全国書店新聞
             

平成18年8月1日号

全国広報委員会議10月11日に開催

日書連広報委員会と各都道府県書店組合広報委員、全国書店新聞編集部が集まり、1年間の広報活動を点検・総括するとともに、今後の編集方針を意思統一する「全国広報委員会議」は、10月11日(水)午後1時から5時まで書店会館会議室で開催することになった。丸岡会長、山口委員長あいさつ、優秀広報委員表彰などを予定。

存続は事実上困難/日書連共済会、清算業務を検討

保険業法の改正により存続が危ぶまれていた日書連共済会は、7月19日の理事会でこれまでの検討結果を運営委員会が報告。理事会は日書連共済会の存続は事実上困難とする考え方を了承し、清算業務を検討していくことになった。
4月1日からの保険業法改正により、日書連共済会は継続するとすれば保険会社になるか、保険事業を目的とした協同組合にするか、組織変更の届出期限は9月末に迫っている。
19日の理事会では共済会運営委員会伊沢副委員長より同委員会ならびに特別委員会が行ってきた4回の検討結果が報告され、事業を継続する場合には、①専従事務員ならびに募集資格を持つ事務員を置くなど人件費がかかる、②保険経理人、外部監査人の契約料が必要、③納税義務があるなど大幅な経費の増大が予想されると説明した。このほか、日書連会員の減少に伴い、日書連共済会は加入者が毎年減少しており、最近4年間で6200万円の赤字を出すなど現状は先細りの傾向にあることを指摘して、「継続は困難」という結論を示した。
木野村委員長は「民間の損保会社に委託するとしても、給付金額が減り、加入者のメリットは少なくなる。日書連共済会の規模では継続不可能。災害準備金など資産処分案を作り、清算に入りたい」と述べ、了承を求めた。大橋副会長は「従来はボランティアで運営してきた。今後は利益を出して税金も払わなくてはいけない。そのため査定も厳格になり、今までのようなメリットはなくなる」と指摘し、保険業法への移行は見送る決議を求めた。
この結果、保険会社、小額短期保険業者への移行は断念することを了承。弁護士をまじえ日書連共済会の清算業務を検討していくことになった。

東海3県でも展開/拡がる中学生フェア/日書連7月理事会

〔読書推進〕
札幌市・くすみ書房から始まり全道に拡がった読書推進企画「本屋のオヤジのおせっかい/中学生はこれを読め」フェアは、この夏、北海道組合で3回目の取り組みが始まっている。高須委員長は愛知、岐阜、三重の東海3県でも今秋から来年1月にかけて合同キャンペーンの展開を準備していると報告。店頭活性化のため、各県組合でも積極的展開を呼びかけた。長野組合からは「朝の読書実施校の割合などを勘案して、全国読書推進宣言都市を普及してはどうか」と提案があった。
文字・活字文化振興法の件では、同法を推進する組織として、書協、雑協、取協、日書連、読進協、児童出協、JPICの7団体で「活字文化・読書活動推進機構(仮称)」が設立されることになり、7月13日に準備会が開かれたことが報告になった。
〔増売運動〕
本年度実施する秋の読書週間書店くじ実施要綱を承認した。今回の特賞は「英国7日間の旅」。前回同様、くじ申込み店の中から抽選で3店を無料随行員に選ぶ。
春の書店くじWチャンス賞には全国から3124通の応募があった。理事会の席で抽選を行った結果、百名に1万円分の図書カードを送る。
「心にのこる子どもの本新刊セール」は、近く組合書店に申込みハガキを直送する。申込締切は9月15日、発送は10月中旬。
〔環境改善〕
鈴木委員長から6月21日に行われた第3回委員会の議論の模様が報告され、支払いサイトは90日を要求していくことで一致したほか、返品入帳問題を検討課題にしていくとした。
〔政策審議会〕
井門委員長は8月にワーキング機関と合同委員会を開くとしたほか、雑誌マージンアップ実現に向けて雑協販売委員会と具体化を検討していくなど当面の取り組み課題を報告した。
政策審議会が課題としてあげたのは、①書店マージンの引き上げ、②書店データベース、③万引き対策(ICタグ)、④在庫情報、⑤地方出版物のデータベース化、⑥雑誌発売日一本化、⑦貸与権、⑧書店人専門教育の8項目。
〔経営実態調査〕
書店経営実態調査の報告書第2弾として、自由意見項目を集約中。高須委員長は9月を目処に「意見集」をまとめたいとした。
〔流通改善〕
藤原委員長から大手版元2社との間で責任販売制の仕組みを検討していることが報告された。今年の読書週間にも第1弾を販売する計画で、具体的商品の選定、販売条件などを早急に詰めていく。
〔情報化〕
郡山市書店協同組合が日書連MARCを利用して市内85の小中学校のうち53校の学校図書館に図書を納入している事例を志賀委員長が報告(7月11日号既報)。導入校では経費が安く貸出冊数も増えて高い評価を受けていることを紹介した。引き続き学校や教育委員会へ働きかけを行うよう呼びかけた。
〔再販擁護〕
6月23日に開かれた著作物再販協議会で、謝恩価格本セールの通年化が求められていることを岡嶋委員長が説明。大阪組合からは「絵本ワールドなどの会場でも児童書を値引き販売する意向がある。期間、場所、品目限定のはずのバーゲン販売が無制限に広がらないか」と無秩序な拡大に懸念が表明された。
〔共同購買〕
日書連オリジナルの薄型手帳「ポケッター2007年版」は11万部製作し、斡旋に入る。店名なし5百部、単価93円45銭から。

行政と連携して推進/福岡の万防シールで報告/7月理事会

〔指導教育〕
福岡県で7月1日から始まった「まんぼうシール」について同組合山口理事長が概要を報告した。福岡県では児童福祉審議会、万引防止協議会などが中心になり青少年非行防止の協議を進め、未成年者からの古物買取禁止については違反した場合、20万円以下の罰金を設けるなど罰則強化の条例を今年3月に可決した。これに伴い、書店が正規に販売したことを証明する販売シールを、万引き被害の多いコミック、アイドル写真集などに貼ることになり、7月1日以降の新刊でシールの貼っていない商品は新古書店などでは特に吟味して買取りするよう福岡県警察本部は業界に注意を喚起している。
福岡県からはポスター、パンフレット(写真)などの予算がつき、シール代1枚1円は書店負担。県教育委員会では夏休み前に小中高校で万引き防止の特別授業を行うなど、行政、民間一体となった運動になっている。
〔取引改善〕
ひたちなか市のショッピングセンターにリブロが出店した問題で、茨城組合大野理事長がこれまでの経過と、14日に行われた説明会の模様を報告した。この席で日販はリブロの株を90%所有しているが、出店に関してはリブロ主導であることを説明したという。
5月総会で千葉組合青柳氏から問題提起された返品入帳金額の開きの問題については、青柳氏が「年間5800冊の誤差があった。トーハンは再調査したが、東京ロジスティックスセンターにも運送会社にも問題は見つからなかったと回答があった」とした。下向委員長は「運送会社との契約はどうか、保険の有無など弁護士を加えて対策を練りたい」と述べた。
また、大手取次寡占に伴う弊害、不公正の監視委員会を立ち上げるとし、委員は丸岡会長に一任する。
付録問題をめぐっては、大阪屋友の会連合大会で小学館相賀社長が「(編集者は)書店、流通の現場を知らなすぎる。現場を学ばせたい」と発言したことを紹介。「相賀発言を歓迎する。編集者に付録作業を認識させたい」とした。

共済会給付

(18・6・20~18・7・18)
▼病気傷害塩釜市本町2―12菅原大正堂書店菅原勇殿4口
京都市北区小山上総町14大垣書店大垣和男殿5口
▼死亡弔慰牛久市田宮町132宮本書店宮本忠殿
板橋区常盤台4―32―3開文堂書店井上泰蔵殿
杵島郡大町本通2陣内書店陣内みやこ殿
▼配偶者死亡(大咲すゑ)大阪市阿倍野区昭和町1―25―25書肆おおさきや大咲秀蔵殿10口
▼店舗一部焼失高崎市寄合町31天華堂書店大澤孝輝殿5口120万7千円
▼漏水鳥取市湖山東4―85今井書店湖山店今井直樹殿1口3万6千円
▼その他被災(自動車飛び込み)鹿嶋市宮中1―6―12オカミ岡見正明殿3口9万円

帯コン参加を促進/大阪理事会

大阪府書店商業組合は7月15日午後2時から組合会議室で理事会を開き、以下の委員会報告があった。
〔出版販売倫理〕
青少年健全育成条例の改定により、カラオケボックス、ボーリング場などの少年の入店時間制限をめぐり各地でトラブルが起きている(16歳未満午後8時、18歳未満午後10時まで)。コンビニも規制対象業種であるが、書店は含まれない。書店については「有害図書類」区分陳列の監視のため、民間委託された約800人の監視員が巡回している。各書店は区分陳列を徹底されたい。
〔読書推進〕
「帯コン」校内コンクール実施校は40校、作品取りまとめ校は61校。申し込みが一部自治体に偏っており、各書店から申し込みのない小学校へアピールして欲しいと要請があった。
「読書ノート」が好評なので、応募者全員に配布したい。紙面に制約があるため50冊読了者を朝日新聞に掲載する基準の見直しを迫られる。また、運営資金調達のため協賛出版社への呼びかけを検討している。
〔共同受注〕
大阪市立図書館の新納入体制がスタートしたが、分館に納入している書店から要請があり、備品・消耗品等は組合を窓口にして共同購入することになった。中央図書館の雑誌納入書店4社の協力会は存続する。
〔雑誌発売日〕
引地地区委員長の後任として、講談社・神津氏が副委員長となった。発売違反の根絶について、神津氏は「取次・二次取次の違反ディーラーに対する指導責任」について言及。責任を明確にすることを求めた。
〔学校図書館・IT〕
指定管理者制度の情報が錯綜しており、確かな情報を得るよう努力したい。府立高校の「マーク」入札には応札すべきということで意見が一致した。
〔再販問題〕
セイファートはIPSから4割、出版社直で6割の商品を調達している。大阪における被害が最も多いと報告があった。
(中島俊彦広報委員)

6月は0.2%の微増/文庫、2カ月連続で2桁増/日販調べ

日販経営相談センター調べの6月期分類別書店売上げデータがまとまった。6月期は平均0・2%の微増で、5月の3・3%増は下回ったものの3カ月連続で前年同月の数字をクリアした。
5月の売り上げ増に大きく寄与した『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の勢いは落ち着きを見せたが、文庫14・9%増、コミック5・3%増、実用書6・6%増が引っ張り、前年クリアにつながった。
コミックは映画公開を控えた『DEATHNOTE』(集英社)が好調。文庫は『ダ・ヴィンチ・コード』(角川書店)が貢献して前月に続き2ケタ増となった。
好調の続いていた新書は
『国家の品格』の息が長いが、『頭がいい人、悪い人』『さおだけ屋』がヒットした前年には及ばず、98・5%と前年を下回った。平均客単価は2・6%増の1109・3円。

10月に絵本ワールド/兵庫移動理事会

兵庫県書店商業組合は7月11日、恒例の移動理事会を第4支部(山根金造支部長)のお世話で、明石市南二見会館で行った。出席者は理事会前に「ひょうごの地産地消」(地域で生産された食べ物を地域の人が消費する)を研究している「兵庫県立農林水産技術センター」で、栽培漁業の見学と研修を行った。
理事会では、「絵本ワールドinひょうご」が10月8日、9日に神戸国際大学で開催されること、10月24日(火)に総代会を開くことなどを決めた。
また、村田事務局長からは、指定管理者制度を導入して新たに出来る「神戸文学館」へ、組合として手を挙げることを検討していたが、人事と採算の両面から参入は難しいと判断し、断念した報告があった。
理事会終了後、兵庫県雑誌発売日励行委員会が開催され、委員会終了後、合同懇親会が開催された。
(中島良太広報委員)

書店からみた責任販売制/本の学校・出版産業シンポジウム2006in東京より

本の学校・出版産業シンポジウム2006in東京が、東京国際ブックフェア会期中の7月8日、東京ビッグサイトで開催。第二部で「書店からみた責任販売制」と題したパネルディスカッションが開かれた。日書連副会長・書店新風会会長の藤原直氏をコーディネーターに、長く書店の情報化に取り組んできた日書連副会長・井門照雄氏、出版社から独自の責任販売制を提案する主婦の友社社長・村松邦彦氏、桶川センターを活用した責任販売を推進するトーハン・野村博信氏、トリプルウィンプロジェクトで責任販売を推進する日販・鈴木敏夫氏がパネリストとして出席して議論を行なった。
〔情報共有し責任持って販売〕
藤原責任販売制という言葉が最初に使われたのは昭和36年で、当時の書協の野間会長が書協の会報で述べたそうだ。昭和30年に書籍の返品率が30%を超え、昭和33年には35%を超えたという。その後昭和46、7年頃、また責任販売はどういう形がいいのかという議論が出てきた。申し込み制や買切り制であるとか、歩安入帳、歩高入帳、いろいろな議論があったが、いまだそれが浸透してないというのは、皆さまご承知のとおりだ。本日は取次、出版社、書店からご提言をいただき、今後の議論の資料としていただければと思う。
鈴木日販のトリプルウィン(以下www)プロジェクトは、加盟書店の売上実績もプラスで推移しており、返品率でも効果が出てきている。プロジェクトの理念は、マーケット動向を正確に把握できるネットワークを構築し、業界三者が連携して責任を持った販売をすることだ。その前提となるのが業界三者の相互の信頼関係であり、信頼の上に立つものが契約志向だ。
ただ、業界三者がそれぞれ責任を持つためにはお互いの情報を共有する必要がある。これが「オープンネットワークWIN」で、wwwの中核に位置づけている。日販が収集した広範囲にわたるマーケットデータを開示していくためのインフラであり、これをもとにSCMを推進していく。
契約志向による責任販売の現状について話したい。wwwプロジェクトでは、売行き良好書の中から出版社の協力を得てSCM銘柄を選定しており、現在、毎月約70銘柄程度実施している。返品率は、銘柄単位で15%以内にすることを柱にした基本契約。それと個別の銘柄で、仕上がり率や返品期限などを定めた個別契約を設定している。返品率が15%を超えた場合には、日販が超えた部数の仕入金額を出版社に支払う、ペナルティーを設定している。
これまで3回ほど、日販が支払うケースが発生した。書店にペナルティーは求めていないが、SCM契約を打ち切るという対応を行っている。これまでSCM銘柄を千五百点ほどやって、平均仕上がり率は、発売4カ月で平均約80%だ。その時点での返品率は3%以内に納まっており、15%を超えることはまずない。
このSCMの対応は、ゆるやかな責任販売制と考えているが、書店が顧客の特性を把握して適正な部数を発注し、陳列やPOP広告などによる営業努力をすれば、必ず販売が伸びる。また返品による売り損じのロスも防ぐことができると思う。今後は出版社から効率販売に対するインセンティブの提供は、すべて書店に還元したいと思っている。
野村トーハンは、平成12年に書籍契約販売特約店システムをスタートした。書店の要望に応え、発売日に必要な数を仕入れてもらい、責任を持って売っていただこうというものだ。また平成16年に、店別の販売データをもとに、店頭での欠品をなくして適時仕入れ出荷を行うということで、SCM良好書配本をスタートした。しかし、送品・返品や販売実績の管理の体制という面から、なかなか幅広い取り組みができない点もあった。これらを解消すべく、私どもは桶川SCMセンターを稼動した。
責任販売というと何か特別な販売方法だと捉えがちだが、仕入れた側は、仕入れた商品を最後まで責任を持って販売する。注文を受けた側はきちんと供給していく。お互いの義務と権利をきちんと履行して販売を行っていくのが、あるべき姿だと考えている。だから委託制度の中で何ら矛盾する点はないと思う。
トーハンが考える責任販売についてだが、この桶川のインフラ機能を最大限に活用して、出版社の協力をいただきながら積極的に販売に挑戦し、結果を出す書店と一体になって進めていく。読者が読みたい本を確実に、品切れさせずに提供し、書店が読者の購買意欲を喚起するマーケットを拡大していくのが目的だ。
業界のルールに則った上で、一定の目標を達成した部分については、お互いに収益を分けていくことを考えている。委託制度のほかに業界として非常に重要な再販制度があるが、価格の安定性を確保するのが再販制度であり、責任販売という名のもとに読者を混乱させるような仕組みをとるべきではないだろう。
現在トーハンが責任販売として取り組んでいるのは、商品供給の観点から、事前予約施策と既刊商品施策の2点、利益還元の観点から出版社・ジャンル別施策、外商増売施策、仕掛販売型施策の3点だ。この5つを桶川と連動して取り組んでいる。まだスタートをしたばかりの施策もあるが、桶川の物流インフラで可能となった部分と合わせて、さらに送品・返品・店頭販売実績など、各種の情報を有機的に融合して、各書店、各出版社と具体的に進めている。
〔書店主導の販売取り組みを〕
いということ、そして昔はなかったPOSレジとコンピュータを使うことで、責任販売制が可能になるだろうというご意見だった。ただ話を伺って、まだ途上にあるのかなという感じがする。今度は主婦の友社の村松社長に、出版社の立場から責任販売についてお話を頂戴したい。
村松責任販売制という言葉は、他の業界ではあまりない。これは出版業界の特別な用語だろう。そもそもの成り立ちを見ると、書協から、責任を持って売ってくれという話が出たのが最初だというが、これは本当は逆で、書店サイドが主体的に、責任持って売るから正味を下げろと言うことが筋だろうと思っている。
いま委託制の制度疲労が言われているが、出版の多様性、言論の自由という観点から、日本の委託制は非常にいいと思っている。委託制を守っていきながら、どうやって三者が利益を獲得していくかということに尽きるのではないか。
いまの取次のお話を聞いても、藤原さんが言われたようにまだ途上だ。なぜなら取次や出版社が一生懸命やっても、書店が本気になって販売に取り組んでいかない限り、市場は拡大していかない。書店に販売の主導権を持っていくために、取次や出版社がどこまで協力できるかが今後の大きな課題だろう。
書店に対して、正味を下げていきながらどうやって商品をたくさん売っていただけるかを、きちっと考えていくのが出版社の役割。いかに早く、売れ筋商品を書店に供給していくかが取次の役割。書店はそれを受けて本気になって販売に取り組んでいくということが、いま必要ではないか。
書店が主体的に販売をしていくためには、書店発のエントリー商品を、どんどん出版社に要求していくべきだ。小さい本屋がなかなかできないということであれば、何のために小売が団結しているのか。日書連や、いろんなところの支部、あるいは新風会のような会がきっちりと団結して、これだけの商品をこう売るから出版社はこれだけの正味を下げてくださいと言うことが必要だ。
これは別に日書連の悪口を言っているわけではないが、提案がすべて後ろ向きだ。今こそ小売がメーカーである出版社を動かしていくという本来の姿に戻していかないと、市場は絶対シュリンクしていく。責任を持って売るから正味を下げろ、という原点に戻ってやっていただきたい。
〔書店のグループ化が必要〕
藤原小売としては耳が痛いかと思うが、日書連の井門さんから、書店はどう変わっていくことができるか、お話しいただきたい。
井門いま村松さんから、日書連はとにかく正味だというありがたい叱責をいただいた。この責任販売制は昭和36年から言われていたが、返品率が高くなって小売が儲からない時に必ず議論が盛り上がっている。正味戦争の時にはまだ出版社に余力があったということだろうが、今回は両方に余力がない状態で、待ったなしとなっている。その意味ではちょうどいい機会だろうし、腹を割って話せるのではないか。
私は出版物小売業公正取引協議会の会長だが、責任販売制がどんどん進化して返品が不可能になってくると、再販の弾力的運用という部分がどうしても出てくる。この5月25日に景品規約を改訂したが、値引きをしてもいいと誤解をしている方が結構いらっしゃるので、ここでお断りしておきたい。値引きを許したわけではなくて、あくまでサービスとしてお客様に景品を提供してもいいですよということだ。
日書連は、今年の5月に「全国小売書店経営実態調査報告書」を出した。この中で、「書店業界の発展のために日書連に望む対応」という項目をみると、一番多かった回答は書店マージンの拡大だ。以下は、客注品の迅速確実化、出版物再販制の擁護、適正配本、支払いサイトの延長と続く。マージンの拡大や再販制の擁護というのは、書店の売場面積が大きいほど要望が多かった。逆に言うと、小さいところは諦めているという部分がある。
先ほどから取次の話を聞いて、いい取り組みだと思うが、20坪以下の書店がどのぐらい入っているのかなと、逆にそんな気がする。そういうところがますます置いてきぼりをくらうのではないか。そこで我々が考えているのは、村松社長が言われたようにグループ化しかない。要するに、一店舗一店舗ではとてももう無理だというのがある。
責任販売をするという話にしたとしても、1冊か2冊しか仕入れないところが余ったらどうするんだという話で、やはりグループ化しなければ。それは日書連なのか各地方組合なのか、それとも取次会なのか。責任を持って仕入れるということは、責任を持って売るということで、組織としてどうしていくかを考えていかなければいけない。
藤原まず取次から今のシステムの説明をいただいた。それに対して井門さんから、小さな書店はどうなるのかという話があった。日販のwwwに書店が加盟する場合、どの程度の負担が必要になるか。鈴木さんにお答えいただきたい。
鈴木wwwプロジェクトの考え方としては、やはり業界三者の信頼関係をどう作っていくか。情報をすべて開示していかなければ、そこから契約事項だとか責任というのはなかなか見えてこないだろう。そうすると、POSレジが間違いなく有効なインフラだ。私どもは2千軒以上のPOSレジの導入実績があるが、導入できない書店さんを見逃していいのかということもある。
今年に入って、小規模な書店も導入できるようなPOSレジを開発した。POSレジが高いとか安いという論議は、もうすでに終わったと思う。POSレジを入れて何をしていくのかだ。通常の小売だと当たり前のように入っているが、書店には、なかなか導入しきれない。それは粗利の問題などだと思うが、POSレジの導入経費をいかに作り上げていくか、ということを考えている。
藤原POSレジはもう必需品になってきたということだろう。当初はコンピュータの能力もそれほどなく、売れないものを排除するための道具がPOSレジだった。現在ではコンピュータも安くなり、いま取次は、すべての単品管理ができるように考えているというところが一つ、そして今後責任販売のツールとして活用できるのではないかということは、皆さまご理解いただけたのではないか。
先ほど村松社長が、委託という素晴らしいシステムは変えられないとおっしゃった。その中で責任販売に何が望まれるのか。村松社長に考えをお聞きしたい。
村松小さな書店同士で仕入れの窓口を一本化していくということも考えられるのではないか。販売の主導権が書店にあるわけだから、書店発の書籍をしっかりエントリーしていくということが必要だ。完全買切りの場合は50%の正味でやるとか、あるいは10%返品の許容の場合は60%でやるとか、20%返品許容の場合は63%でやるとか。これは既刊本であれば当然、重版は原価が低減してくる。その意味では、既刊本をきちっと各書店、連合した書店がしっかりとエントリーしていくことだ。
先ほど日販が月70点、年840点と言っていたが、個々の書店がエントリーしていくには、70点というのは難しいと思う。まず基本的に10点を選択して、年間120点。分野ごとに単品商品を選択したり、季節によって売れる商品をエントリーしてもいい。いずれにしても書店が中心になって、こうしてくれというのが出てこないと、業界は活性化していかないし、返品率もなかなか下がらない。
書籍についてもう一つ言えることは、今コミックなどで、ローソンとかセブンイレブンだけに供給している商品も出てきている。たとえば書店の連合体から、出版社に対してこういった商品を作ってくれと要請する。今のような状態でいくと、CVSの方が主体的にどんどん提案してくるから、そっちの方に傾いていくということになるわけで、そうすれば書店がどんどん減っていく。これはメーカーにとっては大変な危機だ。書店が減るということは、基本的に雑誌がどんどんシュリンクしていくことになるわけで、それが書籍にも波及してくる。
かつて書店が配達をしっかりした時は、経営が安定していたはずだ。『主婦の友』の70%を定期購読でやっていただいた時期の返品率は3%から5%ぐらいかもしれない。うちで言うと、雑誌の返品率1%で1億の利益が上がる。業界全体で、雑誌の返品率が1%下がれば、200億の利益が出版に上がるはずだ。当時の平均返品率と今の返品率を比べると、今の雑誌の返品率はおそらく15%から20%近く増えている。これは途方もない金額だ。
〔書店発の商品開発を進める〕
藤原いま村松社長から、書店発の責任販売についていろいろとご意見を頂戴した。どこかの書店が組んで出版社に交渉をして、正味をこうしてくれと言って出版社がオーケーした場合に、取次が対応するための問題点はあるか、野村さんにお聞きしたい。
野村昨今の物流の開発で、そういうご提案をやることについての障害はほぼなくなった。ただ、取次は書店のトータルの店舗のお取引をさせていただいているので、逆にそのお店全体の売上を歪めるような取り扱い方になってくるのを懸念している。悪い言い方をすると、特定の商品だけ特化して売るということが、あまりにも店舗の中で拡大してしまうと、悪く行けば、それぞれのお店の抱えている顧客の本来の部分を無視することになりかねないということだ。
トーハンは、全国の中小書店と一緒になって、どうやって売上げを上げていくかに取り組むというのが基本姿勢だ。小規模書店の不利という部分については、e―honの取り組みや、客注専門の仕組みであるブックライナー、年間定期購読では雑誌の定期便を行なっている。これは、地場のそれぞれの書店が、大規模書店と同じような販売環境を維持していただくために用意したものだ。
藤原先ほどから書店発ということが何度も言われている。取次もシステムを組んでいるが、やはりそれは書店のやる気がなければその責任販売に結び付かないということで、再度、井門さんから書店の立場で今度どうすべきか、ご意見を頂戴できればと思う。
井門我々が売りたい本を売るというのは確かにそうなのだが、逆に言うと出版社の売りたい本で、一定の数をそのグループに任せたいというような提案があまりなかったように思う。日書連の中で売れる本を開発していきたいし、協力して売っていただける出版社も探したい。ただ、当然、従来の商品システムと配本システムを活かしながらやっていくというわけで、やはり商品がないと話にならない。ぜひ皆さま方の提案もお待ちしたい。
返品率については、個別の話で申し訳ないが、2年前からうちの1店舗だけ、雑誌を完全にこちらの言ったとおりに入れていただく形でやっている。雑誌の担当者は初めての経験で、言ったとおり来たのでびっくりしたと言っている。自分の責任で仕入れて、自分で売ろうということに関する責任は、大変半端じゃないので胃が痛いと言うが、月にこのぐらいで、こういう企画をしますよという約束を十分クリアしながら、品数が増えていくことが大変大事なことだろうと思う。
日書連は「買切り制に対する考え方」を決めたり、責任販売制と情報化ということで、発注に責任を負うシステム作りが必要であると打ち出してきた。さっき言ったように、出版社も枯渇してきて、書店もギブアップ寸前。そこに情報化が追いついてきたという、一番いいチャンスではないか。新しい信頼関係の中で、お互いが情報を隠さずに共有できるということが、やはり大事だ。
藤原取次のシステムの中で、インセンティブとペナルティーという話があった。村松社長が言ったように返品率がこのぐらいだったら掛がいくらだという、きちんとしたルールを決めていかなければいけない。取次は今後そのシステムを進化させる点で、どう考えているのか。トーハンからお答えいただければ。
野村まずシステム面から言うと、POSの部分だけにあまり拘泥をしすぎると、出た数字で例えば10商品を送って3返品があったから、じゃあ7にしたら返品ゼロかというと、やはりそうはならない。7にしたら今度は売上5で、結局2返ってくる。これは書籍も雑誌も同様だ。だから、システムというのは、一つの数字について、あるお店もしくは出版社のそれぞれの特性をどう分析して、それを次の販売にどう活かすかが、最大の部分になってくると思っている。
私どもは、POSデータを活用した需要予測というものに現在取り組んでいる。それぞれの書店の立地、客層という情報をすべて集約し、現状の店頭販売、それから今後の需要予測を書店に提案して、私どもの営業が書店さんと一緒になって考えて、商材を含めて進めていく。これは桶川のSCMセンターの中で、それらを集約して進めていくということで考えている。責任販売はその中の一つという位置づけになってくる。
インセンティブとペナルティーというお話があったが、インセンティブできちんと販売の結果が出たお店に対して、その売上のプラスの部分は書店に対しても再配分していくことを出版社と進めていく考えだ。ペナルティーについては正直に言って日本の実情では難しい問題もあろうかと思う。ペナルティーというものが先行しすぎると、取り組みが難しくなる面があるので、商品個々の販売動向によって、その契約の仕切りを変更していくという措置が必要だと考えている。
〔雑誌の定期購読拡大が重要〕
藤原村松さんは、前に雑誌の販売についてテストもおやりになった。最後にお話を頂戴したい。
村松雑誌は、かつては定期購読という形で書店に配達をしていただいた。これは書店にとって、経営を安定させられると同時にロスを減らせるものだった。定期購読というのはお客が見えるわけで、ここに力を注いでいただきたいと、前から書店に話はしていた。しかし高度成長の中で人件費が拡大し、配達をやめる書店が増えていった。
その時に、出版社が書店に対して、きちんとした支援をしてこなかったということが、いま思うと非常に残念な結果になっている気がする。ただ、まだ遅くはない。市場は今どんどんマーケティング的にも、マンツーマン市場に移りつつある。宣伝を仕掛けるから大量の商品が一気に売れていくというのは難しい。
今こそかつての個別配達が、これから商品を売っていく重要な要素になってくるだろう。読者の顔がしっかりわかり、何を求めているかも当然わかってくるわけで、そのソースとして雑誌の定期購読は、すごく大きな要素になるだろうと思っている。
雑誌の返品を下げると同時に、雑誌を拡大するために、大阪屋と組んで5店舗で返品率低減のテスト販売を実施した。5%返品を下げていただければ、3・5%のマージンを支払いますというものだ。返品分はすべて書店に還元するということで半年間実験したが、結果として思った以上に返品が下がった。
いまは書籍で利益が上がり、雑誌が赤字となっていて、かつてとは逆転した構造になっている。雑誌はコンテンツの供給源であると同時に、書籍やムックを宣伝する媒体だ。これがシュリンクしていくと、二次コンテンツの利用をするムックや書籍に影響してくる。
返品減少の実験についてだが、書店は雑誌は並べて売っておけば、あとは残ったら返品すればいいんだという意識が非常に強かった。しかし、雑誌を意識してきちっと売る、返品をするのはまずいんじゃないかという意識を、従業員教育として使えたという効果があったと、書店の社長さんが言っておられた。棚差しの中で最後に残った1冊というのは、返ってくるというのがほとんど。ところがある本屋さんで残り1冊コーナーというのを作ったら、80数%が買われていったという。これもアイデアの一つだ。平台の面陳や棚差しでは、時間差で変えていく形をとる。午前中と午後、夜では客層が違うから、そこで商品構成をまめに変えていくと、全然露出が違ってくる。そういったアイデアをお互い共有しながら、いかに本を売っていくか、雑誌を売っていくかということを、ぜひ考えていただきたいと思う。
雑誌は売り切りだから返品になっても改訂して出荷できない。戻ってきたものはすべてロスなので、これを下げられたら、出版社は書店にそれを全部還元することは可能だ。中小の本屋は、雑誌とコミック、文庫が中心になると思うが、やはり利益の源泉は雑誌。定期購読を拡大していかないと、今後おそらく雑誌は、一方では電子雑誌、一方では同じ商品を印刷媒体として店頭で売るというのが出てくると思う。電子雑誌については取次や書店は関われなくなっていく。雑誌を拡大していけば、中小の本屋にも取次にも、出版社にとってもメリットがある。ということで、雑誌をどう売っていくかということを、もう一度真剣に考えていただきたい。

〈日書連・責任販売制21世紀ビジョン委員会試案〉
①出版社は従来通りの条件で出版するか、責任販売制を取り入れるか、商品毎に判断する。
②初版のみ委託(本来の精算払い)とし、再版から責任販売制に切り替えることも可能とする。
③書店へのマージンは最低35%以上を確保できるようにする。
④返品許容量を設け、歩安入帳のシステムとする。
⑤商品毎に単品管理できるシステムを書店、取次会社、出版社ともに構築する。
⑥書店は積極的に自店での販売力を強化し、仕入能力の開発に努める。
(2000年11月)

ふるさとネットワーク/関東・東京ブロック編

〔茨城〕
琵琶湖に次いで我が国第2のスケールを誇る霞ヶ浦は、たくさんの種類の生き物が生息する自然の宝庫です。四季を問わず多種の鳥が見られ、湖にはコイ・フナ・ワカサギ等のほか、ブラックバス・ブルーギルといった獰猛な外来種も生息しています。筑波山を背にワカサギ漁の帆曳き船が浮かぶ姿は風物詩でしたが、時代の流れには勝てずトロール漁とともに姿を消すことになります。霞ヶ浦は開発や都市化の影響でコンクリートの護岸に囲まれ、水をきれいにしてくれる生き物が住めなくなり、水辺の遊び場がなくなり、人と湖も切り離されてしまいました。アサザプロジェクトは、まず、アサザという水草を種から育ててもらいそれを植えつけることからはじめ、こどもたちとそのまたこどもたちのために、人と生き物が喜ぶ自然豊かな湖を取り戻そうという運動です。すでに3万人以上が参加しています。(舘野弘広報委員)
〔栃木〕
子供のころから目にしていたもの、口にしてきたものは、どこにでもあると思いがちです。私は小学校時から駄菓子屋で飲むものは「関東牛乳」の“レモン牛乳”(関東レモン)でした。そしてこの黄色い色をした牛乳は日本中どこにでもあると思っていました。しかし…。
「関東牛乳」は1920年設立の乳製品メーカーの老舗。無脂肪牛乳や生乳、砂糖などを原料にする関東レモンは戦後まもなく開発、風味が利いてどことなくレモンの香りがしてノドゴシが良いのが特徴で、最近まで1日8千~1万個生産されていました。しかし手狭な工場の制約を打開できないなどの理由で関東牛乳は営業を停止し、“レモン牛乳”も私たちの目の前から消えました。しかし製造中止を惜しむ声が相次ぎ、「栃木乳業」が「知名度のある商品を残そう」と製造を継承、”関東・栃木レモン”の名で復活し、販売を開始しました。
“餃子”より“レモン牛乳”のほうが宇都宮の名物と確信しています。(落合均広報委員)
〔群馬〕
県東部に位置する桐生市は古くから桐生織の名産地として知られ、京都・西陣と並び称される存在。今から1200年前、宮中に仕える白滝姫が桐生に嫁ぎ、村人に養蚕や機織りを伝えたのが始まりと言われる。そして、関ヶ原の合戦で徳川家康が桐生の白絹の旗を用いたことなどから、日本中に知られるようになった。その縁から桐生は幕府から厚遇され、織物の一大産地として発展した。19世紀前半には幕府の保護で、金襴緞子や糸錦などの高級織物も生産するようになった。
現代の桐生織は多品種少量生産で付加価値が高く、ジャカードを用いた豊かな表現力と、品の良いデザインが特徴。伝統を守りながらコンピュータを導入するなど時代の先端技術を取り入れて、世界的な繊維産業にまで成長した。伝統と先端技術の融合で生き残りを図る桐生織物産業。映画やドラマ衣装なども積極的に手がけている。ハリウッド映画「SAYURI」で使われた丸帯は桐生市で作られたものだ。
〔埼玉〕
全国のお茶の産地の中で、狭山茶を産する埼玉県狭山丘陵地域は緑茶生産の北限にあたる。寒い冬を乗り越えることで味わいは深まり、狭山火入という独特の仕上げ技術により甘く濃厚な風味が生まれる。
平成16年の埼玉県のお茶の栽培面積は全国8位、生産量は13位となっているが、これは埼玉県が他の茶産地より寒い地域に位置するため、年2回しか茶摘しないことによる。こうしたデータとは関係なく、「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」という言葉が生まれるほど味がよいことで全国的にも有名だ。
狭山茶の歴史は古く、鎌倉時代に明恵上人がお茶の栽培に適する地を求めて全国を歩き、川越に種をまいたのが始まりと言われる。それが入間地域一帯に広がった。本格的に茶業として始まったのは江戸時代中頃。現在は日本のみならずアメリカをはじめ外国にもファンがいる。
〔千葉〕
「商業捕鯨再開に光が見えた」――江戸時代から続く房州捕鯨のお膝元、そして日本で4カ所しかない捕鯨基地がある南房総市和田町が喜びに包まれたのは、6月のこと。
カリブ海の島国セントクリストファー・ネビスで開かれた国際捕鯨委員会(IWC)で、1982年に決定した商業捕鯨モラトリアム(一時禁止)を不要とし、鯨類資源の持続的利用を支持する内容の宣言が採択されたのだ。モラトリアム決定以降、捕鯨国の主張が過半数を獲得したのは初めて。捕鯨国側の科学的なデータに基づく地道な努力が実を結んだものだ。
和田町で水揚げされる鯨は年間26頭。鯨が房総半島に近づく6月~9月に捕鯨が行なわれ、町は活気づく。鯨料理といえば竜田揚げやカツが知られているが、この地域の代表的な食べ方は「タレ」。鯨肉に味付けして干したもので、炙って食べる。酒の肴にオススメだ。
〔神奈川〕
毎年夏になると各地で花火大会が行なわれますが、小田原市でも8月5日、12日の2回、花火大会が行なわれます。小田原市は酒匂川で東西に二分されていますが、8月5日は東側(東京寄り)、12日は西側(静岡寄り)と2ヵ所で別々に行なわれます。本来は1ヵ所だったのですが、種々の事情で会場が分かれ、それぞれ競争するような形となりました。2会場の相違は東側が地上に仕掛けたナイアガラの花火に対して、西側が海上からの打ち上げを売り物にしていることです。海岸から3百メートル沖に3隻の船を浮かべて上空に打ち上げるとともに、両サイドの船から水中花火を横に打ち込む。スケールの大きい花火大会になる由です。45分間休みなく打ち上げる計画です。その時、小田原城のお濠に提灯を流す催し等、にぎやかな計画がいっぱいです。
(平井弘一広報委員)
〔東京〕
この夏の東京が「江戸」へタイムスリップしているのは『第1回・江戸文化歴史検定』のため。江戸庶民の生活に関する設問は必定!となると、上野東叡山を知っておかねばなるまい。京の御所を鎮護する比叡山延暦寺に模して天海僧正が建立したのが、江戸城の鬼門に位置する東の叡山、即ち東叡山・寛永寺(寛永2年)。不忍池を延暦寺の琵琶湖に見立て、中の島に竹生島同様弁才天を祀り、大和の吉野山に倣って櫻を植え、3代将軍家光も吉野の櫻を移植して、江戸の櫻の名所を作り上げた。
花の雲鐘は上野か浅草か
芭蕉
早朝の不忍池、上野の山を散策して後、下町風俗資料館と両国の江戸東京博物館へ立ち寄り、浅草寺を詣でて、夕暮れの大川べり(隅田川)に足を伸ばして江戸情緒を体感して池之端へ戻り、鈴本演芸場で落語を聞いて、伊豆榮の鰻の蒲焼で一杯やって締めれば、「江戸検」庶民の生活、名所、名物の完全回答は間違いなし。
(小泉忠男広報委員)

懸賞論文「私の書店論」募集

日書連では懸賞論文「私の書店論」を募集しています。テーマは書店の個性化、書店再生、効率販売、プロ書店員論、地域との連携など、広く現場からの活性化論を。4百字詰め原稿用紙20枚以内にまとめ、8月31日までに日書連「懸賞論文」係へ。特選1名に賞金20万円、入選3名に賞金各5万円。入選発表は10月27日。

「声」/読書が日本を救う/北海道・高野名書店・高野名正治

6月27日付朝日新聞「単眼独眼」は「町の本屋存亡の危機」として日書連の行った『書店経営実態調査』の結果をまとめ、町の書店の衰退を伝えた。私たち零細書店は明日はわが身と身につまされた。この原因は今の改革至上主義で、「ゆとり教育」などを唱えて子ども中心で日本語をろくに教えないまま、英語を教えるなどの教育の欠陥ではないか。
一方、政治の貧困は大企業本位で、地方分権など私たちの親や祖先が大切にしてきた歴史を壊している。
勉強しない子どもたちの読書はせいぜい1日数分。1日数時間のテレビとケイタイなどで本はますます売れなくなり、書店にはよりつかず、立ち読みの子どもの姿もない。
私の尊敬する随筆家、岡部伊都子さんは幼い頃から病弱で、今の高校中退の学力よりないが、読書力が旺盛で数百冊の本を読まれ、82歳の今、著作は百数十冊に達し、多くの読者の心を打ち、感銘を与えている。
今の大学生は本を読まず、バイトに精を出し、大学の講義にも出ないものが多いというのでは将来が不安である。
弱肉強食の世、このままでは近い将来、大型店とコンビニだけが残り、小売店はシャッターが降りた荒廃した商店街になる。これを防ぐ方法はないのか。本を読める「教育」と、本を買える「政治」こそが、日本を救う道だと思う。

新・アジア紀行/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔第2回タイ・バンコクの巻②〕
1.オデオンブックストア
サヤームスクェアの第一路地に面した大きい路面書店である。角店の二辺が総ガラスのウィンドウなので、直ぐに書店であることがわかる。間口12間、奥行9間の店で、本80坪、文具20坪である。
雑誌は窓側に陳列、外に向けて陳列されているので、日本のコンビニを思いだしてしまう。総合書店であるが、書籍はすべてタイ語の本である。レジは60~70代のおばあちゃんが取り仕切っていた。この店のオーナーなのであろう。あとの従業員は女性5人、男性1人である。書籍の陳列が面白い。問屋式に書棚に本を横に積み上げている。店の側面ガラスで見えるところに児童書が並べられている。色鮮やかな絵本、児童書なので外から見ていても楽しさが伝わってくる。
雑誌は床から直に積み上げるのはタイ式なのか?下に簀の子や平台を置くことはしていない。書籍売場の通路幅が狭い。70センチである。
2.ブッカジンBookazine
この店はサヤームスクェアの中心駅サヤームの前に位置している。店名が面白い。日本にはムックという造語があるが、こちらはブックとマガジンの合成語である。店も合成語の通り、一階はマガジン売場であり、地階はブックとCD、DVD売場になっている。
小綺麗な洒落た店で、原宿に似合った店で若者に人気のある店であることは、雰囲気や客層でわかる。雑誌売場には約1200誌がジャンル別に陳列されている。くるま、バイク、音楽誌、ホビー誌が多い。店長は20代の若い男性、その他女性が一人いた。各階20坪前後の書店である。
3.紀伊国屋書店・エンポリアム店
この店はスカイトレインのプロンポン駅下車、駅からエンポリアムデパートに直接繋がっている。このデパートはブランド品を扱う高級デパートとして有名である。またこの地区には日本人が多く住んでいるので利用者は多いという。このデパートはブランドを扱う専門店街と生活用品、食料品、レストラン街の百貨店に二分されている。紀伊国屋書店は専門店街にある。洋書のみの店で、左翼ゾーンは児童書、絵画、芸術、実用書、料理書、音楽、地図ガイド、ファッション、言語で、ライトゾーンは文芸、専門書群である。その中間に雑誌が壁面に約960誌ある。すべてシュリンクしてあるので中身を見ることは出来ない。店内は専門書店として落ち着いた感じの店であるが、照明を落としてあるので、小生には薄暗く感じられた。売場面積約400坪。
4.紀伊国屋書店・伊勢丹店
この店はスカイトレイン・チットロム駅下車お店である。伊勢丹の6Fにある。伊勢丹及びテナント共に写真撮影は一切禁止されている。店長は石堂智氏で、若くてハンサムな好青年である。彼の下にタイの女性でスリポーンさんがいる。彼女は地元大学で日本語を勉強し、紀伊国屋書店に就職した。日本語が堪能でしっかりしたお嬢さんである。
伊勢丹店の売場面積約500坪はエンポリアム店と並んで地元ではダントツの広さである。エンポリアム店は完全な洋書店(主として英書)であるのに対し、伊勢丹店は日本語250坪、英語150坪、タイ語、中文書100坪の割合である。
店の入り口は二カ所あるが、一方は日本人が、もう一方は地元の人が入店する割合が多いという。それは左翼ゾーンが和書で、右翼ゾーンが洋書だからである。この仕切りの役をしているのが、雑誌棚である。高さ1・2㍍の低い棚であるから両方の売場は見通せる。日本語雑誌、洋雑誌はこの場所に集結されているが、タイ雑誌、地元誌はタイ、中文書コーナーに併設されている。
営業時間は10時~21時で、年中無休である。取次はトーハンで、日本語週刊誌は航空便で、その他は船便でくる。この店では50人が働いている。レジは三カ所にあり、それぞれにインフォメーション係が置かれている。担当者のレベルも高く、さすが紀伊国屋書店だと思った。社員は二交代制で、早9時~18時、遅出11時~21時となっている。
和書売場はバンコク一充実している。雑誌約1200アイテム、文庫、文芸、ビジネスに力が入っていた。新書、人文、コンピュータ、学参は少ない。児童、コミック、実用書は普通の品揃えである。売場面積が広いので、市内の他の書店に比べたら質、量とも圧倒的に多い。雑誌の定価の一例。週刊ジャンプ230バーツ=690円。新聞も販売している。日経85バーツ=255円、朝日、読売新聞75バーツ=225円である。
女性誌に人気がある。文庫が特に売れている。学参は低調、小学参が対象で、高校学参は量も少ない。客層では在留日本人の夫婦連れが多いという。注文した書籍は3週間~1カ月かかる。地元には取次はなく、地元出版社は直接商品をもってくる。
5.ザ・ブックチェストTheBookChest
サヤームスクェアの第二路地に面した細長い書店である。間口は1・5間、奥行は20間はある。手前半分は本、その先は文具、ファンシー、雑貨である。その先といってもそちら側からも入れるので便利な店である。レジは丁度中央に50歳代の男性が一人店番していた。本はすべてタイ語の本である。陳列が圧巻であった。それは壁面に新書、ペーパーバックスを鱗状のプラスチックの什器にぎっしりと陳列されているからである。新書専門店として、バンコクで、また若者に人気のある書店なのであろう。
6.ブックオブワールドBookofWorld
スカイトレインのプロポン駅橋上の通路を利用した横細長の書店で、コミック、文庫、文芸の13坪の店である。ただ古書も売っている。左三分の一の売場は文庫、文芸の古書である。値段が三段階で、20、40、60バーツ(60、120、180円)に分かれている。本をお売り下さい、出張買取りのポスターがあって、さながら日本のブックオフである。
7.泰文堂書店・大新SC店
スカイトレイン、プラカーノン駅下車一分の所にある。日販帳合の店で和書だけ20坪の書店である。この周辺には特に日本人が多く住んでいるので、馴染みの客も多い。コミック、雑誌、文庫中心の店であるが、文庫の中の汚れ本が気になった。この現象は東京堂書店と同じである。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・坂田あかね

◇2歳から/『うしろにいるのだあれうみのなかまたち』ふくだとしお=著/新風舎1400円/2005.6
シンプルな繰り返しとすっきり愛らしい絵で、早くもロングセラーの風格の「うしろにいるのだあれ」シリーズから、特に夏にお勧めの一冊です。巨大なくじらさんが入ってスケールもアップ。海の中は何とも涼しげで、気持ち良さそうで、何度でも楽しめます。ぬり絵のポスター付き。
◇4歳から/『ひゃくにんのおとうさん』/譚小勇・天野祐吉=再話/譚小勇=絵/福音館書店800円/2005.9
中国の昔話。「そのかめがほしい。すぐにいってとりあげてこい」何でも百倍に増やしてしまう不思議なかめが、欲深な地主の手に渡って・・・。画面いっぱいに動きのある楽しい絵と、天野祐吉氏のテンポの良い文章で、想像以上の<おとうさんだらけ>に大笑いです。お話会にもどうぞ。
◇小学校低学年向き/『なつのいちにち』/はたこうしろう=作/ 偕成社1000円/2004.7
夏には夏の光が、音が、匂いがありました。一日がたっぷりと長かったあの頃の夏がギュッと詰まった絵本です。心に夏の風が吹きます。のびのびと主役をつとめる絵の力を堪能して下さい。一緒に読んだら、それぞれの思い出の夏の話がしたくなります。あの頃、子供だったあなたにも。

トーハンがローティーン誌増売フェア/中小書店中心に展開

トーハンは雑誌月間中の8月1日から31日までの1カ月間、ローティーン誌増売企画「うちら流×おしゃれ=夏恋」フェアを中小書店を中心に展開する。対象誌は「ピチレモン」(学習研究社)、「Hana*chu」(主婦の友社)、「nicola」(新潮社)、「ラブベリー」(徳間書店)の4誌。いずれも8月1日発売。
対象4誌は店頭でヒモがけされている場合が多いため、読者は商品内容や付録を見ることができなかった。そこで、トーハンは付録をアピールするポケットのついた販売台をオリジナルに開発。読者に付録と内容を実際に見てもらうことで購買意欲を喚起し、購入に結びつけたい考え。販売台は数冊平積み可能で、1冊は表紙を見せたりページを開いて陳列することもできる。また、各雑誌の人気モデルが読者に向けて直接メッセージを寄せたPOPやA2大カラーポスターを作成。ローティーン誌読者に向けた増売を図る。

栗田アートカレンダー

栗田は「2007アートカレンダー」の注文受付を始めた。「才能に障害はない」を合言葉に障害者アーティストの芸術活動を支援している「アートビリティ」の活動に賛同し、栗田が製作するオリジナルカレンダー。A5判(23・0㌢×15・0㌢、台紙付)、中綴じ式16頁、フルカラー印刷。1頁に2カ月を表示。頒価105円(税込)。台紙下への名入れは無料(特別の書体・マーク指定の場合は製版代実費負担)。注文は100部以上、100部単位で。申込締切8月31日。11月中旬納品予定。