全国書店新聞
             

令和元年10月1日号

舩坂前会長に感謝する会を開催/会長職3期6年「一生涯の思い出」

2013年6月から3期6年にわたり日書連会長を務め、今年6月に退任した舩坂良雄前会長(大盛堂書店)に感謝する会が9月18日、東京・千代田区の明治大学紫紺館椿山荘で開かれた。当日は日書連の役員と事務局員が多数参加。舩坂氏は参加者に謝辞を述べるとともに、後を引き継いだ矢幡秀治新会長にエールを送り、書店業界発展への期待を語った。舩坂氏に記念品の旅行券と花束、そして60年前に撮影された渋谷・大盛堂書店の貴重な写真を収めた額縁が贈られた。
舩坂氏は「書店再生」を最重要課題に掲げて第9代会長に就任。「書店が経営を続けるには粗利益30%以上が必要」と訴え続け、出版社や取次と精力的に協議を重ね、書店収益改善への道筋をつけた。また、これまで書店だけが負担してきた万引被害について、「万引防止出版対策本部」を立ち上げ、初めて出版業界全体で取り組む体制を作るなど、数々の功績を残した。
舩坂氏は「日本を代表する書店団体の会長を仰せつかったことは光栄であり、一生涯の心に残る思い出。皆様の協力で3期6年務めることができた。旅行券をいただいたが、残りの人生は足腰の強いうちに妻と一緒に色々な土地を旅行したい」と笑顔で感謝の言葉を述べた。最後に、「業界を取り巻く状況は厳しいが、苦しい時もあれば良い時もある。頑張れば必ず良くなると信じてやっていただきたい」と述べた。

「読書週間」10月27日から/日書連は「書店くじ」実施

恒例の秋の行事、第73回「読書週間」(読書推進運動協議会主催)が10月27日から11月9日まで開催される。
今回のポスターのイラストは、富山涼太さんの作品。標語は水口真優子さんの「おかえり、栞の場所で待ってるよ」が選ばれた。
また、日書連では読書週間に合わせて「読書週間書店くじ」を実施するにあたり、店頭掲示用ポスターを作成した。ポスターは日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)からファイルをダウンロードして印刷する。
※書店くじの申し込みは8月20日で締め切っています。締切日以降の申し込みはできません。

粗利30%実現へ先頭に立って/組合員数維持が喫緊の課題/関東ブロック会

日書連・関東ブロック会は9月1日、群馬県書店商業組合の設営により高崎市のホテルメトロポリタン高崎で総会を開催。鈴木喜重ブロック会長(千葉県書店商業組合理事長)は、粗利30%以上の実現を目指す運動を関東ブロック会が先頭に立って推進し、中小書店が経営を継続できる環境を作りたいと語った。日書連・矢幡秀治会長はキャッシュレス化への対応など日書連の諸施策を説明した。
総会は会員の茨城、群馬、埼玉、神奈川、千葉の各組合の役員、および非会員でオブザーバーとして参加した栃木組合・笹沼道正理事長ら計18名が出席した。
群馬組合・石坂幸男理事の司会で進行し、同・竹内靖博理事長の開会の辞に続き、鈴木ブロック会長があいさつ。「書店の粗利は20%程度と低く、これを30%以上にしたい。少ない売上げの中でも利益を出し、経営を続けることができる形を作りたい。日書連は書店収益改善のための運動を進めている。関東ブロック会が先頭に立って頑張ろう」と呼びかけた。
来賓あいさつした日書連・矢幡会長は、粗利30%以上の実現、万引き対策、キャッシュレス化への対応を重要課題として挙げ、キャッシュレス化について「手数料は消費者と向き合う書店がすべて支払い、料率は決済事業者が決めている。書店は苦しい立場。出版社や取次と話し合い、政府にも話し合いをもちかけ、書店が生き残らなければならないことを強く主張していきたい」と述べた。
続いて鈴木ブロック会長を議長に議事を行い、すべての議案を原案通り承認可決した。
各県組合からの報告は以下の通り。
▽茨城組合・池田和雄理事長=「この1年間で5店が脱退し、組合員数の維持が最大の懸案となっている。キャッシュレス・消費者還元事業への対応は、『PayPay(ペイペイ)』、常陽銀行が提携する『ユビレジ』を組合員に紹介することを理事会で決議した。11月3日に茨城県立図書館で開催される茨城県読書フェスティバルで汚損本等を販売する」
▽埼玉組合・奈良俊一理事長=「組合員数の維持が難しい状況。日書連・髙島瑞雄顧問を講師に迎え、図書館納入に関する研修会を11月19日に開催する」
▽千葉組合・中島澄副理事長=「今年も千葉県立西部図書館、東部図書館、中央図書館の入札に応募し、3館とも落札できた。これが収入のベースとなり、組合として利益があがる体質に変わりつつある」
▽神奈川組合・筒井正博常務理事=「8月23日に県組合通常総会を開き、キャッシュレス化に伴う決済手数料について出版社と取次も応分の負担を負うこととICタグの導入について協議することを求める意見書を採択した」
▽栃木組合・笹沼道正理事長=「昨年3月をもって日書連を脱会した。県組合の存続についても議論があったが、やはり必要であろうということで組織は残した。しかし特別な活動は行っていないのが実情だ」
▽群馬組合・竹内靖博理事長=「最重要課題は組合員の脱退防止。昨年度はTRCとの交渉が色々あったが、群馬県ではすべて解決した。政府がキャッシュレス化を推進しているので、組合員に周知徹底し、説明したい。消費税増税後の状況も注視する必要がある」

116社が出展、過去最多に/ゆかりの本大賞は『平場の月』/第6回北海道書店大商談会

第6回北海道書店大商談会が9月3日、札幌市中央区の札幌パークホテルで開催された。今回は出版社や第3商材メーカーなど116社・117ブース(昨年111社・111ブース)が出展し、過去最多となった。来場書店数は223名(同203名)と昨年を上回った。一方、商談成立金額は981件・1456万3118円(同951件・1993万5808円)で27%減と前年を下回った。
開会に先立ち、中尾邦幸実行委員長(マル五中尾書店)は「これから消費税率のアップなどがあり、道内書店を取り巻く環境はますます厳しさを増しているが、店頭を盛り上げるため、皆様のお力添えを賜りますようお願いしたい」とあいさつした。
この商談会では、商談の場を設ける一方で、より北海道らしさをアピールするための企画や、書店で活用できるワークショップを開催している。
2016年から始めた「北海道ゆかりの本大賞」は今年で第4回目。物語の舞台や著者など、北海道にゆかりのある本の中から魅力的な作品を選び、拡販を通じて店頭活性化につなげるための企画で、絵本以外のジャンルで幅広く募集した。
応募は道内書店員からの推薦と、出版社による自薦。合計36点のエントリー作品の中から、選出委員会(岩田徹委員長=いわた書店)が5点を選出。朝倉かすみ氏の『平場の月』(光文社)が受賞した。
朝倉氏は「今の本屋さんの方たちは本をよく読んでいる。本の好きな書店員がいることは心強い。私は北海道出身なので、北海道のこういった賞をいただけたことはうれしい」と喜びを語った。今回は初めて著者を招いての発表だったため、サイン会にはたくさんの書店員が列を作った。
また、今回、新たな試みとして「どさんこPOP王決定戦」を開催し、優秀作品の書店担当者を表彰。会場内に優秀作品を展示したほか、応募作品の写真を店頭活性化の参考として展示した。
会場内のイベントブースでは、「ブックラッピングミニ講座」「目立つ!簡単!コーナーPOPミニ講座」など実務担当者向けワークショップを行った。
来場書店からは「たくさんの出版社と色々な相談ができた」「ここでしか得られない情報を聞け、展開のヒントになった」、出展社からは「多くの書店員と話すことができ、貴重な機会になった」「遠方の方と会える良い機会だった」などのコメントが寄せられた。

北海道書店商業組合9月定例理事会

9月3日、札幌市中央区の札幌パークホテルで開催。雑誌返品システム、次回総会時の理事改選について意見交換を行った。
(事務局・髙橋牧子)

愛知組合「孫の日」キャンペーン/推薦図書17点を販促/11月9日まで実施

愛知県書店商業組合(春井宏之理事長)は、今年も9月16日の「敬老の日」から10月20日の「孫の日」をはさんで11月9日の「読書週間」最終日まで、「孫の日キャンペーン」を実施している。
10月第3土曜日の「孫の日」におじいさん、おばあさんがお孫さんに本を贈ることで交流を深めてもらうと同時に、お孫さんが本に親しむきっかけ作りになればとの考えから実施。今年は30書店が参加し、協賛出版社の推薦図書17点を店頭や外販で販促する。
参加書店には、「孫の日」読書推進運動販促ツールとして、店頭掲示用のポスター、協賛出版社推薦図書17点リスト&注文書、出版社提供の拡材各種と孫の日似顔絵チラシを送付している。
[推薦図書]
▽『にゅうしちゃん』minchi、岩崎書店▽『とびだす!はらぺこあおむし』エリック・カール作/もりひさし訳、偕成社▽『しゅつどう!しょうぼうたい』鎌田歩、金の星社▽『みえた!きょうりゅうのせかい』サラ・ハースト作/ルーシー・クリップス絵/小松原宏子訳▽『みずとはなんじゃ?』かこさとし作/鈴木まもる絵、小峰書店▽『どんぐり』こがようこ、大日本図書▽『ピンチ!!それはチャンスだ!』大野正人、高橋書店▽『おおきくなるっていうことは』中川ひろたか文/村上康成絵、童心社▽『ゆうびんやさんおねがいね』サンドラ・ホーニング文/バレリー・ゴルバチョフ絵/なかがわちひろ訳、徳間書店▽『スポーツの迷路』香川元太郎・香川志織作・絵/大野益弘監修、PHP研究所▽『ぼくのくつしたおまけつき』礒みゆき作・絵、ひさかたチャイルド▽『おばあちゃんの小さかったとき』おちとよこ文/ながたはるみ絵、福音館書店▽『NEWウォーリーをさがせ!トラベルコレクション』マーティン・ハンドフォード作・絵、フレーベル館▽『バムとケロのにちようび』島田ゆか、文溪堂▽『あそべるタオル付ぱかっくるっギフトセット』森あさ子、ポプラ社▽『ドラえもんはじめての英語図鑑』宮下いづみ監修/藤子・F・不二雄原作/むぎわらしんたろう画、小学館▽『おばけのばあ』せなけいこ、KADOKAWA

日書連のうごき

8月7日公取協で出版社訪問に元永専務が出席。
8月13日読進協野間賞選考委員会に事務局が出席。
8月19日本の日実行委員会で出版社訪問に事務局が出席。
8月21日出版再販・流通白書の事務局打合せに事務局が出席。
8月23日書店大商談会実行委員会に矢幡会長が出席。神奈川県組合懇親会に
矢幡会長が出席。
8月27日返品現地処理で出版社訪問に柴﨑副会長、志賀理事が出席。本の日実行委員会に矢幡会長、藤原副会長が出席。
8月28日文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。
8月29日東京都組合キャッシュレス研修会に事務局が出席。
8月31日JPIC読書アドバイザー開講式に矢幡会長が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「○○の秋あなたは何を」/神奈川・金文堂信濃屋書店取締役・山本雅之

八百萬の神々が出雲の國に集結し始めると、特有の寂寥感を伴い、虫の音に誘われ秋が本格的な帷を開く。この候は様々な形容で豊かになる。行楽・スポーツ・食欲と、何をするにも心地よい。秋だけではないが、ゲームに興じる人も多い。近頃は対人で遊ぶより機械相手で、将棋や囲碁でさえ敵わないことがある。しかし、この1、2年、囲碁や将棋界は、小・中学生プロの誕生・活躍が話題になった。日本語の中には、こうした類から生まれた言葉が多く、その親しみぶりが窺える。
囲碁からは「一目置く」「白黒つける」「死活」「駄目」、将棋は「王手」「成金」「高飛車」、麻雀でも「リーチ」「チョンボ」等は数多くが日常語となり、語源よりその言葉独自で使用されることも多くなった。賭博性が強く印象的には良くないが、花札からの語源として「ヤクザ」「シカト」もそうだ。シカトは警察用の隠語で、10月の10点札の鹿が綺麗な紅葉の絨毯の上で、やけにそっぽを向いているところから、「しかのとお」が転じて「シカト」になった。これは広辞苑にも掲載されるほどポピュラー化している。
秋の夜長、何に興じよう。形容をつけるのに最も肝心なもう一つ「読書の秋」。秋だけなく読書は四季相応しいが、一献傾けつつ、書物を繙き見出せる奥深き物は果たして…。

SJ図書カードで販売促進/児童書セットを積極展開/富山総会

富山県書店商業組合は8月30日、富山市の富山電気ビルで令和1年度通常総会を開催し、組合員30名(委任状含む)が出席した。
総会は丸田茂理事長を議長に選出して議案審議を行い、第32期事業報告、収支決算、第33期事業計画案、収支予算案など全ての議案を原案通り可決承認した。第33期事業計画では、以下の4事業に取り組む。
①サン・ジョルディの日の推進企画として、組合員の販売促進のためにオリジナル図書カードの作成・販売を実施する。販売時期を1ヵ月早めて新学期プレゼント用として利用促進を図る。現在は、立山とみくりが池、朝日町舟川の桜、城端の桜、氷見の桜、黒部の桜、秋の立山の6種類の図柄を作成している。
②出版文化産業振興財団(JPIC)の読書推進事業と連携して講演会等の読書推進イベントを企画・実施する。
③日本児童図書出版協会加盟社が刊行した選りすぐりの児童書、2019年度「心にのこる子どもの本秋・冬セール」のセットを積極的に展開していく。
④日書連や出版物小売業公正取引協議会に出席し、意見具申を行う。
(澁谷英史広報委員)

8月期は前年比4・3%減/月刊誌が2ヵ月連続プラスに/日販調査店頭売上

日販調べの8月期店頭売上は前年比4・3%減。月刊誌は2ヵ月連続の前年超えとなった。
雑誌は同2・8%減で、内訳は月刊誌が同1・1%増、週刊誌が同6・0%減。月刊誌は、芥川賞受賞作「むらさきのスカートの女」(今村夏子)が掲載された「文藝春秋9月号」などが売上を牽引した。
書籍は同5・5%減。ビジネス書は『Thinkclearly』『心。』(ともにサンマーク出版)、『FACTFULNESS』(日経BPマーケティング)が牽引して3ヵ月続けて対前年増になった。
コミックは同4・3%減。新刊は集英社のジャンプコミックス作品が売上に貢献、既刊も『鬼滅の刃』(集英社)の売上が継続して好調だった。しかし、前年に開発品扱いコミックでは『DVD付き進撃の巨人26限定版』(講談社)、書籍扱いコミックでは『SLAMDUNK新装再編版11~14』(集英社)が売上好調だったことが影響し、コミック全体で18年8月から継続していた前年超えはストップした。

キャッシュレス決済導入で講演会/熊本県組合第32回通常総会

熊本県書店商業組合は8月23日、熊本市の熊本ホテルキャッスルで第32回通常総会を開催し、組合員40名(委任状含む)が出席した。
総会の冒頭、長﨑晴作理事長があいさつを行い、組合員の日頃の協力に対して感謝の言葉を述べた。その後、長﨑理事長を議長に選任して議案を審議し、事業報告・収支決算報告、事業計画案・予算案等すべての議案を原案通り可決承認した。終わりに、来賓の熊本県中小企業団体中央会総務部支援主事・瀬崎栞氏からあいさつが行われた。
この後、「キャッシュレス決済導入について」をテーマに、キャッシュレス推進協議会ディレクター・鈴木麻友氏による講演会を開催。キャッシュレスの定義と普及状況の動向、キャッシュレスの種類や各種サービスと活用方法など、今後の導入に向けたポイントの説明が行われた。
総会終了後、出版社、取次、組合書店が参加して和やかに懇親会が開催された。(宮﨑容一広報委員)

鈴木雅文氏を新理事長に選出/福島理事会

福島県書店商業組合は8月22日開催の理事会で、西猛理事長の辞任に伴い、鈴木雅文氏(昭和堂)を新理事長に選出した。

宮脇範次代表理事を再任/県立図書館の入札状況を説明/香川総会

香川県書店商業組合は8月16日、高松市のホテルパールガーデンで令和1年度通常総会を開催し、組合員22名(委任状を含む)が出席した。
総会は髙木敏彦事務局長の司会で始まり、宮脇範次代表理事があいさつ。県立図書館の入札について、TRCの原価割れ入札により9年連続で対応できなかったことを中心に経緯を説明した。
続いて宮脇代表理事を議長に議案審議を行い、平成30年度事業報告、決算報告、監査報告、令和1年度事業計画案、予算案、経費の賦課額及び徴収方法など全ての議案を原案通りに可決承認した。
任期満了による役員改選では、役員全員が留任。代表理事は1名に変更し、宮脇氏を代表理事に再任した。また、空席になっていた専務理事に髙木敏彦氏を任命する件についても承認した。
総会終了後に出席書店より「キャッシュレス決済」について質問があったため、宮脇代表理事が説明し、その後散会した。
[香川組合役員体制]
▽代表理事=宮脇範次(宮脇書店)
▽副理事長=松本周平(ブックス三条)
▽専務理事=髙木敏彦(員外理事)
(髙木敏彦事務局長)

読書アドバイザー第27期養成講座が開講/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は8月31日、東京・千代田区の出版クラブビルで「第27期JPIC読書アドバイザー養成講座」の開講式を開催した。
今期は出版業界関係者や図書館関係者、教員、会社員、主婦ら100名が受講。来年3月までのスクリーニングとレポートに取り組み、読書や出版について体系的に学習する。
開講式でJPICの肥田美代子理事長は「『出版業界は絶滅危惧種』と言われ後ろ向きの話が多いが、皆さんをお迎えして全国に同志がいると強く感じる。読書という行為は人間の最も根源的なもので、どんなことがあっても絶滅はしない。来年の2020年を学校図書館年に制定していただくよう活動しており、学校司書の待遇や学校図書館の役割について議論を進めていきたい」とあいさつ。
来賓を代表してあいさつした日書連・矢幡秀治会長は「本屋は非常に苦しい状態で、東京ですら大きな駅でも本屋がないところが出てきている。それでも我々『街の本屋』は続けたいと思っている。それは紙の本の魅力、読書の魅力を本屋が一番分かっているからだ。皆さんと同じ志を持って読書を推進していきたい」と述べた。

書店・図書館向け情報サイト開発へ/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)は9月10日、東京・千代田区の出版クラブビルで定例理事会を開催。出版情報登録センター(JPRO)の拡充施策として、出版社からの近刊情報・販促情報をビジュアル化し、書店・図書館の現場でPCやタブレット、スマートフォンにより閲覧できるサイト(仮称「Booksプロ」)の開発を承認した。
これまでは、書誌情報の受信者はONIX(国際的な書誌データ規格)のデータを自社のシステムに取り込む作業が必要で、活用は取次や大手書店チェーン、アマゾンなどに限られていた。JPOは、一般向け検索サイト「PubDB」でJPRO情報のビジュアル化を実現しており、「Booksプロ」は、書店・図書館が仕入等で情報を活用できるよう、プロユース向けに開発するもの。取次会社の書店向けサイト(NOCS、Tonets等)からシームレスに閲覧できる形にし、書店向けサイトと契約していない場合は、サイトに直接ログインし閲覧できるようにする。
2020年3月にプロトタイプを公開予定で、将来的には書店からの注文情報の受取りや、出版社の受注サイトとの接続も検討する。伝達する情報内容も、さらなる拡充を図る方針。

トーハン「2019こどもの本ブックフェア」

取引書店と共催で7~8月に京都・岡山・福岡・札幌の4会場で開催し、親子連れの一般読者や学校関係者など合計1万5786名、681校が来場した。
会場では、353社の協賛出版社が出品した絵本、児童読み物、図鑑、保育・教育書など約2万点・5万冊を展示販売。今年初の企画として「SDGs(持続可能な開発目標)」の関連書を展示した。また、絵本作家が参加したイベントやワークショップ、講習会を開催した。

上野の森親子ブックフェスタ/3日間で4203万円売上

子どもの読書推進会議、日本児童図書出版協会、出版文化産業振興財団の主催3団体で組織する「上野の森親子ブックフェスタ」運営委員会は、今年5月3日~5日に開催した「上野の森親子ブックフェスタ2019」の事業報告を発表した。
同フェスタは、東京・台東区の上野恩賜公園中央噴水池周辺並びに周辺施設で開催。「子どもブックフェスティバル」では、児童出版社75社が出展して絵本や児童書を読者謝恩価格で販売。作家のサイン会や、読者交流イベント、協賛社によるデモンストレーションなど多彩な催しが行われた。3日間の来場者は約3万人。東京都美術館や国立国会図書館国際子ども図書館では公演・講演会が開かれ、合計964人が入場した。売上は合計約4203万円にのぼった。
事業収入は、出展料、協賛・協力金、書籍販売収益金、主催者拠出金など合計約1251万円。支出は、設営・運営委託費、施設使用料、運営費など合計約1222万円で、収支差額は約28万円。これに前年度繰越金を合わせた約352万円を荒天対策準備金として別途積み立てる。
同運営委員会は来年2020年の開催について、フェスタを初めて開催した2000年の「子ども読書年」制定から20周年を迎えるとして、「子ども読書年」の制定趣旨に立ち返り、本や読書の魅力を伝えていきたいとしている。

日販「本と遊ぼうこどもワールド2019」名古屋会場

8月17日・18日に名古屋市公会堂で開催。今回はテーマを「レトロ」として、親子3代で楽しめる商品展示・会場づくりを行った。
絵本作家のイベントでは、市原淳氏による読み聞かせ&ワークショップ、内田麟太郎氏による読み聞かせ&サイン会、岩田明子氏によるワークショップを開催。科学実験教室「ケミカルコミカルサイエンスショー」なども実施した。来場者は2日間合計で2416名にのぼった。

「本の日」1日店長イベント/23店舗と青森組合の企画に助成金/「本の日」実行委員会

日書連が事務局を務める「本の日」実行委員会(矢幡秀治代表)は、10月1日~11月30日の期間中、作家などの1日店長イベントを実施する書店に対し奨励金を助成するとしてイベント企画を募集していたが、このほど助成対象の23店舗と1組合(青森県書店商業組合)を決定した。
実行委員会はこの企画に総額100万円の予算を計上。店頭活性化委員会(奥野康作委員長)が、提出された企画内容を審査して助成対象店舗・グループを決定した。助成金の上限金額は1店舗・1グループあたり5万円。助成対象に選ばれた店舗・グループは、イベント終了後に事後報告書とイベント報告書を提出する。

「絵本ワールド」8年ぶりに開催/兵庫組合

「絵本ワールドinひょうご」が8月24日・25日に神戸市中央区の神戸市産業振興センターで開催された。主催は兵庫県書店商業組合(中島良太理事長)。
絵本ワールドは、大橋洋子委員長(流泉書房)が中心となって準備を進め、取次、児童書出版社と日本児童図書出版協会(児童出協)の協力のもと、8年ぶりの復活開催となった。
開催にあたり、事前告知としてポスター300枚、チラシ10万枚を作成し、会員書店店頭で集客宣伝に努めた。前日の23日は午前中から什器搬入と組み立てを行い、絵本1529点5606冊を搬入展示した。
当日は、駅前にサンドイッチマンが立って集客動員に奮闘し、途切れることなく親子連れが来場。絵本の展示販売とともに、かいけつゾロリと「科学漫画サバイバル」シリーズのジオの着ぐるみが会場内を回り、子どもたちの人気を博した。初日は3本、2日目は2本のワークショップを設営。夏休み後半ということもあって、お目当てのブースを目指した親子連れでどのブースも賑わいをみせた。
開催に際しては、参加出版社10社、児童出協から、延べ50名の協力を得た。来場者数は24日が301名、25日が248名だった。
(安井唯善広報委員)

『岩波国語辞典』11月22日発売/第八版、10年ぶりの大改訂/岩波書店

岩波書店は9月2日、東京・千代田区の如水会館で2019―20年の新企画発表会を開催し、10年ぶりの改訂となる『岩波国語辞典第八版』などの企画内容を説明した。
岡本厚社長は「出版業界は市場が縮み、転換点に立っている。出版社、取次、書店が本の価値を守り、本を良いものと考える仲間として、一緒にこの難関を乗り越えたい」と述べた。
続いて、お笑い芸人で日本語学者のサンキュータツオ氏が「辞書について」と題して講演。各社の国語辞典の特徴を比較しながら、『岩波国語辞典』について「学級委員長キャラ。1冊目の辞書としての役割を果たしている」と説明した。
この後、坂本政謙取締役執行役員・編集局部長が新企画を説明した。
『岩波国語辞典第八版』は11月22日発売。10年ぶりの大改訂となる。新たに2200項目を増補し、約6万7000語を収録。全項目の見直しも行った。20年5月31日まで完成記念特別価格として本体3000円とし、以降は通常価格の本体3200円。初回目標は3万5000部、特別価格期間終了の5月末までに5万部を目指す。
「岩波現代文庫」は創刊20年を迎える20年1月新刊から装丁を一新する。「岩波少年文庫」も創刊70年を記念して20年7月に記念フェアを実施する。
また、同社初の直木賞受賞作佐藤正午『月の満ち欠け』の特別仕様の文庫判を10月4日に発売する。本体850円。当初は岩波文庫への収録も検討したが、古典を収録する叢書にみずみずしい作品を収録するのは時期尚早と考え、気持ちは岩波文庫という作者のいたずら心もあり「岩波文庫的」文庫として発売する。初版5万部。特約店は返品条件付きで注文を受ける。
永田淳執行役員・営業局部長は、18年度の書籍・雑誌の売上金額は前年比6%減と報告。単行本が17年度の『月の満ち欠け』の反動で大幅減となったことと、計画的に刊行点数を絞っていることが影響した。一方、文庫、現代文庫、新書、ジュニア新書、児童書は堅調に推移。特に創刊80年を迎えた岩波新書の新刊は同11%増と伸長した。

第6回「料理レシピ本大賞」受賞作品決定

第6回「料理レシピ本大賞inJapan」の授賞式が9月10日、東京・文京区の東京ドームホテルで開催。料理部門の大賞は『世界一美味しい手抜きごはん』(はらぺこグリズリー、KADOKAWA)、お菓子部門の大賞は『世界一親切な大好き!家おやつ』(藤原美樹、主婦の友社)に決定した。はらぺこグリズリー氏は2年ぶり2回目の大賞受賞。
今回は出版社57社、139作品がエントリー。全国100名の書店選考委員と料理専門家から成る特別選考委員による選考の結果、料理・お菓子部門の大賞各1作品、料理部門の入賞8作品と絵本賞、エッセイ賞、コミック賞、特別選考委員賞を各1作品選んだ。
同賞は書店、取次、出版社の有志で構成する実行委員会が主催。授賞式で加藤勤実行委員長(ブックスタマ)は「大日本印刷に加え、今年は朝日新聞社とハウス食品が協賛企業になった。出版業界の中では知名度が出てきたが、一般の方にはまだまだ知れ渡っていない。新しいスポンサーの力を借りて、出版業界以外にも賞が知れ渡る契機にしたい」とあいさつした。
続いて、第1回からアンバサダーを務めるお笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆきさんが受賞者に賞状と記念品を贈呈し、各受賞者が喜びを語った。各賞の受賞作品は以下の通り。
【料理部門】
▽大賞=『世界一美味しい手抜きごはん』(はらぺこグリズリー、KADOKAWA)▽入賞=『土井善晴の素材のレシピ』(土井善晴、テレビ朝日)、『作りおき&帰って10分おかず336』(倉橋利江、新星出版社)、『一肉一菜おかず』(吉田麻子、秀和システム)、『フライパンひとつで何つくる?』(井原裕子、成美堂出版)、『その調理、9割の栄養捨ててます!』(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修、世界文化社)、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(小林弘幸、アスコム)、『どこにでもある素材でだれでもできるレシピを一冊にまとめた「作る気になる」本』(山本ゆり、扶桑社)、『クタクタでも速攻でつくれる!バズレシピ太らないおかず編』(リュウジ、扶桑社)▽絵本賞=『カレーライス』(小西英子、福音館書店)▽エッセイ賞=『料理が苦痛だ』(本多理恵子、自由国民社)▽コミック賞=『おひとりさまのあったか1ケ月食費2万円生活』(おづまりこ、KADOKAWA)▽特別選考委員賞=『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』(宮下奈都、扶桑社)
【お菓子部門】
▽大賞=『世界一親切な大好き!家おやつ』(藤原美樹、主婦の友社)

発売前プロモーションなど4テーマで開催/10月27日に本の学校シンポ

本の学校は神保町ブックフェスティバル期間中の10月27日午後0時半~3時半、東京・千代田区の専修大学神田キャンパスで「本の学校出版産業シンポジウム2019in東京」を開催する。日書連など協賛。
シンポジウムでは4つのテーマでフォーラムを開き、終了後に「トリッペリアモツーダ神保町店」で交流会を開催する。参加費は、フォーラム通し券2000円(学割1000円)、交流会4500円(学割3500円)。参加申し込みは本の学校ホームページのフォーム、メール・FAXで。
各フォーラムの内容は以下の通り。
▽第1フォーラム「本屋を開業する2」(午後0時半~2時)=コーディネーターは松井祐輔(H・A・BOOKSTORE)、パネリストは辻山良雄(Title)、田口幹人(リーディングスタイル)
▽第2フォーラム「新しい出版――編集の未来と原点を語る」(午後0時半~2時)=パネリストは加藤貞顕(ピースオブケイク代表取締役CEO)、柿内芳文(編集者/STOKE代表取締役)
▽第3フォーラム「ティーンエイジャーと本」(午後2時20分~3時50分)=パネリストは野末俊比古(青山学院大学教育人間科学部教授・図書館長)、木下通子(埼玉県立浦和第一女子高校担当部長兼主任司書)、福田孝子(全国SLA学校図書館スーパーバイザー)
▽第4フォーラム「重要性を増す、本の“発売前”プロモーション」(午後2時20分~3時50分)=パネリストは小野寺優(河出書房新社)、古幡瑞穂(日本出版販売)ほか

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

2020年はセンター試験に代わり、大学入学共通テストになる。学習指導要領も改訂される。
石川一郎著『2020年からの新しい学力』(SB新書830円)は、AI化の進む予測し難い近未来に、必要な学力とは何かを検証している。
第一回のテストは21年1月の実施なので、現在の高校2年生が初めて受ける。今までの受験が暗記に頼る知識力だったのに対して、これからは読解力が肝心になるという。
語句とその意味を理解しない、文脈敵意味や表現意図を理解しない人が増えている。最大の原因はスマホではないかと、著者は推察する。つまりどの情報も斜め読みで済ませる習慣が、論理や筋道を遠ざける。本を読むことが一番なのである。
新しい学力は知識に加え①想像力②構成や表現のできるデッサン力③独自のブレない自分軸を持つこと。子どもの学力の低下は社会全体の深刻な問題になっている。
芳沢光男著『「%」が分からない大学生』(光文社新書780円)も数学教育の立場から、数学も「心」が大切であると説く。2億は50憶の何%かという問に50を2で割って25%と2割の大学生が答えるというから、これも深刻である。本書もAI時代の学びのあり方を問い直している。