全国書店新聞
             

平成21年12月11日号

新年号の原稿募集

本紙では1月1日号、11日・21日合併号の新年企画として、皆様からの原稿を募集しています。テーマは以下の通りです。
①新年の抱負、②私のリラックスタイム、③国民読書年―読書推進のアイデア、④年末年始の過ごし方、⑤印象に残ったお客様、⑥自由題。
原稿は800字以内。住所、店名、氏名を明記して下さい。採用分には記念品を進呈します。原稿締切は12月21日(月)。

新刊試し読みプロジェクト始動/東京電子サイト委

東京都書店商業組合は12月2日午後3時から書店会館で定例理事会を開いた。主な審議事項は以下の通り。
〔電子サイト運営推進委員会〕
11月17日、ACCESS本社で第3回企画推進チーム全体会議を開催し、2つのグループ編成を行った。また、新刊試し読みプロジェクトが始動。出版社に働きかけ、数多くの新刊情報をいち早くブッカーズのサイトで宣伝。一部立ち読みができるコーナーを設置し、近くの書店で購入できる仕組みを考える。
〔万引・出店問題委員会〕
理事会当日午前に開かれた「東京万引き防止官民合同会議」の第1回会合に大橋理事長と三浦委員長が出席。大橋理事長は「万引きによって廃業に追い込まれる書店もある」と深刻な状況を訴えた。
〔事業・増売委員会〕
第3回「読者謝恩図書カード」第2次販売が12月3日よりスタート。図書カードの額面5250円。発行枚数1万2千枚のうち、1次販売ですでに5千枚を販売している。
〔総務・財務委員会〕
平成22年新年懇親会は1月14日午後5時半から東京ドームホテルで開かれる。また、第34回通常総代会の日程が5月21日(金)から同20日(木)に変更となった。

全件届出へ取り組み強化/東京万引き防止官民合同会議

警視庁は12月2日、東京都書店商業組合をはじめとする業界団体、関係団体、東京都、東京都教育庁とともに「東京万引き防止官民合同会議」の第1回会合を開催。都内小売業の万引き被害額は年間約670億円にのぼることを明らかにし、全件届出に向けた取り組み推進強化などを謳った「万引きをしないさせない見逃さない」共同宣言を発表した。
同会議は警視庁21名、東京都10名、東京都教育庁5名、業界団体17団体、関係団体18団体によって構成。万引きに関する総合的な対策を推進するため、警察、行政、各業界団体等が連携して発足したもの。各地域で商店街、自治体、関係団体等で構成する「万引き防止連絡会」とも連携し、官民を問わない社会総ぐるみでの取り組みを展開することで、「安全・安心な街、東京」の実現を目指す。
会合の冒頭、参加者を代表して日本小売業協会の中村胤夫会長が「万引きをしないさせない見逃さない」共同宣言(別掲)を読み上げ、①社会総ぐるみの取り組みの展開、②万引きをさせない環境整備の推進、③全件届出と感銘力のある措置への努力――を関係者とともに誓った。
米村敏朗警視総監は「犯罪全体に占める万引きの割合は著しく増加している。少年だけでなく成人、高齢者による犯行も増加。経済的損失の観点からも深刻な状況にある。万引きはゲートウェイ犯罪。先々重大な犯罪につながる恐れがある。たかが万引きという意識を払拭し、万引きは犯罪であるという当たり前のメッセージを繰り返し発信していきたい。全件届出を徹底し、2度とさせない措置を講じることも必要。万引き対策は治安の本質的課題。社会総ぐるみで重点的に取り組みたい」とあいさつした。
業界団体を代表して取り組みを説明した東京都書店商業組合の大橋信夫理事長は「万引きをゲーム感覚でやられてはたまらない。廃業に追い込まれる店もあり事態は深刻。たかが万引きという風潮もあるが、一丸となって万引きは許さない社会を作りたい。万引き犯の心のケアも大切だが、小売業者が万引きの商品ロスにより苦しんでいることをご理解いただきたい」と強く訴えた。また、日本チェーンドラッグストア協会は「棚の商品を丸ごと万引きされ、1回の被害が多額になることもある」と話した。
なお、今後は同会議の下に総務委員会、広報委員会、調査研究委員会、防犯設備委員会、教育研究委員会を設置し、防犯対策、学校での道徳教材作成、万引き防止のためのシステム整備・開発などについて検討していく。

「万引きをしないさせない見逃さない」共同宣言
私たち「東京万引き防止官民合同会議」参加団体は、「たかが万引き」とする社会の風潮に警鐘を鳴らし、人々が万引きに手を染めないように社会の意識を高めるとともに、万引きを許さない社会環境をつくるため、協働して万引き防止対策に取り組むことに合意し、「万引きをしない・させない・見逃さない」ことをここに宣言致します。
1、社会総ぐるみの取り組みを展開します。
万引き防止対策は、警察、行政はもとより小売店舗、家庭、学校、地域住民、ボランティア、関係団体等が力を合わせ、「万引きは絶対に許さない」という社会全体の機運を高め、社会総ぐるみの取組みを展開します。
2、万引きをさせない環境整備を推進します。
被害者となる小売店舗においては、企業の社会的責任という観点から、積極的な店員の声かけ、商品の効果的な陳列等「万引きしにくい店舗づくり」に努めるなど、万引きをさせない環境整備を推進します。
3、全件届出と感銘力のある措置に努めます。
万引きは、ゲームではなく犯罪です。「初めてだから大目に見よう」という温情主義を払拭し、「全件届出に向けた取組み」を強力に推進するとともに、それぞれの立場で二度と万引きに手を染めない感銘力のある措置を講ずるように努めます。

今井書店など受賞/菊池寛賞

第57回菊池寛賞の授賞式が12月4日午後5時からホテルオークラで開かれた。今年の受賞者は作家の佐野洋、本木雅弘と映画「おくりびと」制作スタッフ、坂東玉三郎、今井書店グループと「本の学校」、蓬田やすひろ、高見山大五郎の各氏・団体。
日本文学振興会平尾隆弘理事長から正賞の置時計と副賞百万円が手渡されたあと、選考委員の東海林さだお氏は「菊地寛賞は民間が選ぶ国民栄誉賞。上から目線でない、アットホームな賞が長く続くことを祈念する」と述べた。
受賞者のうち、「生涯読書の推進」「出版界の明日を問うシンポジウム」「業界書店人研修」などの努力が評価された今井書店グループ田江泰彦社長は「『本の学校』を開校して15年たつが、地域の書店がどんどんつぶれ、状況はますます悪くなっている。これと歩調を合わせてコミュニティが崩れていく。受賞で勇気を与えられ、背中を押された感じがする。社員や地域の読者の皆さんとともに受賞を喜びたい」と御礼の言葉を述べた。

大賞にNTTドコモ/講談社広告賞

「読者が選ぶ講談社広告賞」の入賞社が決まり、12月7日午後5時から東京・日比谷の帝国ホテルで贈賞式が行われた。
広告大賞には男性誌・情報誌部門では『クーリエ・ジャポン』5月号掲載のNTTドコモ、女性誌部門では『グラツィア』4・5月号に掲載したティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン

催し

◇富士山と近代日本画家たち
講談社野間記念館は1月16日から3月7日まで、重要文化財「古谿荘」竣工百年を記念し「富士山と近代日本画家たち」を開催する。古より信仰の対象、自然美の象徴として日本人の心に刻まれてきた富士山。今回の展示では昭和3年、「霊峰富士山大展覧会」に寄せられた木村武山、川端龍子、川合玉堂らの色紙「富士百趣」など野間コレクションの佳作を展示する。
古谿荘は明治42年、田中光顕伯爵が建てたが、昭和11年、講談社野間清治氏の所有となり、太平洋戦争中、空襲を避けて多くの絵画が移された。平成17年に重文に指定され、図面、写真パネルなどで紹介する。

2月に万引研修会/埼玉理事会

埼玉県書店商業組合(水野兼太郎理事長)は11月26日、さいたま市の須原屋外商本部会議室で理事23名が出席して理事会を開催。理事会は山口事務局長の司会で進められ、水野理事長のあいさつのあと議事に入った。
報告事項では、①読書週間書店くじは埼玉県の目標枚数13万7千枚に対し実績は7万1500枚と組合員減少に伴い年々減少の傾向にある、②県内の各児童福祉施設に児童図書6百冊程度を寄贈するなどが報告された。
日書連報告では、①来年4月20日から30日まで実施する「春の書店くじ」実施要綱について紹介があり、積極的な申込みをお願いする、②年末年始発売日および来年の夏期統一休暇の日程、③全国広報委員長会議は出席した石川委員長から報告があった。
埼玉県組合の活動では、平成21年度収支計算中間報告を了承。研修会については根岸委員長より来年2月8日に浦和警察署から講師を招き、「万引き防止から事後処理まで」のテーマで実施することが報告され出席の呼びかけがあった。会場はさいたま市の浦和ワシントンホテル。
各議案を全会一致で了承したあと、場所を移して忘年会を行った。
(石川昭広報委員)

万引防止対策で講習/伊勢警察署安全課長ら迎え/三重総会

三重県書店商業組合は11月22日、伊勢市の「かぐらばリゾート千の杜」で第24回通常総会を開催し、組合員52名(委任状含む)が出席した。
総会は木村理事の司会で始まり、作田理事長があいさつ。議長に鈴木理事を選任して第1号議案から第6号議案まで原案通り承認した。岡森理事からは「本に限らずあらゆる商材を見つけ、協力して仕入れ、販売していきたい」と力強い呼びかけがあった。
休憩の後、伊勢警察署安全課長により「書店による万引き防止対策について」とする講習会が行われ、最近のデータ、地域に密着した警察の対策など興味深い話を聞くことができた。
続いて、昭和図書の大竹・岡野両氏により「責任販売制とICタグ活用の現状・今後」として講習会が行われた。大竹氏は出版業界の現状を説明した上で「ICタグにより取引条件の識別が可能となり、責任販売制と委託販売制の併用が可能になった。責任販売制で書店はマージンが上がり、出版社は返品が劇的に減少する。万引き防止にも効果は大きい」と述べた。岡野氏からはICタグは1枚40円かかり、普及にはより廉価なタグが求められるとした。
(磯田智広広報委員)

組合員の協力方に感謝/ブロック大会成功を報告/秋田総会

秋田県書店商業組合は11月19日午後3時より秋田県横手市あいのの温泉鶴ヶ池荘で第23回通常総会を開き総数35人(委任状含む)が出席した。
総会は高堂晃治専務理事の司会、開会宣言で始まり、和泉徹郎理事長があいさつ。日書連報告を行い、「全国的に廃業に歯止めが止まらない。秋田県も例外ではなく、このままでは将来組合の運営・維持に影響がでる。本部の資産問題では本部の早急の決断がほしいところだ」と述べたほか、返品入帳問題、日書連マークの更なる推進、組合財政強化の今後の方針などの説明を行った。
議長に和泉理事長を選出し、平成20年度事業報告、同・収支決算書、平成21年度事業計画案、同・収支予算書案などすべての議案を原案通り承認可決した。
事業報告では昨年の日書連移動理事会に続いて、7月に秋田で書店東北ブロック大会が成功裏に終わったことに触れ、「理事・組合員・理事家族の協力のもと無事終了することが出来た。一家族の方には多大な御尽力を頂き感謝の念に耐えない」と組合員の協力に感謝を述べた。
新年度事業計画では①日書連マークの推進、②世界国際読書年を足掛かりに更なる読書推進、③返品入帳の短縮、④組合財務の強化
などの活動方針を了承した。役員人事では木村・荒川両理事が辞任した。
総会終了後、参加のトーハン・日販・NHK出版・小学館PS・ベネッセ・講談社より挨拶と一押し図書の紹介を頂いた。
(石川信広報委員)

生活実用書/注目的新刊

有名タレントが目上のアメリカ人プロデューサーに向かって、「マジっすか!」という相づちを連発するのをテレビで見た。通訳は「Really?」と訳していたので別にどうということはなかったが、聞き苦しいものだった。「~ですか?」をつければ丁寧語になると思ったら大間違いである。目上の人に敬語や丁寧語を使うことは、最早、今の日本では無理なことなのだろうか。というわけで今回は「敬語」。
本郷陽二著『仕事ができる人の敬語の使い方』(PHP文庫ほ―11―7590円)はビジネスで欠かせない敬語を具体例と共に紹介する。たとえばお疲れ様とご苦労様。立場や年齢が上の人が言っていいのはご苦労様。逆ならお疲れ様でした、となる。かろうじて可なのは「このたびは、本当にご苦労さまでした」という言い方だが、ご苦労様は失礼ではないものの、上から目線の印象は拭いきれないのである。また、お店で「ねえ、ちょっと、○○頼んだんだけど、まだかなぁ」も店員を見下していて品格に欠ける。もっとも、中には客に失礼な店もあるからお互い様とも言えるが、だからこそ、正しい言葉が必要なのだ。
矢橋昇著『この一冊で敬語がわかる』(三笠書房知的生き方文庫や13―6533円)も日常の言葉づかいから実例をピックアップする。最近、店で注文を告げ終わった時に、「以上でよろしかったですか」と、よく耳にする。「よろしいですか」でいいのに妙な言い方で好きになれないと著者は言う。若者なりの丁寧な言い方、地方の方言説があるというが、これは名古屋周辺で普通に使う言葉。本書でもお疲れ様とご苦労様が取り上げられている。これを間違って使う若者が多いということだろう。
上司の信頼を失う言葉では呼ばれた時に「何かご用ですか」。これでは思わず、用があるから呼んだんだと、怒鳴られても仕方がない。「何のご用ですか」が正解。日常のかかわりの中で、相手を気づかい、心をこめれば、自然に口をつくのが敬語なのであると著者は語る。
金井良子著『これが正しい敬語です』(中経の文庫か―8―1495円)も文庫つながりで紹介したい。いずれの本も大人でもついうっかりな言葉が結構ある。
(遊友出版・斎藤一郎)

日書連のうごき

11月4日公正取引協議会等の概要調査説明会に影山公取協専務理事が出席。
11月5日出版平和堂委員会に石井総務部長が出席。九州雑誌センター取締役会に大橋会長が出席。
11月6日春のくじ特賞「北京4日間の旅」出発。出版クラブ運営委員会に大橋会長が出席。第39回野間読書推進賞贈呈式に石井総務部長が出席。
11月11日第31回出版物輸送懇談会に梅木常任委員が出席。図書館サポート委員会。
11月12日「ためほんくん」出版社との打合せ。
11月16日出版倫理協議会に石井総務部長が出席。
11月18日ゴマブックス問題でトーハン、日販と意見交換会。各種委員会(出版販売年末懇親会、増売、読書推進、組織、共同購買・福利厚生、指導教育、取引改善、広報、消費税、再販研究、財産運用、政策)。読書週間書店くじ抽選会。
11月19日定例理事会、ICタグと中古販売の勉強会(講師=JPO永井祥一氏)。物流研究準備委員会でトーハン、日販と意見交換会。ISBN第4回マネジメント委員会に小沢事務局員が出席。
11月20日日本出版インフラセンター運営委員会に大川専務理事が出席。第18回山本七平賞贈呈式に大橋会長が出席。
11月25日正副会長会。日本出版クラブ理事会、JPIC理事会に大橋会長が出席。雑誌発売日本部・実行委員会に藤原副会長ほか出席。公取協月例懇談会に公取協影山専務理事。
11月26日創立80周年記念玉川学園の集いに大橋会長出席。春の書店くじ印刷会社オリエンテーション。子どもの読書推進会議下半期運営幹事会に大川専務理事が出席。出版業界4団体で構成する流通改善協議会に岡嶋理事が出席。文化産業信用組合定例理事会に大橋会長が出席。
11月27日朝日新聞社出版懇親の夕べに大川専務理事が出席。第2回子どもとことばの力09フォーラムに石井総務部長が出席。
11月30日子どもゆめ基金の存続を求める国民集会に大川専務理事が出席。日本図書普及役員会に大橋会長ほか役員が出席。

前年同期比で94・62%/09年上期ABCレポート

日本ABC協会は2009年上半期雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載した49社156誌の前年同期比指数は週刊誌92・39%、月刊誌95・61%で、合計では94・62%となった。このうち主要52誌の販売部数を一覧にしたのが別表。
総合週刊誌は、部数トップの『週刊文春』が3万3千部減の48万6千部、2位の『週刊新潮』が3万2千部減の41万4千部となるなど、08年下期から部数を減らす銘柄が多かった。『週刊ポスト』は2万8千部減の26万9千部、『週刊現代』は2万2千部減の22万7千部と退潮に歯止めがかからず。新聞社系では、『週刊朝日』が7千部減の16万7千部。『サンデー毎日』は9千部増の7万8千部と若干上向いた。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が6千部減の11万4千部。『週刊東洋経済』は1千部増の9万4千部となり、2005年上期の6万9千部を底に右肩上がりが続いている。『プレジデント』は9千部減の19万2千部、『日経ビジネスアソシエ』も9千部減って6万部だった。
女性週刊誌は、前期は3誌とも横ばいか微増だったが、今期は『女性セブン』が1万5千部減の28万8千部、『女性自身』が1万1千部減の27万5千部、『週刊女性』が1万1千部減の18万4千部と、いずれも低迷した。
女性月刊誌では、大幅減が続く『CanCam』が11万1千部減の23万5千部と、部数を前期の3分の2に減らした。前期好調だった『ESSE』は5万5千部減少して39万1千部、『サンキュ!』は2万5千部減の32万4千部だった。

絵本ワールドin兵庫に約4千人

「絵本ワールドinひょうご2009」が11月14日と15日の両日開催された。会場は、昨年に引き続き神戸海星女子学院大学。
初日は長野ヒデコ先生、2日目は角野栄子先生の講演会を中心に、人形劇や紙芝居・お話会ほか数々のワークショップが開かれ、親子約4千人が集まった。
両日の収益はおよそ130万円で、昨年と比べて微増となっている。
(中島良太広報委員)

「子どもゆめ基金」の存続を/国会議員、出版関連団体などが集会

行政刷新会議による事業仕分けで「子どもゆめ基金」と「子どもの読書活動推進事業」の廃止方針が打ち出されたことについて、国会議員や出版業界、ボランティア関係者による「『子どもゆめ基金』の存続を求める国民の集い」が、11月30日午後2時から千代田区永田町の参議院会館第一会議室で行われた。
この集会は、「子どもゆめ基金」を考える各界連絡会(肥田美代子代表)が主催し、日書連、書協、雑協、取協、児童出協、全国学校図書館協議会、子どもの読書推進会議などが後援するもので、185名が出席。基金の存続を求める緊急アピール(別掲)を発表し、集会後に川端達夫文部科学大臣に提出した。
集会では始めに、基金の創設を提唱した「子どもの未来を考える議員連盟」の河村建夫会長が、「事業仕分けを見ると『効果が充分見えない』『これは国がやるべきことなのか』という指摘があったが、これは非常に浅い見方だ。子ども読書活動推進法や文字・活字文化振興法が順調に来ており、ボランティアの方が全国で展開されている読書運動を、この基金が下支えしている。その評価がまるでなっていない。国民の声として、これは問題だという指摘が必要だ」とあいさつした。
肥田美代子代表は「費用対効果の面から本気で廃止するような流れになっている。気持ちを一つにしてこの流れを食い止めなければいけないと思い、皆様に声をおかけした」と会の趣旨を説明。
日本ペンクラブの阿刀田高会長は「私たちは言葉を知ることによって知識を深め、ものを考えることを覚え、人間としての自分を確立していく。その言葉を身につけるために、若い人の読書は大切だ。このところの数十年で、日本語に対する知識、関心、愛情といったものが薄れてきているように思う。基金が効果を発揮し始めているのに、これをなくしてしまったら大変なことになる。読書推進に携わっている方たちは、このことで利益を得ようなどとは考えず、むしろ自腹を切って知恵を絞りながらいろいろな活動をやっている。そこに資金が注入されて役に立っているという現実は非常に尊いことだ。この問題は、他と比較した相対的な評価ではなく、次世代の子どもたちに関わる絶対的な価値観で考えるべき問題だ。心を育て、人間を豊かにしていくという、静かに広がっていく力を培うものとして、この基金が存続することを願っている」と述べた。
前文部科学大臣の塩谷立議員は、「子どもに将来の夢をということで多くの団体がさまざまな事業を展開している。私自身もそういう事業に携わってきたので、この基金がいかに有効に使われてきたか充分承知している。今回の仕分けがどういう基準で行われたか明確でないし、個々の団体が本当にわずかな助成金で頑張っていただいているのを切られてしまうというのは、全く情けない話だ。一致団結して存続し、もっと発展させるべき事業だと思っている。日本の将来にとって大事な基金なのでしっかり戦っていきたい」とあいさつした。
このあと、全国各地で読書活動や体験活動を行っているボランティア団体の関係者から、「子どもゆめ基金がなくなれば自然体験活動の経費が参加者負担になり、払えなくなる子どもも出てくる」「紙を買うお金を出すのも大変という小さな団体なので、基金は本当に助かっている。なくなれば、子どもたちの目を輝かせる体験をさせてあげられなくなる」などの意見が述べられた。
【緊急アピール】
2000年「子ども読書年」を機に、超党派の「子どもの未来を考える議員連盟」が提唱して創設された「子どもゆめ基金」は、未来への投資として国民に歓迎され、いまや地域の読書活動や体験活動を推進する上で、重要な役割を果しています。
「子どもの読書活動推進法」と「子どもゆめ基金」は、この間、車の両輪として学校における一斉読書活動をはじめ、読書の町づくりや読み聞かせ、乳幼児に絵本を贈るファーストブックや家庭読書、自然体験など子どもの人間的な成長に必要な学校内外のさまざまな活動を育ててきました。
こうした動きを背景に、2008年6月、衆参両院は2010年「国民読書年に関する決議」を全会一致で採択し、その決議文において、読書は読解力や言語力の向上に欠くことのできないものとして明確に位置づけ、読書活動の飛躍的な発展をめざすことを宣言しています。
今回の行政刷新会議の「子どもゆめ基金」及び「子どもの読書活動推進事業」に関する廃止方針は、およそ20年にわたって、子どもの読書環境に尽力してきた立法府の努力や、全国のボランティアたちが培ってきた草の根運動に冷水を浴びせるものであり、私たちは政府に対し、廃止方針の撤回と「子どもゆめ基金」の存続を強く求めます。
右、アピールする。
2009年11月30日
「子どもゆめ基金」の存続を求める国民の集い

人事

(◎昇任、○新任)
★有隣堂
11月24日開催の定時株主総会並びに取締役会で左記の役員を選任した。
代表取締役社長
松信裕
専務取締役〔官需営業部・オフィス営業部・書籍外商部・管理本部・労務担当〕◎桑原康高
常務取締役〔店舗事業本部担当〕渡辺泰
取締役〔店舗事業本部長〕
○小沢真二
常勤監査役猿渡二三夫
監査役遠山悌二郎
同吉川晋平
※宮出幸夫取締役は顧問に就任、高木明郎取締役は執行役員となりマルタン代表取締役社長に就任した。
執行役員〔㈱マルタン代表取締役社長〕○高木明郎
同〔管理本部本部長〕
堀和人
同〔管理本部人事総務部長〕進藤哲夫
同〔オフィス営業部長〕
藤本和伸
★草思社
10月26日開催の臨時株主総会並びに取締役会で左記の通り役員改選を行った。
代表取締役社長
古内敏章
取締役会長○八田康
専務取締役若林孝文
取締役編集長藤田博
取締役営業本部長
渡辺直之

「声」/取次は新時代に沿った流通の確立を/堺市・まるよし書店・江副良治

外商で何とか持ちこたえていたのに、昨年単車で交通事故を起こし、家の子どもたちに「歳も歳だし廃業したら」と、強制的に在庫を徹底的に返品された。店売と付近の一部の配達だけで、店売も暇になった。永年地域にお世話になったのでお返しのためにもと、付近の子どもたちに読み聞かせをしたり、竹トンボやブンブンゴマから始まって、だんだんと本格的になり、最近では市役所、図書館、学校やお祭等の展示会に招かれ、本職より多忙な日々を送っている。
さて、業界は、食い逃げの外資系のインターネットでの販売や、携帯電話による配信やらで小書店には恐怖時代に入った。だのに取次では新時代に沿った流通が確立されたとはいえない。注文しても、1カ月たっても入荷しない。以前より悪くなっている。時代遅れの流通は改善されるのだろうか。
当店では上のような手書きのポスターを張り、頑張っています。

『小一』の大増売運動/週刊百科はウィーンフィル

小学館は12月2日午後4時から九段のホテルグランドパレスに販売会社を集め、2010年上期雑誌新企画発表会を行い、『小学1年生』大増売運動はじめ、『教育技術』リニューアル、ウイークリーブック『ウィーンフィル魅惑の名曲』『真説歴史の道』などの新企画を説明した。
冒頭にあいさつした小学館早川三雄常務は『小学5年生』『6年生』『chuchu』『サブラ』の休刊に触れ「現状、環境、将来性を勘案して断腸の思いで休刊にした。消極的にとらえることなく新たな取り組みをしていく。創業者相賀武夫は87年前、伸びていく少年少女の向上心に満足を与え、天分を助け育てたいと雑誌を創刊した。この原点に返って学習誌を改革強化する。逆風が強い中での新雑誌の船出だが、絶大なご支援をお願いする」と呼びかけた。
このあと各担当者から以下の新企画が説明された。
■『小学1年生』
2011年度からの新学習指導要領全面実施で学校の授業密度が濃くなる。『小1』も「べんきょうを、あそぼう」をキャッチフレーズに、しっかり学習できる雑誌にシフトを変える。別冊付録として陰山メソッドの「まいにちドリル」70頁が毎号ついて家庭学習に適応する。平常号は700円。年間定期購読キャンペーンとして予約者に500円のドラえもん図書カードを進呈。書店向けには店頭装飾、増売コンクールのほか、定期獲得コンクールとして予約3名ごとに千円の図書カードを進呈。
■『ガクマンプラス』
小学5年生、6年生を主な対象にした新しい学習マンガ雑誌。4月15日創刊。B5判300頁、特別定価500円。4月以降、隔月15日発売。
■『教育技術』
教育技術6誌は年11回刊から3月と偶数月の年7回刊行に変更。毎号、教材コンテンツやテンプレートが収録されたDVDが付き、本誌も16頁増で定価980円。
■『ウィーンフィル魅惑の名曲』
最高峰のオーケストラ、ウイーンフィルによる究極の名演奏決定版。全50巻。1月19日発売の創刊号は小澤征爾指揮、ドボルザーク「新世界より」。特別価格690円。2号以降は1190円。
■『真説歴史の道』
毎号一人の人物にスポットをあて、歴史的出来事を道の視点から解き明かす歴史エンターテインメント。全50巻。第1巻織田信長①、第2巻坂本龍馬2月23日2巻同時発売。創刊記念特別定価各250円。第3巻以降580円。

上半期売上は95・4%/2614億円にとどまる/トーハン

トーハンは11月30日、平成21年度中間決算を発表した。上半期の売上高は書籍1006億3700万円(95・4%)、雑誌1464億7500万円(96・1%)、NM商品143億2000万円(89・7%)、合計で2614億3400万円、前年比95・4%の水準にとどまった。
返品率は雑誌38・1%(0・5ポイント減)、書籍44・5%(0・6ポイント増)、NM商品18・0%(0・9ポイント増)で、雑誌、コミックは改善が見られたものの、書籍、NM商品が上昇して総合では前年と同じ39・9%だった。
売上総利益率は売上減少と原価率の上昇により前年比94・0となり、売上伸長率を1・4ポイント下回ったものの、営業費は経費削減に取り組んだ結果、前年比94・0%に。しかし、売上総利益の減少をカバーするには至らず、営業利益は30億4200万円(94・0%)、経常利益は14億800万円(87・5%)となった。
特別損益は前年に有価証券評価損、退職加算金などで16億円を計上したため、税引前中間純利益12億6200万円、中間純利益7億4300万円を計上し、昨年上半期の赤字から黒字に転じて、減収増益決算となった。
子会社12社の連結決算では売上高2652億900万円(95・4%)、経常利益15億3600万円(94・4%)、中間純利益7億5400万円(637%)と同じく減収増益だった。

平成21年トーハン中間
決算損益計算書
売上高261、434
売上原価230、393
売上総利益31、041
販売費及び一般管理費
27、998
営業利益3、042
営業外収益2、067
受取利息410
その他営業外収益
1、657
営業外費用3、701
支払利息32
売上割引3、429
その他営業外費用239
経常利益1、408
特別損失145
税引前中間純利益
1、262
法人税等518
中間純利益743
◇トーハン人事
〔役員人事〕
依嘱開発担当
専務近藤敏貴
解開発担当委嘱
常務清水美成
〔人事異動〕
命、開発担当役員付部長(西日本営業本部・開発担当部長)野辺忠史
命、開発担当役員付部長(東日本営業本部・開発担当部長)藤原敏晴

新製品

◇中央社からコードレス電気あんかと携帯電話充電器
書店向けバラエティ商材の開発に力を入れている中央社から話題の商品2点。巣ごもり消費アイテムとしてコードレス電気あんか「ほっと湯」はこの2カ月半で2200個以上販売のヒットになった。
「ほっと湯」はお湯の入れ替えが不要で、充電式だから電源のない場所でも使える蓄熱充電式湯たんぽ。
1回の充電20分で、専用の袋に入れれば6時間暖かい。電気代は1回の充電で約2円と経済的。定価3150円、書店正味60%、買い切り。
昨年秋から書店ルートで8500個以上販売したのが携帯電話充電器「モバイル―5」。電池を使わず、充電器で充電したものを携行し、出先での急な電池切れに対応できる。カラフルな5色でドコモ・ソフトバンク用、au用の2タイプある。定価は2100円、書店正味60%。現在キャンペーン期間中で委託扱い。
問い合わせは中央社開発営業部、電話03・3668・1149番へ。

本屋のうちそと

書店新聞12月1日号によれば、取次の「特急便料金」の値下げ交渉が進展のないとの理事会報告がされていたが、トーハンから12月1日付でブックライナーの正味の1%の引き下げと送料無料化の案内があり、12月1日到着分から実行されるという。日書連活動が目に見える成果として上がった事はご同慶の至りだ。
アマゾンに対抗する流通インフラを持たない書店業界にとって一応納得せざるをえない体制なのだろうが、とりわけ小書店には満足といえない。「率」が問題なのだ。
既存の流通インフラは、戦後の急成長の根幹である大量輸送を前提に同一地区同日配送を命題として組み立てられている。デフレ期にあって客注対応の少量・個別特急輸送に市場性を発見したアマゾンはITを駆使した新ビジネス・モデルとして町の小書店には脅威だ。元来小商圏を掘り起こしてきた小書店はニッチ産業なのだ。はなから全国展開や大規模化を目指さないのだから、売上高・営業利益率の向上を目指す経営が基本となる。客注品だから書店にとって在庫負担はゼロ。取次の料率設定の原価計算の根拠は知る由もないが、集積ヤードを共有し輸送は既存配送体制に追加するのだから、機会費用はゼロとは言わないが、随分とは掛かってないはずだ。
腰だめの私案だが、図書券の引換手数料率程度の特急便利用料率つまり正味率に5%を加えた82%に引き下げられれば、アマゾンに対抗して利益が望める「取次win・小書店win」になると愚考している。
(井蛙堂)