全国書店新聞
             

令和5年1月15日(後)

わが社のイチ押し企画/講談社・児童図書編集チーム編集長・片寄太一郎

毎年冬になると、私の所属する児童図書編集チームでは「おはなしシリーズ」を刊行します。「おしごと」(将来の夢)、「たべもの」(食育)といったテーマを設定し、複数の児童文学作家にお願いして、各テーマから物語を生み出してもらうのです。一昨年と昨年は「SDGsの17のゴール+総合ガイド」計18冊をつくりましたが、難解な概念をおはなしのかたちで読めるということで、図書館セットのセールスでたいへん好評を博しました。
この冬、私たちがテーマに選んだのは科学です。12月~2月に「おはなしサイエンス」10冊を刊行します。テーマ選定の理由は明確でした。物事を観察し、なぜそうなっているのか推論を立て、実験を繰り返す――。この科学的探究心を育てなければ、国の未来はないと、学校現場のみならず、企業や財団なども取り組みを行っています。とはいえ、理系教科を苦手と感じる子が多いことも事実です。「ならば、お得意の物語形式で伝えてしまおう!」とばかり、シリーズテーマが決まった次第です。
今回のシリーズでは、「遺伝子工学」「美容」「未来の食べ物」「AI(人工知能)」「未来の医学」「バイオミメティクス(生物模倣技術)」「鉱物・宝石」「宇宙旅行」「恐竜・地層」「危険生物」という10の科学が物語の核になります。子どもたちが興味を持つよう、学校給食やペット、肌や髪の美容など彼らにとって身近なキーワードから物語の世界に入ってもらう導線が敷かれています。また、サブテキストとしても使えるよう、科学の知識を裏付けるグラフや図表類も豊富に掲載しましたし、巻末の「ひとくちメモ」で各巻の主題と小・中学校で学ぶ理科の内容との関連を解説します。
きっと読んだ子は、「酸性とアルカリ性の勉強が、髪のオシャレに役立つなんて!」とビックリすることでしょう。だって、おじさん編集者の私が、「あー、もっと理科を勉強しとけばよかった!」と驚いたり、後悔したりして本をつくっているんですから。

わが社のイチ押し企画/河出書房新社・営業第三部第一課・鎌塚亮

謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年弊社では、創業140周年カウントダウン企画として16号限定の新雑誌「スピン/spin」の刊行を開始しました。9月に発売した創刊号は、おかげさまで発売即重版。さらに、続く第2号も発売即重版いたしました。ジャンルを超えた表現者が集結する雑誌として、大きな反響を頂いております。これもひとえに、書店の皆様のあたたかい応援と、多大なるご協力の賜物と心より感謝しております。改めて御礼申し上げます。
さて、本年1月には、芥川賞作家・遠野遥の最新作『浮遊』を刊行いたします。親の無関心を気に留めず、歳の離れた会社経営の男と暮らす高校生のふうかが、ひたすらホラーゲームで悪霊たちから追われ続ける……。小説内で恐ろしいことは起きないにもかかわらず、読者の現実の方が恐怖を帯びていくという意欲作です。
同じく1月には、第57回文藝賞優秀賞を受賞した新胡桃による待望の新作『何食わぬ君たちへ』を刊行いたします。イジメを見てみぬふりをした自分に嫌悪を抱く伏見と、障がい者の兄と暮らす敦子。傷だらけで世界への違和に抗う高校生たちの物語です。
そして本年春には、文藝賞と芥川賞、そしてドイツの文学賞「リベラトゥール賞」も受賞した『おらおらでひとりいぐも』に続く、若竹千佐子6年ぶりの新作『かっかどるどるどぅ』を刊行いたします。5人の男女の群像劇をいきいきと描くことを通じ、新たな共同体を模索する意欲作。「ひとりで生きる」から「みんなで生きる」に至った著者新境地に、どうぞご期待ください。
さらに、ベストセラー『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが未来を担う子どもたちに贈るシリーズ「人類の物語UnstoppableUs」も続刊を刊行予定です。
本年も精力的に出版活動に邁進していく所存です。何卒皆様のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

わが社のイチ押し企画/双葉社・営業局次長・奥山秀

謹賀新年
昨年弊社の文庫では多くのヒット作を出させていただきました。2月には本屋大賞ノミネート作の『ムゲンのi』(知念実希人)が上下巻で待望の文庫化。そして4月は、垣谷美雨『姑の遺品整理は、迷惑です』を刊行。発売とともに重版を重ね現在12刷です。10月発売の『背中の蜘蛛』(誉田哲也)、『駅の名は夜明軌道春秋Ⅱ』(髙田郁)も引き続き好調に売れています。そして2010年4月発売の湊かなえ『告白』が、文庫単体で300万部を突破!それを記念し『呪術廻戦』の芥見下々氏とコラボした幅広帯を作成し多くの書店様店頭で大きくご展開いただきました。時代小説では井原忠政『三河雑兵心得シリーズ』を3作刊行し、累計75万部となりました。新しい読者を獲得する試み『読み始め3巻セット』も好評発売中です。本年は何と言っても2021年に本屋大賞にノミネートされた伊吹有喜『犬がいた季節』が秋ごろ待望の文庫化予定。そしてシリーズ累計30万部突破の青柳碧人『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が福田雄一監督により映画化されます。ご期待下さい。
単行本では、昨年は10月末に発売し、一時期市場在庫がほとんどなくなりご迷惑をお掛けしました『変な絵』(雨穴)がお陰様で大ヒット!30万部を超えるベストセラーとなりました。同著者の『変な家』(飛鳥新社刊)が本年映画化されるそうですので、引き続きのご展開をよろしくお願いいたします。そのほか住野よるの新刊『腹を割ったら血が出るだけさ』や、前作が様々な賞の候補になった期待の新鋭・浅倉秋成の『俺ではない炎上』など話題作を多く刊行出来ました。本年春の期待の新刊は『ひと』が大ヒットした小野寺史宜『君に光射す』、『破滅の王』が直木賞候補になった上田早夕里『上海灯蛾』の2冊。共に2月発売予定です。
コミックスでは昨年はおよそ5年ぶりの続巻『orange』⑦(高野苺)を発売しました。これを記念した原画展も開催し、多くのファンで賑わいました。本年はモンスターコミックスのアニメ化が目白押しです。今月始まる2本『最強陰陽師の異世界転生記~』と『真・進化の実』や、以降『異世界召喚は二度目です』『異世界でもふもふなでなでするために頑張ってます。』などが決まっています。ぜひ原作コミックスのお取り揃えやフェア展開をお願いいたします。
本年も何卒、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願いいたします。

帯コン表彰式は11月11日開催予定/大阪組合

大阪府書店商業組合(深田健治理事長)は12月10日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
読書推進委員会では、第18回2022年大阪こども「本の帯創作コンクール」(帯コン)の作品展示会を、22年11月25日~23年1月31日に阪急電鉄茨木市駅「ロサビア」で、22年12月10日・11日に堺市立中央図書館1階エントランスで、23年3月23日~同4月16日に大阪府立中央図書館で開催すると説明。また、次回の帯コン表彰式は23年11月11日に大阪府立中央図書館ライティホールと開催契約したと説明した。
定款・規約等委員会では、理事定数について当面は現定数とし、23年秋までに役員選挙・選任規約と委員会規定を見直し、24年の総会に定数について諮ることとした。
日書連報告では、深田理事長が11月2日開催された自民党国会議員による書店議連の総会について、大阪からは衆議院の柳本顕議員、参議院の太田房江、松川るい両議員が参加したと報告した。
(石尾義彦事務局長)

東京組合「木曜日は本曜日」アーカイブ展/著名人らが選んだ本を展示販売

東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は、本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指して昨年10月にスタートしたプロジェクト「木曜日は本曜日」のアーカイブ展を1月5日から31日まで、東京・渋谷区の渋谷ヒカリエ内「渋谷○○書店」、および都内対象書店で開催している。
同プロジェクトでは木曜日を「本曜日」に設定し、本屋と本を愛する著名人・作家・インフルエンサーら十数名が選んだ「人生を変えた本」各10冊を組合員書店で毎週陳列販売。また、本屋での本との出会いやエピソードを語ってもらうインタビュー動画を特設サイトで順次公開している。「渋谷○○書店」は、2021年に渋谷ヒカリエ8階にオープンしたシェア型書店。店内でおよそ30㎝四方の本棚を貸し出し、100名を超える棚主らが本を持ち寄り共同運営している。
今回開催しているアーカイブ展では、プロジェクト開始から協力している著名人らの選書本から各1~2冊ずつを「渋谷○○書店」の企画棚に期間限定で展示する。インタビュー動画内でそれぞれ記入してもらった「○○さんにとって本屋とは?」の手書きフリップを展示するほか、ポスター・POPの展示や本棚をイメージした「木曜日は本曜日限定しおり」の配布を行う。また、アーカイブ展「渋谷○○書店」と同時期に、教文館(中央区)、中野屋書店(品川区)、恭文堂(目黒区)、小川書店(港区)、黒田書店(日野市)、一二三堂(大田区)の6書店で著名人らが選んだ10冊分全てを展示販売している。

日書連のうごき

12月1日 中小小売商サミットに矢幡会長が出席。
12月6日 読進協子どもの読書週間・読書週間標語選定委、全体事業委員会に春井副会長が出席。
12月7日 JPO運営幹事会に事務局が出席。文字・活字推進機構各界連絡会に事務局が出席。
12月8日 書店議連総会に矢幡会長、柴﨑、春井両副会長が出席。
12月13日 出版クラブ理事会に矢幡会長が出席。JPO理事会に事務局(Web)が出席。
12月14日 各種委員会。子どもの本三者会議。出版販売年末懇親会。
12月15日 臨時総会、定例理事会、公取協理事会、ロス対策の勉強会。本の日実行委員会に矢幡会長が出席。
12月22日 文字・活字機構理事会に矢幡会長が出席。定期会計監査。
12月23日 書店議連で岸田総理の面会に矢幡会長が出席。全国万引犯罪防止機構理事会に矢幡会長が出席。
12月26日 中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
12月27日 定時で年内の事務局業務終了。

書店における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン(令和4年12月12日改訂)/日本書店商業組合連合会

日書連は経済産業省の要請を受けて12月12日、「書店における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」を改訂し、ホームページで公表した。今回の改訂ポイントは、①マスクを着用し声を出さない場合の身体的距離の確保に関する考え方の変更、②新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)に関する記述の削除、③マスクを着用できないお客様への配慮の追加、④ワクチン接種についての言及、⑤感染者のプライバシーについての言及――となっている。書店は当ガイドラインを参考に、各店に適した感染予防に取り組んでほしい。以下、全文を掲載する。
〔1.はじめに〕
○日本書店商業組合連合会は、令和2年5月4日に変更された新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を踏まえ、令和2年5月4日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(以下「専門家会議提言」という。)において示されたガイドライン作成の求めに応じ、専門家会議提言において示された感染拡大を予防する「新しい生活様式」の実践例を踏まえつつ、「小売業の店舗における新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」を参考に、具体的取組(①各店舗の実情に応じた感染予防対策、②従業員の感染予防・健康管理、③買物エチケットに係る顧客への協力依頼・情報発信等)に関し、本ガイドラインを定めることといたします。
○書店には不特定多数の人々が訪れることから、店頭において十分な感染拡大防止策を講じることが、従業員及び顧客の感染を防止し、事業の持続可能性を確保する上で極めて重要です。
○本ガイドラインでは、事業者がそれぞれの業態、店舗の規模や立地などの実情に応じて実施する際に参考とすべき取組を例示し、指針として示します。
○また、従業員の感染予防・健康管理を実施する上で取り組むべき事項や買物エチケットに係る顧客への理解を得るための情報発信等に関し参考とすべき事項についても、併せて示します。
○各事業者におかれましては、本ガイドラインを活用することにより、消費者への呼びかけを含め、書店における新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防に向けた取組を推進していただきますようお願いいたします。
○なお、例示されている参考とすべき各取組を行うかどうかについては、各企業においてそれぞれ判断すべきものであり、本ガイドラインは、業界全体として一律の対応を求めるものではありません。
〔2.感染拡大予防に向けた具体的な取組〕
(1)店舗における感染予防対策
書店には不特定多数の顧客が訪れることから、店舗の規模・立地条件や地域における感染拡大の状況などの実情に応じた効果的な対策を実施することにより、「三つの密」のいずれか一つでも避け、店舗における顧客及び従業員への感染拡大のリスクを下げることが重要です。
具体的には、ⅰ)身体的距離の確保、ⅱ)マスクの正しい着用(品質の確かな、できれば不織布)、ⅲ)手洗いや手指消毒を基本的な感染防止策と捉え、店舗においては、身体的距離の確保、清掃・消毒の実施、接触感染・飛沫感染の防止、換気の徹底、商品陳列等の工夫、店舗内の混雑緩和、店舗内施設の利用等に関する取組を行う必要があります。
このため、各事業者においては、店舗の実情に応じ、以下に挙げる取組例を参考に対策を講じることにより、店舗における感染予防策の充実を図り、顧客や従業員の安全・安心を確保した上で事業を実施していくことが求められます。
①身体的距離の確保
●店内外において対人距離を確保するため、店舗の規模等に応じて、以下のような取組を行う。
(国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(令和2年4月20日版)」において、「濃厚接触者」は「手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)」とされたこと、専門家会議提言の「新しい生活様式」において、対人距離の確保については「できるだけ2m(最低1m)空ける」とされたこと、内閣官房新型コロナ感染症対策推進室長「基本的対処方針に基づくイベントの開催制限、施設の使用制限等に係る留意事項等について(令和4年9月8日)」において、マスクの着用や換気の徹底を前提に、大声を出さないイベント(会話は可)では、「人と人とが触れ合わない距離での間隔」としていることも踏まえつつ、店舗の業態、規模・立地条件などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)
・店内での滞在に際し、顧客に対し掲示・アナウンスの実施などにより可能な範囲での対人距離の確保を促す。
・とりわけ、レジ前や入店前など店舗内外で顧客が列に並ぶ際には、床に目印を付すことや掲示・アナウンスの実施などにより対人距離の確保を促す。
②清掃・消毒
●従業員に対しこまめな手洗いや手指消毒を励行するほか、必要に応じ手指の消毒設備を入口及び施設内に設置すること等により顧客の手指の消毒も励行する。
●店舗については、通常の清掃に加え、店内の消毒等に関し、以下のような取組を行う。
・買物カゴ、買物カートのハンドル部分、扉の取っ手など、顧客や従業員が手を触れることが多い箇所・機材等は定期的に消毒を実施する。消毒方法については、例えば厚生労働省HPの「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」等を適宜参照する。
・トイレについて、共通のタオルの使用は行わない。なお、ハンドドライヤーを使用する場合には、手挿入部、ドレンタンク、排水路、フィルタなど、適切な方法で定期的に清掃・消毒を実施する。
・ゴミの廃棄については、鼻水・唾液などが付いたゴミが入っていることを想定しビニール袋等に入れて密閉して縛るほか、ゴミを回収する人は、マスクや手袋を着用し、マスクや手袋を脱いだ後は、必ず石鹸と流水で手を洗う。
③接触感染・飛沫感染の防止
●従業員と顧客の接触機会を減らし、飛沫感染を防止するため、以下のような取組を行う。
・透明間仕切り等の設置などによるレジ前での飛沫感染防止の取組を行う。
(消防庁予防課「飛沫防止用のシートに係る火災予防上の留意事項について(情報提供)」(令和2年7月22日事務連絡)において、飛沫防止用シートの材質によっては、着火・燃焼しやすいものがあることから、「火気使用設備・器具、白熱電球等の熱源となるものの近くには原則設置しないようにすること。ただし、これらの近くに設置することが感染予防対策上必要な場合にあっては、燃えにくい素材(難燃性、不燃性、防炎製品など)を使用すること。」、「同じ素材であれば、薄いフィルム状のものに比べて板状のものの方が防火上望ましいこと。」とされている。また、「比較的燃えにくい素材」として、「ポリ塩化ビニール製やポリカーボネート製のもの」が挙げられている。これらを踏まえ、店舗の業態、規模などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)
・自動精算機・キャッシュレス決済の利用を促進する。
・従業員によるマスク等の着用や、こまめな手洗いや手指消毒を励行する。
・従業員が対面による販売・説明・サービスを行う際には、感染予防の観点から、マスク等の正しい着用等による必要な感染予防の措置を徹底する。
(新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」や厚生労働省HP「国民の皆さまへ(新型コロナウイルス感染症)」においては、十分なマスク着用の効果を得るためには隙間ができないようにすることが重要であるとともに、ウイルス捕集効率や着用場面等に応じて不織布マスク等を適切に着用するよう推奨している。また、厚生労働省HP「マスクの着用について」において、屋内のマスクの着用の考え方として、「他者と身体的距離がとれない場合や他者と距離がとれるものの会話を行う場合」はマスクの着用が推奨されている。)
④換気の徹底
●店内が換気の悪い密閉空間となることを避けるため、以下のような取組を行う。(テナント事業者については、出店先の店舗・施設と連携して取り組む。)
(新型コロナウイルス厚生労働省対策本部において、リスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するため、多数の人が利用する商業施設等においてどのような換気を行えば良いかについて、推奨される換気の方法を取りまとめており、ビル管理法における空気環境の調整に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30立方メートル)を満たすことになり、「換気が悪い空間」には当てはまらないとの見解が示されている。推奨される換気の方法としては、機械換気(空気調和設備、機械換気設備)による方法、窓の開放による方法などが推奨する措置として挙げられている。これらを踏まえ、店舗の業態、規模・立地条件などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)
・換気設備を適切に運転・管理することや窓やドアを定期的に開放すること(1時間に2回、1回5分以上)等により、室内の換気に努める。
・乾燥により湿度が下がる場合は、湿度が40%以上になるよう適切な加湿を行う。
・また、換気に加えて、CO2測定装置の設置と常時モニター(1000ppm以下)の活用を検討する。(※機械換気の場合。窓開け換気の場合は目安。)なお、CO2測定装置を設置する場合は、室内の複数箇所で測定し、特に換気が不十分となりやすい場所に設置する。
・HEPAフィルタ式空気清浄機やサーキュレーターの補助的活用も可とする。
⑤商品陳列等
●商品の陳列等の工夫により、局所的な混雑緩和や接触機会を削減するための以下のような取組を行う。
・書籍・雑誌等の立ち読みについて、自粛の呼び掛けや必要に応じてひもかけ・バンド等の使用を行う。
⑥店舗内混雑の緩和
●店舗の規模や立地条件などの実情に応じ、店内の人の密集を避けるための工夫として、以下のような取組を行う。
・混雑につながるような販売促進策を自粛する。
・事前の買物リスト作成等による滞留時間短縮を呼び掛ける。
・混雑時間帯に関する情報提供によりオフピークタイムでの来店を呼び掛ける。
・混雑時の入店の制限のほか、店舗・施設などで混雑や待ち列が生じる可能性がある場合は入店者の分散化が図られる方法等を検討する。
⑦店舗内施設の利用等
●店舗内施設の利用等について、「三つの密」のいずれかを避けるための以下のような取組を行う。
・催事の実施又はアミューズメント施設及びサービス施設等の集客施設の使用については、各都道府県において示される対応に基づいて実施又は使用の可否を判断し、実施又は使用する場合においても、入場者の制限や誘導、手指の消毒設備の設置、マスクの着用、室内の換気等の適切な感染防止対策を講じる。
・店舗内ないしは隣接する飲食店等における感染防止策については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(改正)に基づく外食業の事業継続のためのガイドライン」等を参照してもらうこととし、書店店舗に対して対応を周知してもらう。
⑧店舗入店時の顧客に対する依頼
●顧客の店舗への入店に際しては、感染拡大のリスクをできる限り下げる観点から、掲示・アナウンスの実施などにより、顧客に対し以下のような事項を依頼する。(テナント事業者については、出店先の店舗・施設と連携して取り組む。)
・顧客の入店時及び店内においては常時マスクの適切な着用をするとともに、手洗いや手指消毒などの実施を依頼する。なお、病気や障害等でマスク着用が困難な場合には、個別の事情に鑑み、差別等が生じないよう十分に配慮するとともに、適切な感染対策を講じる。
・顧客の入店時及び必要に応じ、手指の消毒の実施を依頼する。
・顧客が発熱その他の感冒様症状を呈している場合には、入店の自粛を依頼する。
⑨感染拡大防止に資するシステムの活用
●店舗が立地する地方自治体において独自に、感染者が発生した店舗を利用者に通知するためのシステムを導入している場合には、当該地方自治体におけるシステムの運用や、店舗の業態、規模・立地条件などの実情に応じて活用を検討する。
(2)従業員の感染予防・健康管理
店舗の事業を実施するとともに、店舗における感染拡大予防を確かなものとするためには、従業員の感染予防と健康管理の実施がそのための基礎となります。
従業員の感染予防においては、一人ひとりが基本的な感染防止対策である、ⅰ)身体的距離の確保、ⅱ)マスクの着用、ⅲ)手洗いや手指消毒に取り組むことが重要です。また各事業者においては、従業員に対し、新型コロナウイルス感染症予防に関する基本的知識等の周知徹底を図ること、飛沫感染と接触感染の防止策を講じること、対人距離を確保すること、バックヤードや事務所等における対策を講じること、感染予防・健康管理のための指導を行うこと等に取り組むことが必要となります。
このため、以下に挙げる取組例を参考に対策を講じることにより、従業員の健康と安全・安心の確保に努めることが求められます。また、とりわけ就労に対する不安や様々な事情(妊娠、高齢者介護等)を抱える従業員に対しては配慮が必要です。
①新型コロナウイルス感染症予防に関する基本的知識等の周知徹底
●従業員に対し、感染症予防に関する基本的な知識を周知し、感染防止策を徹底させるため必要な指導・教育を行う。
②従業員への飛沫感染と接触感染の防止
●従業員によるマスク等の着用や、こまめな手洗いや手指消毒を徹底する。消毒による手荒れ防止等のため手袋を使用する場合であっても、手袋を使用していない場合と同様に、手洗いや手指消毒による感染防止の取組が必要であることを周知する。
③対人距離の確保
●従業員が業務において他の従業員や顧客との対人距離を確保できるよう、業務の方法や導線について点検するとともに、従業員自らが対人距離の確保に努めるよう指導する。
(専門家会議提言の「新しい生活様式」において、対人距離の確保については「できるだけ2m(最低1m)空ける」とされたこと、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長「基本的対処方針に基づくイベントの開催制限、施設の使用制限等に係る留意事項等について(令和4年9月8日事務連絡)」において、マスクの着用や換気の徹底を前提に、大声を出さないイベント(会話は可)では、「人と人とが触れ合わない距離での間隔」としていることも踏まえるものとする。)
④バックヤード・事務所等での対策
●従業員用の休憩所や事務所等のバックヤードにおいても、換気を徹底するとともに、収容人数を決めて従業員に混雑時間帯の利用回避を周知する、スペースの追設や休憩時間をずらす、アクリル板を設置する等の工夫をするなどの「三つの密」のいずれも避けるための対策を適切に講じるとともに、共有電話など複数の者が触れる箇所・機材等の消毒を定期的に行うなど、感染予防の取組を適切に実施する。
●食事、着替え、喫煙等の際には適切な換気の下、対面の会話を避け、会話の際にはマスク着用や入室前後の手洗いを徹底することを周知する。
⑤その他、感染予防・健康管理に関する指導等
●職場において、顧客対応に伴う精神的負荷も含め、従業員の日々の健康状態の把握に配意するとともに、体調が優れない場合には休みやすい環境作りに努める。また、従業員に対し、以下のような指導を行う。
・咳エチケットを徹底する。
・普段から、健康観察アプリなどを活用し、毎日の健康状況を把握する。
・発熱などの症状がある場合に所属長への連絡と自宅待機を徹底する。
・出勤時、トイレ使用後、売場への入場時等における手洗いを徹底する。
・通勤時には時差通勤など出来るだけ混雑を避ける方法を選択する。
・勤務に際し、適切な休息の確保や水分補給など健康維持に必要な対応を行う。
・従業員1人1人が十分な栄養摂取と睡眠の確保を心がけるなど健康管理を行う。
・従業員がワクチン接種を受けやすいよう、ワクチン接種の当日やその後に副反応の見込まれる日については、あらかじめシフト調整、勤務免除、休暇付与などにより、職場における環境を整備する。その際、ワクチン接種の重要性を鑑みて、希望者がワクチン接種を速やかに受けることができるよう、一層の配慮をすることが有益である。
●従業員入口において検温を実施し、発熱があった場合には入店を制限する。
●従業員の家族の健康状態について確認する。
●終業時間後における感染防止のための行動自粛を励行する。
●出勤後に発熱その他の感冒様症状が見られた場合には、抗原簡易キットにより検査を実施するなど職場検査の活用を図る。また、抗原簡易キットでの検査結果が陽性であった場合には、「接触者」に対してPCR検査等を速やかに実施する。抗原簡易キットでの検査結果が陰性であっても、偽陰性の可能性もあることから、必要に応じて医療機関を受診するよう促すとともに、感染拡大防止措置を継続して実施する。
●なお、感染が確認された場合には、感染者の人権に配慮し、個人名が特定されることがないよう留意するとともに、感染拡大防止を目的とした個人データについては、個人情報保護に配慮し、適正に取り扱う。
●また、従業員同士の距離が近いなど密になりやすい環境などクラスター発生の危険性が高い職場環境では、定期的なPCR検査の活用も有用であるので、導入を積極的に検討する。
(抗原簡易キットの購入については、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部及び内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室「職場における積極的な検査等の実施手順(第2版)について」(令和3年6月25日事務連絡)、「職場における積極的な検査の促進について」(令和3年8月13日事務連絡)において、「1連携医療機関を定めること、2検体採取に関する注意点等を理解した職員の管理下での自己検体採取をすること、3国が承認した抗原簡易キットを用いること」が必要であることが推奨されている。これらを踏まえ、店舗の業態や規模などの実情に応じ、実効的な対応を推進する。)
●従業員に対し、体調が優れない場合には出勤せず、自宅療養するよう徹底する。
●店舗・施設への出入り事業者に対しても、感染予防・健康管理に関する取組を促す。
(3)買物エチケットに係る顧客への協力依頼・情報発信
買物の場における安全・安心を確保するためには、店舗及び従業員による適切な対応だけでなく、顧客の理解と協力が不可欠です。従業員と顧客が互いに協力しあって安全で安心な買物の場を作り上げていくという意識が大切です。
従業員だけでなく、顧客においても、一人ひとりが基本的な感染防止対策である、ⅰ)身体的距離の確保、ⅱ)マスクの着用、ⅲ)手洗いや手指消毒に取り組むほか、買物エチケットに対する理解が必要です。特に、「(1)店舗における感染予防対策」「(2)従業員の感染予防・健康管理」を状況に応じて緩和していくに当たっては、顧客の理解の促進を図ることはより重要となります。
このため、以下のように、一般消費者に対する協力依頼とわかりやすい情報発信に取り組むことが必要です。
①対人距離の確保及び混雑緩和に係る理解促進
●対人距離の確保及び混雑緩和のため、以下の事項について、顧客に対し協力を依頼する。
(専門家会議提言の「新しい生活様式」において、対人距離の確保については「できるだけ2m(最低1m)空ける」とされたこと、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長「基本的対処方針に基づくイベントの開催制限、施設の使用制限等に係る留意事項等について(令和4年9月8日事務連絡)」において、マスクの着用や換気の徹底を前提に、大声を出さないイベント(会話は可)では、「人と人とが触れ合わない距離での間隔」としていることも踏まえつつ、顧客の理解と協力を得ることに努める。)
・店舗内等においては他の顧客及び従業員との一定の対人距離を確保すること。
・精算を待つ際は間隔を空けて並ぶこと(複数人グループでの購入の場合にはできるだけ1人で精算すること)。
・予め購入品の計画を立てて来店するなど店内滞在時間短縮化を心がけること。
・来店回数の削減に努めること。
・混雑時間帯を避けての来店に努めること。
・従業員への問い合わせや他の顧客との会話で不要不急のものは出来るだけ控えること。
②感染防止対策への理解促進
●感染拡大を防止する観点から、以下の事項について、顧客に対し協力を依頼する。
・感冒様症状を呈している場合には、入店を自粛すること。
・入店時にはマスクを着用すること。また、入店後に飲食等のためマスクを外す際には、使用中のマスクを適切に管理すること。なお、病気や障がい等でマスク着用が困難な顧客については、個別の事情に鑑み、差別等が生じないよう十分配慮する。
・消毒液が備え付けられている際には手指を消毒すること。
・咳エチケットを徹底すること。
・可能な限り購入しない品物への接触を避けること。
・電子決済や自動精算機の利用により可能な限り従業員との接触を避けること。
・マイバッグへの袋詰めは可能な限り顧客自身で実施すること。
③サービスの内容変化に対する理解促進
●接客やサービスの内容変化に関する以下の点について、顧客に対し理解を求める。
・感染予防(従業員の対人距離確保、飛沫対策等)の観点から、接客対応やサービス水準が従来とは異なるものとなり得ること。
〔3.おわりに〕
○各事業者においては、本ガイドラインで示した事項に基づいて店舗営業を行うことにより、効果的な感染予防対策が図られることが期待されます。
○店舗における取組事例については、経済産業省、農林水産省及び消費者庁が公益財団法人流通経済研究所と連携し、好事例の収集・発信を行っています。最新の情報については、公益財団法人流通経済研究所のホームページをご参照ください。
(公益財団法人流通経済研究所ホームページ)
https://distribute-dei-taisaku.jp/
○なお、本ガイドラインの内容は、感染拡大の動向、ウイルスに関する知見等に関する専門家の助言等を踏まえ、今後見直すことがありえます。
(以上)

雑誌のもくろくアプリ版BooksPROと連携/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は12月13日に定例理事会を開催。出版情報登録センター(JPRO)などで23年1月から2月をめどに開始する新機能やシステム追加について報告した。
昨年4月に提供を始めた「雑誌のもくろくアプリ版」は、書店向け情報サイト「BooksPRO」と連携し、雑誌各号情報に遷移して内容を見られるようにする。
一般向け検索サイト「Books」のアクセシブル化を進め、視覚障害者向けに音声読上げ機能(TTS)に対応する。またアクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)準備会では「ABSC準備会レポート」第2号を1月中旬に発行する。視覚障害者等に関する統計や、障害者サービスを行う図書館等の情報を掲載する予定。
国立国会図書館への対応では、電子書籍、オーディオブック等のマルチコンテンツ情報や、TTS情報の提供を開始。また、図書館等公衆送信サービスへの対応として、JPROのデータを活用し補償金額算定機能等の提供を行う。
JPROの「ためし読み」サービスは、電子取次モバイルブック・ジェーピーと連携し、電子書籍データをためし読み用にコンテンツ化できるようにする。

鉄尾周一氏が専務に/マガジンハウス

マガジンハウスは12月14日に定時株主総会並びに取締役会を開き、下記の新役員体制を決めた。◎昇格、○新任。
代表取締役社長
 片桐隆雄
専務取締役(第一編集局、書籍出版局担当)
 ◎鉄尾周一
常務取締役(総務局担当)
 南昌伸
取締役(経理製作局、マーケティング局担当)
 浪花寛通
同(第二編集局、第四編集局担当)芝崎信明同(広告局、クロスメディア事業局、ブランドビジネス局担当)○西田善太同(第三編集局担当)
 ○北脇朝子
監査役 畑尾和成
木滑良久氏、石﨑孟氏はそれぞれ顧問に就任した。

埼玉組合、県を通じて図書寄贈/児童養護施設等の子どもらに345冊

埼玉県書店商業組合の奈良俊一理事長(ならいち)と江原宏信事務局長は12月21日、埼玉県福祉部こども安全課を訪問。令和4年度寄贈本として、図書345冊を寄贈した。内訳は、小学校低学年103冊、小学校中学年67冊、小学校高学年34冊、小学校辞典120冊、中高一般21冊。県側は松井明彦課長、二瓶麻子主幹、篠原康友主事が応対。奈良理事長が寄贈の趣旨を説明して寄贈本目録を贈呈、松井課長から感謝状が授与された。
松井課長から「子どもたちの将来のためにも、本に接し読書する機会が増えることは大変良いことだ。子どもたちも毎年本を心待ちにしており、大変ありがたい」とお礼の言葉あり、二瓶主幹からも「寄贈された本を子どもたちはぼろぼろになるまで読んでおり、新しい本を楽しみにしている。新しい本が届くと、子どもたちはもとより、施設の関係者も大変喜んでくれている」との話があった。
奈良理事長は「喜んでいただきありがたい。毎年、沢山の手づくりのお礼状が子どもたちから届き励みになっている。埼玉県知事からも感謝状をいただいており、本を心待ちにしている子どもたちのために図書の寄贈を続けていきたい」と伝えた。
寄贈した図書は、こども安全課から県内の児童養護施設、母子生活施設等にクリスマスプレゼントとして配布されている。
(江原宏信事務局長)

小説部門は『忍者に結婚は難しい』/静岡書店大賞県内ゆかりの作家が活躍

静岡県内の書店員と図書館員が、最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「第10回静岡書店大賞」が12月6日、静岡書店大賞実行委員会の公式ブログ上で発表された。
今回は書店員468人、図書館員147人の投票によって計6作品の受賞が決定した。小説部門は富士宮市出身の横関大氏『忍者に結婚は難しい』(講談社=写真)、映像化したい文庫部門は浜松市在住のいぬじゅん氏『この恋が、かなうなら』(集英社)、児童書新作部門大賞は浜松市出身の鈴木のりたけ氏『大ピンチずかん』(小学館)がそれぞれ選ばれ、節目の回に県内ゆかりの作家が3部門でトップを占めた。また児童書新作部門2位は、たなかひかる氏『おばけのかわをむいたら』(文響社)、3位は、しおたにまみこ氏『さかなくん』(偕成社)、児童書名作部門大賞はウクライナ民話の『てぶくろ』(福音館書店)が選ばれた。
第10回静岡書店大賞は、2021年9月から22年8月までの1年間に発行された国内作品が対象。受賞作を特集したフェアを県内130書店と県内図書館40館で開催中。
(佐塚慎己広報委員)

「店舗運営の計数」基礎編セミナーを開催/トーハン書店大学

トーハンは、トーハン書店大学「店舗運営のための計数【基礎編】セミナー」を2月17日午後2時~4時、オンライン(Zoom)で開催する。
セミナーでは、損益計算書の意味を理解し、数字を通して自店の課題を発見する方法を学ぶ。講師は、税理士、中小企業診断士、社会保険労務士の秋山留美氏。受講料は1名あたり税込1万3千円(全国書店共助会加入書店は、加入10口につき2名まで無料)。申込は、トーハン・コンサルティング教育事業部(℡03―3266―9623、URL=https://www.syuppannavi.com/tohan-c/SC2311LS.php)へ。申込締切は1月31日。

訂正

1月1日号4面に掲載した「わが社のイチ押し企画」で、Gakkenの筆者の名前を牧野喜文氏と記載しましたが、牧野嘉文氏の誤りです。お詫びして訂正します。

「文具女子博」に3万8千名が来場/日販セグモ

日販セグモは11月23日~27日に東京・大田区の東京流通センターで文具の展示販売イベント「文具女子博2022」を開催した。
開催テーマは「わたし彩る文具アトリエ」で、「好きなものに囲まれる場所」「好きなことに没頭できる場所」としての〝アトリエ〟をイメージ。過去最長となる5日間の期間中に約3万8千名が来場した。
出店メーカーの多くが、文具女子博限定の商品を多数ラインナップ。また、文具女子博で新商品を先行販売し、売行き動向を見て販売戦略を計画するという動きも活発化している。今年は自分だけの特別なグッズを作れるワークショップを3年ぶりに開催。また会場の外でも文具女子博を楽しめるよう、六本木のカフェ「茶彩絲」でコラボカフェを期間限定開催した。
来場者の直接投票で大賞を決める「文具女子アワード2022」は、エントリーした76商品の中から、マスキングテープをリボン・ギザギザ・短冊の形に飾り切りができるテープカッター「マステノリボンボン」(クツワ)が大賞に輝いた。各受賞商品は一部商品を除き、全国の文具店と書店店頭で12月下旬からフェア展開を行っている。
また、「オンライン文具女子博文具で福よ来い」を1月13日(金)正午~19日(木)午後6時に開催。チケットは不要。オンライン文具女子博限定の〝福〟袋を販売するほか、「文具女子博2022」で人気だった商品を多数取り揃える。イベントURL=https://bungujoshi.com/event/online_fukuyokoi/

第59回「日販マネジメントセミナー」を開催/日本出版販売

日本出版販売(日販)は3月8日午後1時~5時半、オンライン配信で第59回「日販マネジメントセミナー」を開催する。
講師は、第1講が地球の歩き方代表取締役社長の新井邦弘氏、第2講が元東京ヤクルトスワローズ監督で野球解説者の真中満氏、第3講が生活協同組合コープさっぽろ理事長の大見英明氏。オンライン配信はZoomによる視聴を予定。会費は1名あたり税込2万円(日本出版共済会加入口数20口ごとに1名2万円の補助)。申込フォーム(https://form.k3r.jp/nippan/ma2022)から必要事項を入力して申込む。申込締切は2月28日。問い合わせは、日販マーケティング推進部ストアソリューション課(℡03―3233―4791)まで。

年末年始の店頭売上/トーハンは2・9%減、日販は4・4%減/雑誌は「大河」関連本が牽引し堅調

年末年始(22年12月29日~23年1月3日)の書店店頭売上動向をトーハン、日本出版販売(日販)が発表した。これによると、トーハン調べが前年比2・9%減、日販調べが同4・4%減となった。
トーハンの発表(1553店)によると、年末の売上は書籍1・8%増、雑誌1・6%増、コミック14・2%減、MM(マルチメディア)5・7%減、総合1・6%減。年始は書籍1・5%減、雑誌1・2%減、コミック14・9%減、MM5・9%減、総合4・6%減。期間計は書籍0・3%増、雑誌0・6%増、コミック14・5%減、MM5・8%減、総合2・9%減だった。
期間中の購入客数は前年に比べ7・4%減少したが、客単価は4・2%増加したため、総合売上は2・9%減となり、出版物の定価上昇傾向によって客数減少の影響は一定程度緩和された形になった。
書籍は、12月3日公開の映画の関連書『THEFIRSTSLAMDUNKre:SOURCE』(集英社)が好調で、既刊の書籍扱いコミック『SLAMDUNK新装再編版』シリーズも売上を伸ばした。ジャンル別ではゲーム攻略本が70・7%増と大幅伸長。11月に発売された「ポケットモンスター」新作ゲームの攻略本『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット公式ガイドブック完全ストーリー攻略』(オーバーラップ)が上位にあがった。雑誌は、ムックが3・5%増。『NHK大河ドラマ・ガイドどうする家康前編』(NHK出版)などの大河ドラマ関連銘柄が伸長した。コミックは、12月までアニメ放映の『チェンソーマン』(集英社)、1月からアニメ第2クール放送の『ブルーロック』(講談社)など、アニメ化作品が良好な売行きだった。
日販の発表(1418店)では、年末の売上は書籍4・5%減、雑誌0・5%減、コミック4・4%減、開発品0・7%増、合計3・3%減。年始は書籍6・2%減、雑誌1・7%減、コミック8・3%減、開発品1・9%減、合計5・9%減。期間計は書籍5・3%減、雑誌0・9%減、コミック6・3%減、開発品0・4%減、合計4・4%減となった。
売上動向を店舗立地別に見ると、駅前・駅中が1・9%減で、ロードサイドの5・2%減やインショップの4・6%減に比べやや良好な結果に。3年ぶりに行動制限のない年末年始となり、帰省や旅行で交通機関の利用者が増加したことが影響したとみられる。
書籍は、全ジャンルで前年割れに。『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット公式ガイドブック完全ストーリー攻略』(オーバーラップ)や、12月24日放送のTBSテレビ「王様のブランチ」で紹介された『変な絵』(双葉社)、「最強王図鑑」シリーズの最新作『最強王キャラ図鑑』(Gakken)などが好調だった。雑誌は、ムックで『どうする家康前編』(NHK出版)が、前年の『鎌倉殿の13人前編』と比較し、本体価格の値上げに加え、売上冊数が約20%増となり売上を牽引した。コミックは、前年の『呪術廻戦18』(集英社)の影響で雑誌・開発品扱いコミックが苦戦。一方、映画がヒット中の『THEFIRSTSLAMDUNKre:SOURCE』(集英社)が好調で、書籍コミックは59・3%の大幅増となった。

「本屋のあとがき」/「ゴロワーズの思い出」/ときわ書房本店文芸書・文具担当宇田川拓也

第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作、小西マサテル『名探偵のままでいて』(宝島社)に、フランスの煙草「ゴロワーズ」が出てきて目が留まった。
レビー小体型認知症を患う老人がゴロワーズに火を点けているあいだだけ覚醒し、束の間の名探偵となって孫娘の話す日常で遭遇した謎や事件を解き明かすのだが、それはさておき、このゴロワーズにはちょっとした思い出がある。
『眠りなき夜』、『檻』、『渇きの街』といった北方謙三の初期ハードボイルド作品に、高樹という一匹狼の刑事が脇役として登場する。「老犬トレー」のメロディを口ずさむ癖があり、ついたあだ名が〝老いぼれ犬〟。このキャラクターが作中で手放さないのがゴロワーズで、旧式のオイルライターで火を点け、くゆらせる姿に、若かった私はたちまち「カッコイイ!」とシビレた。そして(どれくらい若かったのかはご想像にお任せするが)、このゴロワーズなる煙草を喫ってみたいと、強い思いに駆られたのだった。
ところが、近所の自販機をくまなく探しても、さっぱり見つからない。まだインターネットもなかった時代だ。そもそもどんなパッケージなのかもわからないまま、方々に足を延ばしていたある日のこと、某駅からほど近い煙草屋の自販機でついに発見。目的を果たすことができたのだが、正直、味がどうこうよりも喫えたことの満足感の方が大きかった。背伸びをすることが愉しかった、微笑ましい記憶である。