全国書店新聞
             

平成18年1月11日号

ネット謝恩価格本828万円売上げ

書協が昨年10月から2カ月間実施した第5回「謝恩価格本ネット販売フェア」の売上げは8964冊、828万8738円と売上冊数で前回より10・0%増、売上金額で9・4%増加したことが明らかになった。
期間限定ネットフェアは03年の読書週間からスタート、毎年春秋の2回実施されており、今回は82社から1200点が出品されたが、アクセス数は93・1%と前回を下回った。出品図書はブックハウス神保町でも販売され、この分の売上も含まれる。

中小書店退潮に歯止め/東京組合新年会で丸岡理事長

東京都書店商業組合の新年懇親会が1月17日午後5時半から東京ドームホテルで開かれ、出版社133名、取次・業界関係者52名、書店141名など326名が出席した。東京組合を代表して丸岡理事長は「今年は中小書店の退潮に歯止めをかけ、経営改善を図っていく」と、新年の課題を述べた。新年懇親会は家田通久氏(学友社)の司会、大橋信夫副理事長(東京堂書店)の開会あいさつで始まり、丸岡義博理事長が新年のあいさつ。「東京組合は日頃大変お世話になっている。景気は拡大傾向にあると新聞報道されているが、少子化により日本の総人口が減少に転じた。東京組合はこれからも頑張っていきたいが、今年の課題は中小書店の退潮に歯止めをかけることだ。昨年暮れに日書連で書店経営実態調査を行った。今年はこれを集計分析して対応策を出していかなければいけない。そのための検討機関として書店環境改善政策審議会を立ち上げた。改善策を立案し、日書連総会に提案して実行していかなければならない。中小書店が生き残るための経営改善を図ることが必要だ」と、今年書店が取り組むべき課題を示した。
出版社を代表して書協朝倉邦造理事長は、読書推進運動と昨年7月に成立した文字・活字文化振興法に触れ「朝の読書運動が広がり、全国で2万校、750万人が朝の10分間読書を行っている。鳥取県の小学校の99%、佐賀は92%、福井は90%で展開されている。実施する学校が増える一方で学校に読む本がないのが実態だ。図書館にもっと本を買ってもらい、読書推進運動を広げていくことが必要だ。文字・活字文化振興法の成立により、出版業界をあげて読書推進、学術出版の充実に取り組まなければいけない。再販制度は出版業界の生命線。骨抜きにならないよう、出版文化向上の年にしていきたい」と抱負を述べた。
乾杯の音頭はぴあ矢内廣会長。矢内会長は、長く右肩下がりを続けていた映画業界が昨年21年ぶりに観客動員数1億7千万人、売上げ2109億円の新記録を達成したことを紹介して「シネマコンプレックスで映画館が都市部から郊外、住宅地に進出し、5つも6つもの映画が上映される。ある意味で映画館のコンビニ化が好調の要因。洋画は頭打ちで、邦画が伸びている。字幕と吹き替えでは吹き替え版が人気などの新しい変化が生れている」と分析。「映画業界がシネコンで活性化したように、出版業界も業界全体で解決する
べき宿題があるのではないか」と述べて、乾杯のグラスを掲げた。

年末年始で3-5%プラス/書店店頭売行き

年末年始の書店店頭売行き動向は、年末は好調、年始は若干のマイナスで、年末年始6日間のトータルでは3~5%のプラスとなったことがトーハン、日販の調べで明らかになった。
トーハンはPOS店651店の集計で、年末は書籍106・9%、雑誌106・3%、コミック119・6%、NM商品104・8%、合計108・2%と2ケタ近い増加。年始は書籍94・6%、雑誌98・2%、コミック103・8%、NM商品96・6%、合計97・2%。年末年始計では書籍101・0%、雑誌103・2%、コミック111・6%、NM商品101・1%、合計では103・3%の伸びになった。
エリアでは首都圏・中部エリアが売上げを大きく伸ばした。
本1600店、AVレンタル、セルCD・DVD店316店を調査した日販は年末が雑誌111・3%、書籍109・8%、合計110・6%。年始は雑誌102・2%、書籍97・4%、合計99・6%。合計で雑誌107・4%、書籍103・9%、6日間の総合計は105・6%。
雑誌のジャンル別ではコミックが期間合計114・4%と好調。書籍ではビジネス書、新書が114%台の伸び、実用書も109・2%と高い伸びだった。地域別では伸び率が高い順に特販108・9%、中部106・3%、首都圏106・2%、名古屋106・1%。

業界の景気回復願い、名刺交換会に600名出席

2006年新春を祝う出版業界新年名刺交換会が1月6日正午から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、業界関係者600名が出席した。
江戸里神楽、和歌山流獅子舞「寿獅子」で賑やかに始まった名刺交換会は、出版クラブ野間佐和子会長、書協朝倉邦造理事長、雑協白石勝理事長、日書連丸岡義博会長の業界トップが壇上に並び、赤ワインで乾杯した。野間会長は「今年は正月1日から天気が悪く、日本中が凍りついています。いまご覧いただいた獅子舞のように、お腹から力を入れて今年1年を乗り切っていきたい。とくに雑誌は何年か連続して低迷しています。今年はぜひ皆さんの力を得て、新しい道を探っていきたいと思います。ご協力をお願いします」と、あいさつした。

三者が協力して売上アップを/宮城新年会

宮城県書店組合・出版みちのく会合同の新年会が1月6日午後4時、仙台駅前のSENDAIホテルで行われ総勢60名が出席した。
トーハン東北支店・木村明氏の司会で、宮城組合・藤原直理事長が新年のあいさつを行った。藤原理事長は、年末年始の好調な売上や、2004年は8年ぶりに書店の売上が上がったのに対し05年は低調であったこと、日本の人口の減少などを話した上で、06年は書店・取次・出版社が協力して店頭売上アップをしていきたいと語った。
続いて出版みちのく会の紺野紘史会長があいさつ。今日の総会で、出版みちのく会30周年史を参加出版社で協力作成することが決まったと報告した。その後参加出版社9社を紹介し、書店の売上に貢献していきたいと今年の抱負を語った。
トーハン・小野晴輝東北支店長は、元旦の河北新報に掲載された日銀仙台支店長の記事を引用した上で、宮城の町はそれぞれが城下町として栄えていたことから町ごとに文化があり、その文化を守り発展させていくのは書店だと、書店に対する期待を語った。
日販・渡辺忠男氏の発声で乾杯。会の中盤には版元・取次・運輸会社・書店の順で自己紹介と今後の抱負を発表した。中央運輸・都築俊雄氏の中締めを行い、参加者それぞれが2006年の書店業界への期待を胸に解散した。
(佐々木栄之広報委員)

不平等取引の改善求める決議を採択/神奈川新年会

神奈川県書店商業組合は1月13日に横浜市中華街の「華正楼」で新年理事会と9支部合同新年懇親会を開催した。
理事会では、神奈川県子ども読書活動推進会議と県教育委員会が主催する「子ども読書活動推進フォーラム」について報告。長谷川理事長は「県教育委から、フォーラムは4月と10月の年2回開催、今までを含めて5年計画で進めるという話を伺った。今春は4月23日開催で、講師に絵本作家のきむらゆういち氏が決定している。書店組合には本の積極販売で協力をお願いすると提案があった」と説明した。また「読書ノート」は平成19年3月までで終了することで、関係者と協議することにした。
取引問題では、日書連が全国組合員と一致団結して取次との不平等取引改善に取り組むよう求める決議文(別掲)が提案され、拍手で採択した。
午後5時からの懇親会で長谷川理事長は「神奈川組合は読書推進で抜きん出た行動を取っていると自負している。4月の読書フォーラムに向け、出版社と綿密な連絡を取っていきたい。県教育委は、積極的に児童書を売って良書普及に努めてほしいという姿勢だ。皆さんとともに読書を普及していきたい」とあいさつ。
来賓の日書連・鈴木副会長は「日書連は現在書店経営実態調査を実施している。書店の苦渋を抽出し、出版社や取次と話し合おうというものだ。業界三者が共通の認識を持ちながら制度を変えていかなければならない。今日神奈川組合から提案をいただいた。これらをきっかけに、私どももどんどんやっていきたい」とあいさつした。
〔全国の書店各位への呼びかけ〕
日書連は本年度5月の総会において、「書店と取次は、法の下に対等である」と決議した。
これは、憲法14条1項の「法の下の平等」の定めに基づくものであると同時に、契約対等の原則という市場経済原則に基づくものである。
ところが、今日の書店と取次の取引の状況は、いかなる見地に立っても、法律上の対等平等が貫かれていないといわざるを得ない。たとえば、取次が締め切り期日までに商品を送品すれば請求金額に計上するのに、書店が締め切り期日までに返品した商品については、そのすべてが入帳されることになっているわけではない。
また、入帳が遅れて次期請求書で判明した返品金額を差し引いて書店が支払いをする相殺勘定を、取次は認めないのである。
これらは、他の業界ではありえない、書店業界だけの書店に対する不平等・非対等な取引の事実上の強制であるといわなければならない。
書店は、長年にわたるこのような不平等・非対等な取引に、いつまでも甘んじていてよいのだろうか。「構造改革」の叫ばれている今日、書店業界の、このような古き悪しき取引こそ改革すべきではないであろうか。
日書連の運動の重要な柱の一つに組織の強化があるが、そのために、日書連は組合員の減少を食い止め、組織拡大に努力しており、われわれもそのために全力を傾けている。
われわれは、この目的達成のためにも、日書連が組合員である書店の取次に対する従属的な、不平等と非対等な取引の実態の改革・改善に努力することが求められていると考える。
われわれは、日書連が全国の組合員と一致団結・協力して、取次との不平等・非対等な取引を解消し、組合員の経済的地位向上のために奮闘することを、強く呼びかけるものである。

大阪読書推進会の事業が着実な成果/大阪互礼会

大阪出版業界新年互礼会が、1月6日午後4時から大阪市北区のホテルモントレ大阪で開催された。日書連近畿ブロック会各府県理事長をはじめ53名の書店人が出席、加えて出版社・取次・業界関係団体各社代表の140名が出席した。
会は大阪組合・矢嶌茂副理事長の司会で進行、大阪組合・面屋龍延理事長はあいさつで「大阪の業界3者が立ち上げた『大阪読書推進会』の2つの読書推進事業も関係者の協力の下、着実に成果をあげつつある」と感謝の言葉を述べ、「八尾市の小中学校図書館の電算化は日書連マークが採用されることになり、組合書店が従来通りの図書納入を確保できることになった」と報告した。さらに「中小書店の活性化の基盤ともなる雑誌増売運動に取り組みたい」と結んだ。
トーハン・近藤敏貴執行役員・近畿営業部長の発声で開宴。しばし歓談の後、大阪出版協会・小谷一夫理事長の閉会の言葉で散会となった。
(中島俊彦広報委員)

人材確保推進事業について提案/兵庫12月理事会

兵庫県書店商業組合は12月13日、エスカル神戸で12月定例理事会を開催した。冒頭で三上一充理事長は、北海道の市立図書館における入札に関する件や、読書推進の実態、組織強化に関する件など日書連報告を交えあいさつを述べた。
支部報告では、第1支部・山口武司支部長より、ハリー・ポッター第6巻について県組合に販促品作成の検討依頼があった。また第4支部・山根金造支部長から、4月に導入される明石市立図書館の指定管理者制度の報告がなされた。
事務局からは村田耕平事務局長が、中小企業人材確保推進事業でコンサルティングを担当しているアリエシステムの小林氏を紹介し、今後の方針と予定について提案があった。事業は大まかに①セミナー②実態調査③マニュアルの作成の3つに分かれており、それぞれ随時行っていく予定。
日書連共済会について各支部での新規加入促進依頼があったほか、増売委員会から「平成大合併日本新地図」「明治時代館」(小学館)の増売協力の依頼があった。来年度の新年互礼会は今年度同様行わず、有志のみでの開催が決まった。
理事会終了後、雑誌発売日励行委員会の版元及び販売会社とともに、場所を魚料理「たから」に移して忘年会を実施した。
(中島良太広報委員)

桶川から出版流通改革宣言/トーハン新春の会

トーハンは11日、埼玉・桶川市のトーハン桶川SCMセンターで「新春の会」を開き、書店、出版社など2485名が来場した。
今年のテーマは「出版流通改革宣言~『トーハン桶川SCMセンター』始動~」。あいさつに立った小林辰三郎社長は年末年始の取引先書店売上げについて前年比103・3%だったと報告。「安定的な成長を可能とするために新たな需要創出への積極的な挑戦が求められる」と提起した。
また、桶川計画に詳細に言及。「昨年11月から書籍返品センターが一部稼動し、今年3月までに従来の作業所からの移管を終えて、4月から全面稼動。9月までに各所に分散している既存の在庫拠点を集約し、10月から書籍注文品センターが稼動する」と説明。「計画の目的は、業界全体の流通インフラを再構築し、的確な商品供給・情報提供を行なえる需要創造型の出版SCMを実現すること。市場在庫の把握と需要の予測を軸に、売上増とロス削減を目指す。読者ニーズを的確に捉え、店に応じた品揃えを実践し、読者に読んでもらう――『本に命を吹き込む』までをトータルにプロデュースしたい」と意欲を語った。
このほか、ゲオとの業務提携による「プラスゲオ」で書店の販売力を高め、収益性を向上できるビジネスモデルとして導入の提案を推進すると述べた。
富山・高岡市の文苑堂書店・吉岡隆一郎社長は「堅実な印象の強いトーハンだが、桶川SCMセンターは新時代に対応するための壮大で果敢な挑戦」と賞賛し、著者→出版社→取次→書店→読者の流れの中に喜びの循環を生み出すものとなってほしいと述べた。ゲストの児玉清氏が「フィクションを読まない国に未来はない」と読書の大切さを訴え、小林社長、吉岡社長にトーハン・上瀧博正会長が加わって鏡開きを行なった。

創業2年の若い会社と認識/栗田新春あいさつの会

栗田新春あいさつの会は10日午前10時から板橋区東坂下の新物流センターで開催され、546社927名が出席した。
午前11時から4階大ホールで行われた鏡開きでは昨年暮れに亀川社長からバトンタッチされた郷田照雄新社長が年頭所感を兼ねてあいさつ。「昨年度第68期の決算は売上げ548億円と大幅な減収になった。原因は各地の書店の転廃業にある。69期は営業部門を中心に体制を建て直し、行動力ある中堅、若手、女子社員を営業第1線に配置する。ここ数年活動している書棚エキスパートチーム、栗田読書倶楽部がバックボーンとなる。書店支援課もできており、スピード感ある営業を目指す。栗田は大正7年に創業して88年を迎える。一昨年5月、オーナー家から株の譲渡を受け、現在、従業員持株制度を中心とした新しい会社になっている。創業2年の若い会社という認識で出版物の販売に全力を上げていきたい」と述べた。
出版社を代表してポプラ社坂井社長は景気の回復について「株価は年内に1万8千円から2万円と予想されている。出版業界はこの10年停滞したが、何もしてこなかったのではないか。景気がよくなることを信じて大きなチャレンジをしなければいけない。ポプラ社は昨年2千万円の懸賞小説を発表した。逃げればピンチ、挑めばチャンス。強い志で新しい年に臨みたい」とあいさつ。
書店を代表して日書連丸岡会長は、今年の課題として文字活字文化振興法を背景とした読書推進、書店景品規約の改正、書店経営実態調査に基づく取引改善の3点をあげ、「情報を共有して販売を増進していく」と述べた。
栗田郷田社長、河本専務、ポプラ社坂井社長、日書連丸岡会長、東京組合奥村常任理事(南天堂書房)の5人による鏡割りのあと、奥村氏が「販売なくして改革なし。新社長を応援していきたい」とし、「おめでとう」で乾杯した。

12年連続1千億円を達成/大阪屋おでんの会

大阪屋の「新春おでんの会」は10日午後12時半から東大阪市の関西ブックシティで開かれ、書店598名、出版社607名など総勢1388名が来場した。
冒頭、あいさつした三好勇治社長は取引先295書店の年末年始6日間の売上について「年末3日間は雑誌113・0%、書籍116%とともに2ケタ伸長。年始3日間は平均103・5%を示し、6日間トータルで111・6%となった」と発表。第59期について「12月までの推移から見て前年クリアは間違いない。売上1000億円を12年連続維持するとともに、悲願の1200億円への期待をつなぐことができた。今後は売上だけでなく収益面でも成果をあげたい」と抱負を語った。
また、今後の取り組みについて①KBC開設10年の実績を踏まえた、新注文システムによるさらなる流通改革を推進。販売機会損失を最小化するため、書店の需要に応じた品揃えを「送品・受注・売上・返品」の各データをもとに単品で実現する②既存店を活性化し効率販売を実現するための営業活動の再構築。特に返品問題克服を最大テーマとする③昨年立ち上げた本の総合ポータルサイト「ほんつな」拡充とともに、新しい事業領域拡大に取り組む④業界に山積する諸問題に前向きに取り組む――とポイントを説明し、「今年を改革継続年と位置づけ、顧客満足のさらなる深化に努力する」と話した。
増進堂受験研究社・岡本惠年会長、ひかりのくに・岡本健社長、講談社・岩崎光夫取締役、大修館書店・鈴木一行社長、大阪府書店商業組合・面屋龍延理事長、大阪屋友の会連合会・田村定良会長、大阪屋・鈴木一郎会長の7名で鏡開きを行い、田村会長の発声で乾杯した。

雑誌復活元年に強い意欲/中央社新春会

中央社は10日午前8時半から板橋区の本社で新春会を開き、書店、出版社など628名が来場した。
午前10時から行なわれた式典であいさつした土屋博功社長は、6月―12月の販売実績について書籍2・3%減、雑誌1・7%減、総合で2・1%減だったと報告。「今年の最重要施策は、昨秋から一部稼動している『新雑誌配本システム』の全面稼動。雑誌復活元年と位置づけ、店頭活性化を図り、雑誌増売を目指す。コミックの中央社として、コミック関連商品の充実と早期出荷を図った結果、冊数ベース出荷前年比121・5%と順調に推移している。新システム『バリューアナライズ=価値ある分析』を昨年12月に導入した。Webサイトを利用してリアルデータを出版社と共有することで、精度の高い効率販売を目指す」と抱負を述べた。また、「地域密着型書店の創造とともに、雑誌販売と企画商品拡販の拠点である中小書店に対して、生き残りのためのサポートを提案、実施する」として、「廃業店ゼロ対策」を本年の柱として推進すると述べた。
続いて主婦の友社・村松邦彦社長があいさつし、返品率5%減少で3・5%の報奨を出す実験を実施したことについて「返品率が31%から24%に減少した書店もあった。前向きな書店と後ろ向きな書店との間に大きな差が出た」と報告。「書店が疲弊して廃業が増えれば、メーカーも疲弊する。中小書店活性化のため出版社も力を尽くさねば」と警鐘を鳴らした。
土屋社長、村松社長、講談社・森武文取締役、中央社共栄会・江馬一会長、首都中央会・山口正一会長の5名で鏡開きを行い、森取締役の発声で乾杯した。

幼児~生涯学習まで視野に/日教販市会

第55回日教販春季展示大市会は11日午前9時から文京区の後楽園会館で開催された。
会場では学参・辞典約4千点の陳列をはじめ、小中学入試に出る本コーナー、コンピュータ資格試験コーナー、Web発注システムコーナーなどが設けられ、多くの来会者で賑わった。また、文京区役所シビックセンターでは書店研修会が行われた。
午後零時半のセレモニーでは、日教販・森内日出美社長が「昨年は減収減益だったが、物流業務改革を進めた結果、経常利益ベースでは172%の利益を上げられた。次のステップとして、本年は売上の拡大を目標に挙げていきたい。システムの構築はweb発注などお得意様に提案できる形のものができつつある。そのデータをもとに新たな提案をしながら業務の拡大、売上の拡大をしたい。昨年10月に戸田センターの在庫単品管理が完成、web上で開示している。教育は幼児から生涯学習にまでわたるジャンル。学参だけでなく底辺の広い所から高い所まで取り組みたい」と年頭あいさつを行った。
続いて、学習書協会・益井英博理事長、辞典協会・鈴木一行理事長、日書連・丸岡義博会長があいさつ。丸岡会長は「学参・辞典市場を見ると、今年は生徒数が14万5千人減少するという。これをフォローすることが大事だ。書店としては近隣の学校と密接に連絡を取り、日教販と情報を共有しながら学校のニーズに合った販売を促進したい。日書連は、書店くじやサン・ジョルディ/世界本の日などの活動をしながら読書推進に力を尽くしていきたい」とあいさつした。
引き続き丸岡会長の発声で乾杯。福島日教販会から森内社長に白河ダルマが贈呈され、来賓全員で片目を入れて新春の学参商戦を祝った

責任販売制に取り組む/日販新春を祝う会

日販「2006年新春を祝う会」は、11日午前10時半より駿河台の本社5階特設会場で開催。出版社・書店など2380名が出席した。
鶴田社長は年末年始6日間の売上動向を発表。「年末は雑誌111・3%、書籍109・8%、合計110・6%と2ケタ増。年始は雑誌102・2%、書籍97・4%、合計99・6%。通期で105・6%となった。しかし、8日まで取ると2、3%下がる。ジャンル別ではコミック、ビジネス、新書が堅調だった。これらデータが単品別に取れるようになったことはITの進化とシステム環境整備の結果」と指摘した。
反面、出版業界の制度面では「委託制度、旧来の流通が制度疲労を起こしている。外圧の力によるのでなく、契約志向で責任販売制度に取り組む環境が十分出来ている。今年は精力的に取り組みたい」と、今年の課題を述べた。
書店を代表して紀伊国屋書店松原社長は「日本経済も昨年ようやくデフレを脱した。出版界はこの9年で17%ぐらい売上げが落ちた。このあたりで前年比3―5%ぐらい上がってもらいたい」と述べたほか、業界の課題として再販問題をあげ、「公取委がポイントを拡充しろとか、やかましい。こういうことも再販の崩壊につながる。再販の護持なくして書店の存在はない。日書連は萬田会長から丸岡会長に変わったが、大いにバックアップしていきたい」と述べた。
日販菅会長、鶴田社長、紀伊国屋書店松原社長、NHK出版大橋社長による鏡開きのあと、大橋社長の発声で乾杯し、来会者とともに新年を祝った。

2006年「わが社のイチ押し企画」

【角川書店営業局書籍グループ・金子泰子】
2005年5月に発売を開始した「KADOKAWA世界名作シネマ全集」ですが、2005年12月までに、既に4作品を発売しています。作品ごとにご自分の好みでお買上げになる方ももちろん多いのですが、全巻一時払い特価でのお申込が非常に多いです。そこで、全24巻・第一期(12巻)ともに本年1月末日をもって一時払い特価を締め切らせていただく予定でしたが、ご好評につき、2006年4月末日まで特価期限を延長いたしました!とてもお得な一時払い特別価格なので、この機会に特別価格での受注活動を是非ともお願い申し上げます。
さらに購入者特典として、作品に収録された映画から抜粋したサウンドトラック選集をご用意しております。こちらも2006年1月末日申込み締切でしたが、2006年4月末日まで締切を延長しました。特価期限の延長とともに、是非お客様にアピールしていただければと思います。
全巻予約をしていただいたお客様は映画ファンの方以外にも、「娘さんへの毎月のプレゼントにする」、「当時の生の英語が聞けて勉強になる」(英語の先生)、「美容院の待合室で使用する」などという幅広いご購入動機もうかがっています。
1月25日には待望の第2巻「愛しのオードリー」も発売いたします。一時払い特価、読者プレゼントの申込み締切となる4月末日まで、更なる促進を何卒よろしくお願い申し上げます。
【一時払い特別価格】
〔全24巻〕
一時払い特別価格‥7万円(税込)←各巻毎購入払い合計価格‥8万2400円(税込)
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〔第一期(1~12巻)〕
一時払い特別価格‥3万7000円(税込)←各巻毎購入払い合計価格‥4万1200円(税込)
※約1巻分(DVD2作品)お得です!
【購入者プレゼント】
第一期予約特典‥サウンドトラック選集CD(Ⅰ)
〇「風と共に去りぬ」からタラのテーマ、「ウエスト・サイド物語」からトゥナイトなど全10曲収録。
第二期予約特典‥サウンドトラック選集CD(Ⅱ)
〇「史上最大の作戦」「禁じられた遊び」など全10曲収録。
※全24巻予約なら2枚同時プレゼント
※一時払いだけでなく、各巻毎購入払いの場合でもプレゼントはお送りいたします。

【ポプラ社月刊『psiko』編集部長・倉澤紀久子】
2005年12月、ポプラ社初の月刊誌『psiko(プシコ)』の創刊では、多大なるご尽力をいただきありがとうございました。編集部を代表して、深くお礼申し上げます。
本誌は、日本初の一般向け心理学マガジン。ストレスフルな毎日に、読むことで元気になれる雑誌が今こそ必要だと思い創刊に踏み切りました。発売以後、書店様からもたくさんの感想やご提案をいただきました。「じっくり読んだらおもしろかった。だからこそ、もっともっと表紙で内容を伝えて」「もっともっと写真を見せて」「もっともっとわかりやすい言葉で伝えて」。こんな「もっともっと」に加えて、創刊号を読んだ読者の方々からは、切実なお便りがたくさん届いています。特集が男女関係にスポットを当てたものであったことから、結婚を願う人、結婚に踏み切れない人、夫婦間のすれ違いに悩む人など、さまざまな立場で「誰かと繋がりたい!」と真剣に考える人たちからのダイレクトな反応に、編集部員も「『プシコ』を必要としている人たちがいる!」、そう肌で感じることができました。
結局のところ、「衣・食・住」が満たされて、最後に残された悩みが「人間関係」なのではないかと思います。恋愛、仕事、友人、親子、夫婦。人間関係はどんどん複雑になっていきますが、相手を想う気持ちを上手に伝えてあげれば、恋愛関係に限らず、仕事相手や家族とももっともっとスムーズに手をとりあえるはずです。
また、『プシコ』の編集部は20代から40代の女性が中心。仕事への取り組みも一生懸命です。そのため、自分の両親、夫、恋人との関係がぎくしゃくすることも時にはあります。仕事をしているときも、大切な誰かとすごす時間も、ひとりだけの時間も大切にしたい。そう願いながら、必死に働く女性たちの気持ちがよくわかるのです。袋小路に入ってしまったとき、誰かがそっと手を差し伸べてくれたらと思うその気持ちを、『プシコ』が一緒に共有し、少しでも手助けができたらと思います。
ポプラ社は2007年に、創立60周年を迎えます。児童図書専門の出版社として出発した小社が、第三編集部から一般書の世界に乗り出したのが5年前。『プシコ』は、雑誌事業への取り組み第一歩。特に「こころの問題」を扱う本誌は、編集部だけで作れるものではありません。より「かゆいところに手が届く雑誌」にしていくために、読者と直接触れ合う書店様の声を切に求めています。今年もみなさまのご支援を、どうかよろしくお願い申し上げます。

新春読者の投稿/地元組合で新春落語独演会を企画/鶴岡市・鶴岡書店・佐藤一雄

11月にとんでもない地域から進出した書店の管理職は、当地駅前の飲み屋で「これからは、わが書店の全国制覇だ!」と雄叫びを上げ大変な勢いであったとか。その店で飲んでいた地元の人は「とんでもない書店が進出してきたもんだのー」「本屋ってそんなに儲かるものか」と言っていた。答えるのに思案した。
いくら20数年前書店組合を除名になったとはいえ、業界人として初めて出てくる地域での雄叫びは如何なものか。こんなモラルもない書店人の店に、地元書店として断固として挑んでいかねばと過日の支部忘年会で決意を新たにした。
当地も銀座通りは「シャッター通り」で書店がゼロとなり、「書店のない銀座通りはどこにもない」とまで言われている。この10年来支部長書店の廃業という悔しい思いを抱いてきた支部組合員は小粒でも協力し合っていくことを話し合い、不景気で笑い声がなかなか聞けなくなって久しいこともあって、新春に「落語独演会」を鶴岡書店組合主催で開催することを決定した。鶴岡市に唯一の風呂屋とその他の会場で計画している。

新春読者の投稿/「自分の宝」を多く作る年にしたい/足立区・小泉書店・小泉忠男

投稿のテーマは、我が家のお宝、私の挑戦、リラックスタイムの何れかと言われ、鑑定団に出せるほどの宝物は無い我が家、今さら夢に挑む体力も無く、リラックスタイムとのゆとりも無い。「こりゃダメだ」と放り出してしまったが…。
元旦の朝、荒川からの初日の出を撮るため河川敷を走っていた時、あのテーマに全て当てはまるのでは?と気付いた。元旦の日の出は雲に覆われ撮れなかったが、真冬の夜明け前、ポケットにデジカメ入れてジョギングともランニングともつかない気ままな走りで、荒川の幸魂大橋、扇大橋や葛西臨海公園、若洲公園からの東京湾の日の出を待って傑作?をものにしたが、写真もさることながら、歩き、走り終えた時の歩数計の数字に「本日はマズマズ」と確認した時、心も身体もリラックスしている自分を見つけられる。
旅行先でも、あのアングル、こちらからのシャッターチャンスと駆け回り、気に入った1枚が撮れた時、これが「私のお宝」となる。朝焼けの富士山、我が家からのダイヤモンド富士、9・11前のワールドトレードセンター、マニラ湾の夕日等々に、昨年はウルムチ天山天池からの博格達山、トルファンでは火焔山がお宝に加わった。
風邪をひいてる暇も無い本屋稼業で齢60余年。健康でいられた事も私のお宝。歩いて走っての一日一汗がストレスを感じている暇を奪う私のリラックスの源。私の挑戦は、昨日より1㌔㍍でも長く、1分でも速くと思う気持ちと、商売での一日一汗は1人でも多くの読者に1冊でも多くの本を売る事であるが、これが難しい。1枚の写真、1%の売上前年比増を手にした時、心の中でニンマリするのが心の寛ぎ、リラックスタイムである。他人からはガラクタ人生と言われるだろうが、自分のお宝が1つでも多く、我が楽しみが多い年にしたい。

新春読者の投稿/規制緩和拡大で書店の将来像は/岡崎市・BOOKSナカジマ・畔柳弘

公取委は、景品にかけるポイントカードの問題で、書店側の要望である1%に対し、3%を求めている。
一般ルールでは、規約がなければポイントは10%まで自由につけられることになっている。小泉内閣の方針は、聖域なき構造改革、官から民へ、規制緩和だ。先の総選挙の大勝で、郵政民営化、年金改革、医療改革、政府系金融機関の統廃合、公務員の純減5%、特別会計の見直し、政府資産の大幅な圧縮、三位一体改革、道路特定財源の一般会計への参入等、改革を目白押しに打ち出している。
書店の再販契約も、その流れを回避するのは難しくなってきている。政府の規制緩和委員のオリックス宮内会長が、その一部を打ち出している。小泉内閣を世論が評価する要因は、1000兆円超の危機的な国家債務に起因する改革である。2010年までにプライマリーバランスの均衡を達成させる。これらの流れが書店にも押し寄せてきているようだ。
書店の将来像はどうなっていくだろう。規制緩和は拡大していくだろう。大手書店と版元の大量仕入れによる直取引もあるだろう。ポイントセールを拡大し、他店と差別化し、多量に販売するだろう。各地のチェーン店とネットを結び受注品の速やかな受け渡しをするだろう。そんな中で小書店はどう生きていけばいいだろう。本の内容を紹介し、その良さをアピールし、読者のためになる情報を発信することだろうか。
初夢から目が覚めた。うっすらと汗をかいていた。

新春読者の投稿/「図書館納入」利益を無視した入札値に疑問/豊島区・新栄堂書店・柳内功

昨年の12月15日、区立新中央図書館移設に伴う図書納入の入札が行われた。納品には図書装備、ローカルデータ作成、TRCマーク使用等の仕様が必要である。装備代金は200円~250円が見込まれ、予定平均書籍買入単価2000円にプラスされ2200余円となる。それを幾らで納品するかの入札である。
区立図書館には数十年間、我々地元書店組合が納入を行ってきた。そこで、我々地元書店組合としても最大の値引きの97%で入札を行ったが、何と某区外書店が91%で落札した。
予定単価2000円の91%は1820円、それに200円余の装備代を加味すると1600円程となり、予定単価の20%以上の割り引きとなる。我々通常書店の正味では、これでは到底採算にあわない。なんと6%という大差は競争社会であるから「力で負けた」と云えばそれまでの事。しかし図書館納入は公共的、継続的、安定的な財及びサービスの提供である。
我々書店組合は図書予算の半減近い削減の中にあっても欠本対応、見計らい精度の改善など、不断の営業努力を続けてきた。超ディスカウントによって落札したその大型書店といえども粗利5~6%で永続的財・サービスの提供をやってはいけまい。迷惑するのは、利用する地元区民である。
なりふり構わぬこの落札店の書店の「品格」は問われるし、この利益を無視し
た経済活動は、公共図書館を錯覚させるだけではなく、ただ業界を混乱させるだけである。
今後の全国の公共図書館入札に際し、在来納入書店に影響を与えないことを願いたい。

参考図書

◇『「朝の読書」はもうひとつの学校―子どもたちと歩んだ17年の軌跡』
「朝の読書」誕生から今日に至る運動の歴史などをまとめたもの。千葉県の2人の教師が提唱した背景、全国的な展開と取り組みなどを紹介している。朝の読書推進協議会編。メディアパル刊。A5判、109頁、定価本体950円。
巻頭で文化庁長官・臨床心理学者の河合隼雄氏が「『朝の読書』のすすめ」を寄稿。また、朝の読書を体験している子供の作文、提唱者のメッセージ、教育関係者の体験談などを収録。各新聞社と連携して実施してきた「朝の読書広告特集」も採録している。

人事

◎昇任、○新任
★マガジンハウス
(12月14日付)
代表取締役社長石崎孟
取締役淀川美代子
同秦義一郎
同吉田高
同片桐隆雄
同伊東秀雄
同南昌伸
監査役畑尾和成
※なお木滑義久取締役最高顧問は最高顧問に就任した。
★世界文化社
(12月14日付)
代表取締役社長鈴木勤
専務取締役(営業・総務担当)大塚茂
同(社長補佐)鈴木美奈子
常務取締役(編集・経理担当)小林公成
同(通販事業本部担当)
内田吉昭
同(ワンダー事業本部本部長)川面重雄
取締役(通販事業本部本部長)加治陽
同(ワンダー事業本部副本部長)金子正和
同(編集統括・第1編集局局長)江川桂子同(編集総務・第3編集局局長兼製作部部長)
金治正憲
同(広告本部本部長)
◎駒田浩一
監査役中島正紘
役員待遇(販売本部副本部長)○佐藤秀人
★光文社(11月18日付)
販売局長兼販売局販売部長
◎残間直巳

日書連のうごき

12月1日第10回全国中小小売商サミットに下向理事ほか、東京、埼玉、千葉、神奈川の役員が出席。
12月2日第10回全国中小小売商サミット第2日目。
12月6日TIBF実行委員会に丸岡会長が出席。第2回「次世代メディアコンテンツ店舗活性化研究会」に大川専務理事が出席。
12月7日「書店データベース」(S‐DB)運営委員会に井門副会長など4名の役員が出席。取次協会懇親会に丸岡会長が出席。
12月9日「再販関連」会員説明会に下向理事ら3名が出席。個人情報連絡会に大橋副会長が出席。日書連マークの取材で志賀副会長が京都市を訪問。
12月13日第8回JPО運営委員会に志賀副会長と大川専務理事が出席。
12月14日増売・読書推進合同委員会にて「書店くじ」のあり方について検討。
12月15日「サン・ジョルディの日」キャンペーンで文化講演会の協賛依頼として、大橋副実行委員長、舩坂事務局長ら3名が出版社9社を訪問。
12月16日全国中小小売商団体連絡会第5回幹事会
12月19日業界紙との忘年会に丸岡会長、山口広報委員長ら3名の役員が出席。徳島県「日書連マーク」研修会に長尾専門委員が出席。
12月20日JPО日本図書コード管理センター運営委員会。各種委員会(増売、読書推進、指導教育、共済会運営、組織強化、共同購買・福利厚生、書店経営実態調査、流通改善、取引改善、再販研究、出版物公取協、広報、消費税問題、情報化推進)。
12月21日日書連定例理事会。日書連共済会理事会。出版物公取協理事会。第46回「第4土曜日はこどもの本の日」実行委員会に高須副会長、舩坂常任委員が出席。児童図書出版協会との忘年会に高須副会長ら4名の役員が出席。
12月26日ハリー・ポッター第6巻刊行事業打ち合わせとして、藤原副会長と大川専務理事が、取次数社を訪問。
12月29日日書連事務局仕事納め。

「紙面刷新求める」63%/書店の声反映した記事必要/北海道組合が全国書店新聞アンケート

北海道書店商業組合は昨年9月から10月にかけて「全国書店新聞アンケート調査」を実施。アンケート票を組合員198店に発送し、43店が回答した(回収率21・7%)。
道組合では昨年11月8日の定例理事会で調査結果を発表したが、調査結果と紙面刷新についての提言に全国組合員から積極的な意見が寄せられることで紙面改善の一助になればと、全国書店新聞紙上でも発表することにしたもの。
これによると、書店新聞を「読んでいる」は85・7%で、「時々読んでいる」9・5%と合わせると95%を超えた。ただしアンケート回収率が21・7%と低く、書店新聞への関心が薄くなっているとも言える。発行回数は「今のまま(月3回)でいい」62・8%、「月1回」30・2%。「週刊」に戻してほしいとの回答は7・0%だった。ここから書店新聞は情報の敏速性をあまり求められていないことがわかる。
記事の内容については、「変えたほうが良い」53・7%、「固すぎる」4・9%、「いらないと思う記事がある」4・9%と、63・5%が記事内容や紙面刷新を求めていることがわかった。「いらないと思う記事」は「業界人事」「雑誌創刊・新企画記事」など。
「変えたほうが良い」と答えた人のうち、「書店の本音を多くする」が最も多く36・2%。続いて「書店経営のノウハウを多くする」29・3%、「取次、出版社に対する苦情を載せる」25・9%だった。書店の要望を紙面に反映させることが大きな課題であることを示している。具体的には「複合商品(文具など)の情報」「全国広報委員持ち回りの軟らかい記事」「ベストセラー、当店のロングセラー」「出版社の本音」などを掲載してほしいとの意見が出された。
以上をまとめると、アンケート調査に78%の組合員が非回答だった事実を重く受け止める必要がある。また、回答者のうち63%が記事・紙面の改善を求めている。具体的には①月2回刊でボリュームのある、魅力ある記事を載せる②速報性は電子メール、ファックス通信等で補う③現場担当者の対談を載せる④ペンネーム可にするなどして、書店の目線で取次、出版社への苦情を発表しやすい雰囲気を作る――ことなどの検討も必要。紙面を活性化するには編集者の努力は当然のこととして、書店経営者だけでなく従業員の投稿も歓迎するよう呼びかけるなど通信本数を増やす工夫が大事だ。連載企画は毎年見直して3年を超えない新鮮な紙面を作らなければならない。(松山雄洋広報委員)
日書連・山口尚之広報委員長談
北海道組合の行なったアンケート結果は読者の貴重な声として受け止め、本紙の改善に役立てたい。

パート、アルバイト戦力化セミナー/トーハン

トーハン・コンサルティングは2月14日午前10時からトーハン本社大ホールで「パート・アルバイト戦力化セミナー」を開催する。
講師はホスピタリティマネージメント研究所の清水均代表取締役。パート・アルバイト育成のマネジメントを体系的に学び、やる気を引き出す資格制度、賃金体系、人事考課とカウンセリングを考える。
受講料はテキスト代、昼食代を含み1名2万7千円、全国書店共助会加入店は1万円。申し込みは同コンサルティング教育事業部、03・3267・8686番まで。

催し

◇花森安治と「暮らしの手帖」展
昭和23年の創刊から30年にわたって編集長を務めながら執筆、デザイン、イラストに活躍した花森安治氏の仕事を振り返る。2月4日から4月9日まで、世田谷文学館で。月曜休館、観覧料一般5百円。京王線芦花公園駅徒歩5分。

新風賞に『さおだけ屋』/光文社、32年ぶり4度目

書店店頭活性化に寄与した出版物に贈られる第40回新風賞に『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』(山田眞哉・光文社)が選ばれ、11日、新宿のセンチュリーハイアット東京で行われた書店新風会新年懇親会で表彰された。
同賞は今年から選出方法を会員店の売場担当者による直接投票に改めた。藤原会長から新風賞を贈られた著者の山田氏は「書店の売場の方から選ばれたのがうれしい。新書はタイトルが勝負で、一世一代の書名を付けた。あとは光文社の営業力、書店の支援の賜物」と受賞のあいさつ。『頭の体操』『冠婚葬祭入門』『日本沈没』以来、4回目の受賞という光文社並河社長は「『下流社会』も62万部で好調。編集、販売、宣伝の連携で2年連続の受賞をめざす」と、強気のスピーチで会場をわかせた。
贈賞式に先立って井之上賢一副会長が「新風会の初売りアンケートでは対前年101・4%になった。6割の書店で客数が増加し、明るい兆しが見えてきた」と報告。藤原会長は「人口減少社会の中で売上げ至上主義は限界にきている。これからは付加価値の高い業界だけが生き残る。今年は出版業界の新たなシステム作りの年にしていこう」とあいさつした。
出版社を代表して雑協白石理事長は「昨年は話題の本が数多く出た。『生協の白石さん』が売れ、雑協の白石さんは影が薄くなった。来年秋には書協・雑協で合同の50周年イベントを行う。先人の苦労も学びたい」と祝辞を述べた。

須原屋研修生、全国からOB65名が出席

書店2世を育成する浦和・須原屋研修生の第28回OB会が1月10日午後5時半から浦和ワシントンホテルで開かれ、OBと現役65名、版元などの来賓32名が出席した。
須原屋高野隆社長は歓迎あいさつで「研修所は現在1年生3名、2年生2名が火曜・金曜は朝の授業、そして各店で研修に励んでいる。須原屋は昨年11月、8店目のアリオ川口店を出店した。ヨーカドーの新しい形態のショッピング・モールで、営業も長時間だが、順調な売上げを確保している。日本経済も景気拡大基調で、出版業界も今年は攻めの姿勢で店頭を賑わせたい」と述べた。
また、高野嗣男会長は「誕生日が来ると82歳。研修所は昭和50年に制度化して30年たつ。OBがたくましく成長した姿を見るのが何よりの楽しみだ」としたあと、「小泉首相の改革の波に書店はどう乗るべきか。迷いもある。昔は本を触って覚えた。今は機械読み取り。もう一度書店の仕事は何か考え、本道を歩みたい」とあいさつした。
来賓の角川書店角川歴彦会長は「温故知新と不易流行はどちらも大事。出版業界は10年前の売上げになってしまった。率直に明日の業界を話し合う場として重要な会だ」と祝辞を述べ、講談社浜田博信取締役相談役の発声で新年を祝って乾杯した。
懇親会に先立って行われた研修会では、小峰書店小峰紀雄社長が「文字・活字文化振興法を生かすために」を講演した。

日販マネジメントゼミ

日販は2月22日、23日の両日、江東区の「ホテルイースト21東京」で第42回日販マネジメントセミナーを開催する。今回は講師陣に勝ち組創業経営者、経済アナリスト、消費社会研究家を迎え、「永続繁栄に挑む経営戦略」を学ぶ。
第1講「お客様が感動し満足いただける店づくり・人づくり」(ホンダクリオ新神奈川会長・相澤賢二)、第2講「王道の経営」(PHP研究所社長・江口克彦)、第3講「複合書店における新ドミナント戦略」(ニューコワン社長・村井眞一)、第4講「経営は継続して栄えなければ意味がない」(壱番屋創業者・宗次徳二)、第5講「二極化するマーケット」(カルチャースタディーズ研究所主宰・三浦展)、第6講「日本小売業の再編と見通し」(プリモリサーチジャパン代表・鈴木孝之)
参加費は2日間受講宿泊の場合5万5千円、同宿泊なし4万5千円、1日受講2万5千円。日本出版共済会加盟店には補助金あり。申込み・問合せは日販経営相談室出版流通学院事務局へ。

本屋のうちそと

いま『下流社会』という本がでているが、単に所得が多いとか少ないではなく、コミュニケーション、生活能力、働く意欲の無い人を言う。一般生活でも同じこと。
買い物にお店に行くと店員の言葉は、マニュアル通りの返答の仕方。お客様が何を探しているのか、何を求めているのかを感じ取ることは無い。お客様からの問いかけに、それなりの返答はするがそれ以上のことは話さず、話の盛り上がりもなく他の商品をすすめることも無い。それはマニュアルに書いてない。
書店も昔は著者を言われれば、あの本ですかこの本でしょうかと返答の仕様もあった。それがプロでもあった。今でもお客様へそのような対応をしている書店は、在庫の有無、版元の在庫までわかってしまうほど敏感に情報収集している。
多くの書店は、店の棚に無いものは無いという対応なのではないか。商人は売らんがために努力をせねばならないが、その努力って人に聞けない。自分で考え、勘を働かさねばならない。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、直感、ひらめき、洒落、ウイット。何をやっても良い方向に行くとは限らないが、何かやらねばなりません。
知り合いの酒屋は地方の蔵元回りをして、指定店になる努力をしている。ネット上では高額な取引をしている銘柄も彼の店は定価販売。だが、誰でもかまわず売るのでなく、毎月定期的にお買い物をしていただけるお客様のために、手に入りにくい商品を残しておく戦略なのです。我が店もそれなりに努力をして、「下流書店」にならないようにしよう。
(とんぼ)