全国書店新聞
             

令和5年10月1日号

BOOKMEETSNEXT/書店や本の魅力を全国に発信/10月27日~11月23日開催/10月17日=東京でオープニングイベント、11月8・9日=京都でブックサミット

出版業界が一丸となって取り組む秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT2023」(主催=同運営委員会)が、10月27日~11月23日に開催される。これに先立ち10月17日に東京でオープニングイベントを行うほか、11月8・9日にはメインイベントとして「KYOTOBOOKSUMMIT」(京都ブックサミット)を開催するなど、多彩なイベントを展開する。期間中は、全国の書店で店頭企画を実施するとともに、それらの各イベントを連携して日本中の関心を出版や書店に集め、本に出会う機会を創出する。
「BOOKMEETSNEXT2023」は運営委員会(高井昌史委員長、紀伊國屋書店)が主催、実行委員長をJPIC・近藤敏貴理事長(トーハン)が務め、JPICを事務局として日書連など出版業界4団体が協力する。今回はこのほか、書店・取次・出版社を横断し各社の中堅・若手を中心にしたプロジェクトチームを組織。そこに大学生を加え、これまでの出版業界の常識に囚われない新たなアイデアを実行することを目指した。
運営委員会は9月13日、東京・新宿区のトーハン本社で記者会見を開き、近藤実行委員長、大垣書店(京都)の大垣守弘会長、JPIC・松木修一専務理事が企画を説明した。
冒頭であいさつした近藤実行委員長は、今年のBOOKMEETSNEXTは「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」が第1次提言において政府に要望したテーマに対し、業界からのアプローチを示す内容を盛り込んで展開するとして、京都ブックサミットのイベントについて説明。「提言のテーマで『書店と図書館の連携促進』については、それぞれの立場を尊重した対話の場を設けるべく準備を進めている。『新たな価値創造への事業展開を支援』についても、出版のDX化をテーマに最新のソリューションなどの展示を行う。『文化向上・文化保護、読書活動推進、地方創生、DX化、観光振興等の観点からの支援』に対しては、JPICが4月に行った韓国視察を踏まえ、日本と韓国の書店員同士の対話などを準備している」と話した。
そして、「BOOKMEETSNEXTの最大のテーマは、多くの方々に書店や本の魅力に改めて気づいてもらい、書店に足を運んでいただくようにすること。厳しい現状を外部から変えてもらうのを待つのでなく業界自らが動きを変えていくことを目指して展開する」と結んだ。
続いてJPICの松木専務理事が、同日時点での企画概要を説明した。
BOOKMEETSNEXT2023のメインスケジュールは次の通り。
▽10月17日=オープニングイベント(東京)▽10月28日~29日=神保町ブックフェスティバル(東京)▽11月1日~2日=本の日、TOKYORIGHTSMEETING(浅草)▽11月3日~4日=連携ブックマルシェ(名古屋)▽11月7日=BOOKEXPO(大阪)▽11月8日~9日=悠々会連携イベント(8日・東京)、KYOTOBOOKSUMMIT(京都)、関西版権説明会(京都)
これらのイベントの連携により、「日本中の関心を出版や書店に集めることを目指す」とした。
今年も「BOOKアンバサダー」を設置し、多彩な著名人が就任する予定。10月17日のオープニングイベントは、東京・新宿区の紀伊國屋ホールで開催。BOOKアンバサダーのビデオメッセージ、作家・川上未映子氏の記念講演などを行う。記念講演はもう1組の登壇を予定する。
TOKYORIGHTSMEETING(東京版権説明会)は11月1・2日に東京・台東区の東京都立産業貿易センター台東館5階で開催。日本の出展者は現時点で63社が決定と報告した。
期間中は、全国の書店で来店を促すイベントを開催する。本の日記念ブックカバー大賞はカバーデザインを一般公募し、11月1日に参加書店で大賞作品の文庫ブックカバーを配布する。本の日記念イベント助成金獲得企画は、書店で実施するイベントに奨励金を最大5万円助成するもので、全国の書店で様々なオリジナルの企画が展開される。
店頭誘導キャンペーンとして、日書連主催の「秋の読者還元祭2023」と連携し、「BOOKスタンプラリー」を実施。エントリー制で、参加書店にポスター等の店頭掲示物を送付する。読者はポスターのQRコードをスマホで読込み、スタンプを獲得することで賞品の抽選に応募できる。
出版社特別企画としては「本」を主題とした映画「屋根裏のラジャー」と連動したタイアップ企画が進行中。有名作家の店頭飾り付けコンクールを開催し、優秀店で後日著者サイン会を実施する。
集客施策では、新聞広告や主要雑誌での告知、SNSなどでキャンペーン実施店への誘導を図る。また、「街に本屋があるということ」をコンセプトにYouTubeチャンネルを開設、東京都書店商業組合が運営するYouTubeチャンネルとコラボし、書店の面白さをアピールする。
メインイベントとなる京都ブックサミットは、11月8・9日に京都市の会場で行われる。オープニングイベントは京都市京セラ美術館で挙行。「特別展示DX化の未来について」を京都産業会館で開催。これからの出版・書店を変えるためのDX化の最新情報を展示するとともに、出展社のセミナーや、導入のための補助金獲得セミナーを予定する。「図書館と著者・書店・出版社の未来について」を平安神宮会館で開催。関係者が対話して新たな関係構築を目指すシンポジウムを行う。
講演・対談イベントについては、国立京都国際会館で作家・今村翔吾氏の講演会、ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏による対談を実施。京都産業会館で、本屋大賞20回記念特別企画として作家・凪良ゆう氏と書店員の集いを行う。作家・角田光代氏と京都先端科学大学・山本淳子教授の対談、韓国の書店員と日本の書店との対談などを平安神宮会館で実施する。
また京都ブックサミット関連事業として、関西版権説明会を11月9日に平安神宮記念殿ホールで行う。
京都ブックサミットについて京都の大垣書店・大垣会長は、「日本の素晴らしい文化を国内、海外に発信できる機会をいただいたと思っている。普段は入れないような場所も会場となっており、日本全国からお越しいただいて本の魅力を京都から広め、それぞれ地域の書店にお客様が足を運んでいただくきっかけ作りにしたい」と話した。

神保町ブックフェスティバル/10月28日、29日の両日開催

読書週間の恒例イベント・第31回「神保町ブックフェスティバル」(神田古本まつり協賛)が10月28日(土)、29日(日)の両日、東京都千代田区神田神保町のすずらん通り、さくら通り、神保町三井ビルディング公開空地で行われる。
「本の得々市」ワゴンセールや「こどもの本ひろば」絵本・児童書ワゴンセールなどを実施。開催時間は、28日・29日とも10時~18時で、「こどもの本ひろば」は両日とも17時閉場。

大阪組合、維新の会と政策懇談会/図書館納入問題など陳情/入札の厳しい現状調査へ/深田理事長、業界の危機的状況訴え

大阪府書店商業組合は9月6日、大阪市中央区の大阪維新の会本部で政策懇談会に臨んだ。
大阪維新の会からは、政調会長の岡崎太大阪市議、総務会長の杉江友介大阪府議、元大阪府議会議長で綱紀委員長の岩木均大阪府議をはじめ政調会長代行の高見亮大阪市議、組織局長の金城克典大阪市議、広報局長の佐々木りえ大阪市議、市橋拓豊中市議が出席。大阪組合からは、深田健治理事長、堀博明副理事長、虎谷健司副理事長、今西麻由美理事、石尾義彦事務局長が出席した。
冒頭、岡崎政調会長は「維新の会では結党以来、業界団体との政策懇談会は癒着であるとして実施していなかったが、府・市議会で与党として皆様のご意見を取り入れようと昨年から実施するに至った」と経緯を説明した。
深田理事長は「大阪組合では読書ノート運動と本の帯創作コンクールを19年にわたり実施し、大阪の児童の学力向上にいささかなりとも寄与してきた」と活動の一端を説明。また、全国的に書店が減少する中、大阪でも書店のない自治体が4あるとして、危機的状況を説明した。
さらに大阪組合から維新の会への要望として、①2020年に大阪府が実施した、幼稚園や小中高の児童・生徒を対象に図書カードを配布する事業の継続②学校図書館図書整備等5か年計画に基づく図書予算の増額③学校図書館の入札で特定のソフトに依存した仕様が多くの書店の応札の障害になっていることと、そもそも書籍は入札にそぐわない――ことを説明・陳情した。
これに対して維新の会は、学校図書館の納入で書店に厳しい現状があることについて調査すると回答。書店の現状について理解が得られ、予定時間を超える会合となった。
(石尾義彦事務局長)

愛知組合「孫の日」キャンペーン/おすすめ本15点を展示・販売

愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)は、9月18日の「敬老の日」から10月15日の「孫の日」をはさんで11月9日の「秋の読書週間」の最終日まで、「孫の日」読書推進キャンペーンを展開している。
祖父母が孫に本を贈り、本が好きな豊かな心を持つ子どもに育ってもらおうと2004年から実施しているもの。店頭では書店組合特製キャンペーンポスター=写真=を掲示。「孫の日おすすめ本」として絵本・児童書15点を参加書店で展示販売し、購入者に雑誌袋や各種拡材を配布している。
また、本年度も名古屋市主催で10月8日に名古屋市昭和区の名古屋市公会堂で開催される「なごやっ子読書イベント」と連携し、会場の書店組合ブースで孫の日おすすめ本の展示販売や絵本作家・宮西達也氏による読み聞かせ・サイン会、ワークショップなどを行う。

JPIC「補助金セミナー」開催/10月13日、会場とWeb併用で/事業再構築補助金などの活用事例学ぶ

出版文化産業振興財団(JPIC)は10月13日午後4時、東京・千代田区の文化産業信用組合会議室で「補助金セミナー」を開催する。参加無料。
前回(5月25日)は「事業再構築補助金」についての説明だったが、今回は事業再構築補助金をはじめとする活用可能な補助金の概要や事例について説明する。
当日は出版業界の中小企業診断士が集まる「出版診断士研究会」より説明する。会場・Webそれぞれの参加方法が選べるので、積極的に参加していただきたい。
申し込みは、10月11日午後4時までに下記URLのフォームにエントリーを=https://ws.formzu.net/fgen/S149613765/ ※なお、会場参加は先着順となる場合がある。
問い合わせは補助金セミナー事務局(JPIC)まで。電子メール=hondeai@jpic.or.jp℡03(5211)7282

第77回読書週間/10月27日からスタート

「第77回読書週間」(読書推進運動協議会主催)のポスターが出来上がった。今回の標語は応募総数742点から選ばれた藤村伸子さんの「私のペースでしおりは進む」。イラストは応募総数423点から選ばれた鈴木初奈さん(埼玉県)の作品。10月27日~11月9日の同週間期間を中心に、全国各地で読書をすすめる運動を展開する。

連載コラム「春夏秋冬本屋です」~昨年の広報委員会議から~/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

約1年前、日書連の広報委員会議が開催された。4年ぶりで、前半は矢幡会長との意見交換や活動報告をした。その席に元気な姿を見せられており、会議後個人的に一席を共にした光永和史広報委員長の訃報が数ヵ月後に届くとは、ただ驚愕と命の儚さを痛感した。あの場で本人予知があったのか。合掌。
会後半の読売新聞東京本社・和田浩二氏の「新聞記者という仕事」という講演も印象深い。和田氏が山梨で記者の歩みを始めた頃、オウム真理教事件が勃発世間を騒がし、無我夢中で最前線を取材、東奔西走した時のエピソード等非常に惹かれる内容だった。また、講演で1冊の本を紹介された。文藝春秋刊、石井光太著『ルポ誰が国語力を殺すのか』である。
講演後、和田氏と言葉を交わす機会があった。石井光太の文庫本10数冊以上を読み、事件への独特な視点・切り口に関心があった私は石井光太の著作について話をした。すると、和田氏から熱心にこの本を勧められた。
読み始めるまでやや国語力という言葉に抵抗があり、授業の国語が頭にあった。だが、頁を繰り初め霧消した。言語という、人間にだけ携わった伝達能力の不充分さからくる、創造・想像力の希薄、思考・倫理・適応力など現代の社会問題に連結する点など数多く胸に打たれた。
現行の教育の問題点にも鋭くメスが入り、この国の将来も考えさせられ、教科書従事者として響く1冊であった。

神奈川組合総会で松信理事長/新規事業発掘と既存事業深堀、「両利きの経営」提唱

神奈川県書店商業組合は8月25日、横浜市神奈川区のかながわ県民センターで第46回通常総会を開き、組合員75名(委任状含む)が出席した。
松信裕理事長(有隣堂)は事業報告を兼ねて次の通りあいさつした。
「今年は昨年以上の猛暑だが、気温は上がっても本の売上げは下がり続けている。そもそもお客様が店に入ってきてくれない。入店し立ち読みし、でもお買い上げにならずに帰るならまだ手の打ちようがあるが、困ったことだ。店舗にお客様を誘引する何らかの魅力を作らなければいけない。日々進化していく商環境の中、書店はもしかしたら店頭の姿が変わっていない典型なのかもしれない。百貨店がダメになり、ニューヨーク5番街でも商品を売らず実際の販売はネットで行うアパレル店が出現したりと、世の中はどんどん変化している。書店はどのように変化させればいいのか、おそらく正解はないだろうし、私にも分からない。『両利きの経営』という有名な本がある。両利きとは、新たな事業機会の発掘と既存事業の深堀りの双方をこなすということ。単発路線は弱いということだろう。有隣堂も様々な事業を手掛けて書籍の売上げ減少をカバーし、何とか経営を保っている。店売だけだったら潰れているかもしれない。組合員の皆様の会社の状況・条件が分からないので何とも言えないが、店舗に特徴を出し、さらにもう一筋の事業展開をしてみたらどうだろう」
議案審議では令和4年度事業報告、決算並びに監査報告、令和5年度事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。

東京組合「謎解きイベント」/第1弾、10月27日スタート

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は9月5日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
東京都中小企業団体中央会の委託事業を活用して取り組んでいるプロジェクトについて、謎解き・デジタルサイネージ特別委員会が進捗状況を報告。読者が書店を回遊する謎解きイベントについては、テレビアニメとのコラボを採用、配布用の特典小冊子を準備していると説明があった。謎解きイベントセットの送付は10月中旬の店着を予定。謎解きイベントは第1弾を10月27日~2月12日、第2弾を12月1日~2月12日に開催し、特典小冊子は12月1日の配布開始を予定する。デジタルサイネージ活用による書店活性化については、10月から店頭でのデジタルサイネージの運用を開始。配信用コンテンツは3つの番組を用意し、書店が1つを選択して放映する。100店舗での実施を目指してディスプレーの設置を順次進める。
また、出版業界が一丸となって取り組む秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT2023」において、「街に本屋があるということ」をコンセプトとしたYouTubeチャンネルが開設され、東京組合のYouTubeチャンネルとコラボを予定していると報告した。
事業・増売委員会では、NHK出版と潮出版社の企画について特別増売企画として取り組むことを提案し、承認された。
NHK出版の特別増売企画は、五木寛之「人生のレシピ」シリーズと、歌手・笠置シヅ子をモデルとするNHK連続テレビ小説「ブギウギ」(10月放送開始)関連書の拡販に取り組むもの。
潮出版社の特別増売企画は、連続テレビ小説「ブギウギ」の原案本を文庫化した『ブギの女王・笠置シヅ子心ズキズキワクワクああしんど』(砂古口早苗著)を3冊配本して増売に取り組む。

第5回「この沖縄本がスゴい!」/行事料理のレシピ本選定

第5回「ゲキ推しの1冊!この『沖縄本』がスゴい!」は、家庭料理友の会編『家庭でつくる沖縄行事とふるまい料理』(むぎ社)に決まった。
沖縄県内の書店、取次、出版関係者で構成する実行委員会(大城洋太朗実行委員長)が「県内出版社発行のもの」「過去に良書としてよく読まれたもの」「タイムリーなジャンルのもの」を条件として選び、8月24日に発表した。
受賞作は、むぎ社の前代表・座間味栄議さんが地元婦人会のサークルメンバーである主婦歴50年の7人のアンマー(お母さん)に協力を依頼し、冷めてもおいしいを主軸に考案・監修した73のレシピを掲載。沖縄の行事料理とふるまい料理が誰でも気軽に作れるようになっている。
料理レシピ本が同賞を受賞するのは初めて。また、むぎ社としては2020年の『絵で見る御願365日』に続く2回目の受賞となる。
同日、那覇市・球陽堂書房メインプレイス店で開かれた発表会で、むぎ社の座間味香深代表は「最近は行事料理もスーパーで買うことが多いと思うが、この本を読んで手作りしてもらえたらうれしい」と話した。
受賞作は9月末まで県内各書店の特設コーナーで販売された。
(大城書店・大城洋太朗)

学校図書館法70周年記念式典/学校司書「1校専任配置」など訴え

学校図書館法公布70周年記念式典が8月8日、東京都千代田区の城西国際大学紀尾井町キャンパスで開催。各市町村に図書館政策の優先順位を引き上げ、予算配分を適正に戻すよう提案し、学校司書の「一校専任配置」を促進するよう訴えるアピールを採択した。学校図書館法公布70周年記念事業運営委員会、文字・活字文化推進機構、学校図書館整備推進会議、全国学校図書館協議会が主催。
主催者を代表してあいさつした運営委員会の山口寿一代表(文字・活字文化推進機構理事長、読売新聞グループ本社社長)は「学校図書館が真に機能するため必要なのは専門の教職員。70年以上前から専門の教職員の必要性が認識されていたが、学校司書の配置や地位の改善はいまだ十分ではない。短期の雇用、低い賃金など劣悪な状態にある待遇の改善は急務。待遇改善に向けた実態調査が早急に必要で、70周年記念事業に携わる者として責任をもって実現させる。この他にも、予算の財源が使途を限定されない地方交付税であることから、整備計画通りに予算を使ってくれない自治体が少なくないこと、古くなった本を新しい本に入れ替える更新が進んでいない学校図書館が各地にあること、バリアフリー化の推進――など課題がある。70周年の節目の年に、先人に感謝するとともに、今後何を実現するか未来に向けた政策の立案と推進に力を入れたい」と述べ、学校図書館の充実に力を合わせて取り組みたいと呼びかけた。
来賓の簗和生文部科学副大臣は「学校図書館は学校教育に欠くことのできない基礎的な設備。近年は読書センター、学習センター、情報センターという三つの機能を有する設備として重要性が高まっている。これらの機能を最大限に発揮するためには、司書教諭、学校司書1人1人の力が不可欠」と期待を寄せた。
学校図書館議員連盟の塩谷立会長は「学校図書館図書整備五か年計画が1993年からスタートし、成果は十分出ている。図書の購入、新聞の配置、学校司書の配置に使ってほしいが、文科省によると図書の購入には約60%しか使われていない。各自治体は立派に子どもたちのために予算を使ってほしい」と訴えた。
運営委員会の設楽敬一事務局長は、学校図書館改革の政策実現に向けた今後の活動を報告。活字文化議員連盟、学校図書館議員連盟と連携し、23年秋の臨時国会、24年通常国会を視野に、①学校司書の待遇改善に向けた現状調査の実施②学校図書館図書整備等5か年計画に基づく地方財政措置の予算化の促進・予算化状況の把握と活用の働きかけ③1校専任の学校司書配置の促進④学校図書館でのバリアフリー図書の展示コーナー常設と障害者サービスに必要な知識・技術を習得した司書の養成――の実現に取り組むとした。
このあと、「未来に広がる学校図書館」標語表彰式、東京大学大学院・酒井邦嘉教授の記念講演「対話型AI『チャットGPT』時代の学校図書館のあり方を考える」が行われた。

22年児童書販売額は923億円/前年比減もコロナ禍前上回る/出版科学研究所

出版科学研究所発行の『季刊出版指標2023夏号』は「児童書マーケットと読書推進活動」を特集した。これによると、2022年の児童書の推定販売金額は前年比4・6%減の923億円。前年対比ではマイナスになったが、コロナ禍以前の19年との比較では4・9%増と上回った。
2022年の児童書の推定販売金額は前年比4・6%減の923億円で、18年~21年にかけてプラス成長を続けていたが、22年は前年割れとなった。ここ2年、成長が続いていた絵本が同3・4%減の341億円となったほか、学習漫画、図鑑、読み物などもマイナスになった。この減少は、20年、21年と続いたコロナ特需の終息が大きく影響した。20年の学校一斉休校を契機に、子どもの在宅時間が増加し、親が教育的観点から絵本、読み物、図鑑などの児童書を買い求める動きが強まり、販売金額は伸張。しかし感染状況が落ち着いてきた22年は、外出や旅行などの出費が増加。さらに急激な物価高も重なって、本を買い控える傾向が児童書にも表れた。ただ、コロナ禍前の19年と比較すると、児童書全体で4・9%増、絵本は9・3%増と伸びており、需要は底堅さを見せている。
22年に児童書を刊行した出版社は404社で、前年より36社増加した。6月にワン・パブリッシングが雑学読み物で、12月にライツ社が絵本で新規参入した。出版社数は、17年が380社、18年が398社、19年が427社、20年が384社、21年が368社と、おおむね400社前後を維持している。
22年の児童書全体の新刊点数は4465点、前年比0・4%増と前年並だった。点数の内訳は、絵本が同1・1%減の1944点、読み物などその他が同1・6%増の2521点。取次仕入窓口経由に限った新刊点数は同0・4%増の3529点となった。
推定発行部数は同4・7%減の2215万冊。推定発行金額は同6・0%減。平均価格は同1・3%減の1175円。前年に本体12万円の高額セット商品『総合百科事典ポプラディア第三版』(ポプラ社、全18巻セット)が発売されたこともあって、全体の平均価格は下がった。しかし印刷用紙代高騰の影響が大きく、絵本などを各社が値上げする動きが続いている。
22年に最も売れた絵本は、前年に続き『パンどろぼう』(KADOKAWA、20年刊)だった。22年9月にはシリーズ第4弾『~おにぎりぼうやのたびだち』とレシピ本『パンどろぼうのせかいいちおいしいパンレシピ』が発売になり、いずれも即重版がかかった。12月には「ぬいぐるみポーチパスケース」が付いたムック『パンどろぼうMOOK』も発売。9月時点でシリーズ累計100万部を突破し、その後12月には160万部、今年6月には180万部に達した。
「ノラネコぐんだん」(白泉社)は22年に10周年を迎え、シリーズ累計250万部を突破。11月に新刊『ノラネコぐんだんうみのたび』が発売され、同時に10周年記念フェアが書店で大々的に実施された。人気絵本作家・ヨシタケシンスケは22年も勢いがあり、4月から全国巡回の大規模個展を初めて実施し、既刊の売行きも伸長。3月には新刊絵本『かみはこんなにくちゃくちゃだけど』(白泉社、13万部)を発売。その後、7月に又吉直樹との共著『その本は』(ポプラ社)、12月にエッセイ『日々臆測』(光村図書出版)を出版した。
ロングセラー作品は、ロシアのウクライナ侵攻後、長引く戦況もあって、ウクライナやロシアの民話から生まれた『てぶくろ』(65年刊、334万2千部)や『おおきなかぶ』(66年刊、335万部)など福音館書店のロングセラーや戦争に関するメッセージ性の高い絵本が注目された。また、『ぐりとぐら』(福音館書店、67年初版刊行、561万9千部)シリーズの挿絵を手がけた山脇百合子が9月に逝去。年末にかけて売行きが伸びた。
その他のジャンル動向では、読み物は全体的に不振だったが、21年に続き「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」(偕成社、13年より刊行)が好調。20年9月よりNHKEテレで放送中のアニメの人気が奏功し、シリーズ18巻までの累計部数は420万部を突破した。22年に刊行35周年を迎えた「かいけつゾロリ」(ポプラ社)は、7月に第71巻が発売され、児童書シリーズの最多巻数としてギネス世界記録に認定された。
23年上半期(1~6月)の児童書の店頭販売実績をみると約5%減で、書籍全体の傾向と同様に低調だった。最も売れたのは、鈴木のりたけの絵本『大ピンチずかん』(小学館、22年2月刊行)で、「MOE絵本屋さん大賞2022」など絵本賞8冠を達成し、現在16刷34万部と非常に勢いがある。絵本では、いぬいさえこ『きみのことがだいすき』(パイインターナショナル)が著者のSNSから人気に火が付き、大人の読者からの人気が高く28万部に到達した。図鑑では『図解はじめての絵画』(小学館)が20万部を突破した。

生成AI活用で著作権保護に危惧/出版など4団体が共同声明

日本雑誌協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会、日本新聞協会の4団体は連名で8月17日、生成AIの活用を巡り、著作権の保護に関する検討が不十分な現状を危惧し、政府当局との意見交換の場を設けることを要望するとの声明を発表した。声明文は以下の通り。
〔生成AIに関する共同声明〕
近時、生成AIが注目を集めています。社会の様々な場面で利便性を向上させる技術として期待を集める一方で、偽情報の拡散や個人情報の漏洩を招く恐れがあるほか、著作権者の権利が侵害されるリスクが強く懸念されています。私たちは、生成AIと著作権の保護に関する検討が不十分な現状を大いに危惧しています。
現在の生成AIは、AIに学習させる大量の著作物データなしには機能しません。多くの場合、これらのデータはネット上のクローリングにより著作権者の同意取得や対価の支払いなしに収集され、その解析結果に基づきコンテンツが生成されています。日本の著作権法第30条の4が諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られていることは大きな課題です。同条のただし書きでは「著作権者の利益を不当に害する」場合は学習利用できないとされていますが、その解釈は明確ではなく、また海賊版の学習利用も禁止されていません。権利侵害コンテンツが大量に流通する恐れがあるにもかかわらず、著作権者に対する実効的な救済策は何ら示されていません。
このため、以下のような事態が生じて、著作権法が目的とする文化の発展を阻害する恐れがあります。
・学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる。
・海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる。
・元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される。AI利用者自身が意図せず権利侵害という違法行為を行う可能性がある。
著作権法第30条の4は2018年の改正でつくられましたが、当時、生成AIのような高度なAIの負の影響が十分に想定されていたわけではありませんでした。
第30条の4ただし書きの解釈を明確にし、著作権法改正の必要性を見極める必要があります。
また、創作活動で生成AIを活用するにも責任が伴います。生成物に権利侵害リスクがあるままでは、安心して生成AIを補助的に活用することもできません。
生成AIが文化の発展を阻害しないよう、技術の進化に合わせた著作権保護策があらためて検討されるべきだと考えます。
私たち権利者団体と関係当局の間で意見交換を行う場が設けられることを望みます。

電子書籍市場は6026億円/27年度に8000億円規模と予測/インプレス

インプレスは、2022年度の電子書籍市場動向調査の結果を発表。電子書籍市場は前年比9・4%増の6026億円で、21年度の5510億円から516億円増加した。新型コロナウイルス感染症への対策が落ち着いたものとなってリアルへの回帰や外出する機会の増加がみられ、巣ごもり需要の追い風が止んだ。12年度以降は2桁成長を続けていたが、伸び率は1桁にとどまった。インプレスでは、27年度には8000億円の市場に成長すると予測している。
22年度の電子書籍市場規模の内訳を見ると、コミックは前年度から539億円増の5199億円(市場シェア86・3%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同4億円増の601億円(同10・0%)、雑誌が同27億円減の226億円(同3・8%)となった。
モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対し、電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は19・1%で、2年続けて0・7ポイント減少。また、無料の電子書籍のみの利用率は、前年から0・2ポイント減少して25・9%となった。
有料での利用率が高いのは男性30代の27・6%、男性20代の27・1%、女性20代の23・1%で、男女とも20代、30代の利用率が高い。昨年調査時よりも有料での利用率が明らかに増加している年代は、男性10代、男性30代のみで、男性50代・60歳以上、女性40代・50代が横ばい。その他の年代では有料での利用率が低下している。
オーディオブックについて利用経験と利用意向を尋ねると、「よく利用する」が2・5%、「たまに利用する」が6・3%で、両者を合わせた利用率は8・8%と、昨年の8・0%、一昨年の6・9%から増加傾向となっている。また「利用したことはないが、利用したいと思う」と回答した利用意向を持つ人は19・0%だった。
有料・無料を問わず電子書籍を利用している人に、利用する電子書籍サービスやアプリを聞くと、「ピッコマ」が28・8%で最も高く、2位は「LINEマンガ」28・4%、3位は「Kindleストア」22・9%だった。利用している電子書籍サービスやアプリのうち、購入・課金したことのあるものは、「Kindleストア」が最も高く29・9%。2位「LINEマンガ」15・3%、3位「楽天Kobo電子書籍ストア」14・8%と続く。
この調査は、「出版社」「電子書籍ストア」など主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したもので、調査結果をまとめた『電子書籍ビジネス調査報告書2023』を発売している。詳細・購入はインプレス総合研究所のHPから(https://research.impress.co.jp/ebook2023)。

兵庫組合「どっぷりつかるなら読書がいいね!」/10月28日にオンライン報告会/盈進中(広島)の読書活動を紹介

兵庫県書店商業組合(森忠延理事長)は、中高生のネット依存やトラブル防止、読書に親しんでもらうことを目的に行っている中高生への読書推進活動「どっぷりつかるなら読書がいいね!」の一環として、10月28日午後2時から、広島県福山市・盈進中学校の読書活動を紹介するオンライン報告会を開催する。
盈進中は、読書を通じて理解力・読解力の土台を作り伝える力を高める「読書科」、そして「読書科」の実践から生まれ「本とつながる」をテーマに活動する「読書部」があり、それぞれの取り組みを紹介する。
兵庫組合は「子どもたちを本の世界へ導き、親しませ、さらには本というメディアの果たす役割まで学ぶ、先生と生徒の話はわれわれに勇気を与えてくれるだろう」として、参加を呼びかけている。
参加申込方法は兵庫組合の下記メールアドレスまで=bk320@tea.ocn.ne.jp。10月25日頃にZoomのURLを送る。

日販「出版流通改革レポート」Vol.7/来店客数減が最重要課題に

日本出版販売(日販)は8月25日、出版流通改革の今年7月までの取り組み進捗をまとめた「出版流通改革レポートvol.7」を発表した。
日販は、2021年から「取引構造改革」「サプライチェーン改革」の2つを軸とした出版流通改革を推進し、同レポートを定期的に発表して進捗状況を報告している。「vol.7」では出版流通改革の現況について、初年度は各種施策の導入期として取引先と協議を重ねながら実行と検証を進め、2年目では各種施策の拡大を図り、一定の成果が現れているとする一方、書店店頭の売上は21年5月以降前年割れが続いており、来店客数の減少が最重要課題だと指摘。「取引構造改革」「サプライチェーン改革」を軸とした当初計画については変わらず完遂を目指すとともに、書店経営の持続と流通の持続に向け、売上創出・集客や書店運営コスト負荷軽減などの対策を加えて出版流通改革を進めると説明した。
売上創出・集客については、既存の顧客にさらに足を運んでもらう「書店祭」や、ライトユーザーの集客施策「バズコレ」、出版コンテンツを映像化する縦型ショート動画ブランド「キラティン」などの取り組みを紹介した。
取引構造改革における、書籍粗利30%を目標とする施策「PPIプレミアム」は参画書店の平均マージンは27・6%、雑誌買切施策は、目標改善率2・5%に対して1・2%改善となっていることなどを報告。
また、書店粗利改善策の「書店主導による出版流通改革」として、紀伊國屋書店、カルチュア・コンビニエンス・クラブと今秋設立を予定する合弁会社について説明。書店と出版社が販売・返品をコミットしながら送品数を決定する新たな直仕入スキームを構築。3社が保有するシステムやインフラストラクチャー、単品販売データ等を利活用し、欠品による販売機会の喪失を最小化するとともに、売上増大と返品削減を図るとした。
書店運営コスト負荷軽減の施策では、新発注プラットフォーム「NOCS0」の提供を9月から開始。操作が簡単で利用料は無料、タブレットやスマートフォンにも対応して売場や商談先で発注が可能となっており、店舗オペレーションの効率化を支援する。また、完全無人書店「ほんたすためいけ溜池山王メトロピア店」を今秋オープン。人件費を抑え、ライトユーザーにもやさしい店舗設計とし、持続可能な新しい書店モデルを確立する。
サプライチェーン改革における配送課題の解決については、首都圏の自家配エリアは全コースの再編が完了し、235コースから202コースに削減。名古屋の自家配エリアは、10月の実施を目指して準備を進めている。共配エリアについては、取次各社と連携して、カンダコーポレーションの埼玉エリアで7月に33コースから30コースへの再編を実施した。

日販セグモ/「文具女子博」大阪・梅田で開催/10月12日~15日

日販セグモは10月12日~15日の4日間、大阪市北区の阪神梅田本店8階催事場で、文具の展示・販売イベント「文具女子博pop―upin梅田2023」を開催する。
開催テーマ「わたし彩る文具アトリエ」に合わせたオリジナルグッズを用意。大阪モチーフの限定文具や、個性的でユニークな文具も多数取りそろえる。
来場には前売入場チケットが必要で、イープラスにてチケットを販売中。各日ブロックごとに定員入れ替え制となっており、定員に達し次第販売終了となる。

日経МJ「日本の専門店調査」/紀伊國屋書店、968億円で首位/書籍・文具部門売上高ランキング

日経MJ(8月2日付)は「第51回日本の専門店調査」(2022年度)を発表。これによると、21年度と比較可能な全国の有力専門店222社の総合売上高は、11兆3391億円で前年比4・9%増。増加は8年連続で、新型コロナウイルス下では電子商取引サイト経由での買い物が浸透したが、感染状況が改善する中、再び店舗への来店を促す施策に力を入れた企業が業績を伸ばした。
その他業種を含む23業種のうち、19業種が増収。コロナ対策の行動制限が解除されインバウンド需要も回復した22年度は、業績を伸ばした業種が多かった。外出機会が増えたことで靴や宝飾品、装飾・服飾雑貨が好調だった。宴会需要なども回復し酒類も伸長。物価高騰に伴う節約志向の高まりを受け、リサイクルショップも大きく伸びた。一方減収は、ホームセンター・カー用品、呉服、生鮮、書籍・文具の4業種だった。
売上高をはじめとする各指標は、22年度の単独決算を原則とし、グループや連結決算の場合はランキングの順位をつけなかった。今回の書籍・文具部門の売上高ランキングで1位になったのは紀伊國屋書店で968億8500万円だった。2位は丸善ジュンク堂書店の663億9100万円、3位は有隣堂の522億1600万円。
総売上高経常利益率はリラィアブルが2・9%、1人当たり総売上高は丸善ジュンク堂書店が6億4457万3千円、直営+FC新設店舗数は未来屋書店が4店でそれぞれ首位だった。

出版科学研究所調べ/7月期販売額は0.9%減/雑誌が11ヵ月ぶりプラスに

出版科学研究所調べの7月期書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比0・9%減だった。内訳は、書籍が同2・2%減、雑誌が同0・5%増。雑誌の内訳は、月刊誌が同3・2%増、週刊誌が同11・7%減。
雑誌の販売実績が前年を上回ったのは、22年8月期以来11ヵ月ぶり。コミックス『ONEPIECE』『呪術廻戦』『キングダム』『【推しの子】』(いずれも集英社)、『ブルーロック』(講談社)の新刊が刊行され、全体を押し上げた。
返品率は書籍が同0・8ポイント減の41・0%、雑誌が同0・9ポイント減の42・9%。返品率が書籍・雑誌とも前年同月を下回ったのは、22年12月期以来。
7月期の書店店頭の売行きは、書籍が約3%減。文芸は約2%減で、第169回芥川賞を受賞した市川沙央『ハンチバック』(文藝春秋)は、7月19日の受賞後、24日には10万部重版が決定、累計発行部数は23万部となった。ビジネス書は約1%減。安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』、安藤広大『とにかく仕組み化』(いずれもダイヤモンド社)が引き続き好調。文庫は約4%減、児童書は約10%減だった。
雑誌は、定期誌が約9%減、ムックはほぼ前年並み、コミックスは約1%減となった。

本の学校ブレストミーティング/「本の価値、読書の魅力」テーマに意見交換/10月29日、東京・専修大学で開催

NPO法人本の学校は10月29日、東京・千代田区の専修大学神田キャンパス10号館(140年記念館)で「本の学校2023ブレストミーティング~本の価値、読書の魅力~」を開催する。
日書連、書店新風会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、出版文化産業振興財団、版元ドットコム、日本出版学会、日本図書館協会、専修大学が後援。
今日、本をめぐる現実は多様化している。デジタルは日常となり、出版産業が厳しさを増すかたわらで、新しいアイデアをもって本にアプローチする人たちが現れ、若い人の支持を得ている。こうした時代に自由な議論を開きたいという思いから、昨年に引き続いて、誰もが参加できるミーティング形式のイベントを開催する。各分科会ではそれぞれのメンバーが参加者とともに意見を交換する。
参加費は会場参加2200円/オンライン参加1100円※事前申込者にはアーカイブ配信(予定)。
参加申込はPeatixより。https://honnogakko2023bm.peatix.com
詳細は本の学校ホームページ。https://www.honnogakko.or.jp/archives/news/20230921
◎分科会1「本のある場所の価値」
(1)テーマのある書店~他業界からの書店参入~13時~14時20分◇パネリスト=岩見俊介(透明書店代表)荻田泰永(冒険研究所書店代表)◇コーディネーター=大井実(ブックスキューブリック代表/本の学校理事)
(2)これからの図書館は地域に何をもたらすか14時40分~16時◇パネリスト=井上康志(都城市立図書館館長)森田秀之(マナビノタネ代表取締役)◇コーディネーター=今井太郎(本棚演算代表取締役)
◎分科会2「読書の魅力を伝える」
(1)若者の読書と読書推進13時~14時20分◇パネリスト=飯田一史(ライター)宮澤優子(高森町立高森北小学校・高森町子ども読書支援センター司書)◇コーディネーター=田口幹人(未来読書研究所共同代表/NPO法人読書の時間理事長)
(2)読書〝体験〟を育てる活動14時40分~16時◇パネリスト=市川紀子(有隣堂)竹田信弥(双子のライオン堂)◇コーディネーター=内沼晋太郎(ブック・コーディネーター)
◎ラップアップ(全体まとめ)16時30分~17時50分◇パネリスト=大井実、今井太郎、田口幹人、内沼晋太郎◇コーディネーター=柴野京子(上智大学教授/本の学校理事長)
◎交流会18時30分~会場=神保町ダイニングカフェ「エスペリア」、参加費=6000円(事前申込制。分科会と合わせてPeatixより申し込む)

井戸書店(神戸)/『落語で資本論』出版記念落語会

井戸書店(兵庫県神戸市須磨区)は10月8日午後6時から同書店で、「本の日」イベントとして『落語で資本論』(日本実業出版社)出版記念落語会を開催する。
イベント当日は『落語で資本論』の著者で落語立川流真打・立川談慶さんが2席演じるとともに、落語家・笑喜転一頁としても活躍する同書店の森忠延社長が「道具屋」「帰り俥」を実演する。「ぶっちゃけ資本論」と題した両氏による対談も予定され、来場を呼びかけている。料金500円(全席自由)。
問い合わせ=井戸書店・森氏まで。℡080(4395)6952

困窮家庭の子どもたちに本贈る/「ブックサンタ」全国1683書店で始まる

貧困、病気、災害などで苦しい生活を余儀なくされている子どもたちにクリスマスの思い出として絵本などを贈る社会貢献プロジェクト「ブックサンタ」(主催=NPO法人チャリティーサンタ)が、例年より前倒された9月23日から始まった。
「書店で誰でもサンタになれる」をコンセプトにNPO法人チャリティサンタが2017年に始動した、大変な境遇の子どもたちに贈りたい本を書店で購入し、そのままレジで本を寄付できるという取り組み。対象となる子どもは0~18歳。毎年、絵本・童話・図鑑・小説など幅広い「新品の本」が全国各地の子どもたちに届けられている。
参加するパートナー書店は年々拡大。1年目の17年は58店舗だったが、認知度の向上とともに賛同者が増加し、今年は昨年の779店舗の2倍を超える1683店舗で実施している。
都道府県別の参加書店数は、①東京(186店舗)②愛知(147店舗)③大阪、埼玉(102店舗)⑤千葉(92店舗)の順。
寄付の受付はクリスマスイブの12月24日まで。

日販調査店頭売上/7月期は前年比4.0%減/週刊誌、17.0%減と低調

日本出版販売調べの7月期店頭売上は前年比4・0%減だった。雑誌は同6・7%減、書籍は同3・8%減、コミックは同1・8%減、開発品は同5・1%減。
書籍では文芸書が同0・8%増、学参が同6・9%増と前年超え。文芸書は『BEYONDTHESTORYビヨンド・ザ・ストーリー:10-YEARRECORDOFBTS』(新潮社)、学参は引き続き『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(ダイヤモンド社)が売上を牽引した。一方、週刊誌が同17・0%減と大きく落ち込んだ。

連載「生活実用書・注目的新刊」~『言い訳するブッダ』(新潮新書)/遊友出版・齋藤一郎

平岡聡著『言い訳するブッダ』(新潮新書 780円)は大學教授、僧侶でもある著者が詳しく語る仏教の真実である。中国では仏陀と音訳された。意味は覚者、真理に目覚めた人。ブッダには如来、阿羅漢、仏、天人師、世尊など10の異名がある。ブッダが亡くなると、長い時間の中で神格化される。ブッダは眠らない、夢を見ないと言われているのは、目覚めた人だからなのである。そこで経典には、まだ目覚めていない菩薩の時に5つの夢を見た、と書き加えられていく。菩薩なら眠っても構わないという言い訳である。仏教ではブッダを人間の姿で表現することはなかったのだが、紀元前後の頃には仏像が創作されるようになる。仏像の銘文には菩薩と記されていて、これも仏教不表現(理念)と現実との妥協点であったらしく、ここにも言い訳が存在している。しかし言い訳こそ布教のためであり、仏教は言い訳で進化してきたとも言える。
松尾剛次著『日本仏教史入門』(平凡社新書860円)は1500年に及ぶ、日本仏教の歴史を解説する。釈迦の教えから新宗教までが副題。仏陀は日本では釈迦(お釈迦さま、釈尊)というのが一般的。哲学、思想だけでなく呪術敵側面か
らも光を当てている。