全国書店新聞
             

平成21年12月1日号

端末でコミックを試読/「ためほんくん」取材相次ぐ/日書連

日書連は11月19日午前11時から書店会館で定例理事会を開催した。情報化推進の取り組みでは11月4日から始まった電子端末によるコミック試し読み「ためほんくん」について新聞、テレビの取材が相次いでいることが報告され、店頭活性化に向けて実験を進めていくことが紹介された。〔情報化〕
日書連は11月4日より東京、福島、大阪、広島、鳥取、島根の1都1府4県の書店11店舗で電子端末を利用したコミックの立ち読みシステム「ためほんくん」を展開している。これについて田江理事は10月末に一般紙向けに記者発表を行ったところ、NHK、フジテレビ、TBSテレビなどの取材が相次ぎ、大きな話題を呼んでいることを報告した。
「ためほんくん」には講談社、小学館、集英社、秋田書店、白泉社の5社がコミック150点のデジタル画像を提供。店頭に設置した端末を読者がタッチパネル式で操作すると、1作品12頁程度が試し読みできる仕組み。
田江理事は「今後、店頭活用の実態把握に努めるなど、デジタル活用により書店店頭の活性化に努めていきたい」と「ためほんくん」の実験に対する意欲を述べた。
〔取引改善〕
民事再生を申し立てていたゴマブックスの再生手続き開始が決定し、10月27日搬入の新刊から商品出荷が始まったが、11月18日にトーハン、日販からその間の事情説明を受けたことを柴﨑委員長が報告した。
トーハンの場合、ゴマブックスが民事再生申請を決定した9月4日段階で、委託期間内の商品は返品入帳するが、それ以外は逆送すると取引先書店に案内したものの、日販は民事再生の申請は有事の場合と解釈せず、取引先書店に案内することはしなかったと説明があったという。
柴﨑委員長は「書籍は120日の委託期間があり、ゴマブックスが民事再生を申請した9月7日までの返品はとれたのではないか。取次には支払の原資も残っているはず。書店の犠牲の上に民事再生するというのはおかしい」と指摘。全国書店のゴマブックス返品未入帳額を調査することを提案し、理事会もこの方針を了承した。
〔指導教育〕
万引き防止対策に乗り出した警視庁から東京組合に万引き被害は全件届出をとする依頼があったと鈴木委員長が報告した。
警視庁は万引きがここ数年1万8千件前後で高止まりの状況にあることを憂慮。万引きを放置すれば他の重大な犯罪に発展し、東京の将来の治安に影響を及ぼしかねないとして警察、行政、学校、地域などの連携した取り組みが必要なことを強調。小売店は万引き被疑者を発見した時は全件届け出るように呼びかけ、届け出の際の小売側の負担を軽減するため、11月1日から被害届、捜査書類の簡素化を開始した。
大橋会長は警視庁から千代田区区商連に声がかかり、神保町が万引き防止のモデル地区になることを説明した。
また、ICタグが万引き防止に役立てられないかという問題については、日本出版インフラセンター永井運営委員(講談社)が理事会の席で同センターの取り組みを説明した。
これによると、書店部会でICタグ活用を検討しているが、現状ではタグ単価が18~19円、装着費と合わせ1冊40円弱と高額であり、単価的にコミック、文庫には装着がむずかしいこと、リーダーライターも今年の値段で1台25万円と高額であることがネックになっていることなどを報告。今後の取り組みについては「ICタグを活用した円滑な出版流通と健全な販売ルールを探っていきたい」と述べた。
〔財産運用〕
日書連共済会の残余財産は先頃、日書連に移管されたが、木野村委員長から東京組合が所有する書店会館購入を検討するため、不動産鑑定士に土地・建物の査定を依頼する鑑定料80万円の支出を承認してもらいたいと求められた。
しかし、理事会の議論の中で、東京組合が2年前に行った書店会館の鑑定結果があることがわかったため、同資料を参考にして資産の残存価額、メンテナンス費用、会館維持費などを総合的に検討していくことになった。

「本はよかバイ」第3弾/熊本で中学生向け読書ガイド

熊本のNPO法人「本はよかバイ」は、中学生を中心とした読書ガイドシリーズ第3弾、『ゾクゾクお~い本はよかバイ』を刊行した。A5判80頁、本体定価500円。
「まだまだ知らないことばかり」「むね躍るであいがある」「あったかいこころがあふれ出す」「いろんな思いがあるんだな」「しらなかった熊本がそこにある」などのユニークな分類で推薦図書135点を表紙写真と内容紹介付きで掲載している。
熊本在住の作家、梶尾真治、たつみや章氏の対談、熊本ゆかりの加藤清正、横井小楠の紹介本も。熊本組合長崎晴作理事長は「熊本発の読書啓発誌に」と期待を語っている。

平成22年理事会日程

委員会理事会
1月21日(木)22日(金)
2月17日(水)18日(木)
3月休会
4月21日(水)22日(木)
5月18日(火)19日(水)
6月理事会23日(水)
定時総会24日(木)
7月21日(水)22日(木)
8月休会
9月15日(水)16日(木)
10月移動理事会21日(木)
11月17日(水)18日(木)
12月15日(水)16日(木)

新物流システム検討も/取次特急便料金下げは暗礁/11月理事会

〔物流研究〕
物流研究準備特別委員会では「新物流システム」を構築する前段として、通常より高い取次の特急便利用料を下げられないかどうか、トーハン、日販と交渉してきたが、具体的な進展がないことを戸和委員長が説明した。
同委員長は「(取次が85掛けの特別料金を下げないとして)交渉が決裂すれば、新物流システムを検討していかなければならない。自前でできるかどうか決着をつける時期だ」とする考え方を説明した。
この報告に対して鶴谷理事は「他業界では製販一体が当たり前だ。出版界も出版社が直接商品を書店に送り、決済はカードという仕組みがあってもいいのではないか」とする問題提起を行った。
〔読書推進〕
来年の国民読書年に向けてロゴマーク(別掲)が決まったほか、出版文化産業振興財団として①施設に寄贈する本を募集する「ブックリボン」、②成人式に本を贈る「20歳の20冊」の2つの運動を展開することが報告された。
「20歳の20冊」は来年の成人式に新成人への記念品を本にしてもらおうという運動で、千葉県袖ケ浦市、茨城県大子町、島根県東出雲町、鳥取県日吉津村の4自治体が来年1月に実施することを決めている。
11月理事会で国民読書年の取り組みについて報告したJPIC中泉事務局長は、「20歳の20冊」は2年度目の平成23年に20~30自治体で採用するよう働きかけていき、将来的には全国展開を目指して運動していきたいと述べた。
〔増売〕
来年の「春の書店くじ」は4月20日から30日まで実施するが、舩坂委員長より平成22年春の書店くじ実施要綱が示され、承認された。特賞は今回から海外旅行をやめて「5万円分の図書カード」100本とすることになった。今春の書店くじ特賞「北京4日間の旅」は11月6日から9日まで秋田組合和泉理事長を団長に実施したことも報告された。
〔流通改善〕
来年、2010年度の雑誌発売日カレンダーが取次協会から示されたことを藤原委員長が報告した。
平成22年の土曜休配は6月12日と7月10日の2回。5月のゴールデンウイークの配送は5月2日から5日まで休み。夏季統一休暇は8月13日、14日、15日の案が示されている。
〔組織〕
10月期の各都道府県書店組合の加入・脱退状況は新規加入が1店、脱退が27店となり、前月比26店の減少になった。4月1日対比では176店の減で、現在の組合加入店合計は5326店になった。
〔再販研究〕
最近起きた再販事例として三越池袋店の退店後に出店したヤマダ電機池袋店(LABI池袋)が300坪の書籍売場をオープン。同店は3%のポイントカードを出しているほか、開店記念として全品に5%のポイント提供を行っていることが岡嶋委員長から報告された。
〔消費税〕
10月28日に行われた衆議院本会議で谷垣自民党総裁の質問に、鳩山首相は「財源を消費税増税で確保することはしない」と税率引き上げに否定的な考えを示したことが面屋委員長から報告された。
〔共同購買〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター2010」は残部が若干あるため、各県組合に案分して配布することを中山委員長が説明した。
◇理事交替
富山組合=丸田茂(富山市・清明堂書店、所属委員会=指導教育、再販研究)
兵庫組合=井上喜之(姫路市・井上書林、所属委員会=組織、情報化推進、消費税問題)
◇退任理事
吉岡隆一郎(富山)、三上一充(兵庫)

40カ月連続前年割れ/10月期売上は95・5%に/日販調べ

日販経営相談センター調べの10月期書店分類別売上調査がまとまった。10月期は2度の台風の影響や、土日祝日数が前年より1日多かったことから客数は前年同月比94・9%となり、売上も平均95・5%と06年6月から40カ月連続して前年割れになった。
ジャンル別に見ると前年同月を上回ったのは101・2%のコミックのみ。コミックは『聖☆おにいさん④』(講談社)の売行きが好調だった。しかし、文庫は90・7%、新書86・3%、文芸書90・2%と、売上を牽引する有力銘柄が見当たらず、売上を大きく落としている。文庫上位10銘柄の売上を前年同月と比べると金額では82・1%、冊数では80・4%と前年を大きく下回った。
客単価は買上商品1点当り平均単価が100・4%、一人当り買上冊数も100・8%と増加したため、101・0%と前年を上回った。

受賞者79名に表彰状/大阪本の帯創作コンクール

第5回大阪子ども本の帯創作コンクール・表彰式が11月14日午後1時より大阪市中央区の府立男女共同参画青少年センターで行われ、受賞者79名はじめ、最多出品校賞の豊中市立蛍池小、最高出品率校賞の阪南市立尾崎小の代表者が出席。観客席には保護者2百名と学校関係者が表彰式の様子を見守った。
開会にあたり中川正文大阪読書推進会会長(大阪国際児童文学館名誉館長)が読書の重要性を力説し、「十年先、百年先の日本がチャンとなることを期待しています」と挨拶した。
朝日新聞大阪本社草川誠編集局長補佐は展示作品の出来栄えを称賛して「本を読むのが好きという気持ちが作品に反映されている。本を読めば読むほど力がつく。大阪の未来を担う役割を期待する」と述べた。
戸和繁晴実行委員長による選考経過説明の後、表彰式に移り、大阪府知事賞など各賞が授与された。
課題図書・高学年の部で府知事賞を受賞した枚方市立殿山第一小6年・中村優里さんは「小さい頃から本を沢山読んできました。沢山の人に褒めてもらえることになりうれしいです」と、喜びとお礼の言葉。
面屋龍延大阪府書店商業組合理事長は「コンクールは大阪の出版業界三団体が読書推進運動の一助になればと始めたものです」と紹介し、課題図書中学年の部府知事賞を受賞した高槻市立日吉台小4年・澤村麻衣さんの作品について「すばらしいキャッチコピーで、一言で本を読みたい気持ちにさせる」と褒め、「今後も多くの人が受賞作に負けない作品を応募してください」と述べた。
第2部として課題図書にちなんだクイズイベントを実施し、低・中・高学年各部門で勝ち残った児童3名ずつに賞品を贈呈した。
1階ホールでは、優秀作品の展示と、府知事賞以下9点の受賞作の帯を装丁した課題図書即売会が行われた。(中島俊彦広報委員)

故人を偲び法要/京都組合

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は11月6日に京都市中京区の善導寺で「第76回図書まつり物故者法要」をしめやかに営んだ。同組合理事をはじめ取次など25名が参列し、この1年に逝去された故・樫亨氏(ブックス京都)、故・北野一男氏(花園商事)の冥福を祈った。
午後6時から近くの料亭に場所を移して食事会を設けた。中村理事長が参列者に対し感謝の言葉を述べたあと、あいさつに立った北野裕行理事は、父である故・北野一男氏が生前賜った厚情に謝辞を述べた。故・北野氏は京都組合で長年にわたり理事、監事を歴任し、京都組合の発展に尽力されたとともに、その人望には厚い信頼が寄せられていた。出席者は献杯をし、両名の故人を偲ぶとともに、その思い出話に耽った。
京都組合では昭和8年以来、毎年読書週間のこの時期に様々な行事に取り組んできた。その内容は時代とともに変遷してきたものの、変わることのない出版文化の担い手としての誇りと感謝の気持ちから、京都組合では「図書まつり」を良き慣例として大切に踏襲し、現在は物故者法要として受け継がれている。
(澤田直哉広報委員)

業務効率化でパソコン実践教室開催/山縣組合

山形県書店商業組合(五十嵐太右衛門理事長)は9月10日、11月11日の両日、21年度組合事業「若手書店人パワーアップ研修」の一環として、「書店業務効率化のためのパソコン実践教室」を開催した。
9月10日開催の実践教室Ⅰは、マイクロソフト・エクセル2007でのデータ管理方法・計数諸表の作り方を学んだ。また、11月11日開催の実践教室Ⅱでは、マイクロソフト・ワード2007でのPOPや画像入り注文書作成など、店頭の増売に直結する販売ツールの作り方を学んだ。
受講者からは「エクセルとワードはよく使うが、最新ソフトについてはなかなか学習する機会がない。結局最新ソフト全機能の10%程度しか活用できていない。定期的な学習が書店業務効率化には不可欠」等の感想があった。また、「パソコン教室の定期的開催を」との声が多数あがった。(五十嵐靖彦広報委員)

第36回読書週間書店くじ抽選会

第36回「読書週間書店くじ」の抽選会が11月18日午後5時から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、特賞「図書カード5万円分」をはじめ各賞の当選番号を決めた。
抽選会は日書連・杉山和雄増売委員の司会で進行。冒頭、大橋信夫会長は「日書連は読書推進に力を入れている。厳しい状況の中で少しでも多く本を買っていただくため書店くじをやっている」とあいさつした。続いて舩坂良雄増売委員長が経過報告を行い、「海外旅行は今回の北京が最後。来年からは年2回、図書カードを中心に実施する。図書カードを普及し、書店店頭で使っていただくことが目的。新刊書店が振るわなければ出版業界は活性化しない。町の本屋は大変厳しい状況だが、1冊でも多くの本を売っていきたい。日書連は大橋会長の下、図書カードの普及にいっそう努力する」と述べた。
このあと抽選を行い、抽選会出席者の中から選ばれた講談社の佐藤雅伸販売促進局長ら5氏がボウガンの射手をつとめ、特等賞から4等賞まで順番に当選番号を決定。日本書籍出版協会・山下正専務理事の発声で乾杯した。
なお、賞品引き換え期間は12月5日から来年1月10日まで。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・佐藤清江

◇2歳から/『おもちゃのかくれんぼ』/くわばらのぶゆき=著/あすなろ書房998円/2009・7
さがし絵本初めの一歩です。絵本の会話を楽しみながら、おもちゃ箱に入っていたおもちゃを捜しに出かけます。2歳すぎると「発見」を喜びます。色彩も明るく、少し考えてから発見できる様に工夫されていて、最後のページまでアハ体験の連続です。幼児の手にぴったりのサイズです。

◇4歳から/『ちか100かいだてのいえ』/いわいとしお=著/偕成社1260円/2009・11
主人公クウちゃんは、ちか100かいのパーティーに誘われます。10かいごとに住人と出会いながら、ついに!ちか100かいに到着。そこには、あっと驚くパーティーが…縦型の大きい場面と、随所の細かい発見、ちかへ進むわくわく感は、文句なしに楽しめる絵本です。
◇小学校低学年向き/『ちびフクロウのぼうけん』/ノーラ・スロイェギン=文/ピルッコ・リーサ・スロイェギン=絵/福音館書店1365円/
2009・11
冬の森で出会った動物達と、何一つ同じ事が出来ず悲しくて泣いてしまう、ちびフクロウ。でも、おかあさんフクロウの一言で、自分のもっている素敵なものを知り希望に輝きます。ゆったりと流れるストーリーと、美しい描写が成長期の子ども達の心に、奥深いメッセージを伝えます。

新執行部を承認/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合は11月10日、エスカル神戸で定例理事会を開催。10月に開かれた総代会で新理事長に選出された井上喜之氏(井上書林)が執行部および各委員会構成案を提出し、可決承認された。執行部は以下の通り。○印は新任。
〔兵庫組合役員〕
▽理事長=○井上喜之(井上書林)
▽副理事長=山根金三(巌松堂書店)森井宏和(森井書房)○坂田正美(甲南堂)
▽専務理事=○春名洋志(大和堂書店)○中島良太(三和書房)
(中島良太広報委員)

1カ月に1~3回書店に/成人の実態JPICの読書調査

出版文化産業振興財団(JPIC)が実施した「読書実態と意識に関する調査」成人対象調査報告書によると、成人が書店に行く頻度は「1カ月に1~3回」が最も多く37・8%であることがわかった。また、1カ月に読む本の平均冊数は「1冊」が最も多く29・2%だった。
【1カ月に読む本3割が「1冊」】
この調査はインターネットにより実施。実施期間は7月14日~16日。有効サンプル数は1550。
1カ月に読む本の平均冊数は「1冊」(29・2%)という回答が最多だった。1冊も読まない(「0冊」)は2割以上。「5冊以上」読むのは1割だった。男女別でみても「1冊」が最多。年代別では、30代は「0冊」が27・4%で最も多かった。3冊以上読む人が多いのは60代(32・2%)で、少ないのは20代(25・6%)。職業別では、すべての職業で「1冊」が最多。2冊以上読むのが多いのは学生(56・3%)で、唯一半数以上。世帯年収別では、「0冊」は最少の1500万円以上(9・5%)と最多の300~500万円未満(28・2%)で20ポイント以上の開き。1カ月に3冊以上読むのは、1500万円以上が最も多く40・5%。最も少ないのは300~500万円未満で22・6%。
1カ月に1冊も本を読まないという回答者に、読まない理由を選んでもらったところ、トップは「仕事、家事、勉強が忙しくて本を読む時間がない」で38・1%。以下、「本を読まなくても不便はない」「読みたい本がない。何を読んでよいのか分からない」が3割を超えた。「読書が好きでない」は2割強で4位だった。男女別、年代別にかかわらず、本を読まない理由のトップ3は「仕事、家事、勉強が忙しくて本を読む時間がない」「本を読まなくても不便はない」「読みたい本がない、何を読んでいいのかわからない」だった。男女別では、「本を読まなくても不便はない」は、男性は1位で42・5%なのに対して、女性は3位で30・1%、「仕事、家事、勉強が忙しくて」は、女性は1位で45・7%に対して、男性は3位で30・4%と、大きな開きがある。年代別では、20代は「読みたい本がない」(45・9%)、「仕事、家事、勉強が忙しい」(45・9%)が他の年代に比べて相対的に多く、「本を読まなくても不便はない」が他の年代に比べて若干少ない結果。
【1カ月の書籍購入代2560円】
読みたい本の入手方法は、「書店で購入する」が8割強でトップ。「図書館で借りる」「ネット書店で購入する」「チェーンの古書店で購入する」が続いた。男女別、年代別では1位「書店で購入する」、2位「図書館で借りる」、3位「ネット書店で購入する」、4位「チェーンの古書店で購入する」で変わらない。男女で差が大きかったのは「図書館で借りる」で、女性が男性を15ポイント以上上回った。年代別でみると、20代の5割以上が「書店で購入する」、60代の3割以上が「図書館で借りる」が、それぞれ他の年代に比べて高い。
1カ月に本の購入に使う平均金額は2560円。購入先別では「書店での購入」(1309円)、「ネット書店での購入」(712円)、「チェーンの古書店での購入」(325円)など。合計金額は男性(2896円)が女性(2219円)より700円近く多いが、「チェーンの古書店」や「ネット書店」では差は大きくない。20代は「書店」、30代は「チェーンの古書店」「ネット書店」、60代は「古書店」での購入額が相対的に大きい。金額分布をみると、約7割が3千円未満。5千円以上使う人は14%、1万円以上は5%に過ぎなかった。
本の情報を得る情報源は「書店で立ち読み」が6割近くで圧倒的トップ。2位、3位は「新聞の広告」(45・6%)、「新聞の記事や書評」(37・8%)で、全般的に本の情報源として新聞を重視する傾向が見られる。男女で10ポイント以上差が出たのは、「書店の手書きの推薦文」「本の巻末などにある関連書籍紹介」「家族」「友人・知人」で、いずれも女性が重視。「新聞の広告」「新聞の記事や書評」は高年代ほど情報源として重視。逆に「書店のポスター」「書店の手書きの推薦文」「立ち読み」は年代が低いほど重視する傾向にある。
【年代低いほど書店に行く傾向】
書店に行く頻度については、トップは「1カ月に1~3回」(37・8%)。次いで「1週間に1・2回」(25・8%)、「1カ月に1回未満」(25・2%)。「書店に行く事はない」は4・6%にとどまった。男女、年代別でみても、「1カ月に1~3回」がトップ。年代別では、年代が低いほど書店に行く頻度が高くなる傾向がある。1カ月間に最低1回は書店に行く人の比率は、20代79・0%、30代75・5%、40代71・3%、50代65・8%、60代59・0%。
立ち寄りたいと思う理想の書店は、「立ち読みしやすい雰囲気の書店」(40・8%)が圧倒的トップで、以下「店内が明るくてきれいな書店」「書店員の手書きのPOPが掲出されている」「書店員の対応が丁寧な書店」「本の購入に応じてポイントが付き、ポイントに応じた特典が受けられる」が1割を超えた。
書店への不満や改善してほしいことのトップ2は「本が探しにくい」(55・7%)、「本の品揃えが悪い」(47・1%)だった。性別、年代別では顕著な差異はないが、60代は「本の品揃え」には相対的に不満は少なく、「書店員の本に対する知識不足」には他の年代に比べて不満が大きい。「特に不満はない」は全体では2割弱。20代は全体平均より「不満はない」はやや少なく13・1%、逆に60代は全体平均より多い25・1%。
書店に欲しいサービス・付帯設備・商品については、「ベンチやソファ」(57・7%)、「読み終わった本の買取サービス」(48・9%)が圧倒的に多い。次いで「ロッカーや荷物の一時預かり」「ドリンクサービス」が2割を超えた。男女別では「ベンチやソファ」と「買取」は女性が多い。年代別では、20代は「ベンチやソファ」「ドリンク」、30代は「託児施設」、50代は「買取サービス」が相対的に多い。

地元に根ざした個性的な店作り/横浜市・岩下書店

横浜から京浜急行線で20分ほど。金沢文庫駅近くのショッピングセンター「バザアル金沢文庫」3階にある岩下書店は、「地元才能発掘書店」をコンセプトに掲げるユニークな店作りが注目を集める本屋だ。地元・金沢文庫の魅力を情報発信する取り組みを、岩下寛治さんと雅紀さん親子にうかがった。
〔オリジナルの地図が話題に〕
横浜市金沢区は、金沢文庫をはじめ中世からの文化史跡が数多く残る土地である。風光明媚な場所としても名高く、金沢八景は歌川広重など多くの浮世絵師が題材にした。今も文化人や歴史研究家、芸術家のゆかりの深い土地だ。
岩下書店が金沢文庫に創業したのは昭和47年9月。岩下寛治さんは静岡市中心部にある書店に生まれた3代目で、父・長次郎さんの業務を助け、「外商の岩下」とその手腕が高く評価されていた。独立を考えていた頃、金沢文庫で開店するショッピングセンターが書店の出店者を探しているという話があり、未知の土地へ行くことを決断した。現在4代目として共に店を切り盛りしている息子の雅紀さんは、その年の3月生まれ。開業当時は雅紀さんが眠る揺りかごをレジ下に置いて商売をしたという。
雅紀さんは大学卒業後、洋服の量販店に就職したが、1997年に寛治さんに求められて家業を継いだ。「家と店が離れていたから、店の手伝いはしたけれど父が体験したほど書店にどっぷりとは浸からなかった。商人としての体験を享受できなかった反面、外からの視点で本屋をとらえられたことは良かったと思う」と雅紀さんは話す。
岩下書店が掲げる「地元才能発掘書店」のコンセプトは、当初からあったものではない。2005年に「バザアル金沢文庫」がリニューアルするのに併せて店の改装を行った。雅紀さんは「ウチの店ならではの特色が欲しいと考え、たどり着いたのが地元金沢区だった」と振り返る。
頭に浮かんだのは、地元の郷土史家・楠山永雄氏が自費出版した『ぶらり金沢散歩道歴史・伝説・民話を歩く』という本。寛治さんは店に持ち込まれたこの本を見て売れると判断。60部置いたところ、1週間もしないうちに全て売れた。同書はその後も売れ続けて岩下書店のベストセラーになっている。「地元の人だからこそ、住んでる地域のことを知りたいんだと気づいた」と雅紀さん。
そこで、店のシンボルとして本を読む蝦蛄(しゃこ)の家紋を作成した。2代目・長次郎さんは、江戸日本橋の生まれで魚問屋の出身。また、金沢の海で取れる蝦蛄は江戸前の特産品であったことから、モチーフに採用した。「先代の想いを忘れず、金沢の名産を本を通じて数多く生み出したい」という気持ちが込められている。家紋をデザインしたTシャツが人気を集めるなど、店の認知度アップに大きく貢献した。
また、地元に根ざしたオリジナル商品を、との考えから企画したのが「金沢文庫パノラマ鳥瞰地図」だ。名古屋市のデザイナー・安楽雅志氏と知り合ったことからアイデアが生まれ、2007年に製作した。地元金沢を中心として、東はみなとみらいや東京タワー、西は鎌倉、江ノ島などが一望でき、なぜか東京湾には黒船が来襲。富士山から京都、果てはロシアのウラジオストクや韓国の釜山まで登場する、楽しさ満載の地図だ。3千部を製作して累計2千部を売るヒット商品となり、テレビ、新聞等から取材を受けるなど、宣伝効果も抜群だった。
〔横浜市の地域貢献企業に認定〕
店内は、書籍、雑誌、コミック等の棚に加え、金沢を中心に横浜、湘南にちなんだ文芸作品、ガイド、郷土史などの出版物がひしめく地元関連書コーナーが圧巻だ。オリジナルグッズを販売する「蝦蛄商店」、雅紀さんがセレクトした音楽関連本などが並ぶ「四代目俺の店」コーナーの個性も光る。また、地元で活躍するアーティストたちの商品を委託販売したり、イベントの告知・チケット販売を行うなど、活動をバックアップしている。
地元に密着したこれらの取り組みが評価され、2007年に横浜市から「横浜型地域貢献事業」の対象企業に認定された。この制度は、地域貢献活動や、地域に目を向けたCSR(企業の社会的責任)活動を行う企業を支援することを目的としており、相模鉄道や横浜信用金庫など大企業と並んでの認定だった。
岩下書店の今後の取り組みについてうかがうと、寛治さんは「私には本屋は生業という頭があるが、息子は、やるからにはビジネスって考えるからね。『ここが悪い』なんてことばかり言うから、意見が合わなかったりするんだけど、もう任せているよ」と笑う。雅紀さんは「本屋という商売を使って何をやるのかというイメージでアプローチしていかないといけない。でも、このお客さんならこれを買うな、というのを積み重ねていくことが今は大事。売れる本をしっかり置いて売るという、ベタベタの本屋として必要なことを今はどれだけやるかが課題です」と話してくれた。

全国2百書店でランナー応援フェア/トーハン

トーハンは、ランニング関連書を集めた「ランナー応援フェア」を11月中旬から全国2百書店で開催中。
来年2月開催の「東京マラソン2010」に31万人の応募が集まるなど、空前のランニングブームが到来している。このフェアは、冬場のマラソンシーズンを前に、ランナー向けのトレーニング書など売行き良好書5冊を揃えて展開。対象商品に巻かれた専用帯の応募券を切り取って応募すると、合計60名にプレゼントが当たる読者向けキャンペーンを行う。
プレゼントは、ウエストバッグやエクサミュージック無料ダウンロードクーポン。エクサミュージックは、㈱エクシングのジョギング用音楽配信サービスで、自分の好きな音楽を、その運動に合ったリズムに変換し音楽データとして配信するもの。

藤原直理事長を再選/書店の売上減少に歯止めを/宮城総会

宮城県書店商業組合(藤原直理事長)は11月15日午後2時より、仙台市太白区秋保温泉「岩沼屋旅館」で第28回通常総会を開催し、組合員99名(委任状含む)が出席した。
総会では、小関真助副理事長(かほく書店)の開会の辞に続き、あいさつした藤原直理事長(金港堂)が、組合員に対し日ごろの組合活動への力添えに深い感謝の意を表すとともに、日書連の活動を報告した。
藤原理事長は、中小書店の営業環境は厳しい状態にあると話した上で、日書連の活動として、読書推進や取引改善に努力していると説明。消費税問題については、民主党への政権交代によって向こう4年ほどは現行のまま行くであろうが、組合として書籍の低減税率を求めていきたいとした。また、現状の書店の売上減、組合の会員減に対し、いかに歯止めをかけていくかという活動として、朝の10分間読書・ブックスタート・読み聞かせの促進による読書推進や、35ブックスの責任販売制商品の取り組みを述べた。
取引問題では、取次に送品・返品同日精算の要請を引き続き粘り強く行っていくとした。また出版社有事の際の返品問題や、現状の書店売場商品回転率の低下に合った支払いサイトの交渉も行っていきたいと述べた。このほか、情報化推進の一例として全国11店舗で試験運用している「ためほんくん」をあげ、全国展開と売場の活性化に期待すると語った。
続いて藤原理事長を議長に指名して議案審議。第1号議案の平成21年度事業報告・決算報告では、宮城の100冊リスト作成に対して協力の御礼を述べた。第3号議案の平成22年度事業計画案・予算案は米竹隆会計理事(米竹書店)が予算を説明、藤原理事長が補足として、仙台市職員互助会図書券の復活へ向け交渉を行っていると説明した。
第6号議案の定款変更の件については、役員定数を現在の30~35名から25~30名へ変更するほか、文言の言い回しの訂正などを資料をもとに説明、理事会で審議済みとして承認を得た。第7号議案任期満了に伴う役員改選では、藤原直理事長の留任を決定、別掲の役員を決めた。
議事終了後、永年勤続者表彰が行われ、本年度表彰者6名を代表して佐々木陽子氏(ヤマテル)が理事長から表彰を受けた。
最後に版元・取次・運輸各社研修会と題して、出席各社が持ち時間1分で新企画・営業施策などの説明を行った。
(佐々木栄之広報委員)
宮城組合役員○新任
▽理事長=藤原直(金港堂)▽副理事長=○菅原正敏(興文堂書店)○須田善光(オルモ)小関真助(かほく書店)▽専務理事=塩川久治(塩川書店)▽会計理事=米竹隆(米竹書店)

2010年栗田新春あいさつの会は中止

栗田出版販売は、毎年恒例の「栗田新春あいさつの会」について、新型インフルエンザの感染拡大を懸念し、2010年は開催を中止することを決定した。

人事

★東洋経済新報社
東洋経済新報社は11月10日に開いた取締役会で、12月22日開催の定時株主総会および取締役会に提案する取締役の新陣容を、以下の通り内定した。○新任。
代表取締役社長
柴生田晴四
常務取締役マーケティング局長小林勉
CIO兼取締役総務局長兼社長室長兼コンプライアンス室長(CIO)
横澤達雄
取締役編集局長兼WEB事業室長山縣裕一郎
取締役データ事業局長兼新事業準備室長駒橋憲一
取締役出版局長
○川島睦保
監査役(取締役広告局長)
勝呂敏彦
監査役加藤丈夫

ディズニー映画関連書の増売企画/日販

日販は、ディズニー/ピクサー映画最新作「カールじいさんの空飛ぶ家」(12月5日公開)とディズニー映画最新作「ティンカー・ベルと月の石」(12月23日公開)にあわせ、関連書籍増売のオリジナルフェアを展開する。
この企画は、ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱の映画配給部門「ウォルトディズニースタジオモーションピクチャーズジャパン」の協力を得て実現したもの。販促ツールとしてB2映画ポスター、B5チラシ、日販オリジナルPOPを、フェア参加書店約6百店に送付。併せて、偕成社、講談社、竹書房、インフォレストの協力を得て、公開に向けて出版される、両映画の関連書籍新刊を参加書店に送品する。

本屋のうちそと

4年ほど前から右手小指の先に血豆のようなものができている。爪と肉の間で2ミリほどの大きさ。皮が薄くピンクに透けて見える。爪を切る時に注意していないと傷つけてしまい、一度出血すると止まらないのも気になっていた。
皮膚科の医者は黄色いシリコンの手袋をはめながら、「どうしました」と聞く。それだけで血圧が跳ね上がった。診察台に乗せた右手がライトで照らされる。診察結果は「血管腫」だという。ていねいにメモに書いてくれた。なぜ血管腫ができるか原因はわかっていないが、悪性のものではないらしい。
これを除去するためには手術と液体窒素の方法がある。手術は指に麻酔注射を打って、爪もはがす。指先には神経が通っているから少し痛いという。医者が少し痛いというのは経験的に相当痛いということだろう。
液体窒素の方は零下2百度とかで固めて少しずつ除去する方法。1カ月に2回、合計4、5回治療する。これも「多少痛い」という。まいったね。液体窒素で固めるなんて、ターミネーターの悪役ロボットなみだ。
放置するとどうなのか聞くと、「悪性じゃないからそれでもいいですよ」とのこと。気色悪いだけで、痛みもないからしばらく様子を見ることにした。異物というだけで、排除する思想は不健全かもしれない。
(仕分人)