全国書店新聞
             

平成13年2月21日号

実質的には「値引き」

日書連は十四日午後三時から元公取委員で弁護士の伊従寛氏を招き、ポイントカード制の問題点について勉強会を行った。
この中で伊従氏は「ポイントカードは実質的な値引き。
再販契約を認めながら、一方でポイントカードを認めれば、再販を放棄したのと同じだ」と述べるとともに、「ポイントカードをやりだしたら小売店間の競争になる。
安売りカメラ店では二〇%というケースもあり、戦略的、おとり的に使われるのではないか」と、市場に混乱が起きる懸念を表明した。
ポイントカードの考え方については、昨年十月に提出した日書連の質問状に公取委山田取引課長から回答が示されたところ。
勉強会では伊従氏が回答書について各項目ごとに矛盾点を指摘した。
公取が「ポイントカードのうち、自店で販売する商品の代金に充当できるものは値引き」と定義付けながら、ポイントカードは「消費者利益に資するもの」であり、「通常の値引きとは異なる」としていることについて、伊従氏は「百円のものをその場で九十五円に即引する値引きとは形式的に違っても、実質的にはポイントカードも値引き。
値引きを禁止する再販契約を認めながら、値引きしてもいいというのはおかしな話だ」と指摘。
出版社がポイントカードを認めるなら、再販を放棄したのと同じと述べた。
また、公取の回答で「自らの経営努力によりポイントカード制を実施する書店がある場合にその取組を制限することは、消費者利益の観点からみて問題」としていることに対して、伊従氏は「再販制は他種類の書籍が流通できるよう価格変動のリスクをなくしたもの。
価格の固定が長期的には消費者利益になる前提に立っている」と述べ、値引きだけを消費者利益と短絡する公取委の考え方を批判した。
このほか、再販商品にポイントカードを出すことの危険性について伊従氏は、「やり出したら小売店間の競争になる。
二〇%でも三〇%でも構わないのか。
スーパーは客引き、おとりとして戦略的に使うのでは」と指摘した。

月内に活字議員懇

日書連は二月十四日、衆議院議員会館で活字文化議員懇談会代表幹事をつとめる自民党の中川昭一衆議院議員(北海道11区)と懇談。
最終局面に入った出版物再販制度の擁護に理解と協力を求め、二月二十二日の「出版物再販制度の存続を求める全国代表者集会」への出席を要請した。
懇談は志賀健一北海道組合理事長の案内で萬田貴久会長、高島季雄再販委員長、白幡義博専務理事、大川哲夫事務局長が出席。
席上、萬田会長は「出版再販制がなくなれば全国の書店地図は劇的に変化し、日本の文化水準にマイナスに作用する」と述べて、出版業界が取り組んでいるブックスタート、朝の読書、店頭読み聞かせ等の活字文化振興策を紹介。
再販存続に理解と協力を求めた。
これに対し、中川議員は出版業界として有害図書問題により強い対策をとるよう注文した上で、「再販擁護の趣旨に賛同する」と表明。
存廃の結論が出るタイムリミットに合わせ二月中に活字文化議員懇談会を開催する意向を示し、日書連の全国代表者集会へも参加すると述べた。
このあと、一行は活字議員懇事務局長の肥田美代子衆議院議員(民主党・比例近畿)を訪ね、肥田議員も二十二日の集会に出席することを確約した。

130名規模で開催

日書連は二月十四日に書店会館で再販擁護特別委員会を開き、二十二日の「出版物再販制度の存続を求める全国代表者集会」の進め方、運営などについて検討した。
この結果、集会には書協、雑協、取協も含め総勢百三十名規模で開催。
衆・参両院経済産業委員などに出席を求め、再販存続へ向けた緊急アピールを採択する。
二十二日午前十時半から衆議院第一議員会館で開かれる代表者集会には日書連理事、常任委員六十名のほか、茨城・栃木・群馬組合から各二名、埼玉・千葉・神奈川組合から各五名、東京組合は二十名を動員。
書協、雑協、取協の各団体からは十名ずつの参加を求める。
国会議員に対する出席依頼は、衆・参両院経済産業委員会の委員全員、文部科学委員会は理事以上に案内状を出した。
経済産業委員会は独禁法改正が国会に上程されれば審議を付託される重要な委員会。
このほか、超党派の議員でつくる「活字文化議員懇談会」メンバーについては各党の有力議員、「出版を考える会」塩川正十郎会長らにも出席方を働きかける。
既に、二十四日午前中には活字懇の中川代表幹事(自民)、肥田事務局長(民主)両氏に萬田会長らで面会を求め、出席の返事をもらっている。
集会の進行は下向副会長の開会あいさつでスタート。
司会も下向副会長が担当し、まず萬田会長が運動の経過報告を兼ねてあいさつを行うほか、書協・雑協・取協からの出席者紹介、代議士あいさつは出席議員全員にお願いし、最後に出版再販存続に向けた緊急アピール文の採択を予定している。

客注雑誌のヤレ

名古屋市・文進堂書店河合宏美嫁にきて十数年になり、やっと書店新聞を読むようになりました。
どうしたらいいんだと思っていることがあるので、書いてみます。
当店は小さな本屋ですので同じ雑誌が複数ではなく、たった一冊しか入荷しないということがよくあります。
その一冊が客注(定期購読分)だったりするにもかかわらず、梱包の時に折れてダメになっていたりします。
よくあるのは、一番下になっている雑誌の表紙(裏表紙)が三角に折れているケースです。
ほとんど毎日、破損品があり、売り損ねたり、定期不足でテンヤワンヤします。
日販に何度も言っていますが、良くなりません。
他の店ではお困りにならないのでしょうか。
たった一冊入荷して、その一冊が折れていて、おまけに定期購読分だったなんてことはないんでしょうか。

講談社の出庫に不満

奈良県・せんだん書林木村美津江いつも「本屋のうちそと」を楽しみにしています。
二月七日号の「本屋のうちそと」には全く同感。
「ウンウン、うちと一緒やなあ」と、二度、三度読み返しました。
私の店も客注は版元へ注文しております。
一番困るのは講談社の新書、文庫です。
版元に在庫があるのに、大阪屋に在庫がなければ入ってこない。
腹が立って、大阪屋に苦情を言うと、「冊数がある程度たまってから版元に注文する」との返事。
講談社も会社が大きいのか、そっくり返っている感じだし、なんとかできませんか?

業界の売上げに思う

北海道・高野名書店高野名正治昨年の出版販売金額は前年より六百四十億円、二・六%減少し、四年連続でマイナス成長になったと発表された。
今の私たちの国の不景気、少子化、読書離れなどを考える時、よくこれだけの減少にとまったという思いがする。
他業種では、思いもよらない大会社の倒産やリストラなどのニュースを耳にするが、出版業界は小売書店の廃業はあっても、今のところ出版社の悪い話は聞こえてこない。
人口五千人に満たない北の漁業の町で、私の店の現状は平均よりはるかに低く、やっと一ケタ減を維持して営業している。
読者の趣味の多様化に、出版社は少ない部数で点数を多く出して売上げ確保の努力をしている。
取次も売上げを確保するため返品を承知で送品する気持ちは察するに余りある。
何としても店を続けて行くには、田舎の私たちのような店に不向きな本は配本を考慮していただき、実態に合った売れる本を供給し、返品を減らし、効率ある販売に努めたい。
永年続けている配達は週刊誌一冊でも毎週配達し、読者と密着した商売がしたい。
田舎の小さな書店の売上げは微々たるものだが、出版社、取次の方たちと三位一体となり頑張りたいと思います。

一日違いで未入帳

京都市・山科書店西野店間宮順子雑誌返品入帳の扱いで、次のような処理をトーハンからされました。
◇返品伝票記入日=12月25日、◇配送トラック積込日=26日朝便、◇東ロジ返品日=1月11日、◇返品期限=1月10日私は当社の社長から小支店を任され、二十年の者です。
今回、これを投稿するのは全国のトーハン帳合の書店さんに、このようなことがないかお尋ねしたいからです。
以前に身に覚えのない「書タレ」を出したことから、社長に申し訳なく思い、コードで控えを取るようにしていたのです。
損害もさることながら、なぜこんな書店泣かせの処理をするのか憤懣やる方ない思いです。
取次には返品期限の猶予があるとも聞いています。
それはどんな時使われるのでしょうか。
東ロジで断裁されてしまってはどうしようもありません。

雑誌増売で応える

岡山県書店商業組合は二月十三日午後一時より岡山市のまきび会館で緊急理事会を開催。
雑誌発売日の繰上げが報告になった。
岡山組合では二年前の総会で雑誌発売日改善の要望を決議、雑協、取次、日書連、有力版元に改善を働きかけてきた結果、三月十二日付、三月十三日発売から現行の三日型(東京発売より二日遅れ)から二日型(東京発売より一日遅れ)に改善されることになった。
理事会では高田和幸発売日委員長より詳細な経過報告があり、「長年の夢である東京と同時発売の理想に大きく近付いた。
これも関係各位の暖かい理解の賜物。
とくに大取次各社の作業改善に負うところが大きい。
これに応えるには一冊でも多くの雑誌を増売することで報いなければならない。
それがまた、新たな改善に結びつくことになる」と述べた。
山田次郎専務理事は「読者は新鮮で質の良い情報を望んでいる。
この情報化時代に狭い日本で、なぜ雑誌が二日もかかるかという疑問の声は新聞の投書でも取り上げられ、店頭でも耳にする。
雑誌到着日が週四日から五日になり、配達や労務管理の見直しも必要になるが、読者の声を無視して業界の発展はありえない。
これからも組合員は結束して問題の解決に知恵と力を注ごう」と呼び掛け、全員一致で賛同した。
今後、二月二十三日に岡山、広島合同理事長会の席で正式決定し、発表の運びとなっている。
(今城友三郎広報委員)

説明会に百十名が出席

小学館支援「書店パソコン導入事業説明会」が二月五日、六日の両日、京都市、宇治市、舞鶴市の府内三カ所で開催され、三会場合計百十名が出席した。
五日は午後一時から宇治市で京都府南部の書店を対象に開催し、二十二名が出席。
四時半からは書店会館に京都市内の書店八十名が参加。
六日は午後二時から舞鶴市で府北部の書店八名が出席して開かれた。
小学館からはマーケティング部津田室長、東芝から石川、森両氏が出席。
組合員に説明を行った。
この事業の正式名称は「日書連書店SA化推進事業支援プロジェクト・京都モデル実証実験」。
パソコン未設置店に導入を進め、小学館の商品発注を手作業からパソコン発注に切り替え、書店業務の効率化、品揃えの改善、増売・拡販を目指そうとするもの。
このプロジェクトでは定期的に書店と小学館の効果測定を行うことにしている。
昨年、京都組合が行ったパソコン導入アンケート調査や今回の説明会の参加者数を見ても、組合書店の反響の大きさと関心の高さがわかる。
今後の日程では、二月中に申し込みを受け付け、三月中にパソコンを設置、四月一日からの稼働を目指している。
(中西裕広報委員)

市教委への図書券納入方法で申入れ

大阪府書店商業組合は二月七日午後二時から大阪組合会議室で二月定例理事会を開催した。
再販・公取協の問題では、公取委に対する意見書提出運動は一月二十五日の締切りまでに在阪取次各社も積極的に協力した」と報告があった。
また、再販の法改正は今年度内はないのではという希望的意見が述べられた。
大阪組合が大阪市教育委員会に一括納入していた図書券について、「本来、教諭一人ひとりに支給されるべきものが、学校ぐるみで換金されている」と新聞報道された件で、大阪市教委から今後、現物支給に改めたいと申し入れがあった。
共同受注委員会からは「事務手続きが煩雑になることが予想される。
各県で類似の事例を調査し、簡便化の方法を探す」と説明した。
事業委員会からは三月三十一日にオープンするユニバーサル・スタジオ・ジャパンの公式ガイド取扱について、出版社と交渉する。
近畿ブロック主催「本屋へ行こう」キャンペーンは本年も実施の方向で検討する。
経営研究委員会からは大阪組合のホームページ「なにわの町の本屋さん」を立ち上げたが、任期満了後のメンテナンスは専門委員会で責任をもって対応してほしいと提案があり、これを了承した。
発売日については、キヨスク及び阪急電鉄駅売店への前渡しの不当性を今後も厳しく追及していくと報告があったほか、東淀川区の病院内売店で週刊誌早売りがあったことが報告された。
出版倫理では、弁護士を招いての勉強会を三月七日の理事会当日行うことにした。

本屋へキャンペーン

近畿ブロックが主催する「本屋へ行こう」キャンペーンの総括会議を兼ねた抽選会が二月八日午後二時から大阪組合会議室で開かれた。
出席者はアシェット婦人画報社、学習研究社、角川書店、主婦の友社、主婦と生活社、世界文化社五社の担当者、取次五社、近畿ブロック各府県組合の代表合計二十名。
多屋睦男実行委員長(和歌山組合理事長)を議長に今回のキャンペーンのまとめを行った結果、来店客を増やす主旨で次年度も実施の方向を確認した。
反省点としては■チラシ配布から実施日までの時間的余裕がなく、周知徹底できなかった、■組合員全員参加、アウトサイダーとの差別化が裏目に出た、■商品を買わないので応募しにくいという読者の声があった、■ポスティングに対する反応が思わしくなかった、■実施時期、対象誌の再検討も必要−−などの声があがった。
このあと抽選会に移り、取次ごとに参加書店数、応募者数を集計して当選数を割り当て、A賞(図書券五千円)百名、B賞(図書券千円)五百名の当選者を決定。
残る応募者全員の中から特賞「電動アシスト自転車」の当選者として次の三名を選んだ。
▽森喜代子(羽曳野市)▽塩田雅子(守口市)▽三嶋康之(和歌山県かつらぎ町)(中島俊彦広報委員)

リード

書店に足を運ぶのは週に一度、一カ月の本代は五千円まで。
出版情報は店頭で現物を見るか、新聞・雑誌から入手する−−書店新風会は平成十二年十月、顧客を対象に第4回読書アンケート調査を実施。
その結果をまとめた小冊子『2000わたしの読書白書』からこんな読者像が明らかになった。

書店新風会・読書白書2

*週に一度は書店に行く人が7割弱*どのくらいよく書店に行くかを聞いた設問(表1)では、「週に一度」行く人が二八%を占めた。
「週に二、三度」「月に一、二度」がともに二三%、「ほとんど毎日」が一七%となり、七割弱の人が週に一度以上は書店に行っていることがわかる。
一カ月に購入した雑誌の冊数(表2)は、二冊が最も多く二七%。
続いて五冊以上が二五%、一冊が二三%となった。
前回調査と比べると一、二冊購入する読者が増えたのに対し、多く購入する読者比率が減少しており、購入を厳選する傾向が強まっている。
また一カ月に購入した書籍(表3)は、トップが一冊で二九%、次いで五冊以上が二八%とほぼ同数。
二冊は二三%となり、二冊までの購入が半数を占める。
平均冊数は前回より〇・三冊増えて二・八冊になった。
一カ月の図書購入金額(表4)をみると、千円から五千円が五七%、千円未満が一八%、五千円から一万円が一六%。
男女とも千円から五千円というケースが圧倒的となった。
しかし前回調査との比較では、千円未満の低額層が三ポイント増加したのに対し、千円〜五千円の中間層は落ち込んで七ポイント減少している。
一方、五千円〜一万円や一万円以上の比率は前回よりも増えており、購入金額の二極化がうかがえた。
よく読む本の分野を二つ選んでもらう設問(図1)では、「趣味・スポーツ」とした人の割合が二六%と「小説・エッセイ・詩・短歌・俳句」の二五%を押さえてトップになった。
以下、「暮らし・料理・育児」一一%、「ノンフィクション」九%、「パソコン関連」七%の順。
関心の高い分野を男女別にみると、男性が上から趣味、文学、パソコン関連、ノンフィクション、歴史宗教の順。
女性が文学、趣味、暮らし、ノンフィクション、健康福祉の順となった。
出版物情報を何から得ているか、該当する項目を選択してもらう設問(図2)では、「書店の売り場で目録・データ検索・現物を見て」とした人が四一%に達した。
次いで「新聞・雑誌の出版広告・書評」という人が多く四〇%、「テレビ・ラジオの書籍紹介番組」からという人も一〇%にのぼった。
「インターネットで(友人・出版社ホームページ)」は五%、「電車・バスの中吊り、駅構内広告」は四%。
前回調査に比べ「書店で」と答えた人が一〇ポイント増え、「新聞・雑誌」を抜きトップになった。

書店新風会

調査は平成十二年十月の読書週間に新風会六十五会員店の本店・支店・外商先で、来店者または外商先の顧客に実施。
調査数は一万三千枚、回収数は七千四百十五枚(回収率五七・〇%)で、男性が三八・七%、女性が五二・五%、不明八・八%。
職業別は会社員三三%、学生二二%、主婦一六%、公務員九%、経営者三%、教員三%、その他一四%。

書店新風会・読書白書3

*読書のライバルはゲーム・パソコン*最近の読書環境についてどう考えるか、本を読まなくなった理由について該当項目を一つ選んでもらうと(図3)、一位は「ゲーム・パソコン」で三四%を占めた。
続いて「読書無習慣」二五%、「読みたい・魅力ある本がない」一六%。
この上位三項目の順位は前回調査と変わらないが、四位の「携帯電話」が急増している。
「その他」の読書阻害要因の記述では、「仕事が忙しい」「本以外の娯楽が多い」「家計が苦しい」「テレビを見る」「子どもに手がかかる」「老化のため」などが目立った。
「今年読んで心に残った本」のトップは「ハリー・ポッター」シリーズとなった。
以下、『だから、あなたも生きぬいて』『五体不満足』『ホワイトアウト』『話を聞かない男、地図が読めない女』。
一日の読書時間(表5)は、一時間以内が最も多く四〇%。
三十分以内が三九%とほぼ同率だった。
二時間以内が一五%、三時間以内が四%で、一時間を超える人の割合は前回調査より三ポイント減少し二一%になった。
パソコンの接触度についての設問では、パソコンを利用していると答えた人が五〇・五%と半数に達した。
このうちインターネットで本を購入した人は一五%。
Eメールで友人と本の情報交換をしたり、出版社のホームページをよく見ると答えた人はそれぞれ二五%だった。
本の検索には三五%が利用しており、二九%の人が「パソコンなど電子画面でも読書したい」と回答するなど、パソコンが読書生活に浸透してきている状況がうかがえる。
最後の設問では出版界に対する意見を聞いた。
書店・取次に対し特に不満が多かったのは「新刊が発売日に入手できない。
新刊をもっと増やして」「田舎だから配本が少ないのか?」「新刊の品切れが多いのはなぜか」「本の取り寄せに時間がかかりすぎる。
(取り寄せ時期を明確に)」「本の流通プロセスを短く」「同じ新刊でも本屋によって入荷や発売日が異なる」の六項目。
出版社に対する意見では、「重版をはやく」「出版物に魅力がない・個性が希薄」「いい本はいつまでも売ってほしい」「文庫の絶版が早すぎる」など。
入手難の改善・スピードアップを求める意見が多かった。
白書では、「出版流通の不備、出版企画の貧困、それに地方の読書環境の貧弱さが輪をかけている。
地方読者の不満は年々募って、自由記述ではいらだち、辛辣さが目立つ。
こうした読書環境の悪さから、読書意欲を消失してゆく状況がよみとれる。
出版界は地方の読書環境改善にも早急に本腰を入れるべきではないか」と指摘している。

本屋のうちそと

いま巷で着物が静かなブームになっている。
きれいに着飾るばかりではなく、日常的に着て歩く人が増えている。
お客様にも着物を着て来る人がいて、着物話の花が咲いている。
ただ、今は昔のように白足袋に草履ということはないようだ。
今の人は下駄とか草履は履きなれていない感じで、昨日来た年配の人と「何か着物に合う靴があるといいですね」と言っていた。
道路がコンクリートだったり歩道にタイルを敷き詰めていたりすると、結構つまづくから。
いまコミュニティセンターに着付けなどを教わりに行く人は、年寄りばかりではない。
若い人も着物を着て散歩してみようという気持ちになっているようだ。
銀座では「きものde銀座」というインターネットなどで知り合った仲間が集まって、着物を着て颯爽と銀座を散策しているという。
お店では着物関係の本が売れている。
着物のリサイクルショップも繁盛している。
若い子は「この帯いいでしょう。
インターネットのリサイクルショップで買っちゃった」と賑やかなこと。
着物はどこのお宅でもタンスの肥やしになっている。
うちの着物を着てくれないかという人は多い。
先日も近所の人が我が家に一枚の着物を持って来た。
着物の話の輪が、書店に立ち寄る人たちの間で広がっている。
(とんぼ)

日販おはなしマラソン

日販は一月二十七日、関西地区四府県の取引書店十店で読み聞かせ会「おはなしマラソン」を開き、五百三十八名(子供三百二十四名、大人二百十四名)が参加した。
同地区では三月までの三カ月間にわたって開催する。
各書店の開催状況は以下の通り。
○ブックランドすばる四条畷店(大阪府四条畷市)紙芝居、しかけ絵本、絵本『やさいのおなか』を題材にしたクイズなどバラエティに富んだプログラムと、実演者の子供たちを引き付ける話し方で、充実した会になった。
○BookParkアトラス館(大阪府門真市)親子連れが多く、クスクス笑ったり掛け声を飛ばしたりと、楽しい雰囲気の会になった。
○ブックスランボー(京都府京都市)=写真=近隣住宅へのチラシ配布に加え、児童館、保育園にも事前の趣旨説明を行った。
参加者はおはなしを味わってじっくり楽しめる小学生以上が多かった。
○詳文館(兵庫県加古川市)選書が対象者に沿っていたため、すんなり入ることができたようだった。
読み聞かせ終了後、アンパンマンの着ぐるみと写真撮影大会。
このほか紀伊國屋書店堺店(大阪府堺市)、旭屋書店近鉄上本町店(大阪府大阪市)、宮脇書店泉南店(大阪府泉南市)、耕文堂書店Nビル店(大阪府池田市)、本のがんこ堂守山店(滋賀県守山市)、メディカアスパ店(兵庫県高砂市)も多くの親子連れが詰め掛け盛況だった。

文京・台東両区の絵地図

東京・文京区の南天堂書房と台東区の明正堂は「文京区・台東区散歩絵地図」(本体八百十九円)を六千部作成し、自店舗および両支部内希望書店での販売を始めた。
文京区と台東区の絵地図をセットにしたもので、「文京区」版は「目白台・小石川・本郷山の手散策坂のある風景」、「台東区」版は「上野・浅草・隅田川下町散策川のある風景」のタイトルがついている。

岩崎書店が自費出版サービス

岩崎書店は二月十五日、子供向けの本の自費出版サービスを今春から開始すると発表した。
児童図書専門の自費出版サービスは同社が初めて。
岩崎社長は「現在の不安な社会情勢から、子供たちに知ってもらいたい、読んでもらいたいとする人々は世に多くいるはず。
そんな方々のお手伝いをしたい。
閉塞感のある児童書業界に新しい活路を開ければ」、自費出版サービス部門の責任者に就任したベテラン編集者・中村哲雄氏は「児童書は文章だけでなく挿絵も大切な要素。
新サービスではイラストレーターの紹介や挿絵に関するアドバイスも行いたい」と話している。

片山会長を再選

近畿書店栗田会は一月二十五日、大阪市・三井アーバンホテル大阪で第十三回通常総会を開き、会員書店四十六名が出席した。
総会は吉田裕彦氏(大和高田市・ラックス)の司会で進行。
片山修己会長(京都市・山科書店)あいさつのあと審議に入り、すべての議案を原案通り可決した。
役員改選では片山会長を再選し、新たに幹事として大野勢津子氏(大阪市・ブックス大野)、滝内恭博氏(伊丹市・サンクス)の二名を選出。
片山会長の再任あいさつの後、栗田・亀川正猷社長が祝辞を述べた。
第二部は小学館・道瀬紘太マーケティング部長が「出版業界のIT化と書店の展望について」を特別講演。
s−bookの展開を中心に話した。
第三部懇親会は出版社や関連業者五十一名を加えて、盛会になった。
(川辺佳展広報委員)

「読書キャラバン」3月は宮崎、岡山へ

講談社の読書キャラバン「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」は二月の鹿児島県、和歌山県に引き続き、三月は一号車が宮崎県、二号車が岡山県を巡回。
読書アドバイザーや地元ボランティアが子どもたちに読み聞かせを行う。
両県の訪問先は次の通り。
〔宮崎県〕▽1日=宮崎市・広原保育所、清武町・加納ひまわり幼保園▽2日=北郷町・黒荷田小学校、三股町・ひかり保育園▽3日=都城市・吉尾保育園、日南市・見聞読タナカ日南1号店▽4日=都城市・ブックスミスミ都城蔵原店、田中書店妻ケ丘本店(リバティ田中書店)▽5日=南郷町・榎原小学校・榎原へき地保育所、潟上へき地保育所▽6日=串間市・金谷小学校、日南市・鵜戸小学校▽7日=えびの市・京町中央幼稚園、小林市・小林小学校▽8日=山田町・谷頭保育所、高崎町・笛水小学校▽9日=綾町・北俣保育所、新富町・のぞみ保育園▽10日=佐土原町・広瀬北小学校家庭教育学級、川南町・川南町立図書館▽11日=延岡市・保育園協議会「おやこの森」、北川町・北川町立中央公民館▽12日=北川町・松葉小・中学校、高千穂町・高千穂町立中央保育園▽13日=北浦町・北浦小学校宮野分校(宮野浦生活館)、延岡市・川島小学校▽14日=延岡市・土々呂幼稚園、日向市・明林堂書店日向店▽15日=椎葉村・椎葉小学校・上椎葉児童館▽16日=佐土原町・広瀬共栄幼稚園、新富町・上富田保育所▽17日=日南市・飫肥保育所、北郷町・北郷町立図書館▽18日=宮崎市・絵本読み聞かせの会「七色のとびら」(栄町児童館)、高岡町・穆佐児童クラブ(穆佐地区農業団地センター)▽19日=宮崎市・南方保育園、明林堂書店神宮店▽21日=日南市・酒谷小学校、小山保育園▽22日=南郷町・立正幼稚園、みなと保育園▽23日=南郷町・南郷町立栄松保育所、外浦保育所▽24日=日向市・日知屋小学校(日知屋公民館)、日向市立図書館▽25日=宮崎市・春苑堂書店宮崎駅店(駅構内情報センター)、都濃町・都濃町民図書館▽26日=宮崎市・育児サークル「あすなろKIDSクラブ」(福島町公民館)、新富町・いずみ保育園▽27日=延岡市・育児サークル「おひさまPark」(延岡一ケ岡コミュニティーセンター)、川南町・川南町通浜児童館▽28日=宮崎市・大島児童館幼児サークル「きらきら」(向陽園)、高州保育園▽29日=西都市・西都市立図書館、えびの市・えびの朗読会(えびの市立図書館)〔岡山県〕▽1日=岡山市・岡山市錦幼稚園、公文式コンフォートK教室▽2日=美作町・美作町巨勢幼稚園、美作町立湯郷保育所▽3日=御津町・御津町立図書館、岡山市・津高子ども劇場(粕谷集会所)▽4日=岡山市・講談社パル(イトーヨーカドー岡山店)▽5日=岡山市・岡山市緑保育園、明林堂書店福富店▽6日=長船町・長船町国府幼稚園、備前市・備前市立大内保育園▽7日=長船町・長船町中央公民館、備前市・備前おはなしネットワーク(備前勤労者総合福祉センター)▽8日=佐伯町・佐伯町立佐伯幼稚園、佐伯町立図書館▽9日=牛窓町・牛窓町立牛窓北幼稚園(農村教養文化体育施設)、邑久町・邑久中央公民館(福田保育園)▽10日=岡山市・大蔵省印刷官舎母子クラブ(岡山第2宿舎)、西大寺子どもライブラリークラブ(西大寺図書館)▽11日=岡山市・岡山市子どもセンター(藤田公民館)、岡山市北ふれあい児童館▽12日=倉敷市・倉敷市立連島神亀小学校、こばと保育園(旧・玉島北島小学校跡地)▽13日=玉野市・日比クラブ(玉野レクレセンター)、灘崎町・七区児童館▽14日=新見市・親子シアター・アリスのひろば(井倉市民センター)、新見市立図書館▽15日=矢掛町・どんぐりころころ(三谷コミュニティセンター)、川上町・親子クラブつくし会吉備川上幼児学園(川上町立児童館)▽16日=高梁市・巨瀬野母親クラブ(巨瀬地域市民センター)、高梁市図書館▽17日=美星町・美星町中央公民館▽18日=勝山町・勝山町立図書館、八束村・●の子会(八束村役場保険センター)▽19日=中央町・打穴幼稚園、鏡野町・鏡野町鶴善保育所▽20日=久米町・久米町立図書館、柵原町・柵原町立図書館▽21日=西粟倉村・西粟倉村小学校、西粟倉村教育委員会(西粟倉村健康管理センター)▽22日=岡山市・竜操子ども劇場(岡山市財団児童センター)、福田子ども劇場(岡山市立福田公民館)▽24日=早島町・早島町立図書館、倉敷市・倉敷市立児島図書館▽25日=灘崎町・灘崎文庫くるりんぱ(灘崎町町民会館)、岡山市・操山子ども劇場(メディア・コム)▽26日=岡山市・御南西子ども劇場(御南西公民館)、吉備・綾南子ども劇場(岡山市立吉備公民館)