全国書店新聞
             

令和元年5月1日号

「全出版人大会」5月8日に開催

日本出版クラブは5月8日(水)午後3時、東京・千代田区のホテルニューオータニで「第58回全出版人大会」を開催する。
朝日新聞出版・青木康晋社長が大会委員長を務め、例年通り古希を迎えた長寿者の祝賀、永年勤続者の表彰を行う。日書連からは舩坂良雄会長が長寿者に推薦されている。式典終了後、小説家の柚木麻子氏による講演を行う。

「本の帯創作コンクール」課題図書を決定/大阪組合理事会

大阪府書店商業組合は4月13日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
事務局からの庶務報告では、「平成31年度通常総会」を5月17日午後2時から大阪市北区の尼信ビルで開催することが報告され、承認された。
この後、面屋龍延理事長が、書店環境改善で3月19日にKADOKAWA、光文社、日経BP社、3月20日に新潮社、マガジンハウスを舩坂会長、鈴木副会長とともに訪問したことなど、日書連の活動を報告。続いて総会議案書、決算・予算案の説明があり、いずれも承認された。
委員会報告では、総務委員会から、4月9日に監査会を行い、監事から適正であるとして承認されたとの報告があった。
読書推進委員会からは、4月5日に「本の帯創作コンクール」課題図書選定会議を開催し、課題図書を決定したとの報告があった。
出店問題・組織強化委員会は、大垣書店イオンモール堺鉄砲町店が4月19日にオープンするにあたり、トーハンに出店説明会の開催を申し込みたいと報告した。(石尾義彦事務局長)

全国書店再生支援財団、補助金申請の募集開始/キャッシュレス対応事業など対象

全国書店再生支援財団(奥村弘志代表理事)は4月3日に開いた記者会見で、書店の団体等が補助金の申請を行うための申請書を作成し、補助金の募集を開始すると発表した。
同財団は昨年10月、業界内外から寄付金を受け付け、その受け皿となるために設立。今後、①中小書店のキャッシュレス対応に関する支援、②中小書店のPOSレジ導入に関する支援、③書店開業に関する支援――などの事業に取り組んでいくという。
申請書は「補助金申請書」「事業計画書」の2枚セット。「補助金申請書」には事業名称、事業期間、補助金希望額、「事業計画書」には事業目的、事業内容、予算概要(収入、支出)などを記入する。
申請された案件は理事会で審査し、必要額の補助金を支出する。
補助金の申請は、原則的に日書連会員の45都道府県書店商業組合に加入する書店であることが条件。未加入書店が申請する場合は組合加入書店の紹介が必要で、組合加入も求めていくという。
申請書は同財団から取り寄せる。また、今後は、開設準備中の同財団ホームページからダウンロードできるようになる予定だ。
問い合わせは同財団まで。TEL・FAX03(3233)5055

全国の組合加入書店数3112店に/1年間で137店(4・2%)減少

4月1日現在で日書連会員の45都道府県書店商業組合に加入する書店は、1年前と比べて137店(4・2%)減の3112店になったことが組織委員会(中山寿賀雄委員長)の調査で分かった。組織規模はピークだった1986年の1万2953店から4分の1まで縮小した。
この1年間の新規加入は33店、脱退は170店だった。
組合員が増加した組合は、三重、滋賀、香川、佐賀(いずれも1店増)の4組合。前年と同数は、岩手、千葉、山梨、福井、島根、高知、長崎、熊本の8組合。残る33組合は組合員が減少した。
加入が多かったのは、①福岡(7店)、②大阪(6店)、③秋田(4店)、④宮城、東京(3店)。脱退が多かったのは、①東京(26店)、②大阪(22店)、③静岡(12店)、④福岡(11店)、⑤愛知(9店)の順だった。
脱退数から加入数を差し引いた純粋な減少数は、①東京(23店減)、②大阪(16店減)、③静岡(12店減)、④愛知(9店減)、⑤京都(8店減)の順。減少率でマイナス幅の大きい順にみると、①大分、宮崎(10・0%減)、③広島(9・8%減)、④静岡(9・0%減)、⑤和歌山(8・1%減)だった。
組合員数が多い組合は、①東京(324店)、②大阪(214店)、③福岡(194店)、④愛知(151店)、⑤兵庫(133店)。一方、組合員数が少ない組合は、①島根、高知(21店)、③徳島(23店)、④青森(24店)、⑤宮崎(27店)の順だった。
組織委員会は、各都道府県組合の加入店と脱退店の数、脱退理由や脱退後の状況把握に努め、組合員減少の原因究明に取り組むとともに、新規店や未加入店の加入促進、脱退による組合員減少に歯止めをかける取り組みを進めるとしている。

トーハンと日販、物流協業で合意/雑誌・書籍返品、書籍新刊送品の3業務

トーハンと日販は4月9日、雑誌返品処理と書籍返品処理、書籍新刊送品の3業務で物流協業することで合意したと発表した。
両社は2018年11月7日に締結した物流協業の検討を開始する基本合意書に基づき、両社間で物流協業の可能性について検討を行ってきたが、この間も出版市場を取り巻く環境は厳しさを増し、従来の構造のまま出版流通ネットワークを維持することは不可能な状況であり、大胆な改革が必要と判断し、今回の合意に至った。
今回の合意を皮切りに、2020年度以降順次、3業務について両社が保有する物流拠点の統廃合を実施に移し、効率的な出版物流の実現を目指す。
今後、両社メンバーにより協業実行委員会と3業務それぞれを担当する実行委員会を設け、物流協業の具体化に向けた検討に移る。
雑誌送品業務については、総コストにおける輸配送運賃の割合が約7割と大きく、物流拠点の統廃合や相互活用だけでは協業効果を生み出しにくいため、引き続き両社でサプライチェーン全体の効率化を視野にゼロベースで検討する。
協業により物流の効率性を高め、出版取次会社としてサービスの維持向上を図り、マーケットイン型の出版流通ネットワークの実現を推進する。
なお、物流協業の具体化を進めるにあたり、両社で引き続き独占禁止法遵守の観点から機微情報の厳密なコントロールを行うことに変更はない。また、必要に応じて公正取引委員会への報告・相談を行うことも同様としている。

大学生の半数近く、読書時間ゼロ/書籍費は1ヵ月2千円以下/生協連が調査

全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が発表した「第54回学生生活実態調査」によると、1日の読書時間について「ゼロ」と答えた大学生は48・0%。53・1%と初めて過半数を超えた前年調査からは減少したものの、引き続き半数近くに読書習慣がないことがわかった。
この調査は昨年10~11月に実施し、全国の国公立・私立大学30大学の学生1万980人が回答した。大学生の1日の読書時間は平均30・0分で、前年比6・4分増と5年ぶりに増加した。読む人の平均も60・3分と9・2分伸びた。読書時間60分以上の人は26・7%と同8・4ポイント増加した。1ヵ月の生活費のうちで「書籍費」は、自宅生が1540円、下宿生が1710円で、ともに同200円増加した。
今回は、大学入学までの読書傾向を初めて調査した。小学校入学前は「全く読まなかった」が31・8%、「30分未満」が31・7%と多数を占めたが、小学校低学年から高学年まではともに減少し、「30~60分」「60~120分」「120分以上」と読書時間が長い層が増加していた。小学校高学年では読書時間が30分以上という層は54・1%だったが、高校時代では33・0%まで減少し、「全く読まなかった」31・0%、「30分未満」29・6%と、ほぼ小学校入学前の状態に戻っている。また、小学校入学前と高校で120分と長時間読書している層は、現在の読書時間も長い傾向が見られた。

家の光読書エッセイ審査結果を発表/家の光協会

家の光協会はこのほど「第18回家の光読書エッセイ」(日書連など後援)の審査結果を発表し、「家の光読書エッセイ賞」に千葉県・長野和夫氏「嵐に向かって立つ」を選んだ。また、優秀賞3編、佳作7編を決定した。
審査結果は家の光ウェブサイトと「家の光」5月号(4月1日発売)に掲載。また、「入選作品集」を5000部作成し、全応募者と全国公共図書館に寄贈するほか希望者に配布する。

「春夏秋冬本屋です」/「改良の余地あり」/京都・若林書店代表取締役社長・若林久嗣

「知的好奇心を満たす」「探求心を養う」など言い方は様々ですが、知識欲が旺盛です。本屋をしていると無数の本や雑誌と出会うので、毎日いろいろな本の表紙を見ているだけでも賢くなったような気になります。国家資格でも公務員でもないのに、学者や「士」がつく偉い職業の人達に欠かせない書籍や教科書を販売していたりする不思議な職業です。
僕の祖父は親族が医者で本当に優秀で博識だったはずですが、中学に上がる前に亡くなり、深い会話をした記憶がありません。「おやすみ」の事を「は~ひ~」と言って笑わせてくれたり、仏壇の前で日課の般若心経を唱えている最中に木魚で遊んでも怒られなかったりという事ぐらいしか思い出せません。最近、僕が生まれた年に使われていた手帳を倉庫で発見したのですが、僕の誕生した日の文章は3行ぐらいにわたって喜びが表現されており、こんな残念な孫に育って申し訳ないなと思った次第です。
幼少期は絵本が大好きでしたが、小学校に上がる前に発売された任天堂のファミコンに僕の興味はすべて持っていかれました。ドラクエならクリアできるのに文学の本が読めない学生時代を送り、このままじゃいけないと最低でも年に1冊は読もうと決めました。今年はまだ読んでいません。でも漫画は毎日読んでいます。まだまだ改良の余地が沢山あります。

書店組合総会スケジュール

◆青森県書店商業組合「第32回通常総会」
5月8日(水)午後3時半、青森市・アラスカ会館で開催。
◆山梨県書店商業組合「第31回通常総会」
5月10日(金)午後4時、甲府市・きよ春で開催。
◆愛知県書店商業組合「第36回通常総会」
5月17日(金)午後3時半、名古屋市千種区・ホテルルブラ王山で開催。
◆大阪府書店商業組合「平成30年度通常総会」
5月17日(金)午後2時、大阪市北区の尼信ビルで開催。
◆東京都書店商業組合「第43回通常総会」
5月22日(水)午後1時半、千代田区・ホテルメトロポリタンエドモントで開催。
◆石川県書店商業組合「第31期通常総会」
5月24日(金)午後1時、金沢市・石川県教科書販売所で開催。
◆福井県書店商業組合「平成30年度総会」
5月27日(月)午後4時半、あわら市・灰屋で開催。
◆沖縄県書店商業組合「第31回通常総会」
5月27日(月)午後2時、那覇市・沖縄県書店商業組合で開催。
◆京都府書店商業組合「第35回通常総会」
5月29日(水)午後3時、京都市中京区・京都ホテルオークラで開催。
◆愛媛県書店商業組合「第31回定時総会」
6月11日(火)午後4時、松山市・松山全日空ホテルで開催。
◆新潟県書店商業組合「第35回通常総会」
6月14日(金)午後3時半、新潟市中央区・新潟駅前カルチャーセンターで開催。
◆北海道書店商業組合「第43回通常総会」
6月18日(火)午後4時半、札幌市中央区・JRタワーホテル日航札幌で開催。
◆茨城県書店商業組合「第33回通常総会」
6月26日(水)午前10時、水戸市の茨城県教科書販売で開催。
◆岐阜県書店商業組合「第36回通常総会」
6月28日(金)午後3時、岐阜市・岐阜キャッスルインで開催。
◆神奈川県書店商業組合「第42回通常総会」
8月23日(金)午後2時、横浜市中区・神奈川平和会館で開催。

「読書週間」ポスター用イラストを募集/読進協

読書推進運動協議会は「2019年(第73回)読書週間」(10月27日~11月9日)ポスター用イラストの募集を行っている。
このイラスト募集は新人イラストレーターの挑戦の場になっており、大賞に選ばれたイラストはポスターとなって全国の小・中・高校、公共図書館、書店等に掲出され、「読書週間」の雑誌広告にも使用される。
今回は標語「おかえり、栞の場所で待ってるよ」をイメージした創作原画を募集。応募締切は6月25日(火)必着。発表は8月上旬に当選者に通知する。
問い合わせは同協議会「読書週間ポスターイラスト」係まで。℡03(5244)5270

トーハン独自2企画/平成ベストセラーフェア、実用書フェア「マヨコレ!」

トーハンは、オリジナル企画「平成ベストセラーフェア」を3月下旬から全国700書店で展開。平成30年間に書店店頭を彩ってきた本31点を厳選し、出版社の協力によるオリジナル拡材で魅力的な店頭を演出するもので、平成元年の『キッチン』(KADOKAWA)から、30年の『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)まで、ベストセラーを手掛かりに、変化に富んだ平成の世相を映し出す書店ならではのフェアとした。
また、オリジナル実用書フェア「マヨコレ!(迷ったらこれ!)」を3月中旬から全国310書店で展開。棚定番施策「実用書オーダーベスト」6ジャンル(スポーツ、健康、趣味、女性実用、生活、料理)の販売データを元に、年間を通して売行き良好な商品から特にこの時期に増売の見込める8点を選定しており、出版社の協力によるオリジナルの銘柄別POPとフェア告知ポスターを作成し、「コレを選べば間違いない1冊」の推薦で読者のニーズに応えるもの。
対象銘柄は次の通り。▽『自律神経を整えるぬり絵』アスコム▽『もしものときの安心メモリー帖』池田書店▽『フリージング幼児食』大泉書店▽『藤井恵さんの体にいいごはん献立』学研プラス▽『イチバン親切なソーイングの教科書』新星出版社▽『マンガでたのしくわかる!バスケットボール』西東社▽『はじめての小さな庭づくり』成美堂出版▽『きせつで楽しいみんなのおりがみ』日本文芸社

18年文庫本市場、6・8%減の946億円/過去最大のマイナス幅を記録

出版科学研究所発行の『出版月報』3月号は「文庫本マーケット2018」を特集。これによると、昨年の文庫本(コミック文庫を除く)の推定販売金額は前年比6・8%減の946億円。過去最大のマイナス幅を記録し、1千億円の大台を割り込んだ。同特集から文庫市場の動向を紹介する。
2018年の文庫本市場の推定販売金額は946億円、前年比6・8%減。5年連続で5%以上の大幅減となり、18年は過去最大の減少幅を記録した。推定販売部数は同7・9%減の1億4206万冊で、14~16年は同7%以上のマイナスが続き、17年は同5・4%減とやや減少幅が縮まったものの、18年は同7・9%減となり、金額同様にこれまでで最も大きい減少幅となった。
新刊点数は同2・7%(217点)減の7919点で、4年連続で減少した。文庫大手出版社では、16年に新潮社が、17年に講談社が毎月の新刊点数を減らす取り組みをスタート。新潮社の18年新刊点数は、月次の減少数が一巡したためほぼ前年並みだったが、講談社は前年より77点減少した。6月にはPHP研究所が「PHP文庫」の刊行を隔月に変更し、同58点減となった。この他、早川書房が38点減、岩波書店が25点減、実業之日本社が21点減、東京創元社が20点減、KADOKAWAが19点減などとなっている。点数増となったのは、スターツ出版が28点増、光文社が27点増、一迅社が18点増など。
18年の創刊文庫は11シリーズで、前年の3シリーズを大きく上回った。中でも「メゾン文庫」(一迅社)や「一二三文庫」(一二三書房)などキャラクター文芸文庫の創刊が目立った。ただ、シリーズ創刊は活発だったものの、刊行点数や部数の規模は小さかった。
新刊推定発行部数は同9・3%減。新刊1点当たりの推定発行部数は前年より1千冊(6・8%)減の1万1千冊だった。一部の人気作家を除き、新刊時の発行部数は抑制する方向にある。新刊に既刊(重版+注文分)を加えた推定出回り部数は同7・4%減の2億3677万冊。書店からの注文分の減少や、大量に重版がかかる商品が少なく、大幅減になった。
返品率は同0・3ポイント増の40・0%。17年は若干改善したが再び悪化した。取次は新刊、重版とも送品量を抑えているが、それ以上に販売不振が大きく影響した。出回り平均価格は、同8円(1・2%)増の666円。新刊平均価格は同11年(1・6%)増の685円。各社が小刻みに値上げしており、上昇トレンドが続いている。
18年の文庫本市場の大幅な落ち込みについて出版科学研究所では、直接的な要因として、前年に比べ映像化作品など大部数売れる作品の数と規模が小さかったこと、売行きの二極化で既刊が売れなかったことを指摘。さらにその背景として、スマートフォンの影響による読者のお金と時間の使い方の変化や、若年人口の縮小、書店数の減少などの要因が絡み合い、これまで隙間時間に文庫本を読んでいた読者がここ数年急速に文庫本から離れていることがうかがわれると分析している。
18年の文庫本の動向をみると、ベストセラー上位は映画化作品が中心となった。東野圭吾の作品は『祈りの幕が下りる時』(講談社文庫)、『ラプラスの魔女』(角川文庫)、『人魚の眠る家』(幻冬舎文庫)、『マスカレード・ホテル』(集英社文庫)と相次いで映画が公開され、売行きが好調だった。森下典子『日日是好日』(新潮文庫)は10月の映画公開直前に主演女優の樹木希林が死去し、相次ぐ追悼報道や映画の評価の高さも相まって18年だけで36万部を増刷し、45万部に急伸した。
各社が苦戦するなか、売行きが好調だったのが文藝春秋で、6月に映画化された宮下奈都『羊と鋼の森』(16年本屋大賞受賞)は初版30万部、累計66万部の大ヒット。16年芥川賞受賞の村田沙耶香『コンビニ人間』(42万部)や、川村元気『億男』が初版40万部、累計60万部と、大部数のヒットが目立った。
時代小説は、佐伯泰英の作品が引き続き突出した売行き。髙田郁、上田秀人など定番の人気作家に加え、『火喰鳥』(祥伝社文庫)の今村翔吾など若手作家のヒットも現れてきている。
ライトノベル(文庫本)の推定販売金額は166億円、同12・6%減で、6年連続減少と厳しい状況が続く。新刊点数は同2・9%(65点)減の2155点。出版社によるとライトノベル読者の平均年齢は27~28歳とみられ、年々上昇している。「オーバーロード」(KADOKAWA)など単行本市場に読者がシフトしているうえ、若い新規読者がなかなか入らない状況となっている。

「おしりたんてい」の書店限定イベント/ポプラ社

ポプラ社は4月20日から全国約3300書店で、リアル脱出ゲームを企画運営するSCRAP(本社・東京都渋谷区)が謎を制作した書店限定の無料イベント「おしりたんていなぞときイベント」を開催している。
今回実施したのは、「なぞときイベント」の第1弾「映画公開記念おしりたんていおうごんのしょをさがせ」。初の劇場版「映画おしりたんていカレーなるじけん」の公開と、読み物の新刊である第8巻『おしりたんていかいとうとねらわれたはなよめ』の発売に合わせ、作品の魅力の1つである「なぞとき」にスポットを当て、その楽しさを多くの子どもたちに書店でリアルに体験してもらうために企画されたもの。参加対象は幼児から小学生で、開催書店でイベントキットを受け取り、店内を回遊しながら謎解きを楽しむことができる。なお「なぞときイベント」は第2弾が6月中旬、第3弾が8月中旬の開催を予定している。

3月期は前年比2・7%増/08年7月以降初の2ヵ月連続増/日販調査店頭売上

日販営業推進室調べの3月期店頭売上は、前年比2・7%増となった。2月期に続く前年超えで、現在と同様の統計を開始した2008年7月以降、2ヵ月連続のプラスは初めてとなる。
雑誌は同3・1%減で、内訳は月刊誌が同2・9%減、週刊誌が同3・8%減。「sweet4月号」(宝島社)や「月刊文藝春秋4月号」(文藝春秋)が売上を牽引した。
書籍は同1・0%増で、7ジャンルで前年を上回った。書籍のプラスは16年2月以来、約3年ぶり。中でもビジネス書は『FACTFULNESS』(日経BPマーケティング)や『メモの魔力』(幻冬舎)に牽引され、同12・3%増と大きく売上を伸ばした。
コミックは同13・7%増で、8ヵ月連続のプラス。『ONEPIECE92』(集英社)の他、1月からテレビアニメ化されている『約束のネバーランド』(同)や『五等分の花嫁』(講談社)の既刊も好調だった。

瀬尾まいこ氏『そして、バトンは渡された』/第16回・2019年本屋大賞

全国の書店員が一番売りたい本を選ぶ第16回「2019年本屋大賞」の発表会が4月9日に東京・港区の明治記念館で行われ、瀬尾まいこ氏の『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)が大賞に輝いた。
受賞作は、幼くして母を亡くし、血縁のない「親」たちにリレーされるように育てられながらも、愛情を受けて成長する少女の姿を描いた小説。発表会で瀬尾氏は「小説を書いたのは1年以上前なので、喜びはじわじわ、じっくりと感じるものなのかなと思っていたが、いまこの舞台まで走ってきてゴールテープを切り、すぐさま賞を渡してもらったような鮮やかではっきりとした喜びがある。書店員の皆さんに愛情を注いでもらえる作品になったことを本当にうれしく思う。今後も皆さんに楽しく読んでいただけて、誰かに伝えたいと思っていただけるような作品が書けるよう努めていきたい」と語った。
今回の本屋大賞は、17年12月1日から18年11月30日に刊行された日本の小説が対象。1次投票には493書店623人が参加、1人3作品を選んで投票し、上位10作品をノミネート。2次投票では308書店371人が全ノミネート作品を読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票し大賞作品を決定した。
翻訳小説部門は、『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著、山田蘭訳、創元推理文庫)が選ばれた。既刊本の掘り起こしを目的に、17年11月30日までに刊行された作品を対象に投票する「発掘部門」の中から、本屋大賞実行委員会が選出した「超発掘本」として『サスツルギの亡霊』(神山裕右著、講談社文庫)が紹介された。
本屋大賞の2位以下は次の通り。②『ひと』小野寺史宜(祥伝社)③『ベルリンは晴れているか』深緑野分(筑摩書房)④『熱帯』森見登美彦(文藝春秋)⑤『ある男』平野啓一郎(文藝春秋)⑥『さざなみのよる』木皿泉(河出書房新社)⑦『愛なき世界』三浦しをん(中央公論新社)⑧『ひとつむぎの手』知念実希人(新潮社)⑨『火のないところに煙は』芦沢央(新潮社)⑩『フーガはユーガ』伊坂幸太郎(実業之日本社)

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

落合淳思著『漢字の字形』(中公新書800円)は、サブタイトルが甲骨文字から篆書、楷書へ。「字形」が変化していく足跡を一覧表で示しながら、文字がどのように生まれ、受け継がれて楷書になったのか、分かりやすく解説される。
たとえば「馬」は殷代には上部に頭部とたてがみが描かれ、左側に前足と後ろ足、下部に毛の生えた尾を表現していた。やがて西周王朝代、東周代を経て、秦代になると現在の形に近くなり、隷書、楷書の馬に継承される。馬の右の三本の線はたてがみ、四点は前足と後ろ足を意味している。
「女」と「母」は起源を同じくする文字で、殷代には「女」の異形として二つの点を加えた文字があり、この点は女性の乳房を表現している。
漢字の原型ができたのは約4000年前と推測されている。元は英語のように外来語だったが、いまや自らの言語と一体化して根付いてきたのだ。
今野真二著『漢字とカタカナとひらがな』(平凡社新書840円)は日本語表記の歴史。漢字と出会い、漢字で日本語を書くようになった。群馬県高崎市「山ノ上碑」や『古事記』がその例だが、やがて平仮名や片仮名が発生する。英語、中国語、韓国語の文字があふれているが、もう一度日本語を見直してみたい。

一般部門2作、こども部門24作を表彰/角川つばさ文庫小説賞

KADOKAWAは3月23日、東京・千代田区の神楽座で「第7回角川つばさ文庫小説賞」の贈賞式を開催した。
この賞は、小中学生のこどもたちに読書を楽しんでもらいたいとの願いから、2011年に創設。今回は、「一般部門」2作品(大賞は該当作なし、金賞1作品、奨励賞1作品)、「こども部門」24作品(グランプリ1作品、準グランプリ1作品、特別賞4作品、入賞18作品)を表彰した。
「一般部門」金賞は高杉六花さんの『シークレットブレス』、同・奨励賞は日部星花さんの『ピアニスト・ウォーズ!』、「こども部門」グランプリは山元麻央さん(小学6年)の『足跡の主』、準グランプリは九月ねこさん(中学3年)の『アンサー』が受賞した。
贈賞式では、KADOKAWAの郡司聡執行役員文芸局局長のあいさつに続き、各賞を贈賞。一般部門金賞を受賞した高杉さんは「今回の受賞によって『物語で伝える』という手段を得ることができ、とてもうれしい。皆さんの心に届くような物語を書けるよう、そして長く愛される作家を目指し、精進していく」と述べた。