全国書店新聞
             

平成13年5月9日号(後)

日書連通常総会議案1

1.組織強化・指導教育対策組織強化、指導教育、出版物販売倫理、書店活性化と守備範囲の広いエリアを受け持っている当委員会は、平成一二年度においては、「日書連組織強化加入促進コンクール」の実施、万引問題アンケート調査の実施、東京都の青少年育成条例改正への対応、「青少年社会環境対策基本法案」に向けた日書連としての「見解」の発表、出版販売倫理協議会との連携等々の諸活動を行った。
1組織強化・指導教育日書連傘下組合員の推移を見ると、昭和六一年をピークに一四年連続マイナス成長という由々しき事態に立ち至っている。
この状況を打破すべく「日書連組織強化加入促進コンクール」を実施した。
期間は平成一二年四月一日から平成一三年三月三一日までの一年間とし、一店加入につき一〇、〇〇〇円の報償金を拠出することを決めた。
その結果、東京が一四店、北海道一二店、福岡一一店と三組合が二桁台を達成、全国合計で九六店が新規に加入した。
指導教育としては、六月一三日に帯広畜産大学の杉田聡教授を招き勉強会を開催し、出版物販売倫理における問題点と対応策について意見交換をした。
2平成一三年度組合員数の動向平成一二年度において「日書連組織強化加入促進コンクール」を実施して、九六店の新規加入があったものの、脱退数が加入数を大幅に上回る六四九店、その結果、日書連傘下組合員は一五年連続減少となった。
前年より五五三店の減少、対前年比五・九%減である。
前年と比べて組合員が増加した組合は皆無で、四七都道府県組合が軒並み減少した。
減少数が二桁台になった組合は、北海道、秋田、山形、宮城、茨城、埼玉、千葉、神奈川、東京、静岡、愛知、三重、新潟、富山、大阪、兵庫、愛媛、福岡、熊本、鹿児島の二〇組合に及んだ。
3全国中小企業団体中央会との連絡平成一二年度においても上部団体である全国中小企業団体中央会と連絡を密にし、各種講演会、研修会等の催しに際しては積極的に参加し、情報交換を行って来た。
とりわけ、コンピュータと通信技術の飛躍的な発達に伴い世界的規模で進行しているIT革命に対する取り組みとして、現状の問題点や将来展望など業種を超えての意見交換を行った。
4出版物販売倫理問題日書連は出版業界の自主規制機関である出版倫理協議会に積極的に参加し、小売書店の立場から意見を述べるとともに、青少年健全育成の観点から、出版社に対しては「成人向け雑誌」識別マーク表示の促進、書店に対しては「帯紙措置」に対する取り扱いの配慮、「成人コーナー」の設置、対面販売の励行等の協力要請を行った。
平成一一年に成立した「児童買春・児童ポルノ禁止法」以来、「荒れる一七才」という社会現象の中で「青少年社会環境対策基本法案」、「個人情報保護基本法案」、「東京都青少年育成条例の改正」等、青少年を取り巻く環境浄化に向けた動きが活発化して来た。
「青少年社会環境対策基本法案」に対しては、出倫協は「青少年の保護というシンボルに名を借りた法案は、表現の自由を危うくし、民主主義社会を危機に落とすもの」として、平成一三年一〇月に撤回を求める見解を発表、また日書連としても、「短絡的な考え方のもとに、言論・出版・表現の自由を行政が規制できる内容を含む法案である」として、出倫協同様撤回を求める見解を同年一一月に発表した。
東京都青少年育成条例の改正問題は、東京都書店商業組合が三月二日付で、「これまでの自主的措置として進めて来た区分陳列を都条例で義務化することに疑問と不安を感ずる」として、慎重な審議を求める要望書を都に提出、次いで都議会各政党に対し中小書店への配慮を求める陳情活動を展開したが、本年三月都議会で可決成立、四月公布、七月施行が決定した。
今回の都条例の改正では、不健全図書指定については、従来の判断基準に加え、自殺や犯罪を誘発するおそれのある図書も対象としている。
また、小売店における区分陳列を義務付け厳しい処罰規定を設けた。
都条例の改正により、区分陳列規制を設けている自治体は全国で一九地区になった。
尚、不健全図書指定状況は、「包括指定あり」が四二自治体、「緊急指定あり」が四五自治体となっている。
出版倫理協議会は、こうした一連の規制強化は青少年保護育成を名目にしたメディア規制に発展する危険性が大きいとし、自主規制の有り方を再検討している。
その一つが「出版ゾーニング委員会」の設置である。
これは、映倫やビデオ倫などに見られる「年令制限マーク」を出版物にも適用し、区分陳列や販売に当たっての目安にしようというもの。
今までは「成人向け雑誌」という識別マークを出版社の自主判断で付けていたが、なかなか徹底できないことから、マークそのものを見直すとともに、同委員会の判断も加えて促進を図ることにしている。
5万引問題実態調査の実施万引問題については、全国書店共通の悩みの種であり、多くの組合員が対応策に苦慮しているところでもある。
日書連としては、昭和五七年に傘下組合員の一割を対象に同問題の実態調査を実施した。
以来、一八年の歳月が流れているが、その間に書店を取り巻く環境は大きく様変わりした。
とりわけ、新古本店やまんが喫茶の爆発的な出店展開が周辺の新刊書店の売り上げに多大な影響を与えているばかりか、換金目的による万引が増加しているという声を多く耳にするようになった。
一方、「青少年白書」によると、「平成一〇年の刑法犯少年(一四才以上二〇才未満)は、一五万七、三八五人(対前年比三・〇%増)である。
これを罪種別にみると、万引、オートバイ盗、自転車盗などの窃盗犯が全体の六三・四%を占めて最も多く、年令別にみると、一四~一六歳の低年令層が六五・八%を占めている」と報告している。
こうした状況下、今回の調査は日書連並びに東京組合の役員を対象に実施、集計・分析では日書連と東京組合との比較のほか、近くに新古本店が有るか否かによる違いも比較してみた。
この報告書は七〇〇部作製し、都道府県組合で有効活用願った。
万引問題に関しては、四月一九日に出版問題懇話会と意見交換をしたほか、七月一四日には警視庁を訪問し、書店の実態を訴え青少年健全育成の観点からの対応を要請した。
また、万引問題を中心に審議することを目的に出版文化産業振興財団(JPIC)内に流通改善委員会を設置した。
6青少年と社会環境に関する中央大会への参加青少年育成国民会議では、青少年育成関係者とマスコミ関係業界の関係者が一堂に会し、青少年を取り巻く社会環境改善に向けた意見交換会を継続的に実施しているが、今回は平成一三年二月一日に開催した。
日書連は席上、「成人コーナーの設置」「定期改正の励行」「対面販売」等を通して青少年に対しての販売上の配慮を呼びかけていると報告、併せて読書普及運動を通して健全育成面で協力していること、書店店頭における万引の増加に苦慮していることなどを訴えた。
7書店活性化対策東京組合青年部が中心となって設立したTS流通協同組合は、客注品の迅速確実入荷の実現を目指すもので、中小書店と読者を結ぶために書店自らが立ち上げたシステムである。
現状、約五〇社と誓約書を取り交わしており、一四五店の会員の内九〇店が参加、日書連としてもデータベースや検索システムの改善等で協力した。
書店活性化の問題は、組合加入メリットの追求と密接不可分なところがあることから、宮城、三重、沖縄などで実施している「返品運賃の軽減」、東京、大阪、兵庫、京都などで構築したFAX通信網、情報化推進委員会で斡旋している廉価な書店端末パソコンなどを紹介し、各県組合でも積極的に取り上げて活性化に役立てて欲しいと呼びかけた。
2.広報活動1全国書店新聞の重点取材平成一三年春の「存廃の結論」を前に、今年も最重点課題は再販問題の対応だった。
日書連は四月理事会で再販特別委員会を設置、同委員会のもとに各県組合で行った自治体の意見書採択の取り組み、各党、有力議員への陳情、永六輔氏の講演会、「一一・一七出版再販を守る集い」、公取委中間報告などの記事を特集し、全国書店に運動の現状を伝える役割を果たした。
また、子ども読書年を記念して各種読書推進運動が目立った年だったが、本紙では「上野の森フェスタ」、大崎で行われた「子どもの本ワールド」の紹介や、児童書販売に力を入れている書店の取り組みなどを紹介。
各種レポートでは「全国小売書店経営実態調査」「愛媛県書籍販売業経営動向」「再販弾力運用レポート」「万引問題実態調査」「書店二一世紀ビジョン」などを取り上げた。
新企画では、九月の全国広報委員会で決めた「ふるさとネットワーク」を一一月二九日号から開始。
同号では近畿ブロック六組合の広報委員が従来の書店新聞では扱わなかった地域の話題を提供してくれた。
当面、毎月、ブロック単位で掲載していく。
このほか、IT時代を迎えて、一二月に「本屋さんのパソコン活用(パート)」の連載を開始、より実践的な記事として好評を得ている。
2全国広報委員会議九月四日、東京の日本青年館で、三四都道府県組合の広報委員と日書連本部合わせて四四名が出席した。
辰巳副委員長が岩本委員長を代行、再販問題、IT時代への対応、日書連ホームページの活用などについて意見交換を行い、各県組合からの情報発信を拡大していく方針を意思統一した。
3全国書店名簿の発行二〇〇〇年版『全国書店名簿』を一〇月に発行した。
ブロック版名簿は北海道、東北、東京、東海、近畿、四国の六ブロック版を製作して各組合に実費で頒布した。
4日書連ホームページの運営平成一一年夏から情報化推進委員会と共同でパソコン通信NIFTYサーブ上に「日書連パティオ」を開設し、書店の情報交換の場として活用してきたが、一二年六月から日書連ホームページ上に「掲示板」ができ、書店、読者が自由に発言できる場となった。
このため「日書連パティオ」はその役割を終了した。
また、日書連ホームページには『全国書店新聞』の記事を毎週更新、一三年四月からは週間売れ行き情報、コラムなどのコンテンツを配信している。
3.出版物再販問題日書連は、平成一二年度も出版業界四団体で構成する出版再販研究委員会の協議事項に沿って、法定再販制度の擁護の立場から、その運用並びに調査研究、広報に関することによって、正しい理解を深めるための努力を行ってきた。
著作物再販制度の見直し問題は、平成三年七月の再販適用除外制度の見直しから、平成七年七月の規制研の公表文、同一〇年一月、同年三月と二回にわたり「著作物再販制度の取り扱いについて」と題し、公表文を発表、六項目にわたる改善のための問題点を指摘した。
平成一〇年一二月には、「著作物再販制度下における関係業界の流通・取引慣行改善等の取組状況等について」を公表、その中で公取委は初めて制度の存廃について、平成一三年春を目途に結論を得るとした。
平成三年から、すでに一〇年の歳月を経過したことになる。
1公取委の取組み状況平成一一年一二月二八日に発表した公表文では、上記の平成一三年春を目途に結論を得るとの方針を提示するとともに、関係業界における取組みの評価と課題について、自主的な再販制度の弾力的運用や流通・取引慣行改善の取組みが行われていることを評価、特に出版業界については、インターネット等を利用した新しい販売形態の拡大、これによるメリットが発行者等の価格設定の多様化を通じ、一般消費者に還元されていくことが望ましいとした。
さらに注文品への今後の一層の取組み、非再販の流通が特異な形のものでなく様々な工夫、書店等によるポイントカード制等を利用した顧客サービスは消費者利益に資するものであり、これを阻害することは問題との指摘があった。
日書連は、こうした状況に対応するために、平成一二年一月一八日に再販拡大委員会を開き、今後の運動方針を検討、一月二一日の理事会において各都道府県組合の活動、日書連としての活動、宣伝活動、出版業界に対する日書連からの要請と各項にわたる具体的方針を確立し、運動に入ることを確認した。
2公取委との「再販対話」公取委は、再販制度自体の存廃については引き続き検討を行うとしていた。
その検討の一環として、公取委事務総局は、出版、新聞、レコードの関係業界と「再販規制研報告書」記載の論点等について議論を深めるため、「再販対話」を行うことになった。
出版業界との対話は二月九日に第一回が開かれた。
公取委事務総局として業界の考え方を直接聞き、深めた議論を行い、その後の糧にしたいとの意向を示した。
日書連からは、藤原直、下向磐、中村宣勝各役員が出席した。
第一回は総論的な検討、第二回は三月八日、出版企画の多様性の維持、全国統一価格、流通ネットワークの必要性等について、第三回は四月一二日、書店の品揃えの多様性、最寄りの書店維持等について、第四回は五月一〇日、流通改善・取引慣行の諸問題について、最終回は六月一四日、総論的な検討をおこなったが、七月一三日には検討の不充分であった部分を補足する意味合いで開かれたものであった。
そのあと、公取委から「書籍・雑誌販売における論点及び質問事項」が提示され、それに対する回答を八月末までに提出することになった。
公取委はこれらの回答をまとめ九月末に公表の予定であったが、その後も一一月まで折衝が続けられた。
公式に発表されたのは、平成一二年一二月七日「著作物再販制度の見直しに関する検討状況及び意見照会について」と題し、公表された。
3公取委・書店に対するアンケート調査の実施八月に入り、公取委は、著作物再販制度の存廃について検討を行っているが、その結果に資するため、書店、新聞販売店、レコード店を対象に消費者に対するサービス提供の実施状況について調査を行った。
調査先は、無作為に抽出した全国の書店三、〇〇〇店、新聞販売店三、〇〇〇店、レコード店一、五〇〇店であった。
調査項目は、事業規模、時限再販商品の時限再販経過後の値引販売の実施について、自由価格本の取扱いについて、一括まとめ販売について、定期刊行物の販売について、ポイントカード制について、通信販売についてであった。
調査期間は平成一二年八月~同年一一月一五日まで、書店の回答数は、一、六一六通、回収率五三・七%と発表され、その結果については、「著作物再販制度下における消費者サービスの実施状況等に関する調査」として、一二月七日に上記公表文と併せて報告された。
4公取委・国民各層の意見提出を求める公取委の当初の予定では、公聴会を開くことになっていたが、大幅に遅れたことから、予定を変更し、著作物再販制度自体の存廃問題や再販制度の運用等の是正についてパブリックコメントとして国民各層から幅広く意見の提出を求めることになった。
意見の提出は平成一三年一月二五日までとなっており、日書連一二月理事会は、全国の書店から再販存続を求める意見書ハガキを公取委に送付することを確認した。
公取委の集計によると二八、〇〇〇通の意見書が提出された。
公取委が行った国民各層からの意見紹介の状況では九八・八%が制度の存続を求めており、書籍・雑誌については九九・六%で圧倒的多数が維持の意見であった。
5行政改革推進本部の動向平成一二年七月に同推進本部(本部長・総理大臣)は論点公開を行った。
その内容は、これまでの規制緩和推進三ヶ年計画と同様であり、また、進捗状況でも、平成一一年九月に「出版物小売業の公正競争規約」を改正したほか、「出版物の価格表示等に関する自主基準」の見直しを行っている。
現在、時限、部分再販など再販制度運用の弾力化など弊害是正の状況を把握中と発表。
また、平成一二年一二月に発表した同本部の見解のまとめでは、公取委が平成一三年春に得るとしている結論においては、閣議決定を踏まえて、より競争的な流通の実施に向けて適切な措置が講ぜられることが示されることを期待する、また、インターネットを利用する電子商取引による流通形態の広まりを視野に入れて結論を出すよう期待するとの内容であった。6日書連としての活動こうした出版物再販制度の見直しの流れの中で、四月理事会は日書連理事・常任委員全員構成による再販擁護特別委員会(委員長高島季雄氏)を設置し、各組合にも拡大委員会の設置を決めた。
今後の活動として六月の衆議院議員選挙に際し有力な立候補者に理解と協力を呼びかける、地方自治体に対し意見書採択の働きかけ、特に政令指定都市への働きかけを重点的に行うことを確認した。
九月の北海道移動理事会では、萬田会長より当面の活動として、国会議員への一層の働きかけ、政令指定都市を含む地方議会での意見書提出、請願・陳情活動の実行など五項目の提案があり、これを「北海道決議」として承認した。
また、問題視されているポイントカードについては、公取委に対して七項目にわたる質問状を文書で提出することも決定をした。
読者配布用の再販PRチラシ一〇〇万枚も日書連として独自に作成することも決定し、ポスターは業界四団体で作成することを確認した。
一〇月には業界四団体で「再販制度弾力運用レポート-出版界三年間の取組み()」をまとめ発表することになった。
平成一三年一月の理事会では、ポイントカードの質問状に対し、公取委取引企画課長より文書で回答があったこと、一月一七日には公取委根來委員長と業界四団体代表との懇談、一月一九日には同委員長の講演会の内容などの報告があり、再販制度の存続にとって重大な時期にきていることを確認した。
都道府県議会における意見書採択では過半数に達していないことから、今後、全力をあげて県議会への働きかけを行うことを決めた。
また、席上、国会の議員会館において全国代表者集会開催の要請も出され、その後の動向を注視することを確認した。
7公取委、ポイントカードについて文書で回答公取委は、平成一一年一二月二八日に公表文を発表したが、その中で、出版業界への評価と課題では弾力的運用、流通・取引慣行改善等の取組みに一定の評価をしたが、今後の取組みとして注文品の迅速化、非再販商品のスムースな流通、ポイントカードの促進をあげた。
特にポイントカードについては、独禁法上の取扱いについての考え方の関係者への周知を掲げ、競争阻害行為を注視していくとした。
日書連はその後数次にわたり公取委と懇談の機会を持ち、ポイントカードの使用が「値引」にあたる行為かどうかを質したが、明確な判断を得られないままであり、平成一二年一〇月三日付文書をもって公取委に質問状を提出した。
その後、文書による回答を求めた結果、平成一三年一月九日付文書で再販擁護特別委員会宛に回答があった。
その内容は、ポイントカードの使用は「値引」であることを明らかにしながらも、出版社が自社の出版物を除外させるなどの行為は消費者利益の確保の観点から問題があること、ポイントカードを実施している書店の取組みを制限することは問題、音楽用CDの事例をみても、再販制度を崩壊させるものになるとは考えられない-というものであった。
日書連はこの回答をもとに二月二一日に公取委と懇談の場を持ち、意見交換を行った結果、回答書は、考え方、つまり案として提示したものであり、今後も話し合いを行っていきたいとし、この時点でも公取委は明確な回答をさけたまま、現在に至っている。
8東京組合「一一・一七出版再販を考える集い」開催東京都書店商業組合と同青年部は、平成一二年一一月一七日、駿河台・全電通労働会館において、日本中どこの本屋でも同じ値段で買えるって素晴らしい-出版再販を守ろう-と訴える「一一・一七出版再販を考える集い」を開催した。
東京組合、日書連関東ブロック各県組合の書店人と出版業界関係者、読者など五五〇名が参加。
第一部では、東京布井出版上野社長の司会により、公取委山田取引企画課長、筑摩書房菊池社長、日書連下向副会長の三氏によるパネルディスカッション。
第二部では書協渡邊理事長、雑協浅野副理事長、文芸家協会高井理事長、出版労連今井委員長のあいさつ、各政党代表のあいさつがあり、運動方針の提案。
平成一三年三月決着に向けて運動を強化する方針を採択、宣言文を可決、時宜を得た集いとして高く評価された。
9再販存続に向けての取組み再販制度の存廃の結論を得るまでに残すところ一ヶ月余にいたって、業界はにわかな動きを示した。
出版再販研究委員会は、二月六日に小委員会、同二〇日に全体会議、同二六日に小委員会を開き、再販契約書、価格表示に関する自主基準の見直し、「再販制度の弾力運用マニュアル」等の作成について検討を行った。
この間にあっては、公取委とも意見交換を行い鋭意準備を進めた。
日書連としても二月六日には再販擁護特別委を開催、二月二二日に全国代表者集会の開催を決めた。
準備期間は一五日間という短期間であったが、この機会に全力を集中し、全国書店の声を国会議員の先生方に伝えようと決意を新たにした。
二月二〇日には、日本マスコミ文化情報労組会議が「著作物の再販制撤廃反対決起大会」を東京・飯田橋のシニアワークで開催した。
二月二七日には活字文化議員懇談会が衆議院第二議員会館で緊急集会を開催、「党派を超えて結集し、再販制度の維持に向けて立法府としての役割を果たす」との決議を採択した。
10「出版物再販制度の存続を求める全国代表者集会」の開催日書連は、平成一三年二月二二日、衆議院第一議員会館で表記の代表者集会を開催。
全国四七都道府県の書店代表、書協・雑協・取協代表計一一二名が出席した。
萬田会長から経過報告をかねてあいさつと日書連の取組みを説明。
このあと、超党派の国会議員、主として衆・参両院の経済産業委員、文教科学委員、活字文化議員懇談会委員を中心に四一名、代理四一名が出席。
このうち三〇名の議員があいさつし、著作物再販制の必要性を述べた。
集会では緊急アピールを可決、このあと会長ほか三名で公取委に出向き、根來委員長宛の決議文を楢崎部長に手渡し日書連の決意を伝えた。
11再販制度は存続の結論公正取引委員会は、著作物の再販適用除外制度について、規制緩和の推進に関する累次の閣議決定に基づき、独禁法適用除外制度の見直しの一環として検討してきたが、平成一三年三月二三日「著作物再販制度の取扱いについて」を発表し、「現段階において独禁法の改正に向けた措置を講じて著作物再販制度の廃止は行わず、当面同制度を存置することが相当」との結論を示した。
公取委は、公表文の中で、「競争政策の観点からは同制度を廃止し、著作物の流通において競争が促進されるべき」との見方を改めて示した。
しかし、その一方で「同制度が廃止されると、書籍・雑誌の発行企画の多様性が失われ、国民の知る権利を阻害する可能性がある等、文化・公共面での影響が生じるおそれがある」とし、同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていないとの判断を示した。
さらに、公取委は、再販制度は維持しながらも制度の弾力的な運用を求めており、非再販商品の発行、流通の拡大、各割引制度の導入による価格設定の多様化、公取委と関係事業者、消費者、学識経験者等を構成員とする協議会を年一回のペースで開き、著作物の流通について意見交換の場とするとしている。
また、公取委としては「今後とも著作物再販制度の廃止について国民的合意が得られるよう努力を傾注する」とし、取引実態の調査・検証に努めることとすると結んでいる。
当面は存続させると再検討の余地は残したものの、具体的な時期については示されていない。
12萬田会長談話を発表この公表文を受けて出版業界四団体は、同日付で「著作物再販制度の維持は国民的合意」とする共同談話を発表した。
著作物再販制の存続は当然の結論で、国民各位の理解と支持を得て制度が維持されたことに感謝するとした。
また、萬田会長は、四月五日付「全国書店新聞」に会長談話発表、一〇年の長きにわたって日書連の運動を支えられ、国会陳情、地元活動等に奔走された組合役員をはじめ組合員各位に対し感謝の意を表した。
4.情報化推進対策日書連が一昨年一一月に行った「書店経営実態調査」の結果、組合員のパソコン保有率は五〇%弱でしかなく、この情報化社会において、極めて低率であることが明らかとなり、早急にその保有率のアップを目指す必要性が出てきた。
そんな中、小学館の提案により販売データ提供を前提にパソコンを配布する計画が具体化し、各県組合の中でも組織としての対応の進んでいる京都組合が候補となり、サポート体制を作った上で三月配布、四月よりスタートすることとなった。
また、これと同時にパソコンの廉価提供も同時に始めることとなった。
「BIRD-NET」システムもスタートして一〇年が過ぎ専用ネット時代からインターネット時代への変化の年となった。
旧システムはすべて新バードネットと同一管理とし、この3月切り替えを行った。
今後インターネット対応へ順次切り替えを行っていく。
また、コスト面での負担を余儀なくされているCD-ROMの毎月提供も二〇〇二年三月一杯を目途に中止し、その後は新バードネットでの対応とし、既刊データをCD-ROMからインターネットでの情報の提供という方法に置き替えていく。
インターネットの市場拡大にともなって、オンライン書店が活性化してきた。
bk1、BOL、アマゾン・ドット・コム等が参入し、検索の容易さ、配送速度、配送運賃の競争が行われている。
また、各取次会社もその機能を生かしながらホームページの充実を図ってきた。
日書連としては各組合とも連携しながら各組合員が多くの負担をしないで、読者に情報提供できるツールとしてのホームページの充実をはかってきた。
また、各組合も独自にホームページを立ち上げ地域の読者および組合員への情報提供を行い、読者に一番近い書店の存在感を与えようとしている。
また栗田が先行していた客注システムもトーハン、日販も参入し、一冊の本をより早く読者に届けようとするシステムが動きだしたことは評価できる。
しかし、コスト負担を書店、読者が負わなければならない現状に対して、負担を軽減できるシステムを提供する必要も同時に課題として残った。
そんな中で特筆される動きとして、小学館グループの共同受注センターの運用が挙げられる。
このS-ネットは、電話・FAX・インターネットで注文すると即日出荷となり三日目入荷となる。
インターネットでの注文ではここより角川グループ、講談社等へのホームページにリンクし、同じように素早い出荷が可能となっている。
また、文藝春秋が中心となる文庫出版社も同様の動きがあり、さらに各出版社も書店向けの注文サイトが多く立ち上がった年度であった。
これらは版元在庫を確認できると同時に発注でき、そして即出荷と読者にとって、書店にとって当たり前のことがやっと実現しようとしている。
この動きに対応するためにもパソコンの普及は不可欠となってきた。
1日書連ホームページ「本屋さんへ行こう」をタイトルとしたホームページも二年目を迎えた。
書誌検索、書店新聞、販売情報、組合員名簿そして各イベントの紹介で画面を構成し、読者、書店の意見交換の場も設けている。
読者からのインターネット発注を受けるための書店の登録をしたが、最初は少なく読者、書店共にクレームが出るため、一一月よりインターネット発注を受ける書店の登録を書店新聞等を通じて呼びかけ、現在四〇〇書店を越える件数まで増加してきている。
しかし、県によっては登録がほとんどない所もあり、最寄性を生かすため、より登録を進めていく必要がある。
また、昨年九月には東京組合のTS協同組合の客注システムも立ち上がり、日書連としてもデータベースや検索システムの提供を通じて協力をしている。
さらに各県組合のホームページも多く立ち上がってきているが、その運用の中で日書連の特質を生かし京都、大阪、沖縄組合とは地方出版物データベースの取り込みを検討している。
http://www.shoten.co.jp2新バードネットWindows版のソフト提供と同時に、インターネット対応として書店コスト負担の軽減、導入の容易さを目的として提供を開始した。
提供サービスは次の通りである。
a.日書連ホームページ検索・発注サービスb.バードネットソフトウェアー書店での作業ソフトで、情報検索・注文・返品を主とし、必要なユーザーにはCD-ROMと新刊情報の提供もある。
c.インターネット情報交換ソフト取次への配信サービスd.スリップレスデータ交換サービス3京都組合へのパソコン普及昨年八月に小学館より申し入れがあり、九月理事会に於いて、京都組合を実験県として決定した。
京都組合は、パソコン経験者を中心に導入指導体制を各支部毎に確立し、二月に府下三ヶ所で説明を行った。
当面一〇〇台予定のところ一三〇台の申し込みがあり、組合内の気運の盛り上がりを感じた。
三月に設置を完了し、四月よりスタートした。
この提供パソコンには日書連バードシステムをあらかじめ、インストールし、さらにSネット等出版社への接続を可能にした上で配布している。
4バードネット切り替え情報化の流れがインターネット・Windowsへ移る中、専用ネットの必要性がなくなり、ホームページの運用などを含め、情報ネットワークの一元化を図るため旧バードネットの切り替えを三月に完了した。
多少サービスに変更があり一部混乱を招いたが今後は順次新バードシステムへの切り替えを促進していく。
5共通雑誌コード二〇〇五年までにコードの変更が決まっている雑誌コードについて検討してきた結果、ほぼ次の方向で決定される見込みである。
今後詳細表示を検討し、早い時期に正式に発表し、対応を急ぐこととなる。
5.取引・流通改善問題この年度も、前年より継続審議となっていた、出版社有事の場合の対応、関連する取引約定書の見直し問題、書籍、雑誌の返品入帳問題への取組み、ムックの効率販売などを中心に協議、検討を行った。
1取引約定書の見直し問題出版社有事の場合の対応問題は、取次各社が、委託期間内は返品入帳を可としながらも、現実の問題としてその取扱いが取次によってまちまちであること。
また、有事の場合の告知も各社によって対応に差異があることが指摘された。
倒産によるリスクは書店が全部負うような形であり、書店からの申入れに対しては、取引約定書をタテに返品入帳ができないなど、逆送されてくるケースが起きているとの訴えがあった。
かねてから、取次、書店間で結ばれている取引約定書の内容に対しては、書店から不利な条件になっていることが指摘され、東京都組合においても見直しの方向にあることが報告されている。
同委員会は、関係取次の現行の取引約定書、関連資料等を収集し、協議、意見交換を行ったが、この見直しにあたっては弁護士など専門家の意見を聞きながら、時間をかけて検討し、現状の取引形態に即した約定書にするための研究・検討を行うことにした。
その後、弁護士に関係資料を渡し、検討を願ったが、総じて委託販売制度下において所有権がどこにあるのか明確化されていないとの指摘があり、当面この問題の検討を先送りすることにした。
新年度の事業活動では、書店二一世紀アクションプランにも掲げてある「責任販売制」への取組みが必須となってくることから、この協議をふまえながら、取引形態の変動とともに新しい取引約定書の策定を考えていくことになった。
2書籍・雑誌の返品入帳問題返品入帳の実態等についてこれまでは、取次との懇談あるいは実態調査をも実施したが、これに対する取次各社の姿勢、具体的資料の提示を求めてきたが、明らかにされていないのが実情である。
また、アンケートにもとづいて改善要望を出したが、一向に改善されず、九月期に入り、取次の入帳が遅れているとの報告があった。
この結果、同委員会は、平成一二年一〇月二四日付文書で取次各社に対し、遅れを早急に改善すること、決算期の返品入帳の遅れに対しては品代金の支払いに特段の配慮を求める、との二点についての「要望書」を提出した。
今後の対応としては、毎月一回、一年間を通して定点観測をしていきたいとし、本年二月理事会は、各組合より二店の調査協力店を推せんを願い、全国一〇〇店の規模で実態調査を実施する、調査項目のフォーマットを作成し、年間の調査とする、取次別、季節別、地域別に集計分析していくとし、本格的調査に入ることを確認した。
3ムックの効率販売について平成一一年一一月に取次協会から「ムック・コミックの効率販売についてのお願い」の申入れがあり、二者会談を持ち改善をはかっていくことになった。
平成一二年一〇月、取協から関係出版社に対して「ムックの効率販売に向けた販売期間表記のお願い」との文書が出されていたことから、一二月に取協雑誌研究委員会と懇談を行った。
その報告によると、「ムック」の販売期間マークとしてHをマルで囲む。
販売期間は四文字の西暦と月を表記する(●二〇〇一年三月)。
マークの表記はあくまで賞味期限であり、返品はフリー入帳であることの確認をしたこと、取次から出版社に対しては四ヵ月以上の販売期間が十分可能なムックについては、七ヶ月と一三ヶ月を目安に表記してもらうよう要望が出されているとの説明があった。
これに対し日書連としては、「表四」だけでなく補充管理用にスリップにも●マークをつけてもらいたいとの要望を行った。
4集英社のサービス品の提供について同社は、雑誌増売活動の一環として青年漫画誌におけるサービス品の提供問題で組合員より苦情が出された。
その理由は、このジャンルにおける販売シェアが多いからといって、特定のCVSに対して優遇措置をとり、書店に対するサービス企画が明確でないというものであった。
出版社の多様な販売企画は結構であるが、透明性をはかり機会均等で公平な企画をもって広く書店が参加できるようにするべきであるとの提案が出され、この旨を書面をもって同社に申し入れた。
6.出店問題対策政府の規制緩和推進計画が進むなかで、平成一〇年五月に「大規模小売店舗立地法」「改正都市計画法」「中心市街地活性化法」のいわゆる「まちづくり三法」が成立し、大規模小売店舗立地法は平成一二年六月から施行された。
大規模商業施設の出店を規制していた大店法は廃止され、駐車場の広さ、ゴミの保管場所などを定めた国の環境指針を守ることによって、出店は原則自由になった。
しかし、無秩序な出店を恐れる自治体は、条例や要綱で独自の上乗せ規制をかける動きがみられるようになった。
小売業をとりまく経営環境は、平成一二年度に入っても、個人消費に本格的な回復の動きは見られず、全体的に売上げが前年割れとなる厳しい状況が続いている。
こうした状況の中で昨年における書店業界の出店状況をみると、平成一二年の一年間で新規出店は六〇〇店で平成一一年の六二六店から二六店減と五年連続で前年を下回った。
売場面積も約三、〇〇〇坪の減少である。
新規出店はピーク時の七割と報告されている。
しかし、新規出店の平均坪数は一〇〇坪台になっており、大型化傾向は否めない。
この年度も「まちづくり三法」と、まちづくり事情への対応、中小小売商サミットへの参加など、出店問題への対応等に努めた。
1「まちづくり三法」への対応深刻な都市の空洞化問題に対応するため、平成一〇年に「中心市街地活性化法」「大店立地法」「改正都市計画法」の三法が成立、この三法は、地域が主体となり、それぞれの特性や、個性を活かした街づくりを推進するための有力な手段となるものであるが、一方で、空洞化をもたらした大きな原因として無秩序な郊外開発が指摘されており、その前提条件として公共性に基づいた計画的な土地利用規制を行うことが重要になってきている。
こうした状況の中で日本商工会議所、全国商工連合会他九団体が「まちづくり推進連絡協議会」を設置し、望ましい街づくりのあり方、関係者の役割に関する調査研究、まちづくりへ向けての地域における合意づくりの支援を行っている。
日書連としても中小小売商連絡会を通じて、問題提起、意見交換の場に参加し、交流をはかってきた。
更には、同協議会が発行した「まちのあり方を考えなおそう!」「まちづくり条例をつくろう!」「続・まちづくり条例をつくろう!」を参考資料として活用するために各組合に提供配布した。
また、平成一三年二月七日、まちづくり条例センター主催による「経験交流セミナー」の開催にあたっては日書連からも参加した。
事例報告として行政主導型制定事例として長野県穂高町、住民主導型制定事例として富山県滑川市、大都市圏型事例として東京都渋谷区の報告があり注目された。
2京都市へのジャスコ出店問題この問題は、平成一二年六月より施行された大店立地法に基づく動きとして全国的に注目されている。
京都市左京区の島津製作所五条工場跡地にジャスコが出店する問題で市議会の中で、市長に対し自民党より出店反対の要望が出されている。
京都市の「まちづくり条例」で、本年二月に指導勧告が出され、島津側からは四月一六日までに改善報告を提出することになっているが、同社はこの計画が条例施行前からのものであり、当初計画通り出店したいと一貫して「まちづくり条例」に従わない姿勢を示している。
同市商店連合会関係者をはじめ諸団体は、「まちづくり条例」破りを許すことになれば、今後、全国の自治体で施行されるまちづくり条例がなんら意味をなさないことになると反対を表明した。
京都市は大店立地法移行と合わせ、まちづくり条例と商業集積ガイドプランを制定、その内容は企業の善意、良心に期待したものとなっているだけに、その見直し強化が必要となってくることを危惧しており、今後の動向が注目されることになった。
3第五回全国中小小売商サミットへの参加「二一世紀、“まち”に賑わい、“商店街”に元気!」をメインテーマに、全国中小小売商団体連絡会(全国商店街振興組合連合会他一五団体構成)は、平成一二年一一月二八日に全国サミットを開催、日書連から萬田会長ほか四〇名が参加した。
代表者会議では、地域の意向を反映した「まちづくり」の推進、実効ある商店街、中小小売商業対策の確立を、中小小売商に過度の負担を強いる外形標準課税絶対反対の三項目から成る宣言文を採択。
当日の宣言文は各団体代表が首相官邸を訪問し、森総理に手渡した。
4平成一二年の出店状況平成一二年一月~一二月までの出店状況が、大手出版社によりまとめられ、業界紙新文化に発表された。
それによると、新規出店数は六〇〇店で、平成一一年の六二六店から二六店減と五年連続で前年を下回ったことが明らかになった。
売場面積も五八、三六二坪で、前年の六一、四五七坪からみると約三、〇〇〇坪の減少となり、一時の出店ラッシュの勢いはなく、下降線をたどっている。
(別掲参照)新規出店数のピークは平成七年の九一五店、坪数では平成九年の八四、〇〇〇坪で増築分と合わせても六五、九六八坪で、平成七、八、九年代と比べると、店数、坪数とも三割以上の減となっている。
新規出店の平均売場面積をみると、ほぼ一〇〇坪台である。
一〇年前の平成二年が五一坪、その後毎年増加を続け、七年・七七坪、八年・八八坪、九年・九九坪、一〇年八八坪、一一年・九八坪、昨年は九七坪で新規出店の大型化傾向が進んでいるとみられる。
取次各社別の新規出店状況では、トーハン二三七店、対前年比で七店の減、日販一六九店で同一八店の減、大阪屋は昨年と同様の八三店、栗田は六一店で一店の増、中央社が一八店で三店の増、太洋社二一店で三店の増、協和が七店で二店の減となっている。
また、増改築店は二二六店で前年より三店の増、増床坪数は七、六〇六坪で前年より一、〇二五坪の増加となった。
5日書連に報告された主な出店問題JR東日本キヨスクの東京駅出店・ブックガーデン問題は、単に業界の問題でなく、社会問題化し、国会の場でも論及され、その後の動向に注目された。
東京組合としては、地元支部の参入機会確保を支援する方針を固めたと報告、日書連としても支援することを決めた。
その後の交渉で共同出店の要請、消化仕入方式の採用などについての交渉を続けた。
これに対し同社は難色を示し、地元書店の出店は必要ないとの回答に接し、国会議員等への働きかけを行った。
キヨスク側からは、その後、開店は一二月に延期する、マートキヨスク方式による催事販売を提案してきた。
その結果、一二月に入り、民主党海江田議員立会のもとに、組合加入、催事販売運営可能協力等を内容とする、話し合い了解事項のメモを交わし、「ディラ東京ブックガーデン」は一二月一日、二九八で開店した。
一二月理事会の席上では、現在、上野駅がリニューアル計画中であり、JR東日本キヨスクが一、〇〇〇で出店したいとの希望が出されていることの報告。
平成一三年三月にジュンク堂書店池袋店が増床六、六〇〇の日本一のブックセンターになるとの報告。
大阪地区においては、「阪急ブックファースト」が駅高架下をはじめとする一四店舗の計画など出店情報が入っていることの報告があった。
7.読書推進運動平成一二年度の読書推進運動にあたっては、若年層の読書離れが著しく、四年連続マイナス成長という出版物の売れ行き不振の中で、読書環境の整備と、書店店頭の活性化をめざし、出版物の増売、読書推進のための運動を積極的に展開した。
幸いにもこの年、二〇〇〇年は、「子ども読書年」という記念すべき年度でもあり、様々な趣向をこらした取り組みを行った。
第一五回「世界本の日・サン・ジョルディの日キャンペーン」の実施、「児童図書増売運動」「第四土曜日はこどもの本の日」の主催、読者謝恩をかねての春秋二回の「書店くじ」の発行。
関係団体での活動では、読書推進連絡会、学校図書館図書整備推進会議、子ども読書年推進会議等への参加、業界での各種イベントにも積極的参加し、読書推進、販売活動等々の支援と協力を行った。
1第一五回「世界本の日・サン・ジョルディの日」第一五回を迎えるにあたっては、平成一一年一〇月に第一回の実行委員会を開催し、前年の収支決算報告を行うとともに、今後の活動方針、スケジュール等について協議検討を開始した。