全国書店新聞
             

令和4年6月1日号

増売、粗利改善を重点課題に/支部活動の再編に取り組む/東京組合総代会

東京都書店商業組合は5月18日、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで第46回通常総代会を開き、総代41名(委任状含む)が出席。矢幡秀治理事長(真光書店)は書店の現状について、新型コロナウイルスの感染拡大前より売上は厳しいとの認識を示して、「増売」と「粗利改善」を重点課題に組合活動を進め、支部活動の再編に取り組むとの方針を掲げた。
総代会は渡部満副理事長(教文館)の開会の辞で始まり、矢幡理事長があいさつ。矢幡理事長は書店の現状について、新型コロナウイルスの感染状況が依然予断を許さない中で売上は非常に厳しく、コロナ前に比べても80%台後半から90%という実感だと指摘。「雑誌が悪いのが非常に気になる。書籍はそれに比べたら良いが、そこに活路を見出すべきか、我々の売上の大きな割合を占める雑誌を見直していくべきか、しっかり検討していくことが必要だ」と見通しを語った。
組合活動については、コロナの影響で新年懇親会は中止したが、日本教育公務員弘済会東京支部の学校図書助成事業、読者謝恩図書カードの発行・販売、出版社から提案された増売企画を実施したと報告。また東京都中小企業団体中央会の委託事業「新しい日常対応型業界活性化プロジェクト」に取り組み、YouTubeチャンネルを開設して書店紹介動画を配信するなどの成果を上げたと説明。「今後は増売に使える活用ができれば」と考えを話した。
組合の重点課題については「『売上を上げる』という原点に戻り、出版社、取次とひざを突き合わせ取り組んでいくような増売施策ができたらと考えている。粗利の改善も知恵を絞りやっていきたい」と方針を掲げた。また、各支部の支部員が減少し、存続が危ぶまれる支部が出てきているとして、支部活動の再編に取り組むと述べた。
出版業界の取り組みでは取次が打ち出す書店のマージン30%を目標とした施策に期待を寄せるとともに、「配本についてもっと『見える化』してほしい」と要望した。出版文化産業振興財団は、特別委員会を発足して書店収益の改善など書店の経営課題解決へ乗り出しており、今後の動きに注目してほしいと述べた。
続いて、議長に片岡隆氏(ブックスページワン)を選任して議案審議を行い、全ての議案を原案通り承認可決した。
令和3年度事業報告で、再販・発売日・取引改善委員会から、「雑誌作成上の留意事項」の改訂で付録のかさ高規制が撤廃され、配達などの業務に支障をきたす厚さの付録が出てきた件で日本雑誌協会(雑協)、日本出版取次協会と意見交換会を行い、雑協が同留意事項を一部改訂したことを報告。指導・調査委員会は、都中央会の委託事業の中で書店のSNS活用Webセミナーを実施したことから、書店経営研修会は中止したと説明した。事業・増売委員会は、「読者謝恩図書カード」を出版社等19社の協賛で2万5百枚を発行・販売したこと、出版社への増売協力を積極的に行ったことを報告。新しい日常対応型業界活性化プロジェクト特別委員会は、YouTubeチャンネルで、書店紹介動画72本をはじめ、著名人のインタビューやドラマなど合計99本の動画を制作・配信したと説明した。
令和4年度事業計画は、引き続き「休業店を除く全組合員参加型の増売運動」に取り組むとともに、書店の粗利30%以上確保に近づくために可能な施策を積み上げていく。来店客増加に向け読者謝恩図書カードの販売を一層推進する。不公正取引・流通改善対策、キャッシュレス決済手数料問題に取り組む――などの方針を決めた。

児童書100点対象に5%の報奨/小学館が創立100周年記念企画

小学館は8月8日に創立100周年を迎えるのを記念し、同日を挟む6月1日から9月30日まで、児童書定番商品100点の販売金額(本体価格)の5%を報奨金として書店に還元する企画「100de100」を実施する。
対象となる書店は全国のPOS導入書店(ネット書店、海外店舗を除く)。対象タイトルは、「図鑑NEO」及び「NEO+ぷらす」の既刊28点、「図鑑NEOポケット」の既刊12点、「ドラえもん科学・社会・探求ワールドシリーズ」の既刊48点、「ドラえもん学習シリーズ」の一部タイトル12点で、s-book.netで確認できる。22年刊行の新刊は対象外。報奨は、販売金額をPOSデータにより集計し、それに基づいて算出した報奨金を22年11月末に支払う。支払い対象は、報奨金額が税別で1千円以上になる書店に限定する。

青森市民図書館の納品事業推進/読者還元祭、本の日企画で成果/青森総会

青森県書店商業組合は5月10日、青森市の成田本店しんまち店で第35回通常総会を開き、組合員19名(委任状含む)が出席した。
総会は組合事務局・武田豊文氏(成田本店)の司会で始まり、成田耕造理事長(成田本店)があいさつ。成田理事長は、青森市民図書館の納品事業について触れ、昨年に数十冊の納入実績を上げたと報告。「図書装備する事業者とも再度契約をし、事業を推進する。今年度はさらに納入実績が拡大していく予定だ」と今後の見方を示した。
日書連に関する事業では「春の読者還元祭2021」は12店が参加し、しおり2万枚を配布。「秋の読者還元祭2021」では11店が参加し、しおり2万1500枚を配布した。読書推進活動補助費を受けた11月1日「本の日」キャンペーン企画推進事業では、「本の日」プレゼントキャンペーンとして応募用紙1万部を作成しポスターと共に各組合店に配布。各組合店を回り3個のスタンプを集めて応募するスタンプラリーを実施した。実施に当たっては、青森市内の大学、幼稚園等にも告知ポスターの掲示を依頼し、キャンペーンの浸透を図ったこと、1等2名、2等3名、3等5名及び図書カード(500円×50名)の計60名にプレゼントしたことを報告した。
また研修会事業では、第1講座として、成田理事長による「1990―2020アメリカ書店事情に学ぶ」を、第2講座として、NPO法人あおもりIT活用サポートセンター理事の蝦名晶子氏を招き「書店店頭において役立つSNS術」の講義を行ったことを報告した。
審議ではこのほか、令和3年度収支決算、令和4年度事業計画案、収支予算案を原案通り可決。また任期満了に伴う理事及び監事の改選では、北村将彦氏(北村)が新理事として承認された。
(藤村真専務理事)

日書連第34回通常総会/来場出席、書面議決を併用

6月23日(木)午後1時開催の日書連第34回通常総会は、新型コロナウイルスの感染状況などを考慮し、来場出席、書面議決書を併用する形で行う。なお、同日午前10時半より6月定例理事会を開催する。前日22日(水)は、各種委員会の一斉開催は行わない。

持続可能な世界へ役割担う/長寿者17名、永年勤続者336名表彰/第61回全出版人大会

日本出版クラブは5月13日、東京・千代田区のホテルニューオータニで第61回全出版人大会を開き、出版社、取次、書店など関係者300名が出席。地球規模の観点に立ち人類全体の持続可能性を高めるため行動するよう訴える大会声明を採択し、古希を迎えた長寿者17名の祝賀と永年勤続者336名の表彰を行った。
同大会は、新型コロナの感染拡大により2020年の第59回は中止、2021年の第60回は参加人数を絞り出版クラブホールで開催。今回は通常開催できなかった昨年、一昨年の長寿者と永年勤続者も出席した。日書連からは昨年長寿者祝賀を受けた藤原直副会長(金港堂)、渡部満副会長(教文館)、安永寛副会長(金修堂書店)が出席した。
野間省伸大会会長(講談社)は「ホテルニューオータニでの開催は3年ぶり。ようやくこのような形で開催することができ、大変うれしく思っている。本日が出版業界の来し方、行く末を考える機会となれば幸い」とあいさつした。
千葉均大会委員長(ポプラ社)は、大会声明の起草、記念品の風呂敷のデザイン、講演会の講師の選定にあたって「調和と持続」をテーマにしたことを説明。大会声明を朗読し、採択された。
続いて、長寿者代表の大坪嘉氏(税務経理協会)に堀内丸惠大会副会長(集英社)から寿詞と記念品、永年勤続者代表の木村広樹氏(三省堂)に小野寺優大会副会長(河出書房新社)から表彰状と記念品が贈呈された。
大坪氏は「新しいことに次々とチャレンジできて毎日が充実していた」と入社当時を振り返り、「DX化の大きな変革の波が関連業種に押し寄せており、出版界にも及んでいる。若い世代が中心となってこの大波を乗り越え、豊かな未来に進んでいくことを祈念している」と出席した永年勤続者にエールを送った。
木村氏は「三省堂の社名は『論語』の『われ日にわが身を三省す』からとられたもの。昨年140周年を迎えたが、諸先輩方の1日1日の努力で積みあがってきた時間。初心を忘れず精進する」と述べた。
このあと、児童文学作家の角野栄子氏が講演した。角野氏は幼年童話の重要性に言及し、「絵本はたくさん出ているが、幼年童話は日陰の存在。絵本よりも字があって物語があって1時間ぐらいで読める幼年童話がもっとたくさん出てもいい。幼年童話の読者は人間として一番正直。読む目を持っている子ども相手の幼年童話をもっと大事にしなくてはいけない。絵本の読み聞かせは読書ではなく『聞書』だと思っている。小さい時の読み聞かせはいいが、幼年童話を手に取り、自分で最後まで読み切った喜びを持つことができたら、その子どもは大人になっても読書から離れないし、自分の好きな本を見つけることができるようにもなる」と話した。
【大会声明】
かつて、多くの人が希望に溢れる未来を思い描いていました。現代を生きる私たちは自分たちの未来についてどのような展望を持っているでしょうか。情報技術の進化は、私たちの生活にほんの十数年前でさえ想像できなかった大変革をもたらしました。市井の人々の小さな幸せの場面が一瞬で地球の裏側まで届き、共有される。このような科学技術の進歩は、人と人を繋ぎ、人類をこれまで成しえなかった幸福に導いてくれるのでしょうか。期待に反し、現代においても大国が問題解決に武力を用いることにより、無辜の市民の命が奪われ、人権が著しく侵害される状況があちらこちらで生じています。それに対して国際世論は一斉に非難の声を上げ、人権が蹂躙された側を支援する動きが生まれます。これは、武力行使や人権侵害、言論弾圧など精神の自由を脅かす行為は絶対悪であるという確立された価値観が多くの人たちの間で共有されているためです。
しかし一方、森林伐採や化学物質の大量使用による環境破壊や、無軌道な化石燃料の消費による温室効果ガス濃度の上昇が、生物多様性の喪失や気候変動等を招き、このままでは私たちの文明社会を持続することができないとさえ言われています。このような人類全体の存続を脅かす問題について未だ有効な手が打てずにいるのはどうしてなのでしょうか。それは、これらの問題を引き起こしているのが私たちの生活そのものであるからです。これまで絶対善と考えられてきた自由競争や経済成長は半ば無自覚に「自然環境や経済弱者からの収奪」を基盤としていました。社会の持続可能性を脅かすものが私たち自身の生き方に起因するものであるのだとしたら、この問題を解決するには価値観のアップデートが必要になるでしょう。それは例えば「競争と成長」よりも「調和と持続」が上位に来るといったものかもしれません。
文明社会の持続可能性の問題も、出版業界の持続可能性の問題も根は同じだと考えられます。自由競争の名のもとに、「自分だけよければ」「今だけよければ」という行動を続けた結果、どこかに過度な負担がかかり、「エコシステム」全体の健全性が損なわれたことが出版業界の今の状況をもたらしています。持続可能性を高めるために必要なことは、エコシステムを形成する人や要素ひとつひとつに思いを馳せ、システム全体の構造を理解することです。そのことを世の中に浸透させるために、私たち出版人はこのような論点や価値観を広く紹介し未来の可能性を広げる議論をする場を提供するとともに、自分たち自身がこれらの課題にしっかり向き合い議論し行動してまいります。出版業界の持続可能性を高めるための議論や行動を通して、人類全体の持続可能性を高めることに資することも私たちの大切な役割です。
人間社会だけでなく、自然や宇宙を構成する要素ひとつひとつの営みを想像し、理解することは、人の学びそのものであり、人生の大きな喜びに繋がります。学びの原動力である、ものごとの中に神秘さや不思議さ、面白さを見出す感性、すなわち「センス・オブ・ワンダー」は、多種多様な良質のコンテンツと出会うことで生涯伸ばすことができるものです。私たちは出版活動を通して、人々がコンテンツと出会うあらゆる機会や環境を守り、世界中の人々にその感性の種を届け続けます。そしてそのことが、地球規模の問題を解決し、私たち人類の希望の光となることを確信します。
2022年5月13日
第61回全出版人大会
【長寿祝賀】
大坪嘉(税務経理協会取締役副社長)
鎌内宣行(春秋社取締役)
斉藤淳(培風館取締役営業部長)
佐藤中(実教出版元取締役)
杉山博幸(帝国書院元代表取締役常務)
鈴木哲(講談社元常務取締役)
鈴木道典(有斐閣元常務取締役)
青海泰司(有斐閣元常務取締役)
平千枝子(白桃書房元取締役)
田村仁(講談社元取締役)
手塚賢二(教育出版元執行役員)
戸塚雄弐(実教出版取締役会長)
中山正隆(ビジネス教育出版社元取締役)
成瀬好文(東京書籍元取締役)
根岸眞(日本出版販売元常務取締役)
古川信夫(福音館書店元取締役書籍編集部長)
吉島哲夫(日本出版販売元常務取締役)
〈氏名50音順・敬称略〉
【永年勤続者表彰】
▽あかね書房=榎一憲、伊藤史子▽秋田書店=岡本水咲、井上夏海、髙橋圭太、小口太郎▽家の光協会=白崎豊士、瀧岡京子、小池奈苗、木村悠一郎、中野広志、檜垣健太、牧野由香、須田桂▽医学書院=藤本さおり、田邊智貴、佐野博一、嶋根功、近江友香、井上岬、富岡信貴、松井政憲、長谷川徹▽池田書店=膳亀和彦、高橋隆太▽医歯薬出版=菊地啓文、伊賀紀比古、戸田健太郎▽岩波書店=奈良林愛、宮下美紀子、赤田千恵、武市友季、熊谷伸一郎▽音楽之友社=韓貴峰▽開隆堂出版=梶田絋人、鈴村誉暁、吉田隆一▽学研ホールディングス=山口敏宏、市村康史、村田ともみ、木村友一、目黒哲也▽河出書房新社=野田実希子、東條律子、白井靖子、竹花進、辻純平▽教育芸術社=畑克明▽教育出版=村岡信太郎、嶋田哲人▽教科書販売=吉田健太郎、影山陽一、篠原正晃▽きんざい=小久保香枝、西牟田有希香、金澤登美子、新田朱美、山際勝照▽佼成出版社=池畑憲成、齋藤幸三、曾我治由▽講談社=蔵多敦久、白土知之、鍵和田猛邦、北村文乃、松浦孝司、三村泰之、土屋俊広、後藤あさみ、中田優子、安永尚人、堀彩子、中川弘美、伊東竜介、藤崎昭彦、込山裕昭、杉山歩、小野敬子、河合一、高橋絵里子、大野有子、山中武史、茅野実行、菅原喜一郎、岡本朋子▽光文社=竹内展之、今尾朝子、中村亮、岩﨑宗孝、岩本大輔、草薙麻友子、吉野陽、山田麻琴、長谷川智、佐久間朋子▽弘文堂=鈴木千尋▽三省堂=木村広樹、中村真友子、佐藤亜希子▽産労総合研究所=米倉布由子▽実教出版=足立良太、石川将、佐藤庸介、加藤聡、上妻貴志▽主婦と生活社=岩澤正美、森水穂、芦川明代、小田柿奈緒、三田昌浩、井上敦、髙橋一就、中川雄太、星野亜希子、関香織、堀川正穀▽主婦の友社=天野隆志、平野麻衣子▽新興出版社啓林館=中山敬太、渡辺准己、江川百恵▽数研出版=石井淳、伊藤文隆、大森真弘、中山祐司、髙橋洋平、竹中歩、古川実那子、中西浩一、田手俊輔、妹尾卓、小嶋優佳、森優子、古新恵、北村望、金子仁美、西澤朋晃▽成美堂=中澤ひろ子▽成美堂出版=鈴木裕美、河野渉、芳賀篤史▽世界文化ホールディングス=中谷正史、渡邊英樹、今井大輔、平澤香苗、山田哲之、遠藤由美、、金森陽、小山泉、佐々木早苗、山梨孝子▽全国教科書供給協会=福島はるみ、松山葉子▽第一学習社=川又瑛、北野孝洋、豊島博子▽第三文明社=三好仁彦、坂本信一▽大修館書店=鵜之沢威夫、梅田孝▽大日本図書=鈴木陽子、竹脇りん、春井健次、関根靖弘▽ダイヤモンド社=熊谷久美子、新井美江子、上村晃大、柳澤里佳、林恭子、野口達也、中鉢比呂也、松本憲一郎、田村淳一、大川真一▽淡交社=牧野亜希、片山博美、藤井宗文、吉田満、佐藤雅子▽筑摩書房=廣井一茂▽チャイルド本社=山口初美、佐藤力、菊池明子、白石滋子、村田健太、鬼丸千歳▽中央経済社ホールディングス=大橋昌史、髙橋真美子、土生健人、阪井あゆみ、浜田匡、田中忍▽中央社=騰川志津子▽東京書籍=轡田紘一郎、吉田潤平、月田博隆、齋藤良美、細川雅生▽東京創元社=石川隆啓▽東京法令出版=野呂秀樹、小林幸弘、大久保裕太、和田美希▽トーハン=古本圭司、天沼克已、丹羽恒、藤本太郎、大垣隆、笠原健二、森瀬雄一、渡辺泰宏、藤岡聡、呉坪隆裕▽東洋経済新報社=澤井清明、小村圭、西澤佑介、堀越千代、片田淳洋、石川浩司、鈴木奈緒、齋藤宏軌、山本直樹、山中美紀▽図書文化社=杉浦紘司、佐藤達朗、西岡裕彦▽永岡書店=片岡伸介、森岡純一、斉藤吉辰▽南江堂=原隆次、上田美野里、工藤麻里、松家智子▽日教販=関根朋美▽日本加除出版=山本修、岩尾奈津子、佐藤慎一郎、野口健▽日本実業出版社=前川健輔、小川剛史、安井万祐弥、大久保陵滋▽日本出版販売=池田健、重野美信、佐藤文哉、小林崇、酒井圭一郎、森山光、社家暢明、柴田勇誠、齋藤優、山岸裕介▽日本スポーツ企画出版社=赤松恵珠子▽日本文教出版=石橋邦隆、柴田宗宏、野崎博文、原嶋峻介▽日本文芸社=大泉智子▽ひかりのくに=渡部晃弘、安田卓矢、仲村沙緒里、幸友裕▽ヒョーロン・パブリッシャーズ=佐藤早苗▽福音館書店=北森芳徳、齋藤奈津子、印南直樹、大和田直樹、岡本大輔▽富士経済グループ本社=清水耕平、中山周太郎、石井優、山西孝信、山岡鉄兵、岩﨑圭吾、上坂敏郎、有井純子、木村太輔、清水田大典▽婦人之友社=宮本麻里子、望月早苗▽双葉社=黄素華、阿部淳、大東厚司、直井翔太郎、河中涼子、市村阿理▽文藝春秋=池澤龍太、今戸國治、薦田岳史、東郷雄多、鳥嶋七実、西木考輔、箕浦由貴子、深野未季、永井翔、羽田朋子、井村圭佑、神山貴之、深田賢哉▽芳文社=佐沢貴代美、田沼孝啓▽ポプラ社=平瀬律哉、近藤みゆき、勝又慶、藤田沙織、柾屋洋子▽マガジンハウス=大島正人、中西剛、田代沙知、北村剛士、西尾洋一▽光村教育図書=池上裕子、松田優貴子▽光村図書出版=石井裕一▽明治図書出版=茅野現、初瀬川順子、浅見尚貴▽八重洲出版=太田力也、犬田雅人、吉川雅幸▽有斐閣=岩田拓也、渡邊南々子、大原正樹、堀奈美子、藤木雄、時岡明弘、栁澤雅俊、藤井崇玄、大森響、後藤良明、栗原真由子▽楽天ブックスネットワーク=五十畑清子、豊福寛、藪岡瑞穂、池谷美菜子、本城文洋
〈社名50音順・敬称略〉

「春夏秋冬本屋です」/「グッズ販売」/埼玉・水野書店代表取締役・水野兼太郎

皆さんは今ブームになっている御城印をご存知でしょうか。現在全国の1101城で販売されています。当店では町興しのために制作された「岩付城」(現在『岩槻城』、戦国時代は『岩付城』と表記)を販売しています。室町時代には大きなお城でしたが、現在では「城址公園」となり遺構が残っています。御城印を遠く関西から購入に来たお客様もいます。
マニアの情報はSNSで全国に拡散されています。書籍でも『はじめての御城印めぐり』他、関連の本が出版されています。また、岩付城グッズとして御城印帳、Tシャツ、クリアファイル、エコバッグ、ストラップ、缶バッチ、ステッカーなど増加の一途で、マニアの購入意欲を刺激しています。
書籍や雑誌が売れない時代、それに代わるものはないかと始めたこれらのグッズ販売は、予想外の変化を遂げている。グッズ企画は地元の若いメンバーがそれぞれ町おこしのために毎月1回集まり企画を練っています。会場として水野書店を使ってもらっています。書店が地域の文化の発信地として活用されるように願っています。一杯のコーヒーから新たな挑戦が生まれます。
歴史好きの私は、つい一緒にお城の話に参加してしまいます。インスタもツイッターもわかりませんが、地元ネタで一緒に楽しんでいます。

上野の森親子ブックフェスタ2022/3日間で2万6000人来場/3年ぶり謝恩販売、3100万円売上げ

「上野の森親子ブックフェスタ2022」が5月3日~5日、東京・台東区の上野恩賜公園および周辺の施設で開催された。会期中は晴天に恵まれ、3日間で約2万6000人が来場し、お目当ての本を探したり、会場内のイベントや講演会を楽しむ姿が各所で見られるなど盛況となった。読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団(JPIC)が主催。日書連、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会など後援。
3年ぶりの会場開催となる今回は、入口での検温や消毒、出入口の人数カウントによる会場内の混雑抑制を行うなど、感染対策を徹底して行った。レジでの会計は接触感染予防のためキャッシュレス決済のみとし、図書カード、クレジットカード、QRコード、交通系電子マネーの利用ができるようにした。会場内でも図書カードを販売し、図書カードで3000円以上購入した人を対象に図書カードが当たる抽選会も行い、好評だった。
読者謝恩販売企画「子どもブックフェスティバル」は71社が出展し、絵本・児童書を中心に約4万冊を展示・販売。3日間の売上げは約3100万円にのぼった。また、会期中は周辺の施設で7つの講演会を開催。絵本やSDGsをテーマにした講演は大人も子どもも楽しめる内容で、多くの来場者が熱心に聞き入っていた。

日書連のうごき

4月5日定期会計監査。
4月6日JPO運営幹事会に事務局が出席。
4月11日決算業務等の会計監査。
4月14日文字・活字文化推進機構臨時理事会に矢幡会長が出席。全国の書店
経営者を支える議員連盟総会に矢幡会長、春井副会長が出席。
4月15日学校図書館整備推進会議総会に矢幡会長、春井副会長が出席。会計士と事務局で申告書作成業務。
4月18日出版倫理協議会に渡部副会長が出席。子どもの読書推進会議監査会
に事務局が出席。
4月19日本の日実行委員会に矢幡会長が出席。
4月20日読書推進運動協議会常務理事会に矢幡会長が出席。
4月21日政策委員会に矢幡会長、鈴木、藤原、柴﨑、渡部、春井、光永、深田、安永(Web)各副会長、葛西(Web)、小泉両監事が出席。図書コード管理委員会(Web)に藤原副会長が出席。
4月22日JPICとの打合会に矢幡会長が出席。全国書店再生支援財団理事会に平井、髙島両理事が出席。
4月26日書店再生委員会(Web併用)。
4月27日全国万引犯罪防止機構理事会に矢幡会長が出席。JPO雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。

3月期販売額は6・0%減/文庫本は映像化作品好調で健闘/出版科研調べ

出版科研調べの3月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比6・0%減となった。
内訳は書籍が同2・7%減で、2ヵ月連続の減少。返品率は当月も改善したが、出回り金額(送品)が同4・1%減と落ち込んだこと、前年同月の実績が大幅に伸長していたことで減少した。雑誌は同11・7%減と2桁減少が続く。雑誌の内訳は月刊誌が同12・4%減、週刊誌が同7・5%減。雑誌の2桁減は前年好調だったコミックスの影響によるもので、前年同月に『呪術廻戦』(集英社)がブレイクした反動が出た。
書店店頭の売上は、書籍は約8%減。文芸書、ビジネス書などの主要ジャンルが軒並み2桁減となった。その中で、文庫本は約4%減と健闘。『余命10年』(文芸社文庫NEO)や『流浪の月』(創元文芸文庫)、『女のいない男たち』(文春文庫)など映像化作品が好調で、他のジャンルより減少幅は小さかった。
雑誌の売上は、定期誌が約3%減、ムックが約4%減、コミックスが約20%減。コミックスは、集英社の『怪獣8号』『タコピーの原罪』など、マンガアプリ「少年ジャンプ+」発の作品に勢いがみられた。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

竹原徹郎著『肝臓のはなし』(中公新書820円)は、肝臓そのものを知ってもらうことを目的とした本であると、医学博士の著者が語る。
日本人は4~5人に1人の割合で肝機能に異常があるという。そもそも肝臓はグリコーゲン、脂肪、コレステロール、胆汁酸、タンパク質、尿素などの合成や薬物代謝をはじめ、多くの仕事を常にこなしている。アルコールの飲みすぎや肥満による脂肪肝、肝炎ウイルスによる肝臓病も増えているのが現状である。
飲酒で肝臓が悪くなるとわかったのは1974年のことで、本当に最近なのである。肝臓を守るには①肝炎ウイルス検査を受ける②腹八分で太りすぎない③お酒はほどほど④不要な薬や健康食品には手を出さないなどに注意をしたい。肝臓の基礎知識が満載の一冊。
黒尾誠著『腎臓が寿命を決める』(幻冬舎新書860円)はマウスの実験から、カルシウムと共に骨を構成しているリンの過剰摂取が、老化を促進する事実を発見。日本の食はリンまみれなので、食品添加物の少ないものを選ぶのが近道。
ハム、ソーセイジ、かまぼこ、練りもの、カップラーメンや、「-料」「-剤」の表記が多いものなど、リンを抑えるブレーキを持とうと提案している。

マーケティングを事業のコアに/生活者起点でニーズ捉え書店とつなぐ/日販「NIPPANConference2022」

日本出版販売(日販)は、取引先書店に対して同社の方針を発表する「NIPPANConference2022」を動画配信し、書店約130法人が視聴した。今回は「つなぐ」をテーマに、奥村景二社長が「マーケティング」を軸とした事業体制への改革の全体像を紹介。野口瑞穂取締役が「文具雑貨」、中西淳一常務取締役が「出版流通」についてそれぞれ説明した。
奥村社長は冒頭で、22年に日販はマーケティングを事業のコアに据えた会社に生まれ変わると宣言。「書店がエリアの生活者1人ひとりとつながり、求められる存在であり続けるため、日販は生活者起点で多様化するニーズを的確にとらえ、様々なモノやコト、場所やプレイヤーと店頭をつないでお客様に価値をもたらすことをマーケティングで実現し、書店の可能性の拡大をサポートしていく」と方針を掲げた。
そのために今年度の組織改編で、マーケティング本部、文具雑貨商品本部、プラットフォーム創造事業本部の3本部を新設したとし、仕入流通本部と営業本部を統合して新設したマーケティング本部について、製造・仕入・物流・販売まで一貫性を持たせたマーケティング活動を行っていくと説明。データマーケティングを強化し、書店店頭の本のPOS情報だけでなく、生活者の情報や、幅広い世の中の情報を収集し、データ化したものを有機的につないでいくことで、お客様に感動を与えられる企画やサービスを創造していくとした。
具体的には、「皆が好きなこと、熱中していることの導線上に書店をつなげ、自然と店頭に足を運んでもらう仕掛けを作っていく」と提起し、人気ソーシャルゲームとのタイアップ企画や、中古のゲーム・DVD・トレカ等を扱う駿河屋と書店を複合した店舗展開の事例、ショッピングサイト「PayPayモール」に出店する「HonyaClub.comPayPayモール店」で決裁した商品の書店店頭受取サービスについて紹介。
また、各支社に新設したエリアマーケティング課について、地場の様々なプレーヤーとつながりながらエリアのニーズを掘り起こし、地域に根差したビジネスの開拓を行っていくと説明。広島支店と経済産業省が組み、地場の企業と開発した商品・サービスを広島県内20書店で展開した事例や、関西支社と淡路島観光協会がタイアップして実施した書店祭「淡路島にいらっ祭」について紹介した。
プラットフォーム創造事業本部については、「生活者起点の新しいプラットフォームを創造し、不連続な未来の先にある書店の形を見据えた先行チャレンジに取り組む」と方針を示し、「文喫」は新たな書店のビジネスモデルとして本格的に事業を拡張していくとしたほか、様々なコンテンツをプラットフォームで束ね書店店頭を通じて生活者に届けることに取り組んでいくと述べた。
野口取締役は、4月より文具メーカーからの仕入機能と書店ルートの販売事業をグループ会社の中三エス・ティから承継、出版物以外の商材の取り扱いをしていた商品開発部は文具雑貨商品本部となり、日販の文具雑貨の営業・流通機能を一層強化することで、取引書店における商材の拡大を実現すると説明。日販が取引する文具・雑貨メーカーは700社超となり、書店では荷受け・品出し作業や請求・精算業務の効率化が可能となるほか、王子流通センターには文具の在庫を確保し、書店の注文にタイムリーに対応。新商品や企画情報の発信、単品管理システムの導入も進めていくと述べた。
中西常務は、取引構造改革とサプライチェーン改革の2つを柱に取り組む出版流通改革の進捗を報告。書店マージン30%を目指す取引構造改革は、参加書店における書店粗利改善対象商品の売上シェアが4月時点で約4割になった。またグループ書店の書籍平均マージンは28・1%で、3年間で1・5ポイント改善。22年度は29%、23年度は30%到達を目標にするとした。
サプライチェーン改革は、配送コースの再編を進めており、4月から神奈川県(県央、湘南、三浦半島)で新コースでの配送を開始し、エリア内の書店・コンビニエンスストア687店のうち437店で納品時間を変更。うち時間指定の店舗も80店中40店で指定を緩和した。これまで別々に配送していた書店、コンビニを同じトラックで配送することで効率化し、トラックの走行距離の短縮も図る。24年3月までに首都圏、名古屋、関西エリアの計440コースの再編に取り組み、ドライバーの負担軽減やCO2削減にもチャレンジしていくとして、書店の協力を呼びかけた。