全国書店新聞
             

平成28年7月15日号

通常総会の主な報告事項

[指導教育委員会](鈴木喜重委員長)
2005年以来11年ぶりに「全国小売書店経営実態調査報告書」をまとめた。これによると、ここ数年間の経営状態は全体の85・2%が悪化したと感じていることが分かった。今後、調査結果から得られた問題点を関係各所に投げかけ、出版社や取次に書店の窮状や要望を訴えていくための基礎的な資料として活用する。
また、昨年12月の与党税制改正大綱で「有害図書」排除の仕組みが課題としてあげられたことから、出版6団体で構成する軽減税率専門委員会の倫理ワーキンググループで、青少年に不適切な図書を判断する仕組みとして、軽減税率適用が適格かどうか審議する第3者機関の設立が検討されている。
[書店再生委員会](本間守世委員長)
「書店再生のための提案」5項目では、増売企画以外についても研究を行う。書店による付録綴じ作業の廃止については取引改善委員会と連携して取り組む。また、取次の客注特急便の書店負担については書店、出版社、取次の応分負担も含めて軽減策を探る。
4回目となる実用書増売企画は、前回に続いて第2回「書店金賞」と銘打ち、「和~日本のこころ」をテーマに平成27年9月初旬~12月末まで3ヵ月延勘で実施した。出版社は19社20点の一押し本を増売し、販売実績上位の東邦出版『日本の大和言葉を美しく話す』、河出書房新社『日本人なら身につけたい品性がにじみ出る言葉づかい』、東邦出版『日本の七十二候を楽しむ』の3銘柄を書店金賞に選出、さらに売り伸ばしを図った。受注数は345書店378セット。12月16日の出版販売年末懇親会で贈呈式を行った。書店の希望により応えるため、平成28年度はいったん休止して内容を検証する。
[読書推進委員会](西村俊男委員長)
平成27年度も「春の書店くじ」「読書週間書店くじ」を発行した。今回から、特等賞を廃止して賞品構成を1等から4等までとし、店頭掲示用ポスターの印刷・配送を止めて日書連ホームページからダウンロードしてもらう形にするなど、実施方式を変更した。今後も販売減少に歯止めをかけるため、抜本的な改革を視野に検討を進める。
「サン・ジョルディの日PR企画推進費」の募集を行い、独自企画を提出した11組合に総額200万円の補助金を拠出した。平成28年度は名称を「読書推進活動補助費」に改め、12組合に総額225万円の補助金を拠出することを本総会で決定した。
[組織委員会](中山寿賀雄委員長)
46都道府県組合の登録所属員数は、昭和61年の1万2953店をピークに29年連続減少となり、組織規模は30%弱まで縮小した。今後、新規店の加入促進と脱退店の減少にいっそう力を入れる。
ポケッターは平成26年度から受注製作に変更し、平成27年度は4万2千部を製作した。今年度も受注製作とし、全国書店新聞にキャンペーン記事を掲載するなどして積極的な販売促進を図っていく。
[広報委員会](面屋龍延委員長)
日書連の所属員は4千店を割り込み、各組合内での活動、情報交換、意思疎通は大きな困難に直面しており、各書店をつなぐパイプ役として全国書店新聞と、各都道府県組合の活動を全国書店新聞に投稿する全国広報委員の存在はますます重要性を増している。今年度は9月14日に全国広報委員会議を25名規模で開催し、日書連広報活動の強化について意見交換を行う。
消費税問題については、税率10%への引き上げが2019年10月に再延期となったことから、出版物への軽減税率獲得を目指して引き続き全力で取り組む。
[取引改善委員会](柴﨑繁委員長)
トーハン、日販が平成26年4月から実施している返品入帳締切日の繰り下げについて、両社は全取引書店に通知するとしていたが、「全国小売書店経営実態調査」で、取次から返品入帳締切日の変更通知が届いていないと回答した書店が40・5%に達した。再度、両社との協議および調査を行うことが必要だが、これが事実だとしたら重大な問題であり、対応策を講じたい。また、従来から主張している通り、送品・返品同日精算の完全実施を引き続き求めていく。
[流通改善委員会](藤原直委員長)
雑誌発売日問題では、全国同時発売の実現に向けて、北海道・九州地区3日目地区から2日目地区への改善、沖縄地区の週刊誌航空輸送の早期実現などを粘り強く求め、雑誌発売日励行本部委員会への申し入れを続ける。
教育システムを通じて日書連MARCを利用している図書館や書店は蓄積データの増加にファイル圧縮で対応してきたが、サービス開始から14年経過し、限界に達する前に提供方式を更新する必要が出てきた。教育システムは従来の提供方法を平成30年3月31日で終了し、同年4月1日以降はインターネット接続を使う新方式に移行する予定。福岡県情報センター(FJナノ)では提供方式の変更を予定していない。
民間企業が指定管理者として運営を受託する公共図書館が全国で増えていることについては、本の納入は書店が行うという一線だけは守ることができるよう対策を検討する。
[政策委員会](舩坂良雄委員長)
政策委員会管轄の「雑誌買切制度研究小委員会」では、書店の収益改善を実現するため、外商雑誌を買切ることで報奨金を得る制度の確立を研究。速やかに実証実験を開始できるよう、雑誌出版社や取次と調整を進める。
財政安定化では、経費削減の努力を継続するとともに、既存事業の基盤を整備し、新規事業収入の研究にも取り組む。

書店マージン30%へ拡大を/日書連通常総会

日本書店商業組合連合会は6月23日、東京都千代田区の書店会館で第28回通常総会を開催。舩坂良雄会長は、書店の厳しい経営環境を改善するため、書店マージン30%への拡大に向けた検討を出版社に要請。また、軽減税率獲得に向けた運動を再開し、出版4団体が足並みを揃えて取り組みたいと報告した。主要書店関係団体が提唱している、年1日限定で全国の書店が一斉に自由価格で本を販売する読者謝恩の日については、「再販を堅持した上で取り組みたい」とした。
総会は全会員46名(本人36名、委任状4名、書面6名)が出席。小野正道理事(岡山)の司会、鈴木喜重副会長(千葉)の開会の辞で始まり、最初に舩坂会長(東京)があいさつした。
舩坂会長は、昨年の出版物販売金額が5・3%減と統計開始以来最大の減少率を記録したことや、全国の書店数の減少に歯止めがかからない状況に強い危機感を示し、「書店の厳しい経営環境が続く中、正味はほとんど変更されていない。書店マージンは最低30%必要。出版社は思い切った本の値上げをためらうなら、早急に正味改定を検討してほしい」と要請。外商雑誌について返品しないことを条件に報奨金を付けるよう提唱している日書連の施策については、「賛同する出版社から随時実行する」と
述べた。
出版物への軽減税率適用については、「さらなる税率アップは書店の息の根を止めかねない死活問題」として、出版業界が足並みを揃えてロビー活動を再開するよう提案すると述べた。
また、読者謝恩と書店に足を運んでもらうためのイベントとして書店新風会の大垣守弘会長らが提唱している、1年に1日だけ全国の書店が一斉に自由価格で本を販売する日の取り組みについて、「本はふだん定価販売だからこそ、これが実施されるとインパクトがある。出版社の一部、書店の一部だけで実施しても効果は薄く、日本中で一斉に実施することで話題になる」と前向きな姿勢を示した。不安視されている自由価格本の原資については「出版社が販促物・拡材に使っている費用の一部を振り向け、取次の協力を得た上で実現可能」と述べた。一方、「自分たちの手で値崩れを起こすことは避けなければならない」とも述べ、再販堅持が前提になることを強調した(2面にあいさつ要旨掲載)。
議案審議では志賀健一理事(北海道)を議長に選任。平成27年度事業報告、平成27年度財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案、監査報告、平成28年度事業計画、平成28年度収支予算、経費の賦課及び徴収方法、平成28年度借入金の最高限度額、平成28年度役員の報酬額のすべての議案を原案通り承認可決した。
監査報告は小泉忠男(東京)、元永剛(員外)の両監事が行った。この中で小泉監事は「組合員数が減っていく中で色々な組織改革が行われてきたが、その場しのぎになっていて、今後どのような組織体であるべきかまで届いていない」と指摘した。
平成28年度借入金の最高限度額は1億円、平成28年度役員の報酬額は員外監事60万円に決まった。
高橋千尋監事(北海道)の逝去で空席となった監事は、定款で定数が「1人以上3人以内」となっていることから補充せず、小泉、元永両監事の2名体制で進めることが報告された。

舩坂会長の総会あいさつ

出版科学研究所調べによると、2015年の書籍・雑誌の推定販売金額は前年比5・3%減の1兆5220億円で、1950年に統計を取り始めて以来、過去最大の減少率となった。33年前、1982年の1兆5439億円と同水準だ。82年の書籍の出版点数3万1500点に対し、昨年は7万6445点。平均価格の上昇は考慮せず発行点数だけを比較すると33年間で2・4倍にもかかわらず、昨年の書籍の販売金額は7419億円と330億円程度の増加にとどまっている。この間に返品率は2ポイントしか悪化していないので、書籍1点当たりの販売金額がいかに小さくなっているかが分かる。一方、雑誌の発行銘柄数を見ると、82年は2655点、昨年は3078点と423点増加している。しかし、販売金額は33年間で550億円減らしている。
全国の書店数は33年間で半減した。書店の台所事情は本当に苦しくなっている。厳しい経営環境の中で、正味はほとんど変更されていない。主要な書店関係団体の代表が、最近、色々なところで、書店マージンは最低30%ほしいと発言している。出版社が思い切った本の値上げをためらうなら、マージンを増やしてほしい。全国で書店がない市区町村は340を超えている。これ以上書店がなくなることに危機感を持っているなら、各出版社は今すぐにでも正味の改定を検討してほしい。書店だけでなく出版業界全体にとっても時間の猶予はない。一昨年来、外商雑誌について返品しないことを条件に報奨金を付けるよう提唱しており、賛同する出版社から随時実行していく。出版業界内部の仕組みについて改革を強く求めていきたい。
また、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げに対して業界あげた取り組みが必要だ。昨年12月に与党税制改正大綱が発表されて以来、軽減税率獲得に向けた活動のエネルギーが急速にしぼんでいるが、7月後半から再度業界あげて取り組むことにしている。読者と接する最前線にいる書店にとって、さらなる税率アップは息の根を止められるかもしれないほどの死活問題。10%で終わるわけではなく、13%、15%に上がる話もすでに出ている。「有害図書」の線引きをどうするかが検討課題となる。7月後半から話し合い、書籍・雑誌に8%の軽減税率適用を求めていく。出版業界が足並みを揃えたロビー活動を再開するよう提案する。児童書が売れているが、少子化の中で活字文化を担っていくという観点、子供たちへの有益な投資という観点からも軽減税率を求めていく。
書店新風会の大垣守弘会長、OaK友の会の田村定良会長をはじめ、主要な書店関係団体の代表が、1年に1日だけ、全国の書店が一斉に自由価格で本を販売する日を作れないかと提案している。本はふだん定価販売の商品だからこそ、これが実施されると読者にとってインパクトがある。出版社の一部、書店の一部だけで実施しても効果は薄い。日本中で一斉に実施することで話題になる。出版社が販促物や拡材に使っている費用の一部を原資に振り向けてくれれば、取次の協力を得た上で、近い将来実現が可能だと思う。出版業界3者の連携による思い切った方策によって、一人でも多くの読者に書店に足を運んでもらえるようにしたい。多くの書店が心ある出版社の英断を待っている。ただ、自分たちの手で本の値崩れを起こすことは絶対に避けなければならない。再販を堅持した上で読者に喜んでもらえる方策を考えるという方針を変えることはない。

「ポケッター」17年版、受注数増にご協力を!

日書連組織委員会(中山寿賀雄委員長)は、年末年始の贈答用に「ポケッター17」(78×127×3㍉)、名入れ印刷の代用に便利な「店名刷込シール」(55×25㍉)を斡旋します。どうぞご活用ください。
受注生産となっておりますので、下記の点にご注意ください。
①価格は申込総数により決定しますので、今回のご案内は予定価格です。決定次第、書店新聞等でお知らせします。
②申込締切日以降の申込み及び申込みのキャンセルはできません。
③ポケッター店名入りまたは店名刷込シールの申込みは、必ず印刷原稿を添付してください。
※以下は3万5千~4万2千部製作した場合の本体予定価格です。別途消費税がかかります。
◇ポケッター店名なし(のし袋付)=百部単位。百部1万400円~1万1000円
◇ポケッター店名入り(のし袋付)=5百部以上、百部単位。印刷は後ろ見返し。のし袋への印刷は不可。
5百部以上・百部あたり1万2400円~1万3000円、1千部以上・百部あたり1万1800円~1万2400円、1千5百部以上・百部あたり1万1600円~1万2200円
◇店名刷込シール
5百枚以上・百枚あたり1350円、1千枚以上・百枚あたり1150円、2千枚以上・百枚あたり1050円
※「ポケッター店名入り」「店名刷込シール」の書体は細ゴシック体または明朝体に限ります。
申込書は間もなく発送します。

一丸となり書店活性化図る/埼玉組合通常総会で吉田理事長

埼玉県書店商業組合は5月28日、さいたま市浦和区の埼玉書籍で第32回通常総会を開き、組合員100名(委任状含む)が出席した。
総会は山口事務局長の司会で始まり、吉田矩康理事長があいさつ。吉田理事長は、「埼玉県書店商業組合に改組した当時は500名以上の組合員がおり、機関紙も発行し書店が一体となって活動していた。現在組合員は4分の1に減少したが、今一度組合員一丸となって書店の活性化を図っていきたい」と述べた。
続いて、水野兼太郎常任理事を議長に議案審議。平成27年度事業報告・決算報告を行い、武内稔監事が監査報告して承認。平成28年度事業計画・予算の決定などを行い、全ての議案を原案通り承認可決した。
引き続き、出版物小売業公正取引協議会埼玉県支部総会を開催し、全ての議案を承認した。
議事終了後、埼玉県中小企業団体中央会組合支援部調査役・池川禎蔵氏より祝辞をいただき、総会を閉会した。
このあと、トーハン関東第二支店・小崎修支店長のあいさつ、日販埼玉支店・冨永裕樹支店長の乾杯で、懇親会を開催。中央会・池川調査役を交え、情報交換など有意義な一時を過ごした。(水野兼太郎広報委員)

店の経営状態「悪化した」が85.2%に/日書連「書店経営実態調査報告書」から

日書連がまとめた「全国小売書店経営実態調査報告書」によると、ここ数年の経営状態について「悪くなった」と答えた店が36・1%、「非常に悪くなった」が31・2%、「やや悪くなった」が17・9%で、全体の85・2%が、「経営が悪化した」と感じていることが分かった。報告書の概要を紹介する(詳細は次号掲載)。
経営状態が悪化したと回答した店に、その原因を複数回答可で挙げてもらうと、「客数・客単価の減少」がトップで67・5%。以下「雑誌の低迷」56・8%、「ネット書店」35・7%、「消費税増税」31・6%となった。
安定した経営のために適切な正味を聞くと、「30%」が49・0%と約半数を占めた。次いで「35%」が27・2%、「25%」が11・6%。書籍の支払サイトは何日くらいが適切だと思うかについては、「90日」が41・7%、次いで「60日」が24・7%の順となった。
新刊書籍全般の状況を聞く問いには、「ほとんど入らないことが多い」が53・1%で、「入荷するが希望数は入らないことが多い」が33・4%と続く。雑誌の入荷状況は、「入荷するが希望数は入らないことが多い」47・6%、「希望通り入荷することが多い」33・0%という結果になった。
また、書店経営の後継者はいるか尋ねたところ、「はい」が40・4%、「いいえ」が51・5%となり、後継者不在という回答が半数を超えた。
書店業界の発展を図るために組合活動に対応を望むことを複数回答可で挙げてもらうと、「書店マージンの拡大」63・7%、「客注品の迅速確実化」39・4%、「出版物再販制の擁護」29・7%がトップ3に。今後自店で取り組みたいと考えていることは、「地域密着化」が最も多く52・2%、次いで「外商強化」が38・7%となった。

高校図書館の納入、地元優先を求める/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(筒井正博理事長)は5月11日、横浜市中区のかながわ労働プラザ会議室で定例理事会を開催した。
理事会の開催前に、今年実施する第32回神奈川県夏の推薦図書読書感想文コンクールの日程・拡材・表彰等について、金の星社と神奈川新聞社より説明があり、県下書店がより協力していくことを確認した。
日書連報告では、先の熊本地震における地元書店の被害状況を報告。また、出版物への軽減税率適用について現状説明が行われた。
神奈川県の報告事項としては、絵画コンテストの応募・審査と5月の表彰式の予定が発表された。次に、前回から問題となっている県立高校図書館の書籍購入の実態について、県議会議員にも把握してもらい、今後地元業者が優先的に納入できるよう関係者と話していくとの方向性が示された。
議事では、ここ数年恒例になっている神宮館の暦の増売企画が発表され、例年同様の条件であることを説明。また今年度から、書店扱いがなかった厳選カレンダーの紹介があり、神奈川組合で取り扱うことを理事会で承認した。
(山本雅之広報委員)

書店組合総会スケジュール

◆長崎県書店商業組合第29期通常総会
7月28日(木)午前10時半から、諫早市の水月楼で開催。

日書連のうごき

6月1日日本出版クラブ監事会に舩坂会長が出席。
6月2日出版文化産業振興財団理事会に舩坂会長、藤原、西村両副会長が出席。JPO雑誌コード管理委員会に事務局が出席。図書館サポート部会に藤原