全国書店新聞
             

平成22年1月11日号

年末年始売行きは96%前後

取次各社が発表した年末年始の書店店頭売れ行き動向によれば、年末年始6日の前年比は96%前後、ジャンル別では書籍が93%前後に対し、雑誌は97~99%と比較的好調だったことがわかった。
トーハンのPOS店1468店の調べでは、年末3日間の合計は前年比95・4%、年始3日間が96・8%。年末年始6日間を合計した内訳は書籍93・2%、雑誌97・0%、コミック101・4%、NM105・6%だった。
日販は1587店の6日間の調査として書籍93・3%、雑誌99・5%、合計96・2%と発表。分野別では書籍は総記が102%、実用書が106・4%と前年を越え、雑誌は週刊・隔週誌が112・8%、コミックが102・6%と好調だった。エリア別では中四国・九州が98・1%と高く、中部が92・7%で最も低かった。
大阪屋は1月4日まで7日間の400書店のPOSデータを96・9%と発表。地域的には西高東低、分野別では雑高書低、年末年始の対比ではは年始良好とした。

国民読書年の幕開け/4団体首脳が期待表明/名刺交換会

出版クラブが主催する新年名刺交換会が1月6日正午から日本出版クラブ会館で開かれた。名刺交換会は縁起の良い助六太鼓と獅子舞でスタート。出版クラブ野間佐和子会長が「今年は寅年。猪突猛進の勢いで不景気を突破していきたいと思います」とあいさつ。書協小峰紀雄理事長、雑協上野徹理事長、取協古屋文明会長、日書連大橋信夫会長の各団体首脳とともに乾杯し、新年の門出を祝った。各代表のあいさつは「出版クラブだより」紙上で行われたが、日書連大橋会長のあいさつ『今年こそ実現したい「送品・返品同日精算」』は以下の通り。
新年あけましておめでとうございます。本年2010年は国民読書年。記念すべき輝かしい年の幕開けです。諸先輩のご努力により読書の必要性はここ数年、飛躍的に脚光を浴びるようになり、様々な形で運動が展開されています。ブックスタート、読み聞かせ、絵本ワールドといったボランティア活動を中心としたものや、学校を挙げての朝の読書運動、書店側の取り組みであるサン・ジョルディの日、第4土曜日は子どもの本の日、本屋のオヤジのおせっかい、孫の日、読書ノート等々のキャンペーン企画がありますし、最近の新しい動きとしては、JPICが中心にすすめている「20歳の20冊」や「ブックリボン」など、盛り沢山な読書推進運動を展開しています。こうした読書推進の潮流を更に強固なるものにしていくべく、積極的に応援していきたいと考えております。
さて、日書連として何としても実現したい今年の重点課題の一つに、「送品・返品同日精算」の問題があります。昨年のこの年頭挨拶でも触れましたが、再度取り上げさせていただきます。委託商品が主流の出版業界にあって、書店が置かれている現実は、「返品条件付き買い切り」という商習慣を強いられているわけです。早い話が、書店が商品の先払いをして出版業界を支えているという構図です。返品率を勘案した支払い入金率があった時代と違って、今は取次からの送品の全額、100%支払いが求められています。つまり、過払い状態が恒常的になっているために、書店のキャッシュフローが大変厳しくなっています。そういうことから、せめて送品締め日と返品入帳日を同日にした請求書を出して欲しいとお願いしているわけです。返品入帳締め後の送品分が請求されている現実を見直していただきたい。これが実現すれば、書店のキャッシュフローが改善されますし、何よりも商品の店頭展示日数が増え、返品減少に寄与するものと確信しています。既に改善いただいた販売会社様もありますが、是非、この点ご理解賜りたいところであります。
それから、「出版業界における用語の統一」があります。とりわけ取引や金銭にからむ用語は、解釈の違いで大きな問題を生じさせてしまいます。用語の解釈が曖昧な状態で推移した歴史的背景には取引は個々という免罪符が存在していたからだと思います。業界三者それぞれの立場における現行の解釈と問題点を洗い出し、統一出来るものは直していく。業界のインフラ整備の一つとして、早急に詰めていく必要があろうかと思います。
そのほか、日書連マークの普及拡大による地域書店生き残り作戦の積極的展開、コミック試し読みシステム「ためほんくん」の本格稼動に向けた取り組み、ICタグによる万引防止策の研究、雑誌発売日全国同日発売の実現、傘下組合員の加入促進、取引問題の改善、責任販売制度導入によるマージンの確保等々、新年を寿ぐには余りにも多くの難題を抱えておりますが、明日の健全な書店像を追い求めることが、出版業界全体の発展につながるものと信じ、この一年、頑張ってまいろうと気持ちを新たにしているところであります。ご指導ご鞭撻の程お願い申し上げます。

4万3千冊を寄贈/よい本いっぱい文庫

日販は第45回「日販よい本いっぱい文庫」として昨年末、330カ所の施設に絵本、児童書4万3千冊を寄贈した。日販創立15周年を記念して1964年にスタートした社会貢献活動で、これまで45年間に延べ1万カ所に173万冊を寄贈している。
同文庫は児童図書出協との協催で実施。日販各支店で開催している「学校図書館によい本いっぱい文庫」児童書展示会の売上げの一部のほか、出版社に児童書を寄贈してもらい、厚生労働省の協力で全国の児童福祉施設に寄贈している。施設への配送は運輸会社が協力している。

県に児童書など寄贈/埼玉組合

埼玉県書店商業組合は昨年暮れの12月12日に水野兼太郎理事長と山口洋事務局長が埼玉県福祉部こども安全課を訪問し、平成21年度寄贈本として児童書・辞典など524冊を寄贈した。
応待した荒井宏課長は「長年にわたり毎年多くの本を寄贈していただき、県内福祉施設も大変感謝をしている。施設の子どもたちも毎年楽しみにしている」とお礼を述べた。
寄贈本はこども安全課より県内の児童養護施設、母子生活施設等にクリスマスに合わせ配本され、各施設と子どもたちより心温まる多くの礼状をいただいた。
(山口洋事務局長)

親子で読書コンクール/市原市書店組合が企画立案

市原市書店協同組合は市原市と市原市教育委員会の後援、市原市中央図書館の協力を得て「第1回市原市親子で読む読書感想文コンクール」を実施する。コンクールを通じて、本に親しむ機会をつくり、読書の楽しさを体験してもらうとともに、親子が同じ本を読むことで家族の絆を深めてもらおうという狙い。
応募資格は市原市内小学校在籍または在住児童と、その保護者。親子で協力し子どもが書く感想文の部と、親子それぞれが書く読み聞かせの部、本紹介の部の3部門があり、各部門とも小学校低学年、中学年、高学年に分けて表彰する。
個人賞として各部ごとに最優秀作品に市原市長賞、教育長賞、中央図書館長賞を選ぶほか、優秀作品には協賛企業賞、優良作品、奨励作品を表彰する。コンクールに積極的に取り組んだ学校には読書感想文推進大賞を贈る。応募締め切りは2月15日、入賞は千葉日報新聞等で発表し、表彰式は3月中旬、市原市中央図書館で行う。

新規出店3割減少/昨年290店、42,214坪に

大手出版社が集計した昨年の書店出店数が12月24日付「新文化」ならびに12月28日付「文化通信」で発表された。
これによると2009年の新規出店数は290店、4万2214坪で、前年の399店、5万9270坪から店数で72・7%、坪数で71・2%となり、3割近い減少となった。しかし、平均坪数は145・6坪で前年の148・5坪とほぼ同じ高い水準を維持している。
増改築による出店の合計は2009年は104店、4603坪で、店数は前年の135店に対し77%となった。増改築坪数は前年の4781坪に対し96・3坪だった。
100坪以上の出店数は新規が152店で前年より47店少なく、前年比76・4%に。増改築合計は10店でやはり前年より11店少ない47・6%だった。
新規・増改築を合わせた取次別出店数は日販が157店・1万9894坪で店数、坪数ともトップになり、前年トップだったトーハンを逆転した。
以下、店数の多い順にトーハン105店・1万6757坪。大阪屋60店・4272坪、太洋社30店・1711坪、栗田25店・3625坪、中央社12店・338坪、協和5店・220坪となっている。

生活実用書/注目的新刊

最先端の医学にも、未だに進歩から置き去りにされている分野がある。医学といえども、絶対ということはない。杉晴夫著『現代医学に残された七つの謎』(講談社ブルーバックスB1652900円)は現代医学に残された七つのテーマを中心に人体の神秘を追求したもの。
たとえば鍼灸の治療効果。ツボを結ぶ体内の経絡路に関する理論が「陰陽五行説」にもとづいて構築され、2000年にわたって中国に伝えられてきたが、現代医学は実験の裏付けが欠けているとして採用しなかった。しかし現在では日本だけでなく欧米諸国も研究するようになった。欧米では大規模な臨床テストも行われたのだが、神経インパルス(活動電位)の伝わる神経回路とは無関係なことがわかり、鍼灸治療の有効性は認められるものの、ついにツボと経絡路の関連は依然として解明されていないのである。
睡眠がなぜ起こるかも古来からの不思議。また、「病は気から」という心が病気を引き起こす現象。記憶の貯蔵方法は、化学物質が関与したアナログ的なものでコンピュータとは異なる事実。磁場の人体に及ぼす影響、筋肉はなぜ動くか、人体の真の設計図は何かなど未解明の謎を探る。
医学にも絶対がない以上、我々はどうすればいいのだろうと思ったら、そんなに深刻になることはないと、免疫学の教授が説く本を発見した。
奥村康著『「まじめ」は寿命を縮める「不良」長寿のすすめ』(宝島新書283667円)である。不老長寿ならぬ不良こそが長寿に繋がるというのだから、思わず身を乗り出してしまうのである。
著者が語る不良とは、「やりたいことをやって今を楽しみ、よく笑う、陽気な人」を指す。第一章から、まじめな人ほど早死にする理由、なの
である。ガンをたたくNK細胞を活性化させるにも、笑って、精神を高揚させて、ストレスを解消すればいい。
以下、免疫力を高める食生活、不良長寿への7つの習慣から健康の常識・非常識と、論はどんどん楽しくなる。コレステロール値は300まで放っておけの項では、一般に負の面が強調されているにすぎず、値の高い人ほど頭の回転が速く長寿だという。免疫力を鍛えるのが一番なのだ。(遊友出版・斎藤一郎)

訃報

鶴田尚正氏(日販相談役、前代表取締役社長)
病気静養中のところ、12月27日に死去した。71歳。
通夜密葬は近親者で営まれた。お別れの会を1月26日正午からホテルニューオータニ芙蓉の間で行う。主催者代表日販古屋文明社長、喪主は妻の典子さん。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

本年もお付き合いくださいますよう、よろしくお願い申しあげます。私は師匠にプラス思考(?)を叩き込まれました。そのうえ生来オオザッパな性格です。このところますます拍車がかかり、版元さんに注文するのに正確な書名を言えず(書けず)ご迷惑をかけています。「○○の本」などはマシな方です。先日もファックスで『怠堕のすすめ』と書いてしまいました。正しくは『怠惰を手に入れる方法』です。漢字まで間違っています。アバウト過ぎてあまりに迷惑です。それでも出版社の方はきっと「バカだねー」と思いながら、正しい本を送品してくださいます。T書館さん、ありがとうございます。
当店バイト最古参K君の幼なじみが新加入しました。私たちは「友人」というだけで「K君と同タイプ」と思い込んでしまいます。別人なのに、です。わかりやすく説明しますと、K君は「クマのプーさん型」です(本人は絶対納得しないでしょうが他人の目とはそういうものです)。友人君は「スラムダンクさわやか型」です。店頭の雰囲気が一新するほどです。この凸凹コンビをもっとイジリたいのですが、K君、学業多忙で退社することになりました。長期間働いてくれ、そのうえ話題も提供してくれました。感謝。
昨年最後のイベントは、「一箱古本市」の発起人・南陀楼綾繁さんを迎えてのトークショーでした。特別ゲストとして、大阪のブックカフェと貸本喫茶の美女4名が登場しました。会場は華やかです。ふだんのイベントは、おじさん趣味の地味で渋い暗いものですが、11月の女性作家サイン会同様、今回も大盛況で、立ち見が出るほどでした。古本市の会場がいっぺんに明るくなりました。いつものイベントとは一味も二味もちがうと、責任者が言うとります。私たち外野も同感です。失礼な奴らです。私、今回お話を少ししか聞いておりません。南陀楼さんが女性たちに本や仕事のことを根掘り葉掘り訊いていると感じました。帰省した娘に親戚のおっさんがしつこく意見しているイメージです。あくまでイメージです。恒例の打ち上げ宴会も、女性がいると参加者が多く盛り上がりました。おじさんたちは皆、正直なのです。そう、正直に生きましょう。
取次販売会社の「週報」ベストセラー調査店になっていて、月1回掲載されます。このところ総合第1位は骨格矯正バンドを使うダイエット本ですが、客注品が何とか入るくらいですから、当店では番外です。100万部突破の実感もありません。年末に店頭に出せるくらい入荷して、内容を見ました。誤解なきよう、当店はその程度の売り上げの本屋だということを、恥ずかしながら告白しているのです。この本の確保に皆さん多大な努力をされていることでしょう。私は注文して入る本を売ります。売りたい本を売ります。「ベストセラーに頼らない」と言えばカッコつけすぎですが、「頼れない」のが実情ですもの。

行政と連携して読書推進活動/京都新年互礼会

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は1月7日、京都市中京区の京都ホテルオークラで平成22年京都出版業界新年互礼会を開催した。社団法人日本書籍出版協会京都支部、京都出版取次京栄会と京都府書店商業組合が共催で行っているもの。今回は出版関係者あわせて約165名が参加した。
午後4時半に開会し、挨拶に立った中村理事長は「今年は国民読書年で業界の活性化が期待されるが、政府の予算削減で機運のトーンダウンが懸念される。しかし、京都府下の教育委員会では、京都組合も参加協力するなかで子どもの読書率向上、学校図書館の活性化のための活動が熱心に行なわれている。なかでも京都市ではめざせ百冊読書マラソン運動が行われており、開始から僅か3年目の平成20年度に年間百冊を読む子どもが2万人を突破した。読む楽しみを覚えた子どもたちが育てば読者層の裾野が広がり、本の購買人口の増加が期待できることから、京都組合では今後も行政と手を携えた読書活動を推進していく。また、昨年誕生した京都組合のマスコットキャラクター『ブックン』を活用した取り組みなどで書店の活性化に繋げ、組合員の商売を盛り上げるお手伝いをしていきたい」と述べた。
大阪屋・中田知巳常務の発声で乾杯。歓談の場となった会場は出席者がテーブルを囲み、食事に手を伸ばしながらの談笑。年頭の挨拶、名刺の交換を行うなど、会場は新春に相応しい華やかな活気であふれた。
会の中盤には突然、坂本龍馬に扮した役者が会場入口に現れ、出席者やテーブルを見回しながらステージへ乱入。龍馬の妻であるおりょうに続いて新撰組の志士たちも登場し、幕末の一幕が演じられた。京都組合が現在行っている「本屋さんへ行こうキャンペーン」の龍馬本フェアにちなんで京都組合が企画したもので、感嘆の拍手に包まれた。(澤田直哉広報委員)

出版業界の閉塞状況打開へ努力/大阪新年互礼会

大阪府書店商業組合、大阪出版取次懇和会主催、日本書籍出版協会・大阪支部、出版三水会後援の大阪出版流通業界・新年互礼会が、1月8日午後3時から大阪市北区のホテル「グランヴィア大阪」鳳凰の間で開催され、出版社、取次、業界関係者、日書連近畿ブロック各府県代表者、大阪組合員など、総勢139名が出席した。
会は、大阪組合・灘憲治副理事長の司会で進行し、面屋龍延理事長が挨拶。「本年に入っての日経新聞の記事に次のようにあった。作家の夏樹静子がミステリーの大原則は密室完全犯罪の謎解きであり、人類の願望は閉塞状態からの脱出であると。出版業界も売上げの前年比に一喜一憂するだけでなく、出版不況の閉塞状態からの脱出を信じて打開策を考えよう。今年は『国民読書年』でもある。地道ではあるが、読書推進運動に力を注ぎたい」と訴えた。
乾杯の発声では、取次を代表して日販・小林利夫常務が「大阪組合が主体となって実施している『本の帯創作コンクール』は良い運動。実売増に繋がるよう、取次もなお一層の努力をしたい」と述べた。
アトラクションとして、兵庫県の徳島県人会・六甲連による阿波踊りが披露され、会場の賑やかな雰囲気を一層盛り上げた。
閉会のあいさつで、大阪屋・中田知己常務は業界三者がそれぞれの立場でさらに努力するよう呼び掛けた。(中島俊彦広報委員)

国民読書年のイベントに全力/東京新年懇親会

東京都書店商業組合は1月14日午後5時半から水道橋の東京ドームホテルで新年懇親会を開催。組合員、出版社、取次など270名が出席した。
懇親会は秋葉幸伸氏の司会で進行。舩坂良雄実行委員長が開会の辞を述べたあと、大橋信夫理事長があいさつ。「国民読書年の事業やイベントは読者を増やす追い風。読者に読書の楽しさと大切さを知っていただきたい。送品・返品の同日精算、業界用語統一にも引き続き取り組む。ケータイ電子書籍サイト『ブッカーズ』については出版社にコンテンツの提供をお願いしたい。万引き問題では全件届出推進で被害ゼロを目指す。出版社の企画に書店が参加することも必要だ」と今年の課題を述べた。
出版社を代表して筑摩書房の菊池明郎社長は「『思考の整理学』は一書店のPOPをきっかけに全国的に火がつき142万部のロングセラーになった。書店の販売力はすごい。書店のメッセージに読者がついていく。出版業界は厳しいがまだ色々なやり方がある。3者が協力していい結果を出したい」と祝辞を述べた。
このあとトーハン・清水美成常務が「不況下こそ真の営業力と販売力が試される。業界3者で元気にやりたい」と述べ、乾杯の発声を行った。

愛知モデル構築へ新世代活躍を/愛知賀詞交歓会

愛知県書店商業組合は1月15日、名古屋市千種区のルブラ王山で賀詞交歓会を開催し、組合員62名、出版社39名、取次16名、その他11名、総勢128名が出席した。
冒頭のあいさつで谷口正明理事長は「昨年組織改革をし、いよいよ愛知組合が動き出した。ぜひご協力を」と呼び掛けた。そして、自費出版、ASKカード、紙類の回収、ガソリンカードなど、「愛知モデル」構築に向けて若い人たちが活動する年にしたいとした。
このあと、日販名古屋支社長・上間淳一氏が「今年は名古屋開府400年、また国民読書年にあたり、人が動く年として楽しみにしている」と乾杯のあいさつを行い、和やかに歓談した。小学館中部エリア・マネージャーの苅谷誠二氏による中締めで閉会した。
(榊原壮一広報委員)

出版業界の地道な回復を期待/宮城新年会

平成22年度宮城県書店商業組合・出版みちのく会合同新年会は1月7日午後5時より「ホテルメトロポリタン仙台」21階銀河の間で開かれ、書店18名、出版社21名、取次12名、運輸4名の合計55名が参加した。
司会のトーハン木村明氏が開会を宣言し、宮城県書店商業組合・藤原直理事長(金港堂)が新年の挨拶。「今年は寅年で虎は千里を駆けるということから、飛躍の年とされているが、過去を振り返ってみると喜ばしいことばかりでもないようだ。しかし今年は国民読書年ということもあり各イベントが予定されている。マスコミ・メディアでも大いに取上げられるようなので、出版業界の地道な回復を期待したい」と述べ、組合活動への理解と支援に感謝の意を表するとともに一層の協力を呼びかけた。
続いて取次から日販の高瀬伸英支社長が挨拶。初めに全国及び東北の年末年始の売上の数字を報告し、「東北は全国と対比し幾分いい成績だが、まだまだ厳しい状況が続いている。しかし寅年ということで、阪神タイガースが強い年は景気がいいということで、阪神ファンではないが今年は阪神にがんばってもらいたい」と語り、「虎穴にいらずんば虎児を得ず」のことわざにたとえ、今年はより一層お客様・読者の身になってサービスにつとめて行きたいとした。
乾杯の発声は出版みちのく会・安斎佳成氏(日本放送出版協会東北支社長)。ラジオで聞いて興味を持った本からの引用で「今日の経済は大量生産大量消費から情報化社会に変わってきている。出版社としては読者が求める質の高い情報を提供していきたい」と述べ、「今年は国民読書年。この気運の盛り上がりをとらえていきたい」として乾杯した。
この後、懇談半ばに参加各人が毎年恒例の今年の抱負を述べた。また毎年恒例の年男の発表では熊谷書店・熊谷正信氏、金港堂・早坂正之氏、トーハン東部支社部長・柏木祐紀氏が発表され、記念品の贈呈が行われた。
中締めの発声は興文堂書店菅原正敏氏が「不景気で厳しい厳しいばっかり言っているのではなく、今年1年楽しく、楽しんで仕事をしていこう」と語った。
(佐々木栄之広報委員)

龍馬本フェアのイベントを開催/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は、京都市中京区の京都御池地下、ゼスト御池にて1月7日午後3時半から、京都組合で現在開催中の「本屋さんへ行こうキャンペーン」の告知イベントを開催した。今回のキャンペーンは、京都が今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の主人公「坂本龍馬」ゆかりの地であることから、京都組合では龍馬本フェアを企画し、昨年12月からスタートしている。
このイベントでは、坂本龍馬をはじめ、龍馬の妻おりょうや新撰組の志士たちに扮した役者が会場に登場し、幕末の歴史の一幕を再現した。時代を風刺しながらユーモアもある構成で、先を急ぐ人が歩みを止めて見入るなか、志士たちは刀と刀の交差音を響きわたらせながら立ち回る演出の本格的な殺陣を披露し、集まった観客を魅了していた。京都組合のスタッフは揃いの青い半被に身を纏い、会場に集まった人々や通行人にキャンペーンへの応募を呼びかけながらチラシ三百枚を配布し告知に努めた。
「本屋さんへ行こうキャンペーン」は、京都組合加盟の店舗にて1月末日まで開催。来店客がキャンペーン対象の龍馬関連本を購入して応募すると、抽選で図書カード2千円分が百名に当たる。
(澤田直哉広報委員)

日書連のうごき

12月2日万引き防止官民合同会議に大橋会長が出席。
12月4日JPO運営委員会忘年会懇親会に柴﨑副会長が出席。菊池寛賞贈呈式に大橋会長が出席。
12月7日全国中小小売商団体連絡会に大川専務理事が出席。
12月9日「再販関連」会員説明会に大橋会長ほか関係役員が出席。日書連再販研究委員会。清水英夫先生の米寿、鈴木富夫議長の古希を祝う会に石井総務部長が出席。業界紙対象広報委員会忘年会。
12月10日鹿児島組合総会に柴﨑副会長が講師として出席。
12月11日日書連MARC書誌情報使用許諾書整備関係者会議。
12月14日「活路開拓調査・実現化事業情報関係事例集」実施調査に長尾専門委員が出席。「万引防止ステッカー」三者会議に大川専務理事が出席。
12月15日「業界用語統一」東京組合との意見交換会。文化産業信用組合定例理事会に大橋会長が出席。
12月16日第2回出版販売年末懇親会。各種委員会(増売、読書推進、組織、指導教育、取引改善、流通改善、広報、消費税、再販研究、年末懇親会、財産運用、政策)。
12月17日定例理事会。児童図書出版協会との忘年会に舩坂理事が出席。
12月18日「春の書店くじ」ポスター&本券デザイン内覧会。
12月29日事務局仕事納め。

国民読書年、業界3者で取組を/福岡新年の会

福岡県出版業界新年の会は1月6日、福岡市・ホテルオークラ福岡で開催され、業界関係者108名が出席。不景気どこ吹く風、晴れ晴れしい笑顔で集い新春を祝った。今年は九州出版懇話会が担当した。
新星出版社九州出張所の真崎所長の開会のことばに続き、書店を代表し福岡組合・山口理事長が「出版社・取次・書店の業界三者で国民読書年に取り組もう。また6月からの児童手当の実施で明るい希望の光も見えてきた」と述べた。
取次を代表し日販・杉本九州支店長は恒例の年末年始の売上動向報告を行い「雑誌99・5%、書籍93・3%、期間合計の前年比が96・2%と前回より落ち幅が縮小したが依然としてマイナス傾向が続いており、4年連続の前年割れ」と紹介した。
出版社を代表してNHK出版・秋葉支社長が「今年は国民読書年、本のよさを見直す年です。本のつく漢字を拾ってみると、本心・本物・本腰・本質など悪い意味の言葉はひとつもない。今年はこの本のつく字で本気で行こう」とあいさつした。
天龍運輸・園原社長の発声で乾杯の後、博文館新社九州出張所・小倉所長による「黒田の舞」が披露され新春ムード高まる中、出席した年男年女に記念品と地元球団ソフトバンクホークスのカレンダーが贈られた。(西村勝広報委員)

「本屋の歩き方」に参画表明/トーハン

2010年トーハン新春の会は7日午前10時半から東京・目白の椿山荘で開かれ、出版社、書店など総勢2350名が出席した。
冒頭あいさつで山﨑厚男社長は、取引先約1500店の年末年始6日間の売上状況について「年末95・4%、年始96・8%、合計96・0%。書籍の内訳では趣味生活、医学書、日記手帳といったジャンルが100%を超えている。また、客数93・2%、客単価101・1%て、デフレ基調にあると言われる中、この数字に着目したい」と報告。
国民読書年にあたる2010年について「活字回帰の年にしたい。出版業界各社の具体的な取り組みが試される1年ではないか」と指摘し、「読者に対していかに活字が素晴らしいかを書店、出版社とともに伝えていきたい。書店、出版社を応援するプロジェクトを推進していく」と述べた。
その一つとして凸版印刷が4月に開設するウェブサイト「本屋の歩き方」に参画すると表明。「身近な書店で本を選ぶ面白さ、本を買う楽しさを伝えて、人々のアクションを誘発したい。読書の感動を様々な形で表現するコンテンツや、ケータイ向けデータベースと連動した書店ナビなどを搭載する予定。トーハン1社の試みではなく取引先や帳合などすべての枠を超えて広く開かれたサイトとして推進していきたい」と協力を求めた。
営業施策については「チャンスロスの撲滅」と「新たな業態開発」の二つの方向性をもって、従来の施策をブラッシュアップして新しいものを付けくわえて進めていきたいとした。また、責任販売について「もっと書店、出版社にインパクトのある取り組みをしていきたい」として、「昨年から進めているMVPプロジェクトを売上全体の10%近くまで占めるように今年1年推進していきたい」と話した。
来賓あいさつした今井書店グループ・永井伸和会長は、国民読書年について「イベントのためのイベントで終わらせてはならない。読書運動を起こして世論のうねりを作らねば。政策として機能しなければ本物ではない」と指摘した。また、業界全体で書誌データを統一する必要性に言及した。
トーハン施策プレゼンテーション、特別ゲストの作家・和田竜氏あいさつのあと、永井会長、トーハン・上瀧博正会長、山﨑社長により鏡開きが行われ、新年の門出を祝った。

年始好調で幸先良いスタート/大阪屋

大阪屋の「新春おでんの会」は9日正午から東大阪市・関西ブックシティで開かれ、書店504名、出版社622名など総勢1297名が出席した。
冒頭あいさつした南雲隆男社長は取引先400店の年末年始1週間の売上げについて96・9%と曇りの状態から抜けきれなかったものの、雑誌好調、年始良好で幸先良いスタートがきれたと報告した。また、今期3月期末決算見込みについて「売上げは業界全体の縮小でマイナス基調にあるが、損益面は全社的経費削減が奏功し、営業ベースでは一定の利益を確保できる」として、安定状態に復したことを強調した。
出版業界全体の動向については「昨年は冬景色で終わったが、今年は昨年以上に大きな変化が押し寄せることになる」と予測。「チーム大阪屋として『チャレンジ&チャレンジ』を掲げ、構造改革に果敢に挑戦していくことで特色ある取次として成長する」と基本戦略を説明した。
構造改革の一環として昨年11月、栗田と共同出資で設立した「OKC」に言及し、「埼玉・戸田市で今秋稼働予定の新物流センターは雑誌・書籍新刊送品と一部注文品業務を軸に、協業化による効率化や書店への納品品質向上、新刊送品と倉庫機能の連携によるチャンスロス防止と返品減少の両立など、戦略的センターとする。3階建、延床面積5千坪。1階が雑誌・書籍新刊、2階が注文品仕分けと倉庫、3階にも倉庫と作業スペースを配した統合型物流センターを計画している。書籍・雑誌共用のデジタルピッキング方式での業務処理や立体倉庫による省スペース化などで高品質・低コストのセンターを目指す」と説明した。
大阪出版協会・佐藤徹哉理事長、講談社・浜田博信相談役、日本書籍出版協会・岡本健副理事長、日書連・面屋龍延副会長、栗田・郷田照雄社長、大阪屋友の会連合会・田村定良会長、大阪屋・南雲社長の7名で鏡開きを行い、田村会長の発声で乾杯した。

「町の本屋の挑戦」久住氏講演/中央社研修会

中央社は中央社共栄会との共催で8日午前10時から板橋区の本社で書店研修会&情報交換会を開催。書店、出版社など85名が出席した。
第1部研修会で中央社風間賢一郎社長は「年末年始の売上はおおむね4、5%のマイナスだったようだ。出版業界がシュリンクする中で、中央社は昨年6-11月の上半期に売上107%、返品率を2・4%改善できた。役職員が書店とタッグを組み、仕入れ、配本に努力した成果だ。下半期がこのまま推移するとは思えないが油断することなく、1冊でも多く売る施策を打っていく。国民読書年にあたり官民一体で本に親しんでもらうには町の本屋が元気を出してもらわないといけない。その狙いで、研修会を企画した」と新年のあいさつを行った。
研修会は久住邦晴氏(札幌・くすみ書房)が「町の本屋の挑戦」を講演。立地の変化から閉店の危機にあったくすみ書房が「売れない文庫フェア」や「中学生はこれを読め」の企画をきっかけにV字回復し、朗読会、ミニ講演会、大学カフェ、ギャラリーと次々に繰り出す書店活性化施策を1時間にわたって講演した。
第2部情報交換会は中央社共栄会黒田哲生会長(稲沢市・萬嘉書店)が「名古屋はトヨタ・ショックが大きかったが、久住さんの話は大変参考になった。書店はお客さんを待っているだけではジリ貧になる。出版社の協力も得てアクションを起こしていきたい」と述べ、乾杯した。

教育専門取次として力発揮/日教販

第59回日教販春季展示大市会は8日午前9時から四谷のスクワール麹町で開催された。
5階展示場では市会目録掲載商品3872点全点を陳列したほか、「小学校入試コーナー」「高校ガイドコーナー」「資格試験検定コーナー」など店頭展開に役立つ情報コーナーを展示。3階会場では、「子ども英語、これからの動向」をテーマに書店研修会が行われるなど、多数の来会者で賑わった。
午後0時15分からのセレモニーでは、日教販・河野隆史社長が「今年は、小学校新学習指導要領が実施される前の年となる。移行措置などのプラス要因はあるが、依然として厳しい状況だ。しかしこういう年だからこそ、専門取次としての力を発揮すべきだと考えている。指導要領の大幅改訂では学習内容と時間数が増加し、ゆとり教育からの転換が示された。新学期の売場では、移行措置対応商品をいかにアピールするかが大切になるだろう。弊社を取り巻く環境は大変厳しく、変化に耐えうる経営基盤の構築が急務だ。一昨年から営業物流基地である戸田センターの充実を図っており、物流の精度強化を成し遂げたい。日販との業務提携は、両社が共存共栄の精神で相互に協力し、お客様へのサービス向上と、業務コストの大幅削減を実現することを目的としている。提携をさらに強化し、教育の専門取次日教販として、より一層の評価をいただけるよう役職員全員で尽くしてまいりたい」と年頭あいさつを行なった。
続いて、来賓を代表して日書連・大橋信夫会長があいさつし、「出版業界全体が落ち込んでいるときこそ原点に戻って行動すべきではないか。最終のお客様は読者であり、読者の声なき声をまとめて受けているのは書店だ。書店から版元にそういった意見をフィードバックしていきたいと思っている。今年は業界が一丸となって国民読書年を支え、何とか売上げ減を上向きの方向にもっていきたい」と述べた。
このあと学習書協会・益井英博理事長の発声で乾杯。福島日教販会から河野社長に白河ダルマが贈呈され、来賓全員で片目を入れて新春の学参商戦を祝った。

新しい取引の仕組みを構築/日販市会

「新しい流れをLEAD」をキャッチフレーズに日販「新春を祝う会」が7日午前10時より港区芝公園のザ・プリンスパークタワー東京で行われ、書店、出版社、取引先、日販グル―プ関係者合わせて2100人が出席した。
開会にあたり新年のあいさつを行った日販古屋文明社長は、年末年始の書店売上状況についてPOS導入1587店の集計として「年末は95・7%、年始96・8%、合計96・2%。書籍は93・3%、雑誌99・5%で、書籍はゲーム攻略本が好調、雑誌は週刊誌、コミックが好調だった。地域的には中部が92.7%、中四国・九州が98・1%とバラツキがあった」と報告した。
さらに、古屋社長は昨年スタートした中期経営計画「LEAD」の概要を説明。①新しい客注品取り寄せサービス「クイックブック」は王子流通センターの在庫に加えウェブブックセンターの在庫80万点を利用して最短翌日出荷が可能に、②CRMプログラム「HonyaClub」は290店が加盟、会員は310万人を超えた、③新しい取引の仕組み構築として売上・返品率の実績をもとに返品を減少させ、そこから得た利益をシェアしていく契約書店は130法人で売上シェア20%になる――と報告。「なんでも返品できる仕組みから返品のリスクを取次、書店が担うことでマージンの仕組みを変えていこうというのが我々の考え。長年、委託販売になじんできたが、非効率な販売を続ければ業界全体の存亡にかかわる。なるべく急いで取引の仕組みにしていきたい。今年は国民読書年。書店店頭で目に見える形で国民読書年の取り組みを進めていきたい」と述べた。
来賓を代表して有隣堂松信裕社長は「出版業界の売上は2兆円を切る見通しで前年割れに慣れきってしまった。売れない原因はさまざまだが、財布のヒモをゆるくさせる企画が少ないことが問題だ。責任販売制より出版社はマーケティングによる責任出版をお願いしたい。有隣堂は返品率27~28%を維持していきたが、最近は30%になっている。ここから下げるのは至難だが、返品率を下げないと利益が出ないとなれば成果もあるのではないか。国民読書年の年にあたって、不退転の決意で実績をあげていきたい」とあいさつした。
日販古屋社長、柴田副社長、有隣堂松信社長、文藝春秋平尾隆弘社長の4氏で鏡開きのあと、平尾社長の音頭で乾杯を行った。

わが社のイチ押し企画/マガジンハウス・営業局出版営業部・宮下明久

昨年2009年にもっとも注目されたエクササイズDVDといえば、弊社マガジンハウス発行のDVD&BOOK「ザ・トレーシー・メソッド」でした。
マドンナやグゥイネス・パルトロウのパーソナルトレーナーとして全米で著名なトレーシー・アンダーソンは、自らの経験をもとに編み出した、女性らしいしなやかさを保てるエクササイズを「ザ・トレーシー・メソッド」として発表しています。「体を鍛えたいけど筋肉ムキムキにはなりたくない」世界中の女性たちがこぞって支持しています。
日本では昨年5月に第一弾、同9月には第二弾の腹凹(ハラヘコ)ワークアウト編を発売し、それぞれの発売と同時にトレーシー・アンダーソン本人が来日、TV・ラジオ・雑誌・新聞・ウェブサイト等のメディアに露出してさらに話題となりました。その結果DVD&BOOKとしては異例の、2巻合わせて30万部超という部数を達成し、現在も売行き好調です。
そして今春にはその第三弾、「ザ・トレーシー・メソッド」の最終兵器でありトレーシーの真骨頂ともいえる〈ダンスバージョン編〉を発売します。これは有酸素運動を積極的に取り入れたもので、前の2巻のエクササイズとあわせて行うことで、より効果が得られます。ダンサブルなナンバーに乗ったエクササイズは楽しく体が鍛えられるので、継続性の高い待望のバージョンです。
数あるダイエット・トレーニング商品のなかでも、この「ザ・トレーシー・メソッド」は市場の期待感と時代に合った「女性らしさ」によって、また、1~3巻が揃うことによって、さらに大きなムーブメントが起きることは必至です。ぜひご注目ください!

わが社のイチ押し企画/小峰書店・広報室室長・松木近司

『ヒックとドラゴン』
クレシッダ・コーウェル/作、相良倫子・陶浪亜希/共訳、各定価945円
大手版元の文庫や新書サイズ、対抗するわけでもないが、中小版元もポケットにしまえて持ち運びできる軽装で低価格本。最近わが社でも数冊この手の本が登場している。なかでも今年の夏休み、8月7日に全国ロードショーが決定している『ヒックとドラゴン』、このシリーズの①伝説の怪物、②深海の秘宝、を昨年同時刊行しました。売れ行きは好調です。映画化されるということも手伝って、配本数も多く、書店さま店頭へも行き渡ったことにもよるのでしょうが、この本、とんでもないストーリー展開で読み飽きることなく最後までたのしめるのです。子どもがひとりで読めて、ファミリーで楽しめることうけあいだ。口コミや、書店さん自身が進めてくれるようにと、首都圏を中心に営業全員が足でかせいで促進し、事前受注もたくさんいただいた結果の配本部数の伸びにつながったといえます。
海外での評価が高く、反応もすこぶる良い。
「コーウェルは、児童文学界の新星だ」(タイムズ紙、アマンダ・クレイグ氏)「これほど愉快で独創的な子どもの本を読んだのは、久しぶりだ」(インディペンデント紙)
【本の内容】
①伝説の怪物少年バイキング・ヒックは、ドラゴンを観察するのが好きな男の子。そんなヒックが、運命のドラゴン、トゥースレスと出会う。二人は、バイキングの島に現れた巨大な怪物ドラゴンと戦うことに……。ヒックは、一族のみんなの命を救うことができるのか?
②深海の秘宝アルビンという怪しげな男が、ヒックのすむ島に流れ着いた。
ヒックたちは、アルビンとともに伝説の大海賊の宝を探しに、恐怖のドラゴンのすむ島へ向かう。ヒックは、相棒のドラゴン、トゥースレスと宝を見つけることができるのか?
③天牢の女海賊2010年1月刊行
④氷海の呪い2010年3月刊行予定
以下8巻まで刊行(2010年11月完結予定)

わが社のイチ押し企画/新潮社・出版部文芸第一編集部・桜井京子

2010年新潮社のイチ押し企画には、桐野夏生さんの長篇『ナニカアル』を挙げさせていただきます。
2008年には10万部を超えるベストセラー長篇『東京島』(新潮社刊・今夏映画公開予定)で谷崎潤一郎賞を、2009年には新しい日本の神話として話題になった『女神記』(角川書店刊)で紫式部文学賞を受賞し、立て続けにヒット作を刊行されている桐野さん。2010年には長篇作品の刊行が何作も予定されていますが、そのトップを切って小社が刊行するのが『ナニカアル』です。
この作品は2008年12月から2009年11月まで「週刊新潮」にて連載されました。物語の主人公は『放浪記』で有名な作家・林芙美子。1903(明治36)年に生まれ、1951(昭和26)年に享年47という若さで亡くなった彼女が生きたのは、次々と戦争が続く激動の時代でした。
1942(昭和17)年に陸軍報道部嘱託として南方視察に派遣され、シンガポールからマレー半島、インドネシア、ボルネオなどを廻った帰国までの8カ月は、彼女の短い人生の中でも特に資料が残っておらず空白が生じています。まさしく戦争と共に生き、平和を知らないまま亡くなった林芙美子が、戦争の中で何を考え、どんなことをしたのか──。
史実を踏まえた設定の中で、芙美子が何処へ行き、何を書いて、誰と恋をしたのか……それを評伝ではなく、作家の筆で小説として仕立て上げたのが本書『ナニカアル』なのです。
桐野夏生さんが膨大な資料と詳細な取材を経て渾身の力で書き上げた大作『ナニカアル』にどうぞご期待ください!

わが社のイチ押し企画/双葉社・営業局局次長・川庄篤史

あけましておめでとうございます。
旧年中は格別なるご高配を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
さて昨年は、湊かなえ著「告白」が、全国の書店の皆様の熱い思いで「本屋大賞」を受賞させていただきました。お陰様で「告白」は、一昨年の8月の発売以降現在までロングセラーを続け、今年6月には東宝系で映画公開が予定されており、今後も書店様の売上に貢献できると確信しております。
また、この1月5日には、累計1000万部を突破した佐伯泰英著「居眠り磐音江戸双紙」シリーズの新刊「更衣ノ鷹」(きさらぎのたか)上・下巻を同時搬入させていただきました。今回は物語が大きく展開する一つの大きなクライマックスを迎えたこともあり、大変好調なスタートとなっております。
ここまでこの作品を育てていただいたのも、書店様のご支援の賜物と感謝申し上げます。双葉社では引き続き、文芸作品、時代小説、共に力を注いでまいりますが、本年はそれに加えて雑誌、コミックスにも今まで以上のチャレンジをしてまいります。
雑誌では、既刊誌における特集・内容強化はもちろんのこと、六月には日本を代表する人気カリスマモデルたちが、最新のトレンドを発信していく〝ギャル誌を超えた情報マガジン〟『EDGESTYLE』(エッジスタイル)を創刊させていただきます。
また、コミックスも昨年、こうの史代著「この世界の片隅に」がこのマンガを読め!の第一位、村上たかし著「星守る犬」がダ・ヴィンチ誌の泣けた本の第一位を受賞させていただきました。本年も「漫画アクション」「コミックハイ」を中心にさらなる内容の充実に努めます。また、本年は「クレヨンしんちゃん」誕生20周年の年にあたり大きなキャンペーンを予定しております。今年も双葉社は元気いっぱい頑張ってまいります。何卒、本年も倍旧のご支援、お力添えを賜りたくよろしくお願いいたしますと共に貴店ますますのご発展をお祈り申し上げます。

「未来のおとなへ語る」シリーズ刊行/ポプラ社

ポプラ社は、各界を代表する著名人が子どもたちに人生を語るシリーズ「未来のおとなへ語る」(第1期全10巻)の刊行を昨年12月からスタートした。各巻160~200頁・A5変型判、税込1365円。
ストレートなテーマについて、各界の著名人が実体験を交え真正面から語りかける内容となっており、今年1月までに、第1巻・山折哲雄著『わたしが死について語るなら』、第2巻・やなせたかし著『わたしが正義について語るなら』、第3巻・三浦雄一郎著『わたしが冒険について語るなら』を刊行。続刊のテーマと著者は以下を予定している。④国家(松本健一)⑤仕事(ワダエミ)⑥家族(桐島洋子)⑦リーダーシップ(中曽根康弘)⑧人生(加島祥造)⑨探求(西澤潤一)⑩芸術(千住博)

人事

★マガジンハウス
12月16日開催の定時株主総会・取締役会で下記の取締役が就任した。○新任。
代表取締役社長
石﨑孟
常務取締役〔編集統括〕
秦義一郎
同〔営業統括〕吉田高
同〔広告統括〕片桐隆雄
取締役〔総務局担当〕
伊東秀雄
同〔経理局担当〕
南昌伸
同〔編集担当兼第一編集局長〕○新宮洋
監査役畑尾和成
執行役員〔広告局担当〕
岩田孝司
同〔第二編集局長〕
久我英二
同〔第三編集局長〕
○石渡健文
同〔第四編集局長〕
○熊井昌広
最高顧問木滑良久
★世界文化社
12月16日開催の定時株主総会・取締役会で下記の取締役と監査役を選任した。
代表取締役会長鈴木勤
代表取締役社長
鈴木美奈子
専務取締役〔社長補佐〕
大塚茂
同〔営業担当〕小林公成
同〔編集担当兼第1・第5編集本部本部長〕
内田吉昭
常務取締役〔ワンダー事業本部担当〕川面重雄
同〔管理本部本部長〕
大河原宏
取締役〔第4編集本部本部長兼パズル編集部部長編集長〕加治陽
同〔通販事業本部本部長〕
駒田浩一
同〔セールスプロモーション本部本部長〕佐藤秀人
同〔広告本部本部長〕
押鐘正人
監査役中島正紘
役員待遇〔ワンダー事業本部本部長〕井上雅夫
★筑摩書房
(1月1日付、◎昇格)
取締役総務部長・営業局担当役員(取締役営業局長)平川惠一
営業局長代行兼販売促進部部長・役員待遇(販売促進部部長)◎小島秀人
★暮しの手帖社
(12月18日付)
取締役社主大橋鎭子
代表取締役社長〔営業統括〕横山泰子
取締役副社長〔経営企画担当〕◎阪東宗文
取締役〔編集部門担当〕
松浦弥太郎
監査役渕井三津雄

探しています

川崎展宏著の句集「夏」(角川書店)を探しています。定価、着払いにて、事前にご連絡ください。
連絡先=〒590―0504大阪府泉南市信達市場2661杉野書店
℡072(483)2441、FAX072(483)8232

読書率3ポイント減の64%/家の光協会・全国農村読書調査

家の光協会は昨年夏実施した第64回「全国農村読書調査」をまとめた『2009農村と読書』を発表した。これによると総合読書率は64%で、前年までは3年連続67%だったが、今回3ポイント減少した。雑誌読書率は前年比1ポイント減の55%と3年連続のマイナス、書籍読書率は6ポイント減の34%となった。
●総合読書率
総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合)は64%で前年より3ポイント下落した。性別では男性が60%、女性は69%と、ともに前年より2ポイント減少し、22年連続で女性の読書率が男性を上回った。
年代別にみると10代、20代がともに73%。30代以降は年代が高くなるにつれて読書率が低下し、70代では48%となっている。職業別では学生の83%がトップ。以下、主婦76%、給料生活67%、農業61%、自営業55%となり、最も低いのは無職の51%だった。
●雑誌読書率
雑誌読書率(月刊誌か週刊誌を読んでいる割合)は前年より1ポイント下がって55%になった。性別では男性が3ポイント減の50%、女性が1ポイント上昇して60%で、差は10ポイントに拡大した。年代別では30代が最も高く65%、次いで20代が61%、10代と40代が58%、50代が56%、60代は53%で、70代が最も低く44%だった。
総合読書率と雑誌読書率の推移をみると、過去最高だった1989年より総合読書率で23ポイント、雑誌読書率で29ポイント低下し、過去最低水準となっている。
●月刊誌の読書状況
月刊誌読書率は前年比4ポイント減の42%で、「毎月読む」が18%、「ときどき読む」が24%だった。性別では男性が8ポイント減の34%、女性が前年と同じ49%だった。年齢別では20代が高く57%、70代が最低で30%だった。職業別ではトップは学生で63%。毎月読む割合が高いのは、年代別では10代(24%)と40代(23%)、職業別では学生の29%だった。
●週刊誌の読書状況
週刊誌読書率は33%となり、前回より4ポイント減少した。「毎週読む」が7%、「ときどき読む」が26%。毎週読む割合は男性9%、女性4%で、男性が上回る傾向が14年間続く。読書率を性別でみると男性が4ポイント減、女性は3ポイント減少してともに33%。年齢別では60代の39%、職業別では農業の36%がトップだった。
●書籍の読書状況
この半年間に書籍を読んだ人の割合は34%で、前回調査より6ポイント減少した。性別では男性28%、女性40%。年齢別では10代の48%に対し、70代は16%に落ち込み、上の年代ほど低くなる。職業別にみると学生が57%と突出しており、次いで主婦の43%、最低は自営業の22%だった。
過去1カ月の読書冊数をみると平均1・0冊で、前年より0・4冊減少した。「1~4冊」が圧倒的に多く51%、次が「0冊」の21%だった。性別では男性が1・0冊に対し女性は1・1冊。書籍を読んでいる人の平均では4・2冊で、前年より0・5冊の減少。
●読んでいる雑誌
「毎月読む」「ときどき読む」をあわせて読んでいる月刊誌上位5誌は、①家の光、②オレンジページ、③現代農業、④レタスクラブ、⑤NHK趣味の園芸となった。週刊誌の1位は『女性自身』で29年連続。以下、②週刊現代、③週刊女性、④週刊少年ジャンプ、⑤週刊ポストと続く。
●読んだ本
半年間に読んだ書籍の1位は『ONEPIECE』。2位は『BLEACH~ブリーチ~』『NARUTO』『はじめの一歩』『天地人』が並び、上位4作がマンガ本だった。好きな作家のトップは東野圭吾で、初の首位獲得。以下、②西村京太郎、③宮部みゆき、④司馬遼太郎・松本清張の順。東野圭吾は『容疑者Xの献身』など多くのベストセラーが映画化・ドラマ化され、男女を問わず40代~50代を中心に給料生活層の人気が高かった。
●書籍・雑誌の入手先
月刊誌を読んでいる人の入手先は1位が書店58%、2位スーパー・コンビニ32%、3位予約購読16%。週刊誌は1位がスーパー・コンビニ46%、2位書店44%、3位美容院・食堂・病院33%となった。書籍のトップは書店がダントツで76%を占めるが、2003年から下降傾向にある。2位図書館・公民館21%、3位スーパー・コンビニ14%。年齢別でも全て書店が1位だが、10代が94%に対し70代が64%と、年代が上がるにつれて入手先としての依存度は下がっている。
●1カ月の本代
本を読まない人も含めた1カ月あたりの本への支出金額構成をみると、一番多いのが「買わなかった」の45%で、前年より2ポイント増加した。購入した層の中では、千円以上2千円未満が最も多く16%、次いで3千円以上の12%。
本を買わない人も含めた全員の平均支出額は前年より30円増の1070円で、5年連続増加した。性別では、男性が1144円(前年比45円減)、女性999円(同84円増)。年齢別では20代が最も高く1730円、最下位は70代の445円だった。本を買う人の平均支出額は、112円増の2243円。男性は2370円で前年を130円下回り、女性は2117円と282円増加した。年齢別トップは60代の2543円、最も低いのは10代の1131円。
●書籍・雑誌の読書時間
雑誌、書籍を問わず1日平均の読書時間は、読まない人(52%)も含めた平均時間で16分と、前年より2分短くなった。性別では男性が15分、女性が17分でともに2分減。年齢別では20代が最も長く21分、短いのは70代で11分だった。なお、本を読んだ人の1日平均読書時間は前年より2分長くなり36分だった。
新聞の閲読時間は平均23分。テレビ視聴時間は156分だった。また、インターネットは30%が利用していると回答し、全体の平均利用時間は18分だった。
〈調査方法〉
農林業地区に住む16歳以上79歳以下の男女を母集団とし、「層化2段無作為抽出法」で抽出した1200人を対象に、調査員による訪問留置・訪問回収法で実施した。有効回収数884、回収率73・7%。