全国書店新聞
             

平成26年12月1日号

「読書週間書店くじ」抽せん会

第41回「読書週間書店くじ」の抽せん会が11月14日に書店会館で開催され、日書連役員、出版社、取次、関係会社の立会いのもと、当せん番号を決めた。
抽せん会は日書連読書推進委員会の西村俊男委員長の司会で進行。開会あいさつで舩坂良雄会長は、「書店くじは販売促進運動の大きな要。消費税増税が先送りとなれば、今後一般の消費がどのようになるのか、書店業界がどう売上げを伸ばしていくかを頑張らなければいけない」と述べた。
抽せんは、0から9までの番号を記した10個のボールを抽せん箱に入れ、中からボールを1個取り出す方法で実施。日本書籍出版協会・中町英樹専務理事、日本雑誌協会・勝見亮助専務理事、日本出版取次協会・松尾靖事務局長、読書推進運動協議会・岩田玄二事務局長、日本図書普及・平井茂常務取締役が1番から5番までの抽せん箱を担当し、特等賞から4等賞までの当せん番号を決定した。
なお、書店くじの引き換え期間は、12月5日から平成27年1月10日まで。

新星出版社・1万年堂出版・日本文芸社「書店金賞」受賞3点が決定/日書連「食と健康の本」増売企画

日書連は11月21日、「食と健康」をテーマに出版社12社のイチ押し実用書を増売し、販売実績上位3点を決定してさらに拡販を図る、第1回「書店金賞」の発表会を東京・千代田区の書店会館で開催。新星出版社、1万年堂出版、日本文芸社が「書店金賞」を獲得したと発表し、12社に感謝状を贈呈した。企画参加書店では12月末まで、フェアの継続展開とともに受賞3点のさらなる増売に取り組む。
第1回「書店金賞」を受賞したのは、販売実績順に新星出版社『血行促進ローラー付きふくらはぎ整体』、1万年堂出版『子育てハッピーアドバイス笑顔いっぱい食育の巻』、日本文芸社『朝に効くスープ夜に効くスープ』。
「書店金賞」は、日書連が進める書店再生5項目の一環で取り組む実用書増売の第3回企画として、協力出版社のイチ押し商品を「売れる商品に仕立てる」ことを目指し、初めて企画したもの。出品12社の商品を各3冊・計36冊のセットとして参加書店を募集、9月上旬に参加407書店へ441セットを配本した。
報奨金の支払いは指定の注文書を使用した参加店限定で、9月1日から12月31日までを販売対象とした各店別のPOSデータ、または来年1月15日締切のスリップ返送枚数に応じて行う。「書店金賞」の決定は、組合所属店か否かに関わらず、当該商品の9月から11月中旬までの販売実績をPOSデータで把握し、上位3点を受賞とした。
発表会は、書店再生委員会・小泉忠男委員長の司会で進行。舩坂良雄会長は「書店業界の状況は大変厳しいが、店頭を活性化し、お客様に喜んでいただけることを念頭に置いて棚作りを頑張っている。これまで実施してきた『食と健康』実用書増売企画を発展させ、第1回『書店金賞』として立ち上げることができた。今後も色々な企画を立て、読者が喜ぶことというスタンスで取り組んでいきたい」とあいさつした。
続いて小泉委員長が「書店金賞」実施について経過報告と今後の予定を説明。金賞受賞銘柄を記した垂れ幕の披露に合わせ受賞3点を発表した。さらに、企画に参加した出版社12社に感謝状を贈呈すると発表。出版社を代表し新星出版社の酒井修営業本部長に舩坂会長から感謝状を手渡した。
この後、片岡隆委員(東京組合書店再生委員長)が講評。「多様な本が出版社から提案されたが、1位の『ふくらはぎ』が類書も多く出ている中で群を抜いた売上をみせた。この賞は識者や専門家が選ぶのではなく、店頭で読者が買った数字で決めた賞。読者と近い書店店頭の現況を示しているのではないか。賞をきっかけにさらに売り伸ばしていただきたい」と述べた。

12月17日に出版販売年末懇親会/「書店金賞」贈呈式も開催/日書連

日書連は12月17日(水)午後6時から、東京・千代田区の帝国ホテルで出版社、取次、書店、業界関係者を招き出版販売年末懇親会を開催する。この中で、11月21日に発表した「書店金賞」の贈呈式を、受賞作品の出版社や著者を招いて行う。

学校図書館法改正で集会/政官民が連携し図書館充実図る

学校図書館議員連盟、文字・活字文化推進機構、学校図書館整備推進会議は10月14日、東京・千代田区の衆議院第一議員会館で「改正学校図書館法とこれからの課題を考える集い」を開催した。改正学校図書館法は6月に衆参両議院で可決成立、来年4月から「学校司書」の配置が定められており、集会では司書配置の促進や資格・養成のあり方など今後の課題と取り組みを提起した。
会合の冒頭で、学校図書館議員連盟の小坂憲次幹事長(自由民主党・参議院議員)は、学校司書の法制化実現に至る経過を報告し、今後の議員連盟の活動について、①学校図書館の整備充実②学校図書館の活用に必要な環境の整備③地方財政措置の拡充④学校司書の配置水準維持と職務環境の整備⑤学校司書の養成や資格・職務のあり方等の検討⑥11学級以下の学校への司書教諭配置促進⑦学校長を責任者とする学校図書館利活用の校内組織設立――の7項目を掲げ、政官民が連携して取り組むと述べた。
続いて文部科学省の伯井美徳大臣官房審議官が「子供の読書活動に果たす学校図書館の役割」と題し、読書活動が学力向上に及ぼす影響や、学校司書配置と読書量の関係、学校司書の配置状況などを説明。また青山学院女子短期大学の堀川照代教授が「学校図書館活用で育まれるもの」をテーマに講演した。
最後に、学校図書館整備推進会議の小峰紀雄議長(小峰書店)は、学校図書館に関する地方財政措置を市区町村で予算化することが必要であり、学校図書館議員連盟の活動計画の政策課題を踏まえ、その実現に向けて学校図書館整備や学校司書配置の必要性・有効性を周知するとともに、全国の地方議会や行政とも共通の理解を図っていく――とするアピール文を朗読、全会一致で採択した。

第8回高橋松之助記念賞/永明小など3校に朝の読書大賞

読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校、地方自治体、団体、個人を顕彰する第8回高橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」(高橋松之助記念顕彰財団主催)の表彰式が10月27日に東京・千代田区のクラブ関東で行われた。
今回朝の読書大賞を受賞したのは、茅野市立永明小学校(長野県茅野市)、柴田町立船岡中学校(宮城県柴田郡柴田町)、福井県立金津高等学校(福井県あわら市)。文字・活字文化推進大賞は、群馬県高崎市の「NPO法人時をつむぐ会」が受賞した。
贈呈式は、高橋松之助記念顕彰財団・朝倉邦造理事長のあいさつに続き、衆議院議員で活字文化議員連盟会長・図書館議員連盟会長の細田博之氏、衆議院議員で図書館議員連盟副会長の井上義久氏が祝辞。選考顧問で上智大学名誉教授の植田康夫氏が選考経過を報告した後、朝の読書大賞は選考顧問・作家の井出孫六氏から、文字・活字文化推進大賞は選考顧問で慶應義塾大学教授の片山善博氏から受賞者に表彰状と副賞が贈られた。
受賞者あいさつで、永明小学校の山田利幸校長は「茅野市では官民一体で読書活動に取り組んでいる。読書は教育の核。特に朝の読書は、子どもたちの生活全てが朝の10分間に凝縮され、その10分間からその日の、その学期の、その年の教育が始まると考えている。朝の読書の時間に構内を歩いているとなんとも言えない穏やかで幸せな気分になる。今回の受賞をばねにしてますます本校の図書館教育を進めていきたい。いただいたご褒美で今からどんな本を買おうかとワクワクしている」と話した。

出版協3社が出荷停止を延長/アマゾン・ポイント問題

日本出版者協議会(出版協・高須次郎会長=緑風出版社長)に加盟する緑風出版、水声社、晩成書房の3社は11月6日、東京・文京区の文京区民センターで記者会見を開催。アマゾンのポイントサービス「AmazonStudentプログラム」に抗議して5月から6ヵ月間実施している出荷停止を3ヵ月間延長すると発表した。
「AmazonStudentプログラム」はアマゾンが学生を対象に行っている10%(一時期15%)のポイントサービスで、3社は再販売価格維持契約に違反する値引き行為と判断し、取次を通して自社出版物を除外するよう要請したが、アマゾンが応じなかったため、出荷停止を実施。その後も改善されないため出荷停止をさらに3ヵ月間延長することを決めた。
また出版協は11月5日付で、アマゾンと取引している日販に対し、サービス対象からの除外をアマゾンに指導するよう求める申入書を出した。この問題では、日販がアマゾンに指導しないのは版元各社と結んでいる再販売価格維持契約に違反するとして、7月に出版協の加盟4社が日販に対し違約金を請求したが、日販は、違約金は支払わない旨の回答をしている。
会見には緑風出版高須社長、水声社鈴木宏社長、晩成書房水野久社長らが出席。高須社長は、出荷停止後半年間のアマゾンを巡る情勢を報告。小学館の相賀昌宏社長が同ポイントサービスについて「再販契約に違反しており、自社出版物を除外してほしい」とアマゾンに口頭で申し入れたことや、出版協の行動への書店からの支援について触れ、「社会的な認識が変わってきた。大きく山が動き始めている」と話した。

3団体2個人に野間読進賞/地域の読書普及に貢献/読進協

読書推進運動協議会は11月7日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第44回野間読書推進賞の贈呈式を開催し、団体の部として「特定非営利活動法人函館視覚障害者図書館」(北海道函館市)、「特定非営利活動法人岩手音声訳の会」(岩手県盛岡市)、「おはなしブリュッケン」(島根県松江市)の3団体、個人の部として成田和子さん(宮城県多賀城市)、寺澤敬子さん(群馬県高崎市)の2名と、奨励賞として「陽皐郵便局」(長野県下伊那郡下條村)、鈴木富夫さん(千葉県松戸市)を表彰した。
贈呈式で、同協議会の小峰紀雄会長は「今年の受賞団体には、北海道と岩手の特定非営利活動法人が含まれ、視覚障害者のための活動をともに45年以上続けている。今後こうした活動はもっと求められるだろう。読書はあらゆる人たちに希望と勇気を与えてくれる。全ての人が本の力を糧とできるよう、これからの読書推進運動に取り組んでいきたい」とあいさつした。
選考経過を報告した全国学校図書館協議会の笠原良郎顧問は、「ここ数年、障害者への読書推進活動が非常に活発になり、しかも多様で創意ある活動が展開されている。また、研修会や学習会、講演会を活発に行い、ややもするとマンネリ化や独りよがり、押し付けになりやすい読書活動を、自己研鑽によって持続的な活動へと活性化している」と述べた。
このあと小峰会長から賞を贈呈。受賞者あいさつが行われ、「岩手音声訳の会」会長の神厚子さんは「私たちは『正確で分かりやすい図書を早く』『障害者の情報環境を整える』の2つを活動の柱としている。先日開いた利用者にお話を聞く会で、『分かりやすく読んでくれている』『長く聞いても疲れない』という言葉をいただき、今までやってきたことは間違っていなかったと実感している。これからもこの2つの柱を大事にして活動していきたい」と語った。

組合推奨商品を販売/いばらき読書フェスティバルで/茨城組合

「いばらき読書フェスティバル2014」が11月2日、茨城県水戸市の茨城県立図書館で開催され、子供から高齢者まで幅広い年齢層の県民が来場した。
同フェスティバルは、読書週間期間中、読書推進活動の充実を目的に、毎年開催されているもの。茨城県書店商業組合も後援団体として協力している。
今年は読書感想文コンクール表彰式、本の修理体験教室、読み聞かせフォーラム、書評合戦、おはなし会、館内探検ツアー、茨城県警察音楽隊による野外コンサートなど多彩な行事が行われた。
また、図書館前の広場で行われた古本フリーマーケットは、多くの読者で賑わった。茨城組合もブースを設営し、同組合推奨商品をメインに販売を行った。
記念講演会では、児童文学評論家の赤木かん子氏が「子どもの本の現在」をテーマに講演。「現在の子どもたちが小説を読まなくなったのは、彼らにとって従来の作品がつまらなくなったからだ。子どもたちは変化している」と話した。ヴォーカロイド小説の台頭など、本に携わる者にとっても刺激的な内容の講演となった。

「新春あいさつの会」中止/3事業強化で黒字化目指す/栗田

栗田出版販売は11月14日、毎年年頭に行う恒例の「栗田新春あいさつの会」を平成27年は見合わせると発表した。
消費税増税の影響で個人消費の落ち込みが激しく、書店店頭での客離れと買い控えに歯止めがかからず、同社の9月決算も厳しい結果になる見込みのため。
今期は「書店バリューアップ」を事業方針として掲げ、①コミックプロジェクトの設立とコミックスの販売強化、②「ストアサポートプログラム」の推進、③「えほんガールズ」を活用した児童書の増売――などの事業を強化し、黒字化を目指すとしている。

神保町ブックフェスティバル/「本の得々市」など盛況

第24回神保町ブックフェスティバルが11月1日~3日の3日間、東京都千代田区神田神保町のすずらん通り、さくら通り、集英社前広場の各会場で開かれ、多くの本好きで賑わった。初日は雨のためオープニングセレモニー以外の屋外行事はすべて中止となったが、2日目、3日目は好天に恵まれ盛況となった。
このブックフェスは同実行委員会主催、東京都書店商業組合千代田支部、日本児童図書出版協会など共催、出版文化産業振興財団、文字・活字文化推進機構、大活字文化普及協会など協賛、東京都書店商業組合など後援。
汚損本や自由価格本を販売する「本の得々市」や児童書ワゴン本セール、読み聞かせ、大活字本・点字本フェアなど様々な催しが行われた。また、近隣の飲食店が屋台を出した。
出展したのは出版社134社、163ブースをはじめ合計243ブース。東京都書店商業組合青年部も出展した。
1日午前10時半から行われたオープニングセレモニーでは、大橋信夫実行委員長(東京堂)が開会宣言。東京都書店商業組合の舩坂良雄理事長ら関係者によるテープカットとくす玉割りで開幕した。
2日間の売上は約4500万円だった。

体験イベントを開催/大活字文化普及協会

大活字文化普及協会は神保町ブックフェスティバル期間中の11月1日~3日、大活字専門書店「Viva神保町」で読書権体験イベントを開催した。
「くらやみ体験会2」では、参加者はアイマスクで目隠しをして、DVD版「神様のカルテ2」の音声ガイド付きDVDの視聴を体験。無料ドリンクまたはお菓子を実際に食べることで、視覚障害者の生活を体験した。このほか、大活字本やルーペ、メガネ、拡大読書器など「弱視者の世界・体験コーナー」などを設けた。
また、栗田えほんガールズによる絵本おはなし会では、触って読む点字を使った読み聞かせを行った。

生活実用書/注目的新刊

師走は酒と仲良くする機会が断然増えてくる。酒と言えば昔は現代で指すところの日本酒に決まっていた。噺家の十代目桂文治は日本語を大切にしていたが、どうにも日本酒という言い方が気になって仕方なかった。かつては酒と一言で済んだからである。
山同敦子著『めざせ!日本酒の達人』(ちくま新書1070940円)はサブタイトルが新時代の味と出会う。
オヤジの専売特許だった酒は、今では若い女性にも人気が広まっている。日本食ブームにつられて海外への輸出量も年々増加している。一位がアメリカで、韓国、台湾、香港、中国、カナダと続く。
酒を味わう基本はまず色を見る。透明なグラスに注いでみれば、どれ一つ同じものはない。そして香りだが、鼻に近づけた時の上立ち香、口に含むと広がる含み香、そして飲みこんだ後にくる残り香。
本醸造酒は米、米麹、水に使用する白米重量の10%以下の醸造アルコールを加えた酒で、のど越しすっきり。対して純米酒は醸造アルコールを入れない。吟醸酒は60%まで精米し、低温発酵。醸造アルコールが少量加わる。大吟醸酒はさらに精米するので、より繊細でフルーティになる。
酒の基礎知識から居酒屋、家飲みの楽しみ、酒の造り手のインタビューまで、酒の知識が詰まっている。巻末には旨い酒が揃う、全国のお薦め情熱の酒販店リストがある。
同じ醸造酒ではワイン。
奥山久美子著『極上ワイン100本』(朝日新書375760円)はサブタイトルが、高級品の味わいをお家で!。ワインは2000円以下のカジュアルなもの、2~5000円の中級、2万円までの高級、それ以上の超高級にランクされるが、ここでは3000円前後の逸品を紹介している。
ワインの本家であるヨーロッパに対して、大航海時代に広まったものはニューワールドのワインと呼ばれている。ブドウ樹は主にフランスから輸入され、白ブドウはシャルドネ、黒はカベルネなど高級ワインに仕立てられる優良品種が多い。逸品ワインリストは本書に当たっていただくしかないが、日本も勿論ある。こちらもお薦めショップ、ネットショップが付してある。
お酒のうんちくを語りながら飲むのもまた一興である。
(遊友出版斎藤一郎)

李龍徳、金子薫両氏が受賞/文藝賞

河出書房新社が主催する第51回文藝賞は、李龍徳氏の『死にたくなったら電話して』、金子薫氏の『アルタッドに捧ぐ』に決定し、10月21日に東京・千代田区の山の上ホテルで贈呈式が開かれた。

「ニコニコ書店会議」第1回開催/本の学校今井ブックセンターで

KADOKAWAとドワンゴが経営統合を記念して全国10書店で開催する、ドワンゴの動画サービス「niconico」のユーザー参加型イベント「ニコニコ書店会議」。その第1回が11月9日、鳥取県米子市の本の学校今井ブックセンターで開催された。
書店や本の魅力を多くの人たちに幅広く伝えることを趣旨とし、リアル店舗で行われるイベントをネット動画を使って全国へ配信するもの。
当日は小雨の降る中、高校生以下限定の来店特典であるニコニコ動画「1年間プレミアム会員券」を求める人たちが、開店前から長蛇の列を作った。正午のオープニングには、平井伸治鳥取県知事も出席。地元の若者に加え、県外から来たという女性グループなど多くの人たちが訪れ、会場の店舗内に何重もの人垣を作った。
本の学校今井ブックセンターのスタッフは、これまで地元の人たちを集めたイベント、作家のトークショーやサイン会などの経験を十分に積んでいたが、同店およびKADOKAWA、ドワンゴにとっても初の試みであるため、当日を迎えるまでどれぐらいのファンが来場するのか見当もつかなかった。しかし、当日の賑わいを見て、そのような心配は不要であったことが分かった。
アニメ化された人気ライトノベル『甘城ブリリアントパーク』の著者、賀東招人氏のサイン会には長蛇の列ができ、賀東氏と作中キャラクターのモッフルが1時間半にわたりファンと交流した。
また、「ニコニコ町会議」などでおなじみのゲーム実況やお1人様カラオケに加え、書店会議ならではの目玉企画として「ニコニコ認定本棚」を実施した。ユーザーが自分のお薦めの本をカメラに向かってプレゼンし、ネット動画を見ている人たちから「認定」されると、店頭の専用コーナーにその本が並ぶという企画。「認定」された本は地元に縁のある本や懐かしい書籍など、いわゆるベストセラーとは一線を画す作品で、推薦者たちの思いが見える熱のこもった棚が出来上がった。
生中継動画の視聴者数は約7万5千人で、町会議等の4万人をはるかに超える数字を記録した。また、店舗内には、毎年行われる地域イベントを凌ぐ勢いで人が溢れた。
「ニコニコ書店会議」がもたらしたのは、4時間だけのお祭りではなく、書店と本と人の力を再確認する機会だった。
(本の学校・津田千鶴佳)

雑誌のデジタル展開強化/新電子メディア、既存誌電子化など/講談社

講談社は10月28日、東京・文京区の本社で新規事業発表会を開き、同社が初めて外部から編集長を招いたデジタルメディア「FORZASTYLE(フォルツァスタイル)」と「mi―mollet(ミモレ)」、日本経済新聞社との共同事業による女性ファッション誌「THENIKKEIMAGAZINESTYLEAi(ザ・ニッケイ・マガジン・スタイル・アイ)」の創刊などを説明した。
「FORZASTYLE」は、40代男性をターゲットにしたデジタルマガジン。コンテンツはビジネスパーソン向けのファッションやライフスタイルが中心で、インタビュー、商品紹介、コーディネート、イベントレポートなど動画を大胆に活用していることが特徴。編集長には「LEON」「OCEANS」の立ち上げに携わり、その後独立してテレビ、ラジオのコメンテーターやイベントなどを手掛ける干場義雅氏を起用した。10月7日から同社のニュースサイト「現代ビジネス」内にコーナーを設置しており、来年2月上旬からwebマガジンとして本格展開する。
「mi―mollet」は45歳前後の女性をターゲットにしたデジタルメディア。ブログを中心にテレビ出演などで強い発信力とプロモーション力を持つフリーのエディター・スタイリストの大草直子氏を編集長に起用した。読者と不安や悩みを共有し、解決のヒントを提示する「悩み相談室」のコンテンツに力を入れるほか、全国規模の読者組織「ミモレッタ」を作り情報発信や商品開発を行う。当初はwebサイトでスタートし、紙の展開も視野に入れる。
「THENIKKEIMAGAZINESTYLEAi」は日本経済新聞読者向けの女性ファッション誌。ファッション、美容、カルチャーなどの情報を高品質な紙面とラグジュアリーなテイストで提供する。コンテンツ制作を講談社、発行を日本経済新聞社が担当。広告営業は両社が共同で行う。日本経済新聞第4日曜版に折り込み、首都圏、関西圏の同紙講読者にデリバリーする。15年3月に創刊。B4変型タブロイド判、32~48ページ。部数は60万部(首都圏50万部、関西圏10万部)でスタート。初年度は6~8回、16年から10~12回の刊行を予定。読者ターゲットは100万部を超える日経女性読者の中核であるF2層(35歳~49歳)。編集長は藤谷英志氏(講談社メディア事業局企画制作部担当部長、元「GLAMOROUS」編集長)。
「ViVi」「VOCE」「with」「FRaU」は来年1月23日以降に発売する3月号から、「女性誌デジタル本棚配信サービス(仮称)」として電子配信を開始する。全国の書店、コンビニで紙の雑誌を購入した読者を対象に、デジタル版を無料で提供するサービス。また、50~60代向けの女性誌「おとなスタイル」を来春から年4回刊行とし、デジタル展開も開始する。
発表会の席上、野間省伸社長は「雑誌が読まれなくなったと言われるが、われわれのコンテンツ力、編集力が衰えたわけではない。今後は伝えるべきことを紙メディアだけでなくデジタル世代に届きやすい形で発信することが重要」と新規事業の狙いを説明した。

マージンアップは喫緊の課題/神奈川日販会総会で松信会長

神奈川日販会は11月10日、横浜市西区のホテルプラムで第44回総会を開き、会員書店、出版社、日販関係者合わせて190名が出席した。
昨年度の事業報告及び今年度の事業計画案、予算案などは事前に事務局が会員書店に説明して合意書を取り、いずれも可決承認された。
総会の冒頭、松信裕会長(有隣堂)があいさつ。「本の売れ方・買われ方が変化し、書店店頭の売上も非常に悪くなっている。現在の利益構造では書店経営の継続はじき難しくなる」と危機感を示し、「出版社は売れる本を作るとともに、書店の利益構造の改革を真剣に検討することもお願いしたい。紙の書籍や雑誌がまったくなくなることは考えられない以上、これからも書店は出版社にとって大事な装置であるはず」と述べた。
また、日販のPARTNERS契約について、「契約締結出版社は全体売上の50%以上になったが、社数は90社と少ないため、書店が返品率25%を達成しても獲得マージンは30%にならないのが現状」と指摘し、「書店マージンアップは喫緊の課題」と訴えた。また、書籍・雑誌の売上が年々落ちる中、経営を維持していくには、DVDなど書籍・雑誌以外の商品に力を入れざるを得ない状況に言及し、出版社にPARTNERS契約を結ぶよう求めた。日販に対しては、保有する膨大なデータを活用し、書店の売上を上げ、経営を継続させるための質の高い施策を取るよう要望した。
来賓の日販・平林彰社長は「駅チカ・駅ナカ立地を活かした取り組み」「定期購読の獲得」「コミックの売り伸ばし」の3点の施策を報告。「日販はこれらの施策以外にも様々なリソースを持っているので、今後も活用していただきたい」と述べた。
総会終了後、『夢をかなえるゾウ』などの著書で知られる水野敬也氏が「人生はセカンドチャンス!~2度目のブレイクまでの7年間~」、漫画『アラサーちゃん無修正』の著者、峰なゆか氏が「アラサーちゃんに学ぶ!中年の危機を乗り切る技術」と題して、それぞれ講演した。