全国書店新聞
             

平成16年8月1日号

ハリポタ第5巻290万部発行

静山社から9月1日に発売されるハリー・ポッター・シリーズ第5巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」は、290万部を午前5時より沖縄を含めて全国一斉発売することが明らかになった。
定価は税込み4200円で、本体価格で第4巻より200円の値上げ。今回も上下巻セットでシュリンクパックするが、総頁数は4巻より224頁多い1368頁。厚さ7㌢、重さ1・8㌔。とにかく上下巻合わせると580万部という大量部数だけに印刷だけで2ヶ月かかるといい、お盆明けから取次に搬入される。

懸賞論文8月末まで締め切り延長

全国書店新聞創刊1500号記念懸賞論文「書店業務、私のアイデア」は締め切りを8月31日まで延期いたします。書店名、氏名、年齢、勤続年数を添えて「日書連アイデア募集係」まで。組合加盟店なら経営者、社員、パート・アルバイトを問いません。入選作10名に賞金各2万円進呈。発表本紙11月1日号。

公取協顧問に元永氏

出版物小売業公正取引協議会の顧問として岡本光治氏に替わり、7月22日付で元永剛(もとなが・つよし)氏が就任した。元永氏は広島県出身、昭和15年4月11日生れ、64歳。41年愛媛大学文理学部卒、42年国家公務員上級試験(甲種法律)合格。43年公正取引委員会事務局採用。審査部、取引部、福岡地方事務所長などを経て官房審議官(取引担当)で退任。現在、高岡法科大学教授。

複数冊販売時に誤差/総額表示で出版社にお願い/日書連

本年4月1日から消費税の総額表示が義務化され、出版物を複数冊購入すると消費税とレジの表示金額に誤差が出る問題で、日書連は7月23日、書協会員社に「総額表示義務化に伴う定価付け見直しのお願い」を送付。書店店頭で読者とのトラブルを回避するため定価表示を再検討するよう求めた。〔消費税〕
端数処理による差額問題として「お願い」が例示しているのは、本体価格848円、総額表示890円の本を5冊販売した場合。POSレジ上では4452円、総額表示では4450円となり、2円の誤差が生じる。
7月22日の日書連理事会では、下向委員長が「定価販売の出版物には由々しき問題で、1円の端数処理が発生しない仕組みにしてほしい。価格決定権のある出版社に書店が要望するのは問題ないと判断した。出版社に申し入れし、端数処理を話し合うテーブルを作りたい」と委員会の方針を説明した。
これに対し理事会では「20円刻みなら誤差が出ないが、税率が変ればどうか」「書店が困らない仕組みを出版社に要請することは問題ないはず」「消費税はそれほど精緻さを求めるものではない」などの発言があった。
〔再販〕
ヤマダ電機のポイントカード問題で、その後の経過報告が岡嶋委員長から行われた。6月30日に行われた著作物再販協議会では、公取委からポイントカードなどの再販維持について共同行為がないよう注文がついたことも報告された。
また、同委員長は6月30日の著作物再販協で配布された再販制度の弾力運用に関する消費者モニターアンケートに触れて、「ポイントがためられる書店で購入するという回答は1割程度にとどまっている」と指摘した。
〔情報化〕
志賀委員長から日書連の情報化支援として小学館から年間600万円の資金がさらに2年間延長して継続されることになったと報告された。
ナショナル、東芝陣営の電子読書端末「シグマブック」は、8月から丸善、紀伊国屋書店、八重洲ブックセンター、三省堂書店の4店でコンテンツをSDカードに書き込む実験に入る。
〔スタートアップ〕
7月から雑誌愛読月間のキャンペーンとして「年間定期購読キャンペーンが始まっている。今年は36社75誌が参加。東京地区限定として14社16誌のリクエストもあったが、取次が独自に定期購読システムをスタートさせたため、参加店は東京で昨年の半分にあたる3千店にとどまっている。
出版業界のIT化を担う「JPO日本出版インフラセンター」については、組織が複雑化しているため、理事会、運営委員会、日本図書コード管理センター、研究会、部会などの関連を一覧にし、井門委員長が説明した。

読書週間書店くじ実施要領

▽実施期間平成16年10月27日(水)より11月9日(火)まで書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数700万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法束単位で返信用申込書に必要事項を記入し、所属都道府県組合宛に申し込む。締切は8月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で10月25日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表12月5日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品賞品総額1億110万円、9・8本に1本の当選確率
特賞=フランス8日間の旅70本
1等賞=図書カードまたは全国共通図書券1万円700本
2等賞=同上または図書購入時に充当千円2100本
3等賞=同上5百円1万4000本
4等賞=図書購入時に充当百円70万本
ダブルチャンス賞=全国共通図書券1万円100本
▽賞品引き換え特等賞は当選券を読者より直接日書連まで送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立て替え。図書券不扱い店または図書券が品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は平成17年1月15日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引き換え期間読者は12月5日より平成17年1月10日。書店で立て替えたくじは平成17年1月31日までに一括とりまとめて「引換当選券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局まで送付
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスター1店2枚。全国書店新聞、取次広報誌に記事掲載。日書連ホームページで宣伝

万引防止の取組み活発/福岡では天神でチラシ配布/7月理事会

〔指導教育〕
夏休みに入り青少年の非行増加が懸念されるが、各地で青少年万引防止の取り組みが活発になっている。
福岡県では7月19日、青少年非行防止月間の一環として天神地区の3ヵ所で山口理事長らがチラシを配布。NHKが九州版のローカルニュースで放映した。
また、京都組合は万引防止ポスターを製作。埼玉県は万引き防止協議会を立ち上げ、官民一体となって万引きゼロをめざしている。一方、東京都万引防止協議会では、生徒が万引きした場合、必ず学校に連絡するよう求め、教育現場との連携を徹底する方針だ
〔流通改善〕
雑誌発売日の対応で日書連は、①3日目地区の繰上げ、②沖縄の空輸実現など5項目を発売日本部委員会に申し入れることを確認した。また、朝日新聞社、毎日新聞社の2社に対しては各社長あてに「週刊朝日」「サンデー毎日」の発売格差問題を指摘し、早期是正を求める文書を送付する。
9月1日発売の「ハリー・ポッター」第5巻は、発売日が9月1日午前5時指定であり、取次に対して発売日の遵守と、伝票は9月1日付の徹底を求めて申し入れすることになった。
〔読書推進〕
「第4土曜日は、こどもの本の日」キャンペーンについては、現在、香川、滋賀、佐賀の3組合で実施中。地元新聞で読み聞かせのイベントが取り上げられるなど、好評を博している。秋は宮崎、山梨、福井の3組合を予定。実施書店の要望から実行委員会では、お話会の予告用POPを作成、希望書店に4枚1組で無償提供する。申し込みはJPICまで。03(5211)7282番。
〔増売運動〕
秋の読書週間書店くじは特賞として海外旅行を復活。「フランス8日間の旅」に70名を招待する実施要綱を承認した。また、今春の書店くじWチャンス賞には4087通の応募があり、理事会の席で当選者百名を抽選した。
2004年秋「心にのこる子どもの本新刊セール」は2070セット、1億4千万円を目標に受注活動に入る。
〔組織強化〕
共有書店マスター・ユーザー会が使用している書店データベース「S-DB」を各県組合に配布し、これをもとに組合非加盟店の把握と加入促進をお願いすると鈴木委員長が説明した。
〔共済会運営〕
共済会全国委員長会議を9月15日午後4時半からお茶の水「東京ガーデンパレス」で開催する。6月理事会で設置を決めた財務見直しの特別運営委員会委員には木野村委員長はじめ以下の4名の委員を了承した。伊沢崇(北海堂)、赤羽好三(長野)、井門照雄(愛媛)、西尾文士(香川)。
〔共同購買〕
中山委員長から、ワイシャツの胸ポケットに入れてもかさばらない、ハンディな手帳「ポケッター05年版」ならびに各種雑誌袋の斡旋を行なうと説明があった。「ポケッター05年版」は店名なし百部7665円からで、申込み締め切り8月25日。今年は13万7千部製作する。雑誌袋は通年受付中で、ポケッターの斡旋案内とともに、組合員あてに申込書を送付する。
〔広報〕
9月7日午後1時から書店会館で開催する全国広報委員会の概要について今西委員長が報告した。
*来秋全国カード化
日本図書普及の田中社長と佐藤専務が7月22日の日書連理事会を訪れ、図書カード一本化について理解と協力を求めた。9月に第2次として東北、山陽、愛媛、香川、来年1月に徳島、高知と順次カード化を進め、来年秋にも全国のカード一本化を目指したいという。
*小学館PS
小学館PSは6月から土曜・日曜も注文センターの稼動を開始したが、まだ書店に十分浸透していないとして、22日の理事会に小泉常務が訪れPRを行った。
注文センターは祝祭日を除く土日、午前10時から午後5時まで受付。電話番号は03・5281・1630番。FAX03・5281・1640番。

『フロム・エー』に販売協力金

リクルートは新規読者の獲得と部数増を狙って『フロム・エー』の定価を200円から100円に値下げするが、書店正味が46円から23円に下がるのを考慮して、新たに1冊37円の販売協力金を支払うと発表があった。
このシステム、通常の決済とは別に3月と9月の年2回、協力金を取次経由で決済する仕組み。第1回支払いは来年3月末で、毎号20部を半年間販売すると、協力金は1店当たり3万7千円。
リクルートでは「マガジン・フレキシブル・マージン・システム」として他社にも利用を呼びかけるが、
取次の支払いと相殺では困るという書店の声しきり。

2ヵ月連続で前年割れ/文芸書6ヵ月連続でプラス/日販調べ

日販経営相談センター調べの6月期書店売上げは平均98・7%となり、5月の98・5%に続き2ヵ月連続の前年割れとなった。前年をクリアしたのは文芸書の6・7%増と文庫の1・3%増の2ジャンルのみで、5%以上のマイナスは児童書、新書、学参書の3ジャンルと今年最多。
規模別では40坪以下、81~120坪、121坪以上の各クラスはほぼ前年なみであるのに比べ、41~80坪店は93・1%と落ち込み幅が大きい。
ジャンル別では、文芸書が6ヵ月連続で前年をクリアした。300万部を突破
した『世界の中心で、愛をさけぶ』の勢いは止まったが、『ダ・ヴィンチ・コード』(角川書店)、『グッドラック』(ポプラ社)などが好調。新書は昨年同期から『バカの壁』効果で大幅な前年超えが続いた反動でしばらくは低迷が続く?

新規顧客開拓と経費節減訴える/岡山総会

岡山県書店商業組合(吉田達史理事長)は6月22日、岡山市下石井の「ピュアリティまきび」で第17回通常総会を開催した。委任状を含め60名の出席者を前に、吉田理事長が冒頭あいさつ。書店を取り巻く環境は厳しく、その要因は①売上不振②在庫過多③経費過多④ロス商品の発生⑤売上回収の遅れ⑥万引き・内部事故⑦入帳漏れ等と分析、細かい点検を呼びかけた。さらに、このような厳しい局面を打開すべく、外商等での新規顧客の開拓(獲得)による売上の確保と経費節減の2つのコンセプトを掲げ、これを実現してこそ今後の成長拡大・経営安定が達成できると話した。
続いて、山田専務理事を議長に選出し議案審議。読書推進(増売運動)については、総入場者数1万500人、即売で373万円を売り上げたイベント「子どもの本inおかやま」を15年度に引き続き16年度も10月2日、3日の両日に児童書イベントとして開催することを決定。情報化推進対策では、組合が推進している「図書館ナノ」の導入は現時点では厳しい状況にあるが、具体的に取り組んでいる岡山県組合内組織「ライブラリーサポート岡山」の活動を引き続き支援していくこととした。その他すべての議案を全会一致で承認。役員改選では、新年度も吉田達史理事長体制は変わらないものの、2名の理事が新たに就任、若干の若返りを図った。「知恵と体力を出し合い、組合を盛り上げたい」と話した。
引き続き元オリエント美術館館長の市川俊介氏を講師に「ももたろう」と題して講演会を開催。この後、取次をはじめ関連会社が参加して懇親会が行われた。
〈岡山組合役員〉
▽理事長=吉田達史(研文館吉田書店)
▽副理事長=岸本正(あいや)今城友三郎(今城盛文堂)
▽専務理事=山田次郎(山田書房)
(土井利彦広報委員)

共済会給付

(16・6・17~16・7・21)
▼病気傷害花巻市上町5―29誠山房梅津健一郎殿5口
名古屋市中川区長良町2―109早瀬書店早瀬政子殿2口
別府市亀川東町13―19ブックス玉屋望月良造殿5口
▼死亡弔慰西茨城郡岩瀬町明日香2―28ブック舘オオワタ大和田銀市殿2口
宇都宮市峰1―33―16緑園書房亀田二郎殿1口
狛江市中和泉1―1―1だぐら書店谷田部精一殿1口
大津市浜大津2―1―29浜書房井門一男殿2口
長浜市元浜町21―20文化書店清水幾治郎殿1口
大津市中央1―5―2澤五車堂沢和枝殿2口
▼漏水(集中豪雨)小田原市栄町2―13―3伊勢治書店大嶋博之殿10口1万1千円
▼その他被災(看板落下)羽島市竹鼻町270―9田中書店田中義和殿2口2万円
▼配偶者死亡(大島陽子)茅部郡森町御幸町30―8ライオン堂大島徹殿3口

訂正

7月21日付2面に掲載した神奈川組合理事会の記事中、今年度総会の会場は横浜市中区の神奈川平和会館の誤りでした。お詫びして訂正します。

女優の岸恵子さん「もっと本屋さんに行って」/東京文化講演会

東京都書店商業組合主催、新潮社協賛「世界本の日サン・ジョルディの日」記念文化講演会は7月9日午後6時半より春日の文京シビックホールで開催され、昨秋、自伝的長編小説『風が見ていた』を出した女優・岸惠子さんが「横浜からパリへ」と題して講演した。講演会終了後、サイン会も行われた。
まず主催者を代表して東京組合の萬田貴久理事長があいさつ。岸さんが主演した映画「君の名は」の思い出などを語り、続いて岸さんが登壇した。
岸さんは自身の小説や生き方、男と女、ファッションなどについて哲学を披露し、読書については「本を読まない、映画を見ない人が増えると、その国の文化は衰退する。本を読まない人は読んでいる人に比べると、話の内容に深みがない。本は大切なもの。もっと本屋さんに行ってほしい」と話した。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・佐藤あけみ

◇2歳から/『やさいだいすき』/柳原良平=作・絵/こぐま社900円/2004・7
まずはだいこん、にんじん、きゅうり、かぼちゃ…。と新鮮な野菜達が元気いっぱい登場してきます。どのやさいも表情豊か!形や色の美しさを競い合っているようです。まるごと食べても、ぐつぐつお料理してもおいしいよ。もりもり食べて、やさい達と仲良しになっちゃおうね!
◇4歳から/『うみへいくピン・ポン・バス』/鈴木まもる=絵、竹下文子=作/偕成社1000円/2004・7
バスに乗っておでかけしましょう。降りたい時にボタンを押せば、ピンポン!バスはとまってくれます。パンやさんの前、踏み切りを渡って消防署の隣、窓の外の景色もなかなか楽しいものです。坂道を登って、トンネルをぬけたら、むこうにきらきら輝く青い海が待っています。
◇小学校低学年向き/『おばけいちねんぶん』/長野ヒデ子=絵、星川遥=作/小学館950円
2004・4
近道をしてお墓の前を通ったら、こんな立札が「ゾクゾクするけどワクワクする。ドキドキするけどウキウキする。これなあに?」答はお・ば・け?正解したら、おばけいちねんぶんがプレゼントだって!1月はろくろっ首、8月にはこんにゃくおばけがやってきた。楽しく遊んだよ。

雑誌発売日、東京と同時に/新会長に西村俊男氏/北信越ブロック会

日書連北信越ブロック会は7月11日、新潟県新発田市内のホテルで総会を開催し、11名が出席。森井清城会長(石川組合理事長)の司会で、現在の日書連および各県における諸問題について意見交換を行った。また、森井会長より辞意表明があり、後任に西村俊男氏(新潟組合理事長)を満場一致で選任した。
総会では、新潟県から長い間問題になっていた年会費未納者に対し、未納2年間経過した組合員は退会者とみなす旨の定款改正を行ったとの報告。長野県は信教対策、TRCによる学校図書館納入対策、平安堂ポイントカード対策について報告。また、石川県からは「街角から書店の灯を消すな!」をスローガンに書店活性化対策について報告があった。また、共通問題として雑誌発売日を早く東京発売と一緒にするよう今後も運動をいっそう強力に進め、雑協に申し入れることを全員一致で確認した。
総会終了後、日本図書普及の倉園夏樹常務が図書カード、図書券の現状と今後について講演。各県からの要望や意見を聞き、今後大いに参考にするとのことだった。意見交換のなかで、「早急なカード一本化は読者離を招くおそれがあり、慎重に」「読取機導入無料化」「保守の無料化」「500円カードの発行」「カード会社の利益ばかりでなく読者の利便を考えるべき。出版界の読者拡大につながるよう進めてもらいたい」という意見が出た。
(宮原洋一長野組合副理事長)

東北ブロック大会・イン青森/出版界の再生と地域書店の活性化

世界遺産に指定された大自然「白神」の麓・青森県鯵ヶ沢町で今年の書店東北ブロック大会が開かれた。今年の目玉は「長引く景気低迷の中で、どうすれば地域書店の再生を図れるか」という切り口のシンポジウム。日書連萬田会長、日販阿部副社長、トーハン阿部取締役らの発言を再現した。
出席者(敬称略)
日販取締役副社長阿部洋一郎
トーハン取締役阿部好美
日書連会長萬田貴久
東北ブロック会長藤原直
青森県組合理事長鶴谷禄郎

〔藤原「失われた10年にヒント」/阿部洋「返品は非効率の象徴だ」〕
藤原出版業界は7年連続マイナス成長が続いている。20世紀最後の失われた10年を振り返り、反省材料にしながら、今後どうすれば活性化するのか、ご意見をいただきたい。
この10年で大きく4つ変わった。1番目に情報化社会が急激に発達した。10年前、インターネット、携帯電話はこれほど普及していなかったが、今は子供まで持っている。工業化社会が終わり情報化社会になった。2番目に冷戦構造が終わり世界が一極集中化した。3番目にデフレ不況。戦後ずっとインフレで来ていて、デフレは初めての経験だ。4番目に少子高齢化は今後も続く。
環境の変化に対応しないものは淘汰される。今後われわれは状況の変化にどう対応していくのか、お話を伺っていきたい。
阿部(洋)7年連続のマイナスで業界は3千億円強の売上げを失った。われわれはそれを指をくわえて見ていたわけではなく、血のにじむような努力をしてきた。書店も個々の経営を守る立場で大変な努力をされてきた。取次各社は物流投資も含め読者のための流通改善に取り組んできた。日販は7年前2600人いた社員が、今は2000人を切っている。
少子高齢化の問題は、1980年に0歳から14歳まで24%、15歳から64歳まで67%、65歳以上9%の年齢構成だった。これが2004年では14歳まで14%、65歳以上19%と高齢者が10ポイント増えた。恐ろしいことに2030年になると65歳以上が30%になる。
携帯、インターネットについては、インターネットが一般化してきた5、6年前、インターネットを一番使うユーザーは本を一番読む人口だったという統計もある。ただ、いまや小学校5、6年生がインターネットで事件を起こす時代になっている。インターネットは決して活字の敵ではないが、どこにお金を使うかで、本代から通信費に変わってきている構図だ。
外的要因としては新古書店、マンガ喫茶だろう。ブックオフは平成16年3月期で862店、売上げ224億円、104%の増加率。マンガ喫茶は貸与権の法整備が進んでおり、ある程度見えてきた。根底にある活字離れの問題が一番大きな要因だろう。
業界内部的には、すべての根幹は非効率の問題だ。書籍返品率が40%、雑誌も30%を越えている。これでは業界はどこも儲からない。出版社が儲からないと次の再投資につながらない。業界全体で返品率を引き下げないことには明日はない。返品増大の結果が出版点数の急増につながっている。出版社も社員を食べさせないといけない。悪く言えば粗製濫造で出版点数が増えている。10年前に4万点台だった年間新刊点数はいまや7万5千点。書店に並ぶ時間が短くなり、押し出される。読者の購買動機で「店頭で現物を見て」は60%ある。店頭で読者の眼に触れる機会が多ければ売れるチャンスも多い。
活字メディアの競争力は、他のメディアに対して相対的に低下しているのではないか。テレビがこれだけ普及し、インターネットその他の情報手段が発達してきた中で、週刊誌の持つ社会的役割、機能は昔に比べて変わってきている。そのあたりを作る側が改善しているだろうか。
流通の立場から言うと、各社とも送品スピードアップに全力をあげている。在庫点数は10年前は10万から12、3万点だったのが、いまや50万点になった。また、物流は労働集約型の典型で何百人も動員して物流を動かしてきたが、省力化と機械化を進めることで24時間注文品の出荷作業をしている。
受発注のデジタル化も進んだ。書店店頭で端末、POS、HTなどから電子発注ができ、タイムロスをなくせる。出版社の協力をいただきながら計画搬入し、全国の書店の発送時間帯に合わせ、最も滞留時間の少ない出庫をしている。いまや在庫商品は3~4日で店頭に届けられる。
取次在庫はもちろん、版元621社の在庫を書店店頭でご覧いただける。店頭に来られた読者には出版情報を含めた各種情報サービスで相当進歩した。
ネット販売がどんどん増えている。アマゾンは2002年に90億円、2003年に180億円、たぶん今年は250億円になるだろう。ネットが便利なのかリアル書店が便利なのか、最終的には利便性の問題で消費者が選択する。これに対抗するには個々の書店ではできないので、「本やタウン」をサイト上で一緒に展開させていただいている。
出版社にとって大きい流通上の進歩は、書店POSで店頭売上情報が開示され、きめ細かく、迅速に手元に届くようになったことだ。重版を判断する段階で昨日この商品がどの書店で売れたかわかる付加価値の高いサービスだ。
読書推進は、日書連も組織をあげて展開しているし、業界では読進協が手がけている。日販では「母と子の読み聞かせ」を取引書店の店頭で定例的に展開し、トーハンも朝の10分間読書を積極的に展開されている。明日の業界のために忘れてならない重要な運動だ。
阿部(好)7年連続の前年割れは1997年から始まった。2003年は1999年と比べマイナス17・3%。金額では2兆6563億円が2兆2178億円に7年間で4285億円減った。
1975年までは2ケタ成長、翌年から1996年まで1ケタ成長だった。97年に始まるバブル崩壊、景気後退が引き金でマイナスに転じたが、4つの要因がある。1番目にルートが多様化した。デフレ景気もあり、新古書店の増加、マンガ喫茶の台頭もある。図書館の個人貸し出し冊数が増え、通常ルート以外の販売環境が拡大してきた。
2番目にインターネットに代表されるデジタル化。
携帯電話も含め他業界とのコンテンツの競争が始まっている。池の水が蒸発している中で、出版業界だけでは問題は解決できない。
3番目は少子高齢化。人口構成が激変している。自治体の収入減で図書館予算も減り続けている。出版業界という大きな池で蛇口が閉まり流入量が減ったことが書店の店売、外商にボディーブローで利いている。
4番目に今指摘した外部環境の変化に対し、業界の内部環境が追いつけず、客の望む本が出版されない。
『書店経営』1月号の新年特集で「当店の最優先課題」を特集し、書店の経営施策をアンケートした。2001年は売上げ低迷が突出していたが、2004年の1位は商品の仕入れ調達、2位は売上げ低迷、3位は人材育成・従業員問題、4位は万引き問題だった。こういう結果を見ると、書店の関心が現状打破の方策に移ってきている。店の魅力アップが急務と考えている書店が多い。
ここ数年は各書店に様々な提案をしてきた。店頭発の情報からそれに合う配本や商品調達を打ちあわせながら魅力ある店舗創造を進めている。トレンドを重視した売場提案、リニューアルと、強み、弱みを共有することで、書店のブラッシュ・アップが重要だ。
〔萬田「小売業全体で環境変化」/阿部好「顧客満足の把握が重要」〕
藤原書店の側から言うとマイナスは7年より長く、9年は続いている気がする。書店の感覚ではどうも95年あたりから売場がおかしいなという感覚だった。日書連も傘下組合員がどんどん減少しており、平成はじめの1万2千店がついに7千店台になった。
萬田書店の減少はこの10年の経済低迷が大きな原因の一つだ。同時にこの10年間はいろいろな変革が行われた。商業統計を見ると、日本の小売業は170万店から140万店に減った。特にここ3年間で5人以下の小企業が24%減と減少が著しい。ガソリンスタンド、レコード屋、薬屋等の淘汰が進んだ。化粧品や薬は過去、指定再販商品だった。再販がはずされ、競争条件が変わって変化が起きた。
書店の減った一番大きな原因は高齢化と後継者だ。後継者がみつからないのは書店を取り巻く環境がよくないからだ。近くに競合店が出て営業不振に追い込まれている。書店全体の坪数はこの2年減ったが、昨年はプラスになった。個々の書店数は減少している。中小書店を取り巻く環境は依然として厳しいと実感している。
長らく低迷していたコンピュータの世界にIT革命が起きた。私の店は昭和57年に国内で7番目にNIPSを入れたが、それからだいぶ時間がかかってPOSが普及してきた。この間、出版業界は化粧品だとか消費者に密着した多品種の業界に遅れをとった。ようやく出版業界もPOSが単品管理、受発注に活用されてきて、在庫把握、売行き予測の有効な武器になっている。
売上げと同時に、今はいかに利益を確保するかが重要だ。取次にすべて配本権を委ねるのでなく、書店が独自仕入れを行い、返品率の減少、商品の長期陳列に取り組む。経費削減を図る。万引きも自治体や警察と協力して対策を進めている。これも書店の利益の足を引っ張る。その要因を除去することになる。
最近は店頭に書店独自のPOPを掲示し、書店発のベストセラーが話題になっている。書店の読み聞かせも力を入れている。各県単位、個店での取り組みが、この10年間に広がってきた。不況脱出のため、業界をあげた取り組みだ。
個店だけでは解決できない問題もあり、書店が協力して進めてきた事業の一つがTS流通協同組合。東京都の補助金でネット利用による客注システムを構築して出版社112社と直接取引きし、月700万円前後の売上げをあげている。福岡には福岡情報センターがあり、各種情報をデータセンターから書店に一括配信している。
書店のコラボレーションとしては、NET21が16社、46店の売上げデータを出版社に提供し、共同仕入れを行っている。大阪のパルネットは10社、23店が一括仕入れを行っている。
このほか、東京組合では毎年官公需で約10億円の実績がある。太田ブックチェーンは区立図書館の業務委託をしている。行政のアウトソーシングだ。ブックスみやぎ、三重のテラは共同店舗で、中小が協業化して切磋琢磨している。
藤原地域書店の活性化の特効薬は何かあるか。具体例をあげてもらいたい。
阿部(好)市場環境を見ると昨年2003年は新規355店舗、4万3千坪出店した。前年比で64店少なく、2千坪多い。一方、廃業は1673店、6万8120坪。店数で30・2%増、坪数で35%減だ。2003年12月段階で書店の数は1万8473店舗になる。廃業店の原因は商圏の変化、競合店の出店、売上げ減があげられる。
活性化だが、顧客満足、ストア・ロイヤリティの向上が最重要ではないか。そのためには地域との連携、お客が欲しくなるような陳列。そういう問題意識の把握と課題解決が重要だ。
2つ目には顧客がどのように変化しているか。帰宅後の活動時間、自由時間は短縮化している。トーハンは顧客の変化に対応するために様々なツールを開発して営業提案してきた。新雑誌定期配本システムは新規顧客の開拓、外商の活性化が狙いで、全国で2500店、東北支店は235店が参加している。
e-honはインターネットでの受発注、ホームページと店頭の連動により、その効果を何倍にも引き出してくる。全国で2000店、東北では132店が加盟している。ブックライナーはすぐにほしい本を短期間で手に入れる。バーチャル書店とリアル書店の複合だ。全社で4500店、東北で450店が加入している。平成15年の販売はブックライナーで前年比30%増加、e-honで50%増えている。
商品計画に基づく売場作りの展開は、さまざまな情報発信でお客様に期待感を抱かせながら新商品に引き付ける。雑誌陳列は書籍以上に重要で、リニューアルはGISという地図情報をもとに、地域に合わせた明るい買いやすいリニューアルを提案している。
朝の10分間読書運動は7月1日現在、全国で1万5815校となった。青森は373校、実施率54%、岩手387校、52%。宮城293校、38%、秋田374校、75%、山形273校、51%、福島486校、54%。全国で75%以上は秋田、長野、鳥取、島根、佐賀で、もうすぐ2万校を突破する状況だ。
〔阿部好「朝の読書は2万校突破」/阿部洋「書店在庫把握して重版」〕
阿部(洋)返品率が高すぎてはどこも儲からないので、次に再投資ができない悪循環になっている。一方で書店では新聞広告に載っている売行きのよい本が入荷しない。
今の委託制度では返品リスクはすべて出版社が負っている。ベストセラーになっている『世界の中心で愛を叫ぶ』は初版8千部だった。一般的な文芸書初版の相場だ。これを全国の本屋に希望するだけ配本するのは不可能だ。
以前から責任販売制が何度も試行された。一定の結果は出したが長続きしない。企画ものは原資がとりやすいし、版元も1セットでも多く売ってほしいが、文芸書単行本は書店店頭で読者の目に触れる機会をいかに多くするかで売行きが違ってくる。新買切りにしてリスクを流通にもたせれば縮小均衡になる。従って文芸書単行本では責任販売制度が根付かない。
一方で新買切り、責任販売制といって一定のリスクを書店、取次が背負ったとした場合、出版社が確認する方法がない。10万部を市場に出し、責任販売制で15%以下の返品率にすると、1万5千部。これが3万部返ってきても、誰がウソをついたかわからない。
もう一つ、新買切りでは最初に条件が提示されるのでなかなか伸びない。そのあたりを流通側がクリアして、版元から見て信頼できる仕組みを用意しないと責任販売制は定着しない。
新刊配本が3部あって、このうち2冊売れる。補充注文する。取次オンライン、版元への電話、FAX、取次担当者への電話、あの手この手で注文して部数を確保しようとする。しまいに、いくつ注文したかわからない状態になる。版元にも在庫がないから一定の期間を経て重版され、どっと送られる。旬を過ぎていて返品になってしまう。
書店の売上げを書籍6割、雑誌4割として、その中の新刊平台の占める占有率は多くて20%。平均12~15%だ。そうすると書籍の80%以上は棚の既刊書の売上げ。「売行きベスト500」で欠本調査をしたところ、よく管理されているところで4割しかない。大部分は売れない商品が棚を占有している。管理しやすい文庫でせいぜい6割、だいたいは5割になっている。
一昨年発表したトリプル・ウインは600社の書店と160社の出版社が加入している。店頭の情報、新刊、注文、返品情報を単品別にデータベースで公開している。出版社は今までどの書店で何が売れたかはつかめても、在庫数はわからなかった。これがないと重版できない。現在、600店の店頭情報が版元のデスクでわかる。重版、再版のタイミングを的確に判断できる。書店在庫をにらみながら店頭で売れた部数を判断して必要な量だけ作る。調達、リードタイムに4日かかるとすれば、4日間に売れる数字に見合う商品供給体制を作りたい。余分に在庫する必要はないし、無駄な返品もない。これがSCMだ。
現在、常時50点、平台を中心にやっている。これに加入している書店は400店。書店はめったやたらに注文せず、15%以内の返品に抑える。一定期間平台に展示するなどのルールがある。SCMの担当者が常時、書店店頭を把握し専用在庫として持っている商品を供給している。結果、そのジャンルの売り上げは5%ほど伸びている。
理想的には出版社は小ロットで短期間に重版できる態勢を作ってほしい。それができるまでは日販の方である程度在庫を持たせてもらう。読者の信頼を失わないため、売れている時、必要なだけ商品が届く仕組みを作り上げたい。
藤原今、IT化で、機械に頼らざるを得ない。明治の頃、商売を始めた古い書店は電話もなかったが、いまどき、電話もFAXもない書店はない。あと何年かしたら、パソコンを使えない書店はありえない状況になるだろう。阿部副社長が言ったSCMでどこまでできているか。建前と本音が違っていたのが、業界の一番の問題だった。
それがうまく機能していた時代には問題がなくても、今となるとルールを守ってやらざるを得ない。ルールを守るためにどうするか。POSレジで管理されても、それだけのデータで終わってしまうのでは売上げにつながらない。
〔萬田「買切りでインセンティブ」/鶴谷「書店はコンサルタント業」〕
萬田ICタグは現実に50円が5円くらいになった。技術の進歩は早い。業界の取り組みはJPOで検討を進めており、バーコードに変わり物流に革命をもたらす。万引きにも有効で、ブックオフなど新古書店のリサイクル協議会も実証実験に加わっている。セキュリティ対策も必要だ。
このほかデータベースの一体化、客注のスピード化、トレーサビリティで客に即答できる状況も作っていきたい。日書連では書店データベースを管理運用する。取次にもこれを使ってもらうようお願いしていきたい。いろいろな意味で大きな潮目を迎えており、この流れは止められない。
昨年、東京組合は文芸書の共同仕入れを行なった。買切りにした途端、注文が止まってしまい、共同仕入れを中止した。中小書店は顧客管理、来店者の属性が把握できていない。外商活動が枯渇している要因もある。この本ならこのぐらい売れるといった予測がもてる書店の資料がないのが大きな弱点ではないか。顧客管理の一つの手段としてポイントカードがある。ポイントカードも値引きでないポイントカードは認められているので、公正競争規約の範囲内でやっていけばよい。これから検討していかなければいけない問題だ。
POSが進化すればほかの仕入先からのものは区別できる。責任販売制はトーハン、日販両社長からも公開の席で発言があるので、検討を進めるべきだ。やりかたの一つが買切りと同時にインセンティブを設ける。アメリカでは卸売方式として1冊いくら、10冊いくら、50冊ならいくらと逓減する正味率が公開されている。公表した料率が守られるようアメリカの公取、FTC(米連邦取引委員会)がモニターリングしている。取引条件が今のままでは、閉塞感の中で商売を続けることになる。
もう一つ、地域書店として申し上げたいことは、商工会議所・商工会が進めるTMO構想(タウン・マネジメント・オーガニゼーション)だ。それぞれの地域で計画を立て国の制度融資を受ける。全国で300件前後が名乗りをあげた。商工会議所等を母体に行政や周辺商店街が一緒になって賑わいのある街を形成していく。ハードだけでなくソフト面でも手厚い支援策がとられ、地域との密着が深まる。ハード面では街区の共同店舗を作れば特別な補助金があったり、低利融資もある。一つの企業では限界があり、地域が一体となって都市間競争をしながら生き延びていく時代だ。
鶴谷書店は仕入れや販売に関する営業活動の大事な業務を全部取次におんぶしてきたため、自主仕入れの判断力、責任が弱くなった。出版社も一部の大手版元はマーケティング活動をしているが、大半の版元は配本を取次任せ。これを見直す時期だ。
後継者問題で廃業された方、自分の代でやめたいという人も多い。しかし、地方書店はほとんどが何らかの複合形態である。書店ばかりでメシを食っている人は少数派。他業種もやっているから価格競争、コスト意識、仕入れはプロである。そういう方々が、書店の看板に誇りをもってきたけれど、仕入れが思うようにならないことに失望して去っていく。
少子化は避けられない現実である。当然既成産業の市場を縮小させていく。縮小時に大量販売は勇気がいる。むしろ統合し多様化する戦略が必要だ。取次の大量販売システムは非常に発達している。しかし、多様化に対応するシステムが足りない。書店はお客様に対しプロとしてコンサルティングサービスが必要な業種で、パートやアルバイトに売場運営を頼るロー・コスト・オペレーション政策にはなじまない。小売業は地域のコミュニティづくりに参加する喜びがある。最近、そのコミュニティが破壊され、小売業の喜びがなくなってきた。土地の地域性や読者をよく見ていればどういう商品を置かなければいけないのかわかる。地方書店は雑誌や新刊書籍など新しい商品の仕入ればかりに目がいきがち。どういう売場を作るか、もう少し研究していきたいと思う。仕入れに対する的確な目と販売に対する責任がわれわれの業界に育ってこなかったことを反省している。
藤原岐阜商業の学生が「佐藤一斎の心/忠恕の飴」を企画して売っている。講談社の学術文庫で何点か出ている。こういうタイアップもコラボレーションになる。
最終的に商売は信頼と責任である。出版業界には無駄、返品がついて回り、業界の中で利益をつぶしている。儲からないと言いながら我慢大会を続けているのではないか。今日からすぐにできるかどうかは別にして、ヒントをいただいた。
阿部(洋)新鮮な情報発信ができる仕掛けを東北の書店店頭から始めていただきたい。
萬田ABA(全米小売書店協会)がブックセンスというマーケティング・キャンペーンで推薦図書、ギフト・カード発行、ドットコムの立ち上げ、ステッカーや包装紙の統一などを図っている。独立系書店が減少傾向にある中で、過去4年間に14~15%だった販売シェアが16%に拡大した。地道な努力を重ねることで成果がある。日本でも継続的な活動が力になる。

ふるさとネットワーク/関東・東京ブロック編

〔茨城〕
夏といえば海。茨城県は南北に長い海岸線を有し、海水浴等に適した場所が沢山あります。特に水戸の東11キロ、茨城の太平洋岸のほぼ中央に位置する大洗は有名です。大洗海岸には大洗海水浴場と大洗サンビーチの2つの海水浴場があります。大洗海水浴場は岩礁に囲まれて磯遊びもできるのが特徴で、サンビーチは遠浅で家族連れに人気が高く、特に一部は車イス用の更衣室、トイレ、シャワーなどが設けられています。夏だけでなく秋から春にかけてもサーファーのメッカとなっています。
近くにアクアワールド大洗をはじめ地上60mのマリンタワーや立ち寄り温泉、ホテル、旅館が並び、新鮮な海鮮料理を食べられる飲食店、土産物店も多い。大洗磯前神社は856年創建で永禄年間に兵火に遭い焼失。現在の建物は徳川光圀が次代までかけて造営したもの。そして名古屋場所で大活躍の雅山は当地出身。(舘野弘広報委員)
〔栃木〕
栃木県の東部に位置する烏山町には江戸時代から続く地芝居の「山あげ祭り」がある。烏山にはJR宇都宮駅よりJR烏山線で約1時間の旅になる。
「山あげ祭り」の特徴はその舞台装置にある。道路の中央に舞台を作り、1日6回の公演ごとにこの舞台ごと移動するのである。この芝居に使われる「山」と呼ばれる、竹竿に和紙を張って作られる背景装置は、全国に地芝居はたくさんあるが、他には例をみないもの。山は観客の方から見て、前山、滝山、大山と順に高さのあるものとなり、大山は建物の3階にまで及ぶ。これらを組み立てるのに要する時間は約1時間であるが、1日6回の公演の都度組み立てられ、芝居が終わると分解され、次の公演場所に運ばれ、また再び組み立てる。この祭りの時期、街の通り全体がこの野外劇の大舞台と化すのである。
また、烏山町は伝統の和紙の生産地であることも有名。烏山和紙会館では和紙の手すき教室が開かれており、気軽に参加できる。(杉山和雄理事長)

〔群馬〕
1949年(昭和24年)、この年は日本の考古学研究史上記念すべき年となりました。当時24歳の青年であった相澤忠洋という研究者が地元群馬県新田郡笠懸町に旧石器時代の遺跡を発見したからです。それが1979年史跡として国指定となった岩宿遺跡です。崩れかかった赤土の中から見つけた石片、それは「ススキの葉」を切断したように薄く鋭い透明な黒曜石の破片だったのです。そして3年の調査の結果、彼はこの場所で黒曜石で作られた形をした槍先型の尖頭器を発見したのです。
この辺りは関東ローム層と呼ばれ、その地層区分は12層から成立。岩宿遺跡の石器群は暗褐色火山層から発見され、3万年前頃と言われています。岩宿時代の人々の生業は主に狩猟が中心と考えられますが、この頃は植物質の食料も比較的多く採集できたものと推定されます。この遺跡は現在笠懸野岩宿文化資料館として歴史的景観が復元され、文化財として地元の人たちによって大切に保存されています。(竹内靖博広報委員)
〔埼玉〕
先頃、民主党の菅直人前代表が「自分を見つめ直したい」と徒歩で四国八十八ヵ所巡礼を行い、丸めた頭に菅笠、白装束の姿が新聞、テレビで大きく取り上げられた。日本では古くから幸せを祈りながら一寺一寺歩いて巡る巡礼の旅が盛んに行われており、現在もこの信仰は変わらない。埼玉にも秩父地方に観世音菩薩を祀った34ヵ所の札所があり、多くの巡礼者が訪れている。
秩父札所は室町時代の文暦元年(1234年)3月18日、性空上人など13人の権者が秩父霊場を巡拝し、札所を設けたのが始まりと言われる。現在は34ヵ所だが、もともとは33ヵ所だった。西国札所33ヵ所、坂東札所33ヵ所と合わせて百観音霊場とするため、のちに秩父を34ヵ所にしたという。全行程は約100キロ、徒歩で1週間程度かかる。江戸時代の巡礼道を歩くもよし、時間のない方はいくつかの寺を選んで巡るのもよい。

〔千葉〕
海水浴シーズンは、やっぱり九十九里浜です。交通の便は、総武線、または東京湾アクアラインを利用することができます。
ところで、九十九里浜は、千葉県北東部、太平洋に面する北の刑部(ぎょうぶ)岬から南の大東岬に続く弓状の砂浜海岸。長さ約60キロメートル。6町=1里(旧制)で九十九里あるところから命名されたと伝えられる。海蝕台の相対的隆起と波浪による漂砂の堆積により形成された。イワシの回遊が多く、戦国時代末から地引網漁業が始まったが、明治初期からあぐり網漁業と交代した。漁業の発展は海浜に納屋を常設させ、納屋集落をつくった。また、現在は海水浴場としてにぎわっている。1935年、九十九里県立自然公園に指定。72年県の有料道路の九十九里波乗り道路が完成し、沿岸の観光地化を促進した。
(植田榮一広報委員)

〔神奈川〕
神奈川県組合が力を入れている「読書ノート」の趣旨は、本の売上を上げるにはまず本を読む習慣をつけねばならない。朝の読書運動が全国的に行われ、8200校に達し、種々の効果が出てきております。それで書店が中心となって何ができるか考えた時、読書ノートという発想が出てきた訳です。読んだ本をノートに記入し、書店がスタンプを押してノートが埋まれば(100冊記入できます)、賞状を差し上げるというものです。注意していただきたいのは、書店で買った本ばかりでなく図書館で借りた本、週刊誌、コミック等、すべて入る。つまり、どの方法でも読んだ数を記入することです。極端に言えばマンガ週刊誌を週2冊、1年間読めば、それだけで100冊の読書となるわけで、入りやすいように工夫しました。年2回の達成者氏名を神奈川新聞にのせていただいております。平成14年5月からスタートして、現在賞状を受領した人数は450名を超し、書店数は70店近くに達しております。詳しくは県組合事務局まで。(平井弘一広報委員)

〔東京〕
東京組合は昭和36年「東京組合報・通巻1号」を発行し、平成16年1月号で通巻200号を迎えたのを機に『東京組合報二百号記念誌』(A5判・848頁・布クロス上製)を出した。
第1章は平成3年度発行「東京組合50年史」以後の東京組合、各支部、各委員会活動史。第2章は組合報で見る東京組合の歴史で、昭和23年発行の「組合月報」からの活動記事を選択し、凡そ60年の足跡を辿って編集した東京組合史。第3章に資料編と、第4章に協賛出版社152社の紹介記事で構成した。
日書連に最も近い東京組合の歴史は、日書連活動と重複する部分も多いが、その時々に組合員に広報した歴史でもあり、全国の書店組合員へのメッセージでもあります。各道府県組合様へ謹呈させて頂きましたので、ご高覧下さい。お手許にて購読頂ける方へは4200円で頒布致します。東京組合へご一報下さい。03(3291)0853(小泉忠男広報委員)