全国書店新聞
             

平成13年1月17日号

−無題−

萬田会長インタビュー−−昨年十二月七日に公取委の再販中間報告が発表されました。
この報告書をどのようにお読みになりましたか。
萬田会長中間報告は一月から行われた業界との再販対話のまとめと、九月に行われた書店三千店のアンケートを別冊にしたボリュームある報告書です。
再販対話については、公取委は競争政策上、規制研などで言われて来た意見を背景に質問している。
業界側は再販がわが国の文化政策とかかわりあうものだと、今日まで取り組んできた弾力化などを含めて答えています。
報告書を読む限り、双方の議論は平行線をたどっています。
ただ、問題を掘り起こすという意味はあったと思います。
−−公取委は出版業界の弾力化は一定の評価をするような書き方をしていますね。
萬田その辺は、さらなる是正措置を求めているというように読み取れる。
そういう意味で、今後の公取委の考え方をある程度示唆していると考えています。
−−書店アンケートでは、ポイントカードの実施状況について調べたようですが。
萬田アンケートの結果、ポイントカードを実施している書店は百四十店と出ました。
また、今後実施を検討するという書店が三割弱ありました。
しかし、約千六百店のサンプル数で百四十店というのは、分母を調査先三千店に置き換えるともっと率が減る。
書店が販促に利用しているというより、商店会やショッピングセンターのからみで付き合っているのが実態でしょう。
日書連では昨年八月から公取委山田課長と四回にわたり意見交換を行いました。
出版物の景品付き販売は、以前は割引類似行為として認められませんでしたが、昭和五十六年に公取委の指導で小売公正競争規約が作られた経緯があります。
ポイントカードも再販契約上の値引きか景品か、何回も公取委の見解を求めていますが、明確な見解が示されていません。
現在の書店の収益では、ポイントカードの原資もない。
業界全体で拠出するような仕組みがあれば別ですが、現在の経済状況では難しいでしょう。
−−公取委には「ポイントカードぐらいいいじゃないか」という考え方がまずあって、後から法律の整備をしているような気がするんですが。
萬田他業界、とくにレコード業界などは、ほとんど例外なくやっていると公取委から指摘されますが、レコード業界は実態的にも全てのCDの時限再販を既に行っている。
ポイントカードは顧客を囲い込む性質があります。
オープンにすれば、資本力のある大手書店が競争を始め、周辺の書店は大打撃を受けます。
実施する弊害の方が、実施しない弊害より大きいのです。
−−公取委は今春再販の結論を出すとしています。
年明けの日書連の取り組みは?萬田昨年十二月の中間報告のあと、公取委は広く国民に意見を聞くと、一月二十五日までに意見を集めています。
消費者や著作権者の個別の意見も聞くようです。
春というと三月から五月までですが、その間の早い時期に公表されるのではないでしょうか。
私どもはこれまで再販を守るため総力をあげて運動してきました。
過度の期待はできませんが、皆さんの努力を無にしないよう、有終の美を成したいと考えています。
−−当面、各県組合なり、個々の書店はどういう取り組みが必要でしょうか。
萬田独禁法の改正ということになれば、国会議員への接触が生かされていくと思います。
各県組合でとりまとめていただいた請願書、地方自治体への意見書採択は今後も続けていきます。
それから、店頭でチラシを配るとかポスターを掲示して直接読者に再販擁護を呼び掛けていくことも重要ですね。
−−昨年十一月に「書店21世紀ビジョン」の報告書がまとまりました。
これに先行してJPICが九五年に「出版文化産業ビジョン21」を発表しています。
二つのビジョンの違いはいかがでしょう?萬田JPICのビジョンは出版業界全体の未来像を考えたもので、売上高も二〇一〇年に五兆四千億円と想定しています。
現実には今、出版業界は四年連続のマイナス成長です。
内容的にも中小書店の将来像までは踏み込んでいません。
また、当時は「IT」という言葉もなく、そろそろ、バーチャルという言葉が言われ始めた時期です。
今度の日書連のビジョンは厳しい経済状況の中で、中小書店の21世紀の生き残りに主眼を置きました。
そういう方向で書店の現状を分析し、目標を掲げ達成していく手段を具体的に提唱いただけたと思います。
−−アクションプランの十項目のうち、半分は書店IT化問題ですね。
萬田これからの書店にコンピュータは必需品だとはっきり指摘しています。
また、沖縄など地方出版物のデータベース化は、各地域の書店の協力を仰いで推進していくということで、日書連ならではの運動です。
廉価なパソコンの全国的配備についても、版元の協力で具体的に装備できる状況になってきました。
−−責任販売制の具体的提案もありますが。
萬田ビジョン作りに入る前年の九九年に、日書連は『書店経営実態調査』を実施しています。
その中で、「三年前と比べて経営が苦しくなっている」という回答は九〇%に上っています。
過去に日書連はマージン確保の運動をやってきましたが、その方法の一つに責任販売制、買切り制があります。
マーチャンダイジングという見地から仕入れにもっと厳しい目を向けて、地域の読者に合った仕入れをする。
責任販売により返品率も下がるから、現状よりマージンも確保できる。
これらを取次、出版社に呼びかけ、具体化していきます。
そのことが品揃えを工夫し、書店の顔を作ることにもつながると思います。
これまで書店は取引や契約の面で甘えがあった。
出版業界が大変なスピードで変わろうとしている時、書店も自己責任の視点でキャッチアップしていくことが書店を継続する点で重要だと思いますね。
−−アクションプランは向こう三年以内に実現、ないし実現の目途をつけるということですが。
萬田推進母体として、日書連の委員会で吸収できるものと、専門委員会を設置する考え方があり、早急に新年度の事業計画に落とし込んでいきます。
夢物語で終わらせず、書店の道しるべとして皆さんの協力を得ながら今後の活動に生かしていきます。
−−新年の景気見通しはいかがでしょうか?萬田今年は新しい世紀の始まりでもあり、経済に浮力をつける年になればと思います。
政府も新年度予算で景気対策と構造改革の狭間の中でIT革命を中心とした景気重視の予算を通しました。
ITがモノ作りから始まって消費者の購買意欲にまでインパクトを与えています。
それが雇用創出につながっていけば、消費回復のきっかけになる。
政府にはそういう舵取りをお願いしたいですね。
217行

中堅取次五社の共同企画

大阪屋、栗田、中央社、日教販、協和の取次五社は、一月下旬に共同企画「読者感謝自由価格フェア」を実施する。
今回が第七回。
今回扱うのは延べ四十四社から児童書四十八点五十八冊(旧本体価格計五万八千六百五十二円)、一般書・その他五十七点五十七冊(同九万五百十円)、趣味・実用書百四点百四冊(同十二万四千二百十二円)、写真集十点十八冊(同四万四千百三十二円)、ビデオ三十点四十八本(同五万六千百八十円)。
出品図書は出版物共同流通センター五社専門委員会が選定した。
商品出荷は今月下旬。
問い合わせは・出版物共同流通センター自由価格本事務局、北島まで。
■03・3558・2142、FAX03・3558・2143

−無題−

1THEBEATLESアンソロジーリットーミュージック6800円4-8456-0522-82JavapressVol.1技術評論社1280円4-7741-1102-33かんたん図解WindowsMe島望、八木原一恵/著技術評論社1380円4-7741-1092-24Wordで作る!一太郎で作る!かんたん20技術評論社1180円4-7741-1103-15できるWord2000田中亘、インプレス書籍編集部/編インプレス1380円4-8443-1275-81ハム太郎シールでちゅ河井リツ子/絵小学館552円4-09-734344-02星の王子さまサン=テグジュペリ/作内藤濯/訳岩波書店1000円4-00-115676-83犬シール植木裕幸、福田豊/文・写真小学館552円4-09-734353-X4とっとこハム太郎まるかじりっ河井リツ子/絵小学館700円4-09-253273-35ハム太郎シールでちゅきいろいひまわり編河井リツ子/絵小学館552円4-09-734342-41HUNTER×HUNTER富樫義博/著集英社390円4-08-873021-62多重人格探偵サイコ田島昭宇/作画大塚英志/原作角川書店580円4-04-713374-43MONSTER浦沢直樹/著小学館505円4-09-185275-04封神演義22藤崎竜/著集英社390円4-08-873034-85花より男子27神尾葉子/著集英社390円4-08-847288-81ディズニーランド101の謎TDL研究会議/著新潮社619円4-10-290001-22でっか字まっぷ東京23区昭文社1200円4-398-64126-23旅の達人が教えるちょっとわがまま海外旅行勝谷誠彦/著三笠書房495円4-8379-6063-44大きな字の地図で東京歩こう人文社1238円4-7959-1254-85関東道路地図昭文社3800円4-398-64121-11岩波ことわざ辞典時田昌瑞/著岩波書店2800円4-00-080099-X2岩波国語辞典西尾実、岩淵悦太郎、水谷静夫/編岩波書店2800円4-00-080043-43例解学習国語辞典金田一京助/編小学館2000円4-09-501724-44ジーニアス英和辞典小西友七ほか/編集大修館書店2850円4-469-04109-25秋田のことば佐藤稔ほか/執筆秋田県教育委員会/編2800円4-8954-4246-2

「店頭の再生と創造」に全力

トーハン新春の会は十一日午前九時半から新宿区東五軒町の本社八階大ホールと文京営業所・首都圏支社・店売で開催。
今年のテーマは「NewWay、NewChance21」。
会場では新方式による書店との共同運営型の書籍通販サイト「e−hon」、高品質物流を実現する情報流通システム、オペレーションサポートシステム、増売を目指すサポートシステム、海外事業の展開、新業態への進出、知的活動支援に向けて、エンターテインメント企画などのテーマ別展示が行われた。
午前十時二十分から行われた式典であいさつしたトーハン・金田社長は「平成十二年度は三年連続マイナス成長に歯止めをかけるべくスタートしたものの第一四半期は低調、七月も最悪の数字に終わったが、八月以降は前年並みで下げ止まりつつあると受け止めている。
年末年始も悪くない結果が出た」として、二十一世紀は現状維持し、さらに拡大につなげたいと述べた。
また、「読者の変化に対応するための枠組みの構築」と「書店店頭の再生と創造」を全社一丸で取り組む最重要課題に掲げ、具体的施策として■「ブックライナー」と「e−hon」の浸透を図り、小書店が大書店に伍して戦える仕組みを作る■書店の売る努力を支援するための「売行良好書の契約販売」を展開する■バリューアップ21コンクールを引き続き推進する■埼玉県上尾市に建設中の「新雑誌センター」は三月に竣工、夏に一部テスト稼働し、来春全面稼働を予定。
雑誌流通の二十一世紀型システムを完成させる−−と説明した。
来賓の東山堂・玉山社長は「二十世紀最後の十年は社会が大きく変化。
書店業界も老舗が力尽きて倒産するなど、様々な出来事が起こった。
情報過多社会のなかで活字中心にやっていくのは大変なこと。
業界三者が力を合わせて頑張りたい」とあいさつした。
また、作家の永六輔氏が登壇し、「著者よりも町の小さな本屋になりたかった」などのエピソードを披露した。
このあと東山堂・玉山社長、トーハン・上瀧会長、同・金田社長の三名で鏡開きを行い、玉山社長の発声で乾杯した。

栗田の精神保ちゼロから発想

IT世紀の出版ネットワークをリードする「二〇〇一年栗田新春あいさつの会」は十二日午前九時から板橋区の本社新物流センター四階大ホールを会場に開催。
会場では、新注文システム「本やさん直行便」や、KINSリテールサポートシステムの展示、POPの作り方、カードゲームの実演などを行った。
午前十一時からの鏡開きでは、昨年十月に新社長に就任した亀川社長が新年のあいさつ。
創業八十三年になる同社の歴史を振り返り、「大正十二年の関東大震災、昭和二十年の敗戦と、先輩たちは辛い厳しい時代から立派に立ち直ってきた。
現在はバブル崩壊の真っ直中だが、『本やさん直行便』は書店の客注が遅いという悩みに対応してブックサービスにアウトソーシングしたシステム。
今年はこれをさらに書店の役に立つよう改善し、普及していく。
社長に就任してから、基盤整備のため四本部制を導入した。
栗田のDNAと精神を持ちながら、ゼロからの発想で対応していきたい」と、新年の課題を述べた。
出版社を代表して講談社浜田専務は「新世紀のスタートに当り、これからの仕事にかける意気込みを確認した。
新しい体制で二十一世紀の業界全体の改革につながる波を起こしてほしい」と期待感を表明したあと、解決を要する課題として■売上げの規模縮小と児童の減少、■IT時代への対応、■再販はじめ政治的課題への対処−−の三点をあげて「二十世紀の始まりは明治三十四年。
出版業界も浮き沈みがあった。
知恵を出し合えば必ず解決する。
巳年のヘビは再生と不死の象徴。
新しい年を繁栄と再生の年に」とあいさつした。
戸田書店・鍋倉修六社長のあいさつに続き、栗田亀川社長、萩原専務に、講談社浜田専務、戸田書店・鍋倉社長、黒木書店、青山ブックセンター・磯貝栄治社長、成田本店・成田耕三社長の六名で鏡開き。
青山BC・磯貝社長の音頭で乾杯した。

栗田出版販売市会

IT世紀の出版ネットワークをリードする「二〇〇一年栗田新春あいさつの会」は十二日午前九時から板橋区の本社新物流センター四階大ホールを会場に開催。
会場では、新注文システム「本やさん直行便」や、KINSリテールサポートシステムの展示、POPの作り方、カードゲームの実演などを行った。
午前十一時からの鏡開きでは、昨年十月に新社長に就任した亀川社長が新年のあいさつ。
創業八十三年になる同社の歴史を振り返り、「大正十二年の関東大震災、昭和二十年の敗戦と、先輩たちは辛い厳しい時代から立派に立ち直ってきた。
現在はバブル崩壊の真っ直中だが、『本やさん直行便』は書店の客注が遅いという悩みに対応してブックサービスにアウトソーシングしたシステム。
今年はこれをさらに書店の役に立つよう改善し、普及していく。
社長に就任してから、基盤整備のため四本部制を導入した。
栗田のDNAと精神を持ちながら、ゼロからの発想で対応していきたい」と、新年の課題を述べた。
出版社を代表して講談社浜田専務は「新世紀のスタートに当り、これからの仕事にかける意気込みを確認した。
新しい体制で二十一世紀の業界全体の改革につながる波を起こしてほしい」と期待感を表明したあと、解決を要する課題として■売上げの規模縮小と児童の減少、■IT時代への対応、■再販はじめ政治的課題への対処−−の三点をあげて「二十世紀の始まりは明治三十四年。
出版業界も浮き沈みがあった。
知恵を出し合えば必ず解決する。
巳年のヘビは再生と不死の象徴。
新しい年を繁栄と再生の年に」とあいさつした。
戸田書店・鍋倉修六社長のあいさつに続き、栗田亀川社長、萩原専務に、講談社浜田専務、戸田書店・鍋倉社長、黒木書店、青山ブックセンター・磯貝栄治社長、成田本店・成田耕三社長の六名で鏡開き。
青山BC・磯貝社長の音頭で乾杯した。

出版文化の普及に覚悟と努力

「21世紀、『OnlyOneの書店』を目指して」をメインテーマにした大阪屋新春おでんの会は十日午後一時から東大阪市の関西ブックシティで開かれ、書店五百六十八名、出版社五百四十三名、一般百七十七名、総勢千二百八十八名が来場した。
会場ではOPAS−iNET、モバイル倉庫番、OPASシリーズの書店パートナーシステム展示などが行われた。
おでんの会の冒頭、あいさつにたった鈴木一郎社長は「急速なIT・デジタル化の波で企業を取り巻く環境も一変しかねない状況にあり、デジタル時代に要求される様々な技量、新鮮な発想、個性豊かな創造力が企業にとって欠かせなくなっている」との認識を示す一方、従来の取次の役割である「迅速・正確な物流」「適時・適量の商品供給」も忘れずに顧客満足に努めていくとした。
また、大阪屋の施策として■雑誌整品業務の東京集約化にともなう「新座流通センター」の開設と、これに対応する中継基地「茨木流通センター」の新設■iBC、KBCの在庫情報による発注はもちろん、より精度の高い発注状況の照会を可能にする「客注システム・サービス」の開始■再販堅持への取り組み−−などを説明し、「他メディアとの競争が一層激化するなかで活字の普及、浸透、拡大と出版文化の向上を図っていくには、よほどの覚悟と努力が必要。
出版物普及と流通支援の役割を担い、お得意様の信頼に応える企業を目指す」と抱負を語った。
このあと、日経BP出版センター・高橋文夫氏、出版三水会・菅原英明副会長、増進堂受験研究社・岡本恵年会長、大阪府書店商業組合・今西英雄理事長、大阪屋・星文男専務の五名で鏡開きを行い、大阪屋友の会連合会・田村定良会長の発声で乾杯した。

「今年はいい年に」の気持ちで

中央社新春会は十二日午前八時半から板橋区東坂下の本社で開かれ、総勢六百名が出席した。
二階商品センターでは「新春店頭活性化フェア」と銘打ち新刊・売れ行き良好書やコミックスの即売と、書店棚活用、新学期辞典、大河ドラマ各コーナーの展示がが行われた。
正午から三階大ホールで行われた式典であいさつした由井京一社長は、一月六日付の日経流通新聞が今年の消費動向を占うキーワードとして、普段よりやや強含みな消費行動につながる消費者の気分を「やや勝ち」と名付けたことを紹介。
「今年はいい年にするぞという『勝ち気分』を柱に日常業務に取り組んでいく」として、■書籍返品の自動読取システムによる完全機械化■成人雑誌専門店の開発と育成■早期出荷システムの完全構築−−を図りたいと述べた。
また、その資金を調達するために三月を目途に増資を計画していると話した。
来賓の主婦の友社・村松邦彦社長は「まず書店の経営基盤がしっかりすることが大切で、急増する書店の廃業・倒産の原因をしっかり見据えねばならない。
出版社は書店が経常利益を出すために正味下げを行い、書店は出版社、取次の経営効率を良くするため返品率を下げる工夫をし、取次は三百六十五日配本体制を実現すべき」と提案。
業界三者が真に血の出るような努力をすれば、二十一世紀を生き残ることができると述べた。
主婦の友社・村松社長、講談社・保月滋取締役、小学館・大竹靖夫取締役、東北中央会・谷地田茂行会長、中央社・由井社長、同・秋山秀俊副社長の六名で鏡開きを行い、講談社・保月取締役の発声で乾杯した。

顧客満足と効率経営の両立図る

「第五十回日教販春季展示大市会」は十一日午前九時から東京・水道橋の後楽園会館で開催された。
会場には市会目録掲載書籍三千九百十二点の見本を陳列、情報コーナーとして生涯学習、レジ回り商材、資格試験、手作りPOPなど店頭活性化に役立つ提案が行われたほか、CD−ROM・電子ブックのデモやホームページの紹介コーナーなどが設けられ、多くの来会者でにぎわった。
また、会場近くの日中友好会館では午前十時から「ガイド・準拠類の販売戦略」をテーマに書店研修会が開かれ、学習教材協会会員社四社と日教販営業部によるパネルディスカッション形式の実践的な提案が行われた。
正午から行われたセレモニーでは、はじめに日教販・大藤耕治社長が「出版社は売れる本を作り、書店は買ってもらう努力をし、取次は商品をきっちりと届ける。
それが出版業界の原点であり、各立場で徹底することが大事だ。
取引先の満足と効率経営のバランスは難しいが、なんとか両立していきたい。
今期の日教販は指導要領改訂前の端境期だが、総合的学習の導入に対応し物流とマーケティングを行っていく」と年頭あいさつを行った。
続いて来賓として学習書協会・古岡秀樹理事長が「二十世紀は科学技術の時代であり今世紀はメディアやコミュニケーションを軸に切り開く時代だと思う。
出版業界が力を合わせて教育の力を取り戻すことが課題となるのではないか」、辞典協会・五味敏雄理事長が「紙と電子媒体が共存する時代になった。
新時代への対応とともに店頭にお客を戻す努力が必要。
学習指導要領改訂を前に今年は体質強化の年としたい」、日書連・萬田貴久会長が「公取は再販について国民から意見を求めつつ取りまとめの作業に入った。
皆様の力をもって再販制度維持で解決し、二十一世紀の出版業界に光明を見いだしたい」とあいさつした。
このあと萬田会長の発声で乾杯。
福島日教販会から大藤社長に白河ダルマが贈られ、来賓全員で片目を入れて新春の学参商戦を祝った。

増売、店頭活性化に積極取組み

「明るく!元気に!生き生きと!」をキャッチフレーズにした日販の「2001年新春を祝う会」は十一日午前十時半から駿河台の本社五階特設会場で開催され、東京支店で行われた新春ビッグセールと合わせて二千九百八十名が来場した。
鏡開きに先立ってあいさつした日販菅社長は、年末年始のPOS導入店の売上げ動向について「年末は一〇二・一%、年始は九七・四%、合計で一〇〇・一%。
この三年で初めて前年をクリアした。
ジャンル別ではコミックが一〇五%、児童書は『ハリー・ポッター』効果で一〇七%。
年末は全国的に前年を上回った」と報告。
反面、長期的に出版業界は八年前の売上げに戻り、返品率も六%増加して効率が悪くなっていることを指摘して、「最近の書店在庫調査で、売上げベスト千で四三%、五百で五六%しか在庫がない。
配本、在庫管理に問題があり、原点に帰って効率販売のシステム、制度を考え直したい。
日書連の『書店21世紀ビジョン』にある責任販売制も検討すべきだ。
昨年は大変革の年だったが、おかげで上半期は一定の評価を得た。
今年は増売、店頭活性化に積極的に打って出る」と新年の課題を述べた。
来賓として紀伊國屋書店松原社長は「前世紀に続き、新世紀も楽観を許さないが、我々はアマチュアではない。
何をなすべきかは、わかっているはず。
困難を乗り切ってよい年に」とあいさつ。
小学館相賀社長は「この一年も本の重要性を認識して、力を合わせていこう」と呼びかけた。
相賀、松原、菅社長に日書連萬田会長が加わって鏡開き。
萬田会長は「日販は昨年の創業五十周年に矢継ぎ早に各種の提案を行った。
新しい世紀にも業界のリーダーとして強力なリーダーシップをとってほしい。
再販を維持し、業界再生に力を合わせよう」として、乾杯の音頭をとった。
飯田橋の東京支店では、インターネット・ブックモール「本やタウン」や、書店読み聞かせ会「おはなしマラソン」などを展示、売れ行き良行書を多数展示して、新春ビッグセールを開催した。

−無題−

「明るく!元気に!生き生きと!」をキャッチフレーズにした日販の「2001年新春を祝う会」は十一日午前十時半から駿河台の本社五階特設会場で開催され、東京支店で行われた新春ビッグセールと合わせて二千九百八十名が来場した。
鏡開きに先立ってあいさつした日販菅社長は、年末年始のPOS導入店の売上げ動向について「年末は一〇二・一%、年始は九七・四%、合計で一〇〇・一%。
この三年で初めて前年をクリアした。
ジャンル別ではコミックが一〇五%、児童書は『ハリー・ポッター』効果で一〇七%。
年末は全国的に前年を上回った」と報告。
反面、長期的に出版業界は八年前の売上げに戻り、返品率も六%増加して効率が悪くなっていることを指摘して、「最近の書店在庫調査で、売上げベスト千で四三%、五百で五六%しか在庫がない。
配本、在庫管理に問題があり、原点に帰って効率販売のシステム、制度を考え直したい。
日書連の『書店21世紀ビジョン』にある責任販売制も検討すべきだ。
昨年は大変革の年だったが、おかげで上半期は一定の評価を得た。
今年は増売、店頭活性化に積極的に打って出る」と新年の課題を述べた。
来賓として紀伊國屋書店松原社長は「前世紀に続き、新世紀も楽観を許さないが、我々はアマチュアではない。
何をなすべきかは、わかっているはず。
困難を乗り切ってよい年に」とあいさつ。
小学館相賀社長は「この一年も本の重要性を認識して、力を合わせていこう」と呼びかけた。
相賀、松原、菅社長に日書連萬田会長が加わって鏡開き。
萬田会長は「日販は昨年の創業五十周年に矢継ぎ早に各種の提案を行った。
新しい世紀にも業界のリーダーとして強力なリーダーシップをとってほしい。
再販を維持し、業界再生に力を合わせよう」として、乾杯の音頭をとった。
飯田橋の東京支店では、インターネット・ブックモール「本やタウン」や、書店読み聞かせ会「おはなしマラソン」などを展示、売れ行き良行書を多数展示して、新春ビッグセールを開催した。

公開経営協会と提携

トーハン・コンサルティングは社団法人公開経営協会と提携し、二月から書店向けの相談サービス「書店クリニック」を開始する。
同社はこれまで書店向け教育研修事業「トーハン書店大学」を運営してきたが、各書店から個店レベルでの研修実施や、ここの現場に応じた分析、改善提案の要望があり、これに応えて新たな相談サービスを開発したもの。
提携先の公開経営指導協会は通産省認可の社団法人で、研修、コンサルタントなどによる小売店指導を行っている。
「書店クリニック」では、書店からの相談にトーハンコンサルティングと公開経営指導協会の専門スタッフが協力して対応する。
相談テーマによりサービスをパッケージ化し、料金を予め設定しているのが特徴。
スタート時は決算書分析、店舗オペレーション調査、効果的な販売促進に関する提案、接客水準アセスメント、労務・人事相談の五テーマを扱い、今後、書店のニーズに応じて相談テーマを拡大していく。
相談料金は決算書分析が六万円、その他は二十五万円。

催し

◇インターネットとYahoo!JAPAN出版科学研究所は二月六日午後一時から飯田橋レインボービル七階で出版セミナーを開催する。
今回は講師にインターネット検索サービス最大手、ヤフー株式会社の井上雅博社長を招き、発展めざましいインターネット環境の中でYahoo!JAPANの戦略と今後の展開を聞く。
申し込みは一月二十五日までに〒162−0813新宿区東五軒町6−21トーハン別館、出版科学研究所出版セミナー事務局へ。
■03・3269・1379、FAX03・3266・1855

−無題−

歌人・石川啄木は、明治四十年頃の本郷三丁目の様子について「それはそれは賑やかなもんですよ。
右は三丁目の電車、左へは赤門の前…赤門といえば大学のことですよ。
右から左から刻一刻にみちひきする人の潮!」と綴っている。
昔から本郷は都心と郊外の接点ターミナル的な賑やかさであった。
一方、新しい文学の夜明けがこの地で始まり、おびただしいほどの文人たちが生活と文学と恋のドラマを織りなした。
旧臘十二日、都営地下鉄「大江戸線」が開通した。
その本郷三丁目駅に新しい試みの「詩碑」ができたと聞き出かけてみた。
この線の特徴は地下駅の深さと駅デザインのパブリックアートだろう。
本郷の駅も階段を延々と下りてようやく改札口へたどり着いた。
その正面の壁に、鮮やかな色彩のアルミ帯板が交互に配され詩が横書きに一行で刻印されている。
大岡信、新川和江、谷川俊太郎など名だたる現代詩人によって詠まれた四十八編が十六段、それが詩碑であった。
いずれの詩句も、二十世紀の時空を生きた日本人の「心」の凝縮といえそうだ。
いま、詩を読む習慣は私たちの中にどのくらいあるだろうか。
多様化する出版物に押されて詩の領域はずいぶん狭まれてしまった。
この詩碑に向かい、私は、言葉と言葉が響き合い重奏的な表現力をもつ詩をあらためて見直してみたいと思った。
世はパソコン時代というけれど、人の心は詩の言葉の美しさ、鋭さに惹きつけられるだろう。
啄木の詩論に「日常の食事の香の物のごとく」とある。
(銀杏子)

売上高六百億円台に

栗田出版販売は十二月二十六日、板橋区の本社で第63期定時株主総会ならびに取締役会を開催し、決算諸案などを承認した。
これによると、第63期(平成11年10月1日〜12年9月30日)の売上高は六百億七千万円で、前期比〇・六%の微増。
返品率は雑誌三五・四%、書籍四一・九%、合計三八・一%で前期と同率となり、返品率の悪化傾向に歯止めがかかった。
営業面では人件費をはじめ徹底した削減に取り組んだが、時価会計導入による評価損計上や貸倒引当金の積み増しなどで減益となった。
期中の増床は、新規百三十店、増床十七店併せて五千四百七十坪、取引中止は百十二店、三千二百七十四坪。
新年度は亀川新社長のもと「徹底とスピード」を合言葉に、返品改善を目指し、適正配本と書店の適正在庫維持、「本屋さん直行便」の利用を進めていく。
「直行便」の加盟店は四百五十店。
また、同社は一部役員の担当変更を含め、一月五日付で以下の人事異動を行った。
〔役員担当変更〕取締役営業本部副本部長兼営業第二部長土屋正三営業第二部長兼務を解く取締役仕入本部副本部長兼書籍仕入部長大槻精一委嘱・取締役物流本部副本部長兼整品管理部長〔部長・部長代理〕管理本部社長室長兼秘書課長(営業本部営業推進部長)吉田正義営業本部営業推進部長兼システム営業部長(システム営業部長)柴原正隆同営業第二部長(営業第三部長)草場憲生同営業第三部長代理(物流本部運輸管理部長代理)高山香仕入本部書籍仕入部長(管理本部社長室長兼秘書課長)林保物流本部物流管理部長兼運輸管理部長(物流管理部長)丸山政良〔課長〕営業本部営業推進部営業推進課長(営業第二部東京課長)山田紀芳同営業第二部営業第三課長兼東京課長(営業第三課長)林妙蔵

全国から55名が出席

浦和の須原屋研修所を卒業したOBが年に一回集まるホームカミング、「須原屋研修生OB会」が十日、須原屋本店で開かれ、全国で活躍するOB五十五名と来賓の出版社・取次はじめ三十一名が出席した。
第一部の研修会は講談社浜田博信専務が「新しい世紀、出版はどうなる?」として一時間半にわたって講演。
第二部懇親会は会場を浦和ロイヤルパインズホテルに移して午後六時から行われた。
開会にあたり須原屋高野隆社長は「書店後継者を預かり教育する研修所も二十七年目。
今春の卒業生を加えると総勢百五十名が会長のもとで勉強したことになる。
全国各地で卒業生の活躍ぶりを見て喜んでいる」としたあと、須原屋の近況を報告。
平成二年の宇都宮出店のあと、外商本部設立、本店リニューアルと内部固めを行ってきたが、昨年十一月、川口市のショッピングセンター「ダイヤモンドシティキャラ」に川口店を二百四十坪でオープン。
創業百二十五年を迎えた今年三月には武蔵浦和駅に隣接する「ライブタワー武蔵浦和」の二階にワンフロア三百五十坪で出店することを明らかにした。
来賓紹介のあと、あいさつした高野嗣男会長は「研修生の一回生はもう五十歳。
研修所を始めた時は五十そこそこだったが、二月に喜寿を迎える。
店も創業百二十五年で、そろそろバトンを渡す覚悟をしているが、一面ではもう少し走ってみたい気持ちもある。
昨年決算では七〇の利益を出すため経費を一〇〇切り詰めた感がある。
売上げこそ利益の源泉で、心を新たに本来の書店業を目指したい。
卒業生も時代の変化に対応できるよう日々の努力を」と述べた。
出版社を代表して講談社浜田専務は「脱皮を繰り返す巳は再生と不死の象徴。
出版界の繁栄を願っている」とあいさつ。
角川書店角川歴彦社長は再販問題の対応について触れ「できるだけ弾力運用の実をあげたい。
部分・次元再販を積極的に扱い、アゲンストの風に対抗していこう」と、今年の課題を述べた。
このあとポプラ社田中治男会長の音頭で乾杯、開宴した。

−無題−

◇世界文化社(12月18日付、○は新任)代表取締役社長鈴木勤専務取締役(広告、販売、総務担当)大塚茂同(編集担当)鈴木美奈子常務取締役(ワンダー事業本部担当)重松祥司同(メディア戦略室、クリエイティブ局製作、経理担当)小林公成取締役(通販事業本部本部長)鬼頭雅志同(編集統括)内田・昭同(通販事業本部副本部長)金治正憲同(ワンダー事業本部本部長)川面重雄同(広告本部本部長)橋本淳一監査役中島正紘役員待遇(製作部担当)染治隆介同(編集副統括兼第一編集局局長兼第二編集局局長)○江川桂子同(第三編集局局長兼第四編集局局長)○加治陽昇格ならびに人事異動販売本部本部長(同副本部長)平林和成同販売促進部副参与(同参事)堀江圭司販売本部付・局長待遇(クリエイティブ局局長)安達信孝広告本部広告業務部参事(販売部参事)川鍋吉康販売本部販売部課長(販売促進部課長)村松謙二

日書連の動き(12月)

12月1日活字文化議員懇談会総会へ萬田会長他出席。
書店21世紀ビジョン報告記者会見。
文藝春秋忘年会へ日書連幹部出席。
12月4日出版倫理協議会。
公正取引協講演会(楢崎部長)へ萬田会長他出席。
第4土曜日は子どもの本の日実行委員会へ鈴木委員長他出席。
12月5日日販よい本いっぱい文庫贈呈式へ白幡専務出席。
日本出版クラブ理事会へ萬田会長出席。
分野協常任理事会へ下向理事他出席。
12月6日日本図書コード運営委員会へ井門委員出席。
12月8日九州雑誌センター年史編集会議へ白幡専務出席。
12月12日読進協常務理事会へ萬田会長出席。
全国中央会流通問題研究会へ井門委員他出席。
12月13日TIBF説明会へ萬田会長他出席。
12月14日大修館企画発表会へ萬田会長出席。
野間文化財団主催野間賞贈呈式へ萬田会長他出席。
12月18日業界紙記者懇談会へ萬田会長他出席。
12月19日出版再販特別委、出版再販研究委合同委員会。
子ども読書年運営幹事会へ船坂委員他出席。
中小小売商連絡会へ下向委員出席。
12月20日出店問題、読書推進、組織強化、発売日、新年懇親会、共同購買、取引・流通、再販特別委、広報、情報化推進、共済会運営各種委員会。
ムック問題で取次との懇談会。
日書連忘年会開催。
12月21日日書連定例理事会、共済会理事会、公取協理事会開催。
出倫協R−18運営委へ今西委員他出席。
12月22日再販対話委員会へ下向委員他出席。
12月25日公取委取引企画課山田課長を萬田会長他で訪問、再販問題で懇談。
12月29日事務局仕事納め

アクションプラン愛称を募集します

日書連は昨年十一月、21世紀の中小書店のあるべき姿、未来像を模索した「書店21世紀ビジョン報告書」をまとめ、広く内外に発表しました。
同ビジョンでは、本年四月から実施するアクションプラン十項目も発表しています。
このアクションプランについて、親しみやすい愛称を募集しています。
ちなみに、全米書店協会「ABA」が独立書店支援のため打ち出した運動には「ブックセンス」という愛称が付けられ、「クリック&モルタル」として親しまれています。
入選作一本に賞金三万円、佳作三本に賞金一万円を進呈します。
一月三十一日までにハガキかFAXで日書連「21世紀ビジョン愛称募集係」までご応募下さい。

−無題−

新年明けましておめでとうございます。
二十一世紀の幕開けとなります平成十三年の新春を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は私ども日本書店商業組合連合会に対し、格別のご支援ご協力を賜り厚く感謝を申し上げますとともに、何卒本年もよろしくお願い申し上げます。
わが国経済は、景気回復の兆しが見られつつも、依然として個人消費と雇用が低迷し、中小企業の非製造部門の改善が遅れ、地域経済や個別企業の多くは不振に喘いでいる状況が続いています。
出版業界におきましても例外ではなく、出版物販売状況は対前年比で三〜四%減、返品状況でも去年四月以降五カ月連続で前年同月を上回ると報告されています。
全国書店の売上げの低迷は深刻化しております。
長期不況の影響により失業率の増大、所得の減少、消費支出の七年連続の減少など経済環境の悪化の中で、取引条件への不満、売れ行き不振、後継者難などが重なり、転廃業が続いている状況下にあります。
しかし、一方ではIT革命の進展とインターネットの急速な普及、新メディアの拡大と流通の多様化により、業界をめぐる環境は大きく変化しつつあります。
こうした情勢の中で日書連は潜在読者の開拓をめざし、情報技術の促進、ネット販売の立ち上げに努め、また新しい読者を育てようと読書推進のための各種運動を活発に展開いたしました。
昨年の「子ども読書年」には、業界あげて協力体制を組み、大きな成果を得ることができました。
今また、国会議員から「読書活動振興法」の制定、読書推進五カ年計画の提案もあります。
今後とも国民運動として読書推進運動を展開し、一人でも多くの本好きな子どもたちを育て、次世代層に読書文化を定着させるための努力をしてまいりたいと考えております。
この一方で日書連は、二十一世紀に生きる中小書店のあるべき姿、果たすべき役割を模索しようと「書店21世紀ビジョン」を策定し、昨年十二月に発表しました。
このビジョンが明日からの中小書店経営に確かな目標の設定と希望を与えることができればと願っております。
本年からはアクションプラン十項目の具体化に乗り出していく所存であります。
書店にはなお幾多の課題が山積しております。
毎年減少傾向を辿る傘下組合員の組織強化、青少年の健全育成の観点から青少年社会環境対策基本法の制定問題、出版物取引条件・流通改善への取組み、客注品迅速・確実化の促進、芯BIRDネットの充実と普及、パソコンによる書店業務のネットワーク化促進などであります。
また、規制緩和の進む中、大店法が昨年六月に廃止され、大規模小売店舗立地法が施行されましたが、最近の出店問題は必ずしも正しい運用がされているとは言えず、今後に注目しております。
本年もこうした諸問題への取組みに鋭意努力してまいる所存であります。
しかしながら私ども全国書店の最大の関心事といえば、公取委の著作物再販制度の見直し問題であります。
昨年の前半は公取委と出版業界の間で「再販対話」論議が行われました。
この論議のまとめは十一月まで続きました。
この間には全国書店三千店を対象にした販売実態調査も行われました。
公取委は十二月七日に公表文を発表し、国民的論議を得て、今春、結論を得るとしています。
これに先立ち、十一月七日に行われた東京都組合主催「出版再販を守る集い」では、出版業界三者、読者が一堂に会し、「日本中どこの本屋でも同じ値段で本が買えることは素晴らしい」こと、制度の廃止には強く反対すること、出版流通改善にあたっては、業界が力を合わせてより良い改善につとめ、読者サービスの向上に最大限の努力を、との宣言を満場一致で可決しました。
今後とも再販制度擁護の運動は、読者、業界皆様の協力のもとに展開してまいる所存であります。
二十一世紀の年頭にあたり、厳しい状況の中にありますが、懸案事項については一歩一歩前進できるよう、また業界三者が共生に向けて協力体制を確立し、邁進してまいりたいと存じます。
業界の一層の発展を祈念し、新年のご挨拶といたします。

USA書店事情

米国の独立系書店は、二〇〇〇年の十一月下旬、ついに正式に、共用のオンライン書店を手に入れた。
ブックセンス・ドット・コムがやっと本格稼働を始めたのだ。
ABA(全米小売書店協会)が取り組んでいるブックセンスという独立系書店の活力アップのためのマーケティング・プログラムは、数々の成果をものにしつつある。
その中のもっとも強力なツールと目されていたのが、この待望久しかったeコマース部門だった。
二百一軒の独立系書店が契約し正式スタートした。
競争力のあるオンライン書店としてのサービスを提供し、アマゾン・ドット・コムやバーンズアンドノーブル・ドット・コムに引き付けられつつあるお客の奪回を試みようというものだ。
ただここに至る過程は厳しいものだった。
九九年五月の書籍見本市、ブック・エクスポ・アメリカの会場で発表されたオンライン・サイトの立ち上げは、当初同年八月予定が十月に延び、さらに二〇〇〇年へと延期された。
二〇〇〇年六月のブック・エクスポ・アメリカでもABAは本格稼働の時期を告げることができなかったのだ。
最初の発表から十八カ月も経過してしまった。
地域のものと全国的なものを組み合わせ、多くの複雑な情報処理を行うサイトを立ち上げる困難さで、一時身動きできなくなったという。
しかし今、一年半の大仕事の末、ABAは再び希望を取り戻した。
ブックセンス・ドット・コムは、取次ベーカー&テイラーのデータベースを採用した。
二百二十万タイトルから検索し、購入したい本を見つけたお客は、一つの書店を選択する。
郵便番号を入力すると、最寄りの契約書店のオンライン・ストアに送り込まれるという仕組みもできている。
注文処理は自動化され、また参加書店はカスタマイズして独自のウェッブ店頭を作ることができ、そこで宣伝、販売促進、販売管理を行う。
出庫、配送は原則としてブックセンス・ドット・コムのパートナーの取次、卸業者によって確実に行われ、その配送袋には地域の書店のマークが入る。
さらに今年前半にはeブックのダウンロードも可能になるという。
九九年、書籍売上げの五・四%を占めたウェッブ書店は二〇〇〇年には六%のシェアを超えただろう。
九九年、一五・二%のシェアしか持てなかった伝統的な独立系書店が逆襲に出られるのか。
しかし多額のお金を使って全米へ促進をかける大手オンライン書店と真正面からぶつかる気はない。
ブックセンス・ドット・コムを使って、それぞれの独立系書店が、自分たちのお客に十分サービスをすること、そして常連客を作り出すことを目指す。
ABAの関係者も、サイトが立ち上がってすぐ売上が目立って増えるとは思っていない。
そんなに宣伝しているわけではないからだ。
しかし二〇〇一年を通しての売上増には期待している。
そしてブックセンス・ドット・コムに加盟する書店が一年で二倍になることも。
ところでこのeコマースは、千二百軒近くの米国独立系書店が参加して展開されているブックセンスのプログラムの一つにすぎない。
『ザ・ブックセラー』十二月十五日号の記事から、多様な展開を拾ってみる。
「ブックセンス76」は毎月、新刊、既刊本の中から良質の推薦図書七十六冊を選んで発表する。
ものによっては出版社のマーケティング・サポートを依頼する。
「ブックセンス・ギフト券」は、全米加盟店で使える図書カードだ。
独立系書店にとってこういった種類の商品券はこれまでになかった。
「ブックセンス・ベストセラー・リスト」は、四百近い店のデータに基づいている。
いくつかの分野に分けて発表されるが、チェーン書店のベストセラーとは趣を異にする。
『ニューヨーカー』『アトランティック・マンスリー』その他の雑誌、NPR(全国公共ラジオ網)等メディアでのブックセンスの宣伝。
三十社の大小出版社をパートナーにしての売上増のための共同キャンペーン。
「ブックセンス・オブ・ザ・イヤー賞」の発表。
その他、独立系書店とチェーン書店の差別化を図る施策は次々と打たれている。
ABAのマーケティング担当役員は、読者が独立系書店を評価するいくつかのポイントをあげる。
独立系は本の知識が豊富。
本、そして本を売ることに情熱を傾けている。
気骨を持っている。
必ずしも売りたいものではなく、一番いいものを奨める誠実さがあるというような。
個性を持っている。
そして彼らはコミュニティの一員である。
そこに住み、そこで人を雇い、地域の人達の支援者である。
ブックセンスを採用しながら自分たち独自の個性を出すのはなかなか難しい。
ABAは有力なマーケティング・コンサルタント、また地方を回って相談にのり手助けするレップを置いて支援体制を取り、書店の好評を博している。
参加書店が共同して行ったキャンペーン・イベントの例を一つ。
十軒のワシントンDCの書店は連携して、昨年九月に、ブックセンス・ウィークと銘打ち、十の店を明記したパスポートを発行した。
お客はその店を回ってスタンプをもらう。
三つスタンプが集まると、十店すべての名をプリントしてあるTシャツがもらえ、十集まると、百ドル、七十五ドル、五十ドルのブックセンス・ギフト券が当たるくじ引きに参加できる。
その間、お客は何も買わなくてもいい仕組みなのだが、書店スタッフ、そしてお客の意識を高めるのに大いに役立ったという。
独立系が個々でではなく、グループとしてのパワーを発揮できるということが理解できれば、もう一つ、よりうまくいく可能性も高まる。
(竹)

新世紀は低成長脱却を

宮城県書店商業組合、出版みちのく会、取次、輸送各社は、一月九日午後三時より仙台市のメルパルクSENDAIで合同新年懇親会を開催、七十四名が出席した。
懇親会は四戸登美雄氏(永岡書店)の司会で始まり、出版みちのく会の千葉弥一氏(日本放送出版協会仙台支社)が乾杯の音頭を取った。
続いて宮城組合の藤原直理事長(金港堂)があいさつ。
「公取へ再販制度維持の意見書ハガキ送付」について組合員の協力を要請し、日書連がハガキを負担することを述べたほか、四年連続の低成長の中で今までの形を改め、新世紀を迎え今後各人が責任ある形を取ることにより業界として儲けなければと話し、満場の拍手を浴びた。
引き続き取次会社代表としてトーハン東部支社鈴木常夫支社長は、作家村上龍氏の言葉を借りて「今何をすればいいのか」全員で探さなければならないとあいさつした。
司会が阿部伸介氏(農山漁村文化協会)に変わり、潮出版社を皮切りにトリの運輸代表渡辺和夫氏(中央運輸)まで出席各社が年頭スピーチを行い、今年の抱負を語った。
今年の干支、巳年生まれ六人を代表して三浦優氏(紀伊國屋書店)の万歳三唱と、菅原庚一氏(興文堂)の一本締めで会を終了した。
(佐藤元茂記)

大阪互礼会に260名

平成十三年度「大阪出版業界互礼会」が一月五日午後三時より、大阪市北区梅田の「ホテルモントレ大阪」七階アマリエの間で開催。
大阪出版協会、出版三水会、大阪出版取次懇話会、大阪府書店商業組合の各社及び関連業界から二百六十名が参加した。
会は、出版三水会代表・菅原英明氏(角川書店関西支社長)の司会で進行。
はじめに大阪府書店商業組合・今西英雄理事長が新年のあいさつを行った。
今西理事長は「二十世紀の終わりは大変な激動の時代であったが、二十一世紀も諸々の問題を引きずったままスタートした。
昨年の新年会で不景気をぶっ飛ばそうと、紙袋を破裂させるパフォーマンスを演じたが、逆にぶっ飛んだのは、出版社、取次、書店であったのは残念であった」と述べ、「最近、しきりにIT革命とばかりに情報技術の革新がもてはやされているが、ITはインテリジェンス・セオリーとも読み解ける。
いにしえの出版文化草創期における大阪の出版文化隆盛に倣い、大阪の出版業界が協力して、大阪から新しい出版文化を創造できるように頑張りたい」と決意を表明した。
このあと、来賓を代表して肥田美代子衆議院議員が「公正取引委員会が再販制度廃止を強行するのなら、法律問題は国会議員に審議する権限があるのだから、再販制度廃止には徹底的に反対する」と力強く決意を表明。
「国民も廃止反対の大きなうねりを決死の覚悟で見せる必要がある」と出席各位の協力を促して、「力を合わせて日本の文化をしっかり守りましょう」と締めくくった。
このあと、日販・伊藤茂樹専務取締役の乾杯の発声で祝宴に移り、大阪出版協会・佐藤哲哉理事長(新興出版社啓林館専務取締役)の中締めのあいさつで午後四時半散会となった。
(中島俊彦広報委員)

港・渋谷支部

東京組合各支部のトップを切って港・渋谷支部(船坂良雄支部長)の新年会が九日午後六時半からJR新橋駅前の「新橋亭」で開かれ、出版社四十二名、支部員二十九名など八十一名が出席した。
遠山茂氏(流水書房)の司会で始まった新年会は、二〇〇一年のスタートに当り船坂支部長が「社会状況は厳しいが『地図の読めない女』は口コミで勢いがついた。
出版社には売れる企画を、取次にはキメ細かな配本をお願いしたい。
書店は新たな気持ちでお客様の立場に立った店づくりを目指す」と述べたほか、再販問題の対応で公取に「再販制擁護」の意見書を送るよう求めた。
来賓としてあいさつした集英社サービス・鈴木久雄氏は「お客様に受け入れやすい商品を提供していくのが出版社の使命。
二十一世紀のスタートに当り、最初のハードルは再販問題。
出版社もハガキ、メールで公取に意見を送りたい」とし、図書普及佐藤堅太郎専務の発声で乾杯、新年の門出を祝った。