全国書店新聞
             

平成26年7月1日号

軽減税率適用を要望/野田自民党税調会長に/出版4団体首脳

日書連の舩坂良雄会長、面屋龍延消費税問題担当副会長、日本書籍出版協会(書協)の相賀昌宏理事長、日本雑誌協会(雑協)の鹿谷史明副理事長、日本出版取次協会(取協)の藤井武彦会長の出版4団体首脳は6月11日、衆議院第一議員会館で自民党の野田毅税制調査会長(衆議院熊本2区)、自民党本部で細田博之幹事長代行(税制調査会副会長、活字文化議員連盟会長、衆議院島根1区)と面会し、書籍、雑誌などの出版物に軽減税率を適用するよう要望した。野田氏は10%時での適用には慎重な考えを示したものの、将来に向け避けることのできない課題として検討すべきと述べた。
〔「広く国民的な議論必要」/活字文化、将来の検討課題/野田氏〕
自民党の野田税調会長との面会で、日書連の舩坂会長は「社会保障の財源をどうするかなど、軽減税率導入が難しい問題ということは承知している。しかし、文字・活字に関わる商品やサービスは国民の文化的生活を支えるもので、食料品に相当する重要な生活必需品と考えている」と述べ、出版物への軽減税率適用に理解を求めた。
また、書協の相賀理事長は「子供たちに本に接する機会を提供することは、長い目で見て日本の将来にとって重要。消費税の必要性は十分理解しているが、出版物への軽減税率に配慮していただきたい」と要望。性的・暴力的な内容を含む出版物は軽減税率に相応しくないとの意見があることについては「真剣に受け止めている。現在、雑誌は出倫協や出版ゾーニング委員会で内容をチェックし、店頭で区分陳列を行うようにしている。軽減税率が導入されたとき、出版物の内容によって一般税率か軽減税率か、出版社が自主的に線引きできる仕組みを研究している」と説明した。
取協の藤井会長は「取次各社は物流だけでなく読書推進運動にも力を入れている。子供たちが読書に親しむ機会を多く持つためには、出版物への軽減税率適用で負担を軽くすることが必要。欧米先進諸国では文化や知識には課税しない、または軽減税率を適用している。日本も先進国として軽減税率の適用をお願いしたい」と述べた。
雑協の鹿谷副理事長は「フランスは20%の標準税率に対して書籍5・5%、雑誌2・1%。欧米諸国を範に軽減税率を適用してほしい」と述べた。
日書連の面屋龍延消費税問題担当副会長は「消費税率が8%に上がってから出版販売額がさらに落ち込み出口が見えない。書店の廃業にも歯止めがかからず、これでは生きていけない」と述べ、出版物への軽減税率適用を訴えた。
これに対し、野田氏は「活字文化は大切なもの」と指摘した上で、「軽減税率についてはまだ結論が出ていない。政治家が決めて押しつけるものではない。広く国民的な議論が必要だ。与党税制協議会では、軽減税率の対象分野は、生活必需品にかかる消費税負担を軽減し、購入頻度の高さによる痛税感を緩和する観点から絞り込むとの考えのもと、まず食料品を想定して検討している。対象品目の線引きと税収の減収額との兼ね合いを考えなければならない。少子高齢化で年々膨れ上がる社会保障財源を確保するため、これまで借金を重ねてきたが、それも限界に達している。消費税の使い道は社会保障に限定するというのが一体改革の原点だ。ただ、将来を展望したとき消費税が10%からさらに上がる可能性もあるので、軽減税率について今からしっかりと勉強しておく必要がある。新聞、書籍、雑誌などの活字文化は生活必需品とは違うもの。異なるジャンルの問題としてやり方をどうするか検討すべき」と話した。
〔細田自民党幹事長代行と面会/与党税調の議論など説明受ける〕
税調副会長と活字文化議連会長を務める細田幹事長代行は、出版4団体の軽減税率適用の要望に対して、「胃袋の栄養である食料品と頭の栄養である出版物の間には優劣があるのか。欧米諸国はそういう発想だ」と指摘した。
与党税制協議会等で進められている議論については「軽減税率は、対象品目と税率1%分の減収額によって、飲食料品を8段階に分けて検討している。野田税調会長は対象品目になるべく例外を作りたくないという考え。消費税率が10%に上がると約5兆円の増収になるが、軽減税率を導入すると3兆円軽減されてしまう可能性もあり、増税の意味がなくなってしまう。だから対象品目は生鮮食料品に限るなどの議論がある」と説明した。
また、6月6日に文字・活字文化推進機構や活字文化議連などが主催した『文字・活字文化と国民のくらしを考える緊急集会』で軽減税率の導入を求めるアピールが採択されたことに触れ、「6月13日、活字議連と新聞、出版関係者で野田税調会長を訪問してアピールを手渡し、出版物の軽減税率適用は重大関心事と要請する。そして税調で最終的に決定するまでの間、関係団体に実情ヒアリングを行う段取りで進める。個々の対象品目を検討するのは小委員会で、額賀福志郎小委員長がその責任者だが、まず野田税調会長に要請することが大切」と述べた。

軽減税率署名運動に協力を

日書連は、出版物への軽減税率適用を求める署名運動を引き続き展開しています。署名用紙、並びに署名用紙を日書連へ送付するための封筒(切手貼付不要)を追加で希望する書店は、所属する都道府県書店商業組合、または日書連事務局までご連絡ください。

「書店金賞」実施要綱

▽企画名称第3回日書連企画「食と健康の本『書店金賞』」
▽実施期間平成26年9月初旬~12月31日
▽参加資格日書連会員所属組合員
▽出品条件4ヵ月長期委託
▽報奨販売実績に応じた報奨(都道府県組合ごとに清算)
▽セット内容12社の実用書セットで各社1点3冊の計12点、36冊、本体価格合計43&#44