全国書店新聞
             

平成19年10月1日号

全国広報委員会議10月11日に開催

日書連広報委員会は10月11日午後1時から東京・駿河台の書店会館で各都道府県組合広報委員を集めて全国広報委員会議を開催する。
日書連大橋信夫会長、面屋龍延広報委員長あいさつ、優秀広報委員表彰、1年間の広報活動点検、今後の重点取材、広報活動の進め方などを参加者全員で討議する。

今泉氏ら3氏を合祀

10月3日に箱根・芦ノ湖畔の出版平和堂で営まれる出版平和堂合祀祭に、日書連からは今泉幹一郎(青森・今泉本店)、小田潔(岩手・東山堂)、冨田耕介(京都・葵書房)の3氏が合祀されることになった

日書連も入居の方向/神保町に出版共同ビル構想

神田神保町に書協、雑協、取協など各団体事務局が入居する「出版共同ビル構想」が持ち上がっている。20日の日書連理事会には計画を推進する書協、雑協中長期計画委員会の相賀昌宏委員長(小学館)が訪れ、計画概要を説明。日書連理事会も同構想に賛成し、入居の方向で計画の受け皿となる日書連中長期計画委員会(仮称)を立ち上げることになった。
同構想は、神楽坂にある日本出版会館が築39年、駿河台の日本雑誌会館が築34年と老朽化し、建て替えが検討される中で共同ビル建設プランが浮上してきたもの。現在、候補にあがっているのは白山通りに面した神保町1丁目の191坪の用地で、ここに地上9階、地下1階のビルを建築。各団体事務室のほか会議室は共用で効率よく共同利用し、外部への貸出しも可能になる。運営面では各団体出資の新ビル運営会社を設立し、各団体と賃貸契約を結ぶ。
書店会館は東京都書店商業組合所有の建物だが、こちらも1965年竣工、築42年と老朽化は進んでいる。日書連と東京組合が新ビルに入居する場合、東京組合は現在の土地を賃貸することで、貸室の賃料がまかなえるという。
説明を受けて日書連大橋会長は「書店会館も賞味期限を過ぎている。共同ビルに入居する意思があるということで、日書連にも受け皿の委員会を立ち上げたい」と理事会に提案。これを承認した。
共同ビルの詳細な計画については各団体の話し合いを経て11月の書協・雑協50周年記念式典で発表される予定。早ければ来年12月着工、2010年3月に完成する。

新販売システム今回は実施見送りへ/注文、希望部数を下回る

日書連は9月20日開催の理事会で全国から受注していた新販売システムの注文を集約した結果、7社14点の受注数は各社が予め提示していた部数に届かなかったため、今年の実施を見送ることを決めた。
理事会で行われた藤原委員長の報告によると、9月4日までに各県が集約した注文部数は14点合計で1万5894部。注文書店は381店だった。最高は『読めそうで読めない漢字2000』(講談社)の5770部。各出版社は銘柄ごとに4千部から1万5千部まで最低製作部数を示していたが、いずれもその数字に届かなかった。
これを受けて9月13日に出版社と打ち合わせを行った結果、『折り紙の四季』(ベストセラーズ)、『読めそうで読めない漢字2000』(講談社)、『かどかわこどもことばえじてん』(角川GP)、『うさぎのギイ』(ポプラ社)の4社4点でボーダーラインを引き直し、再度追加注文をとることになったが、理事会までに1週間程度しかなかっため、いずれも希望部数に到達しなかった。
藤原委員長は「残念ながら、現在の数字では成立しないが、(昨年の)1回だけで終わらせるのは忍びない」と報告。各理事から意見を求めた。
これに対し、理事からは
「1回の注文で買切りはむずかしい。追加も認め1年間腰をすえて棚で売る仕組みに」「店売では売りにくい商品。チラシを作って外商でゆっくり売れば目標はクリアできる」「売れてこそ4割の高マージンだが、昨年の売れ残りがデッドストックになっている」といった商品選定への疑問や、「注文数が足りないからやりませんでは次回はない。普通正味でも取上げるべき」「クリスマスに向けて組合員にアピールしたい」などの意見が出された。
大橋会長は「非常に残念だが、書店は1冊、2冊売れて、追加して20冊になる商売。いきなり20冊は注文しない。その辺を織り込みながらでないと注文システムは成立しない。3回目に活かしたい」と述べた。これを受けて藤原委員長は「ハードルを越えなければ出版しないと理解している。今回はやめにしたい。出版社と注文いただいた書店にはお詫びしたい」と述べ、理事会もこの方針を了承した。

新理事に山本、玉山氏

◇新理事
山本秀明(広島・金正堂)玉山哲(岩手・東山堂)
◇理事退任
水川雅生(広島・広書房)赤澤桂一郎(岩手・さわや書店)
◇新年懇親会実行委員
委員長=木野村祐助(岐阜)、委員=杉山和雄(栃木)、戸和繁晴(大阪)、西尾文士(香川)

新潟中越沖地震被災店に見舞金

7月16日に起きた新潟県中越沖地震により新潟組合加盟書店に大きな被害が出た問題で、日書連は新潟組合の報告をもとに正副会長が協議した結果、柏崎の書店4店に見舞金各10万円を送ることを決めた。
日書連9月理事会では新潟組合西村理事長が「被害の大きかった柏崎で組合加盟書店のうち2店が店舗全壊、2店は半壊、1店は一部破損だった」と報告。「日書連共済会は解散したが、互助会が必要だ」「各県でカンパしては」などの発言があった。
このため、正副会長、木野村前共済会運営委員長で検討した結果、「前例はないが、見舞金を支給したい」とし、今後についてはNHKが義援金を募集する規模の災害が発生した場合は日書連も義援金を集める方針を確認した。

電子マネーの導入研究/「日本読書大賞」企画立案/9月理事会

〔情報化〕
大阪組合が電子マネー「エディ」と提携、一般より低い手数料で百店が端末を導入したことを報告した井門委員長は「エディ、スイカはいずれ一緒になる流れにある」として、電子マネー導入を研究テーマにしていくとした。
各地で公共図書館の指定管理者制度の導入が進んでいる問題では、入札に参加するためには各県組合の定款改定が必要だとの考えを示した。学校図書館図書整備新5カ年計画で、全国学校図書館協議会が昨年末から研究協力校56校を制定、さらに追加で14校が指定された問題では、各県組合に図書納入の相談があれば日書連として支援していきたいと報告した。
〔取引改善〕
中小書店に対する新刊配本不公正の問題を受けて、柴﨑委員長は新潮社、文藝春秋、角川書店、講談社、光文社の各文庫を10月から12月まで調査すると報告した。各県で配本ランク中位の書店を選んでもらい予定配本数と実際の入荷数に差がないか調査する。調査を実施するのは東京、神奈川、京都など。
国際地学協会の返品入帳問題では、8月に取次各社から口頭での回答があり、今後は書店個々で取次に対応し、問題があれば委員会で検討するとした。また、出版社有事の場合は取引書店への連絡徹底を取次に求めたいと述べた。
〔読書推進〕
谷口委員長から第4土曜日は子どもの本の日キャンペーンの再開、国語辞書キャンペーンの検討が提案され、読売新聞社「本屋さんへ行こう」キャンペーンでは首都圏の2千書店にポスターを配布することが報告された。
また、「日本読者大賞」のプランについて久住委員が説明を行った。大賞は書店店頭で読者の投票をもとに決め、1店舗あたり500票、日書連全体で300万票を集めたいという。授賞式はアカデミー賞なみにTV放映してもらい、大賞のほか、ジャンル別や地方出版物にもスポットをあてる。近く予算書付きの企画書を提出する。
〔増売運動〕
読書週間書店くじの注文は9月18日現在で354万枚となった。今回の特賞は台湾3泊4日の旅、ペアで招待。5月23日から26日にかけて実施し、台北、高雄を回る。来年のサン・ジョルディの日については、文化講演会の開催を見送り、各県組合のイベント補助としてPR企画費20万円を15組合に補助する。
〔流通改善〕
2007年度年末年始雑誌発売日は、週刊誌・一般誌とも最終発売日が12月28日(金)、年始は1月4日(金)全国一斉と決まった。12月24日の休日はカレンダー通りの発売。
〔指導教育〕
各県組合事務局を対象にした研修会を8月21日、22日の両日、東京で開催。改正組合法、会計実務を学ぶなど成果をあげたと鈴木委員長が報告した。
小学館、ネットラーニング両社の協力で運営しているe―ラーニングは、組合加盟店の無料受講を延長する。理事会では「上級コースや司書講座の開始も検討してほしい」という声があがった。
〔定款改訂〕
組合法改正に伴う日書連定款の見直し作業を進めており、来年の総会に改正案を提出する。これに伴い、各県組合の定款改正についても指導を行う。
〔共同購買〕
日書連オリジナル手帳「ポケッター」2008年版の申し込みは店名なしが6万3600部、店名入りが3万6600部、合計10万200部となり、昨年9月対比101・0%となった。中山委員長は「残部は9500部と在庫僅少なので、早めに注文いただきたい」と述べた。店名刷込みシールは2万5600部の受注。あんしん財団の加入は9月12日現在、73名。
〔消費税〕
安倍首相の退陣、自民党総裁選など政局が混乱し、消費税率上げの議論が下火になっているが、面屋委員長は「経団連が消費税上げの提言を行い、政局が落ち着けば議論は必至」とし、新聞業界とも共同歩調をとり、出版4団体として出版物の軽減税率を求めていく方針を説明した。
〔広報〕
面屋委員長から10月11日午後1時から書店会館で全国広報委員会議を開催することが報告された。また全国書店新聞9月1日号で福岡・ブックスキューブリックを取材したことを紹介し、今後も頑張っている小書店を紙面で取上げていくと述べた。

『ポケッター08』残部僅少

薄型でハンディサイズが好評な日書連のオリジナル手帳『ポケッター2008年版」は、今年度は11万部製作し、すでに前年を上回る注文をいただいています。現在、残部数は9500部で、売り切れが予想されます。早めに各都道府県組合にご注文ください。店名なし1セット(100部)7665円です。日書連共同購買委員会

共済会剰余金、一転して課税

昨年12月末で解散し、残余財産は日書連に引き継ぐことになっていた日書連共済会だが、昨年7月から相談していた神田税務署の担当官が替わり、日書連への資金移動は「非課税」扱いから一転して「課税」される見通しとなった。
日書連と日書連共済会の経理を見てきた宇津木孝一公認会計士によると、神田税務署は当初、「同じ組織内の資金移動なので課税問題は生じない」としていたが、今回対応した審理専門官は①日書連共済事業は非収益事業なので非課税扱いだった、②日書連は一般会社と同じ全部課税法人で、共済会から資金移動すれば法人格が別なので寄付金として課税というもの。日書連大橋会長は正副会長会で対応を検討し、理事会に提案するとした。

8月期は平均97.3%/実用書が大きく前年下回る/日販調べ

日販経営相談センター調べの8月期書店分類別売上げ調査によると、8月の売上げ平均は対前年同月比97・3%と、前年を2・7ポイント下回った。すべての規模、立地で前年を下回っている。
売上げ構成比で8・1%を占める実用書が88・7%と前年を大きく下回ったことが全体を押し下げる要因になった。雑誌も平均96・9%と各規模でマイナスが続いている。
この一方、コミックは106・9%、新書も106・7%と好調。コミックは『鋼の錬金術師17』(スクウェア・エニックス)、『NARUTO39』(集英社)などの大型タイトルに加え、TVドラマ化の『花ざかりの君たちへ(愛蔵版)』(白泉社)が好調だった。新書は教養新書の好調で3カ月連続のプラスと勢いがある。
8月の平均客単価は1116・5円で前年比99・9%とほぼ横ばい。

有限責任中間法人に移行/共有書店マスタ・ユーザ会

書店データベースの作製を日書連と協業して行っている共有書店マスタ・ユーザ会は、9月20日午後4時から港区赤坂の明治記念館で全体報告会を開催。今年11月に有限責任中間法人に移行することなどの説明を行った。
書店データベースは、書店に固有のIDコードを付けることで、業界共通の効率的なシステム運用を図ろうというもの。ユーザ会は1999年、出版社有志52社による任意団体として設立。2003年から日書連とデータベース作製を協業化し、業界標準コードとしての地位が高まるとともに、参加出版社は現在263社に拡大している。
報告会では、岡垣重男代表世話人(河出書房新社)が「多数の出版社が参加し、大きなお金が動いていることから、法人化について世話人会で検討を重ねていた。その結果、任意団体である今のユーザ会を解散し、11月1日に有限責任中間法人に移行することとなった。ユーザ会の社会的な信用を高めていくことが大きな目的。現在の運営方法やサービスの提供についてはこれまでと変わらない」と説明した。
代表者である理事には若森繁男氏(河出書房新社社長)、監事に菊池明郎氏(筑摩書房社長)が就任するほか、運営委員会の委員長に岡垣氏、副委員長に清水章治氏(集英社)、古澤亘氏(新潮社)がそれぞれ就任。運営委員会の下には広報委員会、システム委員会、情報・セキュリティ委員会を置く。法人化に際しては世話人社14社が基金として各社22万円を出資。参加出版社の利用料金月額1万円は、今後8千円への引き下げを目指す。また、現在までの繰越金2千万円強は、これまでの支払額に応じて返金する。
河出書房・若森社長は「書店に関する情報共有は書店コードが一番。書店へのフォローと、ユーザ会の活動がうまくミックスして出版業界がいい方向にもっていけるように微力ながら頑張っていきたい」、筑摩書房・菊池社長は「さらに会員を増やし、業界のインフラをきちっと整えていくために皆様とともに仕事をさせていただく」とそれぞれあいさつした。
このあと、一ツ橋企画より共有書店マスタの検索システム更新について説明があり、ネクスウェイからは、共有書店マスタを利用したFAX同報サービス「販促Navigator出版ゴールドサービス」の仕組みと運用が紹介された。
報告会後の懇親会であいさつした日書連・井門照雄副会長は、「書店データベースの整備は、現在39組合でチェックが終わった。営業を止めた書店などのデータがきちんとできたし、アウトサイダーを勧誘し易くなるので組織強化にもつなげていきたい。出版業界を伸ばすためには、書店データベースだけでなく、お互いに意識を共有しながらインフラ整備を進めていくことが大事だ」と述べた。

子ども読書推進フォーラムに協力/神奈川組合

神奈川県書店商業組合(長谷川義剛理事長)は定例理事会を9月11日に神奈川トーハン会議室で開催した。主な議案は次の通り。
1、平成20年度の理事会予定は、11月6日、平成20年1月22日、3月4日、5月9日、7月8日、8月22日(総会)となる。
2、「子ども読書活動推進フォーラム」(神奈川県子ども読書活動推進会議、神奈川県教育委員会ほか主催)が10月27日(土)に横浜市西区の「はまぎんホールヴィアマーレ」にて行われる。神奈川県組合として全面的に支援協力することになった。
3、広告協賛ポリ袋について、各出版社が不況のため広告が取りにくくなっているが、役員が各社にプッシュして今年度も製作できるよう努力することを決めた。
4、心に残るこどもの本セットと日書連第2回新販売システムについて、積極的に協力することにした。理事からの質問では、「買切低正味だと残本を値引きして売りさばくようになり、再販が崩れる原因とならないか」「取次が小売店に資本を導入し、取次の社員を社長や専務として送り込んでいるとの噂を聞く。これは乗っ取りと余り違わない気がする。良い傾向ではないのではないか」との発言があった。
5、新年度の賦課金は今年と同じ金額を原則とし、特別の場合のほかは減額しないことを決めた。
(平井弘一広報委員)

長野組合/創立百周年記念事業を決定

長野県書店商業組合(赤羽好三理事長)は9月15日に松本市内で理事会を開催し、18名が出席した。
理事会では、創立百周年記念事業として次の事業を行うことを賛成多数で承認、役割分担についても承認した。
①創立百周年記念式典を平成20年2月20日に千曲市内のホテルで開催する。
②創立百周年記念誌を刊行する。(郷土出版社にて編集製作中で、出版関係各位と全国書店組合にも贈呈する)
③創立以来の書店経営の物故者に感謝の弔慰を表するため、善光寺本堂にて追善法要を行う。
次の事業については企画と予算のめどがつき次第、順次実行する。
①著名作家による記念講演の件
②長野県立の知的障害者養護学校(県下11校)への図書又は図書カード寄贈の件。
(高嶋雄一広報委員)

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・川浪正子

◇2歳から/『ぽっかりつきがでましたら』/内田麟太郎=文/渡辺有一=絵/文研出版1365円/2007・8
月が夜空にぽっかりでると、カバやトマトなども次々と夜空に登場します。動物たちや子どももくしゃみをしたり、笑ったり、最後にはうっかりおばけまで出てしまいます。どのページも満天の星が煌めき、美しくもあり楽しくもあり。子どもはきっと、その夜、空を見上げることでしょう。
◇4歳から/『もりのおうさま』/いわたあきこ=作/新風舎1575円/2005・8
もりにでかけたたっちゃんが大きな木の幹に見つけたねっこの森でおうさまのお城をみつけに、冒険をするお話です。話に意外性もあり、また薄暗い背景の中に、色鮮やかに登場する魚や動物たちの姿が映えます。ことに王様である魚はとっても綺麗。絵と文ともに、素晴らしい絵本です。
◇小学校低学年向き/『鬼の首引き』/岩城範枝=文/井上洋介=絵/福音館書店1260円/2006・2
この絵本は、狂言の「首引き」という曲目を下敷きにしていて話に起伏があり飽きさせません。登場する親鬼は、娘に若者を食わせようとするのですが、娘の鬼は、こわがったりしてとても愛らしく、お食いぞめどころではありません。子煩悩な親鬼も微笑ましい限りです。

読書週間書店くじ/特賞海外旅行の歴史

読書週間書店くじの海外旅行は、1982年(昭和57年)の第8回書店くじで、それまでの特賞・現金10万円に替わり初めて行われた。以来20回の旅行が実施され、のべ1320人が参加している。書店くじ海外旅行の歴史を振り返ってみよう。
これまで旅行で訪れた地域は、ヨーロッパが最も多く12回(左図・国名下の★印は訪問回数)。次いで北米3回、オセアニア3回、東南アジア1回、中国1回となっている。
第1回の書店くじ海外旅行は、ペナン・シンガポール・クアラルンプール6日間の旅。1983年3月に2班に分かれて出発日を1週間ずらして行った。
84年と85年はパリ8日間の旅、86年と87年はローマ8日間の旅を実施した。なお、86年春には第1回「サン・ジョルディくじ」を行い、同年11月にスペイン8日間の旅を実施。以降、くじの旅行が春・秋の年2回行われることになる。
88年と89年はオーストラリア8日間の旅、90年はパリ8日間の旅を実施。この間の参加者は80人から100人超という大規模なものとなっている。
91年は、1月に湾岸戦争が始まったため、ローマ8日間の旅を中止して当選者には旅行ギフト券20万円を送ることとした。また92年は特賞当選率をアップするため、ローマ8日間の旅150本を図書券10万円300本に切替えている。
93年は海外旅行が復活、94年と続けてパリ・ローマ8日間の旅を実施。95年から97年まではカナディアンロッキー8日間の旅、98年はニュージーランド8日間の旅が行われた。実施時期は、それまではオーストラリア旅行(6月実施)を除き早春に行っていたが、95年以降は5月の連休開けに行うようになっている。
99年はオランダ・ベルギー8日間の旅、2000年は南フランスとベニス8日間の旅、01年は黄山・景徳鎮・蘇州・上海7日間の旅を行った。同年秋の書店くじは、実施内容の見直しにより特賞海外旅行の中止を決定。9月にアメリカ同時多発テロが勃発、春の書店くじで実施を予定していた英国8日間の旅が中止となり、海外情勢の緊迫化と合わせて当面海外旅行を実施しないことになった。
旅行が復活したのは04年秋の第31回書店くじ。以降、05年にパリ8日間の旅、06年にオーストリア8日間の旅、07年に英国7日間の旅を実施。08年は台湾周遊4日間の旅(ペア招待)を予定している。

今年で61回目迎える「読書週間」/読書の素晴らしさ広める国民的行事として定着

今年で61回目を迎える読書推進運動協議会主催の秋の恒例行事「読書週間」。今年も10月27日から11月9日まで、文化の日を中心に2週間にわたり開催される。終戦後間もない昭和22年、「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社、取次、書店、公共図書館に新聞、放送の報道機関なども加わってスタートした「読書週間」。その歴史と意義をあらためて振り返るとともに、出版業界や地域に広がる読書推進の取り組みを紹介する。
敗戦から2年後の昭和22年、まだ戦火の傷痕がいたるところに残っているとき、出版社、取次、書店と公共図書館、さらに新聞、放送の報道機関、文化関連団体が「読書の力によって、平和な文化国家を創ろう」と力を合わせ、第1回「読書週間」が開催された。主催は上記各機関・団体から成る「読書週間実行委員会」。標語は「楽しく読んで明るく生きよう」に決まった。
第1回「読書週間」の開催期間は11月17日から23日。これは11月16日から1週間にわたって開かれるアメリカの「チルドレンズ・ブック・ウィーク」にならったもの。東京、大阪、京都、札幌、長野、名古屋、福岡などの各地で講演会や図書に関する展示会が開かれ、大きな反響があった。
東京では朝日新聞社、大日本印刷、凸版印刷、三菱製紙などの後援により、5つの会場で「出版文化博覧会」が催された。第1会場の日本橋・白木屋では「本になるまで」、第2会場の日本橋・高島屋では「辞典と海外図書翻訳書店」、第3会場の東京美術学校では「書籍と印刷に現れた近代日本美術展」、第4会場の東京女子高等師範学校では「教科書を中心にした教育図書展」、第5会場の交通博物館では「交通出版文化展」をテーマにさまざまな催しが行われ、会場は連日にわたり賑わいを見せた。
「1週間では惜しい」という声を受けて、現在の10月27日から11月9日(文化の日をはさんで2週間)となったのは第2回からである。
その後、「読書週間」は全国に広がり、さまざまな行事が自主的に計画されていった。読書週間の運動に呼応するように、毎日新聞社は「毎日出版文化賞」(昭和22年創設)、「読書世論調査」(昭和23年開始)などの読書推進活動を興し、昭和25年に学校図書館協議会の結成後、同会の提唱に共鳴して「青少年読書感想文全国コンクール」を昭和28年にスタートさせた。
このような読書推進活動への機運の高まりから、読書運動は年1回の行事ではなく年間を通した運動で、常時推進すべきであるとの考えが高まり、昭和34年11月、「読書週間実行委員会」の任務を引き継いで「読書推進運動協議会」が発足した。主要構成団体は日本書籍出版協会、日本雑誌協会、教科書協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会、日本図書館協会、学校図書館協議会の7団体。
スタートから60年が過ぎ、「読書週間」は国民的行事として定着。日本は世界有数の「本を読む国民」の国になった。一方、物質生活の豊かさに比べ精神生活の低迷が問題となっている昨今、論理的思考の基礎となる読書の重要性はますます高まっている。
2005年7月22日に公布された「文字・活字文化振興法」により10月27日が「文字・活字文化の日」と定められ、「読書週間」はさらに運動の広がりを見せている。国民1人ひとりの読書への関心を高めること、読書習慣の確立の契機となること――「読書週間」運動の持つ意義はますます重みを増している。
〔資料提供=読書推進運動協議会〕
読書週間書店くじの海外旅行は、1982年(昭和57年)の第8回書店くじで、それまでの特賞・現金10万円に替わり初めて行われた。以来20回の旅行が実施され、のべ1320人が参加している。書店くじ海外旅行の歴史を振り返ってみよう。
これまで旅行で訪れた地域は、ヨーロッパが最も多く12回(左図・国名下の★印は訪問回数)。次いで北米3回、オセアニア3回、東南アジア1回、中国1回となっている。
第1回の書店くじ海外旅行は、ペナン・シンガポール・

私の店の読書推進

〔子ども達の本選びをサポート/福井市・じっぷじっぷ清水祥三〕
「好きなあの子が選んだ本がとっても気になる、次はあの本を読むんだ」という思惑が詰まっている「子ども達の本選び」の時間は、読んだ本の感動と共に思い出になるに違いない。
みんなで1人1冊ずつ選ぶ学級図書。選ぶ場所は図書室に併設のホール。1年生から3年生まで2クラスずつ。4年から6年はそれぞれ先生からセットやシリーズを事前に指定注文。選ぶ楽しさを知って欲しいとは思うのだがそれぞれの担任の先生の意向があるので。図書館で選んだり書店で選ぶのとは又違った楽しみがあるはずなんだけど。
元気のいい「こんにちはー」の挨拶から「子ども達の本選び」が始まる。1年1組からクラスごと30人ずつ。低学年用には絵本が半分くらいで読み物は中学年のものまでをラインアップ、ずらっと8つの机に並べる。決まった本は私のところに持って来る。スリップのあるものは抜いて、無いものはタイトルと価格を記録してその本をその子に渡す。後は教室に戻って時間まで読む。
何せ自分が選んだ本をいちばん最初に読めるのだから。まるで何の本がやってくるか知っていたかのように即決してしまう子、じっくりと読み出しバリヤーを張ってしまう子、友達と一緒に言い合いながら選び、読んだことのある本の説明をしたり、自慢したり。時間切れまで悩む子。先生がこれでもかと薦めても首を縦に振らない子。一人一人違う選び方を見ているだけで楽しくなる。そしてやっぱり友達が何の本を手にしているのか気になるようで、きっと自分が選んだ本を読み終えたら友達が選んだ本を読むに違いない。
子ども達の本選びはもう4年になる。でもきっかけは25年以上前、子どもの本の専門店の集まりで、四日市メリーゴーランドの増田さんと話す機会があり、小学校で子ども達に本を選ばせていることを知り、「いいなあ、楽しそうだなあ、やってみたい」と思った。そしてその後、機会がある度に小学校の先生に「子ども達に本を選ばせませんか?」と話をし続けて念願かなったのが20年目。
今は他の学校にも飛び火して、全員1冊ずつというのは無理なので、図書館の本を図書委員の子ども達と図書館ボランティアの父兄が一緒に選んだりと、その学校なりに可能な形で選書に「子ども達の本選び」が加わってきている。委員が選んだ本を掲げた写真を撮ってその本のお勧めPOPにしたりしている。
もちろんこれを実行するには事前に登録されている図書のチェックは必要、見本ではなく現物が人数の1・5倍は必要、セットは入れないで1冊ずつ厳選するなど結構手間はかかるから大変といえばそうなのだが、やっぱり毎年「子ども達の本選び」の時期が来るのが楽しみである。

〔読み聞かせやイベントを充実/帯広市・ザ・本屋さん那須富美代〕
当社の経営理念の1つに「自由と愛と幸福と未来への夢を与える」があります。子どもたちに未来への夢を与えるためには、本の存在は不可欠です。親や大人の読み聞かせをきっかけとして、その後自分で本を選択する力をつけていけるような売場と息の長い活動が必要と考えております。
当社においての子どもたちに対する読書推進活動は、1997年、複合商業施設に新店舗を出店した際に児童書専門コーナーを作ったことに始まります。ボランティアによる「読み聞かせ」をはじめ、種々のイベントをそのコーナーを中心に行ってきました。当時の書店としては珍しい取組みで親子連れに大変喜ばれましたし、多くの子どもたちに「本に親しむ」きっかけを与えることができたと自負しております。
今年の4月に駅前の文教地区内複合商業施設内に新店舗を出店。約750坪の売場面積のうち、約100坪を児童書専門コーナーとし、児童書のさらなる充実をはかると同時に、読み聞かせや種々のイベントを行っており、喜ばれております。売場面積が広くなったことから、「店員のおすすめ絵本」コーナーや季節に合わせたコーナーづくりも可能になり、近郊のお客様はもとより、週末は遠くから来店されるお客様にも喜ばれております。また、「しかけ絵本づくり」「ブックカバーづくり」などの参加型のイベントを行うことで、「このお店は楽しい」と何度も足を運んでいただけるような企画にも取り組んでおります。
今後はさらに発展させた形、具体的には参加型イベントと関連本を連動させた企画を検討中で、10月中旬には出版社と共同で親子向けペーパークラフト体験とその関連本を展示販売するイベントが実現します。
これからも子どもたちの未来のために、微力ながら活動を続けていきたいと考えております。

全国に広がる読書推進運動

〔「うちどく」で読みニケーション/トーハン広報室マネジャー加藤真由美〕
『朝の読書』は1988年に千葉県の女子高校で始まり、現在、2万5千校の小・中・高校に広がり、約920万人の児童・生徒が取り組む壮大な運動に成長しました。実践校では子どもたちに「集中力や読解力がついた」「落ち着きが出てきた」等、様々な効果が報告されています。しかし、一方で、学校現場からは「読書の習慣が定着してきているが、子どもたちは家庭では本を読まない」という声も増えています。その背景には、家庭ではテレビゲームや携帯電話、インターネットなどの電子メディアに夢中なっていることや、大人が本を読む姿をみせていない状況なども影響を及ぼしていると指摘されています。
近年、いじめ問題は深刻さを増し、昨年のいじめによる子どもの自殺件数は過去最悪の状態。このいじめ問題もその要因の基は、親子のコミュニケーション不足にあるようです。そこで、子どもと家族のコミュニケーションを図る方法として、家庭での読書がどのようにしたら可能になるのかを『朝の読書』に慣れ親しんでいる子どもたちの知恵を借りて、昨年暮れに立ち上げたのが『うちどく(家読)』運動なのです。
茨城県の小学6年生の子どもたちが家族の読書のあり方を真剣に考えてくれ、①家族で同じ本を読もう。②読んだ本で話そう。③感想ノートをつくろう。④自分のペースで読もう。⑤家庭文庫をつくろう。と5つの『うちどくの約束事』を提案してくれました。
『うちどく』は、子どもが読んでいる本に親や家族が関心を持つことから始まります。同じ本を家族で読めば自ずと共通の話題ができます。読んだ本を話題に家族のコミュニケーションを深めてみませんか、という提案が『うちどく』運動なのです。
『朝の読書』も来年20周年を迎えます。『朝の読書』経験世代も親子2世代になってきています。『うちどく』は『朝読』がベースになって誕生した運動です。詳しくは、ホームページ「うちどく」で検索してみてください。

〔おはなしマラソン8万人が参加/日販経営戦略室広報担当室長岩本幸子〕
1999年10月にスタートした書店様での読み聞かせ会開催をサポートするこの活動は8年目となり、絵本を読む楽しさを伝えています。日販は、新たに読み聞かせ会の開催を希望する書店様に対し、全国営業担当者と、読書推進委員がサポートを行っており、本年9月末までに642店で開催、参加者数は約8万人を超えています。
また、秋の「読書週間」にあわせ、全国200店を越える書店様で一斉に読み聞かせキャンペーンを展開します。このキャンペーンは、読み聞かせ会を継続開催している取引書店に呼びかけ、11月末までの期間中、全国でそれぞれ工夫をこらした読み聞かせ会が開催されます。今回のキャンペーン参加店には、店内用ポスター、保護者向けの「読み聞かせガイドブック」や参加した子どもへのおみやげ(メモ帳)、スタンプラリーカードなどを提供。おはなしマラソンHPや「本やタウン」でも参加店を紹介し、広くアピールしてまいります。
過去の保護者のアンケートでは、9割以上が「自宅で読み聞かせをしている」と回答し、7割近くが読み聞かせ会のリピーターであることがわかり、書店様での読み聞かせ会が定着してきている様子がうかがえます。「読んだことのない本を紹介してくれるので楽しみ」「家庭での読み聞かせの参考になる」などの声がありました。
さらに、東海ラジオ(東海地方)、KBCラジオ(福岡)、MBCラジオ(鹿児島)で読み聞かせのラジオ番組『絵本の時間おはなしマラソン』の放送をしています。絵本を読んでもらう楽しみをより多くの方に体験してもらえる機会として好評です。今後も日販は、書店様・出版社様・地域メディアと連携した活動を続けてまいります。

〔全国訪問おはなし隊5周目に/講談社広報室読書推進事業部長引地康博〕
◆訪問会場9200カ所、80万人が参加
「本好きな子どもに育って欲しい」と願って、99年7月にスタートした講談社創業90周年記念事業「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」の活動は、まる8年を経過し、9月からすでに全国訪問5周目に突入しています。2台の特製キャラバンカーに出版各社の絵本を中心とする児童書を550冊以上積載し、全国47都道府県を1カ月単位で回り、各々およそ50団体を訪問しています。本年8月までの4周累計で9200会場を訪問、参加親子の動員は80万人を突破しました。おかげさまで各訪問先には大変喜ばれています。
◆地域ボランティアに支えられて
「おはなし隊」のメニューは、基本は1時間で、およそ30分間ずつのおはなし会(読み聞かせ)と「自由閲覧」を組み合わせたものです。おはなし会の中心は地域ボランティアのみなさんです。公募による希望者は通算1万2千人に上り、その中からすでに6千人以上の人が参加。「おはなし隊」をきっかけに参加者が地域での読み聞かせを「草の根運動」的に継続してくれています。この方たちは、事前説明会・学習会にも出席しますし、本選びにも熱心で、一番の絵本購入者かもしれません。
◆書店さんに望みたいこと
訪問先としては、平日は幼稚園・保育園・小学校、土・日・休日は書店、図書館などが中心です。その中で書店のシェアは11%、すでに累計1000軒を超えました。
すでに「読み聞かせ」を定期的にやっている書店さんでは、「おはなし隊」訪問をきっかけにさらに充実させたい、まだやっていない所では、これをきっかけに始めたいという書店さんも数多くあります。キャラバンカーを設置するスペースのない書店さんは、近隣の幼稚園・小学校を紹介し、喜んでもらってお客が増えたという報告もたくさんあります。品揃えを充実し、絵本好きになった親子を呼び込めば、絵本はまだまだ売れます。書店さんには、ぜひ今まで以上に「おはなし隊」をご活用いただきたいと思います。
◆詳しくは、ホームページをご覧ください。「全国訪問おはなし隊」で検索できます。
http://www.kodansha.co.jp/kids/ohanashi/

新・アジア書店紀行/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔第20回インドネシア(1)〕
インドネシアは親日である。その理由は1945年8月17日独立した時、日本人が独立に協力したからである。350年来のオランダの支配から解放された。国旗は上半分が赤、下が白と単純なことも日本に似ている。2億2278万人の人口で、イスラム信徒は90%と多く、世界一のイスラム国家ともいえる。1万7千余の島嶼国家も世界一である。住民は大部分マレー系で、ジャワ族7千万人、スンダ族3千万人、マドゥウ族1千万人等、約300の種族で形成されている。中国系は約5%である。政治体制は共和制で、大統領が最高権力者である。政治の主人はインドネシア人であるが、経済実権は華僑に完全に握られている。ジャカルタ中心部のタムリン通り、スデルマン通りの高層ビルは殆ど華僑のものである。
首都ジャカルタは人口1229万人(03年推定)で、東京と姉妹都市である。季節は乾期4月~11月、雨季12月~3月の2つだけである。平均気温は28度と高いが、高山地域は23度であり、赤道直下としては意外に過ごしやすい。エリートと庶民の間の所得格差と生活様式の格差は激しい。ビジネスエリートは殆どが中国人だが、官僚には殆どいない。
地下鉄、モノレールがジャカルタにはないので、庶民の足はバス、バイクである。筆者のような訪問者はタクシーで移動するしかない。しかしドライバーには英語が通じないので困ることおびただしい。ホテルを出る時に目的地をカードに書いてもらい、それをドライバーに見せる。通貨は数字が大きくて戸惑うばかりである。3万円を両替したら2百万ルピアきた。因みに小学館の『Oggi』は10万1千ルピア、『CanCam』は9万2千ルピアで紀伊国屋書店で売られていた。
〈ジャカルタ・地元の書店〉
1、グラメディア書店・本店
地元を代表するチェーン店である。現在16のチェーン店を持ち、本店はジャカルタ市東部のマトラマン地区にある。親会社は印刷会社で、書店ができて35年になる。今回は本店とコタ店しか訪問できなかったが、本店は大型総合書店である。地下駐車場(約50台)、地上4階の堂々たるビルである。1・2階店舗、3階文化教室、4階事務所である。書店は2階にある。1階は電化製品、文具、鞄が約8百坪の売場にゆったりと陳列されている。どこの国でも文具は書店の複合商品であるのに驚いた。ニュージーランド・オークランドのホイットコール、オーストラリア・シドニーのディモックスも地域一番店の書店であり、大型文具店であった。グラメディアの文具売場は150坪はある。学童文具、事務文具、家庭文具、コンピュータ文具と何でも揃っている。
1階は文具の他、ソニーコーナー、家電製品、オーディオコーナー、家庭用品、鞄コーナー等全部で約800坪はある。中央部にエスカレーターが走っている。吹き抜けなので1・2階は一体化したように見え、広さを感ずる。1階の店舗左側にはダンキンドーナツ(約80席)があり若者を集めている。
2階は本とおもちゃ売場である。吹き抜け部分だけ売場面積は少なくなっている。本350坪、おもちゃ250坪の割合であろうか。本は英書、インドネシア書が中心である。エスカレータで昇った正面に話題書とハリーポッター(約500冊)が陳列されてある。正面右側にレジ、レファレンスコーナーがあり、女性3名が応対している。専門書(コンピュータ書、ビジネス、ファイナンス、心理、歴史、宗教が多く理工書は少ない)、藝術、家庭書(実用書の感じがしない)、こどもの本がある。雑誌、コミック・マンガは別コーナーにあり、人だかりは日本と同じである。この情景が1階売場から見えるのがよい。日本と違うのは文庫、新書の無いことである。それ以外は日本の大型書店と同じで、店内4カ所にレファレンスコーナーがあり、読書相談に応じている。
雑誌の棚面陳は紀伊国屋書店をまねしたものだろうか。従業員は30~40人と多い。補充する人、見張る人、接客する人と分かれ働いている。知識人の集まる書店だと感じられた。グラメディアではリブリオファイルという季刊誌を発行していた。A4判、48P。
2、グヌング・アグング書店・本店
この書店はバリ島一番の山の名前からとったもので、ムルデカ広場の東のクウィタン通りにある。
この店もグラメディア書店同様親会社があり、チェーン店である。この書店は独立店舗の2階建てで、1階は電化製品の見本展示館(約150坪)の雰囲気で、説明員が5~6名いた。本売場は2階である。エスカレーターで昇る。2階は家具、住宅用品売場約150坪、本80坪の構成で、売場はガラスで仕切られていた。この書店は典型的なイスラム書専門書店である。店内には大きなコーラン(1m大)があり驚く。コーラン専用の書見台、書見器が売られている。この光景はクアラルンプールのイスラム書専門店でも見た。この時は書見台を買ってきた。今は電話台として使っているが。
グヌング・アグング書店はすべてインドネシア語の本なので、チンプンカンプン、勉強してくればよかったと後悔した。店内のレイアウト、陳列、インデックスは見事である。見やすく、分かりやすく、特に立体陳列が素晴らしい。店内各所に木の椅子が置かれ、利用者が多い。貴重書はガラスケースに入れられていた。
3、ペリプラス・プラザスナヤン店
スナヤンはジャカルタ南部の中心地で、ブロックM地区と並んで多くの人を集めている。プラザスナヤンSCとSOGOが同一の建物になっている。駐車場は同じなので、利用者は同時に買い物が出来て便利である。ペリプラスは専門店街のプラザスナヤン3階にある。ペリプラスはシンガポールに本社のある出版社(写真集、アート、地図)として有名である。日本ではヴィレッジヴァンガードで見かけることがある。日本の版元としてはピエ・ブックスに似ている。ペリプラスは書店経営にも意欲的にチャレンジし、アジア各地に出店している。成田空港三省堂書店、改造社でペリプラス出版物を見ることは出来る。
スナヤン店は約30坪で、文藝、児童、女性書が中心である。
4、ペリプラス・プラザ・インドネシア店
ジャカルタ一番のSC、プラザ・インドネシア地下に30坪で出店している。スーパー、レストラン、物販店に交じってペリプラスは頑張っている。自社出版物の展示販売を強烈にアッピールしている。
ペリプラス地図(黄色で目立つ都市地図)も回転塔で販売されていた。ウインドウの陳列が見事であった。なおペリプラスは空港にも売店を持っている。

催し

◇百科事典と博物図譜の饗宴
印刷博物館は雑協、書協創立50周年記念「世界出版文化史展」として、百科事典と博物図譜の饗宴「百学連環」を9月22日から12月9日まで開催する。
人類がいかに知の体系化を図り、普及に努め、知的遺産を継承してきたか、古今東西の博物誌と百科事典、図譜で紹介。特別講演会として①10月13日「大博物学時代の松平定信」、②10月16日「出版界50年のあゆみ」、③11月17日「植物図譜を通してみる東西の文化交流」、④12月1日「知るたのしみ、見るおどろき―西洋、中国、イスラムの博物学」が催される。定員各回80名、先着順で受付。
毎週月曜日休館(10月9日は開館)。開館時間10時~18時。入場料一般5百円、学生3百円、中高生2百円。

受賞

◇江戸川乱歩賞に『沈底魚』
第53回江戸川乱歩賞に『沈底魚』の曽根圭介氏が決まり、9月21日夕、帝国ホテルで贈呈式と記念パーティーが行われた。
贈呈式で日本推理作家協会大沢在昌理事長は「受賞作は警視庁公安部外事2課を舞台にした作品で、スパイ・スリラーは乱歩賞初」としたほか、協会創立60周年を記念して11月11日に立教大学で「作家と遊ぼうトーク・カレッジ」を開催すると、参加を呼びかけた。
講談社野間佐和子社長は「受賞作は2作目と聞いたが、乱歩賞にふさわしい才能に大いに期待したい」、フジテレビ豊田皓社長は「乱歩賞が50回、100回と続く限り後援していきたい」とあいさつ。大沢理事長から曽根氏に乱歩像と副賞1千万円が手渡された。

人事

〔相談役に上野氏/トーハン〕
トーハンは9月18日開催の取締役会で白石勝相談役が退任し、新相談役に文藝春秋上野徹社長が就任した。トーハン相談役は以下の5名となった。(就任順)
相談役石川晴彦
相談役朝倉邦造
相談役赤尾文夫
相談役佐藤隆信
相談役上野徹
【上野氏略歴】
昭和17年12月北海道生まれ、40年3月北海道大学法学部法律学科卒業、同月文藝春秋入社、昭和61年7月「週刊文春」編集長、平成9年6月取締役就任、13年6月常務取締役、15年6月専務取締役、16年6月代表取締役社長。
◇共栄図書
8月29日開催の定時株主総会ならびに取締役会で以下の役員を決めた。○印は新任。
代表取締役社長岩田浩
取締役会長井上文男
取締役管理部長
○吉家敏雄
監査役柴豊
*砂山勇取締役販売部長、松尾昌吉相談役、新井貫三相談役は退任。
◇栗田出版販売
栗田出版販売は10月1日付で以下の組織変更と人事異動を発令した。
組織変更では①物流管理部と運輸管理部を統合し物流部とする、②特販第二部特販第四課を廃止、③営業推進部営業推進課・広報課を廃止、④総務部社長室を廃止。部の名称変更では営業第一~六部を営業一~三部と特販第一・第二部に名称変更を行った。
取締役、部長級の人事は以下の通り。○は昇格・昇進。
【取締役】
営業推進部長委嘱を解く
柴原正隆【部長】
営業第二部長役員待遇(営業第三部長)○塩沢衛営業第六部長役員待遇(特販第二部長)○森孝弘総務部長役員待遇(総務部長兼社長室長)○山本高秀
【部長代理】
営業第一部長代理=高梨秀一▽営業第三部長代理=小出直之▽営業第四部長代理=鈴木て津雄▽営業第五部長代理=○黒田敬三▽書籍仕入部長代理=森岡忠弘▽営業推進部長代理=森川正信▽取引部長代理=米川清一▽物流部長代理兼雑誌課長=○松本光男

10月に拡販ムックで『和の器』/世界文化社

東京ドームのテーブルウェア展や各地の陶器市が人気を集めているが、世界文化社から『家庭画報特選/和の器/最新保存版』が10月20日に発売される。A4変型判276頁、定価2940円。
「今、食卓に加えたい器」「和食器選びの基礎知識」「人気作家の工房を訪ねて」の3章に分け、暮らしが楽しくなるいまどきの器選びを紹介。赤絵、染付、織部、白磁、ガラスなど料理研究家が用途別に器の取り合わせ、盛り付け方を指南する。全国版・器ショップ&ギャラリー百軒、綴じ込みで焼物のふるさとをめぐる旅に便利な36頁の特製ガイドマップが付く。
世界文化社が5年前刊行した拡販ムック『器に強くなる』は8万部を超えるロングセラー。今回の『和の器』は『家庭画報』『ミセス』愛読者、料理店、旅館、ホテル、陶芸愛好家、料理好きなどの方におすすめしてほしいとしている。実売目標5万部。5部以上販売の書店には1部百円の販売促進費のほか、発売日前日までの予約獲得部数に応じて特別販促費を加算。予約獲得部数5~9部は1部50円、10~19部同70円、20部以上同百円。

参加店に報奨1冊50円/だいわ文庫2周年フェアで/大和書房

「簡潔・おもしろい・役に立つ」をコンセプトに昨年2月創刊した大和書房「だいわ文庫」は9月新刊を含めて既刊121点。創刊2周年フェア&新企画説明会と懇親会が26日午後3時半から目白の椿山荘で行われた。
企画説明会で笈川実取締役営業本部長は、今年2月に実施した「だいわ文庫1周年フェア」は2227店が参加し、48万冊出荷、実売は63%だったと報告。これまでに月平均6・5冊刊行、初版は2万1千部、重版率48%、今年8月までの累計返品率は32・2%と紹介した。
さらに、来年2月・3月に開催する「創刊2周年フェア」はAセット(60点・300冊)、Bセット(40点・200冊)申込みの書店にフェア期間中、1冊50円の特別報奨をつけると発表。フェアに合わせて強力な新刊と新聞広告を投入するとした。販売条件は3カ月延勘、申込み締め切り12月中旬、出荷1月下旬。
説明会では古屋信吾第2編集局長が時代小説をはじめ今後の企画説明を行ったほか、矢島祥子常務取締役第1編集局長が来年夏刊行する『2009年度版九星別ユミリー風水』(全9冊同時発売、予価各550円)の企画発表を行い、著者の直居由美里氏が幸せを呼ぶユミリー風水について講演した。
午後5時半からの懇親会であいさつした大和書房南暁社長は「だいわ文庫は9月新刊で累計5百万部を突破した。創刊説明会で大丈夫かと心配されたが、何とか合格点かなと思っている。まだまだ成長途上だが、これからが正念場。早い時期に300点、1千万部をめざしたい」と、書店の販売協力を求めた。
〔来年2月刊行予定〕
『和田裕美の人に好かれる話し方』『企業舎弟の暗闇』『20歳からの美肌ダイエットプログラム』『恋9』『朝1分できれい!即効リンパマッサージ』『トヨタ世界一の実践仕事術100』『耳袋秘帖第8弾』

本屋のうちそと

絶妙のタイミングで総理を辞めた安倍前総理と、小泉元総理への恋のカラ騒ぎで総裁選の期間を無理矢理延長させた小泉チルドレンのお陰で、郵政民営化見直しの法案が野党から提出される事も無く、10月1日、郵政民営化がスタートする。まずは送金・決済サービスの料金が上がり簡易郵便局が大幅に減る。
しかし政府の経済成長率重視の政策により、その成長率の肥しとして年間3万人以上の国民が自殺してゆくこの国で、辞めたいと言って休める人は楽だ。私や多くの書店は何かが大き過ぎて出店を止めるに止められない大型書店や大手チェーン店を支援し続ける取次の拡大路線に耐えて、倒れるか死ぬかするまで自らの仕事をやめる訳には行かない。
元はと言えば日銀の異常なまでの長期に渡るゼロ金利政策により生じたサブプライム問題で株価が急落している。本業が振るわず保有株高で決算書を作ってきた郵政公社や取次はどんな中間決算を出して来るのか。お金の流れは債券から商品に向かい物価が上がる。インフレになりそうなのだが各国中央銀行はサブプライム問題の為に金利を上げられない。借金漬けの日本国や企業にとって金利が低い事は良いようだが実はそうでもない。金利が低すぎると今度は国債が売れない。民営化された郵政公社は新規の国債は買わないだろう。では一体誰が買うのか。
幸田真音先生「日本国債Ⅱ」そろそろ如何でしょうか。同じく10月1日、米国は連邦債務が法定限度額を超える。
(海人)