全国書店新聞
             

平成20年10月11日号

全国書店名簿を発売

47都道府県書店商業組合に所属する書店の名簿『全国書店名簿』2008年度版が出来ました。B5判、275頁、定価5040円(税込)。今年8月現在の組合員総数は5809名。都道府県組合別に住所、代表者、電話・ファックス番号、取引取次を掲載しています。お求めは日書連事務局か取次仕入窓口で。

鈴木喜重理事長を再選/研修会で書店経営サポート/千葉総代会

千葉県書店商業組合(鈴木喜重理事長)は9月26日午後1時から、千葉市中央区の千葉書店会館で第25期通常総代会を開催。鈴木理事長は、日書連の重点施策として取次に対する送品・返品同日精算の要請を挙げたほか、千葉組合として書店経営を助けるための研修会、相談会を実施したい意向を示した。
総代会は飯合副理事長の司会、長谷部副理事長の開会宣言に続いて、鈴木理事長があいさつ。この中で鈴木理事長は「全国組合書店は6千店を割り、極めて危機的な状況だ。書店がやめていくのは、経営が成り立ちにくいということに原因がある。地域書店として身の丈にあった経営ができたらよかったが、いまはそれ以上のものが必要で、無理が高じてやめていくことが多い。業界に大きな制度的矛盾があるのではないかということで、いま取次に送品・返品同日精算を要請している。千葉組合としては、今後も書店に有利な販売条件の商品斡旋を行なっていきたい。先日、日書連で書店経営研修会を行ない高い評価を得た。千葉組合でも専門家を呼んで、個別の問題を解決するような研修会や相談会をやっていきたい」と重点課題を説明した。
鈴木理事長を議長に進めた議案審議では、村田副理事長が事業報告を説明。千葉国体マスコットキャラクターしおりを配布したほか、「ちば県民手帳」「千葉県の歴史」「守ろう千葉の植物」「神宮館暦」を販売したことなどが報告された。新年度事業計画では、経費削減を図りつつ、組合員への図書斡旋事業を拡大していきたいと方針を説明した。
任期満了に伴う役員改選では、鈴木理事長と長谷部、村田両副理事長を再選したが、飯合副理事長は退任。植田栄一氏を専務理事に選任した。また組合ホームページの開発計画案について報告があり、一部メニューを変更し、県内出版社と出版物の紹介や、組合加盟書店一覧を新設することなどの説明があった。
来賓の日書連井門副会長は、第8回著作物再販協議会と、日本出版インフラセンターのICタグ研究委員会書店部会が実施した万引調査について触れ、「再販協議会の報告書では、書店―取次間の決済時期に関する問題など、流通・取引慣行の問題が取り上げられた。我々の置かれている環境や条件について話し合う状況ができつつあると認識している。その一環として現在取次に要請しているのが、送品・返品の同日精算だ。万引調査によると、万引によるロスは売上の1・41%にのぼる。万引対策に使うお金も合わせてみな書店が背負い込んでいる。万引を防ぐことは書店だけの責任ではない。ICタグ導入を出版社に求める声を各県からも上げてほしい」と述べた。
理事長=鈴木喜重(ときわ書房)
副理事長=長谷部泰三(みなと書店)、村田正喜(学友堂)
専務理事=植田栄一(植田文教センター)

10月27日からスタート/第62回読書週間

10月27日から始まる「第62回読書週間」(読書推進運動協議会主催)のポスターが出来あがった。今回の標語は「おもわぬ出会いがありました。」イラストは、全国から寄せられた836点の中から選ばれた、愛知県・専門学校学生の高橋里予さんの作品。

参考図書

◇『活字の力』
田辺企画の田辺聰氏が秀明学園の学園誌「秀明」に連載したエッセイを中心に出版各紙誌に発表した数編を併せた。「活字の力」「さまざまな知恵」「親と子」などの各章で出版と読書、活字の周辺を身辺雑記風にまとめた好著。秀明出版会、定価本体1600円。

都内5書店で実証実験/RFタグの読み取り/小学館『ホームメディカ』

責任販売制で注文すれば6掛、委託なら通常正味という小学館の家庭医学大事典『ホームメディカ』の販売にあたって、小学館、昭和図書、数理計画の3社は、同書に装着したRFタグから販売条件・履歴を読み取るパソコンシステムと読取機を都内の書店5店に貸し出し実証実験を行いたいと提案。東京組合も10月2日の理事会でこの申し出を了承した。
東京組合理事会には小学館のシステム会社、数理計画から岡野豊技師が出席し、書店実験の概要を説明した。
『ホームメディカ』は同一商品でありながら責任販売制と委託制の2つの取引条件を併用。RFタグにシリアル番号を付けることで販売先書店や販売条件などがわかる。
書店でもRFIDシステムを導入すればRFタグから入荷、販売条件、返品、販売履歴などがわかるようになるが、本格的導入に向けた読取機の性能評価を行うため、ハンディリーダ、USB接続リーダ、制御用パソコンを実験することになったもの。実験期間は今年11月から来年6月まで。東京組合を通じて実験書店5店を推薦する。
同書の販売にあたってはTS流通協同組合も責任販売制で220部の注文を集め、目標の200部をクリアしたことが報告された。
一方、組織強化の一環として取り組んでいるエリア制については中央、城南、城東、城北、多摩の5エリアに編成することが決まっているが、理事会終了後、各エリアごとに会合を開き、代表1名と副代表数名を選出することになった。
東京組合がアクセスグループとともに携帯電話のサイトにオープンする総合電子出版サイト「ブッカーズ」は10月30日に携帯サイトがスタートするのを前に、書店店頭にポスターを掲示、会員を獲得していく。
サイト内容は新着電子書籍の紹介、オリジナル特集、ランキング、書籍検索、街の書店情報、イベント情報、リクエストコーナーなどを予定している。

今年は3日間の開催/神保町ブックフェスティバル

読書週間期間中、神田古本まつりに協賛して行われる「神保町ブックフェスティバル」は、今年は11月1日、2日、3日の3日間の開催となることが明らかになった。神田古本まつりは49回目、神保町ブックフェスティバルは18回目。
1日は午前10時半、明治大学応援団のパレードで開会。すずらん通り、さくら通りには「本の得々市」として汚損本、自由価格本、在庫僅少本などのワゴンが並ぶ。
白山通りに面した小学館・集英社前広場では児童図書出版社による児童書ワゴンセールや、人形劇、けん球、ドラえもんシールラリーのほか、講談社の「本とあそぼうおはなし隊」のキャラバンカーも訪れて、読み聞かせを行う。
会期中のイベントとして古本チャリティオークション、救世軍バンド演奏、サルサ・ラテンジャズ演奏、江戸かっぽれなどの楽しい催し、逢坂剛、森まゆみ、坪内祐三らによる講演会、協賛イベントなどが準備されている。東京都書店商業組合は本部と千代田支部、青年部で合計5台のブースを出してバーゲン本などを販売することにしている。

生活実用書/注目的新刊

東京下町にある書店の店長が文庫担当の女性に言った。この本は追加注文して、平台でお客さんに見せよう。
原島広至著『彩色絵はがき・古地図から眺める東京今昔散歩』(中経文庫は-5-1657円)である。本書は文庫棚から出て、その店長の言った通り、みるみるうちに売り上げ部数を伸ばしている。
本書は、古地図も楽しめるが明治、大正、昭和に発行した絵はがきを随所に登場させて、当時の風景と時代を語っているのが特徴。まだカラー写真が普及していない時代、白黒写真に後から彩色をほどこしたものは、もうそれだけで郷愁を運んでくる。その絵はがきと同じ立ち位置で撮った今の写真が並んでいるので自ずと、経過した時間と過去の空気が伝わってくる。
江戸時代から藤の花で知られた亀戸天神の太鼓橋は、昭和20年の空襲で焼けた。木造のかつての橋の方が今より高く、丸みも大きかったことがわかる。歌川広重の描いた亀戸天神境内は、橋と池の構図などで、モネの一連の睡蓮に深く影響を与えたという。オールカラーで14章に展開された東京を、ぶらりと散策したくなる一冊である。
若一光司著『大阪地名の由来を歩く』(ベスト新書195743円)は大阪である。大阪城からスタートして、阪急京都線「水無瀬」、またはJR「山崎」駅下車の水無瀬まで全11章、51カ所を歩く。大阪のキタからミナミに走る御堂筋が完成したのは昭和12年。道幅が43・6メートルとそれまでの7倍以上に広がったものだから、当時は飛行場でも造るのかとみんながいぶかったという。
ミナミの食い倒れを支える道具屋筋、黒門市場。上方落語の天才芸人、桂春団治三代の碑がある受楽寺。また大阪の難読地名でもある立売堀は
材木の町から機械工具の町に変わっていった。タチウリボリでなくイタチボリと読む。
自治体の合併などで失われる地名の増えた昨今、著者は哀惜をこめて大阪を歩くのである。それぞれの場所への交通アクセスと略図、写真もたくさん掲載されている。
いずれの本も文庫、新書の棚では他の本に埋没してしまいそうだ。東京、大阪というくくりでも地元の読者は楽しめそうだが、反対の土地なら旅の案内としても面白い。
(遊友出版斎藤一郎)

日書連のうごき

9月2日S・Jの日キャンペーンの今後の展開で舩坂常任委員が日本カタルーニャ友好親善協会訪問。
9月4日秋の書店くじポスター選考会。S・Jキャンペーンで大橋会長が日本図書普及を訪問。
9月5日大橋会長ほか役員で大阪屋関西BCを訪問。同日精算の協力要請。
9月8日取引改善問題で出版社との意見交換に柴﨑副会長が出席。
9月9日S・Jの日監査会。S・Jの日実行委。
9月10日出版ゾーニング委員会に鈴木副会長。
9月12日出版再販事例研究会に岡嶋理事ほか。
9月16日出版倫理協議会に鈴木副会長ほか出席。
9月17日日書連各種委員会(指導教育・共同購買・福利厚生・増売・読書推進・取引改善・書店経営健全化・流通改善・再販研究・広報・消費税・情報化推進・環境改善・出版販売年末懇親会)、日書連共済会運営委員会。
9月18日日書連理事会。ISBNコードマネジメント委に柴﨑副会長。
9月19日図書館サポート委員会。
9月24日文化産業信用組合理事会に大橋会長。日本図書普及役員会に大橋会長ほか役員出席。公取協9月度月例懇談会に影山公取協専務ほか。雑誌発売日本部・実行合同委員会に藤原副会長ほか出席。
9月25日取協書籍進行委と書店くじ打合せ。流対協と取引問題意見交換会。
9月26日千葉組合通常総代会に井門副会長出席。
9月30日中小小売商サミットに向けた小売連絡会に大川専務理事が出席。

特別寄稿・山口県組合理事長・冨永信/こうすれば絶対売れる!『ホームメディカ新版・家庭医学大事典

〔頑張る書店が儲かる企画〕
全国日書連加盟書店の皆様、こんにちは。書店経営が甚だ厳しくなって久しい中、いま日書連では規模の大小を問わず、頑張っていらっしゃる書店の生き残りのため、また全国各地域の文化向上の一翼を担っていらっしゃる書店の灯をこれ以上消さぬよう、総員懸命に努力いたしております。
そんな折、いま最も業界のことをお考えいただいていると言える小学館の相賀昌宏社長が、「全国的に店売も外商も売上げが落ちている中、必死に頑張っている書店にはぜひ儲けていただきたい」という思いを込めて、新企画『ホームメディカ新版・家庭医学大事典』に新責任販売制を導入して下さいました。1冊売れば35%の利益を提供してくださるわけです。
ただ、書店界の先人は企画商品をむしろ待ち望んで感謝の念を抱いておられましたが、今はどうでしょうか(自戒の念を込めて)。
「企画物?また出すの。また売れかい」そんな声をちょくちょく耳にします。いくら大手出版社といえども、企画物の全売上高に占める割合はコンマ数%に過ぎず、もちろん広告収入もありません。ならばなぜ?そうです、まぎれもなく我々書店界のことを慮って出して下さっているのです。
重ねて言います。店売も外売も疲弊気味の書店界へ向けて「自助努力で懸命に予約を取って、売上利益をあげて下さい!」そんな気持ちがこもっているのです。このような新企画の発刊をもし大手出版社が不採算を理由に一切やめられたらと思うとゾッとします。今よりもっと疲弊するのは必至であります。
〔お客様に勧めやすい商品〕
今秋、新企画の『ホームメディカ』は、どんな小さな書店さんでも、店売オンリーのナショナルチェーンさんでも、全員一丸となって目一杯の取り組みさえすれば、店頭一声運動等々で必ずや売れる商品です。仮に商圏人口1万人の所でも必ずや50人~100人の潜在読者はいらっしゃいます。無論、大都市圏なら尚更です。とにかく恐れずに1人ひとりのお客様に当たってみましょう。結論から言えばご予約なさった方はお幸せなのです。
私自身、平均打率わずか3割バッターです。ゆえに7割の方には断られています。それでも①一流出版社が出す素晴らしい商品であること、②小学館さんありがとう、③お求めのお客様は絶対にお幸せである――この3つを絶えず心に言い聞かせ、調子の悪い時はめげるのではなく、むしろ断られ方のバリエーションを楽しんでいます。そんな中でご予約いただいた時の喜びはひとしおなのです。
もう一つの大切なコツは、お客様の断り文句ベスト3が①置き場所、②必要性、③値段ですので、そこをいかにクリアするかです。それを説明後に指摘されたら負けです。ゆえにそれを想定して説明段階で最初から織り込んでお話しましょう。
〈トーク例〉
「○○様は大変ご健康そうでいらっしゃいますが、今秋一流出版社の小学館から『やっぱりご自身とご家族の健康が一番大切』ということで最新の家庭医学の1冊本が発刊されるんですヨ。すでに全国的にご予約が殺到しているんですが、今や患者が医者を選ぶ時代なので、各病気の権威の先生方400名が、初めてこの本で一堂に会して下さいました。また、最近ストレスから来る様々な病気や女性特有の病気等々、最新の医学情報がすべてこの本に入りました。これだけの先生方起用ですから当初は定価ちょうど1万円ということだったのですが、お1人でも多くの方々に健康にご留意いただきたいという願いを込めて、なんと定価6300円(税込)に決定しました。是非この本でご自身はもちろん、ご家族の健康を維持してください。転ばぬ先の杖です!このホームメディカをお持ちの方は絶対にお幸せですヨ。また今回はご予約の方に限り全国どこでも1冊から無料配送もさせていただきます。是非お子様、ご親戚、ご友人、または各種記念品等にご利用下さいませ」
右記はほんの一例ですが、実はこのトークの中に断り文句ベスト3が織り込まれているのです。
1冊本で大型辞書・美術書等々いろいろ出る中で、必要性からしてもやはり誰しも一番大切な「家庭の医学」が、お隣さんから貴店の商圏全域までのあらゆる方々に自信を持ってお勧めできる最も売りやすい本なのです。5人~10人あたって「持ってるから」と言われたくらいでへこたれず、書店人のプライドを持ってお勧めしましょう。必ずや貴店のお客様の中に潜在読者は多くいらっしゃるはずです。「うちが100冊も取るなんて……」そうではありません。今から3カ月「一日一善(冊)」でよいのです。調子の良い時は1日に2~3冊もあるでしょう。一日一善で3カ月で楽々100冊です。
それを全国の書店が総掛りでやれば、この「新責任販売制」を提案してくださった小学館に対し、我々書店側の報恩感謝ができると同時に、言わずもがな、それぞれの書店が儲かるのです。
〔新販売システムに繋げる〕
とりあえず10月3日締切ですが、商品無料配送サービスで注文すれば、11月18日まで65掛は有効です。委託販売制で2割の利益でも取り組んだ者勝ちです。
何はともあれ、発売日まで約1カ月、死に物狂いで予約確保に全力を傾注いたしましょう。「うちでもできる」を合言葉に目的意識をもってやれば、どのような書店さんでも不思議なほど予約数は伸びてきます。30取れたら50、50取れたら100プラスアルファの精神です。今はどれほどの書店でも、待ちの商売ではなく攻めの商売です。ぜひ皆様のお店でも必死で取り組んでみて下さい。びっくりするほどの数字があがること必至です。
そして、もしこれが全国的に大成功すれば、今後もこのような特別正味でご提案いただけるでしょう。さらに、他の出版社さんも必ずや追随して下さると確信します。
今、日書連では「新販売システム」を提唱しています。これも取りも直さず書店に儲けていただきたいという願いからです。積極的に販売努力した者のみが得られるこういったシステムを是非とも根付かせたいものです。そのためにも是非『ホームメディカ新版・家庭医学大事典』をだまされたと思って全書店、全社員で取り組んでみてください。一声で週刊誌約20冊分、文庫約10冊分以上です。
〔自助努力で今を生き抜く〕
最後に、小学館の回し者(?)ではない証しに、私の大親友、講談社生活文化局局長の高木道夫氏渾身の力作『カラー版新日本大歳時記』。これまた日本の四季の移ろい、日本語の奥深さを知る素晴らしい本です。
いずれにせよ現代(いま)を生き抜くには、理屈抜きに自助努力以外ありません。日本の各出版社は規模の大小を問わず世界に冠たる会社ばかりです。各出版社に心から感謝の念を抱いて、出版社の方が頭を下げてお願いして下されば、それ以上に頭を深く下げる謙虚な姿勢で臨めば物は売れるはずです。出版社大好き人間の私は、若い担当者さんでも必ず敬語を使っています。この私がです……。
経営者諸氏を筆頭に社員・パートさん等々、1人ひとりが楽しんで、精一杯の予約を獲りましょう。目一杯やってみれば必ずや貴店でも100や200以上の予約獲得が絶対できます。まだ時間はたっぷりあります(事前予約+事後販売)。自戒の念を込めて、頑張って頑張って売りまくりましょう。そして皆で一丸となって日書連加盟店パワーを業界に見せつけてやりましょう。
甚だ拙文ではありますが、経営者のみならず従業員の皆様にもご高覧いただければ幸甚です。

【小学館による責任販売制と委託制併用の試み】
〔家庭医学書の決定版〕
小学館『ホームメディカ新版・家庭医学大事典』は11月18日発売。菊判・上製、2434頁、ケース入り。来年5月末日まで発売記念特別定価6300円(税込)、以降は定価6825円(税込)。
同書は、各分野の第一人者が最新の診断法から治療法、予防法までわかりやすく執筆した、家庭医学書の決定版。特色は①信頼できる――現代医学の第一線で活躍する、全国の名医400人超が執筆、②引きやすい――症状から、可能性のある病気や知りたい項目がすぐ引ける、③詳しい――総ページ数2400超。各専門医が2000病名を解説、④新しい――がん、こころの病気、形成外科、女性特有の病気…。最新の医学情報が満載、⑤わかりやすい――ポイントごとに、イラストや図解を多用し、ていねいに解説、⑥時代にフィット――高齢社会に応え、生活習慣病、アンチエイジング、介護法などをアドバイス。
構成は、カラー口絵=医療機器の進歩/人体のしくみ/皮膚で知るからだの病気、第1部=図解ポイント応急手当、第2部=健康診断の結果の見方と対策、第3部=チャートで見る子どもの症状と診断症状からみる病気の判断、第4部=病気の知識と治療、第5部=家族のための健康知識――の5部から成る。
このうち第4部「病気の知識と治療」では、生活習慣病の予防と抗加齢、がん(悪性腫瘍)、子どもの病気、女性特有の病気、脳・神経の病気、こころの病気、目の病気、耳・鼻・のど・舌の病気、歯・口腔の病気、呼吸器の病気、循環器の病気、血液・内分泌・代謝の病気、消化器の病気、泌尿器の病気、皮膚の病気、運動器の病気、形成外科的な病気、免疫・環境因子・中毒による病気、感染症・性感染症・寄生虫病・食中毒――の19項目を取り上げている。
〔責任販売制でマージン35%〕
小学館は『ホームメディカ新版・家庭医学大事典』で、新しい試みを行う。「責任販売制」と「委託制」を併用し、書店が2つの取引条件から選べるようにするのだ。
責任販売制では、買い切りが原則でマージン35%を得ることができる。返品は歩安入帳。一方、委託制では、返品は自由だが通常正味となる。責任販売制を選択した書店は返品なしというリスクを負う代わりに、高い利益を得ることができる。また、注文した部数が確実に配本されることから、必要なところに必要な部数が行く適正配本の実現につながる。さらに、書籍返品率が40%を超える現状を打破する試みとしても期待されている。
同一商品について2つの取引条件を設定することには技術的な課題があったが、取引条件を識別するRFタグを開発。これを本に装着することで取引条件や販売履歴、販売書店などがわかるようになった。
日書連流通改善委員会の藤原直委員長は「日書連が考えてきた新販売システムは店売商品で、今回は外販商品という違いはあるが、今後、ICタグを使った方式の拡大を支援するため、積極的に販売を支援したい」と提案し、日書連として小学館『ホームメディカ』の販売を支援する決議を7月理事会で行っている。同書増売の動きは東京組合など全国の都道府県組合にも拡がりつつある。

実用書とコミックの実務マニュアル/トーハンで改訂版

トーハンは書店実務マニュアル『実用書販売のポイント第4版』(A5判62頁)、『コミックス販売のポイント第3版』(A5判62頁)を発売した。実用書、コミックスの売場担当者が必要とする基本的知識を、豊富な具体例とともにやさしくまとめている。実用書、コミックス出版社の新入社員教育にも活用できる。頒価は各735円。
注文はトーハンコンサルティング教育事業部まで。電話03―3267―8686。

人事

◇東京大学出版会
(10月1日付、○は昇任)
専務理事兼営業局長
山口雅己
営業局次長兼宣伝部長
○竹内康一
営業局次長兼販売部長
○黒田拓也
販売部部長(流通管理担当)吉田健司
同(直販担当)木村大八
*高橋朋彦前営業局長は退職

パンパクに250名/大阪日販会

大阪日販会(長谷川政博会長=ダイハン書房)は9月26日、大阪市の大阪会館で大阪日販会出版博覧会(オオサカパンパク)を開催。会員書店はじめ出版社、日販関係者250人が出席した。
会場には初参加の2社を加えた42社の出版社がブース出展。各ブースでは「仕掛け販売推奨商品」や「おすすめ商品」などの紹介が行われ、書店、出版社双方から販売方法について活発な商談が交わされた。
第1部商談会終了後、長谷川大阪日販会会長が挨拶。「オオサカパンパクも今回で13回目。今回も出版社42社に協賛いただき、感謝申し上げる。会員書店はこの機会に出版社と充分商談を行い、コミュニケーションをしっかり取れるようにしてもらいたい」と述べた。続いて参加出版社による1分間商品PR「得トーク」が行われ、参加書店はメモを取り、熱心に聞き入っていた。
その後、商談会を再開。終了間際まで各ブースとも盛況のうちにオオサカパンパクは終了した。

朝の読書950万人に/全国2万5864校で実施

今年20周年を迎えた『朝の読書』に取り組んでいる児童・生徒は全国で950万人を超えたことが朝の読書推進協議会(大塚笑子理事長)の調べで明らかになった。
これによると、今年9月30日現在の実施校は小学校1万6129校、中学校7843校、高校1892校で、合計すると2万586
4校。児童・生徒数に換算すると950万人が実践していることになる。実施率は小学校73%、中学校72%、高校38%で、小中高校合わせた実施率は68%。『朝の読書』運動は1988年に千葉県の私立女子高校で教師により提唱されてから今年で20周年。①みんなでやる、②毎日やる、③好きな本でよい、④ただ
読むだけというシンプルな4原則で成り立っており、トーハンは1995年から同運動を支援。1997年には 朝の読書推進協議会が発足した。
昨年から「朝の読書大賞」を顕彰している全国出版協会は、第2回受賞校として小中高校各1校を決め、10月27日午前11時から東京大手町のクラブ関東で
賞の贈呈と祝賀会を行うことにしている。
小学校の部=川井村立川井小学校 (岩手県下閉伊郡)
中学校の部=石垣市立石垣中学校 (沖縄県石垣市)
高等学校の部=高知県立安芸中・高等学校(高知県安芸市)

訂正

本紙10月1日号8面掲載、中央法規出版の人事で取締役総務部長が篠山睦弘氏とあるのは笹山睦弘氏の誤りでした。お詫びして訂正します。

定価値上げ等提言/東北トーハン会

第14回東北六県合同トーハン会が9月25日、宮城県松島町のホテル壮觀で175名(書店51名、出版社他119名、トーハン5名)が出席して開催された。
総会は宮城トーハン会阿部博昭会長(ヤマト屋書店)の開会で始まり、東北六県トーハン会玉山哲会長(東山堂)が挨拶。①来期から東北トーハン会に組織を一元化する、②バリューアップコンクールを中心に県別にプロジェクトチームを作り、増売力向上を図る、③ICタグ導入の早急な対応と定価の値上げの3点を挙げた。特にICタグと定価値上げについては、書店業界の提言として、声明文を発表すると述べた。
玉山会長は「万引きも含めた業界ロス対策でICタグ導入が検討され、小学館は『ホームメディカ』に導入する。早急に対応していただきたい。また、雑誌休刊が相次ぎ、販売冊数が伸び悩む中、用紙値上げ、資材高騰で一部値上げしているが、なお一層の定価値上げをお願いしたい。地方書店の意を汲み取っていただきたい」と訴えた。
この後、各県別総会審議が報告され、宮城トーハン会阿部会長より合同声明文が読み上げられた。
トーハン山﨑社長は挨拶で「週刊ダイヤモンド」や「週刊文春」直近号が完売したことに触れ「問題解決の特集や情報が載った号がよく売れる。解決手段として一番身近にあるのが本、雑誌」と、出版物のコンテンツの力を強調した。
また、トーハンの営業政策について「棚診断」「適在適書」「新刊追送」「店頭集客」などの施策に取り組んでいると説明し、年度初めに打ち出した責任販売制は「出版社の協力をいただき、目標金額は予定通り進捗している」と報告した。さらにCRMプログラム「e―honブックショップメンバーズ」について「システム開発が予定通り進行し、年内に開始したい。店頭と連動させ、読者がネットでもリアル店舗でも購買成果を蓄積できる」と述べた。
このあと、風水環境システム研究所の金寄靖水氏が「風水で人が集まる店を創る」を記念講演。最後に秋田トーハン会加賀谷龍二会長(加賀谷書店)が御礼の挨拶を述べた。

本屋のうちそと

最近、電話でしか話していない友人宅を訪ねる予定だ。その時に中学からもう5年間引きこもっている彼の長女への手土産に何の本を持っていこうか思案中である。定番の『西の魔女が死んだ』か、映画化になった重松清『青い鳥』か、西加奈子か。…でも、本当は彼女に店で選んでほしい。
昔は遅くなる学校帰りに本屋へ立ち寄れない子どもの為に発売日の少年週刊誌やコミックを買いにくる親がいたが、ここ数年はメモを片手にコミックや文庫などを買いにくる人が増えている。引きこもって外に出れない子どもに頼まれてとの話だ。ゲームやネット、DVDなどビジュアルと電脳だけの世界ではなく対極にあるような本を求めてくれるのはうれしい。でも、もう一歩、店まで足を運んでほしいと思う。以前、「新文化」のコラムに載っていたアマゾンでしか本を買えない引きこもりの女性が強引に連れて行かれた街の書店の棚に並ぶ本の姿に衝撃を受け、少しずつだが外に出るようになったというネット書店とリアル書店の話がずっと心に残っている。
自分の速度でページを進める本の世界に足を踏み入れているのなら、自らの目で探し、自分の手で触って探し求めてほしい。もちろん無理強いをするわけでも、それが正論というわけでもない。ただ大きくても小さくても本屋には日夜悩み苦労している仕事がある。本という星々を探し、揃え、組み合わせ、その店ならではの棚を作り出すという。だから来てほしい、見てほしい。わが店の小宇宙を。(理)

盲導犬育成支援チャリティーカレンダー/日販で斡旋

日販は本年も盲導犬育成チャリティーカレンダー『ガイドドッグ・チャリティ・カレンダー2009メッセージ』を取引書店を通じて9月30日から販売中。
財団法人日本盲導犬協会は昭和42年に日本で最初に誕生した盲導犬協会で、盲導犬の育成と視覚障害リハビリテーション事業を通じ、視覚障害者の社会参加を促進し、福祉の増進に寄与することを目的とした団体。日販は2005年から同協会の法人賛助会員となっている。
カレンダーはB4判カラー14枚の月めくりで、税込980円。㈱トランス製作。使用した写真は同協会の育成ボランティアが撮影した作品の他に、プロカメラマンの撮り下ろしも使用。盲導犬候補として産まれた子犬が盲導犬として活躍し、使命を終えて穏やかに余生を過ごす姿を、四季とともに写し出した構成になっている。
売上金の一部は日販から日本盲導犬協会に寄付する予定で、同社の社会貢献活動として、各方面に協力を呼びかけていくことにしている。