評」を書いてもらう仕組みがあって、購買の参考になっている。
まず、最大の品揃えを目指す。
お客様を最も大切にする会社になりたいという強い気持ちで仕事している。
ブックサービス企業理念は「革新的な書籍物流の開発を通じて、豊かな文化社会の実現に貢献します」。
企業姿勢は「出版社と読者の間を書籍という媒体を通じてコミュニケーション支援するサービス業です」。
取次業者や書店のような卸業、小売業とは思っていない。
アマゾン弊社の場合、返品率は一桁と極めて低い。
いい客に恵まれている。
アマゾン読者が何を求めているかを的確に把握して、それを全体で共有して、いかに迅速に……この産業の繁栄に……。
アマゾンでの在庫の水準をどうキープしているかというと、……逐一全部システムに入っており、過去一カ月ぐらいのスパンでそれぞれのタイトルがデイリーで何冊売れているかを予測している。
では、そのトレンドは今後どうなるか。
伸びていくか、落ちていくか、定番になるか、この先の数週間の予測をたてる。
……。
アマゾン在庫情報のデータは整備する必要がある。
一方で我々自身がマーケット、エンドユーザーに接しているわけだが、情報を的確に把握して、需要の動向を見極めて、それをビジネスにプラスにしていく努力は引き続き重要なポイントになる。
何が重要かというと、今の瞬間お客様が何を望んでいるかに尽きる。
お客様のニーズにいかに応えていくか。
インターネットのいい点は、お客様からいただく声の数、スピードが速いこと。
その情報を取次に提供して、取次には出版社に提供してもらう。
実際にお客様に接している我々がいかにお客様のニーズを把握して、……。
アマゾンいろいろな商品を展開していても、本は最主力商品。
売上比率は本50対その他50。
特に伸びているのはDVDとCD。
まだ予約販売は少ない。
ただ、マーケットの反応を見ながら需要予測はできるので、そういう意味では今後伸ばしていきたい。
どう選んでいるかというと、交渉しているというのはイメージが違い、取次、出版社と情報交換しているので、その中から次はこれでいくよとか、我々サイドで売れやすい分野のものをお互いに共有しながら…という形で、一方的な関係ではない。
カスタマーサポートの重要性だが、一つのビジネスモデルのコアだと思う。
値段については定価だから問題ないが、他の商品は一般に比べて安い。
商品が安いと1回目にご利用いただける確率が高まる。
ただ1回買っていただいて2度とこんなサービスいらないと思われるか、あるいは素晴らしかったと、あるいはカスタマーサポートに電話したらその日のうちに対応してくれたと、そういうのは積み重なってお客様の信用を得て、もう1回アマゾンを利用しようかとなっていただける。
1度来てくれたお客様がずっと来ていただける、これを継続していくことにおいて、カスタマーサポートは非常に重要。
サポート部隊というのは基本的に人員なのでコストカットするには格好の的だが、それをすべきではない。
目に見えない部分のサービスを充実させ、なおかつ全体のオペレーションコストを下げて収益の出る形にしていくことが、長く続ける上での重要なポイント。
クレームは少ない。
24時間で届かない商品について「いつ届くのか」という問い合わせが多い。
効率的なシステムを組んでいるので、今ポイントカードと代引きしか決済がない。
日本の社会はまだ請求書の社会で、学校や会社から「請求書で処理してくれないか」という問い合わせが多い。
基本経済原則が成り立ちにくい業界だと思う。
サービス、商品を提供し、それに対する正当な対価をもらってビジネスは成り立つ。
ところが、対価に対してコスト……コストを下げながらいただいた対価の中で利益が残るビジネスをしていく。
そこらへんに枠がはまったので、競争による経済原則が働くという部分が若干……。
マージンが薄い商品だといっても、たとえばマージン10%……。
アマゾン国によってゲームのルールが違うわけで、日本では再販という制度のもとに、皆さん同じルールで戦っている。
戦ってはいるが、競争原理が働きにくい環境にある。
同じルールの中でゲームをやっているが、そのルール以上に目に見えないルールが強くあり、実際には競争が行われない。
競争原理が働いていれば、あとはいかにオペレーションコストを抑えて、優位に……よりシェアを獲得するという動きが……そういうところからいくと、競争原理が働いてお互いに切磋琢磨して市場規模を拡大していくことが、環境的には一番かなと。
アマゾン本を製造して販売するコストというのは、一つの商売の流れの中では同じ。
その中で誰がどの部分を分担するか。
それぞれ分担する人たちは機能、役割が重ならずに別々のことをシームレスにやれば、効果は大きい。
おそらくどこかの機能が重複しているために余計なコストになっていて、それを外して重複した部分がなくなれば、より経済効果を生む。
今一度どのサービスについていくらのリスクをとってもらっていて、それに対する対価はいくらなのかと。
そのリスクを書店がもったら、コストが……そういう分析をして、当座の流れとして、もう1回ビジネスを見直すということが必要ではないか。
アマゾン人々のニーズは物凄いスピードで進化している。
その中でインターネットを使っているお客様はどういうお客様かというと、圧倒的に時間との戦い。
アマゾンはアメリカでは距離軸との戦い。
広大なアメリカでインターネットは強い味方になると言われていたが、結果的にはニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス……ユーザーが集中して、日本もその傾向がある。
どういうことかというと、近所に本屋さんがあると。
そこに行って好きな本を選べばいいのだが、残念ながらそれだけの時間と余裕がないという方々、非常に小さいパーセンテージだが、徐々に増えている。
時間がないお客様が我々の店に来て、幅広いジャンルの中から簡単に欲しいものが探せる。
これが我々が自慢の、注力していきたいこと。
それぞれ……お客様がいるわけだから、すべてのお客様の共通項を出して満遍なくサービスを提供しようというと、歪みが出てくる。
我々は時間が限られているお客様に応えていきたいし、皆様も目指すターゲット、セグメントを最大活用してビジネスを伸ばし、産業を活性化していければトータルとしていいのではないか

客注受けられる環境作る

書店が営業時間と在庫を最大値までもっていくため、インターネットは非常に役立つ。
一昨年、インターネット書店「e−hon」を始めたが、e−honはトーハンが小売店になる事業ではなく、書店がインターネットに参入するための支援事業。
売場、物流、決済を書店に提供するためのインフラと考えている。
お客様が見るデータベースで一番苦労したのは画像。
店で手に取らずネットで購入する場合、表紙の絵が見えるのは大きなポイント。
また、内容情報も少しでも読んでいただくようにしないとトラブルの元になる。
画像・内容情報を整備することは大切だ。
また、店頭で購入の場合、流通段階で痛んだ商品について、お客様は実際に手に取り納得した上で買う。
ところがネット書店で小口の荷物を送る場合、お客様は自宅で初めて商品を確認することになるので、そこに少しでも汚れや折れがあると許してくれない。
いかにきれいな状態で届けるかが最大の悩みとなっている。
トーハンは在庫センターに10万アイテムをもって書店の注文に応えているが、それでカバーできているのは3割。
7割は出版社の倉庫から出している。
書店での客注に早く応えるため、出版社から出したものを再び仕分けて書店に出荷する部分のスピードを短縮するのが一番早いという構想のもと、客注品を専門に扱う関係会社「ブックライナー」に40万アイテムの在庫を揃えた。
現在取引書店4千店にご利用いただき、1日6千冊以上の注文がある。
書店には85掛から3段階正味をお願いしている。
40万アイテム追加したことで、ブックライナーを含めた在庫センターで注文の75%を補足できるようになり、即日出荷の体制をとっている。
売上の数%に過ぎないことに手間をかけること、またお客様の信頼を失うことが嫌で、書店ではなるべく客注を受けないのが普通になっている。
しかし、これでは何も解決しない。
現実的に書店は60万、70万アイテム揃えられるわけではないので、うまく取り寄せてやっていくしかない。
ブックライナーに在庫をもつだけでなく、出荷とお届けの確約を書店にすぐ返し、確約した日に届けるところまで実現しなければならない。
そして、書店がお客様に「なんでも注文して下さい」と言える環境を作りたいと思っている。
インターネットが出版業界に大きな利益をもたらしていることは認識したい。
インターネットビジネスが最終的に皆の利益につながると思い仕事をしている。

自社完結のビジネスモデル

ブックサービスの企業理念は革新的な書籍物流の開発を通じて、豊かな文化社会の実現に貢献すること。
出版社と読者の間を書籍という媒体を通じてコミュニケーション支援するサービス業で、取次のような卸業、書店のような小売業ではないと考えている。
一般客注品、出版社客注品、書店客注品のお届けサービス、公的機関等に対する手数料無料サービス、海外在住者向けサービス、特定書籍の当日・翌日お届けサービスを行っており、今後は新刊情報提供・予約状況提供サービス、書籍倉庫業務代行サービスなどの新サービスを検討している。
マス広告を打って、お客様からアナログ・デジタル全手段を使ってご注文を戴き、出版社へご希望の書籍を集品に行き、お客様にお届けし、代金回収までして、出版社へ15日サイトでお支払いするという形の「全て自社グループで完結している」他に類を見ないビジネスモデル。
このブックサービス独特のビジネスモデルを使って実験して頂きたい。

大山緑陰シンポジウム

デジタル技術の急激な進展を背景に、出版流通の世界でも1冊の本を確実に届けるための新しいシステムが様々な方面から試みられている。
10月27日に行われた「大山緑陰シンポジウム」の第7分科会「書籍流通革命は起きているのか?」で、トーハンの井上憲昭、アマゾンジャパンの大西基文、ブックサービスの伊丹侃、新潟県糸魚川市・酒井書店の酒井和久氏、新星出版社の富永靖弘の5氏が20世紀末以降に登場した新しい試みを検証した。