全国書店新聞
             

平成29年2月15日号

3・4%減の1兆4709億円/2016年紙の出版物販売額/出版科研調べ

出版科学研究所は2016年の出版物発行・販売概況を発表した。これによると紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比3・4%(511億円)減の1兆4709億円で12年連続のマイナスになった。1兆4千億円台を記録したのは1981年以来のこと。書籍は同0・7%減の7370億円、雑誌は同5・9%減の7339億円となり、雑誌が書籍の売上を41年ぶりに下回った。
書籍の推定販売金額は前年比0・7%(49億円)減の7370億円で、10年連続の前年割れとなったが、小幅のマイナスにとどまった。年間を通してベストセラーがコンスタントに出現し、長く売れる作品が多かった。ミリオンセラーは、出版科学研究所の年間単行本総合ランキングでは、『ハリー・ポッターと呪いの子』(静山社)が唯一達成した。また、児童書、実用書、学習参考書など好調なジャンルが多く、全体の伸びに寄与した。
新刊点数は7万5039点で、同1・8%減。内訳は、取次仕入窓口経由が同1・3%減の5万3538点、注文扱いが同3・2%減の2万1501点。取次仕入窓口経由は4年連続のマイナスで、特に文庫本の減少が目立った。
出回り平均価格は、同0・9%(10円)増の1138円と3年連続の増加。文庫本の販売状況の低調が響いた。新刊平均価格も同1・5%(17円)増の1162円と上昇した。金額返品率は同0・3ポイント改善し36・9%。店頭での堅調な販売状況や、取次各社が送品の引き締めを継続している効果で、2年続けての改善となった。
ジャンル別動向をみると、文芸書では、『天才』(幻冬舎)が田中角栄ブームをリードして92万部に到達。芥川賞受賞の『コンビニ人間』、本屋大賞受賞の『羊と鋼の森』(ともに文藝春秋)など文学賞受賞作に前年に続きヒットが生まれた。佐藤愛子、瀬戸内寂聴など高齢作家のエッセイも人気を博した。文庫は定番人気作家の作品は強いものの、既刊の不振が深刻。
雑誌の推定販売金額は同5・9%(462億円)減の7339億円となり、19年連続のマイナスとなった。内訳は、月刊誌が同5・3%(337億円)減の6009億円、週刊誌が同8・5%(123億円)減の1331億円。
推定販売部数は同8・0%減の13億5990万冊。内訳は、月刊誌が同7・3%減の9億7417万冊、週刊誌が同9・8%減の3億8573万冊。平均価格は同2・2%(12円)増の558円。内訳は、月刊誌が同1・9%(12円)増の631円、週刊誌が同1・7%(6円)増の356円と上昇が続く。金額返品率は同0・4ポイント減の41・4%で、送品を大幅に絞ったことや、コンビニでの販売状況がやや回復したことから改善した。
創復刊点数は同3点減の73点で、分冊百科、パズル誌、アダルト誌が大半を占める状況が続く。休刊点数は同8点増の125点。『Gainer』(光文社)などメジャー誌の休刊が相次いだほか、電子版に完全移行する雑誌も複数みられた。不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同205点減の3713点、ムックは同398点減の8832点。1号を1点とカウントした付録つき雑誌の刊行点数は同377点減の1万2000点と減少傾向が続く。
部門別に推定発行部数をみると、〈女性〉は同8・2%減で、20代だけでなく30~50代も部数を減らすなど低迷した。〈男性〉は同6・0%減。女性誌と同様にストリートファッション誌が厳しく、ミドルエイジ向けも低調だった。〈趣味〉は同4・6%減で、年齢層の高い雑誌でも落ち込みが激しかった。
電子出版の市場規模は1909億円で、同27・1%増、金額で407億円増加した。内訳は、電子コミックが同27・1%増の1460億円、電子書籍が同13・2%増の258億円、電子雑誌が同52・8%増の191億円。電子雑誌は定額制読み放題サービス「dマガジン」の売上占有が大きく、約150億円程度とみられる。
紙と電子の出版市場を合わせると1兆6618億円、同0・6%減。市場全体における電子出版の占有率は11・5%で同2・5ポイント増加した。

上野の森親子フェスタ、5月3~5日開催

「上野の森親子フェスタ2017」が、5月3日(水)~5日(金)に東京都台東区の上野恩賜公園中央噴水池広場を中心に開催される。
会場では、児童書出版社が出展して絵本や児童書を読者謝恩価格で販売するほか、絵本作家のサイン会、絵本・読み聞かせ関連の講演会などが行われる。

大賞に『私の少年』(双葉社)/第2回TOKYOBOOKAWARDS/東京組合

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は2月2日、東京都千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。主な審議・報告事項は以下の通り。
〔総務・財務委員会〕
総代会は5月19日(金)午後1時から、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで開催する。総代会までの理事会・グループ別委員会等の開催予定や、支部やエリアが提出する書類について説明があった。平成29年度は役員改選期にあたり、総代会には理事定数変更等を盛り込んだ定款変更案を提案する予定で、役員候補者の選出についてエリア会を開催してほしいと要請した。
事業の事後報告として、「言語活動推進フォーラム『ことばと体験のキッズフェスタ』in東京」(1月28日開催、主催=文字・活字文化推進機構ほか)を後援し、東京組合青年部が会場での児童書販売に協力したと説明があった。
〔デジタル戦略委員会〕
電子書店「BOOKSMART」と書店店頭連動の増売企画「TOKYOBOOKAWARDS」の第2回大賞作品を『私の少年』(双葉社、高野ひと深著)に決定、大賞の発表と増売企画を案内するFAXを2月7日に組合員に送付すると報告した。また、読者プレゼントの当選番号も発表され、ギフトチケット発券店で賞品との交換を要請した。第3回企画については、商品選定にあたりテーマを決めて実施したいと説明があった。

「出版業界の状況と問題点」書協・相賀理事長が講演/近畿ブロック会

日書連近畿ブロック会(面屋龍延会長=大阪府書店商業組合理事長)は2月1日、大阪市北区の大阪駅前第3ビルで日本書籍出版協会・相賀昌宏理事長(小学館)の講演会を開き、滋賀、大阪、京都、奈良、和歌山、兵庫各組合の書店や取次ら計83名が聴講した。
講演会は兵庫県書店商業組合・中島良太理事長の司会で進行し、面屋会長があいさつ。「日書連は出版物への軽減税率適用、読書推進、書店粗利益30%獲得などを掲げて、組合加入書店の皆さんと運動している。いま書店にとって最も切実な問題は、富士山マガジンの定期購読の割引販売やdマガジンをはじめとする定額読み放題サービスによって、店頭と外商の客を奪われていること。書店業界は大変苦しい状況。今日は組合の役員だけでなく、個店の社長が多数出席している。業界のリーダーである相賀氏の話を聞き、街の本屋が長く営業していくためにはどうすればいいか、一緒に考えたい」と述べた。
相賀理事長は「出版業界の状況と問題点」をテーマに講演。公共図書館への地元書店参入、大晦日の特別発売日設定、定額読み放題サービスの普及、部分・時限再販、消費税の軽減税率などの諸問題について話し、「出版社は書店の皆さんに還元できると確信して様々な施策を進めている。気になったことは遠慮なく声に出していただきたい」として、出版業界が一体となっての取り組みを訴えた。
質疑応答のあと、滋賀県書店商業組合・吉田徳一郎理事長のあいさつで閉会した。

「にいがた文学検定」に600名超が応募/新潟組合

新潟県書店商業組合(西村俊男理事長)は、10月27日~11月9日の読書週間に合わせ、日書連の読書推進活動補助費事業として「にいがた文学検定」を実施した。
新潟にゆかりのある作家、文学作品が県民共通の文化的財産であることを認識し、活字文化の発展に寄与することを目的に企画。「川端康成の小説『雪国』の書き出しの2文字は?」など、新潟をキーワードとした問題を出題し、回答に応募した読書の中から抽選で100名に図書カードをプレゼントするもの。組合員書店の店頭では関連書籍を陳列し、増売を図った。
応募数は毎年増加傾向。今回は600名を超え、地元の中学校の生徒43名から応募があった。その中学校の先生が、書店で配布している検定用紙を生徒に配り、問題を解いてもらってまとめて郵送してきた。この事業が広がりを見せてきた表れと新潟組合では見ている。(西村俊男理事長)

「売る気概持って頑張る」/井上理事長が年頭の決意/神奈川組合新年懇親会

神奈川県書店商業組合は1月20日、横浜市中区の華正楼で新年懇親会を開き、書店、出版社、取次ら総勢100名が出席した。
あいさつした井上俊夫理事長は「今の出版業界、神奈川県の書店は本当に厳しい状況にある。これではいけない。本を売ろうという気概を持って、これから頑張る。出版社、取次の皆さんに協力をお願いしたい」と述べた。
来賓を代表してあいさつした日書連・舩坂良雄会長は「出版社が売れる本を出してくれることが、書店にとって一番ありがたいこと。昨年は雑協が中心となって大晦日に特別発売日を設定した。賛否両論あったが、まずやってみることが大事。一歩一歩の前進から新しいことを発見できる」と評価し、今後の取り組みに期待を寄せた。
また、図書館図書整備費について「各自治体に地方交付税として措置させるため、そのまま図書費に使われるわけではない。交付税措置が図書館のために使われるよう、首長や教育委員会などに働きかけなければならない。地元の書店や政治家の力を借りて攻めていきたい」と述べた。
トーハン神奈川支店の金谷覚支店長が「神奈川組合で増売し、神奈川組合からベストセラーを出そう」と述べて乾杯した。

「得意分野活かす品揃えを」/静岡組合新年総会で江﨑理事長

静岡県書店商業組合は1月18日、浜松市の舘山寺温泉ウェルシーズン浜名湖ホテルで新年総会を開催し、組合員、出版社、取次ら総勢38名が出席した。
総会は、佐塚慎己常務理事の司会で進行し、庶務報告、日書連関係の報告、事業・流通・広報IT・拡売・読書推進・新市場の各委員会委員長からの報告があった。
年頭あいさつで江﨑直利理事長は「昨年は取次や書店の垣根を超えて、『しぞ~か本の日!』として、静岡書店大賞の発表と同時に書店大商談会を行うことができた。今年は出版輸送が重要な問題となり、土曜休配日が増加するだろう。売上が減少する中、各店舗の品揃えを見直し、得意分野をもっと活かしていくべき」と語った。最後に「本は読めば体の一部となり、血となり肉となり糧となるもの。本が好きという気持ちを持ちながら頑張っていこう」と、自らが愛誦する歌舞伎の演目の三人吉三の科白とともに出席者の今年の発展を祈願した。
次に、小学館、集英社、静岡新聞社の各担当者が来年度の営業施策を説明。参加書店全員が外商の拡売、売場の充実を誓った。
この後、酒井良幸理事の司会で、出版社と取次を交えて懇親会を催した。
(佐塚慎己広報委員)

「生き残りへ力合わせて」/志賀理事長が新年あいさつ/北海道新年懇親会

平成29年北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会が1月24日、札幌市中央区のJRタワーホテル日航札幌で開催され、35名が出席した。
主催者として最初に北海道書店商業組合・志賀健一理事長があいさつ。「出版業界は今、大変厳しい状況に置かれている。日書連が行った実態調査の結果によると、全国の85・2%の書店が経営が厳しいと回答している。北海道組合の加盟書店数も100店を切った。何とか生き残れるよう、みんなで力を合わせて、より良い環境を作っていきたい。出版輸送の問題も綱渡りの状態と聞き心配しているが、一緒に頑張って乗り越えられるようよろしくお願いしたい」とあいさつした。
続いて、トーハン北海道支店・富田恭一マネージャー、小学館パブリッシング・サービス・伊端永人支社長があいさつ。北海道新聞社・熊谷純二出版センター長の発声で乾杯。懇親を深め、今年の活躍を誓い合った。(事務局・髙橋牧子)

催し

★よむよむ・わくわく広場in足立区(同実行委員会主催)
幼児・小学生と保護者向けの「読育」イベント。3月4日(土)午前10時~午後4時、東京・足立区の千住ミルディスⅠ番館「シアター1010」で開催。
このイベントは、出版文化産業振興財団の「絵本・日本プロジェクト」が2011年にスタートしたもので、今回は足立区、東京都書店商業組合足立・荒川支部、小泉書店と共催。会場では、絵本作家のおはなし会やサイン会、塗り絵や工作などの体験型イベント、辞書引き学習を開発した深谷圭助氏による「特別授業」などが行われる。

第1回「書店員ビブリオバトル」/チャンプ本獲得は、船橋市・ときわ書房の近藤隆さん

書店員がバトラーとして出場する書評合戦、第1回「書店員ビブリオバトル」が、1月27日に東京・丸の内のサピアタワー「ステーションコンファレンス」で開催された。首都圏と仙台の店舗に勤務する6人の書店員がおすすめ本を紹介し、聴衆の投票により、ときわ書房(千葉県船橋市)の近藤隆さんが紹介した『本にだって雄と雌があります』(新潮社)がチャンプ本に選ばれた。「書店員ビブリオバトル」は活字文化推進会議、読売新聞社の主催、文部科学省、日書連の後援で開催。第1部のバトラーによる発表では、6人の書店員が「おすすめ本の魅力」を5分間で紹介し、観戦者からの質疑に回答。全バトラーの発表後、一番読みたくなった本を会場の全員が投票し、最多票獲得のチャンプ本と次点の準チャンプ本を決定した。
チャンプ本に選ばれたのは、ときわ書房の近藤隆さんがプレゼンした『本にだって雄と雌があります』(紹介内容を別掲)。準チャンプ本は、有隣堂(神奈川県横浜市)の市川紀子さんが紹介した『横浜駅SF』(KADOKAWA)が獲得した。市川さんは発表で「ずっと改築工事を続けている横浜駅が生命体となって自己増殖を始め、本州を覆い尽くしてしまったという設定。その『エキナカ』を5日間限定の『18きっぷ』で行く主人公の物語にはらはらする。ロードノベルSFの系譜に連なる最新版として見る楽しみ方もあり横浜駅に詳しくない方も十分楽しめる」と話した。
第2部では、作家の浅田次郎さんとノンフィクション作家の長田渚左さんによるトークセッションを開催。浅田さんは、「本屋に入る時は心がときめく。気に入った本を買って、家まで我慢できずに喫茶店で読み始めてしまうのが至福の時間」と話し、長田さんは「待ち合わせは本屋がいい。場所を決めないで会う人を探し、『ああ、こんな本を読んでるんだ』と見つけるのが好き」と語った。また浅田さんは「世の中の風潮として、読書を勉強にしてしまってはいないか。それは読書の王道ではない。面白く楽しい時間を過ごせることが本の素晴らしさ。書店員の皆さんは本の面白さを知っている。それをぜひお客さんに伝えてほしい」と呼びかけた。
【チャンプ本『本にだって雄と雌があります』(新潮社)/ときわ書房外商部課長・近藤隆さん】
この小説は、あらすじを紹介するのが難しいので最小限にとどめます。「幻書」とは、本と本の間に生まれた子どもの本を意味します。「本に雄と雌がある」というのはそういう意味なんですが、それが世界の秘密に関わっているらしい。主人公は深井與次郎という学者で、日本でおそらく唯一の幻書コレクター。この人が生涯を通じて垣間見る世界の秘密、みたいな話が、冗談と誇張とほら話満載で進んでいく。エピソードがあっちこっちに脱線するので、話がどこに転がっていくかわからない。そうかと思うといつの間にか話が変な角度から元のところに戻ったりして、そのリズム感がとても面白い。私がこの本を紹介しようと思ったのは、怒涛のように押し寄せるエピソードの多くが本や読書に関するものだからです。本好きの作家が本好きの読者のために書いた、小説好きのための小説という感じです。
大きな魅力は、個性的な人物がたくさん出てくること。その筆頭は與次郎ですが、1人だけ與次郎の末子の宗佑を紹介します。3つの歳まで言葉を話さず、壁にかかっている世界地図を日がな一日眺めているような赤ん坊で、與次郎が地球儀を見せると彼は「やっぱりな」と初めて叫びます。驚いた與次郎が理由を聞くと、「世界は丸いと思うとったんや」と言う。メルカトル図法の世界地図を眺めていて、どうも世界は丸くないとつじつまが合わないと、常々考えていたというんです。彼のその後の人生は、本書をぜひ読んでいただきたい。
ストーリーを紹介するのは難しいと言いましたが、これはストーリー性が乏しいという意味ではなく、むしろ起伏が激しすぎて戸惑うくらいです。面白いエピソードを夢中になって読んでいくうちに、関係ない話だと思っていたものが最後に1つにぎゅっと固まる。本当に幸せな気持ちになって読み終えることができる小説です。この本は、今までずっと小説好きでいたことに対するご褒美のような本だと私は思っています。1ページ目から虜になることをお約束します。
〔ビブリオバトル出場者と紹介本〕出場順、敬称略
▽内田剛(三省堂書店)=『ツバキ文具店』(小川糸著、幻冬舎)
▽石岡千裕(あゆみBOOKS仙台一番町店)=『問いのない答え』(長嶋有著、文藝春秋)
▽市川紀子(有隣堂)=『横浜駅SF』(柞刈湯葉著、KADOKAWA)
▽山本亮(大盛堂書店)=『ツタよ、ツタ』(大島真寿美著、実業之日本社)
▽瀬部貴行(紀伊國屋書店)=『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』(ガイ・ドイッチャー著、椋田直子訳、インターシフト)
▽近藤隆(ときわ書房)=『本にだって雄と雌があります』(小田雅久仁著、新潮社)

総合読書率4ポイント増の61%/家の光協会・全国農村読書調査

家の光協会は第71回「全国農村読書調査」の結果をまとめた報告書『2016農村と読書』を発表した。調査は全国60地点の16歳~79歳の男女1200名を対象に昨年7月14日~31日に実施したもの。総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合)は61%で、前年比4ポイント増加した。
■総合読書率
総合読書率は前年比4ポイント増の61%と、5年ぶりに60%を上回った。
性別では、男性が55%、女性が66%でともに同4ポイント増。女性の総合読書率が29年連続で男性を上回った。
年齢別では、10代が最も高く66%、以下、30代が65%、40代と50代が62%、60代が61%、20代が60%、70代が最も低く57%だった。
職業別では、学生が最も高く69%、以下、農業・自営業が65%、給料生活が62%、主婦が60%、無職が最も低く49%だった。
■雑誌読書率
雑誌読書率(月刊誌か週刊誌を読んでいる割合)は同3ポイント増の50%。
性別では、男性が同1ポイント増の45%に対して、女性が同5ポイント増の55%。総合読書率と同じく女性の雑誌読書率が29年連続で男性を上回った。
年齢別では、50代が最も高く54%、以下、60代と70代が52%、30代が51%、40代が49%、20代が46%、10代が最も低く21%だった。10代は前年と比べ15ポイント減少している。
職業別では、農業が最も高く60%、以下、自営業が56%、給料生活が50%、主婦が48%、無職が42%で、学生が最も低く28%。
■月刊誌の読書状況
月刊誌読書率は同4ポイント増の38%。
性別では、男性が同2ポイント増の32%に対して、女性が同5ポイント増の43%と、女性が男性を11ポイント上回った。
年齢別では、50代が最も高く44%、以下、40代が39%、20代と70代が38%、30代が37%、60代が35%、10代が最も低く21%だった。
職業別では、農業が最も高く44%、次が自営業の43%で、学生が25%と最も低かった。
毎月読む人の割合は16%、毎月ではないがときどき読む人は22%だった。同じ月刊誌を毎号読んでいる定期読書率は前年と変わらず14%だった。
■週刊誌の読書状況
週刊誌読書率は同1ポイント増の30%となった。
性別では、男女とも30%で、男性は前年と変わらず、女性は同2ポイント増だった。
年齢別では、70代が最も高く39%、次いで60代の33%となり、最も低いのは10代の7%。前年と比べ10代は16ポイント減少した。
職業別では、農業が39%で最も高く、最も低いのは学生の13%だった。
毎週読む人の割合は5%、毎週ではないがときどき読む人は25%だった。同じ週刊誌を毎号読んでいる定期読書率は同1ポイント減の4%だった。
■書籍の読書状況
書籍読書率(この半年間に書籍を読んだ人の割合)は同5ポイント増の35%。
性別では、男性が31%に対して女性は39%でともに同5ポイント増。女性が男性を8ポイント上回った。
年齢別では、10代が59%と最も高く、以下、20代が45%、40代が43%、30代が41%で、70代が29%、60代が28%と高齢層が低い。
職業別では、学生が最も高く63%、給料生活が39%、主婦が34%、自営業が31%の順で、農業が28%と最も低かった。
過去1ヵ月の平均読書冊数は同0・2冊増の1・1冊だった。
■雑誌、書籍の購入先または借覧先と入手法
月刊誌は1位書店53%、2位スーパー・コンビニ32%、3位予約購読16%。週刊誌は1位スーパー・コンビニ46%、2位美容院・食堂・病院41%、3位書店38%。書籍は1位書店78%、2位図書館・公民館19%、3位スーパー・コンビニ17%。
■電子書籍、電子雑誌の読書状況
インターネットに接続するためにパソコンや携帯電話、電子書籍端末等を利用している人の割合は、同2ポイント増の56%。これらの機器を利用して電子書籍や電子雑誌を読んでいる人は同5ポイント増の25%となった。
性別では、男性24%に対し女性27%。
年齢別では40代が36%で最も高く、以下、20代と30代が33%の順で、60代が最も低く9%となった。
職業別では、最も高かったのが主婦の37%、自営業が最低の18%だった。

「音声DLチケット」新発売/NHKテキスト定期購読拡大めざす

NHK出版は1月24日、東京・文京区の東京ドームホテルで「2017年度NHKテキスト説明会」を開き、書店84名、取次70名、総勢154名が出席。主力商品の語学テキストをはじめ家庭、趣味・教養の各分野のテキストについて説明し、3つの新語学講座の開講、新商品「NHK語学テキスト音声ダウンロードチケット」の発売を発表した。
冒頭あいさつした小林毅常務取締役営業局長は、同社の売上状況について「NHKテキストは昨年4月号~今年3月号ベースで発行部数・実売部数とも前年実績を維持し、実売率も改善する見込み。語学テキストは昨年4月号より30点の価格改定を行ったが、値上げの影響はほとんどなく、ラジオ英語テキストを中心に順調に推移している。家庭テキストも好調で、『きょうの料理』12月号も順調に仕上がる予測」と報告した。
さらに、定期購読獲得コンクールに550書店が参加し、獲得総数28万部、前年比126%と大きな伸び率を達成したことを報告し、「NHKテキストは定期購読での売り伸ばしが効果的な商材。書店の売上に継続的な貢献が期待できると確信している。あらゆる手立てを尽くし、NHKテキスト、定期購読の輪を広げていく」と述べた。
このあと、語学テキストについて語学編集部・箕輪貴部長、家庭・趣味実用テキストについて家庭編集部・福田均部長が説明。
語学テキストは、4月から「高校生からはじめる『現代英語』」「短期集中!3か月英会話」「おもてなしの中国語」の3講座が新たにスタートする。2020年東京オリンピック・パラリンピック、訪日外国人観光客の急増とインバウンド消費、「読む・書く・聞く・話す」の4技能をチェックする入試制度への移行を背景に、外国語学習の需要を取り込む。
新商品「NHK語学テキスト音声ダウンロードチケット」は、NHK語学講座のCDと同じ音声を、ネットで選んで直接ダウンロードできる16桁の引き換えコードがついた新しい音声教材。月刊CDのある語学講座19講座に対応している。1チケットにつき各講座の音声1ヵ月分をダウンロードできる。利用する講座・月号分のチケットを購入する。年4回刊行(3・6・9・12月)。引き換えコードには有効期限がある。予定価格972円(税込)。17年度はCDの販売も継続する。客からの個別の問い合わせは、NHK出版のコールセンターやウェブサイトでサポートを行う。
家庭テキストは、11月で放送開始60周年の「きょうの料理」、4月で放送開始・創刊10周年の「きょうの料理ビギナーズ」、放送開始50周年の「趣味の園芸」、放送開始50周年の「きょうの健康」の4誌が同時に周年を迎える。このうち「きょうの料理」では60周年企画「新家庭料理の定番60」が始まる。人気料理家4人が1年で60品、家庭に残していきたい新定番レシピを紹介する。
販売施策については、販売部・荻光男部長が定期購読獲得とテキストコーナー活性化の施策を説明し、定期購読獲得コンクールと飾りつけコンクールを17年度も実施すると発表した。
説明会終了後に行われた懇親会で、小泉公二社長は「NHK出版に対する忌憚のない意見、問題点の指摘をお願いしたい。皆さんの一言が明日のNHK出版につながる」とあいさつし、有隣堂・松信裕社長の発声で乾杯した。

「正味下げ、考える時期」/梓会出版文化賞贈呈式で出版梓会・今村理事長

出版梓会は1月19日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第32回梓会出版文化賞、第13回出版梓会新聞社学芸文化賞の贈呈式を開催した。
今回、出版文化賞は大月書店、同特別賞は太郎次郎社エディタス、新聞社学芸文化賞は旬報社、同特別賞は国書刊行会が受賞した。
受賞出版社あいさつで、本賞の大月書店・中川進社長は「読み継がれる書籍を刊行し続けることが私たちの仕事。私は創業70年で7代目の社長。これから100年を目指す。今日出席している若い連中が30年後にこの場で受賞のお礼のあいさつをしてくれると思っている。その時は会場の片隅で見守りたい」と述べた。また、太郎次郎エディタス・北山理子社長、旬報社・木内洋育社長、国書刊行会・磯崎純一社長は、それぞれ出版活動の歴史を振り返り、受賞の喜びを語った。
懇親会では、出版梓会・今村正樹理事長(偕成社)があいさつ。休配日拡大の問題について「輸送コストが増え、業量が減っている割に配達先が多くなったため、休配日拡大の提案を行ったという。中小出版社の立場から話すと、なぜ各地にある取次の店売を廃止していったのかと強く感じるし、地方の書店は不便を感じている。本当に出版輸送の効率化を考えるならば、拠点を地方に置いておくべきではないか。アマゾンは逆に配送拠点を日本中に広げている。配送拠点を縮小した挙げ句、輸送が困難になってきたからといって配送する日数を減らすのはいかがなものか」と述べた。
また、書店から出ている正味問題について「出版界全体が苦しいが、その中で小売の最前線の書店が苦しいのはよく分かる。真剣に正味下げを考える時期に来ている。ただ残念なことに、それを原資に何をやるかという提案がほとんどない。正味下げで力を貯めた書店が何をやるか、今一度考えてほしい」と述べた。

12月期販売額0・5%小幅減/大晦日「特別発売日」が寄与/出版科研調べ

出版科学研究所調べの12月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比0・5%減と小幅のマイナスとなった。
部門別では、書籍が同0・8%増、雑誌は同1・6%減。雑誌の内訳は、月刊誌が同0・8%増、週刊誌が同13・8%減。週刊誌は前年同月よりも送品本数が1本少ない雑誌が多かった影響で大幅なマイナスになった。
12月31日に特別発売日が設定され、書籍40点、雑誌170点、総発行部数840万部、約50億円が市場に投入されたため、全体のマイナス幅は抑えられた。
返品率は、書籍が同0・2ポイント減の37・2%、雑誌が同0・5ポイント減の38・3%と、いずれも2ヵ月連続で改善した。
書店店頭の売上は、書籍が約1%減。「ポケットモンスター」の攻略本が大部数で刊行され、ゲーム攻略本が約40%増、クリスマスシーズンで絵本等が好調の児童書が約4%伸長した。雑誌は、定期誌が約2%減、ムックが約1・5%減、コミックスが約10%減と低落が続いている。

日書連のうごき

1月4日年始業務開始。
1月6日トーハン新春の会に舩坂会長が出席。出版クラブ新年名刺交換会に舩坂会長、柴﨑副会長、田島、小林両理事、小泉監事が出席。書店新風会新年懇親会に舩坂会長が出席。
1月10日OaK新春おでんの会に面屋副会長が出席。
1月11日日教販春季展示大市会に舩坂会長が出席。
1月12日JPO運営委員会に事務局が出席。
1月13日公取委員長講演会・賀詞交換会に柴﨑副会長が出席。悠々会新年会に舩坂会長が出席。
1月17日東京都書店商業組合新年懇親会に事務局が出席。
1月18日出版倫理協議会に事務局が出席。
1月19日公取連合会消費者団体との意見交換会に柴﨑副会長、公取協・元永専務が出席。学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。
1月20日神奈川県書店商業組合新年懇親会に舩坂会長が出席。
1月23日全国中小小売商連絡会に事務局が出席。
1月27日活字文化推進会議「書店員ビブリオバトル」に舩坂会長、鈴木副会長が出席。
1月30日読売新聞新春懇親会に舩坂会長が出席。
1月31日日本図書普及役員会に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋、西村各副会長が出席。

日本地図共販が破産申請/負債総額は14億6304万円

日本地図共販(東京都江戸川区、資本金9600万円、佐藤史泰社長)は2月10日、東京地裁へ破産を申請した。申請代理人は植草宏一弁護士ほか(東京都港区、みなと協和法律事務所、℡03―5575―2172)。東京商工リサーチによると、負債総額は14億6304万円(平成28年9月期決算時点)。
創業昭和21年の国土交通省国土地理院地形図など元売捌の1社。設立当初は地形図や一般地図の販売を主力としていたが、旅行ガイドブックや雑誌の扱いを増やし、ピークの平成9年9月期は売上高109億9065万円をあげていた。しかし、インターネットでの地図サービスの普及や相次ぐ帳合変更で、28年9月期は32億1010万円とピーク時の3分の1まで落ち込み、6期連続の当期純損失を計上した。28年4月に保有する不動産を売却するなど負債の削減に努めたが、最近、複数の出版社が同社への出荷を停止し、事業の継続が困難になっていた。
子会社のキョーハンブックス(東京都千代田区、資本金1000万円、高田登司社長)も、同日、同地裁へ破産申請した。