全国書店新聞
             

平成21年3月21日号

笑顔のヒミツは本の中/4月23日から第51回こどもの読書週間

第51回を数える「こどもの読書週間」(読書推進運動協議会主催)が4月23日から5月12日まで、「子ども読書の日」から「子どもの日」を中にはさんだ3週間の日程で開催される。
「子ども読書の日」(4月23日)は、国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深め、子どもが積極的に読書活動を行なう意欲を高めるために、「子どもの読書活動の推進に関する法律」で定められたもの。文部科学省ではポスター(左中段写真)を作成・配布して普及と啓発に努めている。
「こどもの読書週間」の今年の標語は「笑顔のヒミツは本の中」。読進協は読書週間の開催にあたり、公共図書館、全国小・中・高等学校図書館、書店、関係出版社、報道機関等にポスターや広報文書を配布してPR。読書週間の趣旨を表すマーク(右下写真)を作成し、期間中やその前後を通じ各社から発行される雑誌・新聞・広報誌等に使用を呼びかける。
また、都道府県の読進協、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事の実施を推進する。
▽公共図書館、公民館、小・中・高等学校の学校図書館等において「こどもの読書研究会」「こども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人によるこどもの本研究会」「こどもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」等の開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施。
▽都道府県の読進協による都道府県単位の「こども読書大会」等の開催。
▽出版社、新聞社、放送局、文化団体等による、被災害地域、児童養護施設、矯正施設等への「図書・雑誌寄贈運動」の実施

雑誌愛読月間イメージキャラクターに佐々木希さん

日本雑誌協会がこの夏実施する2009年「雑誌愛読月間」キャンペーンのイメージキャラクターが、佐々木希さんに決定した。
イメージキャラクターは、昨年まで「ゴールデン・アロー賞」グラフ賞の受賞者が選ばれていたが、ゴールデン・アロー賞の終了に伴い、今年から雑誌芸能記者クラブ、雑誌写真記者会の協力を得て、雑誌市場で活躍した候補の中から、写真記者会、雑誌愛読月間推進委員会が投票で選出することになった。
雑誌愛読月間は7月21日から8月20日まで実施。期間中は雑協会員社発行雑誌3百誌以上にキャンペーンPRを掲載するほか、全国書店、公立図書館にポスター約3万枚を掲示。首都圏と関西の主要電鉄各社にも中吊り広告等約10万枚を掲出する予定。

特賞は北京への旅4日間/4月20日から春の書店くじ

4月23日の「世界本の日サン・ジョルディの日」に合わせて、4月20日から「春の書店くじ」の配布が始まる。今回は、特賞の海外旅行に「北京4日間の旅ペアご招待」50本を用意した。
24年目を迎える「世界本の日サン・ジョルディの日」キャンペーン。連動企画として今年も「春の書店くじ」を実施する。宣伝用ポスター(左上段写真)では、「北京への旅(ペアで4日間)が当たります」と特賞の海外旅行をPR。このほか1等から4等賞までと、ダブルチャンス賞を合わせて合計51万2150本が当たることを大きくアピールしている。
北京4日間の旅については、組合経由で書店くじを申し込んだ店には、抽選で3店3名を旅行の無料随行員とする特典が設けられている。また、店頭活性化活動の一環として、組合加盟書店全店に無料の書店くじセット(くじ50枚、ポスター1枚)1組を送付する。くじの配布期間は4月20日から30日まで。
春のイベントではこのほか、2009年度「心が揺れた1冊の本」を募集し、応募者の中から抽選でA賞図書カード1万円分を10名に、B賞同1千円分を100名にプレゼントする。また、第4回「本の川柳」の作品を募集。グランプリ1名に図書カード3万円分、入選15名に同5千円分を贈呈する。

書店くじ立替金振り込みました

昨年秋実施した「2008読書週間書店くじ」で各書店にお立て替えいただきました1等1万円、2等千円、3等5百円、4等百円の清算業務は終了いたしました。入金をご確認いただくようお願いします。
書店くじ係

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

この冬の雨の多さは何でしょう。昔「氷雨」という悲しい恋の歌がありましたが、我が身にそんな艶っぽい出来事が起こるわけがありませぬ。客足に悪いと恨めしく空を仰ぎますと、店の南側に建設中の高層高級マンションが真っ直ぐ上に伸び、灰色の雲さえ見えはしませぬ。
さて、古本イベントはミステリ専門店の登場です。何げなく古めかしい本を手に取りますと『小栗虫太郎探偵小説集』(昭和17年初版)、三万円!エーっと思って隣の本を見ましたら、一万円、八千円……。千円・5百円もあって少し安心しましたが、マニアの世界に素人は目をシロクロするばかりです。
海文堂のイベントに協力してくださる書物愛好家の皆さんは、己が眼力と魔法の指先で店頭均一棚からお宝を掘り出す方々です。それでも、お目当ての本には大枚をはたくこともあるだろうという想像はできます。
当店の顧客であり、出版情報提供や、PR誌紙に執筆までしてくれるミステリ研究家・野村恒彦さんが『神戸70,S青春古書街図』(神戸新聞総合出版センター)を出版されました。高校時代にミステリに魅せられ、新刊屋だけではなく、絶版本を求め古本屋通いになったとか。「70年代」とあるように、今はもうない古本屋さんが数多く登場します。いつ、どの本を、どういう理由で読みたいと思い、探し、どこで買ったかを克明に覚えています。店主との会話、店の特徴、棚の配置まで再現してくれます。書名の『街図(ガイズ)』は関西情報誌の草分け「プレイガイドジャーナル」の本を思い出させてくれます。
古本者お待ちかね、海文堂の古本市が3月20日始まります。
関西の野球ファンの話題は、85年トラ球団優勝時に応援者が川に放り込んだ人形の発見です。応援者たちは、昨年のV逸を含め、人形の呪いで日本一になれないと、まことしやかに語っておりました。わがF岡店長も、その手合いです。アンタは無神論者やったはずですが。DVDブック『猛虎列伝』(講談社)も出ました。全巻予約オマケの金ぴかユニフォーム、きっとみんな着るのでしょう。DVD買っても再生機器もないのに、どうするつもり?いらぬ心配、何とかしよる。不況でも、関西は「唯阪神主義者」が賑やかなことで、球春の到来です。
その親会社の鉄道が他社と相互乗り入れで、神戸・奈良が直通になります。ゆくゆくは伊勢にもつながるかもしれません。その前ぶれか、海事書・グッズコーナーに三重のテレビ局の取材・撮影がありました。
また、懇意の作家講演会や、ペンクラブの催しでの書籍販売に指名していただき、感謝感謝の日々です。それでも全体の売り上げは……、と愚痴を言っては、先の感謝が帳消しになってしまいます。反省。

3600誌掲載、『雑誌のもくろく』

雑誌目録刊行会(取次8社加盟)は、全国書店で発売されている雑誌約3600誌を収録した「雑誌のもくろく2009年版」を発行した。頒価380円、B6変型判280頁。
誌名、雑誌コード、出版社、判型、定価、刊別、発売日を誌名50音順で配列し、「週刊誌」「コミックス」「テレビ・ラジオテキスト」「洋雑誌」「分冊百科」は部門を設けて掲載している。さらに、全雑誌を74部門に分類、解説文を付した部門別誌名索引を設け、ジャンル別の検索にも便宜を図っている。昨年休刊した雑誌は別途一覧表で表示している。
本年版では部門別誌名索引を63部門から74部門へよりきめ細かく分類し、洋雑誌は4頁から16頁へ、掲載点数で約150アイテムから約580アイテムへと大幅に増やした。
書店店頭での業務用として読者からの注文や問い合わせに活用されている他、個人注文も多い。問い合わせは雑誌目録刊行会(トーハン内 ℡03-3266-9587)まで。

決算月も同日精算を/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合は3月3日、神奈川県社会福祉会館会議室で3月定例理事会を開催した。庶務報告では2月中の廃業・閉店が5店あり、組合員は290店になった。
日書連報告では、送品・返品の同日精算を求める動きの一環として、神奈川組合は独自に月末同日精算を求めることとしているが、取次各社の決算月に当たる3月は、特に一層強く要望しようという意見が多く出された。
今年で3回目となる「大好きな本・絵画コンテスト」は、県内在住・在園の保育園、幼稚園児を対象に、本を読んでいる様子や本に出てくるキャラクターなどを自由に選んでもらい描いた絵を応募してもらう企画。ポスター発送などの準備は整っているが、より多くの応募作品が集まるよう、関係方面に働きかけていくことを申し合わせた。
上半期決算と新年会収支報告は、これを了承。来年度組合費改訂については、支部ごとに賦課金試案を作成し、次回5月理事会に提出することとなった。
(小田切壽三広報委員)

「声」/くじ発表は携帯も/武蔵野市・拓方堂書店・冨永滋

日書連で年2度の書店くじ、新聞に発表が出るわけでもなく、書店店頭でポスターを見てくださいというものの、書店の参加が少ないから店頭に張り出していない。パソコンでも見られるというが、パソコンを立ち上げてまで調べるかな。10枚で1枚当たると言うが、4等100円では確認する人も少なく、交換に来る人も少ない。調べていないのかもしれない。そこで、もう少し利便性を考えて、携帯電話で発表したらどうでしょう。携帯電話なら、ほとんどの人が持っているので、すぐに調べられる。東京組合の携帯サイトBookersで発表してはどうか。
わが家ではくじの配布期間内に500枚が配りきれない。店頭のお客様も減っていることだし、配達しているお客様に配っても発表を調べていない。無駄にしたくないので辞めようと思っていたが、組合事務局に勧められ今年もやることになった。無駄にならないよう配ろう。配ったお客には当選発表の小さな紙も配布しなくては見てくれない。

3年間、図書購入費3倍に/明石市「ほんだいすきプラン」

兵庫県明石市では、子どもの読書活動の一層の推進を図るため新年度から3カ年の重点プログラムとして「ほんだいすき!プラン」を実施する。
初年度の当初予算は1億円を計上しており、小・中・養護学校において文部科学省の「学校図書館図書標準」に示された蔵書冊数(約48万8千冊:現有蔵書数約34万4千冊)を達成するとともに、幼稚園・明石商業高等学校においても蔵書の充実を図るもの。
このほかにも、「保育所等における読書活動の充実」「子ども図書館における“子ども読書の日”の記念イベントの開催」や「市立図書館・西部図書館における読書推進活動」にも充てられる。明石市市議会議員でもある当組合の山根副理事長(巌松堂書店)の日頃の地道な活動のたまものである。
今の子どもたちは、映像メディアなどの影響で読書の機会が減り、想像する力が少なくなってきていると言われている。子ども達が感性豊かで、人間力あふれる人として成長していく上で、本に親しみ、読書の習慣を見つけることは大変重要な要素である。
本来の意味合いとは少し違うのだが、小泉元総理大臣が第一次内閣での所信表明演説の中で引用した「米百俵の精神」という言葉を思い出した。2001年の流行語にもなったことで記憶にも新しい。長岡藩士小林虎三郎の教育にまつわる故事で「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」と、現在の辛抱が将来の利益となることを象徴するというものだ。
子どもたちは一人ひとりがそれぞれの良さや可能性を持っている。未来を担う子ども達の持てる力や可能性を引き出せるよう、また学習やスポーツの意欲や心を大切にし、一人ひとりが自分の目標に向かって進んでいけるよう教育環境の充実を図ることが我々大人の役割でもある。
景気が低迷し経費削減が叫ばれる中、図書購入費が年々減額されている自治体は多い。明石市の平年ベースの3倍近い図書購入費の増額は何とも豪気な話だ。願わくばこれが全国に広がり書店業界のカンフル剤にならんことを祈りたい。
(中島良太広報委員)

書店は文化の発信地/「しゅっぱんフォーラム」がアンケート

トーハン発行「しゅっぱんフォーラム」は3月号特集企画で書店員を中心に読者・出版社へのアンケートを実施。書店の魅力や書店に必要なこと、日頃感じていることなどの質問に書店員91名、読者20名、出版社11名の合計122名が回答を寄せた。
書店員に聞いた「『書店に勤めていてよかった』と感じること、嬉しかったこと」は、1位「本がある空間で仕事ができること」、2位「お客様に喜んでもらった、感謝された」、3位「本が売れた、フェアが当たった」と続く。
「書店で働いている中で、悲しかったこと、また困ったことはありますか?」の質問には、「万引き」「クレーム」「お客様の要望に応えられなかったとき」などがあげられた。
「書店で働く中で一番大切にしていること、書店員としてモットーとしていること」は、接客態度、顧客の立場に立つことをあげる書店員が多かった。
読者が書店を選ぶ基準は「品揃えのよさ」「店員の接客態度・サービスのよさ」「商品知識が豊富な店員がいる」が多かった。
アンケート結果について、同誌では「書店という場所を単なる商品陳列の場にとどまらず、知的空間、文化の発信地として捉えていることがうかがえる」と分析している。

トーハン、責販制の施策説明/出版梓会セミナーで

トーハンは2月20日、東京・新宿区の出版クラブ会館で開かれた出版梓会主催のセミナーで、同社の責任販売制の取り組みについて施策説明を行い、出版関係者90名が出席した。
同社は平成18年から責任販売制の新たな取り組みを開始。平成20年度は新たな利益創出の施策として大幅に拡大して取り組んでいる。風間賢一郎副社長は「責任販売により書店経営、利益構造の変革を推進すること、つまり書店の利益と売上を上げることが目的。書籍・雑誌・マルチメディア商品など、ジャンルの枠を超えて商材を提供しているので、書店自ら企画を選び取り組んでいただきたい」と施策の狙いを説明した。
MD企画部の岩田新治部長は①書店に通常正味以外の利益を提供する「利益創出型施策」、②有力新刊、売行良好書など入手が難しい商品を確実に供給する「商品供給型施策」――の2種類のラインナップについて仕組みを紹介。
「利益創出型」は銘柄ごとに設定された販売基準を達成することで報奨が支払われる仕組み。報奨金の支払基準は商品により異なるが、売上率70%を基準に販売冊数により本体価格の3~10%程度の段階報奨が設定されている。実績の抽出はトーハン桶川SCMセンターのデータを活用し、送品・返品・POSデータを組み合わせて行う。
「商品供給型」は一定の返品許容枠の条件で必要部数を満数供給する仕組み。期間は約6カ月で、期間内返品率は10%以内。売れ筋商品を必要部数仕入れ、責任を持って売る登録制の販売システム。現在参加登録している2100店の特約店より受注を募り、原則満数出荷を実施している。
この責任販売施策はトーハンが出版社と個別に条件を設定し、個々の対象銘柄について書店が申し込む仕組みで、業界3者が従来の委託制度の枠組みの中で取り組む、効率的な販売システム。なお、このシステムを効率的かつ効果的に展開するため、書店で対象銘柄を管理しやすいよう施策一覧や実績一覧を支援ツールとして提供している。
なお、同社は今年度責任販売施策により230億円の売上を見込んでいる。

人事

○印新任
◇河出書房新社(2月26日付)
代表取締役社長若森繁男
常務取締役管理本部長
吉田正夫
取締役編集本部長
小野寺優
取締役営業本部長
○岡垣重男
監査役野村智夫
前取締役営業本部長の野澤慎一郎氏は営業顧問に就任。
◇日経BP出版センター(3月25日付)
代表取締役社長(日本経済新聞出版社執行役員日経事業出版センター長)
○中町英樹
常務取締役(日経BP社販売局長兼務)広沢健次
代表取締役社長・岡部力也、常務取締役・池田和夫の両氏は3月25日付で退任する。

大藪賞に東山彰良氏/徳間文芸3賞

徳間文芸賞3賞の贈賞式が3月6日午後6時より丸の内の東京會舘で行なわれ、第11回大藪春彦賞は東山彰良氏『路傍』(集英社)、第29回日本SF大賞は磯光雄氏原作・監督『電脳コイル』(TVアニメーション)、貴志祐介氏『新世界より』(講談社)、同特別賞が野田昌宏氏に、第10回日本SF新人賞は天野邊氏『プシスファイラ』、杉山俊彦氏『競馬の終わり』が選ばれた。
大藪賞の選考報告で逢坂剛氏は「テンポよく話が進んでいき、才気が感じられる小説。非常にいいレベルに達していたと思う」と選評。日本SF大賞選考委員の太田忠司氏は「優劣をつけるのが難しく、結果的に同時受賞となった。どちらもすばらしく、感動できる作品だ」と述べた。

『ファミリーウォーカー』6月24日に21万部で創刊/角川

角川ザテレビジョンと角川クロスメディアが合併して3月1日から発足した角川マーケティングは、6月24日に月刊『ファミリーウォーカー』、6月15日に『めしとも』を創刊するとして、3月17日午後、グランドプリンスホテル赤坂で創刊発表会を行った。
発表会で角川マーケティング岩崎孝司常務は「『東京ウォーカー』は創刊して
19年。1回リセットしてTV番組表をはずし、25~29歳の男女2人の休日応援マガジンに再生する。『ファミリーウォーカー』は30代主婦をターゲットに首都圏、関西、東海、九州、北海道の5版で21万部。ママと一緒に家族の絆を深めるおでかけ情報とサービスを提供する。1カ月分のテレビ番組表をつける」などと、雑誌事業の新展開を説明した。
◇『ファミリーウォーカー』=A4判、定価390円、6月24日創刊、21万部発行。創刊号第1特集各エリアおでかけ情報、第2特集家族で過ごす大切な時間。
◇『めしとも』=6月15日創刊、A4判中綴じ124頁、予価550円、5万部発行予定、首都圏在住の40代に向けた月刊食雑誌。
このほか、『東京ウォーカー』は6月23日号より判型をA4正寸に変更、TV番組表を12タウンのイベントカレンダーに変えて、「街」の情報を強化。『シュシュ』は3月26日発売号から隔週月曜刊を第2・第4木曜刊とし、内容面では情報誌から女性誌へ刷新を図るとした。

出版労連が桶川SCMセンターなど見学

出版労連は3月4日、加須市・トーハン東京ロジスティックスセンター、桶川市・桶川SCMセンター、上尾市・上尾センターの3物流施設を見学した。今回で3回目。
一行は、津田清中央執行委員長(小学館)、掛川竜太郎出版産業対策部事務局長(小学館)はじめ総勢24名。東ロジ、桶川SCMセンター、上尾センターの順に回り、担当者の案内で構内を見学、出版流通に対する理解を深めた。
「すべては読者のために」をコンセプトに平成19年10月全面稼働した東ロジでは雑誌返品処理の作業工程を見学。返品データの同時処理方式や返品伝票の起票レスなどで業界全体の効率化に大きく寄与しているという説明に熱心に耳を傾けていた。見学コースでは、付録の多様化などにより煩雑化する作業工程を見て、雑誌流通の現状を実感した様子だった。
トーハン桶川SCMセンターでは、ブックライナーはじめ在庫センター、書籍返品センター、注文品センターなどを見学。自然環境を最大限に活用した省エネルギー設計のビル内で高速自動仕分機、立体自動倉庫など最新鋭のFA設備による処理に驚きの声があがった。上尾センターでは、受品から出荷までの雑誌発送の作業工程を見学。束発送ロボットによる全自動化された作業や全自動検品システムの重量チェックなど、高品質物流を支えるシステムに大きな関心を寄せた。
見学参加者からは「本の流通の様子を身近に感じることができた」との感想が寄せられた。

送品変更で実売6%増/日販オートマチックセール

季節に合った実用書を送品する日販オートマチックセール実用書展示市会・記念研修会が3月5日、6日の両日、宮城県松島海岸「一の坊」で開かれ、書店137名、協賛出版社30名など224名が出席した。
墾親会であいさつした日販古屋社長は「昨年の売上は前年比96・4%。実用書は94・1%だが、2桁落ちたゲーム攻略本を差し引くと、ひどい落ち込みではなく、シェアも9%と手堅い。昨年、売上げを伸ばした銘柄は池田書店『おつまみ横丁』、三笠書房『1分骨盤ダイエット』、高橋書店『からだにおいしい野菜の便利帳』、ぶんか社『朝バナナダイエット』。多面陳列、ワゴンを使った1点集中販売などの仕掛けが功を奏した。実用書も仕掛けで売上が伸びる。料理の世界ではカリスマ料理コーディネータ、SHIORIさんの『作ってあげたい彼ごはん』(宝島社)は3冊で60万部出た。オートマセールも昨年から毎月送っていた棚用セットを年6回にし、かわりに売行き上位商品を平台用に送ったことで実売率が上がり、返品率は下がった。今年も送品方法を工夫してセールを続けていく」と述べた。送品方法変更により返品率は13%減、実売率は6%増加したという。
紀伊國屋書店松原治CEOは「出版業界は12年前の2兆6553億円をピークに12年間で5380億円が失われた。売上低迷は時代や環境のせいでなく、読書欲の低下に我々の努力、対応が足りなかったことを反省しなければならない。版元は英知を結集して内容の濃い商品を送っていただき、書店は格段の努力でこれに応えていきたい」とあいさつした。
昨年実施した実用書販売コンクールは、効率販売賞第1位に紀伊国屋書店浦和パルコ店、返品減少賞に梅田文書堂仲町店、売上拡大賞に有隣堂グランデュオ蒲田店、平台装飾コンクール最優秀賞にBOOKSあんとく荒尾店など30店が選ばれ、表彰された。
乾杯はNHK出版遠藤絢一社長が「リニアモーターカーのリニア(直線)に対して、放送の世界ではノン・リニアが主流。書籍は自分のスピードに合わせられ、途中から読み直しもできる。内容を心に刻む力も持つ。実用書はそうした機能が高い商品。書籍の魅力を多くの読者に伝えられるよう、開発して行きたい」と述べ、乾杯した。
翌6日は午前中、人気落語家、立川談春の独演会を鑑賞した。

実用書中心に2百点/北京書錦縁説明会

日販は3月3日、本社で「北京書錦縁諮詢有限公司中国出版事業方針説明会」を開催。出版社など89名が出席した。日販の現地子会社、北京書錦縁が中国で行う日本版権書の出版制作事業について実績報告と今後の方針を説明し、理解を深めてもらうことが目的。
会の冒頭、宮路敬久書錦縁董事長(日販経営戦略室長)は「日販が北京に現地法人を設立したのは2004年11月。将来性を見込んでの設立だった。日本の出版業界は厳しい状況が続いているが、中国の内需はまだ拡大が見込まれる。是非中国市場に目を向けていただきたい」と述べた。
続いて北京駐在の氏家淳史書錦縁総経理、陳慶総監より説明が行なわれた。氏家総経理は「中国の出版事情は、日販の子会社・書錦縁が現地で直接情報を得て日本の出版社に提供している。書錦縁は現地販売会社と強固な提携関係にあり、中国市場でのリスクは書錦縁の経験とネットワークにより最小限にできる。積極的に版権輸出をお願いしたい」とした。書錦縁はこの4年で実用書を中心に200点を超える日本版権書の中国語版制作を手掛けており、今後はジャンルを拡大し、日本のコンテンツ普及に力を入れていくという。
ブティック社楢原和人取締役は自社の海外事業について紹介。「版権料は純利益と捉えるべき。海外出版社と直接取引する場合、重版報告が心配だが、書錦縁は日販管理のもと印刷報告が行われており、不安を払拭できる」と述べた。

本屋のうちそと

大崎梢や久世番子をはじめ、書店勤務経験の作家さんたちの作品がおもしろい。ミステリーからコミックまで数多くの作品が出ているが、なんといっても書店が舞台になっていると楽しい。
今、一押しなのが「ビッグコミック」連載中のいわしげ孝『上京花日』。ブックスサンフラワー鹿児島店がビル改築の間、開店間もないM店の期間限定助っ人で上京してきた「うざかっこいい書店員」という帯のコピーがピッタシの花田貫太郎が主人公。
若い社員やアルバイトからアナクロと煙たがられるが、時間さえあれば棚を見回っていた主人公が、お客さんの勘違いの記憶からでも該当の本を探し出して「やっぱアナログの勘だな、コンピューターは記憶の間違いまではわからんものよ。」
そして社長も「リアル書店だからこそ、やれることが確実にある」と言う。
書店業界の業務もデジタル化、IT化の方向に流れてはいるものの、コアの部分はアナログと店内を駆け回る彼の姿に、「まだまだやれるだろ、がんばれ!」と背中を押されているような気がする。
そして20数年前の作品「ぼっけもん」で書店のアルバイトだった浅井が、熱いまま成長したんだと感激しているのは僕だけだろうか。
(理)